説明

接着テープ

【解決手段】カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂と、フィルム形成性樹脂とを含む接着テープ。熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であり得、熱硬化性樹脂は硬化剤を含み得る。硬化剤は、イミダゾール化合物および/またはリン化合物であり得る。
【効果】回路基板および多層フレキシブルプリント配線板の層間材料として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント配線板の多層化が進んでおり、フレキシブルプリント配線板も多層構造のものが多用されている。このプリント配線板はフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板との複合基板であるリジッドフレックスプリント配線板であり、用途が拡大している。
【0003】
従来の多層フレキシブルプリント配線板やリジッドフレックスプリント配線板の製造方法は、片面回路基板と接着剤層を交互に複数積層した後積層形成し、そこに層間接続用の貫通孔をあけ、該貫通孔に層間接続用スルーホールめっきを施した後、最外層の回路等の加工を行う方法や、片面回路基板の絶縁材側に銅箔を貫通しない穴を開け、金属または合金により導体ポストを形成し、全層表面被覆処理を行い、接着剤層と配線板を加圧し必要回数繰り返し行い多層化する工法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
前者の製造方法では、一般的に用いられる層間の電気的接続方式として、全層を貫く貫通孔を開け、そこへスルーホールめっきする形で各層間を電気的に接続する手法が用いられる。しかし、この電気的接続方法では、加工方法が簡単ではあるが回路の設計上非常に制約が多くなる。また最も劣る点としては、貫通スルーホールめっきで全層を電気的に接続するため、最外層はスルーホールめっき接続ランドが多くなり、また占める面積割合も増える。また、これにより、回路実装密度を上げることができないため、部品の実装や回路配線に致命的となることがある。また、今後の市場要求が高まる高密度実装、高密度配線の作製が困難な仕様となる。
【0005】
フレキシブルプリント配線板の製造方法は、安価に製造するために、1枚のシートに複数個配列した多面取りパターンにて作成する。そのため、多層フレキシブルプリント配線板も同様の製造方法を経ることで、安価に製造することができる。しかし、この製造方法では、シート内にパターニング不良があると、パターニング不良部分が積層された多層フレキシブルプリント配線板は不良となり、積層工程におけるプロセス歩留まりが低下する。
【0006】
また、多層フレキシブルプリント配線板やリジッドフレックスプリント配線板と、多層リジッドプリント配線板との最大の相違点は、柔軟性がある部分の有無である。この柔軟性がある部分の作製では、柔軟性がある部分が積層されないように外層を除くか、或いは積層後外層を除かなければならず、シート積層した場合、シートあたりの配線板取り数が悪くなってしまう。更に各層大きさの異なるパターン設計の場合、1シート当たりの配線板取り数は、各層回路基板取り数の内もっとも少ない回路基板取り数に制限されてしまい、シートあたりの配線板取り数が悪くなってしまう。
【0007】
後者の製造方法では、導体ポストの受け側基材をレーザー加工にて穴あけし、デスミアを行い、表面被覆開口部を作製する特殊工程がありこれらの技術確立、歩留まりの問題がある。また層数が増えるに従い、製造に時間、コストがかかり、表面被覆の材料コストも高くなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−54934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、確実にはんだバンプを溶融させて回路基板の層間の電気的接合を行うことが出来る接着テープを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂と、フィルム形成性樹脂とを含む接着テープが提供される。上記構成により、はんだバンプを溶融させて層間の電気的接合時に半田表面の酸化膜および被接続面である銅箔表面の酸化膜を還元し、強度の大きい良好な接合を可能にすることができる。更に、本発明の接着テープは、はんだ接合後に洗浄などにより除去する必要がなく、そのまま加熱することにより、三次元架橋した樹脂となり密着力に優れた、回路基板および多層フレキシブルプリント配線板の層間材料となる。
【0011】
上記接着テープにおいて、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であり得る。この構成により、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れた接着テープを得ることができる。
【0012】
上記接着テープにおいて、熱硬化性樹脂は硬化剤を含み得る。この構成により、接着テープの硬化特性の制御性を向上させることができる。
【0013】
上記接着テープにおいて、硬化剤は、イミダゾール化合物および/またはリン化合物であり得る。この構成により、接着テープの硬化性を向上することができる。
【0014】
上記接着テープにおいて、フィルム形成性樹脂はフェノキシ樹脂またはアクリルゴムであり得る。フェノキシ樹脂を用いることにより、硬化前の接着テープの流動性を抑制し、層間厚みを均一にすることができる。アクリルゴムを使用することにより、フィルム状の接着テープを作製する際の成膜安定性を向上させることができるとともに、被接着物と接着テープとの密着性を向上させることができる。
【0015】
上記接着テープは、シランカップリング剤をさらに含み得る。この構成により接着テープと被接着物との密着性を向上させることができる。
【0016】
上記接着テープは、酸化処理した銅板の表面に接着テープを貼り付けて、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、以下の式(1)で表される銅板の酸化銅還元率が70%以上である。
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・式(1)
【0017】
上記接着テープは、接着テープ上に直径が500μmのスズ含有半田ボールを配置し、半田ボールの融点より30℃高い温度で20秒加熱したとき、以下の式(2)で表される半田濡れ拡がり率が40%以上である。
半田濡れ広がり率(%)=[{(半田ボールの直径)−(濡れ拡がり後の半田の厚み)}/(半田ボールの直径)]×100 ・・・式(2)
【0018】
上記接着テープは、厚み100μm、223℃における溶融粘度が10〜10000Pa・sである。
【0019】
上記接着テープは、厚み100μmの上記接着テープを粘弾性測定装置で昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzで測定した時の25〜250℃における最低溶融粘度が1Pa・s以上10000Pa・s以下である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、確実にはんだバンプを溶融させて回路基板の層間の電気的接合を行うことが出来る接着テープが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、接着テープが用いられた多層回路基板である。
