説明

描画方法、及び描画装置

【課題】吐出ヘッドが稼動していても、当該吐出ヘッドが備える全ての吐出ノズルが、必ずしも稼動していない。吐出ヘッドの稼動時間内に稼動する機会の少ない吐出ノズルが、停止状態が続くことで、不具合が発生する可能性が高くなることを抑制する描画方法、及び描画装置を提供する。
【解決手段】描画方法は、液状体を吐出する複数の吐出ノズルを備える吐出ヘッドと被描画媒体とを、被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に複数の吐出ノズルから選択的に液状体を吐出させる描画走査工程を含む描画工程を実施することによって、被描画面に液状体を用いて画像を描画する描画方法であって、描画走査工程における吐出ヘッドと被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を調整する走査相対方向調整工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを用いて描画する描画方法、及び液滴吐出ヘッドを備える描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に着弾させることによって、所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置する液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置を用いて、様々な液状体を扱い、様々な画像や膜などが形成されている。微少な液状体を精密に吐出できる液滴吐出ヘッドにおいては、吐出ノズルまわりの僅かな外乱によっても吐出の不具合が発生する可能性がある。不具合の発生を抑制するために、クリーニングや予備吐出などの保守工程が実施されている。
【0003】
特許文献1には、機能液滴吐出ヘッドに損傷を生ずることなく、吐出不良を解消することができる吸引キャップおよびこれを備えた吸引ユニット、並びにヘッド洗浄装置、液滴吐出装置、機能液滴吐出ヘッドの洗浄方法および機能液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法が、開示されている。特許文献1に開示された吸引キャップは、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に離接自在に密接し、ノズル面に形成した吐出ノズルに対し吸引処理を行うための吸引キャップであって、真空吸引機構に連なるキャップ本体と、キャップ本体に装着され、ノズル面に対し、ノズル面に形成した全吐出ノズルのうちの一部となる複数の吐出ノズルについてのみ吸引可能に密接する密接シールと、を備えたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−214415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吐出ノズルは稼働していない状態が続くと、吐出に不具合が生じ易いが、吐出ヘッドが稼動していても、当該吐出ヘッドが備える全ての吐出ノズルが、必ずしも稼動していない。吐出ヘッドの稼動時間内に稼動する機会の少ない吐出ノズルは、停止状態にあり、停止状態が続くことで、液状体の増粘による吐出不良のような不具合が発生する可能性が高くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる描画方法は、液状体を吐出する複数の吐出ノズルを備える吐出ヘッドと被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査工程を含む描画工程を実施することによって、前記被描画面に前記液状体を用いて画像を描画する描画方法であって、前記描画走査工程における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を調整する走査相対方向調整工程を有することを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる描画方法によれば、描画走査方向と、被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を調整する走査相対方向調整工程を有する。
一般的に、液滴を吐出して描画される画像は、吐出ノズルと被描画媒体とを直線状に相対移動させ、所定の相対位置において吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させて、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることで描画される。被描画媒体に描画される画像は、画像の形状とともに、被描画媒体における描画される位置と被描画媒体の方向に対する画像の方向とが規定される。したがって、被描画媒体の方向と、当該被描画媒体に対する描画走査工程における被描画媒体と吐出ノズル(吐出ヘッド)との相対移動の方向である描画走査方向と、の相対方向である描画走査相対方向に依存して、描画走査工程における吐出ノズルの稼動状態が変わる。
【0009】
走査相対方向調整工程において、描画走査相対方向を調整することで、描画走査工程における吐出ノズルの稼動状態を変えることができる。例えば、描画走査工程において吐出を実施しない吐出ノズルが存在した場合には、描画走査相対方向を調整することで、吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させることができる。
【0010】
描画走査工程において吐出を実施しない吐出ノズルは、描画走査工程を実施する間は、実質的に休止している状態になる。この間は、当該吐出ノズルに対する保守が行われることはない。当該吐出ノズルは、略休止した状態で、保守措置を施されることなく描画環境中に放置された状態であり、当該状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる。描画走査相対方向を調整することで、吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させることによって、描画走査工程において稼動しないことに起因して不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルの数を減少させることができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例にかかる描画方法は、前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査相対方向を、当該被描画媒体に対する前記描画走査工程において、前記複数の吐出ノズルにおける、当該描画走査工程において吐出を実施する吐出ノズルの割合である稼働ノズル率が最大となる方向に調整することが好ましい。
【0012】
この描画方法によれば、走査相対方向調整工程において、描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に調整する。
走査相対方向調整工程において、描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に調整することで、描画走査工程において吐出を実施する吐出ノズルの割合が最大となり、吐出を実施しない吐出ノズルの割合が最小となる。描画走査工程において吐出を実施しない吐出ノズルは、略休止した状態で、保守措置を施されることなく描画環境中に放置された状態であり、当該状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる。描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に調整することで、描画走査工程において稼動しないことに起因して不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルの数を抑制することができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例にかかる描画方法は、前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査相対方向を、前記描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査工程において、前記液状体が配置されない非配置領域の前記第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、前記液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、前記描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に調整することが好ましい。
【0014】
この描画方法によれば、走査相対方向調整工程において、描画走査方向と被描画媒体の方向との相対方向である描画走査相対方向を、描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査工程において、液状体が配置されない非配置領域の第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に調整する。
【0015】
これにより、調整された描画走査相対方向である描画走査方向の描画走査工程において、第一の被配置領域に向けて液状体を吐出する吐出ノズルと、第二の被配置領域に向けて液状体を吐出する吐出ノズルと、の間に、当該描画走査工程の間に液状体を吐出しない吐出ノズルが存在しなくなる。
