説明

排ガス浄化方法

【課題】従来の排ガス浄化方法は、前段の貴金属担持ハニカムでHC、COなどのガス成分を酸化除去し、さらに、NOを酸化してNO2とし、NO2の酸化力を利用してPMを酸化分解するシステムであるため、PMが貴金属表面を覆ってしまうと排ガス浄化性能が低下してしまうという課題があった。
【解決手段】本発明の排ガス浄化方法は、フィルタケース1内に、排ガス流れに対してCCV担持DPF4が前段に、Pt担持ハニカム5が後段に配置されている。PM、HC、CO、NOなどを含むディーゼル排ガスは、はじめにCCV担持DPF4を通過してPMが捕集される。捕集されたPMはCCVの作用により酸化燃焼され、COやCO2などのガス成分となって後段のPt担持ハニカム5を通過するので、Pt担持ハニカム5にPMが流入してしまうことがない。また、Pt担持ハニカム5を通過したガス成分は、Ptの作用により酸化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排ガス浄化方法は、特許文献1に開示されているように、白金触媒を担持したハニカム構造体を排ガス流れに対して前段に配置し、排ガス中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)へと酸化し、後段のフィルタで捕集されたディーゼル微粒子(PM)をNO2の酸化力を利用して酸化除去する方法が用いられてきた。
【特許文献1】特開平10−159552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の排ガス浄化方法は、前段の貴金属担持ハニカムでNOを酸化してNO2とし、NO2の酸化力を利用してPMを酸化分解する、さらに、排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)などのガス成分も貴金属の酸化力によって酸化するシステムであるため、排ガス浄化性能は排ガス成分に対する貴金属のはたらきに大きく左右され、PMが貴金属表面を覆ってしまうと排ガス浄化性能が低下してしまうという課題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、PMを直接燃焼することができるPM直接燃焼触媒を担持したPM浄化フィルタを前段に配置し、ガス成分を酸化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置し、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼するディーゼル微粒子燃焼工程と、後段のガス酸化フィルタでガス成分を酸化するガス酸化工程からなることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0005】
これにより、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼することができるので、PMがガス酸化触媒を覆ってしまうことがなく、長期間使用してもガス酸化性能が低下してしまうことのない排ガス浄化方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ディーゼル排ガスに含まれるPMを直接燃焼することができるPM直接燃焼触媒を担持したPM浄化フィルタを前段に配置し、ディーゼル排ガスに含まれるガス成分を酸化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置し、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼するディーゼル微粒子燃焼工程と、後段のガス酸化フィルタでガス成分を酸化するガス酸化工程からなることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0007】
これにより、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼することができるので、PMがガス酸化触媒を覆ってしまうことがなく、長期間使用してもガス酸化性能が低下してしまうことのない排ガス浄化方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディーゼル排ガスに含まれるPMを直接燃焼することができるPM直接燃焼触媒を担持したPM浄化フィルタを前段に配置し、ディーゼル排ガスに含まれるガス成分を酸化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置し、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼するディーゼル微粒子燃焼工程と、後段のガス酸化フィルタでガス成分を酸化するガス酸化工程からなることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0009】
これにより、前段のPM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼することができるので、PMがガス酸化触媒を覆ってしまうことがなく、長期間使用してもガス酸化性能が低下してしまうことのない排ガス浄化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、ディーゼル排ガスに含まれるPMを直接燃焼することができるPM直接燃焼触媒を担持したPM浄化フィルタを前段に配置し、ディーゼル排ガスに含まれるガス成分を酸化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置し、前記PM浄化フィルタで捕集したPMを酸化燃焼するPM燃焼工程と、前記ガス酸化フィルタでガス成分を酸化するガス酸化工程からなることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0011】
