説明

排熱回収発電装置および船舶

【課題】熱源の熱を効率良く回収して、システム全体の熱効率を向上させることが可能な排熱回収発電装置および船舶を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る排熱回収発電装置1は、第1熱源から得た熱によって、第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器12と、第1蒸発器12によって蒸発させられた第1有機流体によって駆動される第1タービン13と、第1タービン13の回転出力によって発電する第1発電機14と、第1タービン13を通過した第1有機流体を凝縮させる第1凝縮器15と、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器22と、第2蒸発器22によって蒸発させられた第2有機流体によって駆動される第2タービン23と、第2タービン23の回転出力によって発電する第2発電機24と、第2タービン23を通過した第2有機流体を凝縮させる第2凝縮器25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収発電装置および船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランキンサイクルを利用して、地熱や内燃機関の排ガス等の排熱を回収して発電する技術が提案されている。例えば、ディーゼル発電機からの排熱を熱源とし、有機流体を熱媒体とする有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)によって発電する排熱回収発電装置がある。
【0003】
特許文献1では、船舶で有機ランキンサイクル(ORC)を使用して発電する技術が開示されている。また、特許文献2では、船舶において排熱を蓄熱し、蓄熱された熱エネルギーを用いて発電することによって、エネルギー利用効率を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−522081号公報
【特許文献2】特開2010−116847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機ランキンサイクル(ORC)における有機流体の蒸発温度は、有機流体経路に設けられた循環ポンプの圧力によって決定され、圧力が高圧であるほど温度が高くなる。そして、タービン入口における圧力が高圧になり、圧力落差が大きくなるため、タービン出力が大きくなり、熱回収効率が向上する。
【0006】
ところで、ランキンサイクルは例えば図6に示すようなサイクル図で表される。図6は、温度T[℃]と仕事L[kW]の関係を示すグラフである。図6には、ランキンサイクルに対して熱を供給する熱源の温度と仕事の変化も示している。熱源の変化は図6上の線Hで表される。
【0007】
ここで、図6のようなサイクル図で表される有機ランキンサイクルにおいて、タービン出力の増加を目的として圧力を高く設定すると温度が高くなる。その結果、熱源入口において、熱源よりもランキンサイクル内の有機流体の温度が高くなると、図7に示すようなクロスオーバーが発生し、有機流体は熱源から熱回収できない。
【0008】
そこで、圧力を高く設定したままクロスオーバーを回避するためには、ランキンサイクル内の有機流体の流量を絞って、熱源の温度があまり下がらない領域のみで熱を回収せざるを得ない。その結果、ランキンサイクルは図8に示すようサイクル図で表され、熱源の低温側で未利用熱が生じる。このとき、ランキンサイクルの有機流体は、熱源の熱を回収し尽くせていないため、熱の利用効率が下がる。
【0009】
また、例えばディーゼルエンジンのように複数の排熱源がある場合、図9に示すように熱源側の放熱線は折れ線状になることがある。一般的には、排ガスやターボチャージャ圧縮空気のように高温の熱源に比較して、エンジンジャケット冷却水のような低温の熱源は、熱容量が比較的少なく単位放熱量あたりの温度降下が小さいため、高温熱源に比して低温熱源の傾きが小さいようなプロファイルとなる。
【0010】
この場合にも、圧力を高く設定したままクロスオーバーを回避するためには、ランキンサイクル内の有機流体の流量を絞って、熱源の温度があまり下がらない領域のみで熱を回収せざるを得ない。その結果、ランキンサイクルは図10に示すようサイクル図で表され、熱源の低温側で未利用熱が生じる。このときランキンサイクルは、より熱容量の小さい高温熱源側の制約を受けることになり、低温熱源を有効に利用することができない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱源の熱を効率良く回収して、システム全体の熱効率を向上させることが可能な排熱回収発電装置および船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の排熱回収発電装置および船舶は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る排熱回収発電装置は、第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、第1蒸発器によって蒸発させられた第1有機流体によって駆動される第1タービンと、第1タービンの回転出力によって発電する第1発電機と、第1タービンを通過した第1有機流体を凝縮させる第1凝縮器と、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、第2蒸発器によって蒸発させられた第2有機流体によって駆動される第2タービンと、第2タービンの回転出力によって発電する第2発電機と、第2タービンを通過した第2有機流体を凝縮させる第2凝縮器とを備える。