液状体を吐出する吐出ノズルの間に当該描画走査工程の間に液状体を吐出しない吐出ノズルが存在しなくなることで、描画走査工程の間に液状体を吐出しない吐出ノズルの数を抑制することができる。すなわち、描画走査工程の間に液状体を吐出しないことで、略休止した状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルが生ずることを抑制することができる。
【0016】
[適用例4]上記適用例にかかる描画方法は、前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査方向に対して、前記被描画媒体の方向を変えることで、前記描画走査相対方向を調整することが好ましい。
【0017】
この描画方法によれば、走査相対方向調整工程において、被描画媒体の方向を変える。描画走査方向に対して被描画媒体の方向が変わるため、描画走査方向と、被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を変えて、描画走査相対方向を、適切な方向に調整することができる。
【0018】
[適用例5]上記適用例にかかる描画方法は、前記走査相対方向調整工程では、前記被描画媒体の方向に対して、前記描画走査方向を変えることで、前記描画走査相対方向を調整することが好ましい。
【0019】
この描画方法によれば、走査相対方向調整工程において、描画走査方向を変える。被描画媒体の方向に対して描画走査方向が変わるため、被描画媒体の方向と、描画走査方向と、の相対方向である描画走査相対方向を変えて、描画走査相対方向を、適切な方向に調整することができる。
【0020】
[適用例6]上記適用例にかかる描画方法は、前記走査相対方向調整工程を、前記描画工程を実施する描画装置に前記被描画媒体を供給する給材工程と、前記描画工程との間に実施することが好ましい。
【0021】
この描画方法によれば、給材工程において供給された被描画媒体に対して、走査相対方向調整工程を実施した後に、描画工程を実施する。被描画媒体の方向は、走査相対方向調整工程において、描画走査相対方向が描画工程(描画走査工程)における適切な描画走査相対方向となる方向に調整される。これにより、給材工程においては、描画工程(描画走査工程)における適切な描画走査相対方向に関わりなく、被描画媒体を供給することができる。描画工程(描画走査工程)における適切な描画走査相対方向が変化しても、給材工程においては、被描画媒体の方向を対応させることを不要にすることができる。
【0022】
[適用例7]上記適用例にかかる描画方法は、前記描画工程と、前記描画装置から前記被描画媒体を除去する除材工程との間に、前記被描画媒体の方向を前記給材工程において給材された方向と略同じ方向に向ける方向戻し工程をさらに有することが好ましい。
【0023】
この描画方法によれば、描画工程において描画された被描画媒体に対して、方向戻し工程を実施した後に、除材工程を実施する。被描画媒体の方向は、方向戻し工程において、給材工程において給材された方向と略同じ方向に戻される。これにより、除材工程においては、描画工程(描画走査工程)における適切な描画走査相対方向に関わりなく、略同一方向を向いている状態の被描画媒体を除材対象とすることができる。描画工程(描画走査工程)における適切な描画走査相対方向が変化しても、除材工程においては、略同様の動作で、被描画媒体を除材することができる。
【0024】
[適用例8]本適用例にかかる描画装置は、液状体を吐出する複数の吐出ノズルを備える吐出ヘッドと、被描画媒体を支持する支持装置と、前記吐出ヘッドと、前記支持装置とを、前記支持装置に支持された前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させる相対移動手段と、前記相対移動手段による前記相対移動の相対移動方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向を規定する相対方向規定手段と、前記相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された方向に調整する相対方向調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本適用例にかかる描画装置によれば、描画装置は、相対移動方向と、被描画媒体の方向と、の相対方向を規定する相対方向規定手段と、相対方向を、相対方向規定手段によって規定された方向に調整する相対方向調整手段と、を備える。
【0026】
一般的に、液滴を吐出して描画される画像は、吐出ノズルと被描画媒体とを直線状に相対移動させ、所定の相対位置において吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させて、被描画媒体上の所定の位置に着弾させる描画走査を実施することで描画される。被描画媒体に描画される画像は、画像の形状とともに、被描画媒体における描画される位置と被描画媒体の方向に対する画像の方向とが規定される。したがって、被描画媒体の方向と、当該被描画媒体に対する描画走査における被描画媒体と吐出ノズル(吐出ヘッド)との相対移動の方向である描画走査方向と、の相対方向である描画走査相対方向に依存して、描画走査における吐出ノズルの稼動状態が変わる。
【0027】
相対方向調整手段によって、描画走査相対方向を調整することで、描画走査における吐出ノズルの稼動状態を変えることができる。また、相対方向規定手段によって、描画走査相対方向を、吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させる方向に規定することができる。
相対方向規定手段によって、描画走査相対方向を、吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させる方向に規定し、相対方向調整手段によって、相対方向規定手段によって規定された方向に描画走査相対方向を調整することで、描画走査において吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させることができる。
【0028】
描画走査において吐出を実施しない吐出ノズルは、描画走査を実施する間は、実質的に休止している状態になる。この間は、当該吐出ノズルに対する保守が行われることはない。当該吐出ノズルは、略休止した状態で、保守措置を施されることなく描画環境中に放置された状態であり、当該状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる。描画走査相対方向を調整することで、吐出を実施しない吐出ノズルの数を減少させることによって、描画走査において稼動しないことに起因して不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルの数を抑制することができる。
【0029】
[適用例9]上記適用例にかかる描画装置は、前記相対方向調整手段が、前記吐出ヘッドと前記被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、前記複数の吐出ノズルにおける、前記描画走査において吐出を実施する吐出ノズルの割合である稼働ノズル率が最大となる相対方向に規定することが好ましい。
【0030】
この描画装置によれば、相対方向規定手段は、描画走査方向と被描画媒体の方向との相対方向である描画走査相対方向を、当該被描画媒体に対する描画走査において、稼働ノズル率が最大となる方向に規定する。相対方向調整手段は、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された方向に調整する。
【0031】
相対方向規定手段によって、描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に規定し、相対方向調整手段が、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された方向に調整することで、描画走査において吐出を実施する吐出ノズルの割合が最大となり、吐出を実施しない吐出ノズルの割合が最小となる。
【0032】
描画走査において吐出を実施しない吐出ノズルは、略休止した状態で、保守措置を施されることなく描画環境中に放置された状態であり、当該状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる。描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に規定し、規定された方向に調整することで、描画走査において稼動しないことに起因して不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルの数を抑制することができる。
【0033】
[適用例10]上記適用例にかかる描画装置は、前記相対方向規定手段が、前記吐出ヘッドと前記被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、前記描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査において、前記液状体が配置されない非配置領域の前記第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、前記液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、前記描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に規定することが好ましい。
【0034】
この描画装置によれば、相対方向規定手段は、描画走査方向と被描画媒体の方向との相対方向である描画走査相対方向を、描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査において、液状体が配置されない非配置領域の第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に規定する。相対方向調整手段は、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された方向に調整する。