これにより、PMを前段のPM浄化フィルタで浄化することができ、PMがガス酸化触媒を覆ってしまうことがないので、長期間使用してもガス酸化性能が低下してしまうことのない排ガス浄化方法となる。
【0012】
また、ここに示すPM浄化フィルタとは、ディーゼル排ガスに含まれるPMを捕集し、除去することのできるフィルタを示し、一般的にはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が用いられている。PM浄化フィルタにはPM直接燃焼触媒を担持して、高温排ガスを利用してPMを燃焼する機能を有していることが好ましい。
【0013】
また、ここに示すガス酸化フィルタとは、ディーゼル排ガスに含まれるHC、CO、NOなどのガス成分を酸化することのできる機能を有するフィルタを示し、一般的には白金などの貴金属を担持したハニカム構造体が用いられている。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、PM浄化フィルタが、DPFであることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0015】
これにより、排ガスに含まれるPMのほとんどが、前段に配置されたPM浄化フィルタの作用により除去されるため、後段のガス酸化フィルタへのPMの流入を抑制することができ、ガス酸化触媒がPMに覆われてガス酸化性能が低下してしまうのを防ぐことができる。
【0016】
また、ここに示すDPFとは、隔壁によって区画された排ガス流路となる複数のセルを有する三次元構造体であり、セル両端のうち一方を交互にプラグで栓詰めされているハニカムフィルタであるが、必ずしもこの構造に限らず、メタルファイバーでPMを捕集するフィルタなども含めた、PMを捕集するためのフィルタ全般を示す。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明は、PM浄化フィルタをチタニア、アルミナ、シリカから選ばれる少なくとも一種以上の無機酸化物で被覆することを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0018】
これにより、PM浄化フィルタの細孔径を小さくすることができるので、排ガスに含まれるPMを前段に配置されたPM浄化フィルタの作用により除去することができ、後段のガス酸化フィルタへのPMの流入を抑制し、ガス酸化触媒がPMに覆われてガス酸化性能が低下してしまうのを防ぐことができる。
【0019】
また、ガス酸化フィルタへのPMの流入をできるだけ抑制するためにも、PM捕集効率は90%以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、PM浄化フィルタがセラミック、または、耐熱性を有する金属であることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0021】
これにより、長期に渡って排ガスに暴露されることになるPM浄化フィルタの耐熱性が確保できる。
【0022】
また、セラミックとしてはコージェライト、アルミナ、炭化珪素などを、耐熱性を有する金属としてはステンレスを用いるのが好ましい。
【0023】
本発明の請求項5に記載の発明は、PM浄化フィルタがコージェライト、または、炭化珪素であることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0024】
これにより、PM浄化フィルタが耐熱性を有するため、高温の排ガスに長時間暴露されるような環境でも使用することができる。
【0025】
また、PM浄化フィルタの温度が1000℃を超えるような状況が考えられる場合には、より耐熱性の高い炭化珪素を用いるのが好ましい。
【0026】
本発明の請求項6に記載の発明は、PM直接燃焼触媒が、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の硫酸塩を含む、もしくは、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の酸化物を含むことを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0027】
これにより、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の硫酸塩、もしくは、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の酸化物がPMに対して高い触媒活性を示すので、PM浄化フィルタに捕集されたPMを効率良く酸化燃焼することができるようになる。
【0028】
また、アルカリ金属の硫酸塩および/またはアルカリ土類金属の硫酸塩を選択することによって、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩化物等の中で最も高い耐熱性を有し、かつ硫黄酸化物による耐被毒性に優れた硫酸塩を使用することで、PMの燃焼に対して高い触媒活性を維持することができるようになる。
【0029】
また、チタニア、アルミナ、シリカなどの無機酸化物をアンダーコートすることによって、無機酸化物表面に担持されるPM直接燃焼触媒の表面積が増大し、PM浄化フィルタに捕集されたPMとの接触確率が向上するため、PMを効率良く酸化燃焼することができるようになるだけでなく、無機酸化物は耐熱性が高いため、長期間高温排ガスに暴露されてもPM直接燃焼触媒が安定化した状態を維持できるようになる。
【0030】