【図2】図2は、図1の多層回路基板の接続部分を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の接着テープの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の接着テープは、カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂と、フィルム形成性樹脂とを含む。以下、各成分について説明する。
【0024】
本発明で使用されるカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物とは、分子中にカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基が少なくとも1つ以上存在する化合物をいい、液状であっても固体であってもよい。
【0025】
カルボキシル基を含有するフラックス活性化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。フェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物としては、フェノール類が挙げられる。
【0026】
脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0027】
脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0028】
芳香族酸無水物としては、無水フタル酸無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0029】
脂肪族カルボン酸としては、下記式(3)で示される化合物が挙げられる。
HOOC−(CH2n−COOH (3)
上記式(3)において、nは、0以上20以下の整数である。
また、フラックス活性、接着時のアウトガスおよび接着テープの硬化後の弾性率やガラス転移温度のバランスから、上記式(3)中のnは、3以上10以下が好ましい。nを3以上とすることにより、接着テープの硬化後の弾性率の増加を抑制し、被接着物との接着性を向上させることができる。また、nを10以下とすることにより、弾性率の低下を抑制し、接続信頼性をさらに向上させることができる。
上記式(3)で示される化合物として、たとえば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH2−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH24−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH2−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH28−COOH)およびn=10のHOOC−(CH210−COOHが挙げられる。
他の脂肪族カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
【0030】
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸等が挙げられる。
【0031】
フェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物としては、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
【0032】
フラックス活性化合物は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれるため、1分子中にエポキシ樹脂に付加することができる少なくとも2個のフェノール性水酸基と、金属酸化膜に対してフラックス作用を示す、芳香族に直接結合したカルボキシル基を一分子中に少なくとも1個有する化合物が好ましい。このような化合物としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;およびジフェノール酸等が挙げられる。
これらのフラックス活性化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
フラックス活性化合物の配合量は、フラックス活性を向上させる観点では、接着テープの配合成分の合計量に対して、1重量%以上、好ましくは5重量%以上とする。熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性化合物が残留していると、マイグレーションの原因となる。したがって、熱硬化性樹脂と反応しないフラックス活性化合物が残らないようにするためには、フラックス活性化合物の配合量は、30重量%以下、好ましくは25重量%以下とする。また上記範囲内であると、銅箔表面の酸化膜を還元し強度の大きい良好な接合が得られる。
【0034】
本発明で使用される熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等が用いられる。中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0035】
エポキシ樹脂は、室温で固形のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂のうち、いずれを用いてもよい。また、樹脂が室温で固形のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂とを含んでもよい。これにより、樹脂の溶融挙動の設計の自由度をさらに高めることができる。
【0036】
室温で固形のエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに具体的には、固形3官能エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とを含んでもよい。
【0037】
また、室温で液状のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂とすることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0038】
これらの熱硬化性樹脂の配合量は、接着テープの配合成分の合計量に対して、好ましくは、25重量%以上75重量%以下であり、より好ましくは45重量%以上70重量%以下である。上記範囲とすることにより、良好な硬化性が得られると共に、良好な溶融挙動の設計が可能となる。
【0039】
熱硬化性樹脂は、硬化剤を含んでも良い。硬化剤としては、フェノール類、アミン類、チオール類が挙げられる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる場合、このエポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)が得られるという点で、フェノール類が好適に用いられる。
【0040】
フェノール類としては、特に限定されるものではないが、接着テープの硬化後の物性を考えた場合、2官能以上が好ましい。たとえば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類等が挙げられるが、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性および硬化後の物性を考えた場合、フェノールノボラック類およびクレゾールノボラック類を好適に用いることができる。
