説明

振動源固定構造

【課題】振動源で発生した振動の伝播をより一層低減すること。
【解決手段】振動源であるコンプレッサ200を基板310に固定するコンプレッサ固定構造は、コンプレッサ200の本体下部に形成されたコンプレッサ取付用脚部210と、基板310上に固定され、コンプレッサ取付用脚部210が載置される振動吸収体450と、基板310上に形成され、振動吸収体450を固定するための突起部311とを有する。突起部311は、振動吸収体450との接触面積が低減される形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動の発生源になっている振動源の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
振動源となる機器の一例として、例えば、空気などの気体を圧縮するコンプレッサ(圧縮機)がある。コンプレッサは、今日、空気調和装置や冷凍装置などに代表される冷凍サイクル装置をはじめとして各種分野の各種機器に幅広く搭載されている。その一適用例として、医療機器の分野において、空気を導入して高濃度の酸素を放出する酸素濃縮器がある。
【0003】
酸素濃縮器は、主として、呼吸器疾患の患者が在宅で酸素を吸入する在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)において使用される。
【0004】
酸素濃縮器は、加圧空気に対して窒素を吸着し減圧空気に対して窒素を脱着する性質を持つ吸着剤(例えば、ゼオライト)が充填された、シーブベッド(吸着塔)を備えている。酸素濃縮器は、フィルタおよび吸気タンクを通して取り込んだ室内の空気をコンプレッサによって圧縮し、この圧縮空気を加減圧の切り替えを繰り返しながらシーブベッドに通過させることによって、圧縮空気から高濃度の酸素を分離する。高濃度酸素は、使用時に患者が装着する鼻腔カニューラを介して患者体内に供給される。
【0005】
酸素濃縮器は、通常、患者の近くで長時間連続して使用されるため、その振動および音が特に問題となる。そこで、振動および音が低減された酸素濃縮器が求められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、コンプレッサを防振用の弾性部材(バネまたはゴム)を介して酸素濃縮器のコンプレッサ取付床面に固定し、コンプレッサからの固体伝播振動を防止するようにした酸素濃縮器が開示されている。
【0007】
このようにコンプレッサを床面(基板)上に弾性支持して固定するコンプレッサ固定構造を有する酸素濃縮器においては、従来、多くの場合、結合すべき部分をねじ止めなどによりすべて固定することによって、コンプレッサを基板に固定するようにしている。
【特許文献1】特開昭63−218502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来のコンプレッサ固定構造にあっては、結合すべき部分をすべて固定するため、コンプレッサで発生した振動は、防振用弾性部材によって低減されつつも、複数回弾性部材を介して基板に伝播することになる。具体的には、例えば、コンプレッサで発生した振動は、一旦防振用弾性部材を介して基板に伝播するが、その一部は基板上で反射して防振用弾性部材を介してコンプレッサに戻り、この一部はコンプレッサ上で再度反射して防振用弾性部材を介して基板に伝播する。コンプレッサで発生した振動は、このように基板との間で固体伝播を繰り返しながら、徐々に減衰していく。したがって、コンプレッサで発生した振動は1回発生する度に複数回基板に伝播するため、防振用弾性部材による振動吸収効果にも一定の限界がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、振動源で発生した振動の伝播をより一層低減することができる振動源固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の振動源固定構造は、振動源を基板に固定する振動源固定構造であって、前記振動源の本体下部に形成された振動源取付用脚部と、前記基板上に固定され、前記振動源取付用脚部が載置される振動吸収体と、前記基板上に形成され、前記振動吸収体を固定するための突起部と、を有し、前記突起部は、前記振動吸収体との接触面積が低減される形状を有する、構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動源で発生した振動の伝播をより一層低減することができる振動源固定構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、振動源として酸素濃縮器のコンプレッサを例にとって説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る振動源固定構造を有する酸素濃縮器の外観を示す斜視図である。
【0014】