描画走査において吐出を実施しない吐出ノズルは、描画走査を実施する間は、略休止した状態で、保守措置を施されることなく描画環境中に放置された状態であり、当該状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる。
相対方向規定手段によって、描画走査相対方向は、最大非配置領域を挟んで位置する第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、描画走査方向に延在する同一の直線に接する方向に規定され、相対方向調整手段によって、規定された方向に調整される。規定された描画走査相対方向である描画走査方向の描画走査において、第一の被配置領域に向けて液状体を吐出する吐出ノズルと、第二の被配置領域に向けて液状体を吐出する吐出ノズルと、の間に、当該描画走査の間に液状体を吐出しない吐出ノズルが存在しなくなる。これにより、描画走査の間に、略休止した状態で放置されることに起因する不具合が発生する可能性が高くなる吐出ノズルが生ずることを抑制することができる。
【0035】
[適用例11]上記適用例にかかる描画装置は、前記相対方向調整手段が、前記描画走査方向に対して、前記被描画媒体の方向を変えることで、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整する媒体方向変更手段であることが好ましい。
【0036】
この描画装置によれば、相対方向調整手段は媒体方向変更手段であって、描画走査方向に対して、被描画媒体の方向を変える。描画走査方向に対して被描画媒体の方向が変わるため、描画走査方向と、被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を変えて、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整することができる。
【0037】
[適用例12]上記適用例にかかる描画装置は、前記相対方向調整手段が、前記相対移動手段による前記描画走査方向を変えることによって、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整する描画走査方向変更手段であることが好ましい。
【0038】
この描画装置によれば、相対方向調整手段は描画走査方向変更手段であって、被描画媒体の方向に対して、描画走査方向を変える。被描画媒体の方向に対して描画走査方向が変わるため、被描画媒体の方向と、描画走査方向と、の相対方向である描画走査相対方向を変えて、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整することができる。
【0039】
[適用例13]上記適用例にかかる描画装置は、前記媒体方向変更手段が、前記支持装置上に供給されて支持され、所定の方向に方向調整された前記被描画媒体の方向を変えることによって、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された方向に調整することが好ましい。
【0040】
この描画装置によれば、支持装置上に供給された被描画媒体に対して、媒体方向変更手段である相対方向調整手段によって、描画走査相対方向を、相対方向規定手段によって規定された方向に調整した後に、描画を実施する。被描画媒体の方向は、媒体方向変更手段によって、描画走査相対方向が描画(描画走査)を実施する際の適切な描画走査相対方向となる方向に調整される。これにより、支持装置上に被描画媒体を供給する際には、描画(描画走査)を実施する際の適切な描画走査相対方向となる被描画媒体の方向に関わりなく、被描画媒体を供給することができる。描画(描画走査)を実施する際の適切な描画走査相対方向が変化しても、支持装置上に被描画媒体を供給する際に、被描画媒体の方向を対応させることを不要にすることができる。
【0041】
[適用例14]上記適用例にかかる描画装置は、前記媒体方向変更手段が、描画を実施済の前記被描画媒体の方向を、前記描画装置から前記被描画媒体を除去する前に、前記被描画媒体が前記支持装置上に供給された方向と略同じ方向に向けることが好ましい。
【0042】
この描画装置によれば、描画された被描画媒体の方向を、描画装置から被描画媒体を除去する前に、媒体方向変更手段である相対方向調整手段によって、被描画媒体が支持装置上に供給された方向と略同じ方向に向ける。これにより、被描画媒体を除去する際には、描画(描画走査)を実施する際の適切な描画走査相対方向に関わりなく、略同一方向を向いている状態の被描画媒体を除材対象とすることができる。描画(描画走査)を実施する際の適切な描画走査相対方向が変化しても、被描画媒体を除去する際には、略同様の動作で、被描画媒体を除材することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、ワーク機構部の平面図。(b)は、ワーク機構部の側面図。
【図3】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図4】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図5】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図6】液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図。
【図7】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図8】描画工程を示すフローチャート。
【図9】(a)は、マーキング画像と描画走査方向とを示す説明図。(b)は、マーキング画像と、方向を調整した描画走査方向とを示す説明図。
【図10】(c)は、チップ描画用体におけるマーキング画像と描画走査方向とを示す説明図。(d)は、チップ描画用体におけるマーキング画像と、方向を調整した描画走査方向とを示す説明図。
【図11】(a)は、ワーク載置台上に給材されたチップ描画用体を示す説明図。(b)は、描画走査時におけるチップ描画用体と描画走査方向とを示す説明図。
【図12】描画工程を示すフローチャート。
【図13】描画走査時におけるチップ描画用体と描画走査方向とを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、描画方法、及び描画装置について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に画像を描画する液滴吐出装置を例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。液滴吐出装置が、描画装置に相当する。機能液が、液状体に相当する。
【0045】
<液滴吐出法>
最初に、液状体を液滴として吐出する液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
帯電制御方式は、液状体に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で液状体の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、液状体に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に液状体を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液状体が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液状体間に静電的な反発が起こり、液状体が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって液状体を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から液状体を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0046】
また、電気熱変換方式は、液状体を貯留した空間内に設けたヒーターにより、液状体を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液状体を吐出させるものである。静電吸引方式は、液状体を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液状体のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液状体を引き出すものである。この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
【0047】
液滴吐出法は、液状体の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液状体を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、液状体の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状体選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。
