説明

排出ガスセンサのヒータ制御装置

【課題】排出ガスセンサの素子割れを確実に防止できるようにする。
【解決手段】エンジン始動後に、排気管23や排出ガスセンサ25に凝縮水が付着している可能性がある場合には、所定の予熱時間が経過するまで、排出ガスセンサ25のセンサ素子を予熱するようにヒータ26の通電を制御する予熱通電制御を実行し、予熱時間が経過した後に、センサ素子の温度を活性温度まで昇温させるようにヒータ26の通電を制御する活性化通電制御を実行する。その際、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常(例えば排気VCT34の異常等)が検出された場合には、エンジン始動後に排気管23内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなる可能性があると判断して、予熱通電制御の実行時間(予熱時間)を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせることで、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出ガスセンサのセンサ素子を加熱するヒータの通電を制御して該センサ素子の温度を制御する排出ガスセンサのヒータ制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年の電子制御化された内燃機関では、排気管に排出ガスの空燃比やリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ等)を設置し、この排出ガスセンサの出力に基づいて排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように燃料噴射量等をフィードバック制御するようにしている。一般に、排出ガスセンサは、センサ素子の温度が活性温度まで昇温しないと検出精度が悪い(又は検出不能である)ため、始動後に排出ガスセンサに内蔵したヒータでセンサ素子を加熱して排出ガスセンサの活性化を促進するようにしている。
【0003】
しかし、内燃機関の排出ガスには、燃料と空気の燃焼反応によって生成された水蒸気が含まれており、内燃機関の始動直後で排気管の温度が低いときには、水蒸気を含んだ排出ガスが排気管内で冷やされるため、排気管内で排出ガス中の水蒸気が凝縮して凝縮水が生じることがある。このため、始動直後に排気管内で生じた凝縮水が排出ガスセンサのセンサ素子に付着する可能性があり、始動直後からセンサ素子をヒータで強く加熱すると、高温に加熱されたセンサ素子が凝縮水の付着による局所冷却(熱歪み)によって割れてしまう“素子割れ”が発生することがある。
【0004】
この対策として、特許文献1(特許第4110874号公報)に記載されているように、内燃機関の始動時に排気管内に水滴が存在するか否かを判定し、水滴が存在すると判定された場合には、始動後所定時間が経過するまで、センサ素子を活性温度よりも低い温度で予熱するようにヒータの通電を制御する予熱通電制御を実行し、その後、始動後所定時間が経過したときに、センサ素子の温度を活性温度まで昇温させるようにヒータの通電を制御する活性化通電制御を開始するようにしたものがある。
【特許文献1】特許第4110874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の電子制御化された内燃機関では、可変バルブタイミング装置、電子スロットル装置、点火系等の各種の異常(故障)の有無を判定する異常診断機能を搭載し、万一、異常が検出された場合には、適宜のフェールセーフ処理を行うようにしている。その際、検出された異常の種類によっては、異常検出時のフェールセーフ処理による運転条件の変化により排出ガスの温度や流量が低下して排出ガス熱量が低下する可能性があり、排出ガス熱量が低下すると、内燃機関の始動後に排気管内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなる。
【0006】
しかし、上記特許文献1の技術では、排出ガス熱量が低下する可能性がある異常の影響を全く考慮していないため、排出ガス熱量が低下する可能性がある異常発生時に、内燃機関の始動後に排気管内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなっているにも拘らず、通常時(異常を検出していないとき)と同じ条件で、内燃機関の始動後にセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させる活性化通電制御を開始することになる。その結果、排気管内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されてしまい、排出ガスセンサの素子割れが発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、排出ガス熱量が低下する可能性がある異常発生時でも、排出ガスセンサの素子割れを確実に防止することができる排出ガスセンサのヒータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の排出ガス通路に設けられた排出ガスセンサのセンサ素子を加熱するヒータと、内燃機関の始動後にセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させるようにヒータの通電を制御する活性化通電制御を実行するヒータ通電制御手段とを備えた排出ガスセンサのヒータ制御装置において、内燃機関の排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常の有無を異常診断手段により判定し、ヒータ通電制御手段は、異常診断手段により特定異常有りと判定された場合に、特定異常無しと判定された場合よりも活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしたものである。
