説明

推測航法における高度成分の調整

ここに開示される主題は、センサーによる推測航法に少なくとも部分的に基づいて推定所在の高度成分を調整することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される主題は、センサーによる推測航法(sensor-based dead reckoning)に少なくとも部分的に基づいて、推定位置(estimated location)の高度成分(elevation component)を調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位システム(SPS)、たとえば、全地球測位システム(GPS)は、多くの環境で信頼度の高いナビゲーションを提供できる。位置所在(position location)を決定するために情報を集めるべく、モバイルデバイスは、SPSからタイミング信号を受信できる。そのような情報は、位置所在を推定するためにその移動局によって利用されることができ、すなわち、移動局は、位置所在の推定のためにネットワークエンティティにその情報を提供できる。しかしながら、いくつかの環境では、移動局が、信号を受信する際に問題に直面し得る。たとえば、問題は、移動局が建物の中に位置する場合に経験され得る。そのような環境では、モバイルデバイスの中にあるセンサーからのデータが、推測航法ナビゲーションを実行して移動局の推定所在を更新するために、使用されることができる。しかしながら、センサーのデータによる推測航法は、いくらかの誤差を生じ得る。高度の変化を測定することは、少なくともいくつかの環境において、特に難問であると言える。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様において、移動局の最初の推定位置が決定されることができ、その最初の推定位置は、高度成分を含む。また、ある態様では、建物の内部の特徴が、少なくとも部分的には、その最初の推定位置に対する移動局の位置の変化を検出することにより検出されることができる。このような位置の変化の検出は、高度成分の変化を検出することにより、センサーのデータに応じて行われることができる。さらなる態様において、検出された高度成分の変化は、検出された内部の特徴に関する情報を使用して調整されることができる。
【0004】
非限定的で非網羅的な例が、以下の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、種々の図面を通して同様のパーツを示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、例示的な衛星測位システム(SRS)および例示的なセルラーネットワークのブロック図である。
【図2】図2は、SPS座標系における所在を有する建物の説明図である。
【図3】図3は、例示的な慣性測定ユニットのブロック図である。
【図4】図4は、検出された高度の変化を調整するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【図5】図5は、複数の自由度を有する例示的な慣性測定ユニットを示す図である。
【図6】図6は、推定所在の高度成分を調整するための例示的なプロセスのブロック図である。
【図7】図7は、エレベータで移動するユーザーの検出を示す図である。
【図8】図8は、一続きの階段を上るユーザーの検出を示す図である。
【図9】図9は、慣性測定ユニットを組み込んだ例示的な移動局のブロック図である。
【詳細な説明】
【0006】
本明細書を通して「1つの例」、「1つの特徴」、「ある例」、または「ある特徴」と言う場合、その特徴および/または例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、特許請求の主題の少なくとも1つの特徴および/または例に含まれることを意味する。したがって、本明細書中のさまざまな箇所に、「1つの例において」、「ある例」、「1つの特徴において」、または「ある特徴」というフレーズが登場しても、必ずしもそれらのすべてが、同一の特徴および/または例のことを言っているわけではない。さらに、その特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の例および/または特徴において組み合わされることができる。
【0007】
1つの例において、デバイスおよび/またはシステムは、衛星から受信された信号に少なくとも部分的に基づいて、その所在を推定できる。特に、そのようなデバイスおよび/またはシステムは、関連づけられた送信機とナビゲーション受信機間の距離の近似値を含む「擬似距離(pseudorange)」の測定値を得ることができる。特定の例では、そのような擬似距離が、衛星測位システム(SPS)の一部としての1つまたは複数の宇宙飛行体(SV:space vehicle)からの信号を処理できる受信機で、決定されることができる。そのようなSPSは、数例挙げてみただけでも、たとえば、全地球測位システム(GPS)、ガリレオ、グロナス、または、今後開発される任意のSPSを含むことができる。ナビゲーション受信機は、その位置を推定するために、3つまたはそれ以上のSVまでの擬似距離の測定値、ならびに、送信時のそれらの位置を得ることができる。衛星の軌道のパラメータは既知であるため、任意の時点のこれらの衛星の位置が、計算可能である。そして、擬似距離の測定値が、光速を乗じた、信号が衛星から受信機へと進む時間に、少なくとも部分的に基づいて、決定されることができる。ここに説明される手法は、具体的な例としてはGPS、EGNOS、WAAS、グロナス、および/または、ガリレオ方式のSPSでの所在決定の実現として提供されることができるが、これらの手法が他の方式のSPSにも適用されることができ、特許請求の主題はこの点で限定されないことが理解されるべきである。1つまたは複数の実施形態において、所在は、3つのエレメント(x,y,z)を含むことができ、それらは、たとえば、経度、緯度、および、いくつかの環境では海抜(altitude)と呼ばれることもできる高度を含むことができる。
【0008】
上述したように、いくつかの環境において、移動局は、擬似距離の測定値を得るために使用する信号を受信する際に、問題に直面し得る。たとえば、問題は、そのような移動局が建物の中に位置する場合に、経験され得る。そのような環境では、モバイルデバイスの中にあるセンサーからのデータが、推測航法ナビゲーションを実行してそのモバイルデバイスの推定所在を周期的および/または継続的に更新するために、使用されることができる。しかしながら、センサーのデータによる推測航法はいくらかの誤差を生じる場合があり、高度の変化を測定することは、少なくともいくつかの環境において、特に難問であると言える。一般的に、移動局の高度を決定することは、経度および緯度の決定で一般的に可能であるよりも正確でない場合がある。
【0009】
一般的に、推測航法ナビゲーションは、既知の、または少なくとも推定された位置から開始されることができる。その次の位置は、最初の以前の位置からの変位(displacement)(距離および方向)を特定することによって計算されうる。1つの例において慣性測定ユニットに組み込まれたセンサーが、距離および方向の情報を提供できる。上述のように、推測航法は、変位および方位(heading)の誤差が時間とともに蓄積するという欠点を有する。誤差の量は、センサーの正確さ、および、どのくらいの頻度で測定が行われるか、に少なくとも部分的に依存し得る。より頻繁な測定は、一般的にはより少ない誤差という結果となり得るが、誤差は、時間が経過するにつれ、相対的に小さい誤差がさらなる測定が行われることによりさらなる誤差と増幅し合い、全体的に増加し得る。
【0010】
