説明

接着剤組成物、回路接続材料、接続構造及び回路部材の接続方法

【課題】接続すべき電極が、表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなるものであっても、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることが可能な接着剤組成物及びこれを用いた回路接続材料を提供する。
【解決手段】接着剤組成物は、接着剤成分と、接着剤成分中に分散している導電粒子10とを備えるものであって、導電粒子10は、その中心部分を構成する基材粒子1と、基材粒子1の表面の少なくとも一部を覆う金属めっき層3と、金属めっき層3の内側であり基材粒子1の表面上に配置された複数の金属微粒子2と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、回路接続材料及び接続構造、並びに、回路部材の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、薄型化に伴い、回路部材に形成される回路電極の高密度化及び高精細化が進展している。また、回路電極の更なる微細化、すなわち、多電極化や狭ピッチ化等のファインピッチ化への要求が高まっている。微細回路が形成された回路部材同士の接続は、従来のハンダやゴムコネクタでは対応が困難であることから、異方導電性を有する接着剤組成物が使用されている。
【0003】
上記の接着剤組成物は、一般に、接着剤成分とこれに分散している導電粒子とからなる。対向配置された一対の回路部材の間に当該接着剤組成物を配置し、接着剤組成物を挟む方向に全体を加圧することで相対向する回路電極同士が電気的に接続される。これと同時に隣接する電極同士は、電気絶縁性が確保された状態で一対の回路部材が接着固定される。
【0004】
従来、接着剤組成物が有する導電粒子として、導電性を有する種々の微粒子が用いられている。例えば、金属微粉末、あるいは金属薄膜で表面が被覆されたプラスチック微粒子などが挙げられる。
【0005】
ところで、液晶ディスプレイなどの製造工程においては、高度なファインピッチ化及び高い接続信頼性が要求されている一方で、表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなる回路電極が使用される場合がある。上記の金属微粉末及び金属薄膜で表面が被覆されたプラスチック微粒子は、それぞれ一長一短がある。そのため、従来の接着剤組成物を用いたのでは、必ずしもファインピッチ化及び接続信頼性の両方を同時に高水準に達成することができなかった。
【0006】
具体的には、導電粒子として金属微粉末を用いた場合、金属微粉末は十分に高い硬度を有しているため、回路電極の表面に酸化膜が形成されていたとしてもこれを突き破って回路電極同士を接続することができる。しかしながら、金属微粉末は一般に粒度分布が広く、この場合、ファインピッチ化に適していないといえる。また、回路電極同士を接続後、時間の経過に伴って接続部分の抵抗値が上昇するという現象が生じる場合がある。これは、温度の変動や接続構造の接続状態の緩和などに伴う回路電極間の間隔の拡大に、金属微粉末が十分に追従することができないことに起因すると考えられる。また、一般に、金属微粉末の線熱膨張係数は接着剤成分の硬化物のそれよりも小さいため、昇温降温を繰り返す熱サイクル試験後にこのような現象が生じることがある。
【0007】
これに対し、導電粒子として金属薄膜で表面が被覆されたプラスチック微粒子を用いた場合、狭い粒度分布の導電粒子を得ることが比較的容易である。この点においては、プラスチック微粒子を用いた導電粒子はファインピッチ化に適しているといえる。また、プラスチック微粒子の線熱膨張率は接着剤成分の硬化物のそれと近い値である。このため、温度の変動などに伴う回路電極間の間隔の拡大にプラスチック微粒子は十分に追従することができ、接続当初の抵抗値を維持できるといった利点がある。しかしながら、プラスチック微粒子は一般に金属微粉末と比較すると硬度が低い。そのため、回路電極の表面に酸化膜が形成されている場合にはこれを十分に突き破ることができず、接続部分の初期抵抗値が比較的高くなるという問題が生じる。
【0008】
そこで、金属微粉末及び金属薄膜で表面が被覆されたプラスチック微粒子のそれぞれの特長を具備させるための検討がなされた。具体的には、金属薄膜で被覆されたプラスチック粒子の表面に突起などを備える導電粒子が検討されてきた。例えば、特許文献1及び2には導電性薄膜の表面に突起が設けられた導電粒子が記載されている。また、特許文献3には金属薄膜の表面に金属粒子を更に付着させた導電粒子が記載されている。更に、特許文献4及び5には凹凸のあるプラスチック粒子に金属めっきを施して得られる導電粒子が記載されている。
【特許文献1】特開2000−195339号公報
【特許文献2】特開2000−243132号公報
【特許文献3】特開昭63−301408号公報
【特許文献4】特開平4−36902号公報
【特許文献5】特開平11−73818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2の導電粒子は、金属薄膜を形成する無電解めっき工程において突起を析出させることにより製造される。この場合、突起サイズや突起数の制御を十分に行うことが困難である。このため、突起の不均一性に起因して十分に高い接続信頼性を達成することが困難であるといえる。また、特許文献3の導電粒子は、金属薄膜とその表面に付着した金属粒子との密着性が不十分であり、当該金属粒子が脱落する可能性がある。金属粒子が脱落すると、接続構造の初期抵抗値が高くなったり隣接する回路電極との絶縁性が不十分となったりして、十分に高い接続信頼性を達成することが困難となる。
【0010】
また、特許文献4及び5の導電粒子は、凹凸がプラスチック粒子そのもので形成されている。このため、回路電極の表面に酸化膜が形成されている場合にはこれを十分に突き破ることができず、接続構造の初期抵抗値が高くなるおそれがある。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、接続すべき電極が、表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなるものであっても、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることが可能な接着剤組成物及びこれを用いた回路接続材料を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、低い接続抵抗で回路部材が接続された接続構造及びこれを得るための回路部材の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の接着剤組成物は、接着剤成分と、接着剤成分中に分散している導電粒子とを備えるものであって、導電粒子は、当該導電粒子の中心部分を構成する基材粒子と、基材粒子の表面の少なくとも一部を覆う金属めっき層と、金属めっき層の内側であり基材粒子の表面上に配置された複数の金属微粒子とを有している。