【0009】
この構成では、排出ガス熱量(排出ガスの温度や流量)が低下する可能性のある特定異常有りと判定された場合には、特定異常による排出ガス熱量の低下によって内燃機関の始動後に排気管内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなる可能性があると判断して、活性化通電制御の開始時期を遅らせるという制御が可能となり、それによって、排気管内の凝縮水が完全に蒸発した後に活性化通電制御を開始させることができ、排気管内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されることを未然に防止できる。これにより、排出ガス熱量が低下する可能性がある特定異常が発生した時でも、排出ガスセンサの素子割れを確実に防止することができる。
【0010】
この場合、請求項2のように、内燃機関の排気バルブの開閉タイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング装置を備えたシステムでは、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常として、排気側可変バルブタイミング装置の異常の有無を判定するようにしても良い。例えば、排気側可変バルブタイミング装置の異常有りと判定された場合に、排気バルブの開閉タイミングを最進角位置(基準位置)に保持するフェールセーフ処理を行うシステムでは、内燃機関の始動後の早期暖機制御中に、排気側可変バルブタイミング装置の異常検出時のフェールセーフ処理(排気バルブの開閉タイミングを最進角位置に保持する処理)が実行されると、バルブオーバーラップ量が小さくなって内部EGR量が減少するため、それに伴って排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性があるからである。
【0011】
また、請求項3のように、内燃機関の吸気バルブの開閉タイミングを変化させる吸気側可変バルブタイミング装置を備えたシステムでは、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常として、吸気側可変バルブタイミング装置の異常の有無を判定するようにしても良い。例えば、吸気側可変バルブタイミング装置の異常有りと判定された場合に、吸気バルブの開閉タイミングを最遅角位置(基準位置)に保持するフェールセーフ処理を行うシステムでは、内燃機関の始動後の早期暖機制御中に、吸気側可変バルブタイミング装置の異常検出時のフェールセーフ処理(吸気バルブの開閉タイミングを最遅角位置に保持する処理)が実行されると、バルブオーバーラップ量が小さくなって内部EGR量が減少するため、それに伴って排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性があるからである。
【0012】
また、請求項4のように、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常として、内燃機関の点火系の異常の有無を判定するようにしても良い。例えば、点火系の異常有りと判定された場合に、点火時期を基準位置に固定するフェールセーフ処理を行うシステムでは、内燃機関の始動後の早期暖機制御中に、点火系の異常検出時のフェールセーフ処理(点火時期を基準位置に固定する処理)が実行されると、排出ガス温度を高くするための点火時期遅角制御が行われなくなるため、排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性があるからである。
【0013】
更に、請求項5のように、内燃機関のスロットル開度を変化させる電子スロットル装置を備えたシステムの場合には、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常として、電子スロットル装置の異常の有無を判定するようにしても良い。例えば、電子スロットル装置の異常有りと判定された場合に、スロットル開度を所定開度(いわゆるオープナ開度)に保持して吸入空気量を制限するフェールセーフ処理を行うシステムでは、内燃機関の始動後の早期暖機制御中に、電子スロットル装置の異常検出時のフェールセーフ処理(スロットル開度を所定開度に保持する処理)が実行されると、吸入空気量が制限されるため、排出ガス流量が減少して排出ガス熱量が低下する可能性があるからである。
【0014】
また、請求項6のように、特定異常有りと判定された場合に、特定異常の種類に応じて活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を設定するようにしても良い。このようにすれば、特定異常の種類に応じて排出ガス熱量の低下度合が変化して排気管内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が変化するのに対応して、活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を変化させることができる。これにより、排気管内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されることを防止できる範囲内で、活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間をできるだけ短くすることが可能となり、排出ガスセンサの素子割れを防止しながらセンサ素子の早期活性化を実現することができ、排出ガスセンサの素子割れ防止と早期活性化とを両立させることができる。