短時間の測定期間は、距離と方向を追跡するために正確なセンサーがするように、正確さを向上させるため、役立つことができる。しかしながら、ここに説明されるさまざまな態様は、推測航法ナビゲーション動作を実行するために比較的安価でことによるとより不正確なセンサーが利用されることのできる手法を説明するものであり、誤差が、少なくとも部分的には、ここに説明される手法によって補償されることができる。
【0011】
上述したように、いくつかの移動局では、センサーが、推測航法ナビゲーションを実行して高度の変化を検出するために、利用されることができる。そのようなセンサーは、たとえば、慣性測定ユニットに組み込まれた加速度計およびジャイロスコープを含むことができる。しかしながら、SPS信号なしに過度な誤差なく高度の変化を検出するのに十分な正確さを有する慣性測定ユニットは、相対的に高価であり、および/または、相対的に多量の電力を消費し得る。これらの問題に対処するため、ある態様では、移動局が建物の中にある場合に、その建物の任意の範囲の特徴が、移動局のユーザーが建物の中を動き回るにつれ移動局によって検出されることができ、検出された特徴は、移動局によって測定された高度の変化を調整するために使用されることができる。たとえば、移動局が、ユーザーがあるフロアから次のフロアへとエレベータで移動したことを検出すると、2つのフロア間の、既知の、または推定の垂直距離が、移動局により推測航法によって検出された高度の変化を調整するために使用されることができ、こうすることで、蓄積された誤差を少なくとも部分的に修正できる。さらなる例およびさらなる詳細が、後続の説明で提供される。
【0012】
ここで使用される場合、「高度」という語は、ある基準点と別の点との間の垂直距離を意味する。たとえば、「高度」という語は、ある対象と地表面との間の垂直距離を意味することができる。別の例では、「高度」という語は、ある対象と海水面との間の海抜を意味することができる。さらなる別の例では、階段が、第1の平面から第1の平面よりも約3メートル(10フィート)上の高さに上がった場合、階段は、約3メートル(10フィート)の高度を有すると言うことができる。さらなる例では、階段が、1階(ground floor)から地表面よりも約4.5メートル(15フィート)下の地階面(basement level)に至る場合、階段は、約4.5メートル(15フィート)の高度を有すると言うことができる。しかしながら、これらは、「高度」という語の単なる使用例であり、特許請求の主題の範囲は、これらの点で限定されない。また、ここで使用される場合、「加速度」という語は、正の加速度を言うことができ、また、時に減速度と呼ばれることもある負の加速度を言うこともできる。さらに、垂直距離を計算することが加速度だけでなく時間の測定をも含み得るということに注意すべきである。垂直加速度(または減速度)および発生した時間の量を考慮して、垂直距離の変化が計算されることができる。
【0013】
図1は、例示的なセルラーネットワーク120と例示的な衛星測位システム(SPS)110を示す図である。ある態様において、SPS110は、多数のSV、たとえばSV112、114、および116を含むことができる。たとえば、SPS110は、GPS、グロナス、ガリレオ、等のいくつかのSPSのいずれかを含むことができるが、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。1つの例で、セルラーネットワーク120は、基地局132、134、および136を含むことができる。言うまでもなく、他の例は、他の数の基地局を含むことができ、図1に示す基地局の構成は、単なる一例の構成にすぎない。さらに、ここで使用される場合、「基地局」という語は、典型的には既知の所在に設置され、たとえば、セルラーネットワークのような無線ネットワークにおける通信を容易にするために使用される、任意の無線通信局および/またはデバイスを含むことを意味する。別の態様において、基地局は、任意の範囲の電子デバイスの種類に含まれることができる。また、ここに説明されるいくつかの例示的な実施形態は、通信トランシーバおよびさまざまなネットワークに言及するが、いくつかの実施形態は、ここに説明される高度成分の調整動作を実行するために任意のネットワークまたは他のデバイスに接続される必要のない移動局または他の電子デバイスの種類を含むことができる。
【0014】
ここで使用される場合、「移動局」(MS)という語は、その時々に、変化する位置所在を有することができるデバイスのことを言う。位置所在の変化は、いくつかの例として、方向、距離、方位(orientation)、等の変化を含むことができる。特定の例において、移動局は、携帯電話、無線通信デバイス、ユーザー機器、ラップトップコンピュータ、他のパーソナル通信システム(PCS)デバイス、携帯情報端末(PDA)、パーソナルオーディオデバイス(PAD)、携帯ナビゲーションデバイス、および/または、他の携帯通信デバイスを含むことができる。移動局は、また、機械可読命令によって制御される機能を実行するように適合されたプロセッサおよび/またはコンピュータのプラットフォームを含むことができる。
【0015】
1つまたは複数の態様において、移動局150は、SV112、114、および116のうちの1つまたは複数、ならびに基地局134と通信できる。たとえば、移動局150は、SVのうちの1つまたは複数および/または基地局から、信号の伝搬遅延情報を受信できる。しかしながら、先に述べたように、いくつかの環境において、SPS信号が、利用可能でない場合がある。そのような環境において、移動局150は、たとえば高度の変化を含む位置の変化を推定するために推測航法ナビゲーションを実行できる。移動局150は、移動局内の1つまたは複数のセンサーによって生成された情報に少なくとも部分的に基づいて、移動局の位置所在を計算できる。センサーの情報に基づいた測定の例が、以下にさらに詳細に提供される。
【0016】
別の態様において、位置所在の決定の計算は、移動局150ではなく、たとえば、図1に示したような位置決定エンティティである所在特定サーバー(location server)140によって実行されることができる。そのような計算は、たとえば、移動局150によってSV112、114、および116のうちの1つまたは複数のから集められた情報、ならびに、移動局150の1つまたは複数のセンサーに関連する情報に少なくとも部分的に基づくことができる。さらなる態様において、所在特定サーバー140は、移動局150に計算された位置所在を送信できる。また、別の態様において、所在特定サーバー140は、以下により十分に説明されるように、推測航法ナビゲーション動作中に、高度計算における蓄積された誤差の調整に役立てるために使用されることができる1つまたは複数の建物のさまざまな特徴に関する情報のデータベースを含むことができる。
【0017】
図2は、SPS座標系における所在214を有する建物210の説明図である。この例で、建物210は、経度と緯度のGPS座標および海水面に対する高度として提示された (42.88, -71.55, 321) の推定所在を有する。所在の高度エレメントは、海水面を基準として言及されるが、他の高度の基準も可能であり、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。この例において、高度は、海水面から何メートル上かで表されるが、ここでも、特許請求の主題の範囲は、そのように限定されない。また、図2には、移動局150が示されている。たとえば、移動局150が建物210の外にある場合、それは、図1に示したシステム110のようなSPSシステムからのSPS信号を受信可能であることができ、移動局は、たとえば、PDE140によって提供された情報と組み合わされたSPS信号に少なくとも部分的に基づいて、その推定位置を計算できる。しかしながら、ユーザーが移動局150を携行して建物210に入ると、SPS信号が利用可能でなくなり得る。そのような状況において、移動局150は、移動局の動きを追跡し、測定された動きに基づいて移動局の推定所在を継続的または少なくとも周期的に更新する目的で、推測航法ナビゲーション動作を実行できる。ある態様において、移動局150の推定位置は、高度成分を含むことができ、推測航法ナビゲーション動作は、高度の変化の追跡を試みることができる。