【0014】
なお、複数の金属微粒子と基材粒子の位置関係につき、「基材粒子の表面上に配置」とは、金属微粒子が基材粒子の表面に接した状態で配置されているものに加え、接していない状態で配置されているものをも含む意味である。複数の金属微粒子が上記位置に配置されている導電粒子は、基材粒子に金属微粒子を付着させた後、めっき処理によって金属めっき層を形成することにより製造可能である。
【0015】
基材粒子に対して付着させる金属微粒子の個数及びその粒子径を制御することで導電粒子の表面に所望の数及び大きさの突起を設けることができる。したがって、めっき工程の条件などを調整して突起が設けられた導電粒子と比較すると、本発明においては、金属微粒子の付着数及び粒子径の均一性が十分に高くなっている。均一性の高い金属微粒子を備える導電粒子によって、回路電極が酸化膜で覆われている金属電極であっても、電極同士をより確実に電気的に接続することができる。その結果、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることができる。
【0016】
また、本発明の接着剤組成物が有する導電粒子は、基材粒子及び金属微粒子を一体的に被覆する金属めっき層を備えている。このため、金属微粒子と基材粒子との密着性が高く、金属微粒子が導電粒子から脱落することが十分に抑制される。その結果、回路電極同士をより確実に電気的に接続することができるとともに隣接する回路電極との絶縁性を十分に確保することができる。
【0017】
金属微粒子の平均粒径は、200〜1000nmであることが好ましい。また、基材粒子の平均粒径は、1〜10μmであることが好ましい。これら粒子の平均粒径が、それぞれ上記の範囲内であると、低い初期接続抵抗値をより確実に達成可能である。これに加え、接続抵抗値の上昇の抑制及び隣接する回路電極との絶縁性の両方を高水準に達成可能である。本発明でいう「平均粒径」は以下のようにして測定される値を意味するものである。すなわち、任意に選択した金属微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、その最大径及び最小径を測定する。この最大径及び最小径の積の平方根をその粒子の粒径とする。任意に選択した粒子50個について上記のようにして粒径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
【0018】
本発明の効果を効率的且つ確実に得る観点から、金属微粒子の数は、基材粒子1個あたり10〜40個であることが好ましい。また、金属微粒子の数が10〜40個であると、接続抵抗値の上昇の抑制及び隣接する回路電極との絶縁性の両方が高水準に達成されるという利点がある。基材粒子1個あたりの金属微粒子の数は、以下のようにして測定される値を意味するものである。すなわち、任意に選択した導電粒子をSEMで撮像し、観察し得る導電粒子表面の突起の数を金属微粒子の数としてカウントする。これにより得られたカウント数を2倍にすることで1個の導電粒子の金属微粒子の数を算出する。任意に選択した導電粒子50個について上記のようにして金属微粒子の数を測定し、その平均値を基材粒子1個あたりの金属微粒子の数とする。
【0019】
また、基材粒子は、粒子直径の20%圧縮変形時の圧縮弾性率が100〜1000kgf/mmである材質からなるものであることが好ましい。基材粒子が上記のような硬度を有していると、回路電極の表面に酸化膜が形成されていても、金属めっき層の内側に配置されている金属微粒子がこの酸化膜をより確実に突き破ることができる。これに加え、温度の変動などに伴い回路電極間の間隔が広くなったとしても基材粒子が回路電極間隔の拡大に十分追従することができる。そのため、接続抵抗値の上昇を十分に抑制することができる。
【0020】
また、基材粒子は、最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が40%以上であることが好ましい。基材粒子が上記のような圧縮回復率を有していると、温度の変動などに伴い回路電極間の間隔が広くなったとしても、基材粒子が回路電極間隔の拡大に十分追従することができる。そのため、接続抵抗値の上昇を十分に抑制することができる。
【0021】
本発明の回路接続材料は、上記本発明の接着剤組成物からなり、回路部材同士を接着するとともにそれぞれの回路部材が有する回路電極同士を電気的に接続するものである。
【0022】
本発明の接続構造は、対向配置された一対の回路部材と、上記本発明の回路接続材料の硬化物からなり、上記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部とを備える。
【0023】
本発明はまた、対向配置された一対の回路部材の間に本発明の回路接続材料を介在させ、全体を加熱及び加圧して、上記回路接続材料の硬化物からなり、上記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように回路部材同士を接着する接続部を形成することにより、上記一対の回路部材及び接続部を備える接続構造を得る、回路部材の接続方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、接続すべき電極が、表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなるものであっても、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることが可能な接着剤組成物及びこれを用いた回路接続材料を提供することができる。また、本発明によれば、低い接続抵抗で回路部材が接続された接続構造、並びにこれを得るための回路部材の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る回路接続材料が回路電極間で使用され、回路電極同士が接続された状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る回路接続材料の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る回路接続材料に含まれる導電粒子の一形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る回路接続材料が支持体上に設けられている状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る回路接続材料が支持体に支持されている状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る回路部材の接続方法の一実施形態を概略断面図により示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0027】
なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
【0028】
図1は、本発明に係る接着剤組成物が回路接続材料として使用され、回路電極同士が接続された接続構造を示す概略断面図である。図1に示す接続構造100は、相互に対向する第1の回路部材30及び第2の回路部材40を備えており、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間には、これらを接続する接続部50aが設けられている。
【0029】
第1の回路部材30は、回路基板(第1の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第1の回路電極)32とを備えている。第2の回路部材40は、回路基板(第2の回路基板)41と、回路基板41の主面41a上に形成される回路電極(第2の回路電極)42とを備えている。回路基板31、41において、回路電極32、42の表面は平坦になっている。なお、ここでいう「回路電極の表面が平坦」とは、回路電極の表面の凹凸が十分に小さいことをいい、表面の凹凸は20nm以下であることが好ましい。
【0030】
接続部50aは回路接続材料に含まれる接着剤成分の硬化物20aと、これに分散している導電粒子10とを備えている。そして、接続構造100においては、対向する回路電極32と回路電極42とが、導電粒子10を介して電気的に接続されている。すなわち、導電粒子10が、回路電極32,42の双方に直接接触している。
【0031】
このため、回路電極32,42間の接続抵抗が十分に低減され、回路電極32,42間の良好な電気的接続が可能となる。他方、硬化物20aは電気絶縁性を有するものであり、隣接する回路電極同士は絶縁性が確保される。従って、回路電極32,42間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を十分に発揮することができる。
【0032】
次に、接着剤成分が硬化する以前の状態の接着剤組成物について詳細に説明する。図2は、本発明に係る接着剤組成物を回路接続材料として使用する際の好適な実施形態を示す概略断面図である。図2に示す回路接続材料50の形状はフィルム状である。回路接続材料50は、接着剤成分20と、接着剤成分20中に分散している導電粒子10とを備える。
【0033】
回路接続材料50は、フィルム状の支持体上に塗工装置を用いて接着剤成分及び導電粒子を含有する接着剤組成物を塗布し、所定時間熱風乾燥することにより作製される。
【0034】
導電粒子10の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、本発明に係る回路接続材料に含まれる導電粒子の形態を示す断面図である。図3に示す導電粒子10は、中心部分を構成する基材粒子1と、この基材粒子1上に設けられた複数の金属微粒子2と、基材粒子1及び金属微粒子2の表面を覆うように形成された金属めっき層3とから構成されている。金属微粒子2は金属めっき層3の内側に位置している。
【0035】
基材粒子1の材質としては、金属及び有機高分子化合物が挙げられる。基材粒子1を構成する金属として、例えば、ニッケル、銅、金、銀、コバルト及びこれらの合金が挙げられる。基材粒子1を構成する有機高分子化合物として、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体が挙げられ、これらを架橋したものであってもよい。
【0036】
基材粒子1の材質としては、高い接続信頼性を達成する観点から、回路電極同士の接続後における回路電極間隔の拡大に十分追従できる材質を用いることが好ましい。温度の変動などに伴う回路電極間隔の拡大に、基材粒子1が十分に追従できないと、接続部分の抵抗値が上昇する場合がある。このような抵抗値の上昇を効率的に防止する観点から、基材粒子1としては、有機高分子化合物からなる粒子を用いることが好ましい。
【0037】
有機高分子化合物からなる粒子は、回路電極同士を接続する際に回路電極間で扁平形状に押しつぶされたとしても、扁平形状から元の球状に回復する傾向がある。このため、温度の変動などに伴う回路電極間隔の拡大に導電粒子10が十分追従することができる。かかる観点から、基材粒子1の最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率は40%以上であることが好ましい。上記のような圧縮回復率を有する有機化合物からなる粒子としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体からなる粒子が挙げられる。当該圧縮回復率が40%未満であると、回路電極間の間隔の拡大に対する追従が不十分となる傾向がある。当該圧縮回復率は、株式会社フィッシャーインストルメンツ製H−100微小硬度計により測定することができる。
【0038】
また、基材粒子1の材質としては、粒子直径の20%圧縮変形時に、好ましくは100〜1000kgf/mm、より好ましくは100〜800kgf/mmの圧縮弾性率を有するものが使用される。上記のような硬度を有する有機化合物からなる粒子としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体からなる粒子が挙げられる。
【0039】
上記20%圧縮変形時の圧縮弾性率が100kgf/mm未満であると、表面に酸化膜が形成されている金属の回路電極を接続する場合、表面の酸化膜を十分に突き破ることができず、接続部分の抵抗値が高くなる傾向がある。他方、圧縮弾性率が1000kgf/mmを超えると、相対向する回路電極を加圧するに際し、基材粒子1が扁平形状に十分に変形されなくなる傾向がある。基材粒子1の変形が不十分であると、回路電極との接触面積が不十分となり、接続部分の抵抗値が高くなる。また、基材粒子1を扁平形状に十分に変形させるために高い圧力で加圧した際には、粒子が粉砕し、接続が不十分となるおそれがある。当該圧縮弾性率は、株式会社フィッシャーインストルメンツ製H−100微小硬度計により測定することができる。
【0040】
なお、基材粒子1は粒子間で同一又は異なる種類の材質であってもよく、同一粒子に1種の材質を単独で、又は2種以上の材質を混合して用いてもよい。
【0041】
基材粒子1の平均粒径は、用途などに応じて適宜設計可能であるが、1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましく、3〜5μmであることが更に好ましい。平均粒径が1μm未満であると粒子の二次凝集が生じ、隣接する回路との絶縁性が不十分となる傾向がある。他方、平均粒径が10μmを越えると、その大きさに起因して隣接する回路との絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0042】