【0048】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出ヘッド20(図3参照)を備える液滴吐出装置1の構成の全般について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0049】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、保守装置部5とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴を着弾させる対象であるワークWを載置するワーク載置台30を有している。機能液供給部4は、貯留タンクと、中継タンクと、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド20に供給される。保守装置部5は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。ワークWが、被描画媒体に相当する。
【0050】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在する状態で配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に立設された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在する状態で配設されている。また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する給液チューブを有する機能液供給部4の貯留タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、保守装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部6が収容されている。
【0051】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジが吊設された移動枠22と、移動枠22をY軸方向に移動させるY軸走査機構26とを、備えている。
移動枠22を、Y軸走査機構26によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構36とを備えている。ワーク機構部3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構36によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0052】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
【0053】
保守装置部5は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニットなどの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0054】
<ワーク機構部>
次に、ワーク機構部3について、図2を参照して説明する。図2は、ワーク機構部の概略構成を示す説明図である。図2(a)は、ワーク機構部の平面図であり、図2(b)は、ワーク機構部の側面図である。
【0055】
図2に示すように、ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構36とを備えている。
ワーク載置台30は、載置台31と、回動機構32と、載置台ベース33と、スライダー枠34とを備えている。載置台ベース33に固定された一対のスライダー枠34,34が有するX軸スライダー(図示省略)を、X軸走査機構36が備えるX軸リニアモーターによって駆動することによって、ワーク載置台30をX軸方向に移動する。また、任意の位置に保持する。
載置台31は、載置されたワークWを吸引して固定する吸引機構(図示省略)を備えている。載置台31にワークWを給材する際は、液滴吐出装置1における略所定の方向で、ワークWを載置台31に載置する。続いてアライメントを実施することで、ワークWを液滴吐出装置1における所定の位置に所定の方向で位置させる。所定の位置に所定の方向で位置したワークWを吸引機構によって吸引して、載置台31に所定の方向で固定する。
【0056】
載置台31は、回動機構32を介して、載置台ベース33に回動自在に取付けられている。回動機構32は、載置台ベース33に対して、載置台31を、載置台31のワークWを載置する面に略垂直な回動軸32a(図1及び図2に記載したZ軸に略平行な軸)回りに回動可能であり、精度良く任意の位置に保持することが可能である。これにより、載置台31に対して所定の方向で固定されたワークWを、回動軸32aまわりに回動可能であり、精度良く任意の位置に保持することが可能である。ワーク載置台30、又は載置台31が、支持装置に相当する。
回動機構32は、載置台31を、回動軸32aまわりに180度以上回動可能である。これにより、載置台31に固定されたワークWの方向を、ワーク載置台30の移動方向であるX軸方向に対して、任意の方向に向けることが可能である。
【0057】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図3(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図3(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図3(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図3に示したY軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したY軸、及びZ軸と一致している。
【0058】
図3(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば140μmであり、半ノズルピッチは、70μmである。
【0059】
図3(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0060】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。図3(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0061】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図3(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0062】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0063】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図4を参照して説明する。図4は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図4に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0064】
図4に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図4は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0065】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0066】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する6列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば180個の6倍、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約75.5mmである。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0067】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aの半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互いに隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、半ノズルピッチずれた位置に、配設されている。
【0068】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば180個の18倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約226.7mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0069】
液滴吐出装置1は、1個のヘッドユニット21を備えており、1個のユニットノズル列240Aを備えている。当該ユニットノズル列240Aによって、1回の走査の間に、例えば3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線を形成することができる。
【0070】
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図5を参照して説明する。図5は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピューター66と、液滴吐出装置1に情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インターフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニター装置などである。
【0071】
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、入出力インターフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)84と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバー20dと、駆動機構ドライバー8dと、給液ドライバー4dと、保守ドライバー5dと、検出部インターフェイス(I/F)83と、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