【0013】
本発明によれば、液化している第1有機流体は、第1蒸発器にて第1熱源から得た熱によって蒸発し、蒸発した第1有機流体は、第1タービンを駆動する。そして、第1タービンの回転出力によって第1発電機が発電する。第1タービンを通過した第1有機流体は、第1凝縮器によって凝縮させられる。また、液化している第2有機流体は、第2蒸発器にて第2熱源から得た熱によって蒸発し、蒸発した第2有機流体は、第2タービンを駆動する。そして、第2タービンの回転出力によって第2発電機が発電する。第2タービンを通過した第2有機流体は、第2凝縮器によって凝縮させられる。
【0014】
したがって、本発明では、第1蒸発器と第1タービンと第1凝縮器とを有し、第1有機流体が流れるランキンサイクルと、第2蒸発器と第2タービンと第2凝縮器とを有し、第2流体が流れるランキンサイクルが構成される。ここで、第2有機流体は、第2蒸発器にて、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって蒸発する。すなわち、第1熱源と第2熱源は異なる温度であり、温度の異なる熱源から熱回収する二つのランキンサイクルを用いてタービン出力を得て発電を行うことで、熱の有効利用を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る排熱回収発電装置は、第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、第1蒸発器によって蒸発させられた第1有機流体によって駆動される第1タービンと、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、第1タービンと軸を共有し、第2蒸発器によって蒸発させられた第2有機流体によって駆動される第2タービンと、第1タービンの回転出力と第2タービンの回転出力によって発電する発電機と、第1タービンを通過した第1有機流体と第2タービンを通過した第2有機流体とを凝縮させる凝縮器とを備える。
【0016】
本発明によれば、液化している第1有機流体は、第1蒸発器にて第1熱源から得た熱によって蒸発し、蒸発した第1有機流体は、第1タービンを駆動する。また、液化している第2有機流体は、第2蒸発器にて第2熱源から得た熱によって蒸発し、蒸発した第2有機流体は、第2タービンを駆動する。第1タービンと第2タービンは軸を共有しており、第1タービンの回転出力と第2タービンの回転出力によって発電機が発電する。第1タービンを通過した第1有機流体と、第2タービンを通過した第2有機流体は、凝縮器によって凝縮させられる。
【0017】
したがって、本発明では、第1蒸発器と第1タービンと凝縮器とを有し、第1有機流体が流れるランキンサイクルと、第2蒸発器と第2タービンと凝縮器とを有し、第2有機流体が流れるランキンサイクルが構成される。ここで、第2有機流体は、第2蒸発器にて、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって蒸発する。すなわち、第1熱源と第2熱源は異なる温度であり、温度の異なる熱源から熱回収する二つのランキンサイクルを用いてタービン出力を得て発電を行うことで、熱の有効利用を図ることができる。
【0018】
また、本発明では、第1タービンと第2タービンが軸を共有して、1台の発電機によって発電が行われることから、2台のタービンそれぞれに発電機が設けられる場合に比べて、排熱回収発電装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る排熱回収発電装置は、第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、第1蒸発器によって蒸発させられた第1有機流体と、第2蒸発器によって蒸発させられた第2有機流体とによって駆動されるタービンと、タービンの回転出力によって発電する発電機と、タービンを通過した第1有機流体と第2有機流体を凝縮させる凝縮器とを備える。
【0020】
本発明によれば、液化している第1有機流体は、第1蒸発器にて第1熱源から得た熱によって蒸発し、液化している第2有機流体は、第2蒸発器にて第2熱源から得た熱によって蒸発する。そして、蒸発した第1有機流体と蒸発した第2有機流体はタービンを駆動し、タービンの回転出力によって発電機が発電する。タービンを通過した第1有機流体と第2有機流体は、凝縮器によって凝縮させられる。
【0021】
したがって、本発明では、第1蒸発器とタービンと凝縮器とを有し、第1有機流体が流れるランキンサイクルと、第2蒸発器とタービンと凝縮器とを有し、第2有機流体が流れるランキンサイクルが構成される。ここで、第2有機流体は、第2蒸発器にて、第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって蒸発する。すなわち、第1熱源と第2熱源は異なる温度であり、温度の異なる熱源から熱回収する二つのランキンサイクルを用いてタービン出力を得て発電を行うことで、熱の有効利用を図ることができる。
【0022】
また、本発明では、第1有機流体と第2有機流体が1台のタービンを駆動して、1台の発電機によって発電が行われることから、2台のタービンが設けられる場合や複数のタービンそれぞれに発電機が設けられる場合に比べて、排熱回収発電装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0023】