【0018】
先に述べたように、推測航法の測定は、それらが高度の変化に関連する場合、時間とともに蓄積し得る誤差に影響を受け、いくつかの環境で不適切な正確さを生み出す場合がある。1つの態様において、建物210に関する情報が、移動局150によって行われる高度の変化の測定を調整するために使用されることができる。たとえば、ユーザーが移動局150を携行して建物210に入り、ユーザーが、1階から2階までエレベータに乗ると仮定する。移動局150は、移動局が1階から2階へ移動したために経験された高度の変化を推定するために推測航法の計算を実行できる。先に述べたように、そのような測定は、累積的な誤差を生じ得る。しかしながら、建物210の2つのフロア間の距離が既知であれば、移動局150によって計算された推定の高度の変化を調整して蓄積された誤差を補償できる。本例では、建物210のフロア間の垂直距離が、フロア間隔(floor separation)212によって図2に示されている。
【0019】
上記の例では、建物210のフロア間の垂直距離は、既知の値である。しかしながら、他の例では、そのような情報が既知でない場合もある。そのような状況では、センサーおよび/またはタイマーからの情報が、高度の変化を含む推定所在の変化を計算するために使用されることができる。たとえば、ユーザーが、あるフロアから次のフロアへとエレベータに乗っている場合、移動局は、エレベータの速度とその行程中に経過した時間の量に基づいて、推定の高度変化を計算できる。無論、これは単なる一例である。いくつかの例において、フロア間の距離は、少なくともいくつかのケースでは、他の建物で観察される典型的なフロア間隔の値に基づいて、推定されることができる。たとえば、ダウンタウンエリアの建物は、あるフロア間隔値を有するように推定されることができ、郊外エリアの建物は、別のフロア間隔値を有するように推定されることができる。1つの態様において、データベースが記憶されることができ、データベースは、多数の建物の情報を含む。ある例では、建物がSPS座標に関連づけられることができるので、モバイルデバイスは、建物の座標を照会することにより建物の情報を要求可能であることができる。別の態様において、建物に関し記憶されることのできる情報の種類は、フロア間隔値、フロア図面、エレベータ、エスカレータ、階段、スロープ等に関する情報を含むことができる。たとえば、階段についての情報は、段数および1段の平均の高さに関し記憶されることができる。エレベータに関する情報は、昇降速度、加速度情報、等に関連することができる。1つまたは複数の例において、上記した建物の内部の特徴のうちの1つまたは複数のに関する情報を考慮して、推測航法ナビゲーション動作が改良されることができ、誤差が少なくとも部分的に修正されることができる。ここに説明されるいくつかの実施形態は建物の情報に関する外部のデータベースを利用するが、移動局が、任意のネットワークに接続されず、また、外部のデータベースにアクセスせずに、高度エレメントの調整動作を実行する他の実施形態が、当然のことながら可能である。
【0020】
別の態様において、建物210に関する情報が、移動局150に利用可能でない場合がある。この例において、および、以下でより十分に述べられるように、移動局150は、最初の推定位置を決定できる。そのような位置は、移動局150が建物210に入る前にSPS信号の支援により決定された最後の位置であることができる。SPS信号の受信を失うと、移動局150は、推測航法計算を開始することができ、推測航法動作に少なくとも部分的に基づいて、推定所在への相対的に頻繁な調整を行うことができる。本例では、ユーザーが移動局150を携行して建物210に入り、階段を上って2階へ行くと仮定する。移動局150は、ユーザーが1組の階段を上っていることを検出でき、1つの例では、既知のまたは推定の階段の質および/または特性に基づいて、移動局150の推定位置の高度成分を調整できる。移動局150は、1つの例において、移動局が、ユーザーが階段を上っていることを検出したのを受けて、少なくとも部分的には、推定位置の高度成分を調整するためにフロア間隔値212をさらに利用できる。言うまでもなく、階段は、蓄積された誤差を修正するために位置の推定を調整するために利用されることができる建物の内部の特徴の単なる一例であり、特許請求の主題の範囲は、これらの点で限定されない。階段を検出すると、以下に説明される例示的なユニットのような慣性測定ユニット(IMU)からの信号は、信号が階段のように値から値にジャンプし得るので、いわゆる「階段」と呼ばれることができるパターンを有することができる。このパターンは、歩行パターンと同様であることができるが、横方向の動きだけでなく高度の変化も有するであろう。さまざまなIMUは、それ独自の個々のパターンを示すことができ、そのパターンは、地面に対するユニットの傾きによって影響され得る。
【0021】
図3は、例示的な慣性測定ユニット300のブロック図である。この例のIMUは、センサー320およびセンサー330、ならびにプロセッサ310およびメモリ340を含む。本例において、プロセッサ310は、センサー320および330に直接関連する動作専用であることができるが、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。
【0022】
センサー320および330は、あるの範囲のセンサー種類うちの任意のものを含むことができる。さまざまなセンサーが、多くの用途をサポートするために利用可能であることができる。これらのセンサーは、物理現象をアナログおよび/または電気信号に変換できる。そのようなセンサーは、たとえば、加速度計を含むことができる。加速度計は、センサーによって経験される重力および任意の他の力の方向を感知できる。加速度計は、直線的なおよび/または角度のある動きを感知するために使用されることができ、たとえば、傾き(tilt)および/または横揺れ(roll)を測定するために使用されることもできる。さらなる別のセンサーの種類は、カリオリの効果を測定するジャイロスコープを含むことができ、方位の変化を測定する用途または回転レートの測定に使用されることができる。
【0023】
別のセンサーの種類は、気圧センサーを含むことができる。気圧センサーは、大気圧を測定するために使用されることができる。気圧センサーの用途は、海抜の決定を含むことができる。他の用途は、それが天候状況に関連する場合、大気圧の観察を含むことができる。
【0024】
別の種類のセンサーは、磁場の強度と、それに応じて磁場の方向を測定できる磁場センサーを含むことができる。方位磁石は、磁場センサーの一例である。方位磁石は、車の絶対的な方位の決定での使用および歩行者のナビゲーション用途を見出すことができる。
【0025】
図3の例は、センサー320および330を、ディスクリートの別個にパッケージされたIMU300にプロセッサ310とともに含まれているように図示しているが、特許請求の主題の範囲はこの点で限定されず、IMUにパッケージされないディスクリート・センサーを使用する他のことが可能である。
【0026】
図4は、特許請求の主題に係る、検出された高度の変化を調整するための例示的なプロセスのフローチャートである。ある態様において、ブロック410では、移動局の最初の推定位置が決定されることができ、最初の推定位置は、高度成分を含む。ブロック420では、建物の内部の特徴が、少なくとも部分的には、高度成分の変化を検出することによりセンサーのデータに応じて最初の推定位置に対する移動局の位置の変化を検出することによって、検出されることができる。別の態様において、ブロック430では、検出された高度成分の変化が、検出された内部の特徴に関する情報を使用して調整されることができる。特許請求の主題に係る他の例示的なプロセスは、410乃至430のすべて、それらよりも少ない、または、それら以上のブロックを含むことができる。さらに、ブロック410乃至430の順序は、単なる一例としての順序であって、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。