【0041】
硬化剤としてフェノールノボラック類が用いられる場合、その配合量は、樹脂を確実に硬化させる観点では、たとえば、接着テープの配合成分の合計量に対して、5重量%以上、好ましくは10重量%以上とする。エポキシ樹脂と未反応のフェノールノボラック類が残留していると、マイグレーションの原因となる。したがって、残渣として残らないようにするためには、30重量%以下、好ましくは25重量%以下とする。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、フェノールノボラック樹脂の配合量は、エポキシ樹脂に対する当量比で規定してもよい。具体的には、エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック類の当量比は、0.5以上1.2以下であり、好ましくは0.6以上1.1以下であり、さらに好ましくは0.7以上0.98以下である。エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック樹脂の当量比を0.5以上とすることで、硬化後の耐熱性、耐湿性を確保することができ、この当量比を1.2以下とすることで、硬化後のエポキシ樹脂と未反応の残留フェノールノボラック樹脂の量を低減することができ、耐マイグレーション性が良好となる。
【0042】
他の硬化剤としては、イミダゾール化合物およびリン化合物が挙げられる。イミダゾール化合物としては、たとえば、融点が150℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。イミダゾール化合物の融点が低すぎると、半田バンプの酸化膜が除去され、半田バンプと電極が金属接合する前に接着テープが硬化してしまい、接続が不安定になったり、接着テープの保存性が低下する懸念がある。そのため、イミダゾールの融点は150℃以上が好ましい。融点が150℃以上のイミダゾール化合物として、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール化合物の融点の上限に特に制限はなく、たとえば接着テープの接着温度に応じて適宜設定することができる。
【0043】
硬化剤としてイミダゾール化合物が使用される場合、その配合量は、例えば、接着テープの配合成分の合計量に対して、0.005重量%以上10重量%以下、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下とする。イミダゾール化合物の配合比を0.005重量%以上とすることにより、熱硬化性樹脂の硬化触媒としての機能をさらに効果的に発揮させて、接着テープの硬化性を向上させることができる。また、イミダゾール化合物の配合比を10重量%以下とすることにより、半田が溶融する温度において樹脂の溶融粘度が高すぎず、良好な半田接合構造が得られる。また、接着テープの保存性をさらに向上させることができる。
【0044】
リン化合物としては、トリフェニルホスフィン;テトラ置換ホスホニウムと多官能フェノール化合物との分子性化合物;テトラ置換ホスホニウムとプロトン供与体とトリアルコキシシラン化合物との分子性化合物等のリン化合物が挙げられる。これらの中でも、接着フィルムの速硬化性、半導体素子のアルミパッドへの腐食性、さらには接着フィルムの保存性により優れる、テトラ置換ホスホニウムと多官能フェノール化合物との分子性化合物、およびテトラ置換ホスホニウムとプロトン供与体とトリアルコキシシラン化合物との分子性化合物が特に好ましい。
【0045】
テトラ置換ホスホニウムと多官能フェノール化合物との分子性化合物、およびテトラ置換ホスホニウムとプロトン供与体とトリアルコキシシラン化合物との分子性化合物は、これらの各化合物の単なる混合物ではなく、塩構造または超分子構造等の構造を有する分子性化合物である。
【0046】
テトラ置換ホスホニウムは、接着フィルムの硬化性と保存性のバランスの観点から、アルキル基や芳香族化合物がリン原子に4つ配位しているテトラ置換ホスホニウムが好ましい。
【0047】
テトラ置換ホスホニウムの置換基は、特に限定されるものではなく、置換基は互いに同一であっても異なっていてもよく、置換または無置換のアリール基またはアルキル基が挙げられる。置換または無置換のアリール基またはアルキル基を有するテトラ置換ホスホニウムイオンは、熱や加水分解に対して安定であり好ましい。具体的なテトラ置換ホスホニウムとしては、テトラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム等が挙げられる。これらの中でもテトラフェニルホスホニウムが、接着フィルムの速硬化性と保存性のバランスから好ましい。
【0048】
テトラ置換ホスホニウムと多官能フェノール化合物との分子性化合物における多官能フェノール化合物とは、フェノール性水酸基のうち少なくとも1つの水酸基の水素が脱離して、フェノキシドを形成しているフェノール化合物をいう。具体的には、ヒドロキシベンゼン化合物、ビフェノール化合物、ビスフェノール化合物、ヒドロキシナフタレン化合物、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
【0049】
このような多官能フェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称:テトラメチルビスフェノールF)、4,4'−スルホニルジフェノール、および4,4'−イソプロピリデンジフェノール(通称:ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、および(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ならびにビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンとビス(2−ヒドロキシフェニル)メタンと(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンとの混合物(例えば、本州化学工業(株)製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類;1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、および1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類;1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類;1,2−ジヒドロキシナフタレン、および1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、およびその異性体;2,2'−ビフェノール、および4,4'−ビフェノール等のビフェノール類、およびその異性体等が挙げられる。中でも、1,2−ジヒドロキシナフタレン、および4,4'−スルホニルジフェノールが、速硬化性と保存性のバランスに優れるため好ましい。
【0050】