【0015】
また、本発明は、活性化通電制御の開始前にヒータへの通電を停止するヒータ通電停止期間を設けて活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしても良いが、請求項7のように、活性化通電制御の開始前にセンサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲内で予熱するようにヒータの通電を制御する予熱通電制御を実行し、特定異常有りと判定された場合に、予熱通電制御の実行時間を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしても良い。このようにすれば、ヒータ通電停止期間を設けて活性化通電制御の開始時期を遅らせる場合に比べて、活性化通電制御の開始後にセンサ素子の温度を活性温度まで速やかに昇温させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。これらのモータ15、スロットルバルブ16、スロットル開度センサ17等により電子スロットル装置35が構成されている。
【0017】
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0018】
また、エンジン11には、吸気バルブ31のバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させる吸気側可変バルブタイミング装置(以下「吸気VCT」と表記する)32と、排気バルブ33のバルブタイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング装置(以下「排気VCT」と表記する)34とが設けられている。
【0019】
一方、エンジン11の排気管23(排出ガス通路)には、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒24が設けられ、この触媒24の上流側に、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ25(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。この排出ガスセンサ25には、センサ素子を加熱するヒータ26が内蔵されている(又は外付けされている)。尚、触媒24の下流側にも、排出ガスセンサを設けた構成としても良い。
【0020】
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ27や、ノッキング振動を検出するノックセンサ28が取り付けられている。また、クランク軸29の外周側には、クランク軸29が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ30が取り付けられ、このクランク角センサ30の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。更に、外気温センサ36によって外気温が検出される。
【0021】
これら各種センサの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)37に入力される。このECU37は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
【0022】
その際、ECU37は、排出ガスセンサ25の出力に基づいて触媒24の上流側の排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように燃料噴射量等をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を行うことで、触媒24の排出ガス浄化効率を高めるようにしている。
【0023】
また、排出ガスセンサ25は、センサ素子の温度が活性温度(例えば750℃)まで昇温しないと検出精度が悪い(又は検出不能である)ため、エンジン始動後に空燃比フィードバック制御を開始する前に、排出ガスセンサ25のヒータ26に通電してセンサ素子を加熱して活性化する必要がある。従って、エンジン始動後に空燃比フィードバック制御を早期に開始するには、排出ガスセンサ25のセンサ素子を早期に活性化する必要がある。
【0024】
しかし、エンジン11の排出ガスには、燃料と空気の燃焼反応によって生成された水蒸気が含まれており、エンジン11の始動直後で排気管23の温度が低いときには、水蒸気を含んだ排出ガスが排気管23内で冷やされるため、排気管23内で排出ガス中の水蒸気が凝縮して凝縮水が生じることがある。このため、エンジン始動直後に排気管23内で生じた凝縮水(又は前回のエンジン運転中に蒸発できずに排気管23内に残留した凝縮水)が排出ガスセンサ25のセンサ素子に付着する可能性があり、始動直後からセンサ素子をヒータ26で強く加熱すると、高温に加熱されたセンサ素子が凝縮水の付着による局所冷却(熱歪み)によって割れてしまう“素子割れ”が発生することがある。
【0025】
この対策として、ECU37は、後述する図3乃至図5のヒータ通電制御用の各ルーチンを実行することで、エンジン11の始動完了後に、排気管23や排出ガスセンサ25に凝縮水が付着している可能性があると判定された場合には、エンジン11の始動完了から所定の予熱時間が経過するまで、排出ガスセンサ25のセンサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲内で予熱するようにヒータ26の通電デューティ(発熱量)を小さくして通電する予熱通電制御を実行し、その後、予熱時間が経過した後に、ヒータ26の通電デューティ(発熱量)を増加させてセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させて、センサ素子を活性状態に維持するようにヒータ26の通電デューティを制御する活性化通電制御を実行する。
