説明

接点信号伝送システム

【課題】通信異常の発生をユーザが早期に発見できるようにした接点信号伝送システムを提供する。
【解決手段】伝送子機2は、搬送台車6を制御する個別制御用PLC4の入出力接点端子に接続され、個別制御用PCL4との間で接点信号の授受を行う。伝送親機1は、全体制御用PLC3との間で通信を行う第1通信部11と、伝送子機2との間で通信を行う第2通信部12と、第1通信部11が受信したデータを第2通信部12から対応する伝送子機2に送信させるとともに、第2通信部12が受信したデータを第1通信部11から全体制御用PLC3に送信させる制御部14とを備える。制御部14は、第2通信部12と伝送子機2との間の通信での異常の有無を監視し、通信異常を検出すると通信異常を報知するための報知信号を第1通信部11から外部装置(全体制御用PLC3)に出力させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点信号伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場において部品の搬送などに用いられる複数台の移動台車にそれぞれ個別制御用プログラマブルコントローラ(以下、個別制御用PLCと言う。)を搭載して、各移動台車の動作を制御させると共に、1台の全体制御用プログラマブルコントローラ(以下、全体制御用PLCと言う。)が電路を介して複数の個別制御用PLCとの間で接点信号を送受し、各個別制御用PLCの動作を制御することで、複数台の移動台車の動作を全体的に制御するようにした制御システムが提供されている。また、プログラマブルコントローラを用いた制御システムでは、異常発生時にどのモジュールで異常が発生したかを容易に判別できるように、異常が発生したモジュールをラダー図に変換して表示装置に表示させるようにしたものも提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、個別制御用PLCは複数点の入出力接点端子を備えており、複数台の個別制御用PLCの入出力接点端子を全体制御用PLCの入出力接点端子と直接接続した場合、ノイズの影響により通信距離を長くとれないという問題や配線数が多くなって施工性が悪化するという問題があった。
【0004】
そこで、各移動台車に伝送子機を搭載するとともに、1乃至複数台の伝送子機に電路を介して接続される伝送親機を設け、伝送親機と伝送子機とを用いて、全体制御用PLCと複数台の個別制御用PLCとの間の接点信号の送受信を中継するようにした接点信号伝送システムが従来提案されていた。
【0005】
ここで、伝送子機は、個別制御用PLCの入出力接点端子に接続され、個別制御用PLCから入出力接点端子を介して入力された接点信号をもとに作成した送信データを伝送親機に送信するとともに、伝送親機から受信した受信データをもとに作成した接点信号を入出力接点端子を介して個別制御用プログラマブルコントローラに出力する。また、伝送親機は、全体制御用PLCとの間で通信を行う第1通信手段と、伝送子機との間で電路を介して通信を行う第2通信手段と、第1通信手段が受信したデータを第2通信手段から対応する伝送子機に送信させるとともに、第2通信手段が受信したデータを第1通信手段から全体制御用プログラマブルコントローラに送信させる通信制御手段とを備えており、全体制御用PLCと個別制御用PLCとの間の接点信号の授受を、伝送親機及び伝送子機が中継することにより行っている。
【特許文献1】特開平8−36405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の接点信号伝送システムでは、全体制御用PLCと個別制御用PLCとの間で接点信号を中継する伝送親機−伝送子機間で通信異常が発生した場合に、この通信異常を伝送親機に表示させるものは提供されているが、一般的に、伝送親機は全体制御用PLCと共に制御盤の内部に設置されているため、伝送親機でエラー表示を行ったとしても、そのエラー表示をユーザが見落とす可能性があり、伝送異常の発生に気付くのが遅れたり、伝送異常の復旧に時間を要してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、通信異常の発生をユーザが早期に発見できるようにした接点信号伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、伝送親機と1乃至複数台の伝送子機とが電路を介して接続され、伝送子機は、被制御機器を制御する個別制御用プログラマブルコントローラの入出