テトラ置換ホスホニウムとプロトン供与体とトリアルコキシシラン化合物との分子性化合物におけるプロトン供与体としては、特に限定されるものではないが、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−エタンジオール、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンおよびグリセリン等の脂肪族ヒドロキシ化合物;グリコール酸およびチオ酢酸等の脂肪族カルボン酸化合物;ベンゾイン、カテコール、ピロガロール、没食子酸プロピル、タンニン酸、2−ヒドロキシアニリン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−ジヒドロキシナフタレンおよび2,3−ジヒドロキシナフタレン等の芳香族ヒドロキシ化合物;サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族カルボン酸化合物等、が挙げられる。
【0051】
プロトン供与体の中でも、リン化合物の安定性の観点から、芳香族ジヒドロキシ化合物がより好ましい。
【0052】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、カテコール、ピロガロール、没食子酸プロピル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノールおよびタンニン酸等の芳香族環含有有機基を有する芳香族ヒドロキシ化合物;2,3−ジヒドロキシピリジンおよび2,3−ジヒドロキシキノキサリン等の複素環含有有機基を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。これらの中でも、カテコール、2,2'−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレンおよび2,3−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
【0053】
トリアルコキシシラン化合物としては、置換もしくは無置換の芳香族環を含有する置換基を有するトリアルコキシシラン化合物;置換もしくは無置換の脂肪族基を有するトリアルコキシシラン化合物;置換もしくは無置換の複素環を含有する置換基を有するトリアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0054】
芳香族環を含有する基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ベンジル基、メトキシフェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、アミノフェニル基、アミノフェノキシ基、N−フェニルアニリノ基、N−フェニルアニリノプロピル基、フェノキシプロピル基、フェニルエチニル基、インデニル基、ナフチル基およびビフェニル基等が挙げられる。
【0055】
脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、アニリノプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロプロピル基、シアノプロピル基、ジエチルアミノ基、ビニル基、アリル基、メタクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、ペンタジエニル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロヘプテニル基およびエチニル基等が挙げられる。
【0056】
複素環を含有する基としては、ピリジル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、インドニル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、トリアジニル基、ピペリジル基、キノリル基、モルホリニル基、フリル基、フルフリル基およびチエニル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、フェニル基、ナフチル基およびグリシジルオキシプロピル基が、潜伏性触媒におけるシリケートアニオンの安定性の観点から、より好ましい。
【0057】
置換もしくは無置換の芳香族環を含有する基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシランおよび(N−フェニルアミノプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
置換もしくは無置換の脂肪族基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
置換もしくは無置換の複素環を含有する基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジンおよびN−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール等が挙げられる。なお、脂肪族基における置換基としては、グリシジル基、メルカプト基およびアミノ基等が挙げられ、芳香族環および複素環における置換基としては、メチル基、エチル基、水酸基およびアミノ基などが挙げられる。
【0060】
硬化剤としてリン化合物が使用される場合、その配合量は、例えば、接着テープの配合成分の合計量に対して、0.005重量%以上10重量%以下、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下である。リン化合物の配合比を0.005重量%以上とすることにより、熱硬化性樹脂の硬化触媒としての機能をさらに効果的に発揮させて、接着テープの硬化性を向上させることができる。また、リン化合物の配合比を10重量%以下とすることにより、半田が溶融する温度において樹脂の溶融粘度が高くなりすぎず、良好な半田接合構造が得られる。また、接着テープの保存性をさらに向上させることができる。
これらの硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
フィルム形成性樹脂としては、たとえば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、アクリルゴム等を用いることができる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
フィルム形成性樹脂として、フェノキシ樹脂が用いられる場合、その数平均分子量が5000〜15000であるフェノキシ樹脂が好ましい。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化前の接着テープの流動性を抑制し、層間厚みを均一にすることができる。フェノキシ樹脂の骨格は、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニル骨格タイプなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、飽和吸水率が1%以下であるフェノキシ樹脂が、接合時やはんだ実装時の高温下においても発泡や剥離などの発生を抑えることができるため、好ましい。
【0063】
また、上記フィルム形成性樹脂として、接着性や他の樹脂との相溶性を向上させる目的で、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基を有する樹脂を用いてもよく、このような樹脂として、たとえばアクリルゴムを用いることができる。