金属微粒子2を構成する金属として、例えば、Ni、Ag、Au、Cu、Co、Zn、Al、Sb、U、Ga、Ca、Sn、Se、Fe、Th、Be、Mg、Mn及びこれらの合金が挙げられる。これらの金属のうち、導電性及び耐腐食性の観点からNi、Ag、Au、Cuが好ましく、Niがより好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
金属微粒子2の平均粒径は、用途などに応じて適宜設計可能であるが、200〜1000nmであることが好ましく、400〜800nmであることがより好ましく、400〜500nmであることが更に好ましい。平均粒径が200nm未満であると、表面に酸化膜が形成されている金属の回路電極を接続する場合、酸化膜を十分に突き破ることができず、接続部分の抵抗値が高くなる傾向がある。他方、平均粒径が1000nmを越えると、隣接する回路との絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0044】
金属めっき層3の内側であり基材粒子1の表面上に配置する金属微粒子2の数は、基材粒子1個当たり10〜40個であることが好ましく、10〜30個であることがより好ましく、10〜20個であることが更に好ましい。金属微粒子2の数が10個未満であると、接続抵抗値の上昇の抑制が不十分となる傾向がある。他方、金属微粒子2の数が40個を越えると、隣接する回路との絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0045】
金属めっき層3は基材粒子1及び金属微粒子2の表面の少なくとも一部を覆うものである。ただし、金属微粒子2の脱落をより確実に防止する観点から、実質的に基材粒子1及び金属微粒子2の表面をすべて覆うものであることが好ましい。
【0046】
金属めっき層3の膜厚は、80〜200nmであることが好ましく、100〜150nmであることがより好ましく、100〜110nmであることが更に好ましい。金属めっき層3の膜厚が80nm未満であると、接続部分の抵抗値が高くなる傾向がある。他方、金属めっき層3の膜厚が200nmを超えると、隣接する回路との絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0047】
導電粒子10を製造する方法としては、基材粒子1の表面に金属微粒子2を物理的に付着させた後、金属めっき層3を形成させるめっき処理を行う方法が挙げられる。この場合、添加する金属微粒子2の量を調整することによって基材粒子1の表面に付着する金属微粒子2の数を制御することができる。そして、これに対して無電解めっき処理を施すことで導電粒子10が製造される。
【0048】
次に、導電粒子1を分散させる接着剤成分について説明する。接着剤成分20としては、(a)熱硬化性樹脂及び(b)熱硬化性樹脂用硬化剤からなる接着剤を含有する組成物、並びに、(c)加熱又は光によって遊離ラジカルを発生する硬化剤及び(d)ラジカル重合性物質からなる接着剤を含有する組成物が好ましい。あるいは、上記の(a)、(b)、(c)及び(d)の混合組成物が好ましい。
【0049】
(a)熱硬化性樹脂としては、任意の温度範囲における硬化処理が可能な熱硬化性樹脂であれば特に限定されないが、エポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
(b)熱硬化性樹脂用硬化剤としては、アミン系、フェノール系、酸無水物系、イミダゾール系、ヒドラジド系、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アミンイミド等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0051】
(b)熱硬化性樹脂用硬化剤の配合量は、接着剤成分の総質量を基準として、0.1〜60.0質量%程度であると好ましく、1.0〜20.0質量%であるとより好ましい。熱硬化性樹脂用硬化剤の配合量が0.1質量%未満であると、硬化反応の進行が不十分となり、良好な接着強度や接続抵抗値を得ることが困難となる傾向がある。他方、配合量が60質量%を越えると、接着剤成分の流動性が低下したり、ポットライフが短くなったりする傾向があるとともに、接続部分の接続抵抗値が高くなる傾向がある。
【0052】
(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの、加熱又は光により分解して遊離ラジカルを発生するものが挙げられる。硬化剤は目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定される。高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましい。この場合、(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤の配合量は、接着剤成分の総質量を基準として、0.05〜10質量%であると好ましく、0.1〜5質量%であるとより好ましい。
【0053】
(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、具体的には、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどから選定できる。回路部材の接続端子の腐食を抑えるために、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドから選定されることが好ましく、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。
【0054】
ジアシルパーオキサイド類としては、例えば、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0055】
パーオキシジカーボネート類としては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0056】
パーオキシエステル類としては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0057】
パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0058】
ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0059】
ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0060】
これらの(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