酸素濃縮器100は、主として在宅酸素療法において使用されるタイプのものであり、高濃度酸素の生成に必要な構成であるフィルタや吸気タンク、コンプレッサ、シーブベッド、圧力センサなど(いずれも図示せず)を含む内部構成は、筐体110内に収容されている。酸素濃縮器100の内部構成は、従来の酸素濃縮器と同様のものでもよいため、ここでは、それらについての詳細な説明を省略する。
【0015】
筐体110は、例えば、樹脂製であり、軽量化が図られている。なお、筐体110を木製とすることにより、筐体110自体に遮音性を持たせることもできる。また、酸素濃縮器100の主たる設置場所は患者の自宅内であるため、省スペース化を図るために、筐体110は薄型に形成されている。
【0016】
操作部120は、操作容易性のために筐体110の上面部に設けられている。操作部120には、酸素濃縮器100の電源部121と、高濃度酸素の流量を調節するための調節部122と、高濃度酸素の流量などを表示する表示部123と、酸素濃縮器100の動作異常などを外部(例えば、メンテナンスサービス)に伝えるための発信部124と、鼻腔カニューラが設けられたチューブ(図示せず)を接続するための接続部125とが設けられている。
【0017】
図2は、酸素濃縮器100の筐体110内に収容されているコンプレッサの固定構造を示す斜視図である。
【0018】
図1の筐体110内には、コンプレッサ200が収容されている。コンプレッサ200は、吸気タンク(図示せず)に収容された原料空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を冷却パイプ(図示せず)経由でマニホールド(図示せず)に送る。コンプレッサ200は、駆動時に振動を発生するため、この振動が他の部分に伝播すると騒音発生の原因ともなる。そこで、本実施の形態では、本発明に係る以下に詳述するコンプレッサ固定構造を採用して、コンプレッサ200で発生した振動の伝播を大幅に低減するようにしている。
【0019】
具体的には、図2に示すコンプレッサ固定構造において、コンプレッサ200は、コンプレッサ200載置用の台座300に振動吸収部材400を介して弾性支持された状態で、固定具500によってワンタッチで台座300に固定されている。ただし、この場合、コンプレッサ200は、上下方向のうち、コンプレッサ200の取り付け方向である下方向にのみ固定されており、コンプレッサ200の取り外し方向である上方向には固定されておらず変位可能なフリー状態になっている。
【0020】
以下、このコンプレッサ固定構造を、図3〜図6を用いて詳細に説明する。
【0021】
図3は、図2に示すコンプレッサ固定構造において固定具を取り外した状態を示す要部拡大斜視図である。図4は、図2に示すコンプレッサ固定構造の要部拡大断面斜視図である。図5は、図2に示すコンプレッサ固定構造の要部拡大断面図である。図6は、図2に示すコンプレッサ固定構造において固定具を取り外した状態を示す要部拡大断面図である。
【0022】
このコンプレッサ固定構造は、コンプレッサ取付用脚部210、基板310、振動吸収部材400、上下2枚の板金410、420、および固定具500を有する。
【0023】
コンプレッサ取付用脚部210は、コンプレッサ200の本体下部に形成され、突起部211を有する。突起部211は、コンプレッサ取付用脚部210の底面に突設されている。突起部211は、板金410および振動吸収部材400にそれぞれ形成された貫通孔411、401に挿入される。本実施の形態では、板金410および振動吸収部材400の貫通孔411、401の横断面形状はいずれも円形であるため、これに対応して、突起部211は、円柱形状に形成されている。なお、突起部211の形状は円柱形状に限定されない。突起部211の形状は、貫通孔411、401に挿入可能な多角柱(三角柱や四角柱など)の形状であってもよい。突起部211の大きさ(円柱形状の場合は高さと直径)の基準については後述する。
【0024】
振動吸収部材400は、コンプレッサ200で発生した振動を吸収する機能を有する。振動吸収部材400は、中心部に貫通孔401を有する円筒形状に成形されている。ここでは、貫通孔401の横断面形状は、例えば、円形である。振動吸収部材400は、既知の振動吸収材(例えば、振動吸収用ゴム)で作られている。貫通孔401には、上記のように、コンプレッサ取付用脚部210の突起部211が挿入される。振動吸収部材400は、板金420を介して、例えば、ボルト430(好ましくは座金431と共に使用される。以下同様)とナット440によって台座300の基板310に固定される。
【0025】