力接点端子に接続され、個別制御用プログラマブルコントローラから入出力接点端子を介して入力された接点信号をもとに作成した送信データを伝送親機に送信するとともに、伝送親機から受信した受信データをもとに作成した接点信号を入出力接点端子を介して個別制御用プログラマブルコントローラに出力し、伝送親機は、システム全体の制御を行う全体制御用プログラマブルコントローラとの間で通信を行う第1通信手段と、伝送子機との間で電路を介して通信を行う第2通信手段と、第1通信手段が受信したデータを第2通信手段から対応する伝送子機に送信させるとともに、第2通信手段が受信したデータを第1通信手段から全体制御用プログラマブルコントローラに送信させる通信制御手段と、第2通信手段と伝送子機との間の通信での異常の有無を監視する通信異常監視手段と、通信異常監視手段が通信異常を検出すると通信異常を報知するための報知信号を外部装置に出力する通信異常報知手段とを備えて成ることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、伝送子機には個別のアドレスが割り当てられており、伝送親機に、通信異常監視手段が通信異常を検出した伝送子機のアドレスを複数記憶する記憶手段と、通信異常が検出された伝送子機のアドレスを表示する表示手段と、表示手段の表示内容を切り替えるための切替操作手段と、ユーザが切替操作手段を操作する毎に記憶手段に記憶されたアドレスを、異常発生時の新しい順番で読み出して表示手段に表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、伝送親機の通信異常監視手段が、第2通信手段と伝送子機との間の通信で通信異常を検出すると、通信異常を報知する報知信号を通信異常報知手段が外部装置に出力しているので、ユーザが発見しやすい場所に設置された外部装置(パソコンや表示装置など)で通信異常を報知することによって、通信異常の発生をユーザに対して早期に知らしめることができ、通信異常への復旧対応を早めに行わせることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、伝送親機の表示手段に通信異常が検出された伝送子機のアドレスを表示しているので、表示手段の表示を読み取ることによって、通信異常がどの伝送子機で発生したのかを容易に判別できる。さらに記憶手段には、通信異常が検出された伝送子機のアドレスが複数記憶されており、ユーザが切替操作手段を操作する毎に、表示制御手段が、記憶手段から異常発生時の新しい順番でアドレスを読み出し、表示手段に表示させているので、通信異常が発生した伝送子機のアドレスを時系列で表示させることによって、通信異常が発生した場合の状況をユーザが把握しやすくなるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る接点信号伝送システムを用いた制御システムの概略的なブロック図を図1に、概略のシステム構成図を図2に示す。この制御システムは、例えば工場などで予め決められた経路にしたがって部品や製品などを搬送する複数の搬送台車6(被制御機器)を制御するために用いられ、分電盤5内に設置された全体制御用プログラマブルコントローラ(以下、全体制御用PLCと言う。)3および伝送親機1と、搬送台車6に搭載された伝送子機2および個別制御用プログラマブルコントローラ(以下、個別制御用PLCと言う。)4とを主要な構成として備えている。なお伝送親機1および伝送子機2にはそれぞれ個別のアドレスが割り当てられており、アドレスを含めた伝送信号を用いることによって伝送親機1および伝送子機2の間で伝送信号の授受が行えるようになっている。本システムでは最大32台の伝送子機2を接続することができ、伝送子機2には0〜31までのアドレスが設定されている。
【0013】
図2のシステム構成図に示すように工場内の上方空間には、電力供給や信号の送受信のための移動電路7が搬送台車6の移動経路に沿って設置されており、移動電路7に移動自在に取り付けられた給電ブロック8から電線9bを介して搬送台車6に電源を供給するようになっている。また分電盤5内に設置された伝送親機1は、電線9aを介して移動電路7に電気的に接続されており、伝送親機1と伝送子機2との間では電路(電線9a、移動電路7、給電ブロック8、電線9bからなる)を介して例えば電力線搬送通信のような通信方式で伝送信号の授受が行われている。尚、伝送親機1と伝送子機2との間の通信方式は電力線搬送通信に限定されるものではなく、従来周知の通信方式により通信を行えば良い。
【0014】
