説明

捜索システム

【課題】公共の無線網を利用することなく、親機が子機の居る位置を即座に捜索することのできる捜索システムを提供する。
【解決手段】子機1は、子機位置情報取得部10から取得した自身の位置情報を親機2に提供し、この親機2は、親機位置情報取得部20から取得した位置情報、親機方位情報取得部21から取得した方位情報と、子機1の位置情報とから子機の相対情報を算出することで、親機2は子機1の居る相手の位置を即座に捜索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置間の相対位置を決定する捜索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の捜索システムとしては、電波ビーコンシステムを利用したものがある。通常、この電波ビーコンシステムの送信装置側は、457kHzの電波を救助信号として送信することができ、また受信装置側は受信した電波から送信装置の方向とおおよその距離を知ることができる。
【0003】
しかしながら、上記電波ビーコンシステムの送信装置が送信する電波の到来距離は約100m程度であり、それ以上に互いの距離が離れると捜索することができないという問題がある。
【0004】
また、互いの位置を経緯度として分かっているときは、相対位置として距離や方位を計算することができる。上記経緯度を検出する方法としては、GPS(global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。ここで、GPS衛星が送信する電波には、衛星自身の位置や軌道を示す情報が重畳されており、GPS受信装置は、複数の衛星の位置を三次元座標として捕捉する。また、GPS受信装置は、電波の到来時間から衛星とGPS受信装置との距離を測定する。さらに、三個以上の衛星の位置と、それぞれの衛星と、GPS受信装置との距離からGPS受信装置の位置を三次元座標として計算することができ、その計算した三次元座標を極座標系に変換することにより、経緯度としてGPS受信装置自身の位置を経緯度として測位することができる。
【0005】
上記GPS受信装置が経緯度を知らせる方法としては、PHS(Personal Handyphone System:簡易型携帯電話)や携帯電話などの携帯電話網を用いた特許文献1に開示された捜索装置がある。この捜索装置によると、GPS受信装置はディファレンシャルGPS測位システムを用いるため高精度な測位を行うことができる。また、符丁信号を用いることで、特定の符丁を発した親機にのみ子機は返信するという機能を備えている。
【0006】
また、GPS受信装置が経緯度を知らせる別の方法としては、ブルートゥースと携帯電話とを用いた特許文献2に開示された無線位置及び方向インディケータシステムがある。このシステムは、相対位置の計算結果と電子コンパスなどであるノースファインダを組み合わせることにより、どちらの方向を向くことで捜索することができるかを容易に知ることができる。
【特許文献1】特許第3026170号公報
【特許文献2】特開2002−62344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、それぞれ特許文献1に開示された装置及び特許文献2に開示されたシステムは、それぞれのGPS受信装置が無線を用いて自身の位置を伝え合うことができるため、互いの相対位置を知ることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示されたシステムのように無線で通信する場合には、ブルートゥースの通信距離が約10mであり、捜索には向いておらず、また特許文献1に開示された装置のような携帯電話網では、回線を接続後に情報を交換するため、応答性が悪く、応答時間が長くなってしまうと共に、通信料金がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、公共の無線網を利用することなく、親機が子機の居る位置を即座に捜索することのできる捜索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、捜索者が有する親機と被捜索者が有する子機との特定小電力無線通信により、前記親機が前記子機の現在位置を取得して前記被捜索者を捜索する捜索システムであって、前記子機は、当該子機の現在位置を子機位置情報として取得する子機位置情報取得部と、前記親機と特定小電力無線により通信する子機通信部と、前記取得された子機位置情報を前記子機通信部から前記親機に送信するよう制御する子機制御部とを備え、前記親機は、当該親機の現在位置を親機位置情報として取得する親機位置情報取得部と、当該親機の基準方向の方位角を親機方位情報として取得する親機方位情報取得部と、前記子機と特定小電力無線により通信する親機通信部と、前記それぞれ取得された親機位置情報と親機方位情報と前記子機より前記親機通信部を介して受信された子機位置情報とに基づき、前記基準方向からの前記子機の相対方向情報を算出する相対方向算出部と、前記親機位置情報と前記子機位置情報とに基づき前記子機との相対距離情報を算出する相対距離算出部と、前記それぞれ算出された相対方向情報と相対距離情報とのいずれか一方を出力情報として出力する情報出力部と、前記出力された出力情報に基づき操作GUI情報を生成する情報可視化部と、前記基準方向の風景情報を所定の画角で取り込む風景取り込み部と、前記取り込まれた風景情報と前記生成された操作GUI情報とを重畳して重畳情報を生成する重畳部と、前記生成された重畳情報を表示する風景情報表示部と、をそれぞれ備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1に記載の捜索システムにおいて、前記親機はさらに、前記風景取り込み部の前記所定の画角を画角情報として取得する画角取得部と、前記相対方向算出部で算出された相対方向情報と前記取得された画角情報とに基づいて前記風景取り込み部の画角内に前記子機が入っているか否かを判定し、その判定結果を画角範囲子機判定情報として出力する画角範囲子機判定部とを備え、前記情報可視化部が、前記出力された画角範囲子機判定情報をも含めて前記操作GUI情報を生成することを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項2に記載の捜索システムにおいて、前記親機はさらに、前記相対距離算出部で算出された相対距離情報に対する前記風景取り込み部の画角を表す距離対画角比情報を予め記録した距離対画角比記録部と、前記相対距離情報と前記記録された距離対画角情報とに基づき前記風景取り込み部に設定する画角を決定する画角決定部と、前記決定された画角を前記風景取り込み部に設定する親機制御部と、を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項3に記載の捜索システムにおいて、前記親機はさらに、前記相対方向算出部で算出された相対方向情報に基づき、当該親機の前記基準方向を前記子機の正面方向に一致させるための調整方向情報を算出する調整方向算出部と、前記算出された調整方向情報に基づき当該親機の方向を変更する方向調整部とを備え、前記親機制御部が、前記基準