フィルム形成性樹脂として、アクリルゴムが用いられる場合、フィルム状の接着テープを作製する際の成膜安定性を向上させることができる。また、接着テープの弾性率を低下させ、被接着物と接着テープ間の残留応力を低減することができるため、被接着物に対する密着性を向上させることができる。
【0064】
アクリルゴムは、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、またはニトリル基等を有するモノマー単位を含む(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。これにより、半導体素子の裏面、および半導体素子上のコート材等の被接着物への密着性をより向上することができる。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いるモノマーとしては、例えば、グリシジル基を有するグリシジル(メタ)クリレート、水酸基を有する(メタ)クリレート、カルボキシル基を有する(メタ)クリレート、ニトリル基を有する(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、特に、カルボキシル基を有するモノマー単位を含む(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることが好ましい。これにより、接着フィルムの硬化がさらに促進され、さらに、被着体に対する接着性を向上することができる。
【0066】
カルボキシル基を有するモノマー単位を含む(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いる場合、カルボキシル基を有するモノマー単位の、共重合体中の含有量は、より被接着物に対する接着性を向上させる観点では、たとえば(メタ)アクリル酸エステル共重合体全体の0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。また、カルボキシル基を有するモノマー単位の含有量は、接着フィルムの保存性をより一層向上させる観点では、たとえば(メタ)アクリル酸エステル共重合体全体の10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0067】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、たとえば1000以上100万以下であり、3000以上80万以下とすることが好ましい。上記範囲とすることにより、接着フィルムの成膜性をさらに向上させることができるとともに接着時の流動性を確保することが可能となる。
【0068】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができ、測定条件例としては、例えば、東ソー(株)製、高速GPC SC−8020装置で、カラムはTSK−GEL GMHXL−L、温度40℃、溶媒テトラヒドロフランを用いることができる。
【0069】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は、接着フィルムの粘着が強くなりすぎることを抑制して作業性をさらに向上させる観点では、たとえば0℃以上、好ましくは5℃以上である。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は、低温での接着性をさらに向上させる観点では、たとえば30℃以下、好ましくは20℃以下である。
【0070】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は、例えば、熱機械特性分析装置(セイコーインスツル(株)製、TMA/SS6100)を用いて、一定荷重(10mN)で−65℃から昇温速度5℃/分で温度を上昇させながら引っ張った際の変極点より測定することができる。
【0071】
フィルム形成性樹脂の配合量は、例えば、接着テープの配合成分の合計量に対して、5重量%以上45重量%以下とすることができる。フィルム形成性樹脂が上記範囲内で配合される場合、成膜性の低下が抑制されるとともに、接着テープの硬化後の弾性率の増加が抑制されるため、被接着物との密着性をさらに向上させることができる。また、上記範囲内とすることにより、接着テープの溶融粘度の増加が抑制される。
【0072】
また、本発明の接着テープは、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。シランカップリング剤を含む構成とすることにより、接着テープの被接着物への密着性をさらに高めることができる。シランカップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤の配合量は、接着テープの配合成分の合計量に対して、たとえば0.01〜5重量%とすることができる。
【0073】
さらに、本発明の接着テープは、上記以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、樹脂の相溶性、安定性、作業性等の各種特性向上のため、各種添加剤を適宜添加してもよい。
【0074】
本発明の接着テープの作製方法について説明する。接着テープは、フラックス活性化合物、熱硬化性樹脂およびフィルム形成性樹脂を混合し、ポリエステルシート等の剥離基材上に塗布し、所定の温度で乾燥することにより得られる。
【0075】
本発明の一実施形態において、接着テープは、酸化処理した銅板の表面に接着テープを貼り付けて、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、上記式(1)で表される銅板の酸化銅還元率が70%以上である。フラックス活性化合物は、回路基板の電極表面の酸化膜を還元し、酸化膜を取り除く還元力を有する。酸化膜が取り除かれて、接続不良の発生が防止されるのに十分な酸化銅還元率は、70%以上である。また、接合確率を高め、接合後の種々の環境下における接合信頼性を考慮すると、酸化銅還元率は75%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80%以上である。
次に、この酸化銅還元条件(230℃、1分間)について説明する。フラックス活性化合物の、酸化銅に対する還元作用は、フラックス活性化合物の融点より高い温度で発現するため、酸化銅還元温度はフラックス活性化合物によって適宜変更することが可能である。一方、回路基板の層間接続の際には、Sn/3.5Ag(221℃)、Sn−3.0Ag−0.5Cu(217℃)、Sn−58Bi(139℃)などの鉛フリーの半田が使用され、これらのほとんどの融点は、230℃以下である。従って、本発明の実施形態において、230℃の酸化銅還元温度を用いる。また、還元時間は、フラックス活性化合物が溶融し、酸化銅の表面に濡れ、および還元作用を示す時間、ならびに還元作用のばらつきを考慮して、1分間とする。
【0076】
酸化銅(CuO)還元率は、以下の式(1)で表され、下記の測定方法により求められる。
(定義)
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)} ×100
・・・式(1)
(測定方法)
(1)70μm厚の銅板(三井金属(株)製、3EC−3、2〜3μm厚)を市販のエッチング液でソフトエッチングする。