【0027】
図5は、複数の自由度を有する例示的なIMU300を示す図である。上述したように、ナビゲーション用途では、加速度計、ジャイロスコープ、磁気センサー、および圧力センサーが、さまざまな度合いの可観測性を提供するために利用されることができる。ある態様において、IMU300は、少なくとも1つの加速度計および少なくとも1つのジャイロスコープを含むことができるが、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。1つの例では、図5に図示されたように、加速度計およびジャイロスコープが、6つの可観測性の軸(i,j,k,θ,φ,ψ)を提供できる。上述したように、加速度計は、直線的な動き(任意の平面、たとえば局所的な水平面での平行移動)を感知できる。この平行移動は、少なくとも1つの軸を基準として測定されることができる。加速度計は、対象の傾き(横揺れ(roll)または縦揺れ(pitch))の大きさを提供することもできる。このように、加速度計によって、デカルト座標空間における対象の動き(i,j,k)が感知されることができ、重力の方向が、対象の横揺れおよび縦揺れを推定するために感知されることができる。ジャイロスコープは、(i,j,k)についての回転レート、すなわち、横揺れ(θ)と縦揺れ(φ)および偏揺れ(yaw)を測定するために使用されることができ、それは、アジマス(azimuth)または「方位(heading)」(ψ)と呼ばれることもできる。言うまでもなく、IMU300は、単に一例を表したものに過ぎず、さまざまな度合いの可観測性もまた、単なる例である。特許請求の主題の範囲は、これらの具体例に限定されない。
【0028】
図6は、推定所在の高度成分を調整するための例示的なプロセスのブロック図である。ブロック610で、最初の所在が推定されることができる。この例では、少なくとも部分的には、SPS信号が、移動局の推定所在を決定するために移動局150によって利用されることができる。ブロック620で、この例では、ユーザーが移動局150を携行して建物に入ったために、SPS信号が利用不可能であり得る。SPS信号を受信できないことを受けて、移動局150は、推測航法の実行を開始でき、推定所在をたびたび更新するために一連の測定を行うことができる。移動局150は、ユーザーが建物じゅうを動き回ると、測定を行い続け得る。
【0029】
建物内の、あるポイントで、ユーザーは、移動局150によって認識可能であり得る建物の多数の内部の特徴のうちの1つに遭遇し得る。たとえば、ユーザーは、あるフロアから別のフロアへ移動するためにエスカレータに乗ることができる。移動装置50は、少なくとも部分的には、IMU300によって、エスカレータに乗っているユーザーに見られることが予期されるパターンと一致したパターンの動きを検出できる。例示的な内部の特徴の検出プロセスが、図6のブロック630に図示されている。ある態様において、移動局150は、推測された内部の特徴を含むIMU300からの最近の測定値を、異なる分類または種類の内部の特徴を表すための既知のパターンの測定値と、照合できる。すなわち、階段を上るユーザーについてのIMU測定情報は、たとえば、エスカレータを上るユーザーまたはスロープを歩いて上るユーザーについてのIMU測定情報とは異なって見える。
【0030】
内部の特徴の検出プロセスの一部として、移動装置50は、建物の内部の特徴に関する情報のデータベース640にアクセスできる。ある例では、データベースが、所在特定サーバー140のようなネットワークエンティティで記憶されることができる。データベース640は、内部の特徴に関する任意の広範囲の情報を含むことができる。たとえば、データベース640は、上述したエスカレータに関する情報を含むことができる。そのような情報は、たとえば、建物のフロア間の垂直距離、建物内のエレベータの所在、エレベータの加速度/減速度特性および上昇下降レートを含むことができる。無論、これらは、単なる例示的な種類の情報であり、特許請求の主題の範囲は、この点で限定されない。また、先に述べたように、特許請求の主題に係る実施形態は、データベースを組み込まないこともでき、いくつかの実施形態では、移動局が、任意のネットワークに接続されずに、および、任意の外部のデータベースにアクセスせずに、高度エレメントの調整動作を実行できる。すなわち、移動局は、スタンドアロンでこれらの動作を実行できる。
【0031】
ある態様において、移動局150は、移動局の一番最近の推定位置の高度成分を調整するためにデータベース640からの情報を利用できる。エレベータの例では、移動局150が、ユーザーがエレベータに乗ってほぼ1フロア上がったことを検出すると、データベース640は、その特定の建物の、または、別の例では平均的な建物の、フロア間の垂直距離の値を提供でき、そのフロア間の垂直距離の値が、移動局の一番最近の推定所在の高度成分を調整するために使用されることができ、このようにして、推測航法演算により蓄積された誤差が、補償されることができる。
【0032】
別の態様において、データベース640は、個々に特定可能な多くの建物についての情報を含むことができるが、さらなる態様では、データベースは、多くの建物に利用することを意図した平均的な情報を含むことができる。また、図6に図示された本例は、内部の特徴に関する情報のデータベースを図示しているが、他の例は、そのようなデータベースを含まないことができる。たとえば、移動局150は、内部の特徴を検出するために、および、検出された特徴についての具体的な詳細を検出するために、推測航法動作によって収集された情報のみを利用できる。たとえば、IMUデータを使用して階段の個々の段の高さを測定可能であることができる。
【0033】
図7は、エレベータ710に乗って移動するユーザー700の検出を図示した説明図である。この例において、ユーザー700は移動局150を携行している。また、この例において、エレベータ710は、建物210の中にある。この例において、ユーザー700が、最近の推定所在を有して建物210に入り、建物210に入ると、移動局150が推測航法測定を開始し、推測航法測定データが利用可能になると最初の推定所在が頻繁に更新される、と仮定されることができる。無論、先に述べたように、推測航法の1つの潜在的な欠点は、時間とともに蓄積される誤差である。各測定での小さな誤差が、より大きな誤差という結果になるまで、互いを増幅させ得る。
【0034】
図7の例では、ユーザー700が、建物に入る前にはSPSシステムから前に得られた所在情報に、移動局がエレベータに接近するときには推測航法測定情報に、少なくとも部分的に基づく一番最近の推定位置を有してエレベータに乗り込む。この例では、誤差が(x,y)平面で蓄積してい得る。データベース640のようなデータベースが、利用可能であり、かつ、建物210内のエレベータの所在に関する情報を含む場合、その情報が移動局150の推定所在を調整するために使用されることができる。この例で、エレベータ710が2階から3階へとその上昇を開始すると、IMU300がセンサーのデータを提供でき、一連の測定が行われる。この例では、あらゆる測定を用いて、推定所在が更新され、この状況では垂直方向のみである移動局150の動きを反映する。
【0035】
