説明

排気浄化装置

【課題】フィルタ内の温度を均一にすることにより、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れや暴走再生を防止することができる排気浄化装置を提供する。
【解決手段】再生制御によりフィルタ中心部の温度は再生可能な温度となる。一方、フィルタ中心部と外周部の温度差およびフィルタ入口側と出口側の温度差が発生する。フィルタ中心部と外周部の温度差が設定値より大きいと、電熱ヒータ61はDPF30外周に熱量供給を開始する。電熱ヒータ61の電熱線63は、DPF入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置されている。電気エネルギーが供給されると、電熱ヒータ61はDPF入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する。このような加熱勾配を付与して加熱すると、フィルタ中心部と外周部の温度差およびフィルタ入口側と出口側の温度差は解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に係わり、特に、フィルタにより排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集して排気ガスを浄化するとともに、適宜フィルタに捕集した粒子状物質を焼却除去し、フィルタを再生させる排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気浄化装置として、排気ガス中のパティキュレート(PM)が大気中に放出されることを防止するために、排気通路の途中にDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)を設けることが従来からよく知られている。このフィルタは、例えば多孔質セラミック材の隔壁によって画成された多数の細長いセルから構成されており、各セルの一方の端部はプラグ(栓部材)によって閉じられている。従って、パティキュレート捕集時において、排気上流側が開口したセルから流入した排気ガスは、隔壁を通って排気下流側が開口したセルに抜け、フィルタを通過する。そしてこの隔壁通過の際に、排気ガス中のパティキュレートが隔壁に捕集される。
【0003】
ところでフィルタは、その使用に伴い、その内部に堆積されるパティキュレートの量が増えると、フィルタは目詰まりを起こしてゆく。そのことによりエンジンの排圧が上昇し、燃費の悪化等を誘発するため、フィルタに捕集したPMを適宜燃焼してフィルタの目詰まりを除去し、フィルタを再生している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−79501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生の際、フィルタ内部は燃焼により高温となる。フィルタ内の熱の一部は、フィルタ外周から外部に逃げるため、フィルタ中心部の温度に比べてフィルタ外周部の温度は低くなる。フィルタ内部に温度差が発生すると、熱応力によるフィルタの割れが発生するおそれがある。
【0006】
更に、フィルタの温度が低いフィルタ外周部において、燃え残りが発生する。燃え残ったPMが高温で急激に燃焼し、フィルタの溶損を起こす(いわゆる暴走再生)おそれがある。
【0007】
また、再生の際、フィルタ入口側に滞留したPMが先に燃焼し、その燃焼熱が出口側に送られる。そのため、フィルタ入口側の温度に比べてフィルタ出口側の温度は高くなる。すなわち、フィルタ中心部と外周部の温度差に加えて、フィルタ入口側と出口側の温度差が発生するため、フィルタ割れのおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、フィルタ内の温度を均一にすることにより、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れや暴走再生を防止することができる排気浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、エンジンの排気系に配置され、排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタと、このフィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去してフィルタを再生する再生装置と、この再生装置の作動開始・停止を制御する再生制御装置とを備えた排気浄化装置において、前記フィルタ中心部の温度を検出する第1温度検出手段と、前記フィルタ外周部の温度を検出する第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段および第2温度検出手段の検出温度に基づいて、再生に不足する熱量を演算する不足熱量演算手段と、前記フィルタの外周に、前記不足熱量演算手段で得られた熱量を供給する加熱手段とを備える。
【0010】