伝送子機2は、図1に示すように、個別制御用PLC4が備える複数点の接点出力端子4aから接点信号が入力される接点入力インターフェース(以下、接点入力I/Fと略称す。)21と、個別制御用PLC4が備える複数点の接点入力端子4bに接点信号を出力する接点出力インターフェース(以下、接点出力I/Fと略称す。)22と、上記電路を介して伝送親機1との間で通信を行う伝送通信部23とを備える。そして伝送通信部23では、個別制御用PLC4の接点出力端子4aから接点入力I/F21を介して入力された複数点の接点信号を複数ビットの送信データにシリアル変換して、当該送信データを伝送親機1側へ送信するとともに、伝送親機1から当該伝送子機2に宛てて送信された複数ビットの受信データを複数点の接点信号にパラレル変換して、これらの接点信号を接点出力I/F22から個別制御用PLC4の接点入力端子4bに出力する。
【0015】
一方、伝送親機1は、図1に示すように、第1通信部11と、第2通信部12と、後述のディップスイッチSW2からなる通信設定部13と、制御部14と、後述するスイッチSW1,SW3〜SW5からのスイッチ入力を制御部14に与えるスイッチ入力部15と、異常表示部16と、後述の発光ダイオードLD1〜LD6からなる動作表示部17と、記憶部18とを主要な構成として備えている。図3(a)は伝送親機1の外観図であり、箱状のケース31の内部には第1通信部11、第2通信部12、制御部14などの回路が形成されたプリント配線板(図示せず)を収納してある。このケース31の前面には、伝送親機1の動作状態を表示したり各種の設定を行うための表示操作部32を設けてあり、表示操作部32にはスイッチSW1〜SW5や、発光ダイオードLD1〜LD5や、ディスプレイ16aなどが配設されている(図3(b)参照)。
【0016】
第1通信部11には電線9cを介して全体制御用PLC3が接続されており、全体制御用PLC3との間で例えばRS232Cの通信規格でシリアル通信を行っている。
【0017】
第2通信部12は、電路(電線9a、移動電路7、給電ブロック8および電線9bからなる)を介して複数の伝送子機2に接続され、アドレスを含む伝送信号を送受することによって各伝送子機2との間で個別に通信が行えるようになっている。
【0018】
記憶部18は例えば制御部14を構成するCPUの内蔵メモリからなり、その記憶領域には、個々の伝送子機2に割り当てたアドレスに対応して、伝送子機2からの受信データを記憶する受信データ記憶領域と、伝送子機2への送信データを記憶する送信データ記憶領域とが設けられている。
【0019】
制御部14は例えばCPUからなり、伝送親機1の全体的な制御を行うとともに、第1通信部11および第2通信部12の通信を制御している。すなわち制御部14では、第1通信部11が全体制御用PLC3から受信したデータを、記憶部18内で送信先の伝送子機アドレスに対応した送信データ記憶領域に書き込んでおり、送信データ記憶領域に書き込まれたデータは第2通信部12が対応する伝送子機アドレスの伝送子機2へ送信するようになっている。また制御部14では、第2通信部12が伝送子機2からデータを受信すると、受信したデータを記憶部18内で送信元の伝送子機アドレスに対応した受信データ記憶領域に書き込んでおり、受信データ記憶領域に書き込まれたデータは第1通信部11が全体制御用PLCに送信するようになっている。而して、全体制御用PLC3では、伝送親機1及び伝送子機2を介して、個々の搬送台車6の動作を制御する個別制御用PLC4との間で接点信号の送受信を行うことができ、全体制御用PLC3により複数台の搬送台車6の動作を制御することができる。
【0020】
また制御部14は、第2通信部と伝送子機2との間の通信で異常が発生するか否かを監視する機能を備えている。通信異常監視部としての制御部14は、第2通信部12と伝送子機2との間でデータが送受信されると、送受信したデータを記憶部18内に記憶されたエラーチェック用のデータと照合し、不一致の場合に通信異常が発生したと判断している。そして、制御部14が伝送エラーを検出すると、通信異常が発生した伝送子機2のアドレスを記憶部18に発生順に記憶させた後、伝送エラー表示用の発光ダイオードLD5を点灯させるとともに、異常が発生した伝送子機2のアドレスを異常表示部16に出力し、さらに通信異常を報知するための報知信号を第1通信部11から外部装置(本実施形態では全体制御用PLC3)に出力させている。なお異常表示部16は図3(b)に示すように例えば7セグメントの2桁のディスプレイ16aを備えており、制御部14から通信異常の発生した伝送子機2のアドレスが入力されると、そのアドレスをディスプレイ16aに表示させるようになっている。