【0061】
(d)ラジカル重合性物質は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、例えば、(メタ)アクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。
【0062】
(メタ)アクリレートとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0063】
このようなラジカル重合性物質は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。接着剤成分は、25℃での粘度が100000〜1000000mPa・sであるラジカル重合性物質を少なくとも含有することが特に好ましく、特に100000〜500000mPa・sの粘度(25℃)を有するラジカル重合性物質を含有することが好ましい。ラジカル重合性物質の粘度の測定は、市販のE型粘度計を用いて測定できる。
【0064】
ラジカル重合性物質の中でも、接着性の観点からウレタンアクリレート又はウレタンメタアクリレートを使用することが好ましい。また、耐熱性を向上させるために用いる有機過酸化物との橋かけ後、単独で100℃以上のTgを示すラジカル重合性物質を併用して用いることが特に好ましい。このようなラジカル重合性物質としては、ジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基及び/又はトリアジン環を分子内に有するものを用いることができる。特に、トリシクロデカニル基やトリアジン環を分子内に有するラジカル重合性物質が好適に用いられる。
【0065】
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するものが好ましく、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用して用いてもよく、アリルフェノール、アリルフェニルエーテル、安息香酸アリルなどのアリル化合物と併用して用いてもよい。
【0066】
また、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。
【0067】
接着剤成分20はフィルム形成性高分子を含有してもよい。接着剤成分20の全質量を基準として、フィルム形成性高分子の含有量は、2〜80質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。フィルム形成性高分子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などが用いられる。
【0068】
上記のフィルム形成性高分子の中でも水酸基等の官能基を有する樹脂は接着性を向上させることができるので、より好ましい。また、これらの高分子をラジカル重合性の官能基で変性したものも用いることができる。フィルム形成性高分子の重量平均分子量は10000〜10000000であると好ましい。
【0069】
更に、回路接続材料50は、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
【0070】
充填材を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填材は、その最大径が導電粒子の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積%の範囲が好ましい。60体積%を越えると、信頼性向上の効果が飽和する。
【0071】
カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種以上の基を含有する化合物が、接着性の向上の点から好ましい。
【0072】
回路接続材料50において導電粒子10の含有量は、回路接続材料50の全体積を100体積部とすると、0.5〜60体積部であることが好ましく、その含有量は用途により使い分ける。
【0073】
図4は本発明に係る回路接続材料50がフィルム状の支持体60上に設けられている状態を示す断面図である。支持体60としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンイソフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、合成ゴム系フィルム、液晶ポリマーフィルム等の各種フィルムを使用することが可能である。上記のフィルムの表面に対し、必要に応じてコロナ放電処理、アンカーコート処理、帯電防止処理などが施された支持体を使用してもよい。
【0074】
回路接続材料50を使用する際に、回路接続材料50から支持体60を容易に剥離できるように、必要に応じて支持体60の表面には剥離処理剤をコーティングして使用してもよい。剥離処理剤として、シリコーン樹脂、シリコーンと有機系樹脂との共重合体、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、長鎖アルキル基を有する樹脂、フルオロアルキル基を有する樹脂、セラック樹脂などの各種剥離処理剤を用いることができる。
【0075】
支持体60の膜厚は、特に制限されるものではないが、作製された回路接続材料50の保管、使用時の利便性等を考慮して、4〜200μmとすることが好ましい。さらに、支持体60の膜厚は、材料コストや生産性を考慮して、15〜75μmとすることがより好ましい。
【0076】
回路接続材料は、回路接続材料50のような単層構造に限定されず、複数の層が積層された多層構造であってもよい。多層構造の回路接続材料は、接着剤成分及び導電粒子の種類あるいはこれらの含有量が異なる層を複数積層することによって製造することができる。例えば、回路接続材料は、導電粒子を含有する導電粒子含有層と、この導電粒子含有層の少なくとも一方の面上に設けられた、導電粒子を含有しない導電粒子非含有層とを備えるものであってもよい。
【0077】
図5は、二層構造の回路接続材料が支持体に支持されている状態を示す断面図である。図5に示す回路接続材料70は、導電粒子を含有する導電粒子含有層70a及び導電粒子を含有しない導電粒子非含有層70bから構成されている。回路接続材料70の両最外面には、それぞれ支持体60a,60bが設けられている。回路接続材料70は、支持体60aの表面上に導電粒子含有層70aを形成し、他方、支持体60bの表面上に導電粒子非含有層70bを形成し、これらの層を従来公知のラミネータなどを使用して貼り合わせることで作製することができる。回路接続材料70を使用するに際には、適宜支持体60a,60bを剥離して使用する。
【0078】