方向に前記子機が存在するように前記調整方向算出部と前記方向調整部とを定期的に制御することを要旨とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項4に記載の捜索システムにおいて、前記子機はさらに、識別情報が予め記録された識別情報記録部を備え、前記子機制御部が、前記子機位置情報取得部で取得された子機位置情報と前記識別情報とを共に前記子機通信部から前記親機に送信するよう制御すると共に、前記親機はさらに、前記子機より前記親機通信部を介して受信された子機位置情報及び識別情報から該識別情報を判別する子機識別部を備え、前記親機制御部が、前記判別された識別情報に対応して、前記相対方向算出部及び相対距離算出部に前記相対方向情報及び相対距離情報をそれぞれ算出させるよう制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、子機は検出した子機位置情報を親機に提供し、親機は自身の親機位置情報と子機位置情報から子機の相対位置情報を算出することにより、公共の無線網を利用する必要がなく、親機は子機の居る相手の位置を即座に捜索することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、子機が画角内に収まっているか否かの画角範囲子機判定情報を出力することにより、風景取り込み部の取り込んだ風景内に子機が居るか否かを即座に分かることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、子機との相対距離情報と距離対画角情報とに基づいて風景取り込み部の画角情報を決定することにより、風景取り込み部から子機を特定の倍率で取り込むことができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、相対方向情報から基準方向が子機の正面となる方向情報を算出し、この方向情報に対して適切な方向に自動的に基準方向を調整することにより、子機が常に正面となるように基準方向を調整することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、複数の子機を識別し、この識別した複数の子機から選択した子機の相対方向情報と相対距離情報とを出力することにより、複数の子機を識別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る捜索システムの第1実施形態において子機及び親機の構成を示すブロック図、図2は、第1実施形態における子機の動作を示すフローチャートである。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の捜索システムは、子機1と親機2から大略構成する。
【0023】
子機1は、子機位置情報取得部10と、子機通信部11と、子機制御部12と、子機制御部12内に設けられたCPU12aと、子機制御部12内に設けられたメモリ12bと、このメモリ12b内に記憶されたプログラムと、アンテナ13とから構成される携帯端末である。
【0024】
子機位置情報取得部10は、例えばGPSが用いられ、子機1の現在位置を子機位置情報として取得すると、子機制御部12へ情報取得信号を出力する。
【0025】
子機通信部11は、親機2と通信する特定小電力無線送信機が用いられ、例えば1秒に1回、400MHz、10mWの子機位置情報を親機2に提供する。この特定小電力無線は、空中線電力が0.01W以下である無線局であり、周波数は超短波帯(UHF)の400MHz台が割り当てられている。また、特定小電力無線は、免許や資格や開局申請などが一切不要であり、手軽に利用することができる。
【0026】
子機制御部12は、CPU12a及びメモリ12bを有し、子機位置情報取得部10が取得した子機位置情報をメモリ12bに記憶し、この子機位置情報を通信に適した形式に変換して親機2に提供するように子機通信部11を制御する。
【0027】
次に、本実施形態の捜索システムにおける子機1の動作を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0028】
まず、子機制御部12のCPU12aは、子機位置情報取得部10が子機位置情報を周期的に取得するように初期化する(ステップS10)。ここで、子機位置情報取得部10が子機位置情報を取得するタイミングは、子機制御部12が任意のタイミングで要求した時であってもよい。
【0029】
次いで、子機制御部12のCPU12aは、子機位置情報取得部10が出力する情報取得信号を監視し(ステップS20)、情報取得信号を検出した場合(ステップS30:Yes)は、子機位置情報取得部10からの子機位置情報をメモリ12bに記憶する(ステップS40)。なお、情報取得信号を検出しない場合(ステップS30:No)は、ステップS20に戻り、子機制御部12のCPU12aは情報取得信号を検出するまで情報取得信号を監視する。
【0030】
次に、メモリ12bに記憶した子機位置情報を親機2へ提供するように子機通信部11を制御する(ステップS50)。そして、ステップS60で処理の終了条件を判定し、終了しない場合(ステップS60:No)は、子機制御部12は子機位置情報取得部10が出力する情報取得信号を再び監視する。一方、ステップS60で終了条件の場合(ステップS60:Yes)には、全体の処理を終了する。
【0031】
また、図1に示す親機2は、親機位置情報取得部20と、相対距離算出部20aと、風景取り込み部20bと、親機方位情報取得部21と、情報可視化部21bと、親機通信部22と、重畳部22bと、相対方向算出部23と、風景情報表示部23bと、情報出力部24と、親機制御部25と、親機制御部25内に設けられたCPU25aと、親機制御部25内に設けられたメモリ25bと、このメモリ25b内に記憶されたプログラムと、アンテナ26とから構成されるデジタルビデオカメラである。
【0032】
親機位置情報取得部20は、例えばGPSが用いられ、親機2の現在位置を親機位置情報として取得すると、この親機位置情報を親機制御部25へ情報取得信号として出力する。
【0033】
相対距離算出部20aは、親機位置情報と子機位置情報の経緯度の差分を用いることで、親機20aと子機1との相対距離情報を算出する。
【0034】
風景取り込み部20bは、光学式では対物レンズに相当し、電子式ではカメラ装置に当たるものである。また、風景取り込み部20bの風景を取り込む方向は親機2の基準方向であるものとする。さらに、風景取り込み部20bは、取り込んだ風景情報を後述する重畳部22bに出力する。
【0035】
親機方位情報取得部21は、地磁気を検出する電子コンパスが用いられ、親機2の基準方向の向いている方位角を親機方位情報として取得すると、この親機方位情報を親機制御部25へ情報取得信号として出力する。
【0036】
相対方向算出部23は、親機位置情報と子機位置情報との差分を用いることで、親機2の基準方向から子機1はどちらの方位に居るかを示す相対方位情報を算出し、親機方位情報と相対方位情報との差分から、親機2の基準方向から子機1がどちらの方向に居るかを示す相対方向情報を算出する。
【0037】