【0072】
入出力インターフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU84は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU84からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU84が各種演算処理を行うためのルーチン等を記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU84が各種演算処理を行うためのルーチン等を記憶したりしている。
【0073】
ヘッドドライバー20dには、ヘッドユニット21を構成する液滴吐出ヘッド20が接続されている。ヘッドドライバー20dは、CPU84からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド20を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。駆動機構ドライバー8dには、Y軸走査機構26のY軸リニアモーターと、X軸走査機構36のX軸リニアモーターと、ワーク載置台30の回動機構32と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構80と、が接続されている。各種駆動機構は、ワークWのアライメントを実施する際にアライメントカメラを移動するためのカメラ移動モーターや、ワーク載置台30の吸引機構の駆動モーターなどである。駆動機構ドライバー8dは、CPU84からの制御信号に従って上記モーターなどを駆動して、液滴吐出ヘッド20とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド20とを対向させ、ヘッドドライバー20dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
【0074】
給液ドライバー4dには、機能液供給部4が接続されている。給液ドライバー4dは、CPU84からの制御信号に従って機能液供給部4の圧力付与部やバルブの駆動源を駆動して、液滴吐出ヘッド20に機能液を供給する。
【0075】
保守ドライバー5dには、保守装置部5が備える吸引ユニットと、ワイピングユニットと、吐出検査ユニットと、重量測定ユニットなどが接続されている。保守ドライバー5dは、CPU84からの制御信号に従って、吸引ユニット、又はワイピングユニットを駆動して、液滴吐出ヘッド20の保守作業を実施させる。また、吐出検査ユニットを駆動して、吐出の有無や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施させたり、重量測定ユニットを駆動して、液滴吐出ヘッド20から吐出される機能液の液滴の、吐出重量の測定を実施させたりする。
【0076】
検出部インターフェイス83には、各種センサーを有する検出部82が接続されている。検出部82の各センサーによって検出された検出情報が検出部インターフェイス83を介してCPU84に伝達される。
【0077】
<機能液の吐出>
次に、液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド20からの吐出制御方法について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図である。
【0078】
上述したように、液滴吐出装置1は、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する吐出装置制御部6を備えている。吐出装置制御部6は、制御信号を出力するCPU84と、液滴吐出ヘッド20の電気的な駆動制御を行うヘッドドライバー20dとを備えている。
図6に示すように、ヘッドドライバー20dは、FFCケーブルを介して各液滴吐出ヘッド20と電気的に接続されている。また、液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24(図3参照)ごとに設けられた圧電素子59に対応して、シフトレジスター(SL)85と、ラッチ回路(LAT)86と、レベルシフター(LS)87と、スイッチ(SW)88とを備えている。
【0079】
液滴吐出装置1における吐出制御は次のように行われる。最初に、CPU84がワークWなどの描画対象物における機能液の配置パターンをデータ化したドットパターンデータをヘッドドライバー20dに伝送する。そして、ヘッドドライバー20dは、ドットパターンデータをデコードして吐出ノズル24ごとのON/OFF(吐出/非吐出)情報であるノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されて、クロック信号(CK)に同期して各シフトレジスター85に伝送される。
【0080】
シフトレジスター85に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回路86に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフター87でスイッチ88用のゲート信号に変換される。即ち、ノズルデータが「ON」の場合にはスイッチ88が開いて、圧電素子59に駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータが「OFF」の場合にはスイッチ88が閉じられて、圧電素子59に駆動信号(COM)は供給されない。そして、「ON」に対応する吐出ノズル24からは機能液が液滴となって吐出され、吐出された機能液の液滴がワークWなどの描画対象物の上に着弾して、描画対象物の上に機能液が配置される。
【0081】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図7を参照して説明する。図7は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図7(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図7(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図7(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図7(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図7に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。X軸方向が主走査方向であって、図7に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出することによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0082】
図7(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、Y軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0083】
図7(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図7(b)に一点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0084】
図7(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、主走査方向の相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔との積である。
【0085】
図7(d)に示すように、一点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。図7(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0086】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図7(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。なお、図7(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0087】
<描画工程>
次に、液滴吐出装置1を用いて半導体チップにマーキング用のマーキング画像を描画する描画工程について、図8、図9、図10、及び図11を参照して説明する。本実施形態では、半導体チップへの描画は、多数の半導体チップを含むチップ描画用体の状態にした半導体チップに対して実施する。
図8は、描画工程を示すフローチャートである。図9及び図10は、描画するマーキング画像と描画走査方向とを示す説明図である。図11は、チップ描画用体と描画走査方向とを示す説明図である。図9(a)は、マーキング画像と描画走査方向とを示す説明図であり、図9(b)は、マーキング画像と、方向を調整した描画走査方向とを示す説明図であり、図10(c)は、チップ描画用体におけるマーキング画像と描画走査方向とを示す説明図であり、図10(d)は、チップ描画用体におけるマーキング画像と、方向を調整した描画走査方向とを示す説明図である。図11(a)は、ワーク載置台上に給材されたチップ描画用体を示す説明図であり、図11(b)は、描画走査時におけるチップ描画用体と描画走査方向とを示す説明図である。図9、図10、及び図11に示したX軸方向及びY軸方向は、図1、図2、及び図3に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0088】