【0026】
また、ECU37は、後述する図2の異常診断メインルーチンを実行することで、エンジン11の排出ガス熱量(排出ガスの温度や流量)が低下する可能性のある特定異常の有無を判定する。本実施例では、特定異常として排気VCT34の異常の有無を判定する排気VCT異常診断と、特定異常として吸気VCT32の異常の有無を判定する吸気VCT異常診断と、特定異常として点火系の異常の有無を判定する点火系異常診断と、特定異常として電子スロットル装置35の異常の有無を判定する電スロ異常診断を実行する。これらの各異常診断では、それぞれ異常が検出された場合に適宜のフェールセーフ処理を行うようにしているが、後述する理由により異常検出時のフェールセーフ処理によって排出ガス熱量が低下する可能性がある。
【0027】
異常検出時のフェールセーフ処理によって排出ガス熱量が低下すると、エンジン始動後に排気管23内の凝縮水(排気管23や排出ガスセンサ25に付着した凝縮水)が完全に蒸発するまでの時間が長くなるため、通常時(異常を検出していないとき)と同じ条件で、エンジン始動後に活性化通電制御を開始すると、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されて、排出ガスセンサ25の素子割れが発生する可能性がある。
【0028】
そこで、本実施例では、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常有りと判定された場合には、特定異常による排出ガス熱量の低下によってエンジン始動後に排気管23内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなる可能性があると判断して、特定異常無しと判定された場合よりも、予熱通電制御の実行時間(つまり予熱時間)を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせることで、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発した後に活性化通電制御を開始させるようにしている。
【0029】
以下、ECU37が実行する図2の異常診断メインルーチン及び図3乃至図5のヒータ通電制御用の各ルーチンの処理内容を説明する。
【0030】
[異常診断メインルーチン]
図2に示す異常診断メインルーチンは、ECU37の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、図示しない排気VCT異常診断ルーチンを実行することで、所定の排気VCT異常診断実行条件が成立したときに、例えば排気バルブ33の実バルブタイミングと目標バルブタイミングとに基づいて排気VCT34の異常の有無を判定する排気VCT異常診断を実行する。尚、排気VCT34の異常診断方法は、適宜変更しても良い。
【0031】
その結果、排気VCT34の異常有りと判定された場合には、その異常情報をECU37のバックアップRAM(図示せず)等の書き換え可能な不揮発性メモリ(ECU37の電源オフ中でも記憶データを保持する書き換え可能なメモリ)に記憶し、排気バルブ33のバルブタイミングを最進角位置(基準位置)に保持するフェールセーフ処理を行う。エンジン始動後の早期暖機制御中に、排気VCT34の異常検出時のフェールセーフ処理(排気バルブ33のバルブタイミングを最進角位置に保持する処理)が実行されると、バルブオーバーラップ量が小さくなって内部EGR量が減少するため、それに伴って排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性がある。
【0032】
この後、ステップ102で、図示しない吸気VCT異常診断ルーチンを実行することで、所定の吸気VCT異常診断実行条件が成立したときに、例えば吸気バルブ31の実バルブタイミングと目標バルブタイミングとに基づいて吸気VCT32の異常の有無を判定する吸気VCT異常診断を実行する。尚、吸気VCT32の異常診断方法は、適宜変更しても良い。
【0033】
その結果、吸気VCT32の異常有りと判定された場合には、その異常情報をECU37のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶し、吸気バルブ31のバルブタイミングを最遅角位置(基準位置)に保持するフェールセーフ処理を行う。エンジン始動後の早期暖機制御中に、吸気VCT32の異常検出時のフェールセーフ処理(吸気バルブ31のバルブタイミングを最遅角位置に保持する処理)が実行されると、バルブオーバーラップ量が小さくなって内部EGR量が減少するため、それに伴って排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性がある。
【0034】
この後、ステップ103で、図示しない点火系異常診断ルーチンを実行することで、所定の点火系異常診断実行条件が成立したときに、例えば燃焼時に筒内で発生するイオン電流に基づいて点火系の異常の有無を判定する点火系異常診断を実行する。尚、点火系の異常診断方法は、適宜変更しても良い。
【0035】
その結果、点火系の異常有りと判定された場合には、その異常情報をECU37のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶し、点火時期を基準位置に固定するフェールセーフ処理を行う。エンジン始動後の早期暖機制御中に、点火系の異常検出時のフェールセーフ処理(点火時期を基準位置に固定する処理)が実行されると、排出ガス温度を高くするための点火時期遅角制御が行われなくなるため、排出ガス温度が低下して排出ガス熱量が低下する可能性がある。