このように構成した本発明においては、加熱手段がフィルタの外周に過不足なく熱量を供給することにより、フィルタ中心部と外周部の温度差が解消する。これにより、フィルタ内の温度を均一にでき、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れや暴走再生を防止することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記加熱手段は、前記フィルタ入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する加熱勾配付与機能を有する。
【0012】
加熱勾配付与機能が、フィルタ入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給することにより、フィルタ中心部と外周部の温度差が解消するとともに、フィルタ入口側と出口側の温度差も解消する。これにより、更にフィルタ内の温度を均一にでき、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れを防止することができる。
【0013】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記加熱手段は、前記フィルタ入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置された電熱線を有し、前記加熱勾配付与機能は、前記電熱線が発熱することにより、熱量を供給する。
【0014】
これにより、加熱勾配付与機能は、フィルタ入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給することができる。
【0015】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記電熱線は、回生エネルギーを利用して発熱する。
【0016】
本発明は、加熱手段がフィルタの外周に過不足なく熱量を供給することにより、エネルギー効率向上を図ることができる。回生エネルギーを利用することで、更にエネルギー効率向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルタ内の温度を均一にすることにより、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れや暴走再生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】排気浄化装置が適用されるエンジンのシステム構成図を示している。
【図2】図2AはDPFの概略断面図であり、図2BはDPFの概略平面図である。
【図3】コントローラの再生制御にかかる処理を示す制御フローである。
【図4】加熱に係る動作を説明する概念図である。
【図5】変形例に係る構成を示すDPFの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0020】
〜構成〜
図1は、本発明の実施形態に係る排気浄化装置19が適用されるディーゼルエンジン(以下、エンジンという)のシステム構成図を示している。内燃機関10は各気筒共通のコモンレール2を備えており、コモンレール2に蓄えられた高圧の燃料(軽油)を、各気筒に設けられたインジェクタ4に供給し、各インジェクタ4からそれぞれの気筒内に噴射される。
【0021】
吸気通路6にはターボチャージャ8が装備されており、図示しないエアクリーナから吸入された吸気は、吸気通路6からターボチャージャ8のコンプレッサ8aへと流入し、コンプレッサ8aで過給された吸気はインタークーラ11及び吸気制御弁12を介して吸気マニホールド14に導入される。
【0022】
一方、内燃機関10からの排気は、排気マニホールド15を経た後、排気管16に流出する。なお、排気マニホールド15と吸気マニホールド14との間には、EGR弁18を介して排気マニホールド15と吸気マニホールド14とを連通するEGR通路17が設けられている。排気管16は、ターボチャージャ8のタービン8bを介して、排気後処理装置19に接続されている。また、タービン8bの回転軸はコンプレッサ8aの回転軸と連結されており、タービン8bは排気管16内を流動する排気を受けてコンプレッサ8aを駆動する。
【0023】
排気後処理装置19は、上流から順に酸化触媒20とパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)30より構成される。酸化触媒20は、排気中のNOを酸化させてNO2を生成し、このNO2を酸化剤としてDPF30に供給するものである。また、DPF30は、ハニカム型のコージェライト担体からなる。
【0024】
このように酸化触媒20とDPF30とを配置することにより、DPF30に捕集され堆積しているパティキュレートは、比較的低温(例えば、250℃)にて酸化触媒20から供給されたNO2と反応して酸化される。
【0025】
酸化触媒20とDPF30との間には、排気温度を検出する排気温度センサ40,41と、DPF30前後の排気差圧を検出する差圧センサ42が設けられている。
【0026】
本実施形態は特徴的構成として、DPF30の外周を覆うように設けられた電熱ヒータ61を備えている(後述)。
【0027】