先に説明したように、推測航法測定が行われると、誤差が蓄積し得る。移動局150は、少なくとも部分的には、現在の推定所在の高度成分を調整することにより蓄積された誤差を補償するために、エレベータに関する既知のおよび/または推定の情報を使用できる。たとえば、測定された上昇レート値または推定された上昇レート値のいずれかが、エレベータの高度が最後の測定からどれだけ変化したかを決定するために使用されることができ、推定所在の高度成分が、それに応じて調整されることができる。同様にして、ひとたびエレベータが次のフロアまでの全距離を進み、移動局がエレベータの停止を検出すると、フロア間隔値212が、蓄積された誤差を補償するために推定所在の高度成分を調整するために使用されることができる。
【0036】
図8は、階段810を上るユーザー700の検出を示す図である。図7のエレベータの例に関する上記説明の多くが、階段の例に適用されることができる。この例でもまた、ユーザー700は、移動局150を携行している。この例でも、階段810は建物210内にある。この例では、ユーザー700が、最近の推定所在を有して建物210に入り、建物210に入ると、移動局150が推測航法測定を実行し、推測航法測定データが利用可能になると、最初の推定所在が頻繁に更新される、と仮定されることができる。繰り返しになるが、各測定の小さな誤差は、より大きな誤差という結果になるまで、互いを増幅させ得る。
【0037】
図8の例では、ユーザー700が、建物に入る前にはSPSシステムから前に得られた所在情報に、移動局が階段に接近するときには推測航法測定情報に、少なくとも部分的に基づく一番最近の推定位置を有して階段810に遭遇する。この例では、ユーザー700が階段810を上り始めると、IMU300がセンサーのデータを提供でき、一連の測定が実行されることができる。この例では、あらゆる測定を用いて、推定所在が更新されることができ、この状況では水平成分および垂直成分を有する移動局150の動きを反映する。
【0038】
繰り返しになるが、ある例では、前に説明したように、推測航法測定が行われると、誤差が蓄積し得る。移動局150は、少なくとも部分的には、現在の推定所在の高度成分を調整することにより蓄積された誤差を補償するために、階段に関する既知のおよび/または推定の情報を使用できる。たとえば、いくつかの状況において、階段の個々の段の高さ820は、上述したように、データベース640のようなデータベースに記憶されるであろう既知の値であることができる。そのような情報が利用可能であれば、それは、ユーザーが階段を一段上ると、現在の推定所在の高度成分を更新するために使用されることができる。このように、推測航法動作における蓄積された誤差の量が相対的に大きくなる前に、調整がなされることができるので、正確さが向上することができる。
【0039】
階段の一段の高さのような情報が既知でない場合には推定値が使用されることができる。たとえば、典型的な階段の一段を表すものとされ得る値が、前もって計算されることができ、この値は、高度成分誤差補償動作での使用のために移動局150に記憶されることができる。また、別の態様において、階段の一段の高さのような推定のまたは既知の値が利用可能でない場合、移動局150は、建物210に関する誤差補償動作のために使用されることができる階段の一段の高さの値を決定する目的で、一連の測定および計算を実行できる。たとえば、移動局が、階段の個々の段を検出すると、それは、IMU300が高度の変化として報告したものに基づいてその段の高さを測定できる。移動局150は、階段の個々の段のうちの少なくとも2段の高さを平均することができ、さらなる段に遭遇するとその平均の高さを更新できる。ひとたびユーザー700が階段の上部に到達すると、高度の全変化を求めるために、合計段数に段の平均の高さが乗じられることができる。この高度の変化は、現在の推定所在の高度成分を調整して蓄積された誤差を補償するために、使用されることができる。また、ユーザーが階段810の上部に到達すると、フロア間隔値212が、推定所在の高度成分を調整して蓄積された誤差を補償するために、使用されることができる。
【0040】
エレベータおよび階段を使用する例は、単なる例示的な内部の特徴に過ぎず、特許請求の主題の範囲は、これらの点で限定されない。任意の範囲の他の内部の特徴を使用する他の例が可能であり、それらのいくつかが上述されている。センサーの測定を通して移動局により検出されることができる建物の任意の態様は、推測航法ナビゲーションの動作の正確さを向上させるために使用されることができる。
【0041】
図9は、移動局150の一例のブロック図である。1つまたは複数の無線トランシーバ970が、RFキャリアで音声またはデータといったベースバンド情報によってRFキャリア信号を変調し、そのようなベースバンド情報を得るために変調されたRFキャリアを復調するように適合させられることができる。アンテナ972は、無線通信リンクで変調されたRFキャリアを送信し、無線通信リンクで変調されたRFキャリアを受信するように適合させられることができる。
【0042】
ベースバンドプロセッサ960は、無線通信リンクでの送信のために、中央処理装置(CPU)920からトランシーバ970にベースバンド情報を提供するように適合させられることができる。ここで、CPU920は、ユーザーインターフェース910内の入力デバイスからそのようなベースバンド情報を得ることができる。ベースバンドプロセッサ960は、ユーザーインターフェース920内の出力デバイスによる送信のために、トランシーバ970からCPU920にベースバンド情報を提供するように適合させられることもできる。
【0043】
ユーザーインターフェース910は、音声またはデータといったユーザー情報を入力または出力するための複数のデバイスを含むことができる。そのようなデバイスは、非限定的な例として、キーボード、ディスプレイ画面、マイクロフォン、およびスピーカーを含むことができる。
【0044】
受信機980は、SPSからの送信を受信および復調し、相関器940に復調された情報を提供するように適合させられることができる。相関器940は、受信機980によって提供された情報から相関関数を得るように適合させられることができる。相関器940は、トランシーバ970によって提供されたパイロット信号に関する情報からパイロット関連の相関関数を得るように適合させられることもできる。この情報は、無線通信サービスを捕捉するために移動局によって使用されることができる。チャネル復号器950は、ベースバンドプロセッサ960から受信されたチャネルシンボルを根元的なソースビットに復号するように適合させられることができる。チャネルシンボルが畳み込み符号化されたシンボルを含む1つの例では、そのようなチャネル復号器が、ビタビ復号器を含むことができる。2つ目の例において、チャネルシンボルが畳み込み符号の直列または並列連鎖を含む場合、チャネル復号器950は、ターボ復号器を含むことができる。
【0045】
メモリ930は、ここに説明または提案された、プロセス、実現、またはそれらの例のうちの1つまたは複数を実行するために実行可能な機械可読命令を記憶するように適合されることができる。CPU920は、そのような機械可読命令にアクセスし、それらを実行するように適合されることができる。
【0046】
この例の移動局150は、ここに説明されたセンサー測定動作のいずれか、またはすべてを実行するように適合されることができるIMU300を含む。
【0047】
ここに説明された方法は、特定の例に係る用途に依存して、さまざまな手段によって実現されることができる。たとえば、そのような方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせで実現されることができる。たとえば、ハードウェアの実現では、処理ユニットが、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタルシグナル処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、制御装置、マイクロ制御装置、マイクロプロセッサ、電子デバイス、ここに説明された機能を実行するように設計された他のデバイスユニット、および/またはそれらの組み合わせの中で実現されることができる。