【0036】
この後、ステップ104で、図示しない電スロ異常診断ルーチンを実行することで、所定の電スロ異常診断実行条件が成立したときに、例えば実スロットル開度と目標スロットルとの偏差の挙動に基づいて電子スロットル装置35の異常の有無を判定する電スロ異常診断を実行する。尚、電子スロットル装置35の異常診断方法は、適宜変更しても良い。
【0037】
その結果、電子スロットル装置35の異常有りと判定された場合には、その異常情報をECU37のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶し、スロットル開度を所定開度(いわゆるオープナ開度)に保持して吸入空気量を制限するフェールセーフ処理を行う。エンジン始動後の早期暖機制御中に、電子スロットル装置35の異常検出時のフェールセーフ処理(スロットル開度を所定開度に保持する処理)が実行されると、吸入空気量が制限されるため、それに伴って排出ガス流量が減少して排出ガス熱量が低下する可能性がある。
【0038】
[排気管水分付着判定ルーチン]
図3に示す排気管水分付着判定ルーチンは、ECU37の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、外気温センサ36で検出した外気温が所定温度T1 よりも低く且つエンジン始動後の経過時間が所定時間t1 よりも短いか否かを判定する。
【0039】
このステップ201で、外気温が所定温度T1 よりも低く且つエンジン始動後の経過時間が所定時間t1 よりも短いと判定された場合には、ステップ202に進み、排気管23に凝縮水が付着している可能性があると判定して、排気管水分付着フラグxEXWETを「1」にセットする。
【0040】
一方、上記ステップ201で、外気温が所定温度T1 以上であると判定された場合、又は、エンジン始動後の経過時間が所定時間t1 以上である判定された場合には、ステップ203に進み、排気管23に凝縮水が付着していないと判定して、排気管水分付着フラグxEXWETを「0」にリセットする。
【0041】
この後、ステップ204に進み、図示しないIGスイッチ(イグニッションスイッチ)がオフされた(ONからOFFに切り替えられた)か否かを判定し、IGスイッチがオフされたと判定された時点で、ステップ205に進み、IGスイッチがオフされた時点の排気管水分付着フラグxEXWETを、エンジン停止時の排気管水分付着フラグxBEXWETとして設定し、そのエンジン停止時の排気管水分付着フラグxBEXWETをECU37のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
xBEXWET=xEXWET
【0042】
[センサ水分付着判定ルーチン]
図4に示すセンサ水分付着判定ルーチンは、ECU37の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、外気温センサ36で検出した外気温が所定温度T2 よりも低く且つヒータ積算通電時間(エンジン始動後に活性化通電制御によってヒータ26に通電した積算時間)が所定時間t2 よりも短いか否かを判定する。
【0043】
このステップ301で、外気温が所定温度T2 よりも低く且つヒータ積算通電時間が所定時間t2 よりも短いと判定された場合には、ステップ302に進み、排出ガスセンサ25に凝縮水が付着している可能性があると判定して、センサ水分付着フラグxAFWETを「1」にセットする。
【0044】
一方、上記ステップ301で、外気温が所定温度T2 以上であると判定された場合、又は、ヒータ積算通電時間が所定時間t2 以上である判定された場合には、ステップ303に進み、排出ガスセンサ25に凝縮水が付着していないと判定して、センサ水分付着フラグxAFWETを「0」にリセットする。
【0045】
この後、ステップ304に進み、IGスイッチがオフされた(ONからOFFに切り替えられた)か否かを判定し、IGスイッチがオフされたと判定された時点で、ステップ305に進み、IGスイッチがオフされた時点のセンサ水分付着フラグxAFWETを、エンジン停止時のセンサ水分付着フラグxBAFWETとして設定し、そのエンジン停止時のセンサ水分付着フラグxBAFWETをECU37のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
xBAFWET=xAFWET
【0046】
[ヒータ通電制御ルーチン]
図5に示すヒータ通電制御ルーチンは、ECU37の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうヒータ通電制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、エンジン11の始動完了後であるか否かを、例えば、エンジン回転速度が所定の始動完了判定値を越えたか否かによって判定する。
【0047】
このステップ401で、エンジン11の始動完了前と判定された場合には、ステップ402に進み、冷却水温センサ27で検出した冷却水温を始動時の冷却水温として読み込んだ後、本ルーチンを終了する。
【0048】
その後、上記ステップ401で、エンジン11の始動完了後と判定されたときに、ステップ403に進み、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常が検出されたか否かを判定する。具体的には、前記図2の異常診断メインルーチンによる異常診断結果(バックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶された異常情報)に基づいて、排気VCT34と吸気VCT32と点火系と電子スロットル装置35のちのいずれか1つでも異常有りと判定されたものがあるか否かを判定する。