【0021】
また制御部14は、伝送親機1の動作状態や伝送線(電線9a,9bおよび移動電路7など)の異常の有無などを監視する機能も備えており、伝送親機1の動作状態や伝送線の異常の有無などを監視した結果を動作表示部17に表示させている。
【0022】
ところで、伝送子機2は、個別制御用PLC4の入出力接点端子(接点出力端子4aおよび接点入力端子4bからなる)に接続されているので、個別制御用PLC4の種類に関係なく、接点信号の授受が可能であるが、伝送親機1は全体制御用PLC3との間でシリアル通信を行っており、全体制御用PLC3の備える通信回路(図示せず)の通信プロトコルが製造会社毎或いは機種毎で異なる場合、全体制御用PLC3の製造会社や機種に応じて第1通信部11の通信プロトコルを変更する必要がある。そこで、本システムでは伝送親機1に、例えば4社(A社、B社、C社、D社)のプログラマブルコントローラでそれぞれ使用される通信プロトコルから、第1通信部11に接続された全体制御用PLC3に対応する通信プロトコルを選択するためのロータリスイッチSW1を設けてあり、制御部14では、ロータリスイッチSW1によって選択された通信プロトコルにしたがって、第1通信部11により通信を行わせるようになっている。
【0023】
通信設定部13は例えば2ビットのディップスイッチSW2からなり、第1通信部11の通信速度の切替や、通信異常を報知するための報知信号を外部に送信するか否かを設定するためのもので、通信設定部13で設定された通信条件にしたがって、制御部14が第1通信部11の通信を制御する。
【0024】
図3(b)は表示操作部32を拡大表示した説明図であり、表示操作部32には、動作状態を表示するための複数の発光ダイオードLD1〜LD6や、伝送エラーの発生した伝送子機2のアドレスを表示するディスプレイ16aが配置されている。また表示制御部32には、上述のロータリスイッチSW1と、通信速度の切替(9600bps又は19.2kbps)や報知信号の送信設定(送信するか否かの切替)を行うためのディップスイッチSW2と、リセット操作を行うための押釦スイッチからなるリセットスイッチSW3,SW4と、ディスプレイ16aの表示を切り替えるための押釦スイッチからなる切替スイッチSW5とが設けられている。
【0025】
ここで、発光ダイオードLD1は電源表示用であり、伝送親機1に電源が供給されると、制御部14が発光ダイオードLD1を点灯させる。発光ダイオードLD2は伝送親機1の正常動作中を表示するためのもので、制御部14では正常動作中に発光ダイオードLD2を点灯させるとともに、制御部14を構成するCPUが暴走すると、発光ダイオードLDを消灯させるようになっている。
【0026】
また発光ダイオードLD3は伝送線(電線9a,9bおよび移動電路7など)の短絡状態を表示するためのもので、制御部14では、伝送線の短絡状態を検出すると発光ダイオードLD3を点灯させるとともに、短絡状態を復旧させた後にリセットスイッチSW3が押し操作されると発光ダイオードLD3を消灯させる。発光ダイオードLD4は伝送線(電線9a,9bおよび移動電路7など)の断線状態を表示するためのもので、制御部14では、伝送線の断線状態を検出すると発光ダイオードLD4を点灯させるとともに、断線状態が正常状態に復旧すると発光ダイオードLD4を消灯させる。
【0027】
また発光ダイオードLD5は全体制御用PLC3との間の通信異常を表示するためのもので、制御部14では、全体制御用PLC3との間の通信で異常が発生すると、発光ダイオードLD5を点灯させ、その後リセットスイッチSW4の押し操作により第1通信部11が初期化されて、通信が正常に制御に行われると、発光ダイオードLD5を消灯させている。
【0028】
発光ダイオードLD6は伝送子機2との間の伝送エラー(通信異常)を表示するためのもので、制御部14では、第2通信部12と伝送子機2との間の通信で通信異常を検出すると発光ダイオードLD6を点灯させるとともに、通信異常を検出した伝送子機2のアドレスを異常表示部16のディスプレイ16aに表示させ、さらに通信異常の発生した伝送子機2のアドレスを記憶部18に記憶させている。また通信異常の発生を表示した後に伝送子機2との間の通信が正常状態に復帰すると、制御部14では、通信が正常に行われていることを検出して、発光ダイオードLD6を消灯させるとともに、ディスプレイ16aを無表示に切り替える。
【0029】