上下2枚の板金410、420のうち、まず、コンプレッサ200側の板金410は、コンプレッサ取付用脚部210を受けるために使用される。板金410は、例えば、円形状であって、中心部に貫通孔411を有する。この貫通孔411の横断面形状は、例えば、振動吸収部材400の貫通孔401と同様に、円形である。また、この貫通孔411の大きさ(直径)は、好ましくは、振動吸収部材400の貫通孔401の大きさ(直径)と同じである。この貫通孔411には、上記のように、コンプレッサ取付用脚部210の突起部211が挿通される。板金410は、例えば、接着剤によって、振動吸収部材400の上端面(コンプレッサ200側の端面)に、両者の貫通孔401、411が同心状に配置された状態で固定される。また、板金410の外径は、振動吸収部材400の外径よりも大きい。
【0026】
一方、台座300側の板金420は、振動吸収部材400を受けるために使用される。板金420は、例えば、円形状であって、中心部にボルト挿通孔421を有する。このボルト挿通孔421には、例えば、ボルト430が挿通される。板金420は、例えば、接着剤によって、振動吸収部材400の下端面(台座300側の端面)に、貫通孔401の中心とボルト挿通孔421の中心とを一致させた状態で固定される。また、板金420の外径は、振動吸収部材400の外径よりも大きい。
【0027】
なお、実際の部品としては、好ましくは、板金410、420はあらかじめ振動吸収部材400に固定されている。すなわち、好ましくは、振動吸収部材400は、板金410、420が固定された1つの部品として構成されている。以下、板金410、420が固定された振動吸収部材400を1つの部品として見たとき、この部品を「振動吸収体450」と呼ぶことにする。
【0028】
固定具500は、ワンタッチで取り付け可能な差込式であって、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450に載置した状態、つまり、コンプレッサ取付用脚部210を板金410上に置いてコンプレッサ取付用脚部210の突起部211を板金410および振動吸収部材400の貫通孔411、401に挿入した状態において、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450に固定する(ただし、上方向には固定されておらずフリー状態にある)機能を有する。固定具500は、例えば、樹脂で成形されている。
【0029】
固定具500は、略コの字形の本体部501を有する。本体部501は、左右の側面部502a、502bと、両側面部502a、502bを連結する背面部503とを有する。左右の側面部502a、502bおよび背面部503によって囲まれた空間には、コンプレッサ取付用脚部210、板金410、および振動吸収部材400の上端部を収容する収容部504が形成されている。
【0030】
また、本体部501の上側には、コンプレッサ200の取り外し方向、つまり、コンプレッサ取付用脚部210の抜け方向(突起部211を貫通孔411、401に挿入する方向と逆の方向)への変位を規制する上面部(変位規制部)505が形成されている。上面部505の中央部には、固定具500に左右方向の弾性変形を可能にするスリット506が形成されている。
【0031】
また、左右の側面部502a、502bの内壁には、板金410の縁端部412が挿入される溝部507が形成されている。ここでは、溝部507の一部、具体的には、溝部507の背面部503近傍の部分は、反対側に貫通してスリット508a、508bを形成している。
【0032】
固定具500は、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450に載置した状態、つまり、コンプレッサ取付用脚部210を板金410上に置いてコンプレッサ取付用脚部210の突起部211を板金410および振動吸収部材400の貫通孔411、401に挿入した状態において、コンプレッサ取付用脚部210、板金410、および振動吸収部材400の上端部が収容部504に収容されかつ板金410の縁端部412が溝部507に挿入されるように所定の方向Aからパチンと装着されることによって、所定の位置にワンタッチで取り付けられる。このとき、樹脂製の固定具500は、上面部505に形成したスリット506によって、それ自体左右に開く方向に弾性変形可能であるため、所定の位置に装着されやすくなっている。固定具500を所定の位置に取り付けた状態では、弾性変形後の樹脂の復元力によって板金410の縁端部412の溝部507への挿入が付勢され、固定具500が振動吸収体450に固定される。
【0033】
また、固定具500を所定の位置に取り付けた状態において、固定具500の上面部505の内面509とコンプレッサ取付用脚部210の上面212との間には、所定の上下クリアランスdが設けられている(図5参照)。これにより、コンプレッサ200は、所定の基準位置からコンプレッサ200の取り外し方向である上方向に変位可能なフリー状態になっている。ただし、上下クリアランスdの大きさは、コンプレッサ取付用脚部210の突起部211の高さよりも小さくなるように設計されている。これにより、固定具500を所定の位置に取り付けた状態において、コンプレッサ取付用脚部210の上方向(抜け方向)への変位が固定具500の上面部505によって規制され、コンプレッサ取付用脚部210が振動吸収体450から外れるのが防止される。例えば、一例として、上下クリアランスdの大きさは、2mmである。