【0049】
このステップ403で、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常が検出されていないと判定された場合には、ステップ404に進み、排気管23に凝縮水が付着している可能性があるか否かを、前回のエンジン停止時に記憶した排気管水分付着フラグxBEXWET=1であるか否かによって判定する。
【0050】
このステップ404で、排気管23に凝縮水が付着している可能性がある(xBEXWET=1)と判定された場合には、ステップ406に進み、排気管水分付着時のヒータ通電制御を次のようにして実行する。
【0051】
まず、排気管水分付着時のヒータ通電デューティのマップ(図6参照)を検索して、始動時の冷却水温と始動完了後の経過時間とに応じたヒータ26の通電デューティを設定する。これにより、始動完了から排気管水分付着時の予熱時間Tb が経過するまで、排出ガスセンサ25のセンサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲内で予熱するようにヒータ26の通電デューティを小さくして通電する予熱通電制御を実行する。
【0052】
ここで、排気管水分付着時のヒータ通電デューティのマップは、予め、設計データ、試験データ、シミュレーションデータ等に基づいて作成され、ECU37のROMに記憶されている。この排気管水分付着時のヒータ通電デューティのマップは、始動時の冷却水温が低くなるほど排気管水分付着時の予熱時間Tb が長くなるように設定されている。
【0053】
その後、予熱時間Tb が経過した後に、ヒータ26の通電デューティを増加させてセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させて、センサ素子を活性状態に維持するようにヒータ26の通電デューティを制御する活性化通電制御を実行する。
【0054】
一方、上記ステップ404で、排気管23に凝縮水が付着していない(xBEXWET=0)と判定された場合には、ステップ405に進み、排出ガスセンサ25に凝縮水が付着している可能性があるか否かを、前回のエンジン停止時に記憶したセンサ水分付着フラグxBAFWET=1であるか否かによって判定する。
【0055】
このステップ405で、排出ガスセンサ25に凝縮水が付着している可能性がある(xBAFWET=1)と判定された場合には、ステップ407に進み、センサ水分付着時のヒータ通電制御を次のようにして実行する。
【0056】
まず、センサ水分付着時のヒータ通電デューティのマップ(図6参照)を検索して、始動時の冷却水温と始動完了後の経過時間とに応じたヒータ26の通電デューティを設定する。これにより、始動完了からセンサ水分付着時の予熱時間Tc が経過するまで、排出ガスセンサ25のセンサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲内で予熱するようにヒータ26の通電デューティを小さくして通電する予熱通電制御を実行する。
【0057】
ここで、センサ水分付着時のヒータ通電デューティのマップは、予め、設計データ、試験データ、シミュレーションデータ等に基づいて作成され、ECU37のROMに記憶されている。このセンサ水分付着時のヒータ通電デューティのマップは、センサ水分付着時の予熱時間Tc が排気管水分付着時の予熱時間Tb よりも短くなり、且つ、始動時の冷却水温が低くなるほどセンサ水分付着時の予熱時間Tc が長くなるように設定されている。
【0058】
その後、予熱時間Tc が経過した後に、ヒータ26の通電デューティを増加させてセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させて、センサ素子を活性状態に維持するようにヒータ26の通電デューティを制御する活性化通電制御を実行する。
【0059】
また、上記ステップ404で排気管23に凝縮水が付着していない(xBEXWET=0)と判定され、且つ、上記ステップ405で排出ガスセンサ25に凝縮水が付着していない(xBAFWET=0)と判定された場合には、ステップ408に進み、水分付着無し時のヒータ通電制御を実行する。この水分付着無し時のヒータ通電制御では、予熱通電制御を実行せずに、始動完了直後からヒータ26の通電デューティを増加させてセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させて、センサ素子を活性状態に維持するようにヒータ26の通電デューティを制御する活性化通電制御を実行する。
【0060】
これに対して、上記ステップ403で、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常が検出されたと判定された場合には、特定異常による排出ガス熱量の低下によってエンジン始動後に排気管23内の凝縮水(排気管23や排出ガスセンサ25に付着した凝縮水)が完全に蒸発するまでの時間が長くなる可能性があると判断して、ステップ409に進み、特定異常検出時のヒータ通電制御を実行して、特定異常無しと判定された場合よりも、予熱通電制御の実行時間(つまり予熱時間)を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせることで、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発した後に活性化通電制御を開始させるようにする。
【0061】