情報出力部24は、親機位置情報、親機方位情報、子機位置情報、相対方向情報を出力する。なお、情報出力部24は、相対方向算出部23が算出した相対方向情報と、相対距離算出部20aが算出した相対距離情報の少なくとも一方を出力すればよい。
【0038】
情報可視化部21bは、情報出力部24から出力された相対方向情報、相対距離情報やその他の情報からグラフや矢印や文字などの可視情報(操作GUI情報)を作成し、この可視情報を後述する重畳部22bに出力する。
【0039】
親機通信部22は、子機1と通信する特定小電力無線送信機が用いられ、子機1から例えば1秒に1回、400MHz、10mWの子機位置情報が提供されると、この子機位置情報を親機制御部25へ情報取得信号として出力する。この特定小電力無線は、空中線電力が0.01W以下である無線局であり、周波数は超短波帯(UHF)の400MHz台が割り当てられている。また、特定小電力無線は、免許や資格や開局申請などが一切不要であり、手軽に利用することができる。
【0040】
重畳部22bは、風景情報と可視情報とを重畳した重畳情報を出力する。
【0041】
風景情報表示部23bは、重畳部22bが出力する重畳情報を表示する。
親機制御部25は、親機位置情報取得部20と、親機方位情報取得部21と、親機通信部22と、相対方向算出部23と、情報出力部24の動作を制御する。
【0042】
次に、相対方向算出部23により相対方向情報を算出する原理を説明する。
【0043】
親機位置情報と子機位置情報より、親機2から見た子機1の相対方位情報Tは、以下で求めることができる。
【0044】
まず、親機位置情報と子機位置情報が経緯度情報である場合はUTM(汎用横メルカトル)座標に変換する。
【0045】
次いで、二地点間の平面直交座標より、相対方位角情報Tを計算する。ここで、親機2のUTM座標を(x,y)子機1のUTM座標を(x,y)とすると、親機2の基準方向に対する子機1の相対方位角情報Tは以下の式から求めることができる。
【数1】

【0046】
ここで、tは親機2と子機1のUTM座標を用いた以下の式から求めることができる。
【数2】

【0047】
また、(t−T)は親機2と子機1のUTM座標と縮尺係数mと平均曲率半径Rを用いた以下の式から求めることができる。
【数3】

【0048】
ここで、m=0.9999であり、平均曲率半径Rは、地球の長半径aと、第一離心率eと、座標系原点の緯度φを用いた以下の式より求めることができる。
【数4】

【0049】
さらに、親機方位角情報と相対方位角情報の差分より、親機2の基準方向に対して子機1が右に居るのか左に居るのかを示す相対方向情報を求めることができる。この相対方向情報は、正確な角度を示す数値情報であってもよいし、左右の大まかな方向を示す情報であってもよい。
【0050】
次に、本実施形態の捜索システムにおける親機2の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
まず、親機制御部25のCPU25aは、親機位置情報取得部20と、親機方位情報取得部21とが周期的に情報を取得するように初期化する(ステップS110)。ここで、それぞれの情報を取得するタイミングは、親機制御部25が任意のタイミングで要求した時であってもよい。
【0052】
次いで、親機制御部25のCPU25aは、親機位置情報取得部20と、親機方位情報取得部21と、親機通信部22とを監視し(ステップS120)、情報取得信号を検出した場合(ステップS130:Yes)は、情報取得信号の発信源を判定する(ステップS140)。なお、情報取得信号を検出しない場合(ステップS120:No)は、ステップS120に戻り、親機制御部25のCPU25aは情報取得信号を検出するまで情報取得信号を監視する。
【0053】
そして、ステップS150では、情報取得信号の発信源毎の処理を実行する。すなわち、情報取得信号の発信源が親機位置情報取得部20であった場合、親機制御部25は、親機位置情報取得部20から親機位置情報をメモリ25bに記憶する。なお、この場合、親機位置情報を情報出力部24に出力するようにしてもよい。
【0054】
また、情報取得信号の発信源が親機方位情報取得部21であった場合、親機制御部25は、親機方位情報取得部21から親機方位情報をメモリ25bに記憶する。この場合、親機方位置情報を情報出力部24に出力するようにしてもよい。
【0055】
さらに、情報取得信号の発信源が親機通信部22であった場合、親機制御部25は、親機通信部22から子機位置情報をメモリ25bに記憶する。この場合、子機位置情報を情報出力部24に出力するようにしてもよい。
【0056】
次に、ステップS160で親機制御部25のCPU25aは、再計算条件を判定し、再計算条件が相対方向算出である場合(ステップS160:Yes)は、相対方向算出部23が相対方向を算出するように制御する。情報出力部24は相対方向算出部23の算出した相対方向情報を出力する(ステップS170)。また、再計算条件が相対距離算出である場合(ステップS160:Yes)は、相対距離算出部20aが相対距離を算出するように制御し、再計算した相対距離情報を情報出力部24から出力する(ステップS170)。このようにして出力された相対方向情報や相対距離情報を情報可視化部21bに出力表示する(ステップS180)。ここで、上記再計算条件は任意に設定する。また、再計算条件でない場合(ステップS160:No)は、ステップS120に戻り、親機制御部25のCPU25aは情報取得信号を検出するまで情報取得信号を監視する。
【0057】
さらに、ステップS190で処理を終了しない場合(ステップS190:No)は、親機制御部25は、親機位置情報取得部20と、親機方位情報取得部21と、親機通信部22からの情報取得信号の監視を続ける。一方、ステップS190で処理を終了する場合(ステップS190:Yes)は、親機2の全体の処理を終了する。
【0058】
次に、相対距離算出部20aにより相対距離を算出する原理について説明する。
【0059】
親機位置情報と子機位置情報とから親機2から見た子機1の相対距離情報Sは以下で求めることができる。
【0060】
相対方位情報の算出と同様に、親機2の位置情報と子機1の位置情報をUTM座標としてそれぞれ(x,y)、(x,y)に変換する。この親機2のUTM座標と子機1のUTM座標の測地線長が相対距離情報である。
【数5】

【0061】
ここで、s/Sは親機2と子機1のUTM座標と、縮尺係数mと、平均曲率半径Rを用いた以下の式から求めることができる。
【数6】

【0062】
このように本実施形態によれば、子機1は検出した子機位置情報を親機2に提供し、親機2は自身の親機位置情報と子機位置情報から子機1の相対位置情報を算出することにより、公共の無線網を利用する必要がなく、親機2は子機1の居る相手の位置を即座に捜索することができる。
【0063】