【0034】
ここで、上記フリー状態を担保するために、好ましくは、コンプレッサ取付用脚部210の突起部211の大きさ(円柱形状の場合は直径)は、コンプレッサ取付用脚部210がガタツキなく上下方向に若干変位可能なように、板金410および振動吸収部材400の貫通孔411、401の大きさ(円形の場合は直径)よりもほんのわずか小さくなるように設計されている。
【0035】
このように、本実施の形態では、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450上に載置した状態において、コンプレッサ取付用脚部210を、固定具500によって、上方向へのフリー状態を保持したまま、振動吸収体450に固定することができる。このため、コンプレッサ200で発生した振動は、振動吸収体450に伝わるのみであり、反射した振動が振動吸収体450からコンプレッサ200に伝わることはない。したがって、コンプレッサ200で発生した振動が複数回振動吸収体450を介して基板310に伝播することがなくなるため、コンプレッサ200から基板310に伝播する振動を低減することができる。
【0036】
基板310は、台座300の上面を構成する板金である。基板310には、コンプレッサ200の固定位置(図2の例では、4箇所)毎に、突起部311が形成されている。この突起部311に振動吸収体450を固定することによって、振動吸収体450と基板310との接触面積が低減され、振動の伝播を低減することができる。
【0037】
特に、図7(A)は、突起部311の外観斜視図、図7(B)は、突起部311の断面斜視図である。
【0038】
図7(A)および図7(B)によく示すように、突起部311は、円錐台の形状を有する。突起部311は、例えば、基板310を構成する板金を円錐台の形状にプレス加工(型付け加工)して成形される。突起部311の上面部(接触部分)の中心部には、ボルト挿通孔312が形成されている。
【0039】
振動吸収体450は、これを突起部311上に置いて板金420のボルト挿通孔421の中心と突起部311のボルト挿通孔312の中心とを一致させた状態でこれらボルト挿通孔421、312にボルト430を挿通してナット440と共に締め付けることによって、基板310に固定される。このとき、振動吸収体450は、円錐台状の突起部311の上面でのみ、基板310と接触する。したがって、振動吸収体450と基板310との接触面積は、基板310に突起部311を設けない場合と比較して、大幅に低減されることになる。周知のように、振動は、接触面積が小さいほど伝播しにくい。したがって、基板310に突起部311を設けることによって、コンプレッサ200で発生し振動吸収体450を介して基板310に伝播する振動を、低減することができる。
【0040】
次いで、上記構成を有するコンプレッサ固定構造においてコンプレッサ200を台座300に固定する作業手順について、図8および図9を用いて説明する。図8A〜図8Cは、その作業手順を示す工程別斜視図であり、図9A〜図9Fは、その作業手順を示す工程別要部断面図である。
【0041】
まず、図8Aに示すように、コンプレッサ200の固定位置(この例では、4箇所)毎に、台座300の基板310に形成された突起部311上に振動吸収体450を固定する。具体的には、図9A〜図9Cによく示すように、基板310の突起部311上に振動吸収体450を置いて、板金420のボルト挿通孔421の中心と突起部311のボルト挿通孔312の中心とを一致させた状態で、これらボルト挿通孔421、312にボルト430を挿通してナット440と共に締め付けることによって、振動吸収体450を基板310に固定する。
【0042】
そして、図8Bに示すように、基板310に固定された振動吸収体450上にコンプレッサ取付用脚部210を載置する。具体的には、図9Dによく示すように、コンプレッサ取付用脚部210を板金410上に置いて、コンプレッサ取付用脚部210の突起部211を板金410および振動吸収部材400の貫通孔411、401に挿入する。
【0043】
そして、図8Cに示すように、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450に載置した状態において、固定具500を所定の方向Aからパチンと装着する。具体的には、図9Eおよび図9Fによく示すように、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450に載置した状態において、コンプレッサ取付用脚部210、板金410、および振動吸収部材400の上端部が収容部504に収容されかつ板金410の縁端部412が溝部507に挿入されるように固定具500を所定の方向Aからパチンと装着する。これによって、固定具500は、所定の位置にワンタッチで取り付けられる(図2も参照)。