上記発明において、第1熱媒体が第1熱源として第1蒸発器にて第1有機流体と熱交換する第1熱媒体経路と、第2熱媒体が第2熱源として第2蒸発器にて第2有機流体と熱交換する、第1熱媒体経路と異なる第2熱媒体経路とを備えてもよい。
【0024】
本発明によれば、第1有機流体は、第1蒸発器にて、第1熱媒体経路を流れる第1熱媒体と熱交換し、第2有機流体は、第2蒸発器にて、第2熱媒体経路を流れる第2熱媒体と熱交換する。ここで、第1熱媒体経路と第2熱媒体経路は異なる。したがって、第1熱媒体経路を流れる第1熱媒体と、第2熱媒体経路を流れる第2熱媒体は、異なる場所、例えば異なる機器から熱を回収することができ、複数の機器によって熱の有効利用を図ることができる。
【0025】
上記発明において、熱媒体が第1熱源として第1蒸発器にて第1有機流体と熱交換し、第1蒸発器にて第1有機流体と熱交換した熱媒体が、第2熱源として第2蒸発器にて第2有機流体と熱交換する熱媒体経路を備えてもよい。
【0026】
本発明によれば、第1有機流体は、第1蒸発器にて、熱媒体経路を流れる熱媒体と熱交換し、第2有機流体は、第2蒸発器にて、第1有機流体と熱交換した熱媒体経路を流れる熱媒体と熱交換する。ここで、第1蒸発器と第2蒸発器を通過する熱媒体経路は共通である。したがって、第1蒸発器で熱媒体の高温側を利用し、第2蒸発器で熱媒体の低温側を利用することになるため、熱媒体が回収した熱を無駄にすることなく有効利用を図ることができる。
【0027】
上記発明において、第1熱媒体は、内燃機関の過給器から吐出される圧縮空気を冷却する空気冷却器にて熱回収し、および/または、内燃機関の排ガスと熱交換する排ガス熱交換器にて熱回収し、第1蒸発器にて第1有機流体と熱交換してもよい。
【0028】
本発明によれば、空気冷却器にて、内燃機関の過給器から吐出された圧縮空気は第1熱媒体と熱交換することで冷却され、第1熱媒体は熱回収して温度上昇する。また、排ガス熱交換器にて、内燃機関の排ガスは第1熱媒体と熱交換することで冷却され、第1熱媒体は熱回収して温度上昇する。なお、空気冷却器における熱回収と排ガス熱交換器における熱回収は、両方行われてもよいし、いずれか一方が行われてもよい。そして、第1蒸発器にて、第1熱媒体は第1有機流体と熱交換して冷却され、第1有機流体は熱回収して温度上昇し蒸発する。
【0029】
上記発明において、第2熱媒体は、内燃機関本体を冷却するエンジン冷却水と熱交換する排熱回収器にて熱回収し、第2蒸発器にて第2有機流体と熱交換してもよい。
【0030】
本発明によれば、排熱回収器にて、内燃機関本体を冷却するエンジン冷却水は第2熱媒体と熱交換することで冷却され、第2熱媒体は熱回収して温度上昇する。そして、第2蒸発器にて、第2熱媒体は第2有機流体と熱交換して冷却され、第2有機流体は熱回収して温度上昇し蒸発する。
【0031】
本発明に係る船舶は、上記いずれかの構成の排熱回収発電装置を備えている。
【0032】
本発明によれば、船舶に排熱回収発電装置が備わっているとき、第1熱源と第2熱源は異なる温度であり、温度の異なる熱源から熱回収する二つのランキンサイクルを用いてタービン出力を得て発電を行うため、船舶における熱の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
熱源の熱を効率良く回収して、システム全体の熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の排熱回収発電装置のランキンサイクルにおけるサイクル図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る排熱回収発電装置を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る排熱回収発電装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る排熱回収発電装置を示す概略図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る排熱回収発電装置および排熱回収発電装置を有する船舶における排熱回収システムを示す概略図である。
【図6】従来のランキンサイクルにおけるサイクル図である。
【図7】ランキンサイクルの蒸発器において有機流体が熱源よりも高温なった場合のサイクル図である。
【図8】図6に示した従来のランキンサイクルを変更した場合におけるランキンサイクルにおけるサイクル図である。
【図9】複数の排熱源がある場合の放熱線を合わせて示したランキンサイクルにおけるサイクル図である。
【図10】図9に示した従来のランキンサイクルを変更した場合におけるランキンサイクルにおけるサイクル図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の排熱回収発電装置は、圧力の異なる複数のサイクルを組み合わせて、熱の有効利用を図るものである。本発明のランキンサイクルは、図1に示すようなサイクル図で表される。図1は、温度T[℃]と仕事[kW]の関係を示すグラフであり、本発明の排熱回収発電装置のランキンサイクルにおけるサイクル図を表す。すなわち、熱源の高温側では、高圧サイクルで熱回収を図り、熱源の低温側では、低圧サイクルで熱回収を図る。なお、図1では、高圧サイクルと低圧サイクルは、同一熱源から熱回収する場合を示しており、高圧サイクルと低圧サイクルが熱回収する温度領域は、重ならない。