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る捜索システムの第2実施形態における親機の構成を示すブロック図、図5は、第2実施形態における風景取り込み部が取り込んだ風景内に子機が居る否かを判定する動作を示すフローチャート、図6(A),(B)は、図5の動作で風景取り込み部が取り込んだ風景内に子機が居る否かを示す説明図である。なお、図4では前記第1実施形態と重複する部分には、同一の符号を付して重複する部分の説明を省略する。その他の実施形態も同様とする。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Aは、前記第1実施形態の親機2に、さらに画角取得部20cと画角範囲子機判定部21cとを備える。
【0065】
画角取得部20cは、風景取り込み部20bの取り込む風景情報の範囲を示す画角情報を取得する。
【0066】
画角範囲子機判定部21cは、図6(A),(B)に示すように相対方向算出部23にて算出した相対方向情報θと画角取得部20cから取得した画角情報φとの差分θ1から、風景取り込み部20bの取り込んだ風景内に子機1が居るか否かを判定する。
【0067】
次に、風景取り込み部20bの取り込んだ風景内に子機1が居るかどうかを判定する動作を図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、前記第1実施形態に示す方法により相対方向情報を取得し、この相対方向情報をメモリ25bに記憶しているものとする。
【0068】
親機制御部25のCPU25aは、画角取得部20cが画角情報を取得するように制御し、取得した画角情報をメモリ25bに記憶する(ステップS210)。次に、親機制御部25のCPU25aは、画角範囲子機判定部21cがメモリ25bに記憶している相対方向情報θと画角情報φとから子機1が画角内に収まっているか否かを示す画角範囲子機判定情報を出力するように制御する(ステップS220)。この場合、相対方向情報θと画角情報φとの差分θ1が正であれば、図6(B)に示すように子機1が画角内に収まっていないことを示し、また負又は0であれば、図6(A)に示すように子機1が画角内に収まっていることを示す。さらに、画角範囲子機判定部21cは、画角範囲子機判定情報を判定すると、情報可視化部21bに出力して表示する(ステップS230)。
【0069】
このように本実施形態によれば、子機1が画角内に収まっているか否かの画角範囲子機判定情報を出力することにより、風景取り込み部20bの取り込んだ風景内に子機1が居るか否かを即座に分かることができる。
【0070】
(第3実施形態)
図7は、本発明に係る捜索システムの第3実施形態における親機の構成を示すブロック図、図8は、第3実施形態において子機の倍率を一定に保つ動作を示すフローチャート、図9は、相対距離と画角との関係を示す図である。
【0071】
図7に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Bは、前記第2実施形態の親機2Aに、さらに距離対画角比記録部20dと画角決定部21dとを備える。
【0072】
距離対画角比記録部20dは、予め相対距離情報に対する風景取り込み部20bの画角を示す距離対画角比情報を記録する。この距離対画角比情報は、図9に示すように子機1を任意の倍率で取り込めるような相対距離に対する画角の情報であり、距離と画角を対応させたテーブルデータであってもよいし、距離と画角の関係を示す式であってもよい。
【0073】
画角決定部21dは、相対距離情報と距離対画角比情報から画角情報を決定する。
【0074】
次に、風景取り込み部20bの画角設定を行うことで子機1の倍率を一定に保つ動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、前記第1実施形態に示す方法により相対距離情報を取得し、さらに前記第2実施形態に示す方法により画角情報を取得し、これらの情報のそれぞれをメモリ25bに記憶しているものとする。
【0075】
親機制御部25のCPU25aは、画角決定部21dに最新の画角情報と最新の相対距離情報を読み取るよう制御する(ステップS310)。次いで、画角決定部21dは、距離対画角比記録部20dの画角と距離との関係を用いて、画角情報と相対距離情報とから画角を決定する(ステップS320)。そして、親機制御部25のCPU25aは、画角決定部21dが決定した画角を読み出し、その画角で風景を取り込むよう風景取り込み部20bを制御する(ステップS330)。
【0076】
このように本実施形態によれば、子機1との相対距離情報と距離対画角情報とに基づいて風景取り込み部20bの画角情報を決定することにより、風景取り込み部20bから子機1を特定の倍率で取り込むことができる。
【0077】
(第4実施形態)
図10は、本発明に係る捜索システムの第4実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【0078】
図10に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Cは、前記第3実施形態の親機2Bに、さらに調整方向算出部20eと、方向調整部21eとを備える。
【0079】
調整方向算出部20eは、相対方向情報から親機2Cの基準方向に対して任意の方向に子機1が位置するために修正する調整方向情報を決定する。具体的に、調整方向算出部20eは、相対方向情報から基準方向が子機1の正面となる方向情報をパルス数として算出する。
【0080】
方向調整部21eは、任意の角度が入力されることで、親機2Cの基準方向を調整する。具体的に、方向調整部21eは、ステッピングモータで回転する回転雲台が用いられ、調整方向算出部20eによりパルス数として算出された方向情報に対して適切な方向に自動的に基準方向を調整する。
【0081】
親機2Cの基準方向の正面に子機1が現れるように方向を自動調整する動作を説明する。なお、前記第1実施形態に示す方法により相対方向情報を取得し、この相対方向情報をメモリ25bに記憶しているものとする。
【0082】
親機制御部25のCPU25aは、調整方向算出部20eに相対方向情報を読み取らせるように制御する。調整方向算出部20eは、相対方向情報を読み取ると、子機1が基準方向の正面であることを判定し、正面でない場合は角度を何度回転することで正面になるかを算出し、調整方向情報として出力する。親機制御部25のCPU25aが調整方向情報を方向調整部21eに入力すると、方向調整部21eは子機が正面となる角度まで親機の基準方向を回転させる。このような制御を定期的に実行する。
【0083】
このように本実施形態によれば、相対方向情報から基準方向が子機1の正面となる方向情報を算出し、この方向情報に対して適切な方向に自動的に基準方向を調整することにより、子機1が常に正面となるように基準方向を調整することができる。
【0084】
(第5実施形態)
図11は、本発明に係る捜索システムの第5実施形態における子機の構成を示すブロック図、図12は、本発明に係る捜索システムの第5実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【0085】
図11に示すように、本実施形態の捜索システムの子機1Aは、前記第1実施形態の子機1に、さらに識別情報記録部10fを備える。
【0086】
また、図12に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Dは、前記第4実施形態の親機2Cに、さらに子機識別部20fを備える。