回路接続材料70によれば、回路部材同士の接合時に、接着剤成分の流動に起因する回路電極上における導電粒子の個数の減少を十分に抑制することができる。このため、例えば、ICチップを基板上に実装する場合、ICチップの金属バンプ(接続端子)上の導電粒子の個数を十分に確保することができる。この場合、ICチップの金属バンプを備える面と導電粒子非含有層70bとが、他方、ICチップを実装すべき基板と導電粒子含有層70aとが、それぞれ当接するように回路接続材料70を配置することが好ましい。
【0079】
(接続方法)
図6は、本発明に係る回路部材の接続方法の一実施形態を概略断面図により示す工程図であり、回路接続材料50を熱硬化させて接続構造を製造するまでの一連の工程を示す。
【0080】
先ず、上述した第1の回路部材30と、フィルム状の回路接続材料50を用意する。回路接続材料50は、導電粒子10を含有する接着剤組成物からなる。
【0081】
回路接続材料50の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。回路接続材料50の厚さが5μm未満であると、第1及び第2の回路電極32,42間に回路接続材料50が充填不足となる傾向がある。他方、厚さが50μmを超えると、第1及び第2の回路電極32,42間の導通の確保が困難となる傾向がある。
【0082】
次に、回路接続材料50を第1の回路部材30の回路電極32が形成されている面上に載せる。そして、回路接続材料50を、図6(a)の矢印A及びB方向に加圧し、回路接続材料50を第1の回路部材30に仮接続する(図6(b))。
【0083】
このときの圧力は回路部材に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.1〜30.0MPaとすることが好ましい。また、加熱しながら加圧してもよく、加熱温度は回路接続材料50が実質的に硬化しない温度とする。加熱温度は一般的には50〜190℃にするのが好ましい。これらの加熱及び加圧は0.5〜120秒間の範囲で行うことが好ましい。
【0084】
次いで、図6(c)に示すように、第2の回路部材40を、第2の回路電極42を第1の回路部材30の側に向けるようにして回路接続材料50上に載せる。そして、フィルム状回路接続材料50を加熱しながら、図6(c)の矢印A及びB方向に全体を加圧する。
【0085】
このときの加熱温度は、回路接続材料50が硬化可能な温度とする。加熱温度は、60〜180℃が好ましく、70〜170℃がより好ましく、80〜160℃が更に好ましい。加熱温度が60℃未満であると硬化速度が遅くなる傾向があり、180℃を超えると望まない副反応が進行し易い傾向がある。加熱時間は、0.1〜180秒が好ましく、0.5〜180秒がより好ましく、1〜180秒が更に好ましい。
【0086】
回路接続材料50の硬化により接着部50aが形成されて、図1に示すような接続体100が得られる。接続の条件は、使用する用途、接着剤組成物、回路部材によって適宜選択される。なお、回路接続材料50の接着剤成分として、光によって硬化するものを使用した場合には、回路接続材料50に対して活性光線やエネルギー線を適宜照射すればよい。活性光線としては、紫外線、可視光、赤外線等が挙げられる。エネルギー線としては、電子線、エックス線、γ線、マイクロ波等が挙げられる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0089】
(実施例1)
フィルム形成性高分子として、フェノキシ樹脂溶液(フェノキシ樹脂/トルエン/酢酸エチル=40/30/30質量部)100質量部、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の混合物としてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(旭化成株式会社製、商品名:ノバキュア3941)60質量部、導電粒子としてNi/Auめっきポリスチレン粒子10質量部、及びシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、商品名:SZ6030)10質量部を混合し、回路接続用の接着剤組成物を調製した。なお、フェノキシ樹脂として、FX−293(商品名、東都化成株式会社製)を用いた。
【0090】
上記のNi/Auめっきポリスチレン粒子は、平均粒径3μmのポリスチレン粒子(基材粒子)の表面に、平均粒径400nmのNi微粒子(金属微粒子)を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数(金属めっき層の内側に配置されている金属微粒子の数)は32個であった。ポリスチレン粒子の20%圧縮変形時の圧縮弾性率は750kgf/mmであり、最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率は70%であった。
【0091】
PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる支持体(膜厚50μm)上に上記の接着剤組成物を塗布した。その後、これを70℃で10分間乾燥させて、支持体上に設けられた導電粒子含有層(膜厚25μm)を得た。
【0092】
他方、接着剤組成物の溶液の代わりに、フェノキシ樹脂溶液(フェノキシ樹脂/トルエン/酢酸エチル=40/30/30質量部)100質量部及びエポキシ樹脂と潜在性硬化剤の混合物としてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(旭化成株式会社製、商品名:ノバキュア3941)60質量部からなる接着剤成分の溶液を、PETからなる支持体(膜厚50μm)上に塗布した。その後、これを70℃で10分間乾燥させて、支持体上に設けられた導電粒子非含有層(膜厚25μm)を得た。
【0093】
上記の導電粒子含有層と導電粒子非含有層とを、従来公知のラミネータを用いて貼り合わせた。これにより、図5に示す状態の二層構成の回路接続材料を得た。これを帯状に切断し、回路接続材料を作製した。
【0094】
(実施例2)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、実施例1で使用したものと同一のポリスチレン粒子の表面に、平均粒径200nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は20個であった。
【0095】
(実施例3)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、実施例1で使用したものと同一のポリスチレン粒子の表面に、平均粒径800nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は15個であった。
【0096】
(実施例4)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が300kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径400nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は30個であった。