図8のステップS1では、描画するマーキング画像の画像情報を取得する。画像情報は、例えば、液滴を着弾させる着弾点の座標を指定する情報である。画像情報の座標系を画像座標と表記する。被描画媒体における位置を示す座標系を媒体座標と表記する。画像座標と媒体座標とを関係付けることで、被描画媒体におけるマーキング画像の位置及び方向が規定される。
液滴吐出装置1における、図7を参照して説明した着弾点の位置を示す座標系を装置座標と表記する。媒体座標と装置座標とを関係付けることで、被描画媒体上の指定の位置に液滴を着弾させることができる。ワーク載置台30上に供給された被描画媒体を方向調整(アライメント)する工程が、媒体座標と装置座標とを関係付ける工程である。
画像座標と媒体座標と装置座標とが関係付けられた状態で、画像情報における着弾点に機能液の液滴を着弾させることで、被描画媒体上の指定の位置に、マーキング画像の画像情報によって規定されたマーキング画像を形成することができる。
【0089】
図9(a)に示したマーキング画像71は、文字画像72と空白部74とで構成されている。
図9(a)及び図9(b)において、文字画像72は、略正方形の形状を有する着弾点区画73の集合である。着弾点区画73は、被描画面に設定した仮想の領域であり、図7を参照して説明した着弾点91及び着弾円91Aに対応する領域である。図9(a)におけるそれぞれの着弾点区画73は、図7(d)に示したそれぞれの着弾点91に対応している。重ねて着弾させる場合を除いて、1区画の着弾点区画73には、1個の液滴が着弾させられる。着弾した液滴は、図7を参照して説明したように着弾円91Aを形成するが、以降の説明では、説明を簡単にするために、着弾した液滴の機能液は、着弾点区画73を覆う状態に位置するものとして説明する。着弾円91Aは、互いに重なり合う部分が存在することで、被描画面を隙間なく覆うことが可能であるが、着弾点区画73を埋めた機能液は、互いに隙間なく接することで、被描画面を隙間なく覆うことが可能であると仮定する。
【0090】
マーキング画像71は、文字画像72a、文字画像72b、文字画像72c、文字画像72d、空白部74a、及び空白部74bを有している。マーキング画像71は、4辺がそれぞれX軸方向又はY軸方向に延在する長方形形状を有している。文字画像72a、文字画像72b、文字画像72c、及び文字画像72dは、それぞれ、長方形形状のマーキング画像71の4隅のいずれかに位置している。4隅に位置する文字画像72の間には、マーキング画像71のY軸方向における略中央でX軸方向に延在する空白部74aと、マーキング画像71のX軸方向における略中央でY軸方向に延在する空白部74bとが、位置している。空白部74aと空白部74bとが交差する部分の着弾点区画73は、空白部74a及び空白部74bに含まれる共通部分である。
【0091】
文字画像72を構成する着弾点区画73の中で、液滴を着弾させて機能液を配置する着弾点区画73を、実着弾区画73aと表記する。液滴を着弾させない着弾点区画73を、非着弾区画73bと表記する。
文字画像72における実着弾区画73aによって、文字画像72a、文字画像72b、文字画像72c、及び文字画像72dには、アルファベットのA、B、C、又はDが表記されている。空白部74a、及び空白部74bは、非着弾区画73bの集合である。
マーキング画像71の画像情報は、実着弾区画73aの位置を規定する情報である。文字画像72を構成する非着弾区画73bや、非着弾区画73bの集合である空白部74a、及び空白部74bは、機能液の液滴が着弾させられて実着弾区画73aが形成されることによって、形成される。
【0092】
次に、図8のステップS2では、描画する画像を解析する。ステップS1で取得した画像情報によって規定されるマーキング画像71に関して、描画するために使用される吐出ノズル24について解析する。
図9(a)及び図9(b)に示した吐出ノズル番号は、それぞれ、Y軸方向に並ぶ吐出ノズル24のY軸方向における位置を示している。X軸走査機構36による走査方向は、X軸方向であって、図9(a)に矢印aで示した方向である。図9(a)及び図9(b)に矢印Pで示した、マーキング画像71に含まれる文字の上下方向を、マーキング画像71の「画像方向」と表記する。図9(a)に示したマーキング画像71の画像方向と描画走査方向との相対方向の角度は、90度である。
【0093】
マーキング画像71の画像方向と描画走査方向との相対方向の角度が90度の場合、矢印aで示した方向が描画走査方向である。矢印aで示した方向に走査してマーキング画像71を描画した場合、マーキング画像71の範囲に向けて機能液の液滴を吐出可能な吐出ノズル24は、吐出ノズル番号3から18の、16個の吐出ノズル24である。吐出ノズル番号9から12の、4個の吐出ノズル24は、空白部74aにのみ臨む位置にあり、吐出する機会がないため、吐出を実施する吐出ノズル24の割合である稼働ノズル率は75%である。空白部74aの、走査方向に直交する方向であるY軸方向の幅は、概ね、着弾点区画73の幅4個分の幅である。当該幅は、相対方向が90度からずれる、ずれ量にしたがって変化する。
【0094】
マーキング画像71の画像方向と描画走査方向との相対方向の角度が0度(方向が同じ)の場合、矢印bで示した方向が描画走査方向である。矢印bで示した方向をX軸方向に向けて、矢印bで示した方向に走査してマーキング画像71を描画した場合、マーキング画像71の範囲に向けて機能液の液滴を吐出可能な吐出ノズル24は、12個の吐出ノズル24である。2個の吐出ノズル24は、空白部74bにのみ臨む位置にあり、吐出する機会がないため、吐出を実施する吐出ノズル24の割合である稼働ノズル率は約83%である。空白部74bの、走査方向に直交する方向である図9(a)ではX軸方向の幅は、概ね、着弾点区画73の幅2個分の幅である。当該幅は、相対方向が0度からずれる、ずれ量にしたがって変化する。
このように、空白部74aや空白部74bなどにのみ臨む位置にあり、描画走査において吐出する機会がない吐出ノズル24の数は、相対方向によって異なっている。
【0095】
次に、図8のステップS3では、適切な相対方向を算出する。例えば、マーキング画像71において、描画走査方向に直交する方向の幅が最大の空白部74について、tanθ1=(空白部74の描画走査方向に直交する方向の幅)/(空白部74の描画走査方向の幅)となる角度θ1を求める。
マーキング画像71は、相対方向が90度の場合に、描画走査において空白部74aにのみ臨むために、吐出する機会がない吐出ノズル24の数が最大となる。当該吐出する機会がない吐出ノズル24を減らすことで、稼動ノズル率を高くすることができる。稼働ノズル率は、描画走査において吐出を実施する吐出ノズル24の割合である。
【0096】
図9(a)に示したマーキング画像71における空白部74aは、X軸方向の幅W1が着弾点区画73の幅12個分の幅である。Y軸方向の幅H1は、着弾点区画73の幅4個分の幅である。θ1は、tanθ1=H1/W1=4/12となる角度である。このとき、相対方向を(90−θ1)度にすると、図9(b)に示したように、空白部74aの両側に位置し、略長方形形状を有する文字画像72a及び文字画像72dにおける略長方形形状の角部が、共通の直線L1に略接している。直線L1は、描画走査方向であるX軸方向に平行な直線である。マーキング画像71は、液滴吐出ヘッド20に対して、直線L1がノズル番号11の吐出ノズル24とノズル番号12の吐出ノズル24との間を通る位置に位置している。
【0097】
文字画像72aにおける直線L1に略接する部分には、ノズル番号11の吐出ノズル24が対向し、当該吐出ノズル24によって機能液の液滴を配置する。文字画像72dにおける直線L1に略接する部分には、ノズル番号12の吐出ノズル24が対向し、当該吐出ノズル24によって機能液の液滴を配置する。
マーキング画像71の画像方向と描画走査方向との相対方向の角度が(90−θ1)度であり、矢印aで示した方向が描画走査方向である。矢印aで示した方向に走査してマーキング画像71を描画した場合、マーキング画像71の範囲に向けて機能液の液滴を吐出可能な吐出ノズル24は、吐出ノズル番号2から20の、19個の吐出ノズル24である。空白部74aや空白部74bにのみ臨む位置にあり、吐出する機会がない吐出ノズル24はないため、吐出を実施する吐出ノズル24の割合である稼働ノズル率は100%である。
【0098】
画像の傾け量の算出について説明しやすくするために、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24における一部の吐出ノズル24のみを用いて描画可能な、単独のマーキング画像71を例にして説明した。しかし、実際の描画に際しては、効率よく描画するために、ユニットノズル列240Aによる描画走査を複数回実施することが必要な大きさの画像を描画する。
【0099】
図10(c)に示したように、チップ描画用体63は、半導体チップ61を保持板62上に整列させて仮固定したものである。半導体チップ61は、ボンディングパットが形成された面の反対側の面にマーキング画像76aが描画される。マーキング画像76aは、例えば、ロゴマーク、製品名称、製品型番、ロット番号などである。チップ描画用体63に描画するマーキング画像76は、半導体チップ61にそれぞれ描画するマーキング画像76aの集合体である。図10(c)に示したチップ描画用体63におけるX軸方向を、チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向とする。チップ描画用体63が、被描画媒体に相当する。
【0100】