【0087】
識別情報記録部10fは、子機固有の識別情報を記録したものであり、アルファベットや数字やその他の文字で構成されたものである。
【0088】
子機制御部12は、自身の識別情報を付加した子機位置情報を親機2fに提供するように子機通信部11を制御する。
【0089】
したがって、親機制御部25のCPU25aは、親機通信部22から子機位置情報を読み出すと子機識別部20fに識別情報が付加されていることを判定させる。子機識別部20fは識別情報が付加されていることを判定すると、子機位置情報と識別情報を関連付け、複数の子機1Aの子機位置情報を識別可能な形式でメモリ25bに格納する。
【0090】
親機制御部25のCPU25aは、相対方向算出部23に識別されたそれぞれの子機位置情報と親機位置情報の相対方向情報を算出させ、識別可能な形式でそれぞれの子機1Aとの相対方向情報をメモリ25bに格納する。
【0091】
同様に、親機制御部25のCPU25aは、相対距離算出部20aに識別されたそれぞれの子機位置情報と親機位置情報の相対方向情報を算出させ、識別可能な形式でそれぞれの子機1Aとの相対距離情報をメモリ25bに格納する。
【0092】
情報可視化部21bは、識別情報と対応する情報を示す可視情報を作成することで、風景情報表示部23bでは、複数の子機1Aにおけるそれぞれの情報を表示することができる。
【0093】
このように本実施形態によれば、複数の子機1Aを識別し、この識別した複数の子機1Aから選択した子機の相対方向情報と相対距離情報とを出力することにより、複数の子機を識別することが可能となる。
【0094】
(第6実施形態)
図13は、本発明に係る捜索システムの第6実施形態における子機の構成を示すブロック図、図14は、本発明に係る捜索システムの第6実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【0095】
図13に示すように、本実施形態の捜索システムの子機1Bは、前記第5実施形態の子機1Aに、さらに子機動作記録部10gを備える。
【0096】
また、図14に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Eは、前記第5実施形態の親機2Dに、さらに子機制御命令記録部20gを備える。
【0097】
子機動作記録部10gは、制御命令と子機制御部12の動作を関連付けた動作情報を記録する。具体的に、子機動作記録部10gは、子機位置情報取得部10の取得タイミングを初期化するなどの子機制御部12の動作と、それぞれの動作に対応した子機制御命令を記録したものである。
【0098】
子機制御命令記録部20gは、子機動作記録部10gの子機制御命令を記録したものである。具体的に、子機制御命令記録部20gは、子機1Bの子機制御部12の動作を制御するための制御情報を記録する
次に、子機位置情報取得部10の取得タイミングを初期化するなどの子機1Bの動作を親機2Eから変更する動作を説明する。
【0099】
親機制御部25のCPU25aは、子機制御命令記録部20gに記録されている制御命令から任意の命令を選択し、子機2へ提供するように親機通信部11を制御する。
【0100】
子機通信部11は、親機通信部22と同様に、制御命令が提供されると、子機制御部12に情報取得信号を出力する。子機制御部12のCPU12aは、情報取得信号の発信源を判定する。
【0101】
情報取得信号の発信源が子機通信部11であった場合、子機制御部12のCPU12aは、子機通信部11から情報を読み出し、メモリ12bに記憶する。さらに、子機制御部12のCPU12aは、メモリ12bに記憶した制御命令と子機動作記録部10gに記録された制御命令とを判別し、一致した制御命令がある場合、子機制御部12は一致した制御命令の動作を開始する。
【0102】
このように本実施形態によれば、親機2Eは、子機1Bの子機制御部12の動作を制御するための制御情報を記録し、親機通信部22から制御情報を子機1Bに提供し、子機1Bは制御命令と子機制御部12の動作を関連付けた動作情報を記録し、子機制御部12は、子機通信部11から取得した制御情報から動作情報を選択することにより、親機2Eが子機1Bを制御することができる。
【0103】
(変形例)
図15は、本発明に係る捜索システムの第6実施形態の変形例における子機の構成を示すブロック図である。
【0104】
図15に示すように、本変形例の捜索システムの子機1Cは、前記第6実施形態の子機1Bに、さらに子機情報出力部10hを備える。
【0105】
子機情報出力部10hは、例えば放音部であってもよいし、発光部であってもよい。親機2gから提供された制御命令の動作が情報出力であった場合、子機制御部12は子機情報出力部10hから放音させるか、発光させることで情報を出力するように制御する。
【0106】
このように変形例によれば、子機通信部11から取得した制御情報から検索された動作情報が情報出力であった場合、子機情報出力部10hから適した情報を出力することができる。
【0107】
(第7実施形態)
図16は、本発明に係る捜索システムの第7実施形態における親機の構成を示すブロック図、図17は、第7実施形態において親機通信部と子機通信部とが通信可能であるかの動作を示すフローチャートである。
【0108】
図16に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Fは、前記第6実施形態の親機2Eに、さらに子機位置情報記録部20iを備える。
【0109】
子機位置情報記録部20iは、親機通信部22と子機通信部11とが通信不可であるときに最新の子機位置情報を記録するものである。
【0110】
次に、親機制御部25が親機通信部22と子機通信部11が通信可能であるかどうかを判定する動作を図17に示すフローチャートを用いて説明する。
【0111】
親機制御部25のCPU25aは、確認応答を返信する内容の制御命令を送信する(ステップS350)。その後、任意の時間後に子機通信部11から確認応答が提供された場合(ステップS360:Yes)は、通信可能であると判定し、子機位置情報を記録する(ステップS370)。
【0112】
親機制御部25CPU25aは、確認応答が提供されない場合(ステップS360:No)、子機1Cとの通信が不可能であると判定し、メモリ25bに記憶した最新の子機位置情報を子機位置情報記録部20iに記録し、風景情報表示部23bは子機1Cの最新の位置情報を情報出力部24に出力する(ステップS380)。
【0113】
次いで、ステップS390で処理を終了しない場合(ステップS390:No)は、ステップS350に戻り、確認応答を返信する内容の制御命令を送信する。一方、ステップS390で処理を終了する場合(ステップS390:Yes)は、全体の処理を終了する。
【0114】
このように本実施形態によれば、親機2Fは、子機1Cと通信できない場合、子機位置情報を記録し、風景情報表示部23bは子機1Cの最新の位置情報を情報出力部24に出力することにより、子機1Cと通信できない場合でも子機1Cの最新の位置情報を出力することができる。
【0115】
(第8実施形態)