【0044】
したがって、少ない部品点数で、しかも簡単にコンプレッサ200を台座300に固定することができる。部品点数の削減は、組立工程および部品コストの低減にもつながる。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、コンプレッサ取付用脚部210を振動吸収体450上に載置した状態において、コンプレッサ取付用脚部210を、固定具500によって、上方向へのフリー状態を保持したまま、振動吸収体450に固定するため、コンプレッサ200で発生した振動が複数回振動吸収体450を介して基板310に伝播することがなくなり、コンプレッサ200から基板310に伝播する振動を低減することができる。
【0046】
また、基板310上に突起部311を形成して、この突起部311に振動吸収体450を固定するため、振動吸収体450と基板310との接触面積が低減され、この点からも振動の伝播を低減することができる。
【0047】
したがって、両者を併用することによって、さらにより一層振動の伝播を低減することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、基板310の突起部311は、円錐台の形状を有するが、これに限定されない。基板310の突起部の形状は、振動吸収体450との接触面積が低減される形状であればどのような形状であってもよい。例えば、特に、振動吸収体450と点接触または線接触する形状であれば、接触面積が大幅に低減され、振動の伝播をより一層低減することができる。
【0049】
以下、基板310の突起部の変更例を、図10〜図14を用いていくつか説明しておく。なお、図10〜図12は、点接触を利用した場合であり、図13および図14は、線接触を利用した場合である。
【0050】
図10(A)〜図10(C)は、4つの円錐状の突起によって振動吸収体450を点接触で支持する場合を示している。この場合、例えば、基板310の突起部320は、同心円上に等間隔で配置された4つの円錐状の突起321と、同心円の中心部に配置されたボス322とで構成されている。この場合も、突起部320は、例えば、基板310を構成する板金をプレス加工(型付け加工)して成形される。ボス322には、ねじ460(好ましくは座金461と共に使用される)を締め付けるための、雌ねじが切られたねじ孔323が形成されている。好ましくは、突起321の高さとボス322の高さは同じである。これにより、振動吸収体450は、4つの円錐状の突起321と中心部のボス322とによって、基板310上に支持される。
【0051】
図11は、3つの円錐状の突起によって振動吸収体450を点接触で支持する場合を示している。この場合、例えば、基板310の突起部330は、同心円上に等間隔で配置された3つの円錐状の突起321と、同心円の中心部に配置されたボス322とで構成されている。突起321の個数以外の構成は、図10(A)〜図10(C)の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図12は、3つの半球状の突起によって振動吸収体450を点接触で支持する場合を示している。この場合、例えば、基板310の突起部340は、同心円上に等間隔で配置された3つの半球状の突起341と、同心円の中心部に配置されたボス322とで構成されている。突起341の形状以外の構成は、図11の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
図13(A)および図13(B)は、ボス322の中心軸を回転軸としてボス322から離れた三角形を回転させて得られる半ドーナツ型(縦断面が三角形)の突起によって振動吸収体450を線接触で支持する場合を示している。この場合、例えば、基板310の突起部350は、半ドーナツ型(縦断面が三角形)の突起351と、突起351の中心部に配置されたボス322とで構成されている。突起351の形状以外の構成は、図10(A)〜図10(C)の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
図14は、ボス322の中心軸を回転軸としてボス322から離れた半円を回転させて得られる半ドーナツ型(縦断面が半円形)の突起によって振動吸収体450を線接触で支持する場合を示している。この場合、例えば、基板310の突起部360は、半ドーナツ型(縦断面が半円形)の突起361と、突起361の中心部に配置されたボス322とで構成されている。突起361の形状以外の構成は、図13の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