記憶部18には、通信異常が検出された伝送子機2のアドレスが複数記憶されており、複数のアドレスは通信異常の発生時刻の順番に記憶されている。そして、ユーザが切替スイッチSW5(切替操作手段)を操作すると、切替スイッチSW5が操作される毎に、表示制御手段たる制御部14は、記憶部18に記憶されたアドレスを所定の順番(例えば伝送エラーの発生時刻が新しい順番)で読み出し、読み出したアドレスをディスプレイ16aに表示させている。本実施形態では記憶部18に、通信異常が発生した伝送子機2のアドレスが最大6個まで記憶されており、通信異常の発生回数が6回を超えた場合、6個のアドレスの内、通信異常の発生時刻が最も古いアドレスに、新しいアドレスを上書きするようになっている。
【0030】
ここで、ディスプレイ16aの表示内容の切替動作について図4の動作フローを参照して説明する。なお記憶部18には、通信異常の発生時刻が新しい順番に、“01”“08”“16”“24”“05”“14”の6つのアドレスが記憶されているものとする。
【0031】
伝送エラーが発生していない状態では制御部14はディスプレイ16aの表示を無表示状態に切り替えている(ステップS1)。この状態でユーザが切替スイッチSW5を1回押し操作すると、制御部14は、切替スイッチSW5からの操作入力に応じて、記憶部18に記憶されたアドレスの中から、一番最後の(通信異常の発生時刻が一番新しい)アドレス“01”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS2)。その後、所定時間内に切替スイッチSW5が再度押し操作されると、制御部14は、記憶部18から通信異常の発生時刻が2番目に新しいアドレス“08”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS3)。また、前回の操作から所定時間内に切替スイッチSW5が再度押し操作されると、制御部14は、記憶部18から通信異常の発生時刻が3番目に新しいアドレス“16”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS4)。また、前回の操作から所定時間内に切替スイッチSW5が再度押し操作されると、制御部14は、記憶部18から通信異常の発生時刻が4番目に新しいアドレス“24”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS5)。また、前回の操作から所定時間内に切替スイッチSW5が再度押し操作されると、制御部14は、記憶部18から通信異常の発生時刻が5番目に新しいアドレス“05”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS6)。また、前回の操作から所定時間内に切替スイッチSW5が再度押し操作されると、制御部14は、記憶部18から通信異常の発生時刻が6番目に新しいアドレス“14”を読み出してディスプレイ16aに表示させる(ステップS7)。その後、切替スイッチSW5が再度押し操作されるか、或いは、前回の操作から所定時間が経過すると、制御部14は、ディスプレイ16aの表示を無表示状態に戻している(ステップS1)。尚、ステップS2〜S7において通信異常の発生した伝送子機2のアドレスを表示している状態で、前回の操作から所定時間が経過するまでの間に切替スイッチSW5が操作されなかった場合に、制御部14が、ディスプレイ16aの表示を無表示状態に戻しても良く(ステップS1)、伝送エラーの発生したアドレスが表示され続けるのを防止できる。
【0032】
上述の制御システムに用いられる接点伝送システムの構成及び動作は以上説明した通りであり、伝送親機1の制御部14が、第2通信部12と伝送子機2との間の通信での異常の有無を監視し、通信異常を検出すると通信異常を報知するための報知信号を第1通信部11から外部装置(全体制御用PLC3)に出力させている。したがって、全体制御用PLC3では伝送親機1から入力された報知信号に基づいて、分電盤5(制御盤)の外側に設置された表示装置(図示せず)に報知信号を表示させることができるから、ユーザが発見しやすい場所に設置された表示手段などの外部装置で報知信号を表示することによって、通信異常の発生をユーザに早期に発見させることができ、通信異常への対策を早期にとらせることができる。
【0033】