図18は、本発明に係る捜索システムの第8実施形態における親機の構成を示すブロック図、図19(A),(B)は、第8実施形態において子機が画角内に入っているか否かを示す説明図である。
【0116】
図18に示すように、本実施形態の捜索システムの親機2Gは、前記第7実施形態の親機2Fに、さらに撮像部20j及び撮像制御部21jを備える。
【0117】
撮像部20jは、撮像制御部21jからの制御に基づいて風景情報を記録する。具体的に、撮像部20jは、風景取り込み部20bや重畳部22bが出力する映像情報を撮像するものである。
【0118】
撮像制御部21jは、撮像部20jの撮像開始などの動作を制御するものである。具体的に、撮像制御部21jは、画角範囲子機判定部21cの判定した画角範囲子機情報により、図19(B)に示すように子機1Cが画角範囲θ2内であるときに撮像部20jの撮像を開始する。
【0119】
次に、子機1Cが風景取り込み部20bの画角内に入っている時に撮像を開始する動作について説明する。
【0120】
前記第2実施形態に示す方法により、親機制御部25のCPU25aは、画角範囲子機判定部21cから画角範囲子機判定情報を取得すると、撮像制御部21jに撮像開始信号を出力する。この撮像制御部21jは、撮像開始信号を検出すると、撮像部20jの撮像を開始するように制御する。
【0121】
このように本実施形態によれば、画角範囲子機判定部21cの判定した画角範囲子機情報により、子機1Cが画角範囲θ2内であるときに撮像部20jの撮像を開始することにより、子機1Cを確実に撮像することができる。
【0122】
(実施例)
次に、上述した本発明の各実施形態の具体的な実施例について説明する。
【0123】
図20は、本発明に係る捜索システムの親機がデジタルビデオカメラである実施例の概要を示す概要図である。図20では、前記各実施形態の子機1,1A,1B,1Cとして動作する携帯端末3と、前記各実施形態の親機2,2A〜2Gとして動作するデジタルビデオカメラ4と、特定小電力無線の電波を携帯端末3からデジタルビデオカメラ4に送信することを示している。
【0124】
図21は、携帯端末3の実施例の構成を示すブロック図である。
【0125】
図21に示すように、携帯端末3は、子機位置情報取得部10に対応するGPS受信機30と、子機通信部11に対応する特定小電力無線モジュール31と、図示しないメモリ、CPU及びプログラムを制御し子機制御部12に対応する中央処理装置32とから構成する。この中央処理装置32のメモリ及びCPUは、子機制御部12のメモリ12b、CPU12aに対応している。
【0126】
図22は、GPS受信機30の実施例の構成を示すブロック図である。
【0127】
図22に示すように、GPS受信機30は、アンテナ部30aと、変復調器とアンプの機能を有する無線信号処理部30bと、復調したデータから経緯度を算出して出力するベースバンド信号処理部30cと、復調したデータを出力すると共に、ベースバンド処理部30cの動作を制御する信号を入力される外部接続部30dとから構成する。
【0128】
また、GPS受信機30は、外部接続部30dにより中央処理装置32と接続する。GPS受信機30は、複数のGPS衛星から受信した電波を利用することで、経緯度を測位する。一般的なGPS受信機は、ベースバンド信号処理部30cが作成したNMEA−0183フォーマットの文字列データを出力する。
【0129】
本実施例のGPS受信機30は、NMEA−0183フォーマットの文字列データを出力ものであり、中央処理装置32は、GPS受信機30が出力するNMEA−0183フォーマットの文字列データをメモリに記憶する。
【0130】
図23は、特定小電力無線モジュール31の実施例の構成を示すブロック図である。
【0131】
図23に示すように、特定小電力無線モジュール31は、無線を用いてデータを伝送するものであり、アンテナ部31aと、変復調器及びアンプの機能を有する無線信号処理部31bと、復調したデータの送受信処理を行うベースバンド信号処理部31cと、送受信するデータを入出力するための外部接続部31dとから構成し、特定小電力無線モジュール31は、外部接続部31dにより中央処理装置32と接続する。なお、アンテナ部31aは、子機1,1A,1B,1Cのアンテナ13に対応する。
【0132】
次に、特定小電力無線モジュール31のデータの送受信について説明する。
【0133】
中央処理装置32がデータを特定小電力無線モジュール31に書き込むと、ベースバンド信号処理部31cは、データの送信処理を行い、無線信号処理部31bは信号増幅などを行うことで、アンテナ部31aから電波を送信する。また、このアンテナ部31aが電波を受信すると、無線信号処理部31bが受信した電波を復調し、ベースバンド信号処理部31cが受信処理を行い、この受信したデータを外部接続部31dから出力する。
【0134】
図24は、携帯端末3の動作の一例を示すフローチャートである。
【0135】
中央処理装置32は、GPS受信機30ヘデータを要求すると(ステップS410)、GPS受信機30は、NMEA−0183フォーマットの最新の経緯度情報を示す文字列データを出力する。次いで、中央処理装置32は、NMEA−0183フォーマットの文字列データをメモリに格納する(ステップS420)。さらに、中央処理装置32は、メモリに格納した文字列からなる経緯度情報から必要な経度と緯度の情報のみを読み出し、数値化した経緯度データである送信データを作成する(ステップS430)。この送信データの作成が終了すると、中央処理装置32は、その送信データを特定小電力無線モジュール31に書き込み、特定小電力無線モジュール31は送信データを送信する(ステップS440)。特定小電力無線モジュールのデータ送信が完了すると、携帯端末3を連続して動作するか否かの条件を判定し(ステップS450)、動作する場合(ステップS450:Yes)に中央処理装置32は、S410に戻り、GPS受信機30ヘデータを再び要求する。一方、動作しない場合(ステップS450:No)場合には、全体の処理を終了する。
【0136】
図25は、デジタルビデオカメラ4の実施例の構成を示すブロック図である。
【0137】
25に示すように、デジタルビデオカメラ4は、親機位置情報取得部20に対応するGPS受信機40と、親機通信部22に対応する特定小電力無線モジュール41と、親機方位情報取得部21に対応する電子コンパスモジュール42と、撮像部20jに対応するカメラ装置43と、画像メモリ44と、重畳部22bに対応するOSD(On Screen Display)コントローラ45と、情報出力部24に対応するモニタ46と、子機制御命令記録部20g及び子機位置情報記録部20iに対応する記録装置47と、図示しないメモリ、CPU及びプログラムを制御し、親機制御部25に対応する中央処理装置48とから構成する。なお、モニタ46は、液晶ディスプレイを用いることができる。
【0138】
本実施例のデジタルビデオカメラ4のGPS受信機40及び特定小電力無線モジュール41は、携帯端末3のGPS受信機30及び特定小電力無線モジュール31と同様のものを使用するものとし、それぞれ中央処理装置48に接続する。
【0139】
図26は、電子コンパスモジュール42の実施例の構成を示すブロック図である。
【0140】