また、ここに示すPM直接燃焼触媒とは、触媒に含まれている酸素原子をPMに与えてPMを酸化させ、酸素原子が欠乏した触媒は排ガス中の酸素によって容易に酸化されて元の状態に戻るサイクルを繰り返して、PMを連続的に酸化燃焼することができる触媒のことを示す。
【0031】
本発明の請求項7に記載の発明は、PM直接燃焼触媒が、硫酸セシウムまたは/および酸化セシウムを含むことを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0032】
これにより、硫酸セシウムまたは/および酸化セシウムがPMに対して高い触媒活性を示すので、PM浄化フィルタに捕集されたPMを効率良く酸化燃焼することができるようになる。
【0033】
本発明の請求項8に記載の発明は、PM直接燃焼触媒が、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも一種以上の酸化物を含む、もしくは、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも二種以上の金属元素からなる複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1または4乃至6いずれかに記載の排ガス浄化方法である。
【0034】
これにより、PM直接燃焼触媒が銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも一種以上の酸化物を含む、もしくは、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも二種以上の金属元素からなる複合酸化物を含むので、PM浄化フィルタに捕集されたPMを効率良く酸化燃焼することができるようになる。
【0035】
また、銅は2価と1価の価数をとり、銅の酸化物としては、CuO(2価)とCu2O(1価)が存在し、2価から1価へ変化する際に原子間の酸素をPMに与えて酸化させることができる。1価へと還元された酸化銅は排ガス中の酸素によって容易に酸化され2価の状態に戻るため、この繰り返しによってPMを連続的に酸化燃焼することができるようになる。
【0036】
また、バナジウムは1価、2価、3価、4価、5価と多くの価数をとり、バナジウムの酸化物としては、V2O(1価)、V22(2価)、V23(3価)、V24(4価)、V25(5価)が存在し、低価数へ変化する際に原子間の酸素をPMに与えて酸化させることができる。低価数へと還元された酸化バナジウムは排ガス中の酸素によって容易に酸化されるため、この繰り返しによってPMを連続的に酸化燃焼することができるようになる。
【0037】
また、モリブデンは2価、3価、4価、5価、6価と多くの価数をとり、モリブデンの酸化物としては、MoO(2価)、Mo23(3価)、MoO2(4価)、Mo25(5価)、MoO3(6価)が存在し、低価数へ変化する際に原子間の酸素をPMに与えて酸化させることができる。低価数へと還元された酸化モリブデンは排ガス中の酸素によって容易に酸化されるため、この繰り返しによってPMを連続的に酸化燃焼することができるようになる。
【0038】
また、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも二種以上の金属元素からなる複合酸化物を含むことで、PMを効率良く酸化燃焼することが可能になると共に、耐熱性に優れたPM直接燃焼触媒となる。銅およびバナジウムの複合酸化物は種々存在するが、特にCuV26の結晶構造は非常に安定化するため、原子間の酸素を安定的にPMに与えて酸化させることができるようになる。
【0039】
本発明の請求項9に記載の発明は、PM直接燃焼触媒が、銅およびバナジウムの複合酸化物を含むことを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0040】
これにより、PM直接燃焼触媒が銅およびバナジウムの複合酸化物を含むので、PM浄化フィルタに捕集されたPMを効率良く酸化燃焼することができるようになる。
【0041】
また、銅およびバナジウムの複合酸化物を含むことで、PMを効率良く酸化燃焼することが可能になると共に、耐熱性に優れたPM直接燃焼触媒となる。銅およびバナジウムの複合酸化物は種々存在するが、特にCuV26の結晶構造は非常に安定化するため、原子間の酸素を安定的にPMに与えて酸化させることができるようになる。
【0042】
本発明の請求項10に記載の発明は、ガス酸化フィルタがDPFまたはハニカム構造体であることを特徴とする排ガス浄化装方法である。
【0043】
これにより、ガス酸化フィルタの表面積が大きくなるため、排ガス中のHC、CO、NOなどのガス成分と、ガス酸化触媒との接触確率が向上するので、ガス成分を効率良く酸化することができる。
【0044】
本発明の請求項11に記載の発明は、ガス酸化フィルタがセラミック、または、耐熱性を有する金属であることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0045】
これにより、長期に渡って排ガスに暴露されることになるガス酸化フィルタの耐熱性が確保できる。
【0046】
また、セラミックとしてはコージェライト、アルミナ、炭化珪素などを、耐熱性を有する金属としてはステンレスを用いるのが好ましい。
【0047】
本発明の請求項12に記載の発明は、ガス酸化触媒が白金、パラジウム、または、ロジウムから選ばれる少なくとも一種以上の貴金属を含むことを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0048】
これにより、排ガス中のHC、CO、NOなどのガス成分を効率良く酸化することができる。
【0049】
また、ここに示すガス酸化触媒とは、排ガス中のHC、CO、NOなどのガス成分を酸化することができる触媒のことを示し、一般的には白金や酸化パラジウムなどが用いられる。