【0036】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る排熱回収発電装置1を示す概略図である。
【0037】
排熱回収発電装置1は、高圧サイクル2と低圧サイクル3の二つの有機流体経路を有する。高圧サイクル2は、循環ポンプ11と、第1蒸発器12と、タービン13と、凝縮器15からなる。低圧サイクル3は、循環ポンプ21と、第2蒸発器22と、タービン23と、凝縮器25からなる。タービン13,23にはそれぞれ発電機14,24が接続されている。
【0038】
高圧サイクル2と低圧サイクル3の有機流体経路を流れる有機流体としては、イソペンタン、ブタン、プロパンなどの低分子炭化水素や、冷媒として用いられるR134a、R245fa等を用いることができる。有機流体経路は閉回路であり、高圧サイクル2の場合、有機流体は循環ポンプ11によって循環する。有機流体は、第1蒸発器12、タービン13および凝縮器15を通過して相変化を繰り返しながら循環する。
【0039】
第1蒸発器12は、熱源を流れる熱媒体が熱源にて回収した熱によって、循環ポンプ11から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。
【0040】
タービン13は、第1蒸発器12によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)によって回転駆動される。タービン13の回転動力は発電機14に伝達され、発電機14にて電力が得られるようになっている。発電機14で得られた電力は、図示しない電力線を介して船内系統へと供給される。
【0041】
凝縮器15は気相の有機流体を海水によって冷却して凝縮液化する。凝縮液化した有機流体は、循環ポンプ11によって第1蒸発器12へ送られる。
【0042】
このように、高圧サイクル2の有機流体経路は、ポンプ11、第1蒸発器12、タービン13および凝縮器15によって有機ランキンサイクルを構成する。
【0043】
一方、低圧サイクル3の有機流体経路は、有機流体は循環ポンプ21によって循環する。有機流体は、第2蒸発器22、タービン23および凝縮器25を通過して相変化を繰り返しながら循環する。
【0044】
ここで、第2蒸発器22、タービン23、発電機24および凝縮器25はそれぞれ、第1蒸発器12、タービン13、発電機14および凝縮器15と同様の構成および作用を有する。ただし、低圧サイクル3の場合、第2蒸発器22は高圧サイクル2の第1蒸発器12に比べて低温である。そして、第2蒸発器22によって蒸発させられた有機流体は、第1蒸発器12によって蒸発させられた有機流体よりも低圧である。
【0045】
なお、高圧サイクル2を流れる有機流体と低圧サイクル3を流れる有機流体は、同一の媒体でもよいし、蒸気圧が異なる別の媒体でもよい。
【0046】
高圧サイクル2の第1蒸発器12と低圧サイクル3の第2蒸発器22を流れる熱流路は、図2に示すように第1蒸発器12と第2蒸発器22が熱流路で接続されており、共通化されている。熱媒体は、第1蒸発器12を通過して高圧サイクル2の有機流体を加熱して温度が下がった後、第2蒸発器22へ流れる。そして、熱媒体は、第2蒸発器22を通過して低圧サイクル3の有機流体を加熱する。
【0047】
なお、高圧サイクル2の第1蒸発器12を流れる熱流路と、低圧サイクル3の第2蒸発器22を流れる熱流路は、図2と異なり別の流路としてもよい。すなわち、第1蒸発器12が第2蒸発器22よりも高温であればよく、高圧サイクル2の第1蒸発器12を流れる熱流路の熱源と、低圧サイクル3の第2蒸発器22を流れる熱流路の熱源は異なってもよい。
【0048】
次に、上記構成の排熱回収発電装置1の動作について図2を用いて説明する。
熱源から導かれた熱媒体は、第1蒸発器12にて、高圧サイクル2を流れる有機流体との間で熱交換する。その結果、熱媒体の熱が高圧サイクル2の有機流体に回収される。そして、有機流体は、第1蒸発器12にて熱媒体の熱によって加熱され蒸発気化する。
【0049】
蒸発気化した有機流体は、タービン13へと導かれ、その熱落差によってタービン13を回転駆動させる。タービン13の回転出力を得て、発電機14にて発電が行われる。タービン13にて仕事を終えた有機流体(気相)は、凝縮器15へと導かれ海水等の冷却水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0050】
また、熱源から導かれた熱媒体は、第1蒸発器12にて熱交換した後、第1蒸発気12における熱媒体より低温となった熱媒体が、第2蒸発器22にて、低圧サイクル3を流れる有機流体との間で熱交換する。その結果、熱媒体の熱が低圧サイクル3の有機流体に回収される。そして、有機流体は、第2蒸発器22にて熱媒体の熱によって加熱され蒸発気化する。
【0051】
蒸発気化した有機流体は、タービン23へと導かれ、その熱落差によってタービン23を回転駆動させる。タービン23の回転出力を得て、発電機24にて発電が行われる。タービン23にて仕事を終えた有機流体(気相)は、凝縮器25へと導かれ海水等の冷却水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0052】
以上より、本発明の排熱回収発電装置1は、発電機14と発電機24で発電が行われる。このとき、本発明のランキンサイクルは、図1に示すようなサイクル図で表される。すなわち、熱源の高温側では、高圧サイクル2で熱回収を図り、熱源の低温側では、低圧サイクル3で熱回収を図る。本発明は、温度の異なる二つの熱源からそれぞれ熱回収しつつ複数の蒸発温度を有する二つのランキンサイクルを用いている。したがって、熱源の高温側からの熱回収だけでなく低温側からも熱回収することができ、本発明によれば熱の有効利用を図ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る排熱回収発電装置4を示す概略図である。