図26に示すように、電子コンパスモジュール42は、地磁気センサである地磁気センサ部42aと、地磁気センサ部42aが出力する地磁気の大きさを示すアナログ信号をデジタル信号に変換すると共に、地磁気の大きさから方位各を計算する信号処理部42bと、方位角を示すデジタル信号を出力すると共に、信号処理部42bの動作を制御する信号が入力される外部接続部42cとから構成し、外部接続部42cにより電子コンパスモジュール42と中央処理装置48とを接続する。
【0141】
図27は、カメラ装置43の実施例の構成を示すブロック図である。
【0142】
図27に示すように、カメラ装置43は、対物レンズ部43aと、映像センサ部43bと、映像処理部43cと、外部接続部43dとから構成する。映像センサ部43bは、CCD素子からなるセンサを用いることができる。
【0143】
次に、カメラ装置43の動作を説明する。
【0144】
対物レンズ部43aから取り込んだ風景を映像センサ部43bは電子データとする。映像処理部43cは、映像センサ43bが出力する電子データから映像データを作成し、外部接続部43dより出力する。図28は映像データ50の一例を示す図である。
【0145】
画像メモリ44は、図29に示すように、予め用意した矢印などのフォント情報44aを記録する。本実施例では、図30に示すように予め用意したフォント情報44aとして、右を示す矢印であるフォント44a1と、左を示す矢印であるフォント44a2と、正面であることを示すフォント44a3とを用意する。
【0146】
さらに、画像メモリ44は、少なくとも2つのプレーンA(44b)、プレーンB(44c)を有し、プレーンAには、カメラ装置43が出力する映像データが書き込まれ、プレーンBには、中央処理装置48がフォント情報44aから選択したフォントが書き込まれる。書き込むフォントは、中央処理装置48が任意に設定する。
【0147】
OSDコントローラ45は、画像メモリ44の情報をモニタに出力するために制御するものであり、画像メモリ44のプレーンA(44b)とプレーンB(44c)の情報を重畳した重畳情報をモニタ46に出力する。図31は重畳情報を示す図である。
【0148】
記録装置47は、カメラ装置43からの映像データを記録するものであり、中央処理装置48から撮像開始信号を受信すると、撮像記録を開始する。
【0149】
図31に示すように、例えばフォントの指し示す方向が右であった場合、デジタルビデオカメラ4を右に向けることで、図32に示すように携帯端末3の位置が映像データ50の中央になるように容易に修正することができる。
【0150】
さらに、中央処理装置48は、計算した携帯端末3の方向を示す角度が予め設定した任意の角度内に入ったことをトリガーとして、記録装置47へ撮像開始信号出力し、記録装置47が撮像を開始することで、端末装置3を持つ被写体を撮り損ねることなく撮像に成功することができる。
【0151】
図33は、デジタルビデオカメラ4の動作の一例を示すフローチャートである。なお、カメラ装置43は、常時映像データを出力しているものとし、OSDコントローラ45は、その映像データをモニタ46に出力するように制御しているものとする。
【0152】
まず、中央処理装置48は、GPS受信機40ヘデータを要求し、経緯度情報をメモリに格納する(ステップS510)。次に、中央処理装置48は、電子コンパスモジュール42ヘデータを要求し、方位角情報をメモリに格納する(ステップS520)。そして、中央処理装置48は、特定小電力無線モジュール41が電波を受信したか否かを判定する(ステップS530)。
【0153】
特定小電力無線モジュール41が電波を受信した場合(ステップS530:Yes)は、受信したデータをメモリに格納する(ステップS540)。電波を受信しない場合(ステップS530:No)は、後述するステップS550に進む。中央処理装置48は、メモリに格納した情報の自身の経緯度情報と方位情報と、携帯端末3の経緯度情報から、携帯端末3がどちらの方向に居るのかを示す角度を計算する(ステップS550)。なお、携帯端末3がどちらの方向に居るのかを示す角度の計算方法については、前記実施形態で説明した方法を用いることができるため、その説明を省略する。
【0154】
そして、中央処理装置48は、予め計算した角度と画像メモリ44のフォント情報44aとを関連付けたテーブルをメモリに記憶しており、中央処理装置48はフォントを選択し、画像メモリ44のプレーンB(44c)に書き込み、さらに中央処理装置48はOSDコントローラ45を制御し、画像メモリ44のプレーンA(44b)の映像データとプレーンB(44c)のフォントを重畳した重畳情報を作成させ、モニタ46に出力する(ステップS550)。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明に係る捜索システムの第1実施形態において子機及び親機の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における子機の動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態における親機の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る捜索システムの第2実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態における風景取り込み部が取り込んだ風景内に子機が居る否かを判定する動作を示すフローチャートである。
【図6】(A),(B)は、図5の動作で風景取り込み部が取り込んだ風景内に子機が居る否かを示す説明図である。
【図7】本発明に係る捜索システムの第3実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態において子機の倍率を一定に保つ動作を示すフローチャートである。
【図9】相対距離と画角との関係を示す図である。
【図10】本発明に係る捜索システムの第4実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る捜索システムの第5実施形態における子機の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る捜索システムの第5実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る捜索システムの第6実施形態における子機の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る捜索システムの第6実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明に係る捜索システムの第6実施形態の変形例における子機の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明に係る捜索システムの第7実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図17】第7実施形態において親機通信部と子機通信部とが通信可能であるかの動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る捜索システムの第8実施形態における親機の構成を示すブロック図である。