また、本実施の形態では、振動源となる機器の一例として、酸素濃縮器100のコンプレッサ200を例にとって説明したが、これに限定されない。例えば、本発明に係る振動源固定構造は、空気などの気体を圧縮するコンプレッサ(圧縮機)を搭載した、空気調和装置や冷凍装置などに代表される冷凍サイクル装置をはじめとして各種分野の各種機器に幅広く適用可能である。さらには、コンプレッサ以外の振動源にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係る振動源固定構造を有する酸素濃縮器の外観を示す斜視図
【図2】図1に示す酸素濃縮器の筐体内に収容されているコンプレッサの固定構造を示す斜視図
【図3】図2に示すコンプレッサ固定構造において固定具を取り外した状態を示す要部拡大斜視図
【図4】図2に示すコンプレッサ固定構造の要部拡大断面斜視図
【図5】図2に示すコンプレッサ固定構造の要部拡大断面図
【図6】図2に示すコンプレッサ固定構造において固定具を取り外した状態を示す要部拡大断面図
【図7】(A)本実施の形態における基板上の突起部の外観斜視図、(B)同突起部の断面斜視図
【図8A】本実施の形態におけるコンプレッサ固定構造においてコンプレッサを台座に固定する作業手順の一工程を示す斜視図
【図8B】図8Aの次の工程を示す斜視図
【図8C】図8Bの次の工程を示す斜視図
【図9A】本実施の形態におけるコンプレッサ固定構造においてコンプレッサを台座に固定する作業手順の一工程を示す要部断面図
【図9B】図9Aの次の工程を示す要部断面図
【図9C】図9Bの次の工程を示す要部断面図
【図9D】図9Cの次の工程を示す要部断面図
【図9E】図9Dの次の工程を示す要部断面図
【図9F】図9Eの次の工程を示す要部断面図
【図10】(A)本実施の形態における基板上の突起部の一変更例を示す概略斜視図、(B)同変更例に係る突起部を用いた振動吸収体の固定構造の締結前の状態を示す断面斜視図、(C)同変更例に係る突起部を用いた振動吸収体の固定構造の締結後の状態を示す断面斜視図
【図11】本実施の形態における基板上の突起部の他の変更例を示す概略斜視図
【図12】本実施の形態における基板上の突起部のさらに他の変更例を示す概略斜視図
【図13】(A)本実施の形態における基板上の突起部のさらに他の変更例を示す概略斜視図、(B)同変更例の断面斜視図
【図14】本実施の形態における基板上の突起部のさらに他の変更例を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0057】
100 酸素濃縮器
110 筐体
120 操作部
200 コンプレッサ
210 コンプレッサ取付用脚部
211、311、320、330、340、350、360 突起部
212 上面
300 台座
310 基板
312、421 ボルト挿通孔
321、341、351、361 突起
322 ボス
323 ねじ孔
400 振動吸収部材
401、411 貫通孔
410、420 板金
412 縁端部
430 ボルト
431、461 座金
440 ナット
450 振動吸収体
460 ねじ
500 固定具
501 本体部
502a、502b 側面部
503 背面部
504 収容部
505 上面部
506、508a、508b スリット
507 溝部
509 内面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源を基板に固定する振動源固定構造であって、
前記振動源の本体下部に形成された振動源取付用脚部と、
前記基板上に固定され、前記振動源取付用脚部が載置される振動吸収体と、
前記基板上に形成され、前記振動吸収体を固定するための突起部と、を有し、
前記突起部は、前記振動吸収体との接触面積が低減される形状を有する、
振動源固定構造。
【請求項2】
前記突起部は、円錐台の形状を有する、
請求項1記載の振動源固定構造。
【請求項3】
前記突起部は、ボルトとナットによって前記振動吸収体と固定される、
請求項2記載の振動源固定構造。
【請求項4】
前記突起部は、前記振動吸収体と点接触する形状を有する、
請求項1記載の振動源固定構造。
【請求項5】
前記突起部は、前記振動吸収体と線接触する形状を有する、
請求項1記載の振動源固定構造。
【請求項6】
前記突起部は、ねじ孔が切られたボスを有し、ねじ止めによって前記振動吸収体と固定される、
請求項4または請求項5記載の振動源固定構造。
【請求項7】
前記振動源は、コンプレッサである、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の振動源固定構造。
【請求項8】
請求項7記載の振動源固定構造を有する酸素濃縮器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−151260(P2010−151260A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331474(P2008−331474)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】