図10(c)に示したマーキング画像76における空白部74cは、X軸方向の幅が幅W2であり、Y軸方向の幅が幅H2である。空白部74dは、X軸方向の幅が幅W3である。描画走査方向がX軸方向の場合、描画走査方向に垂直な方向における空白部74cの幅は、H2である。描画走査方向がY軸方向の場合、描画走査方向に垂直な方向における空白部74dの幅は、W3である。H2>W3であり、マーキング画像76において、描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域は、空白部74cである。
描画走査方向がX軸方向の場合のX軸方向が、第一の描画走査方向に相当する。描画走査方向がX軸方向の場合の描画走査工程が、第一の描画走査工程に相当する。空白部74c及び空白部74dが非配置領域に相当する。
【0101】
空白部74cは、X軸方向の幅が幅W2であり、Y軸方向の幅が幅H2である。θ2は、tanθ2=H2/W2となる角度である。描画走査に際して、画像方向と描画走査方向との相対方向をθ2度にすると、図10(d)に示したように、空白部74cの両側に位置する部分が、共通の直線L2に略接している。直線L2は、描画走査方向であるX軸方向に平行な直線である。描画走査方向がX軸方向である描画走査を実施してマーキング画像76を描画した場合、空白部74cにのみ臨む位置にあり、吐出する機会がない吐出ノズル24は存在しないため、稼働ノズル率は100%である。空白部74cの両側に位置する部分が、それぞれ第一の被配置領域又は第二の被配置領域に相当する。
ステップS2の描画する画像の解析、及びステップS3の相対方向の算出は、CPU84が、制御装置65からの指令に従って、ROM45などに記憶されたプログラムに基づいて実施する。この場合のCPU84が、相対方向規定手段に相当する。
【0102】
次に、図8のステップS4では、被描画媒体であるチップ描画用体63を、液滴吐出装置1に給材する。例えば工業用ロボットのような給除材装置を用いて、被描画媒体であるチップ描画用体63を、ワーク載置台30の載置台31上に供給する。供給されたチップ描画用体63は、図11(a)に示すように、給除材装置の位置決め精度などによって定まる位置精度の範囲の精度で、液滴吐出装置1に対して位置が定まり、ワーク載置台30に吸着固定される。
【0103】
次に、ステップS5では、被描画媒体であるチップ描画用体63のアライメントを実施する。アライメントによって、ワーク載置台30に吸着固定されたチップ描画用体63の液滴吐出装置1に対する位置及び方向を、所定の位置及び方向に正確に調整する。所定の方向は、例えば図10(c)に示したチップ描画用体63のように、チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向が描画走査方向に一致する方向である。
【0104】
次に、図8のステップS6では、被描画媒体であるチップ描画用体63の方向調整を実施する。図2を参照して説明したワーク載置台30の回動機構32によって、載置台31をZ軸に平行な軸まわりに回動させることによって、載置台31に固定されたチップ描画用体63の方向を、図11(b)に示した方向に調整する。チップ描画用体63の方向は、チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向が、描画走査方向に対して、ステップS3で求めた相対方向を実現する方向に調整される。ステップS6の工程が、走査相対方向調整工程に相当する。
回動機構32が、相対方向調整手段に相当するとともに、媒体方向変更手段に相当する。チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向と描画走査方向との相対方向が、描画走査相対方向に相当する。
【0105】
マーキング画像76などの画像方向と描画走査方向との相対方向は、幾何学的に、0度から360度のいずれかである可能性がある。しかし、相対方向がθ度の場合と(θ+180)度の場合とでは、空白部74の描画走査方向に直交する方向の幅は同じである。したがって、相対方向がθ度の場合と(θ+180)度の場合とで、描画走査の間に、空白部74にのみ臨むために吐出する機会がない吐出ノズル24の数は同じである。このため、画像方向と描画走査方向との相対方向は、実質的に、0度から180度のいずれかである可能性がある。回動機構32は、回動可能な角度が少なくとも180度であることが好ましい。
【0106】
次に、図8のステップS7では、チップ描画用体63に対するマーキング画像76の描画を実施する。
チップ描画用体63との相対位置が図11(b)に示したヘッドユニット210の位置であるヘッドユニット21に対して、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を図11(b)に示した矢印a1の方向(X軸方向)に走査させる。走査に同期させて、ヘッドユニット21が備える吐出ノズル24から、画像情報によって規定された位置に向けて液滴を吐出することで描画走査を実施する。ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63における、当該描画走査においてヘッドユニット21が対向した部分に、当該部分に対応するマーキング画像76の部分が描画される。描画される部分のY軸方向の幅は、例えば、ユニットノズル列240A(図4参照)の長さに略等しい幅である。
【0107】
1回の描画走査が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図11(b)に示したヘッドユニット211の位置になる。描画走査におけるヘッドユニット21とワーク載置台30との相対移動はワーク載置台30がX軸方向に走査して実施されているため、ヘッドユニット21は移動しない。このため、ヘッドユニット211の位置は、ヘッドユニット210の位置と同じである。
ヘッドユニット211の位置に位置するヘッドユニット21を、Y軸走査機構26によってY軸方向に移動させて改行を実施する。改行量は、1回の描画走査によって描画できるY軸方向の幅であって、例えば、ユニットノズル列240Aの長さに略等しい幅である。改行が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図11(b)に示したヘッドユニット221の位置になる。
【0108】
チップ描画用体63との相対位置がヘッドユニット221の位置であるヘッドユニット21に対して、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を図11(b)に示した矢印a2の方向(X軸方向)に走査させる。走査に同期させて、ヘッドユニット21が備える吐出ノズル24から、画像情報によって規定された位置に向けて液滴を吐出することで描画走査を実施する。描画走査が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図11(b)に示したヘッドユニット220の位置になる。
以降、上述した改行及び描画走査と同様の改行と描画走査とを繰り返して、マーキング画像76の描画を実施する。X軸走査機構36が、相対移動手段に相当する。
【0109】
次に、図8のステップS8では、被描画媒体であるチップ描画用体63の方向を戻す工程を実施する。この工程は、ステップS6において、画像方向が、描画走査方向に対して、ステップS3で求めた相対方向を実現する方向に調整されているチップ描画用体63の方向を、ステップS4において供給された方向と略同じ方向に戻す工程である。戻されたチップ描画用体63の方向の精度は、ステップS4の給材工程で用いた給除材装置によって、チップ描画用体63を保持できる程度の精度でよい。
【0110】
次に、ステップS9では、マーキング画像76を描画済のチップ描画用体63(被描画媒体)を、液滴吐出装置1から除材する。除材は、ステップS4で用いた給除材装置を用いて、ワーク載置台30の載置台31上に載置されているチップ描画用体63を、取り除くことで実施する。
【0111】
次に、ステップS10では、マーキング画像76の描画が未終了のチップ描画用体63(被描画媒体)が在るか否かを判定する。
マーキング画像76の描画が未終了のチップ描画用体63が存在した場合(ステップS10でYES)には、ステップS4に戻り、ステップS4からステップS10を繰り返して、チップ描画用体63へのマーキング画像76の描画を実施する。
マーキング画像76の描画が未終了のチップ描画用体63が存在しなかった場合(ステップS10でNO)には、半導体チップにマーキング画像を描画する描画工程を終了する。
【0112】
<描画工程の2>
次に、液滴吐出装置1を用いて半導体チップ61にマーキング用のマーキング画像を描画する描画工程の他の例について、図12、及び図13を参照して説明する。図8、図9、図10、及び図11を参照して説明した描画工程と同様に、半導体チップ61への描画は、多数の半導体チップ61を含むチップ描画用体63の状態にした半導体チップ61に対して実施する。
図12は、描画工程を示すフローチャートである。図13は、描画走査時におけるチップ描画用体と描画走査方向とを示す説明図である。図13に示したX軸方向及びY軸方向は、図1、図2、及び図3に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0113】
図12のステップS21からステップS25の各ステップは、図8に示したステップS1からステップS5の各ステップと同様の工程である。
【0114】
図12のステップS25の次に、ステップS26では、チップ描画用体63に対するマーキング画像76の描画を実施する。