エンジンシステムは、電源制御系を備える。電源制御系は、オルタネータ50、バッテリ60、リレースイッチ62、コントローラ70などを含み、コントローラ70には、各温度センサ40,41、差圧センサ42、負荷センサ43、回転センサ44等の各種センサが接続されている。
【0028】
バッテリ60は、電熱ヒータ61を発熱させるために必要なエネルギーなど、電気エネルギーを蓄えておく。なお、電熱ヒータ61に電気エネルギーをオルタネータ50から直接供給してもよい。また、バッテリ60はハイブリット車両の回生エネルギーを蓄電するものでもよい。
【0029】
コントローラ70は、CPUやROM等により構成されており、エンジンの運転状況(負荷やエンジン回転数)に応じた排気ガス温度の情報(マップ情報)が予め記憶されている。そして、接続された各センサ(中心部温度センサ40、外周部温度センサ41、負荷センサ43、回転センサ44等)からの情報に基づいて排気温度の推定値を演算している。また、差圧センサ42からの情報に基づいてPM捕集推定量を演算し、再生開始・停止に係る制御を行っている。
【0030】
さらに、コントローラ70は、中心部温度センサ40および排気外周温度センサ41からの検出温度の情報に基づき、電熱ヒータ61に通電すべき電気エネルギー量(再生時の不足エネルギー量)を演算する。コントローラ70は、リレースイッチ62を制御し、リレースイッチ62の接点をON−OFFして通電時間を調整し、または、電流または電圧を調整することにより、電熱ヒータ61に通電すべき電気エネルギー量を調整する。
【0031】
図2AはDPF30の概略断面図であり、図2BはDPF30の概略平面図である。DPF30は、触媒担体31、DPF支持材32、金属製ケーシング33により構成される。金属製ケーシング33には、ブラケット34,35が溶接されている。ブラケット34,35には、2枚の半円状のブラケット36が取り付けられ、ブラケット36にはブラケット36の形状に対応するように、電熱ヒータ61が設けられている。これにより、電熱ヒータ61はDPF30の外周を覆う。
【0032】
電熱ヒータ61は、電熱線63が断熱材に埋設され、電熱線63と断熱材とが一体化して、半円筒状に形成されている。断熱材の種類としては、アルミナ−シリケートセラミックファイバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバー、シリカファイバー、ロックウール、石綿等の無機質ファイバー、ナイロン、ケブラー等の有機質ファイバー、ウレタン等の発泡体の成形体、又は、これらの組合せを利用することができる。
【0033】
電熱線63は、DPF入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置されおり、DPF入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように、発熱する。
【0034】
図3は、コントローラ70の再生制御にかかる処理を示す制御フローである。
【0035】
コントローラ70は、差圧センサ42からの情報に基づいてPM捕集推定量を演算し(ステップS11)、PM捕集推定量が設定量(開始)以上か否か判断する(ステップS12)。PM捕集推定量が設定量(開始)以上であると、DPF30が詰まったと判断し、再生制御を開始する(ステップS13)。PM捕集推定量が設定量(開始)未満であると、S11およびS12の処理を繰り返す。
【0036】
再生制御において、検出温度Tcet,Tout(後述)や推定温度に基づいて、再生に必要な熱量を演算し、必要熱量に基づいて排気加熱用燃料の噴射量(ポスト噴射の噴射量)を演算する。そして、この演算結果に基づいてエンジン回転数、負荷、燃料噴射量などを制御して、排気温度を調節する。
【0037】
更に、加熱制御の要否(内外温度差△Taが設定値以下か否か)を判断し(ステップS14)(後述)、加熱制御不要と判断すると、PM捕集推定量が設定量(停止)以下か否か判断する(ステップS15)。PM捕集推定量が設定量(停止)以下であると、PMが燃焼除去されたと判断し、再生制御を停止する(ステップS16)。PM捕集推定量が設定量(停止)より多いと、S13〜S15の処理を繰り返す。
【0038】
コントローラ70は再生制御と連動して加熱に係る制御をおこなう。中心部温度センサ40からの検出温度Tcetおよび外周部温度センサ41からの検出温度Toutに基づいて、内外温度差△Ta(Tcet−Tout)を演算し、加熱制御の要否を判断する(ステップS14)。内外温度差△Taが設定値より大きく、加熱制御必要と判断すると、検出温度Tcet,Toutやフィルタの容積等に基づいて、再生に不足する熱量Qを演算し、電熱ヒータ61へのエネルギー供給を開始する(ステップS17)。
【0039】
さらに、要求熱量Qと電熱ヒータ61の供給電力Wから加熱時間T(Q/W)を演算し、所定時間Tだけ加熱する(ステップS18)。加熱中も、加熱制御の要否を判断し(ステップS19)、内外温度差△Taが設定値以下となり、加熱制御不要と判断すると、電熱ヒータ61へのエネルギー供給を停止する(ステップS20)。内外温度差△Taが設定値より大きいと、S17〜S20の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS19において、コントローラ70は内外温度差△Taに基づくフィードバック制御をおこう。つまり、内外温度差△Taが設定値に近づくと、リレースイッチ62をOFFにし、昇温速度を緩め、その後、内外温度差△Taが設定値に達しないと、リレースイッチ62をONにし加熱するといった、リレースイッチ62のON-OFF制御を繰り返しながら、供給電力Wや加熱時間Tを調整する。