特定異常検出時のヒータ通電制御では、まず、特定異常の種類に対応した特定異常検出時のヒータ通電デューティのマップ(図6参照)を選択する。具体的には、排気VCT34の異常有りと判定された場合には排気VCT異常検出時のヒータ通電デューティのマップを選択し、吸気VCT32の異常有りと判定された場合には吸気VCT異常検出時のヒータ通電デューティのマップを選択する。また、点火系の異常有りと判定された場合には点火系異常検出時のヒータ通電デューティのマップを選択し、電子スロットル装置35の異常有りと判定された場合には電子スロ異常検出時のヒータ通電デューティのマップを選択する。
【0062】
この後、特定異常の種類に応じて選択した特定異常検出時のヒータ通電デューティのマップを検索して、始動時の冷却水温と始動完了後の経過時間とに応じたヒータ26の通電デューティを設定する。これにより、始動完了から特定異常検出時の予熱時間Ta が経過するまで、排出ガスセンサ25のセンサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲で予熱するようにヒータ26の通電デューティを小さくして通電する予熱通電制御を実行すると共に、特定異常の種類に応じて予熱時間Ta (活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間)を設定することで、特定異常の種類に応じて排出ガス熱量の低下度合が変化して排気管23内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が変化するのに対応して、活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を変化させる。
【0063】
ここで、特定異常検出時のヒータ通電デューティのマップは、予め、設計データ、試験データ、シミュレーションデータ等に基づいて特定異常の種類毎に作成され、ECU37のROMに記憶されている。これらの特定異常の種類毎に作成された各特定異常検出時のヒータ通電デューティのマップは、それぞれ特定異常検出時の予熱時間Ta が排気管水分付着時の予熱時間Tb 及びセンサ水分付着時の予熱時間Tc よりも長くなり、且つ、始動時の冷却水温が低くなるほど特定異常検出時の予熱時間Ta が長くなるように設定されている。
【0064】
その後、予熱時間Ta が経過した後に、ヒータ26の通電デューティを増加させてセンサ素子の温度を活性温度まで昇温させて、センサ素子を活性状態に維持するようにヒータ26の通電デューティを制御する活性化通電制御を実行する。
【0065】
以上説明した本実施例では、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常が検出された場合には、特定異常による排出ガス熱量の低下によってエンジン始動後に排気管23内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が長くなる可能性があると判断して、特定異常無しと判定された場合よりも、予熱通電制御の実行時間(つまり予熱時間)を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせることで、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発した後に活性化通電制御を開始させるようにしたので、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されることを未然に防止できる。これにより、排出ガス熱量が低下する可能性がある特定異常の検出時でも、排出ガスセンサ25の素子割れを確実に防止することができる。
【0066】
また、本実施例では、特定異常が検出された場合に、その特定異常の種類に応じて予熱時間Ta (活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間)を設定することで、特定異常の種類に応じて排出ガス熱量の低下度合が変化して排気管23内の凝縮水が完全に蒸発するまでの時間が変化するのに対応して、活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を変化させるようにしたので、排気管23内の凝縮水が完全に蒸発する前に活性化通電制御が開始されることを防止できる範囲内で、活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間をできるだけ短くすることが可能となり、排出ガスセンサ25の素子割れを防止しながらセンサ素子の早期活性化を実現することができて、排出ガスセンサ25の素子割れ防止と早期活性化とを両立させることができる。
【0067】
しかしながら、本発明は、特定異常が検出された場合に、その特定異常の種類に拘らず活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を一律に設定して、ECU37の演算負荷を軽減するようにしても良い。
【0068】
また、本実施例では、特定異常が検出された場合に、予熱通電制御の実行時間を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしたので、ヒータ通電停止期間を設けて活性化通電制御の開始時期を遅らせる場合に比べて、活性化通電制御の開始後にセンサ素子の温度を活性温度まで速やかに昇温させることができる。
【0069】
しかしながら、本発明は、予熱通電制御の実行前にヒータ通電停止期間を設けることで活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしても良い。また、予熱通電制御を実行せずに活性化通電制御の開始前にヒータ通電停止期間を設けるシステムの場合には、ヒータ通電停止期間を長くして活性化通電制御の開始時期を遅らせるようにしても良い。
【0070】