【0048】
ここで言及されている「命令」は、1つまたは複数の論理動作を表す式に関連する。たとえば、命令は、1つまたは複数のデータオブジェクトで1つまたは複数の動作を実行する機械によって解釈可能であることにより、「機械可読」であることができる。しかしながら、これは、単なる命令の一例にすぎず、特許請求の主題は、この点で限定されない。別の例において、ここで言及されている命令は、符号化されたコマンドに関連することができ、それらは、該符号化されたコマンドを含むコマンドのセットを有する処理回路によって実行可能である。そのような命令は、処理回路によって理解される機械言語の形態で符号化されることができる。ここでも、これらは、単なる命令の例にすぎず、特許請求の主題は、この点で限定されない。
【0049】
ここで言及されている「記憶媒体」は、1つまたは複数の機械によって認知可能な式を維持することができる媒体に関連する。たとえば、記憶媒体は、機械可読命令および/または情報を記憶する1つまたは複数の記憶デバイスを含むことができる。そのような記憶デバイスは、たとえば、磁気、光、または半導体の記憶媒体を含む、いくつかの媒体の種類のうちのいずれか1つを含むことができる。そのような記憶デバイスは、任意の種類の、長期的、短期的、揮発性または不揮発性のメモリデバイスを含むこともできる。しかしながら、これらは、記憶媒体の単なる例にすぎず、特許請求の主題は、これらの点で限定されない。
【0050】
具体的に別段の指定がない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書を通して、「処理すること(processing)」、「演算すること(computing)」、「計算すること(calculating)」、「選択すること(selecting)」、「形成すること(forming)」、「可能にすること(enabling)」、「抑止すること(inhibiting)」、「所在特定すること(locating)」、「終了させること(terminating)」、「特定すること(identifying)」、「開始すること(initiating)」、「検出すること(detecting)」、「得ること(obtaining)」、「ホストすること(hosting)」、「維持すること(maintaining)」、「表すこと(representing)」、「推定すること(estimating)」、「受信すること(receiving)」、「送信すること(transmitting)」、「決定すること(determining)」等の用語を用いた説明は、コンピュータのプラットフォームのプロセッサ、メモリ、レジスタ、および/または他の情報記憶装置、送信、受信、および/または表示デバイス内で、物理電子量および/または磁気量および/または他の物理量として表されるデータを操作および/または変換する、コンピュータまたは同様の電子コンピュータデバイスといったコンピュータのプラットフォームによって実行されることができる動作および/または処理を言っているということが、理解されるべきである。そのような動作および/または処理は、たとえば、記憶媒体に記憶された機械可読命令の制御下でコンピュータのプラットフォームによって実行されることができる。そのような機械可読命令は、たとえば、コンピュータのプラットフォームの一部として含まれる(たとえば、処理回路の一部として含まれる、または、そのような処理回路に外付けされる)記憶媒体に記憶されたソフトウェアまたはファームウェアを含むことができる。さらに、具体的に別段の指定がない限り、フローチャートを参照して、または、別の方法で、ここに説明された処理は、そのようなコンピュータのプラットフォームによって、全体的または部分的に、実行および/または制御されることもできる。
【0051】
ここに説明された無線通信の手法は、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)等のさまざまな無線通信ネットワークに関連することができる。「ネットワーク」および「システム」という語は、ここでは互換的に使用されることができる。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)ネットワーク、または上記ネットワークの任意の組み合わせ、等であることができる。CDMAネットワークは、1つまたは複数の無線接続技術(RAT:radio access technology)、ほんの数例挙げてみただけでも、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA)等の無線技術を実現できる。ここで、cdma2000は、IS−95、IS−2000、およびIS−856標準により実現される技術を含むことができる。TDMAネットワークは、移動体通信のための全地球システム(GSM(登録商標))、デジタルアドバンスト携帯電話システム(D−AMPS:Digital Advanced Mobile Phone System )、またはある他のRATを実現できる。GSM(登録商標)およびW−CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)と称するコンソーシアムによる文書で説明されている。cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)と称するコンソーシアムによる文書で説明されている。3GPPおよび3GPP2の文書は、公的に入手可能である。たとえば、WLANは、IEEE802.11xネットワークを含むことができ、WPANは、Bluetooth (登録商標)ネットワーク、IEEE802.15xを含むことができる。ここに説明された無線通信の実現は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組み合わせに関連して使用されることもできる。
【0052】
ここに説明された手法は、たとえば、上記SPSを含むいくつかのSPSのうちの任意の1つまたは複数のとともに使用されることができる。さらに、そのような手法は、擬似衛星(pseudolite)または衛星と擬似衛星の組み合わせを利用する位置決定システムとともに使用されることができる。擬似衛星は、GPS時間と同期させられることができる、L帯域(または他の周波数)キャリア信号で変調されたPRNコードまたは(たとえば、GPSまたはCDMAセルラー信号と同様の)他のレンジングコードを同報する地上の送信機を含むことができる。そのような送信機は、リモート受信機による識別を可能にするために独自のPRNコードを割り当てられることができる。擬似衛星は、軌道に乗っている衛星からのSPS信号が利用不可能な可能性がある状況、たとえば、トンネル、鉱山、建物、都市の谷間、または他の囲まれたエリアにおいて、有用であり得る。擬似衛星の別の実現は、無線ビーコンとして知られている。「衛星」という用語は、ここで使用される場合、擬似衛星、擬似衛星の等価物、ことによるとその他を含むことを意図する。「SPS信号」という用語は、ここで使用される場合、擬似衛星または擬似衛星の等価物からのSPSのような信号を含むことを意図する。
【0053】
例示的な特徴であると現在考えられているものが示され、説明されているが、特許請求の主題から逸脱せずに、さまざまな他の変更がなされることができ、等価物が代用されることができるということが、当業者によって理解される。さらに、多くの変更が、特定の状況をここに説明された中心的な概念から逸脱せずに特許請求の主題の教示に適合させるために、なされ得る。したがって、特許請求の主題は開示された特定の例に限定されず、そのような特許請求の主題は付属の特許請求の範囲内の全態様およびその等価物をも含むことができるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局の最初の推定位置を決定すること、ここにおいて前記最初の推定位置が高度成分を含む、