【0041】
〜請求項との対応関係〜
DPF30は、排気管16の下流に配置され、PMを捕集するフィルタを構成し、インジェクタ4と酸化触媒20は、PMを焼却除去してDPFを再生する再生装置を構成し、差圧センサ42とコントロー70のS11,S12,S13,S15,S16の処理は、再生装置の作動開始・停止を制御する再生制御装置と構成する。
【0042】
コントロー70のS17の処理の一部は、中心部温度センサ40および外周部温度センサ41の検出温度に基づいて、再生に不足する熱量Qを演算する不足熱量演算手段を構成し、電熱ヒータ61は、DPF30外周に熱量Qを供給する加熱手段を構成する。
【0043】
電熱ヒータ61の電熱線63の配置間隔は、DPF30入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する加熱勾配付与機能を構成する。
【0044】
〜動作〜
再生に係る動作(S11→S12→S13→S14→S15→S16)について説明する。
【0045】
排気管16の下流部に流入した排気ガスは、まず、酸化触媒20を通過する。このとき、触媒の作用により、排気ガス中に含まれる一酸化窒素(NO)が反応(R1)によって二酸化窒素(NO2)に酸化される。また、排気中のHC、COも反応(R2、R3)によって酸化される。排気温度がポスト噴射により排気中に添加された燃料の酸化反応(R2)によって昇温される。
4NO + O2 → 2NO2 (R1)
HC + O2 → CO2 + H2O (R2)
C0 + 1/2 O2 → CO2 (R3)
【0046】
DPF30に堆積しているPMの主要成分である固形炭素質(C)は反応(R4、R5)によって酸化され、DPF30が再生される。
C + O2 → CO2 (R4)
C + 2 NO2 → CO2 + 2 NO (R5)
【0047】
再生時、DPF30内の熱の一部は、DPF30外周から外部に逃げるため、フィルタ中心部の温度に比べてフィルタ外周部の温度は低くなる。フィルタ内部の温度差に起因して、熱応力によるフィルタ割れや暴走再生が発生するおそれがある。
【0048】
したがって、フィルタ内部に温度差が発生すると、加熱制御が行われる(S14→S17→S18→S19→S20)。
【0049】
図4は加熱に係る動作を説明する概念図である。適切な再生制御によりフィルタ中心部の検出温度Tcetはt(再生をおこなうのに過不足ない温度)となる。一方、フィルタ外周部の検出温度Toutはt-aとなり、内外温度差△Ta=aが発生する。電熱ヒータ61は内外温度差△Taを解消するように、DPF30外周に熱量を供給する。
【0050】
ところで、再生の際、フィルタ入口側に滞留したPMが先に燃焼し、その燃焼熱が出口側に送られる。そのため、フィルタ入口側の温度に比べてフィルタ出口側の温度は高くなる。フィルタ入口側のフィルタ外周部の検出温度Toutがt-aであると、フィルタ入口側のフィルタ外周部の温度はt-a+bとなる。フィルタ入口側と出口側の温度差は、フィルタ割れの要因となりうる。
【0051】
もし仮に、電熱ヒータ61が、内外温度差△Ta=aを解消するように均一に加熱(昇温+a)した場合、フィルタ入口側のフィルタ外周部の温度はtとなり、フィルタ中心部と外周部の温度差は解消する。しかし、フィルタ入口側のフィルタ外周部の温度はt+bとなり、フィルタ入口側と出口側の温度差は解消しない。さらに、必要以上の加熱は不経済である。
【0052】
本実施形態の電熱ヒータ61の電熱線63は、DPF入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置されている。電気エネルギーが供給されると、電熱ヒータ61はDPF入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する。すなわち、DPF入口側では、+aだけ昇温するように加熱するのに対し、DPF出口側では、+a-bだけ昇温するように加熱する。
【0053】
このような加熱勾配を付与して加熱すると、フィルタ外周部においてフィルタ入口側から出口側の温度は均一にtとなり、フィルタ入口側と出口側の温度差も解消する。
【0054】
なお、図4において、説明の便宜の為、一例として温度勾配および加熱勾配とも1次関数として表現したが、これに限定されるものではない。
【0055】
〜効果〜
本実施形態では、フィルタ内の温度を均一にすることにより、フィルタ内部の温度差に起因するフィルタ割れや暴走再生を防止することができる。また、これに付随する以下の効果が得られる。
【0056】
フィルタ内のPMの燃え残りを防止し、より確実にDPFの再生を行うことができる。適切な再生を確実に行うことにより、DPFが損傷することはなく、DPFの長寿命化に寄与する。また、適切な再生を確実に行うことにより、再生時間を短縮でき、結果として燃費向上に寄与する。