(2)ソフトエッチングした銅板をオーブンで、大気中、220℃で、30分間酸化処理する。
(3)酸化処理した銅板の表面に25μm厚の接着テープを貼り付け、大気中、230℃で、1分間還元処理をする。
(4)工程(3)の還元処理後、1分以内に、還元処理した銅板の表面にある接着テープ成分をアセトンで除去する。
(5)樹脂成分を除去した銅板を速やかに真空デシケータに移し、真空乾燥を実施し銅板面を乾燥させる。また、銅板はESCA測定まで真空を維持した状態で保存する。
(6)酸化処理のみの銅板および還元処理した銅板の表面40Åをプラズマ処理により除去する。次いで、ESCA(ULVAC PHI社製)によりCuおよびO原子濃度を測定する。プラズマ処理とESCA測定は真空中雰囲気で実施する。銅板の表面40Åをプラズマ処理により除去する目的は、測定時のハンドリングの際に、表面が酸化された分の影響を取り除くためである。
また、用いるESCA測定条件は以下である:
(i)光電子脱出角 45deg
(ii)X線源 Alkα線(モノクロ)
(iii)分析範囲 0.8mmΦ。
(7)上記の式(1)により、酸化銅還元率を算出する。
【0077】
本発明の一実施形態において、接着テープは、接着テープ上に直径が500μmのスズ含有半田ボールを配置し、半田ボールの融点より30℃高い温度で20秒加熱したとき、上記式(2)で表される半田濡れ拡がり率が40%以上である。フラックス活性化合物は、半田バンプの酸化膜を還元し、半田の表面張力を低下させ、半田の濡れを良くする作用を有する。半田バンプを用いて回路基板を金属接合する場合、半田の濡れ拡がり率が大きい程、金属間結合が助長され、接合強度が増加する。接合不良の発生が防止されるのに十分な半田濡れ拡がり率は、40%以上である。また、接合確率を高め、接合後の種々の環境下における接合信頼性を考慮すると、半田濡れ拡がり率は、45%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。
次に、半田濡れ拡がり率の測定条件(半田ボールの融点より30℃高い温度で、20秒加熱)について説明する。少なくともSn/Ag(221℃)、Sn−3.0Ag−0.5Cu(217℃)、Sn−58Bi(139℃)などの鉛フリーの半田ボールの融点より高くする必要がある。また、半田ボールが濡れ拡がる程度のばらつきを低減するために、本発明の実施形態においては、半田ボールの融点よりも30℃高い温度で加熱する。加熱時間は、フラックス活性化合物が溶融し、半田ボールの表面に移動し、半田ボールが濡れ拡がるまでの時間、および半田が濡れ拡がる程度のばらつきを考慮して、20秒とする。
【0078】
半田濡れ拡がり率は、以下の式(2)で表され、下記の測定方法により求められる。
(定義)
半田濡れ拡がり率(%)=[{(半田ボールの直径)−(濡れ拡がり後の半田厚み)}/(半田ボールの直径)]×100 ・・・式(2)
(測定方法)
(1)ベアCu板(平井精密工業社(株)製)に、厚み15μmの接着テープを貼り付ける。
(2)接着テープ上に下記の直径が500μmの半田ボールを静置する。
(i)Sn/63Pb(融点183℃、千住金属工業(株)製)
(ii)M31(Sn/Ag/Cu、融点217℃、千住金属工業(株)製)
(iii)L20(Sn/Bi、融点138℃、千住金属工業(株)製)
(3)ASTM B 545に準じて、各半田の融点よりも30℃高い温度にホットプレートを加熱し、上記サンプルをホットプレート上で20秒間加熱する。
(4)ベアCu板上に濡れ拡がった半田ボールの高さを計測する。
(5)上記の式(2)により、半田濡れ拡がり率を算出する。
【0079】
本発明の一実施形態において、接着テープは、厚み100μm、223℃における溶融粘度が10Pa・s以上10000Pa・s以下である。10Pa・s以上の溶融粘度とすることにより、加熱時に接着テープが被接着物からはみ出すことによる接着信頼性の低下を抑制でき、また、はみ出しによる周辺部材の汚染も抑制することができる。また、気泡の発生、上下回路基板の未充填等の不良も防止することができる。さらに、半田が濡れ拡がりすぎてしまい、隣接電極間でショートするといった問題も防止することが可能となる。10000Pa・s以下とすることで、半田バンプと回路基板電極が金属接合する際に、半田バンプと回路基板電極間の樹脂が排除されるため接合不良を抑制することが可能となる。溶融粘度は、好ましくは100Pa・s以上3000Pa・s以下であり、特に好ましくは300Pa以上1500Pa・s以下である。
【0080】
本発明の一実施形態において、接着テープは、厚み100μmの接着テープを粘弾性測定装置で昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzで測定した時の25〜250℃における最低溶融粘度が1Pa・s以上10000Pa・s以下である。ここで、最低溶融粘度とは、上記測定条件で溶融粘度測定した時に、25〜250℃の範囲で最低の溶融粘度を指す。1Pa・s以上の最低溶融粘度とすることにより、はんだバンプの種類によらず加熱時に接着テープが被接着物からはみ出すことによる接着信頼性の低下を抑制でき、また、はみ出しによる周辺部材の汚染も抑制することができる。また、気泡の発生、上下回路基板の未充填等の不良も防止することができる。さらに、半田が濡れ拡がりすぎてしまい、隣接電極間でショートするといった問題も防止することが可能となる。最低溶融粘度を10000Pa・s以下とすることで、半田バンプと回路基板電極が金属接合する際に、半田バンプと回路基板電極間の樹脂が排除されることによる接合不良を抑制することが可能となる。最低溶融粘度は、好ましくは3Pa・s以上3000Pa・s以下であり、特に好ましくは5Pa以上500Pa・s以下である。
【0081】
接着テープの溶融粘度は、以下の測定方法により求められる。
(測定方法)
厚み100μmの接着テープを、粘弾性測定装置(Rheo Stress RS−10 HAAKE(株)製)で昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzで、歪み一定−応力検知で測定し、Sn/3.5Agの融点である雰囲気温度が223℃の時の粘度を223℃における溶融粘度の測定値とする。また、25℃〜250℃の間での最低溶融粘度を最低溶融粘度の測定値とする。
【0082】
本発明の接着テープは、上記範囲の酸化銅還元率、半田濡れ拡がり率および溶融粘度のうちの1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは全てを満たす。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含むが、これらに限定されるものではない。示される各成分の配合量は、配合成分の合計を基準とした、重量%である。
(i)フェノキシ樹脂 5〜30重量%
(ii)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40〜70重量%
(iii)フェノールノボラック樹脂 10〜25重量%
(iv)フェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%。
【0084】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)フェノキシ樹脂 5〜30重量%
(ii)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40〜70重量%