前記高度成分の変化を検出することによりセンサーのデータに応じて前記最初の推定位置に対する前記移動局の位置の変化を検出することによって、少なくとも部分的に、建物の内部の特徴を検出すること、および
前記検出された内部の特徴に関する情報を使用して、前記検出された高度成分の変化を調整すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記内部の特徴が、階段、エレベータ、エスカレータ、および/またはスロープのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内部の特徴を検出することは、ユーザーの動きに伴う前記移動局の動きを前記内部の特徴のうちの1つに関連づけることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出された高度成分の変化を調整することは、前記検出された内部の特徴に関する情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの情報と比較することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出された内部の特徴が前記階段を含む場合に、
前記ユーザーが前記階段を上っていることに一致する1つまたは複数の垂直移動を検出し、前記1つまたは複数の検出された垂直移動に関する1つまたは複数の垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記1つまたは複数の垂直変位を平均し、前記平均に前記垂直移動の数を乗じ、その結果を前記最初の推定位置の前記高度成分に加えることによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記検出された内部の特徴が前記エレベータを含む場合に、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する垂直加速度を検出し、少なくとも部分的には経過時間を測定することにより前記検出された垂直加速度に関する垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記検出された内部の特徴が前記スロープまたは前記エスカレータのうちの1つを含む場合に、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する上昇レートを検出し、垂直変位を決定することにより、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記建物に関するデータベースからの情報は、前記建物のフロア間の垂直距離、階段の個々の段の高さ、階段の高さ、スロープの高度変化、およびエスカレータの高度変化のうちの1つまたは複数を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記センサーのデータは、ジャイロスコープおよび/または加速度計のうちの1つまたは複数を含む慣性測定ユニットからのデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
移動局の最初の推定位置を決定するためのプロセッサであって、前記最初の推定位置が高度成分を含む、プロセッサと、
少なくとも部分的には、前記高度成分の変化を検出することによりセンサーのデータに応じて前記最初の推定位置に対する前記移動局の位置の変化を検出することによって、建物の内部の特徴を検出するための慣性測定ユニットと、
を備え、
前記プロセッサは、前記検出された内部の構造に関する情報を使用して、前記検出された高度成分の変化を調整するようにさらに適合されている、移動局。
【請求項11】
前記内部の特徴は、階段、エスカレータ、エスカレータ、および/またはスロープのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の移動局。
【請求項12】
前記プロセッサは、ユーザーの動きに伴う前記移動局の動きを前記内部の特徴のうちの1つに関連づけることにより、前記内部の特徴を検出するようにさらに適合されている、請求項11に記載の移動局。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記検出された内部の特徴に関する情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの情報と比較することにより、前記検出された高度成分の変化を調整するようにさらに適合されている、請求項12に記載の移動局。
【請求項14】
前記検出された内部の特徴が前記階段を含む場合に、
前記プロセッサは、前記ユーザーが前記階段を上っていることに一致する1つまたは複数の垂直移動を検出することによって前記移動局の位置の変化を検出するようにさらに適合されており、
前記プロセッサは、前記1つまたは複数の検出された垂直移動に関する1つまたは複数の垂直変位を決定するように、かつ、前記1つまたは複数の垂直変位を平均し、前記平均に前記垂直移動の数を乗じ、その結果を前記最初の推定位置の前記高度成分に加えることによって、前記検出された高度成分の変化を調整するように、さらに適合されている、請求項12に記載の移動局。
【請求項15】
前記検出された内部の特徴が前記エレベータを含む場合に、前記プロセッサが、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する垂直加速度を検出し、少なくとも部分的には経過時間を測定することにより前記検出された垂直加速度に関する垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出し、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの情報と比較することによって、前記検出された高度の変化を調整する
ようにさらに適合されている、請求項12に記載の移動局。
【請求項16】
前記検出された内部の特徴が前記スロープまたは前記エスカレータのうちの1つを含む場合に、前記プロセッサは、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する上昇レートを検出し、垂直変位を決定することにより、前記移動局の位置の変化を検出し、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整する
ようにさらに適合されている、請求項12に記載の移動局。
【請求項17】
前記建物に関するデータベースからの情報は、前記建物のフロア間の垂直距離、階段の個々の段の高さ、階段の高さ、スロープの高度変化、および/またはエスカレータの高度変化のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載の移動局。
【請求項18】
前記慣性測定ユニットは、ジャイロスコープおよび/または加速度計のうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の移動局。
【請求項19】
実行されると、コンピュータのプラットフォームに、
移動局の最初の推定位置を決定することであって、前記最初の推定位置が高度成分を含む、ことと、
少なくとも部分的には、前記高度成分の変化を検出することによりセンサーのデータに応じて前記最初の推定位置に対する前記移動局の位置の変化を検出することによって、建物の内部の特徴を検出することと、
前記検出された内部の特徴に関する情報を使用して、前記検出された高度成分の変化を調整することと
を可能にさせる命令を記憶した記憶媒体を含む物品。
【請求項20】