第1実施形態では、二つのタービン13,23がそれぞれ発電機14,24と接続される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。第2実施形態の排熱回収発電装置4は、タービン13,23が、図3に示すように軸を共有しており、一つの発電機34がタービン13,23に接続されている。また、図示しないが、タービン13,23は、タービンケーシングも共有している。
【0054】
排熱回収発電装置4は、高圧サイクル5と低圧サイクル6の二つの有機流体経路を有する。高圧サイクル5は、循環ポンプ11と、第1蒸発器12と、タービン13と、凝縮器35からなる。低圧サイクル6は、循環ポンプ21と、第2蒸発器22と、タービン23と、凝縮器35からなる。高圧サイクル5と低圧サイクル6は有機流体が同一である。
【0055】
有機流体経路は閉回路であり、高圧サイクル5の場合、有機流体は循環ポンプ11によって循環し、低圧サイクル6の場合、有機流体は循環ポンプ21によって循環する。図3に示す排熱回収発電装置4では、高圧サイクル5と低圧サイクル6において、凝縮器35が共通しており、有機流体経路は、タービン13,23の後かつ凝縮器35の前で合流し、凝縮器35の後かつ循環ポンプ11,21の前で有機流体経路が分岐している。
【0056】
なお、図3に示す排熱回収発電装置4では、二つの循環ポンプ11,21で二つの有機流体経路の流量を調整しているが、本発明はこの例に限定されない。例えば、高圧サイクル5と低圧サイクル6に共通する一つの循環ポンプを設けて、高圧サイクル5と低圧サイクルの有機流体の流量の違いは、経路中に流量調整弁を設けることで調整してもよい。
【0057】
タービン13の回転動力とタービン23の回転動力は発電機34に伝達され、発電機34にて電力が得られるようになっている。
【0058】
以上より、本発明の排熱回収発電装置4は、発電機34で発電が行われるが、温度の異なる二つの熱源からそれぞれ熱回収しつつ複数の蒸発温度を有する二つのランキンサイクルを用いることで、熱の有効利用を図ることができる。また、排熱回収発電装置4は、高圧サイクル5と低圧サイクル6を流れる有機流体を同一とし、タービン13,23の軸とタービンケーシングを共有することで、二つのサイクルや2台のタービンが別々に設けられる場合に比べて、排熱回収発電装置4全体のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
第3実施形態の排熱回収発電装置7は、一つのタービン33が設けられ、一つの発電機34がタービン33に接続されている。
【0060】
排熱回収発電装置7は、第2実施形態と同様に、高圧サイクル5と低圧サイクル6の二つの有機流体経路を有する。高圧サイクル5は、循環ポンプ11と、第1蒸発器12と、タービン33と、凝縮器35からなる。低圧サイクル6は、循環ポンプ21と、第2蒸発器22と、タービン33と、凝縮器35からなる。高圧サイクル5と低圧サイクル6は有機流体が同一である。
【0061】
タービン33は、端部に設けられた入口から高圧サイクル5の第1蒸発器12で蒸発した有機流体が導入される。また、タービン33は、中間部に設けられた入口から低圧サイクル6の第2蒸発器22で蒸発した有機流体がタービン33の中間段へ導入される。そして、タービン33は、第1蒸発器12、第2蒸発器22によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)によって回転駆動される。
【0062】
タービン33の回転動力は発電機34に伝達され、発電機34にて電力が得られるようになっている。以上より、本発明の排熱回収発電装置7は、発電機34で発電が行われるが、温度の異なる二つの熱源からそれぞれ熱回収しつつ複数の蒸発温度を有する二つのランキンサイクルを用いることで、熱の有効利用を図ることができる。また、排熱回収発電装置7はタービン33のみが設けられ、2台のタービンが設けられる場合に比べて、排熱回収発電装置7全体のコンパクト化を図ることができる。
【0063】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。
以下に、本発明の排熱回収発電装置8が船舶の推進用主機(ディーゼルエンジン40;内燃機関)の排熱回収として設置された構成を例として、図面を参照して説明する。図5において、破線で囲まれた領域が本発明の排熱回収発電装置8である。
【0064】
排熱回収発電装置8は、高圧サイクル9と低圧サイクル10の二つの有機流体経路を有する。高圧サイクル9は、循環ポンプ31と、流量調整弁26と、第1蒸発器12と、タービン33と、凝縮器35からなる。低圧サイクル10は、循環ポンプ31と、流量調整弁26,27と、第2蒸発器22と、タービン33と、凝縮器35からなる。タービン33は、減速器36を介して発電機34が接続されている。
【0065】
有機流体経路は閉回路である。高圧サイクル9と低圧サイクル10には、共通する循環ポンプ31が設けられており、有機流体は循環ポンプ31によって循環する。高圧サイクル9の圧力および流量は、流量調整弁26によって調整され、低圧サイクル10の圧力および流量は、流量調整弁26,27によって調整される。
【0066】