また本実施形態の接点伝送システムでは、伝送親機1の記憶部18には、通信異常が検出された伝送子機2のアドレスが複数記憶されており、ユーザが切替スイッチSW5を操作する毎に、制御部14が、記憶部18から所定の順番(エラー発生時刻の新しい順番)でアドレスを読み出して、ディスプレイ16aに表示させているので、通信異常が発生した伝送子機2のアドレスを時系列で表示させることによって、通信異常が発生した場合の状況をユーザが把握しやすくなり、通信異常への対策がとりやすくなるという効果がある。なお伝送親機1に複数ビットのディップスイッチを設け、ディップスイッチの設定が「0」の場合は無表示、「1」の場合は発生時刻が最新のアドレスを表示、「2」の場合は発生時刻が2番目に新しいアドレスを表示するというようにしても良いが、記憶部18に記憶させるアドレスの数が増えると、ビット数の大きいディップスイッチを設ける必要があったり、ディップスイッチの操作が面倒になるという問題があるが、本実施形態では押釦スイッチからなる切替スイッチSW5を操作する毎にアドレスの表示を切り替えているので、表示の切り替え操作が簡単に行えるという利点もある。
【0034】
なお本実施形態では、複数台の搬送台車を制御する制御システムに接点信号伝送システムを適用した例について説明を行ったが、1台の全体制御用PLCで複数台の個別制御用PLCの動作を制御するような制御システムであれば、どのような制御システムにも適用でき、例えば自動組立ラインや材料供給ラインの制御や、天井クレーン又は間仕切り壁の制御などを行う制御システムにおいて、複数台の個別制御用PLCと全体制御用PLCとの間で接点信号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態を用いる制御システムの概略的なブロック図である。
【図2】同上を用いる制御システムの概略的なシステム構成図である。
【図3】同上を構成する伝送親機を示し、(a)は外観図、(b)は表示操作部の拡大図である。
【図4】同上の動作を説明する動作フロー図である。
【符号の説明】
【0036】
1 伝送親機
2 伝送子機
3 全体制御用PLC(全体制御用プログラマブルコントローラ)
4 個別制御用PLC(個別制御用プログラマブルコントローラ)
4a 接点出力端子(入出力接点端子)
4b 接点入力端子(入出力接点端子)
6 搬送台車
7 移動電路
8 給電ブロック
9a〜9c 電線
11 第1通信部(通信異常報知手段)
12 第2通信部
14 制御部(通信制御手段、通信異常監視手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送親機と1乃至複数台の伝送子機とが電路を介して接続され、
伝送子機は、被制御機器を制御する個別制御用プログラマブルコントローラの入出力接点端子に接続され、個別制御用プログラマブルコントローラから入出力接点端子を介して入力された接点信号をもとに作成した送信データを伝送親機に送信するとともに、伝送親機から受信した受信データをもとに作成した接点信号を入出力接点端子を介して個別制御用プログラマブルコントローラに出力し、
伝送親機は、システム全体の制御を行う全体制御用プログラマブルコントローラとの間で通信を行う第1通信手段と、伝送子機との間で前記電路を介して通信を行う第2通信手段と、第1通信手段が受信したデータを第2通信手段から対応する伝送子機に送信させるとともに、第2通信手段が受信したデータを第1通信手段から全体制御用プログラマブルコントローラに送信させる通信制御手段と、第2通信手段と伝送子機との間の通信での異常の有無を監視する通信異常監視手段と、通信異常監視手段が通信異常を検出すると通信異常を報知するための報知信号を外部装置に出力する通信異常報知手段とを備えて成ることを特徴とする接点信号伝送システム。
【請求項2】
伝送子機には個別のアドレスが割り当てられており、伝送親機に、通信異常監視手段が通信異常を検出した伝送子機のアドレスを複数記憶する記憶手段と、通信異常が検出された伝送子機のアドレスを表示する表示手段と、表示手段の表示内容を切り替えるための切替操作手段と、ユーザが切替操作手段を操作する毎に記憶手段に記憶されたアドレスを、異常発生時の新しい順番で読み出して表示手段に表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の接点信号伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−282571(P2009−282571A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131170(P2008−131170)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】