(iii)フェノールノボラック樹脂 10〜25重量%
(iv)カルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%。
【0085】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)フェノキシ樹脂 5〜30重量%
(ii)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40〜70重量%
(iii)フェノールノボラック樹脂 10〜25重量%
(iv)フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)フェノキシ樹脂 5〜30重量%
(ii)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40〜70重量%
(iii)イミダゾール 0.01〜5重量%
(iv)フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%。
【0087】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)アクリルゴム 15〜45重量%
(ii)固形3官能エポキシ樹脂 15〜60重量%
(iii)ビスフェノールF型エポキシ樹脂 9〜10重量%
(iv)フェノールノボラック樹脂 10〜25重量%
(v)イミダゾール 0.01〜5重量%
(vi)カルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%
(vii)シランカップリング剤 0.01〜1重量%。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)アクリルゴム 15〜45重量%
(ii)固形3官能エポキシ樹脂 15〜60重量%
(iii)ビスフェノールF型エポキシ樹脂 9〜10重量%
(iv)フェノールノボラック樹脂 5〜25重量%
(v)リン系化合物 0.01〜5重量%
(vi)フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)アクリルゴム 15〜45重量%
(ii)固形3官能エポキシ樹脂 15〜60重量%
(iii)フェノールノボラック樹脂 5〜25重量%
(iv)イミダゾール 0.01〜5重量%
(v)フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%
上記配合とすることで、熱時の溶融粘度下げることと硬化性のバランスをさらに向上させることができるため、はんだバンプを溶融させて回路基板の層間接続を確実に行うことができる。なお、上記配合例において、アクリルゴム(i)の配合量を15〜45重量%とすることにより、接着テープの接着性と熱時の溶融粘度のバランスを両立することができる。また、固形3官能エポキシ樹脂(ii)、フェノールノボラック樹脂(iii)、およびイミダゾール(iv)の配合量を上記範囲とすることで、接着テープの硬化前の溶融粘度低くすることができるため良好な半田接続構造を得ることができ、さらに、適度な硬化性を得ることができる。さらに、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物(v)を上記範囲とすることで、半田接合時のフラックス活性と接着テープ硬化後のイオンマイグレーション性を両立することができる。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、接着テープは以下の成分を含む。
(i)アクリルゴム 15〜45重量%
(ii)固形3官能エポキシ樹脂 15〜60重量%
(iii)フェノールノボラック樹脂 5〜25重量%
(iv)リン系化合物 0.01〜5重量%
(v)フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物 5〜20重量%
上記配合とすることで、熱時の溶融粘度下げることと硬化性のバランスをさらに向上させることができるため、はんだバンプを溶融させて回路基板の層間接続を確実に行うことができる。なお、上記配合例において、アクリルゴム(i)の配合量を15〜45重量%とすることにより、接着テープの接着性と熱時の溶融粘度のバランスを両立することができる。また、固形3官能エポキシ樹脂(ii)、フェノールノボラック樹脂(iii)、およびリン系化合物(iv)の配合量を上記範囲とすることで、接着テープの硬化前の溶融粘度低くすることができるため良好な半田接続構造を得ることができ、さらに、適度な硬化性と保存性を両立することができる。さらに、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するフラックス活性化合物(v)を上記範囲とすることで、半田接合時のフラックス活性と接着テープ硬化後のイオンマイグレーション性を両立することができる。
【0091】
接着テープは、例えば、図1に示されるような積層体の作製に用いられる。図1は、被接続回路基板とビア付き片面回路基板とが、接着テープを挟んで接合された積層体を示す。図2は、図1の積層体の接続部分の模式図である。上基板L2sにおいて、ビルドアップ絶縁層1を覆うように銅箔2が設けられ、この銅箔2を覆うようにコア材層3が設けられる。ビルドアップ絶縁層4には、ビアポスト7が設けられ、ビアポスト7を覆うように半田メッキ層6が設けられる。接着テープ5は、ビルドアップ絶縁層4および半田メッキ層6を覆うように適用される。一方、下基板L1において、コア材層9の上に、パッド8が間隔をあけて設けられる。上基板L2sと下基板L1を、加熱加圧して互いに接着し、積層体が得られる。
本発明の好ましい実施形態を記載してきたが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0092】
以下に実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜33)
(接着テープの作製)
以下の表1に示される成分をトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系有機溶剤に溶解し、得られたワニスをポリエステルシートに塗布し、上記溶剤が揮発する温度で乾燥させて、接着テープを得た。なお、表中の配合量は、配合成分の合計量に対する重量%である。
(比較例1〜2)
以下の表2に示される成分を用いて、実施例1〜33に記載と同様の方法を使用して、接着テープを得た。
【0093】
(酸化銅還元率の測定)
実施例1〜33および比較例1および2の各接着テープを用いて、上記の測定方法を用いて酸化銅還元率を測定した。この結果を、以下の表1および2に示す。
【0094】
(半田濡れ拡がり率の測定)
実施例1〜33の各接着テープを用いて、上記の測定方法を用いて半田濡れ拡がり率を測定した。この結果を、以下の表1に示す。
【0095】
(溶融粘度の測定)
実施例1〜29および比較例1および2の各接着テープを用いて、上記の測定方法を用いて溶融粘度を測定した。この結果を以下の表1および2に示す。また、実施例30〜33の各接着テープを用いて、上記の測定方法に基づいて、最低接着粘度を測定した。この結果を以下の表1に示す。
【0096】
(樹脂フロー係数の測定)
実施例1〜33および比較例1および2の各接着テープの樹脂フロー係数を測定した。