【0097】
(実施例5)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が600kgf/mmであり、且つ、最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が40%であるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径400nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は30個であった。
【0098】
(実施例6)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、平均粒径が4μmであり、且つ、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が700kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径400nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は32個であった。
【0099】
(実施例7)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、平均粒径が3μmであり、且つ、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が450kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径160nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は8個であった。
【0100】
(実施例8)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、平均粒径が3μmであり、且つ、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が500kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径230nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は47個であった。
【0101】
(実施例9)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、平均粒径が3μmであり、且つ、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が90kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径200nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は23個であった。
【0102】
(実施例10)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が25%であり、且つ、20%圧縮変形時の圧縮弾性率が700kgf/mmであるポリスチレン粒子の表面に、平均粒径400nmのNi微粒子を付着させた後、無電解めっきによりNi層を形成し、最後にAu層を形成させて作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni微粒子に起因する突起の数は30個であった。
【0103】
(比較例1)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子の代わりに、下記のようにして作製したAuめっきポリスチレン粒子を使用したことの以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。実施例1で使用したものと同一のポリスチレン粒子の表面上に、無電解めっきによりAu層を形成し、Auめっきポリスチレン粒子を作製した。
【0104】
(比較例2)
Ni/Auめっきポリスチレン粒子を下記のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。Ni/Auめっきポリスチレン粒子は、実施例1で使用したものと同一のポリスチレン粒子の表面に、無電解ニッケルめっきを施してNi層を形成するとともにNi塊を析出させ、その後、Au層をめっきして作製した。めっき処理後の導電粒子をSEMにより倍率6000倍にて観察した結果、Ni塊に起因する突起の数は35個であった。
【0105】
次に、上記実施例及び比較例で作製した回路接続材料について、各種評価を行った。
【0106】
(初期接続抵抗の評価)
バンプ寸法50μm×50μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バンプを備えるICチップと表面上にアルミニウム電極が形成されたガラス基板(厚さ0.7mm)を準備した。アルミニウム電極と金バンプとを回路接続材料で電気的に接続して接続構造を作製し、この抵抗値を測定することで接続部分の初期接続抵抗値の評価を行った。
【0107】
具体的には、まず、導電粒子含有層側の支持体を剥離し、導電粒子含有層がガラス基板と当接するように回路接続材料をガラス基板上に配置し、予備圧着を行った。そして、導電粒子非含有層側の支持体を剥離した後、金バンプが導電粒子非含有層と当接するようにICチップを載置した。ICチップの配置後、加熱しながら回路接続材料を挟む方向に加圧して接続した。予備圧着の条件は、温度70℃、圧力0.5MPa(バンプ面積換算)、保持時間1秒間とした。一方、接続の条件は、温度210℃、圧力70MPa(バンプ面積換算)、保持時間5秒間とした。
【0108】
このようにして接続された接続構造の抵抗値(R)を測定した。初期接続抵抗の評価は以下の基準に基づいて行った。
A:Rが1Ω未満、
B:Rが1〜2Ω、
C:Rが2Ωを超える。
回路接続材料として実施例及び比較例の回路接続材料を、それぞれ使用した場合の初期接続抵抗の評価結果を表1及び表2に示す。
【0109】
(熱サイクル試験後の接続抵抗の評価)
上記の初期接続抵抗の評価を行った後、接続構造に対して昇温降温を繰り返す熱サイクル試験を行い、熱サイクル試験後の接続抵抗の評価を行った。熱サイクル試験は接続構造を室温から100℃に昇温、次に−40℃まで降温した後に室温まで昇温する工程を20回繰り返すことで行った。熱サイクル試験後の接続構造の抵抗値(R)を用いて測定した。
【0110】
熱サイクル試験後の接続抵抗の評価は以下の基準に基づいて行った。
A:Rが3Ω未満、
B:Rが3〜4Ω、
C:Rが4Ωを超える。