【0050】
また、チタニア、アルミナ、シリカなどの無機酸化物をアンダーコートすることによって、無機酸化物表面に担持されるガス酸化触媒の表面積が増大し、ガス酸化フィルタを通過するガス成分との接触確率が向上するため、ガス成分を効率良く酸化することができるようになるだけでなく、無機酸化物は耐熱性が高いため、長期間高温排ガスに暴露されてもガス酸化触媒のシンタリングを抑制することもできる。
【0051】
本発明の請求項13に記載の発明は、ガス酸化触媒が白金を含むことを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0052】
これにより、排ガス中のHC、CO、NOなどのガス成分を効率良く酸化することができる。
【0053】
また、チタニア、アルミナ、シリカなどの無機酸化物をアンダーコートすることによって、無機酸化物表面に担持される白金の表面積が増大し、ガス酸化フィルタを通過するガス成分との接触確率が向上するため、ガス成分を効率良く酸化することができるようになるだけでなく、無機酸化物は耐熱性が高いため、長期間高温排ガスに暴露されても白金のシンタリングを抑制することもできる。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、以下の解釈に何ら限定されるものではない。
【0055】
(実施の形態1)
本発明に記載の排ガス浄化方法について、図1に図示して説明する。
【0056】
(PM燃焼行程)
本発明に記載のPM燃焼行程は、フィルタケース1内の排ガス流れに対して前段に配置されたPM浄化フィルタ2でPMを捕集し、PM浄化フィルタ2に担持されたPM直接燃焼触媒の作用によりPMを酸化燃焼する。
【0057】
(ガス酸化行程)
本発明に記載のガス酸化行程は、フィルタケース1内の排ガス流れに対して後段に配置されたガス酸化フィルタ3を、HC、CO、NOなどを含むディーゼル排ガスが通過することにより、ガス酸化フィルタ3に担持されたガス酸化触媒の作用によりガス成分は酸化され、浄化されて排気される。
【0058】
(実施例1)
はじめに、本発明に記載のPM浄化フィルタについて説明する。
【0059】
本発明に記載のPM浄化フィルタは、φ5.66インチ×L6インチの炭化珪素製DPFをチタニアゾルでアンダーコートし、CuSO4:VOSO4=1:2(モル比)の水溶液に含浸、乾燥、焼成し、CuV26を形成させた後、Cs2SO4水溶液に含浸、乾燥、焼成し、CCV担持DPF4とした。
【0060】
次に、ここで作製したCCV担持DPF4のPM燃焼性能をバランスポイント温度(BPT)で評価した。ここでBPTとは、ディーゼルエンジンの排ガス経路にCCV担持DPF4をセットし、280℃、310℃、340℃、370℃、400℃、450℃の各温度で30分間保持し、そのときの差圧変化率(mmAq/min)をプロットしたグラフから読み取った、差圧変化率が0となるときの温度のことである。このCCV担持DPF4のBPT評価試験結果を図2に示す。図2より、BPTが316℃となり、比較的低温でもPMを燃焼できることがわかった。つまり、排ガス温度が316℃以上のときには、前段にガス酸化フィルタを配置して排ガス温度を上げる必要なく、CCV担持DPF4に流入したPMをすべて燃焼することができる。
【0061】
また、CCV担持DPF4の前後のPM量をスモークメーターにて測定したところ、すべての温度でPM捕集効率が90%以上であり、最も捕集効率が悪かった310℃でも90.2%であった。
【0062】
次に、本発明に記載のガス酸化フィルタについて説明する。
【0063】
本発明に記載のガス酸化フィルタは、φ5.66インチ×L6インチのコージェライト製ハニカムをアルミナゾルでアンダーコートし、ジニトロジアミン白金溶液に含浸、乾燥、焼成し、Pt担持ハニカム5とした。このPt担持ハニカム5の白金担持量は0.3g/Lであった。
【0064】
次に、本発明に記載の排ガス浄化方法について、図3に図示して説明する。
【0065】
本発明に記載の排ガス浄化方法は、フィルタケース1内に、排ガス流れに対してCCV担持DPF4が前段に、Pt担持ハニカム5が後段に配置されている。
【0066】
PM、HC、CO、NOなどを含むディーゼル排ガスは、はじめにCCV担持DPF4を通過してPMが捕集される。捕集されたPMはCCVの作用により酸化燃焼され、COやCO2などのガス成分となって後段のPt担持ハニカム5を通過するので、Pt担持ハニカム5にPMが流入してしまうことがない。また、Pt担持ハニカム5を通過したガス成分は、Ptの作用により酸化される。
【0067】
ここで、前段のCCV担持DPF4では排ガス温度が316℃以上のときにはCCV担持DPF4に流入したPMをすべて燃焼することができるので、排ガス温度は316℃以上であることが好ましい。
【0068】
次に、本発明に記載の排ガス浄化方法によるガス浄化性能の評価を行った。その評価方法の概念図を図4に示す。
【0069】