樹脂フロー係数は、以下の式(4)で表され、以下の測定方法により求められる。
(定義)
樹脂フロー係数=(加熱後の面積)/(加熱前の面積) ・・・式(4)
(測定方法)
5mm角、厚み13μmの接着テープを30mm×40mm、厚み1.1μmのガラス基板上に貼付けた。次に、別の30mm×40mm、厚み1.1μmのガラス基板を配設し、1.0MPaにて加熱温度250℃で30秒間加熱した。加熱前と加熱後の面積比により樹脂フロー係数を算出した。結果を以下の表1および2に示す。
【0097】
(接続率の測定)
実施例1〜33および比較例1および2の各接着テープを用いて接続率を測定した。
(測定方法)
(1)ビア付き片面回路基板の作製
銅箔が12μm、支持基材がプリプレグ(厚み200μm)の2層両面板をエッチングし、配線パターンを形成した。厚み40μmのビルドアップ層を両面形成し、配線パターン側からCOレーザーにより70μm径のビルドアップ開口部を形成し、過マンガン酸カリウム水溶液によるデスミアを施した。このビルドアップ開口部に電解銅メッキを施し、ビルドアップ層の表面からの高さが15μmの銅ポスト(70μm径)を形成した後、この銅ポストに、はんだ(Sn/3.5Ag)メッキを厚み15μmになるよう施し、導体ポストを形成した。さらに、25mm角に個片化し、ビア付き片面回路基板を得た。
(2)被接続回路基板の作製
銅箔が12μm、支持基材がプリプレグ(厚み400μm)の2層両面板をエッチングし、配線パターンを形成した。次に、40mm角に個片化し被接続回路基板を得た。なお、ビア付き片面回路基板の導体ポストと接合するパッド部分は400μm径であった。
(3)多層回路基板の作製
ビア付き片面回路基板と被接続回路基板の両面に、位置合せ用のピンガイド付き治具を用いてレイアップした。次いで、260℃、0.5MPaで、60秒間プレスし、半田メッキ付き導体ポストが内層回路基板のパッドと半田溶融接合し、層間を接合した。さらに、接着テープを硬化させるために180℃、60分間の熱履歴を加え多層回路基板を得た。
(4)接続率の測定
上記方法で得られた多層回路基板の層間接続抵抗を、デジタルマルチメータにより20ヶ所測定した。測定は、多層回路基板作製後と−65℃で1時間、150℃で1時間の温度サイクルで1000サイクル後の両方を測定した。結果を以下の表1および2に示す。
判定基準
○:20/20導通がとれる。
△:18〜20/20導通が取れる。
×:18以下/20導通が取れる。
【0098】
(樹脂はみ出しの測定)
実施例1〜33および比較例1および2の各接着テープを用いて樹脂はみ出しを測定した。
(測定方法)
上記接続率の測定方法に記載したものと同様の方法で多層回路基板を作製し、多層回路基板からはみ出している樹脂量を観察した。結果を以下の表1および2に示す。
判定基準
○:樹脂はみ出しがまったく観察されない。
△:樹脂はみ出しは観察されるが、多層回路基板の層間をブリッジするものはない。
×:樹脂が、多層回路基板の層間をブリッジしている。
【0099】
(接合部断面の測定)
実施例1〜33および比較例1および2の各接着テープを用いて、接合部断面の観察を行った。
(測定方法)
上記接続率に記載した同様の方法で多層回路基板を作製、エポキシ樹脂硬化物で包埋し、断面を研磨し、層間接続部分10箇所をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。断面の観察は、多層回路基板作製後と−65℃で1時間、150℃で1時間の温度サイクルで1000サイクル後の両方を測定した。結果を以下の表1および2に示す。
判定基準
○:初期と変化なし
△:初期と比較して変形したまたは一部クラックが入り始めた
×:オープン不良(接続部クラック等),またはショート(接続部ブリッジング)発生
【0100】
【表1−1】

【0101】
【表1−2】

【0102】
【表2】

【0103】
上記の結果より、実施例1〜29の接着テープはいずれも、70%以上の酸化銅還元率、40%以上の半田濡れ拡がり率、および100Pa・s以上10000Pa・s以下の溶融粘度を有していた。実施例30〜33の接着テープはいずれも、1Pa・s以上10000Pa・s以下の最低溶融粘度を有していた。また、樹脂フロー係数、接続率、樹脂はみ出しおよび接合部断面の測定の全てにおいても良好な結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂と、フィルム形成性樹脂とを含む接着テープ。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂が硬化剤を含む、請求項2に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記硬化剤がイミダゾール化合物である、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記硬化剤がリン化合物である、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項6】
前記フィルム形成性樹脂がフェノキシ樹脂またはアクリルゴムである、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項7】
シランカップリング剤をさらに含む、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項8】
請求項1に記載の接着テープであって、酸化処理した銅板の表面に該接着テープを貼り付けて、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、以下の式(1)で表される該銅板の酸化銅還元率が70%以上である、接着テープ。
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・式(1)
【請求項9】
請求項1に記載の接着テープであって、該接着テープ上に直径が500μmのスズ含有半田ボールを配置し、該半田ボールの融点より30℃高い温度で20秒加熱したとき、以下の式(2)で表される半田濡れ拡がり率が40%以上である、接着テープ。
半田濡れ拡がり率(%)=[{(半田ボールの直径)−(濡れ拡がり後の半田の厚み)}/(半田ボールの直径)]×100 ・・・式(2)
【請求項10】
請求項1に記載の接着テープであって、厚み100μmの該接着テープの、223℃における溶融粘度が10Pa・s以上10000Pa・s以下である、接着テープ。
【請求項11】
請求項1に記載の接着テープであって、厚み100μmの該接着テープを粘弾性測定装置で昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzで測定した時の25〜250℃における最低溶融粘度が1Pa・s以上10000Pa・s以下である、接着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−255157(P2012−255157A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162575(P2012−162575)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2008−538563(P2008−538563)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】