【0057】
本実施形態では、他の効果も得られる。
【0058】
電熱ヒータ61は、再生に必要な熱量を過不足なく供給できる。不要な加熱をなくすことにより、エネルギー効率向上に寄与する。さらに、ハイブリット車両の回生エネルギーを利用すれば、更なるエネルギー効率向上を図ることができる。
【0059】
コントローラ70は、ステップS18において加熱時間Tを設定するとともに、ステップS19においてフィードバック制御をおこなっている。これにより、過剰昇温を防止することができる。
【0060】
電熱ヒータ61は、ブラケット34,35,36を介してDPF30の外周を覆うように設けられており、電熱線63は断熱材に埋設されている。電熱線63が断線した場合は、ブラケット36を取り外して、電熱ヒータ61ごと交換する。これにより、メンテナンス性向上に寄与する。
【0061】
〜変形例〜
本実施形態において、電熱線63がDPF入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置されおり、電熱線63の配置間隔が加熱勾配付与機能を構成するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
図5は、変形例に係る構成を示すDPF30の概略平面図である。電熱線63がDPF入口側から出口側に向かって均一な間隔で配置されている。一方、電熱線63の抵抗値Ωは、DPF入口側から出口側に向かって高い値から低い値になるように設定されている。たとえば、DPF入口側の電熱線63の抵抗値をΩ1と、DPF中央の電熱線63の抵抗値をΩ2と、DPF出口側の電熱線63の抵抗値をΩ3とし、Ω1>Ω2>Ω3となるように設定する。電気エネルギーが供給されると、電熱ヒータ61はDPF入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する。
【0063】
すなわち、電熱線63の抵抗値Ωの設定が、加熱勾配付与機能を構成する。この構成により、本実施形態と同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
2 コモンレール
4 インジェクタ
6 吸気通路
10 内燃機関
8 ターボチャージャ
11 インタークーラ
12 吸気制御弁
14 吸気マニホールド
15 排気マニフォ−ルド
16 排気管
18 EGR弁
19 排気浄化装置
20 酸化触媒
30 DPF
31 触媒担体
32 DPF支持材
33 ケーシング
34,35,36 ブラケット
40 中心部温度センサ
41 外周部温度センサ
42 差圧センサ
43 負荷センサ
44 回転センサ
50 オルタネータ
60 バッテリ
61 電熱ヒータ
62 リレースイッチ
63 電熱線
70 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気系に配置され、排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタと、このフィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去してフィルタを再生する再生装置と、この再生装置の作動開始・停止を制御する再生制御装置とを備えた排気浄化装置において、
前記フィルタ中心部の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記フィルタ外周部の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1温度検出手段および第2温度検出手段の検出温度に基づいて、再生に不足する熱量を演算する不足熱量演算手段と、
前記フィルタの外周に、前記不足熱量演算手段で得られた熱量を供給する加熱手段と
を備えることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1記載の排気浄化装置において、
前記加熱手段は、
前記フィルタ入口側から出口側に向かって加熱量を低減するように熱量を供給する加熱勾配付与機能
を有することを特徴とする排気浄化装置。
【請求項3】
請求項2記載の排気浄化装置において、
前記加熱手段は、前記フィルタ入口側から出口側に向かって密から疎な間隔で配置された電熱線を有し、
前記加熱勾配付与機能は、前記電熱線が発熱することにより、熱量を供給する
ことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項4】
請求項3記載の排気浄化装置において、
前記電熱線は、回生エネルギーを利用して発熱する
ことを特徴とする排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241548(P2012−241548A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109903(P2011−109903)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】