前記内部の特徴は、階段、エスカレータ、エスカレータ、および/またはスロープのうちの1つまたは複数を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記記憶媒体は、実行されると、前記コンピュータのプラットフォームに、ユーザーの動きに伴う前記移動局の動きを前記内部の特徴のうちの1つに関連づけることにより前記内部の特徴を検出することをさらに可能にさせる、さらなる命令を記憶している、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記記憶媒体は、実行されると、前記コンピュータのプラットフォームに、前記検出された内部の特徴に関する情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの情報と比較することにより、前記検出された高度成分の変化を調整することをさらに可能にさせる、さらなる命令を記憶している、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記記憶媒体は、前記検出された内部の特徴が前記階段を含む場合に、実行されると、前記コンピュータのプラットフォームに、
前記ユーザーが前記階段を上っていることに一致する1つまたは複数の垂直移動を検出し、前記1つまたは複数の検出された垂直移動に関する1つまたは複数の垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記1つまたは複数の垂直変位を平均し、前記平均に前記垂直移動の数を乗じ、その結果を前記最初の推定位置の前記高度成分に加えることによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに可能にさせる、さらなる命令を記憶している、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
前記記憶媒体は、前記検出された内部の特徴が前記エレベータを含む場合に、実行されると、前記コンピュータのプラットフォームに、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する垂直加速度を検出し、少なくとも部分的には経過時間を測定することにより前記検出された垂直加速度に関する垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに可能にさせる、さらなる命令を記憶している、請求項21に記載の物品。
【請求項25】
前記記憶媒体は、前記検出された内部の特徴が前記スロープまたは前記エスカレータのうちの1つを含む場合に、実行されると、前記コンピュータのプラットフォームに、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する上昇レートを検出し、垂直変位を決定することにより、前記移動局の位置の変化を検出することと、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整することと
をさらに可能にさせる、さらなる命令を記憶している、請求項22に記載の物品。
【請求項26】
前記建物に関するデータベースからの情報は、前記建物のフロア間の垂直距離、階段の個々の段の高さ、階段の高さ、スロープの高度変化、およびエスカレータの高度変化のうちの1つまたは複数を含む、請求項22に記載の物品。
【請求項27】
前記センサーのデータは、ジャイロスコープおよび/または加速度計のうちの1つまたは複数を含む慣性測定ユニットからの情報を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項28】
移動局の最初の推定位置を決定する手段であって、前記最初の推定位置が高度成分を含む、手段と、
少なくとも部分的には、前記高度成分の変化を検出することによりセンサーのデータに応じて前記最初の推定位置に対する前記移動局の位置の変化を検出することによって、建物の内部の特徴を検出する手段と、
前記検出された内部の特徴に関する情報を使用して、前記検出された高度成分の変化を調整する手段と
を含む、装置。
【請求項29】
前記内部の特徴は、階段、エスカレータ、エスカレータ、および/またはスロープのうちの1つまたは複数を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記内部の特徴を検出する手段は、ユーザーの動きに伴う前記移動局の動きを前記内部の特徴のうちの1つに関連づける手段を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記検出された高度成分の変化を調整する手段は、前記検出された内部の特徴に関する情報を、前記最初の推定位置に関連づけられた建物に関するデータベースからの情報と比較する手段を含む、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記検出された内部の特徴が前記階段を含む場合に、
前記ユーザーが前記階段を上っていることに一致する1つまたは複数の垂直移動を検出し、前記1つまたは複数の検出された垂直移動に関する1つまたは複数の垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出する手段と、
前記1つまたは複数の垂直変位を平均し、前記平均に前記垂直移動の数を乗じ、その結果を前記最初の推定位置の前記高度成分に加えることによって、前記検出された高度成分の変化を調整する手段と
をさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記検出された内部の特徴が前記エレベータを含む場合に、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する垂直加速度を検出し、前記検出された垂直加速度に関する垂直変位を決定することによって、前記移動局の位置の変化を検出する手段と、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整する手段と
をさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記検出された内部の特徴が前記スロープまたは前記エスカレータのうちの1つを含む場合に、
前記ユーザーが前記エレベータに乗っていることに一致する上昇レートを検出し、垂直変位を決定することにより、前記移動局の位置の変化を検出する手段と、
前記検出された内部の特徴に関する前記決定された垂直変位の情報を、前記最初の推定位置に関する所在情報によって特定された建物に関するデータベースからの対応する情報と比較することによって、前記検出された高度成分の変化を調整する手段と
をさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記建物に関するデータベースからの情報が、前記建物のフロア間の垂直距離、階段の個々の段の高さ、階段の高さ、スロープの高度変化、および/またはエスカレータの高度変化のうちの1つまたは複数を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記センサーのデータが、ジャイロスコープおよび/または加速度計のうちの1つまたは複数を含む慣性測定ユニットからのデータを含む、請求項28に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−522218(P2012−522218A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502209(P2012−502209)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028517
【国際公開番号】WO2010/111402
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】