高圧サイクル9と低圧サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体としては、イソペンタン、ブタン、プロパンなどの低分子炭化水素や、冷媒として用いられるR134a、R245fa等を用いることができる。有機流体は、高圧サイクル9にて、循環ポンプ31と、第1蒸発器12と、タービン33と、凝縮器35を通過して相変化を繰り返しながら循環し、低圧サイクル10にて、循環ポンプ31と、第2蒸発器22と、タービン33と、凝縮器35を通過して相変化をくり返しながら循環する。
【0067】
第1蒸発器12は、流路56を流れる熱媒水が第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ(排ガス熱交換器)55にて回収した熱によって、循環ポンプ31から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。なお、第1空気冷却器46は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40のターボチャージャ(過給器)42から吐出された圧縮空気を冷却する。また、排ガスエコノマイザ55は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40から排出された排ガスを冷却する。
【0068】
第2蒸発器22は、ジャケット冷却水循環流路52を流れるジャケット冷却水(熱媒体)がディーゼルエンジン40のシリンダジャケットにて回収した熱によって、循環ポンプ31から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。なお、シリンダジャケットは、ディーゼルエンジン40に設けられ、ジャケット冷却水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40のシリンダブロック等を冷却する。
【0069】
タービン33は、高圧サイクル9の第1蒸発器12で蒸発した有機流体と、低圧サイクル10の第2蒸発器22で蒸発した有機流体が導入される。そして、タービン33は、第1蒸発器12と第2蒸発器22によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)によって回転駆動される。
【0070】
タービン33の回転動力は発電機34に伝達され、発電機34にて電力が得られるようになっている。発電機34で得られた電力は、図示しない電力線を介して船内系統へと供給される。タービン33を通過した有機流体は、凝縮器35にて海水によって冷却されて凝縮液化する。凝縮液化した有機流体は、循環ポンプ31によって第1蒸発器12及び第2蒸発器22へと送られる。
【0071】
次に、循環流路52について説明する。
ディーゼルエンジン40のシリンダジャケット内を流れるジャケット冷却水は、ジャケット冷却水ポンプ51によって、循環流路52内を循環する。この循環流路52は、シリンダジャケット、第2蒸発器22、温度調整用三方弁54、ジャケット冷却水ポンプ51という順番でジャケット冷却水が流れるように形成されている。
【0072】
第2蒸発器22のジャケット冷却水入口温度は例えば約85℃、ジャケット冷却水出口温度は例えば約69℃とされる。この第2蒸発器22にて、ジャケット冷却水によって有機流体が蒸発させられる。
【0073】
温度調整用三方弁54は、シリンダジャケットへ流入するジャケット冷却水が所望の入口温度となるように動作する。具体的には、ジャケット冷却水がシリンダジャケットに流入する入口温度が設定値よりも高い場合には、図示しないセントラル冷却器から導かれる清水を循環流路52へ多く流すように動作する。
【0074】
循環流路52にて、温度調整用三方弁54の上流側には、セントラル冷却器へと分岐する分岐流路が設けられている。この分岐流路から循環流路52内を流れるジャケット冷却水がセントラル冷却器側へと排出されることによって、循環流路52内を流れる循環流量のマスバランスが保たれるようになっている。
【0075】
次に、排熱回収経路56について説明する。
排熱回収経路56は閉回路とされており、熱媒水を循環させるための排熱回収用ポンプ60が設けられている。この排熱回収用ポンプ60によって、熱媒水は、第1空気冷却器46、排ガスエコノマイザ55及び第1蒸発器12と熱交換するように循環する。第1蒸発器12にて冷却された熱媒水は、減圧弁66を介して大気圧ドレンタンク58に回収される。排熱回収用ポンプ60から第1蒸発器12に送られる熱媒水の流量は、排熱回収経路56に設けられた給水制御弁61で調整される。
【0076】
第1蒸発器12の熱媒水入口温度は例えば約196℃、熱媒水出口温度は例えば約70℃とされる。この第1蒸発器12にて、熱媒水によって有機流体が蒸発させられる。
【0077】
第2空気冷却器47は、ターボチャージャ42から吐出された圧縮空気の流れに対して、第1空気冷却器46の下流側に設置されている。したがって、第1空気冷却器46の方が、第2空気冷却器47よりも温度レベルが高くなるように設置されている。第2空気冷却器47内を流れる清水は、図示しないセントラル冷却器によって冷却された後に第2空気冷却器47に導かれる。その結果、ターボチャージャ42から吐出された圧縮空気は、第1空気冷却器46と第2空気冷却器47によって冷却され、ディーゼルエンジン40に供給される。
【0078】
排ガスエコノマイザ55の高温側(排ガス流れ上流側)には、コンポジットボイラが設けられている。コンポジットボイラは、蒸気ドラム64と循環ポンプ65と蒸発器44から構成されている。蒸気ドラム64内の水は蒸発器44に送られ、蒸発器44にて排ガスと熱交換して蒸発する。