【図19】(A),(B)は、第8実施形態において子機が画角内に入っているか否かを示す説明図である。
【図20】本発明に係る捜索システムの親機がデジタルカメラである実施例の概要を示す概要図である。
【図21】携帯端末の実施例の構成を示すブロック図である。
【図22】GPS受信機の実施例の構成を示すブロック図である。
【図23】特定小電力無線モジュールの実施例の構成を示すブロック図である。
【図24】携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【図25】デジタルビデオカメラの実施例の構成を示すブロック図である。
【図26】電子コンパスモジュールの実施例の構成を示すブロック図である。
【図27】カメラ装置の実施例の構成を示すブロック図である。
【図28】映像データの一例を示す図である。
【図29】画像メモリの実施例の構成を示す図である。
【図30】予め用意したフォント情報を示す図である。
【図31】重畳情報を示す図である。
【図32】重畳情報を示す図である。
【図33】デジタルビデオカメラの動作の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,1B,1C 子機
2,2A〜2G 親機
3 携帯端末
4 デジタルビデオカメラ
10 子機位置情報取得部
10f 識別情報記録部
10h 子機情報出力部
10g 子機動作記録部
11 子機通信部
12 子機制御部
13 アンテナ
20 親機位置情報取得部
20a 相対距離算出部
20b 風景取り込み部
20c 画角取得部
20d 距離対画角比記録部
20e 調整方向算出部
20f 子機識別部
20g 子機制御命令記録部
20i 子機位置情報記録部
20j 撮像部
21 親機方位情報取得部
21b 情報可視化部
21c 画角範囲子機判定部
21d 画角決定部
21e 方向調整部
21j 撮像制御部
22 親機通信部
22b 重畳部
23 相対方向算出部
23b 風景情報表示部
25 親機制御部
26 アンテナ
30 GPS受信機
30a アンテナ部
30b 無線信号処理部
30c ベースバンド信号処理部
30d 外部接続部
31 特定小電力無線モジュール
31a アンテナ部
31b 無線信号処理部
31c ベースバンド信号処理部
31d 外部接続部
32 中央処理装置
40 GPS受信機
41 特定小電力無線モジュール
42 電子コンパスモジュール
42a 地磁気センサ部
42b 信号処理部
42c 外部接続部
43 カメラ装置
43a 対物レンズ部
43b 映像センサ部
43c 映像処理部
43d 外部接続部
44 画像メモリ
44a フォント情報
44b プレーンA
44c プレーンB
45 0SDコントローラ
46 モニタ
47 記録装置
48 中央処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索者が有する親機と被捜索者が有する子機との特定小電力無線通信により、前記親機が前記子機の現在位置を取得して前記被捜索者を捜索する捜索システムであって、
前記子機は、
当該子機の現在位置を子機位置情報として取得する子機位置情報取得部と、
前記親機と特定小電力無線により通信する子機通信部と、
前記取得された子機位置情報を前記子機通信部から前記親機に送信するよう制御する子機制御部とを備え、
前記親機は、
当該親機の現在位置を親機位置情報として取得する親機位置情報取得部と、
当該親機の基準方向の方位角を親機方位情報として取得する親機方位情報取得部と、
前記子機と特定小電力無線により通信する親機通信部と、
前記それぞれ取得された親機位置情報と親機方位情報と前記子機より前記親機通信部を介して受信された子機位置情報とに基づき、前記基準方向からの前記子機の相対方向情報を算出する相対方向算出部と、
前記親機位置情報と前記子機位置情報とに基づき前記子機との相対距離情報を算出する相対距離算出部と、
前記それぞれ算出された相対方向情報と相対距離情報とのいずれか一方を出力情報として出力する情報出力部と、
前記出力された出力情報に基づき操作GUI情報を生成する情報可視化部と、
前記基準方向の風景情報を所定の画角で取り込む風景取り込み部と、
前記取り込まれた風景情報と前記生成された操作GUI情報とを重畳して重畳情報を生成する重畳部と、
前記生成された重畳情報を表示する風景情報表示部と、
をそれぞれ備えたことを特徴とする捜索システム。
【請求項2】
前記親機はさらに、
前記風景取り込み部の前記所定の画角を画角情報として取得する画角取得部と、
前記相対方向算出部で算出された相対方向情報と前記取得された画角情報とに基づいて前記風景取り込み部の画角内に前記子機が入っているか否かを判定し、その判定結果を画角範囲子機判定情報として出力する画角範囲子機判定部とを備え、
前記情報可視化部が、前記出力された画角範囲子機判定情報をも含めて前記操作GUI情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の捜索システム。
【請求項3】
前記親機はさらに、
前記相対距離算出部で算出された相対距離情報に対する前記風景取り込み部の画角を表す距離対画角比情報を予め記録した距離対画角比記録部と、
前記相対距離情報と前記記録された距離対画角情報とに基づき前記風景取り込み部に設定する画角を決定する画角決定部と、
前記決定された画角を前記風景取り込み部に設定する親機制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の捜索システム。
【請求項4】
前記親機はさらに、
前記相対方向算出部で算出された相対方向情報に基づき、当該親機の前記基準方向を前記子機の正面方向に一致させるための調整方向情報を算出する調整方向算出部と、
前記算出された調整方向情報に基づき当該親機の方向を変更する方向調整部とを備え、
前記親機制御部が、前記基準方向に前記子機が存在するように前記調整方向算出部と前記方向調整部とを定期的に制御することを特徴とする請求項3に記載の捜索システム。
【請求項5】
前記子機はさらに、
識別情報が予め記録された識別情報記録部を備え、
前記子機制御部が、前記子機位置情報取得部で取得された子機位置情報と前記識別情報とを共に前記子機通信部から前記親機に送信するよう制御すると共に、
前記親機はさらに、
前記子機より前記親機通信部を介して受信された子機位置情報及び識別情報から該識別情報を判別する子機識別部を備え、
前記親機制御部が、前記判別された識別情報に対応して、前記相対方向算出部及び相対距離算出部に前記相対方向情報及び相対距離情報をそれぞれ算出させるよう制御することを特徴とする請求項4に記載の捜索システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2007−208414(P2007−208414A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22404(P2006−22404)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】