回路接続材料として実施例及び比較例の回路接続材料をそれぞれ使用した場合の熱サイクル試験後の接続抵抗の評価結果を表1及び表2に示す。
【0111】
(絶縁性の評価)
バンプ寸法50μm×100μm、ピッチ15μm、高さ20μmの金バンプを備えるICチップとITO基板とを準備した。ITO基板と複数の金バンプとを回路接続材料で電気的に接続して接続構造を作製し、隣接する金バンプ間の抵抗値を測定することで接続部分の隣接する金バンプ間の電気絶縁性の評価を行った。なお、ITO基板は、ガラス基板(厚さ0.7mm)上に、インジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着させ、ITO電極(表面抵抗≦20Ω/□)を形成したものである。
【0112】
まず、導電粒子含有層側の支持体を剥離し、導電粒子含有層がITO基板と当接するように回路接続材料をITO基板上に配置し、予備圧着を行った。そして、導電粒子非含有層側の支持体を剥離した後、金バンプが導電粒子非含有層と当接するようにICチップを載置した。ICチップの配置後、加熱しながら回路接続材料を挟む方向に加圧して接続した。予備圧着の条件は、温度70℃、圧力0.5MPa(バンプ面積換算)、保持時間1秒間とした。一方、接続の条件は、温度210℃、圧力70MPa(バンプ面積換算)、保持時間5秒間とした。
【0113】
このようにして接続された接続構造の隣接する金バンプ間に、50Vの電圧を1分間印加した後、当該金バンプ間の絶縁抵抗値(R)を測定した。絶縁性の評価は以下の基準に基づいて行った。
A:Rが1×1010Ω以上、
B:Rが1×10〜1×1010Ω、
C:Rが1×10Ω未満。
回路接続材料として実施例及び比較例の回路接続材料をそれぞれ使用した場合の絶縁性の評価結果を表1及び表2に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
表1に示すように、実施例1〜6の回路接続材料は、評価項目すべてについて評価がAであった。これにより、実施例1〜6に係る回路接続材料によれば、低い初期接続抵抗及び隣接する回路電極との良好な絶縁性の両方を高水準に達成可能であることが示された。これに加え、熱サイクル試験後の接続抵抗の評価がAとなっていることから、接続抵抗値の上昇を十分に抑制可能であることが示された。
【0117】
また、Ni微粒子に起因する突起が設けられていない比較例1の回路接続材料は、初期接続抵抗の評価がBであり、熱サイクル試験後の接続抵抗の評価がCであった。
【0118】
上記の結果から、本発明によれば、高いファインピッチ化が要求されている回路電極同士を接続するに際し、回路電極が表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなるものであっても、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることが可能な回路接続材料を提供できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明によれば、接続すべき電極が、表面に酸化膜が形成されやすい金属材料からなるものであっても、接続構造の初期抵抗値を十分に低くすることが可能な接着剤組成物及びこれを用いた回路接続材料を提供することができる。また、本発明によれば、低い接続抵抗で回路部材が接続された接続構造、並びにこれを得るための回路部材の接続方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…基材粒子、2…金属微粒子、3…金属めっき層、10…導電粒子、20…接着剤成分、30…第1の回路部材、31…回路基板(第1の回路基板)、32…回路電極(第1の回路電極)、40…第2の回路部材、41…回路基板(第2の回路基板)、42…回路電極(第2の回路電極)、50,70…回路接続材料、60,60a,60b…支持体、100…接続構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤成分と、前記接着剤成分中に分散している導電粒子とを備える接着剤組成物であって、
前記導電粒子は、当該導電粒子の中心部分を構成する基材粒子と、前記基材粒子の表面の少なくとも一部を覆う金属めっき層と、前記金属めっき層の内側であり前記基材粒子の表面上に配置された複数の金属微粒子とを有する、接着剤組成物。
【請求項2】
前記金属微粒子の平均粒径が200〜1000nmである、請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記金属微粒子の数が、基材粒子1個当たり10〜40個である、請求項1又は2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記基材粒子は、粒子直径の20%圧縮変形時の圧縮弾性率が100〜1000kgf/mmである材質からなるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記基材粒子は、最大荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が40%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記基材粒子の平均粒径が、1〜10μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物からなり、回路部材同士を接着するとともにそれぞれの回路部材が有する回路電極同士を電気的に接続するために用いられる、回路接続材料。
【請求項8】
対向配置された一対の回路部材と、
請求項7に記載の回路接続材料の硬化物からなり、前記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部と、を備える接続構造。
【請求項9】
対向配置された一対の回路部材の間に請求項7に記載の回路接続材料を介在させ、全体を加熱及び加圧して、前記回路接続材料の硬化物からなり、前記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように前記回路部材同士を接着する接続部を形成することにより、前記一対の回路部材及び前記接続部を備える接続構造を得る、回路部材の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−231326(P2011−231326A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123727(P2011−123727)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2007−545234(P2007−545234)の分割
【原出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】