【0079】
蒸発器44にて蒸発した蒸気は、蒸気ドラム64へと導かれる。この蒸気ドラム64の上方に滞留する蒸気は、補助装置へと導かれ、その後大気圧ドレンタンク58に回収される。蒸気ドラム64内の水位は、蒸気ドラムレベル制御弁62によって調整され、大気圧ドレンタンク58から蒸気ドラム64へボイラ給水ポンプ63によって水が供給される。
【0080】
次に、上記構成の排熱回収発電装置8の動作について図5を用いて説明する。
ジャケット冷却水ポンプ51によってディーゼルエンジン40のシリンダジャケットへと導かれたジャケット冷却水は、シリンダジャケットにてシリンダブロック等を冷却する。その結果、ジャケット冷却水は昇温させられた後、第2蒸発器22へと導かれる。第2蒸発器22にて、低圧サイクル10を流れる有機流体とジャケット冷却水との間で熱交換が行われ、ジャケット冷却水の顕熱が低圧サイクル10の有機流体に回収される。ジャケット冷却水から熱回収した後の有機流体の温度は、例えば、約65℃とされる。有機流体は、第2蒸発器22にて熱媒水の顕熱によって加熱され蒸発気化する。蒸発気化して高エンタルピとなった有機流体は、タービン33へと導かれ、その熱落差によってタービン33を回転駆動させる。タービン33の回転出力を得て、発電機34にて発電が行われる。
【0081】
ディーゼルエンジン40のターボチャージャ42によって圧縮された空気は、第1空気冷却器46と第2空気冷却器47によって冷却される。この際に第1空気冷却器46内を流れる排熱回収経路56の熱媒水が圧縮空気によって昇温させられることによって、熱媒水は圧縮空気から熱を回収する。第1空気冷却器46にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば約142℃とされる。
【0082】
ディーゼルエンジン40から排出された排ガスは、コンポジットボイラの蒸発器44と排ガスエコノマイザ55によって冷却される。この際に排ガスエコノマイザ55を流れる排熱回収経路56の熱媒水が排ガスによって昇温させられることによって、熱媒水は排ガスから熱を回収する。排ガスエコノマイザ55にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば約196℃とされる。
【0083】
第1空気冷却器46と排ガスエコノマイザ55で排熱を回収して高温となった熱媒水は、第1蒸発器12へと導かれ、高圧サイクル9を循環する有機流体と熱交換する。有機流体は、第1蒸発器12にて熱媒水の顕熱によって加熱され蒸発気化する。熱媒水から熱回収した後の有機流体の温度は、例えば、約126℃とされる。
【0084】
蒸発気化して高エンタルピとなった有機流体は、タービン33へと導かれ、その熱落差によってタービン33を回転駆動させる。タービン33の回転出力を得て、発電機34にて発電が行われる。タービン33にて仕事を終えた有機流体(気相)は、凝縮器35へと導かれ海水等の冷却水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0085】
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
有機ランキンサイクルの熱源として、高圧サイクル9では、第1空気冷却器46と排ガスエコノマイザ55にて熱回収した熱を用いることとし、低圧サイクル10では、ジャケット冷却水(エンジン冷却水)によって熱回収した熱を用いることとした。
【0086】
このように、例えば約250℃といった温度レベルが高いディーゼルエンジン40の排ガスを用いるのではなく、排ガスよりも温度レベルが低く有効利用されていなかった第1空気冷却器46(例えば約70℃)、排ガスエコノマイザ55(例えば約207℃)およびジャケット冷却水(例えば約85℃)を用いることができる。
【0087】
そして、本発明の排熱回収発電装置8は、発電機34で発電が行われるが、温度の異なる二つの熱源からそれぞれ熱回収しつつ複数の蒸発温度を有する二つのランキンサイクルを用いることで、熱の有効利用を図ることができる。
【0088】
本発明の第4実施形態は、低温であるが流量が常に多いジャケット冷却水を低圧サイクル10の熱源とすることで、ジャケット冷却水の回収熱を有効に利用することができ、高温であるが流量が少ない第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ55を高圧サイクル9の熱源とすることで、第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ55の回収熱を有効に利用することができる。
【0089】
また、ジャケット冷却水は、船舶の運転状況にかかわらず、排ガスの熱に比べて熱量の変化が少ない。そのため、排ガスの熱量が低下して、高圧サイクル9側の熱回収が低下した場合でも、低圧サイクル10側の熱回収は継続でき、本発明の排熱回収発電装置8は排熱回収による発電を行うことができる。
【0090】
本発明の第4実施形態は、ジャケット冷却水と、第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ55という温度や流量が異なる熱源に着目したものである。従来、高圧のランキンサイクルでは有機流体の流量を絞らざるを得ず、熱源の低温側で未利用熱が生じるところを、低圧のランキンサイクルと組み合わせることで、従来未利用熱だった温度領域からも熱回収することができる。本発明では、上述の性質の異なる熱源に着目することによって、有機流体が熱回収する温度が異なる二つのランキンサイクルを組み合わせた排熱回収発電装置8を実現することができた。