トラック用のディーゼルエンジン6(排気量4000cc)の排ガス経路に本発明に記載のCCV担持DPF4およびPt担持ハニカム5を設置し、CCV担持DPF4の入口近傍とPt担持ハニカム5出口近傍とに、排ガスを採取するためのサンプリング管7を設けた。サンプリング管を通った排ガスはサンプリングユニット8のフィルタによりPMが除去され、ガス測定装置9に導入される。ガス浄化率は、ガス測定装置9で測定したCCV担持DPF4の入口近傍ガス濃度とPt担持ハニカム5出口近傍ガス濃度から算出した。排ガス温度が300℃および350℃のときのガス浄化率測定結果を表1に示す。また、比較例として前段にPt担持ハニカム5を配置し、後段に触媒を担持していないφ5.66インチ×L6インチの炭化珪素製DPFを配置したときのガス浄化率を示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1より、本発明に記載の排ガス浄化方法のほうがHC浄化率およびNOx浄化率が高くなることがわかった。これは前段のCCV担持DPF4でPMが燃焼することにより排ガス温度が上昇し、Pt担持ハニカム5に流入した排ガス温度が上昇したことが要因として考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の排ガス浄化方法は、PMを直接燃焼することができるPM直接燃焼触媒を担持したPM浄化フィルタを前段に配置し、ガス成分を浄化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置することにより、前記PMを前段のPM浄化フィルタで浄化することができ、前記PMがガス酸化触媒を覆ってしまうことがないので、長期間使用しても排ガス浄化性能が低下してしまうことがなく、自動車や産業用機器などディーゼルエンジン全般の排ガス浄化方法などに適用できるので有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態1における排ガス浄化方法の断面概念図
【図2】実施例1におけるPM浄化フィルタのBPT評価結果を示すグラフ
【図3】実施例1における排ガス浄化方法の断面概念図
【図4】実施例1におけるガス浄化性能評価方法を示す図
【符号の説明】
【0074】
1 フィルタケース
2 PM浄化フィルタ
3 ガス酸化フィルタ
4 CCV担持DPF
5 Pt担持ハニカム
6 ディーゼルエンジン
7 サンプリング管
8 サンプリングユニット
9 ガス測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル排ガスに含まれるディーゼル微粒子を直接燃焼することができるディーゼル微粒子直接燃焼触媒を担持したディーゼル微粒子浄化フィルタを前段に配置し、ディーゼル排ガスに含まれるガス成分を酸化することができるガス酸化触媒を担持したガス酸化フィルタを後段に配置し、前記ディーゼル微粒子浄化フィルタで捕集したディーゼル微粒子を酸化燃焼するディーゼル微粒子燃焼工程と、前記ガス酸化フィルタでガス成分を酸化するガス酸化工程からなることを特徴とする排ガス浄化方法。
【請求項2】
ディーゼル微粒子浄化フィルタが、ディーゼルパティキュレートフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項3】
ディーゼル微粒子浄化フィルタをチタニア、アルミナ、シリカから選ばれる少なくとも一種以上の無機酸化物で被覆することを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化方法。
【請求項4】
ディーゼル微粒子浄化フィルタがセラミック、または、耐熱性を有する金属であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項5】
ディーゼル微粒子浄化フィルタがコージェライト、または、炭化珪素であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項6】
ディーゼル微粒子直接燃焼触媒が、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の硫酸塩を含む、もしくは、アルカリ金属または/およびアルカリ土類金属の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項7】
ディーゼル微粒子直接燃焼触媒が、硫酸セシウムまたは/および酸化セシウムを含むことを特徴とする請求項1または6に記載の排ガス浄化方法。
【請求項8】
ディーゼル微粒子直接燃焼触媒が、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも一種以上の酸化物を含む、もしくは、銅、バナジウム、または、モリブデンから選ばれる少なくとも二種以上の金属元素からなる複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1、6または7いずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項9】
ディーゼル微粒子直接燃焼触媒が、銅およびバナジウムの複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1または6乃至8いずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項10】
ガス酸化フィルタがディーゼルパティキュレートフィルタまたはハニカム構造体であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項11】
ガス酸化フィルタがセラミック、または、耐熱性を有する金属であることを特徴とする請求項1または10に記載の排ガス浄化方法。
【請求項12】
ガス酸化触媒が白金、パラジウム、または、ロジウムから選ばれる少なくとも一種以上の貴金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項13】
ガス酸化触媒が白金を含むことを特徴とする請求項1または12に記載の排ガス浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−90857(P2010−90857A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263797(P2008−263797)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】