また、上記実施例では、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常として、排気VCT34の異常、吸気VCT32の異常、点火系の異常、電子スロットル装置35の異常を例示したが、これらに限定されず、例えば、排気バルブのリフト量を変化させる排気側可変バルブリフト装置の異常、吸気バルブのリフト量を変化させる吸気側可変バルブリフト装置の異常、筒内の気流強度(スワール流やタンブル流の強度)を調整する気流制御弁の異常、燃料系の異常等、排出ガス熱量が低下する可能性のある種々の異常を特定異常として検出するようにしても良い。
【0071】
尚、排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常は、その異常検出時のフェールセーフ処理によって排出ガス熱量が低下する可能性のあるものだけでなく、その異常自体によって排出ガス熱量が低下する可能性のある異常でも良い。
その他、本発明は、触媒24の下流側の排出ガスセンサのヒータ通電制御に適用して実施しても良い等、種々変更して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施例におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。
【図2】異常診断メインルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】排気管水分付着判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】センサ水分付着判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】ヒータ通電制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】ヒータ通電デューティのマップの一例を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0073】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管(排出ガス通路)、24…触媒、25…排出ガスセンサ、26…ヒータ、27…冷却水温センサ、31…吸気バルブ、32…吸気VCT、33…排気バルブ、34…排気VCT、35…電子スロットル装置、37…ECU(ヒータ通電制御手段,異常診断手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排出ガス通路に設けられた排出ガスセンサのセンサ素子を加熱するヒータと、内燃機関の始動後に前記センサ素子の温度を活性温度まで昇温させるように前記ヒータの通電を制御する活性化通電制御を実行するヒータ通電制御手段とを備えた排出ガスセンサのヒータ制御装置において、
内燃機関の排出ガス熱量が低下する可能性のある特定異常の有無を判定する異常診断手段を備え、
前記ヒータ通電制御手段は、前記異常診断手段により前記特定異常有りと判定された場合に、特定異常無しと判定された場合よりも前記活性化通電制御の開始時期を遅らせることを特徴とする排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項2】
内燃機関の排気バルブの開閉タイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング装置を備え、
前記異常診断手段は、前記特定異常として前記排気側可変バルブタイミング装置の異常の有無を判定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項3】
内燃機関の吸気バルブの開閉タイミングを変化させる吸気側可変バルブタイミング装置を備え、
前記異常診断手段は、前記特定異常として前記吸気側可変バルブタイミング装置の異常の有無を判定する手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項4】
前記異常診断手段は、前記特定異常として内燃機関の点火系の異常の有無を判定する手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項5】
内燃機関のスロットル開度を変化させる電子スロットル装置を備え、
前記異常診断手段は、前記特定異常として前記電子スロットル装置の異常の有無を判定する手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項6】
前記ヒータ通電制御手段は、前記異常診断手段により前記特定異常有りと判定された場合に、特定異常の種類に応じて前記活性化通電制御を開始するまでのディレイ時間を設定する手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。
【請求項7】
前記ヒータ通電制御手段は、前記活性化通電制御の開始前に前記センサ素子を被水による素子割れが発生しない温度範囲内で予熱するように前記ヒータの通電を制御する予熱通電制御を実行する手段と、前記異常診断手段により前記特定異常有りと判定された場合に、前記予熱通電制御の実行時間を長くして前記活性化通電制御の開始時期を遅らせる手段とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の排出ガスセンサのヒータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−145256(P2010−145256A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323054(P2008−323054)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】