【0091】
なお、上記第4実施形態において、熱媒水は、第1空気冷却器46における熱回収と排ガスエコノマイザ55における熱回収は、両方で行われるとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、熱媒水の熱回収はいずれか一方で行われるとしてもよい。また、上記説明では、熱回収する温度が異なる二つのランキンサイクルを組み合わせたものとしたが、本発明はこの例に限定されない。有機流体が熱回収する温度が異なれば、三つ以上のランキンサイクルを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1,4,7,8 排熱回収発電装置
2,5,9 高圧サイクル
3,6,10 低圧サイクル
11,21,31 循環ポンプ
12 第1蒸発器
13 タービン(第1タービン)
14 発電機(第1発電機)
15 凝縮器(第1凝縮器)
22 第2蒸発器
23 タービン(第2タービン)
24 発電機(第2発電機)
25 凝縮器(第2凝縮器)
26,27 流量調整弁
33 タービン
34 発電機
35 凝縮器
40 ディーゼルエンジン
42 ターボチャージャ
46 第1空気冷却器
51 ジャケット冷却水ポンプ
55 排ガスエコノマイザ
60 排熱回収用ポンプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、
該第1蒸発器によって蒸発させられた前記第1有機流体によって駆動される第1タービンと、
該第1タービンの回転出力によって発電する第1発電機と、
前記第1タービンを通過した前記第1有機流体を凝縮させる第1凝縮器と、
前記第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、
該第2蒸発器によって蒸発させられた前記第2有機流体によって駆動される第2タービンと、
該第2タービンの回転出力によって発電する第2発電機と、
前記第2タービンを通過した前記第2有機流体を凝縮させる第2凝縮器と、
を備える排熱回収発電装置。
【請求項2】
第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、
該第1蒸発器によって蒸発させられた前記第1有機流体によって駆動される第1タービンと、
前記第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、
前記第1タービンと軸を共有し、該第2蒸発器によって蒸発させられた前記第2有機流体によって駆動される第2タービンと、
前記第1タービンの回転出力と該第2タービンの回転出力によって発電する発電機と、
前記第1タービンを通過した前記第1有機流体と前記第2タービンを通過した前記第2有機流体とを凝縮させる凝縮器と、
を備える排熱回収発電装置。
【請求項3】
第1熱源から得た熱によって、液化している第1有機流体を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1熱源よりも低温とされた第2熱源から得た熱によって、液化している第2有機流体を蒸発させる第2蒸発器と、
前記第1蒸発器によって蒸発させられた前記第1有機流体と、前記第2蒸発器によって蒸発させられた前記第2有機流体とによって駆動されるタービンと、
該タービンの回転出力によって発電する発電機と、
前記タービンを通過した前記第1有機流体と前記第2有機流体を凝縮させる凝縮器と、
を備える排熱回収発電装置。
【請求項4】
第1熱媒体が前記第1熱源として前記第1蒸発器にて前記第1有機流体と熱交換する第1熱媒体経路と、
第2熱媒体が前記第2熱源として前記第2蒸発器にて前記第2有機流体と熱交換する、第1熱媒体経路と異なる第2熱媒体経路と、
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の排熱回収発電装置。
【請求項5】
熱媒体が前記第1熱源として前記第1蒸発器にて前記第1有機流体と熱交換し、前記第1蒸発器にて前記第1有機流体と熱交換した前記熱媒体が、前記第2熱源として前記第2蒸発器にて前記第2有機流体と熱交換する熱媒体経路を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の排熱回収発電装置。
【請求項6】
前記第1熱媒体は、内燃機関の過給器から吐出される圧縮空気を冷却する空気冷却器にて熱回収し、および/または、前記内燃機関の排ガスと熱交換する排ガス熱交換器にて熱回収し、前記第1蒸発器にて前記第1有機流体と熱交換する請求項4に記載の排熱回収発電装置。
【請求項7】
前記第2熱媒体は、内燃機関本体を冷却するエンジン冷却水と熱交換する排熱回収器にて熱回収し、前記第2蒸発器にて前記第2有機流体と熱交換する請求項4または6に記載の排熱回収発電装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の排熱回収発電装置を備えている船舶。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−149541(P2012−149541A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7342(P2011−7342)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】