チップ描画用体63との相対位置が図13に示したヘッドユニット260の位置であるヘッドユニット21に対して、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を図13に示した矢印a1の方向(X軸方向)に走査させる。並行して、Y軸走査機構26によって、ヘッドユニット21を図13に示した矢印b1の方向(Y軸方向)に走査させる。ワーク載置台30の移動速度と、ヘッドユニット21の移動速度とを調和させることによって、ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63とヘッドユニット21とを、直線L4に平行な矢印cの方向に、相対移動させる。直線L4は、X軸方向に対してθ2度傾いている。
X軸走査機構36及びY軸走査機構26が、相対移動手段に相当する。ワーク載置台30の移動速度とヘッドユニット21の移動速度との制御は、CPU84が、制御装置65からの指令に従って、ROM45などに記憶されたプログラムに基づいて実施する。この場合のCPU84が、相対方向調整手段に相当するとともに、描画走査方向変更手段に相当する。ステップS26の工程における描画走査方向を平行な矢印cの方向に調整する工程が、走査相対方向調整工程に相当する。
【0115】
図10を参照して説明したように、図10(c)に示したチップ描画用体63におけるX軸方向を、チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向とする。チップ描画用体63が図13又は図11(a)に示したような方向でワーク載置台30に固定された状態で、チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向は、X軸方向である。
【0116】
マーキング画像76における空白部74cは、チップ描画用体63が図13又は図11(a)に示したような方向でワーク載置台30に固定された状態で、X軸方向の幅が幅W2であり、Y軸方向の幅が幅H2である。θ2は、tanθ2=H2/W2となる角度である。
描画走査に際して、画像方向をθ2度振って、画像方向と描画走査方向との相対方向をθ2度にすると、図10(d)を参照して説明したように、空白部74cの両側に位置する部分が、共通の直線L2に略接している。このとき、直線L2は、X軸走査機構36による相対移動のみによって実施する描画走査における描画走査方向であるX軸方向に平行な直線である。
【0117】
チップ描画用体63が図13に示したような方向でワーク載置台30に固定された状態では、マーキング画像76の画像方向はX軸方向であり、直線L2は、X軸方向に対してθ2度傾いている。直線L4は、X軸方向に対してθ2度傾いており、直線L2と平行である。チップ描画用体63とヘッドユニット21との相対移動方向である描画走査方向は、矢印cの方向であって、マーキング画像76の画像方向であるX軸方向に対してθ2度傾いている。チップ描画用体63とヘッドユニット21との相対移動方向である描画走査方向と、マーキング画像76の画像方向との角度であるθ2が、描画走査相対方向に相当する。
【0118】
チップ描画用体63とヘッドユニット21との相対移動に同期させて、ヘッドユニット21が備える吐出ノズル24から、画像情報によって規定された位置に向けて液滴を吐出することで描画走査を実施する。ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63における、当該描画走査においてヘッドユニット21が対向した部分に、当該部分に対応するマーキング画像76の部分が描画される。描画される部分のY軸方向の幅は、例えば、ユニットノズル列240A(図4参照)の長さに略等しい幅である。
【0119】
1回の描画走査が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図13に示したヘッドユニット261の位置になる。
描画走査におけるヘッドユニット21とワーク載置台30とのX軸方向の相対移動はワーク載置台30がX軸方向に走査して実施されているため、ヘッドユニット261のX軸方向の位置は、ヘッドユニット260のX軸方向の位置と同じである。描画走査におけるヘッドユニット21とワーク載置台30とのY軸方向の相対移動はヘッドユニット21がY軸方向に走査して実施されているため、ヘッドユニット261のY軸方向の位置は、描画走査における移動量だけずれている。
【0120】
ヘッドユニット261の位置に位置するヘッドユニット21を、Y軸走査機構26によってY軸方向に移動させて改行を実施する。改行量は、1回の描画走査によって描画できるY軸方向の幅であって、例えば、ユニットノズル列240Aの長さに略等しい幅である。改行が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図13に示したヘッドユニット271の位置になる。
【0121】
チップ描画用体63との相対位置がヘッドユニット271の位置であるヘッドユニット21に対して、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を図13に示した矢印a2の方向(X軸方向)に走査させる。並行して、Y軸走査機構26によって、ヘッドユニット21を図13に示した矢印b2の方向(Y軸方向)に走査させる。ワーク載置台30の移動速度と、ヘッドユニット21の移動速度とを調和させることによって、ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63とヘッドユニット21とを、直線L4に平行な矢印cの方向に、相対移動させる。
当該描画走査において、直前の描画走査において描画されたマーキング画像76の部分に連続する部分が描画される。当該描画走査が終了した状態におけるヘッドユニット21は、チップ描画用体63に対する相対位置が、図13に示したヘッドユニット270の位置になる。
以降、上述した改行及び描画走査と同様の改行と描画走査とを繰り返して、マーキング画像76の描画を実施する。
【0122】
図12のステップS26の次に、ステップS27を実施する。図12のステップS27及びステップS28は、図8に示したステップS9又はステップS10と同様のステップである。マーキング画像76の描画が未終了のチップ描画用体63が存在しなかった場合(ステップS28でNO)には、半導体チップにマーキング画像を描画する描画工程を終了する。
【0123】
上述したように、ノズル列24Aにおける吐出ノズル24の配列方向は、Y軸方向である。このため、描画走査方向がY軸方向に近くなると、1回の描画走査で描画できる描画走査方向に直交する方向の幅が小さくなる。描画走査方向がY軸方向の場合、1回の描画走査で描画できる幅は、1列のノズル列24Aあたり、着弾点区画73の幅1個分である。描画走査方向がY軸方向に近くなる場合には、ステップS24においてチップ描画用体63を給材する際のチップ描画用体63の方向を、ノズル列24Aの延在方向と描画走査方向との相対方向が大きくなる(90度に近くなる)方向にすることが好ましい。
【0124】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)液滴吐出装置1が備える載置台31は、回動機構32を介して、載置台ベース33に回動自在に取付けられている。回動機構32は、載置台ベース33に対して、載置台31を、回動軸32a回りに回動可能であり、精度良く任意の位置に保持することが可能である。これにより、載置台31に固定されたチップ描画用体63などの被描画媒体の方向を、ワーク載置台30の移動方向であるX軸方向に対して、任意の方向に向けることができる。
【0125】
(2)図12及び図13を参照して説明した描画工程の2では、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を走査させ、並行して、Y軸走査機構26によって、ヘッドユニット21を走査させる。ワーク載置台30の移動速度と、ヘッドユニット21の移動速度とを調和させることによって、ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63とヘッドユニット21とを、任意の方向に相対移動させることができる。これにより、チップ描画用体63とヘッドユニット21との相対移動方向を、ワーク載置台30に固定されたチップ描画用体63に対して、任意の方向にすることができる。すなわち、描画走査における吐出ヘッドと被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向を変えることで、描画走査方向と被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、調整することができる。
【0126】
(3)チップ描画用体63に描画するマーキング画像76の空白部74cは、X軸方向の幅が幅W2であり、Y軸方向の幅が幅H2である。θ2は、tanθ2=H2/W2となる角度である。描画走査に際して、画像方向と描画走査方向との相対方向をθ2度にすることで、空白部74cの両側に位置する部分が、共通の直線L2に略接している。直線L2は、描画走査方向であるX軸方向に平行な直線である。これにより、マーキング画像76を描画する描画走査に際して、マーキング画像76を描画する範囲における空白部74cの部分にのみ臨む位置に位置することに起因して、吐出を実施しない吐出ノズル24をなくすることができる。
【0127】
(4)図8乃至図11を参照して説明した描画工程では、ステップS4で、チップ描画用体63を、液滴吐出装置1に給材し、ステップS5で、チップ描画用体63のアライメントを実施し、ステップS6で、チップ描画用体63の方向調整を実施し、ステップS7で、チップ描画用体63に対するマーキング画像76の描画を実施する。
ステップS6で、チップ描画用体63の方向調整を実施するため、ステップS5のアライメントでは、適切な描画走査相対方向が変わっても、一定の方向にチップ描画用体63の方向を調整することでアライメントを実施することができる。ステップS4の給材では、適切な描画走査相対方向が変わっても、一定の方向でチップ描画用体63を供給することで給材することができる。
ステップS5のアライメントで、一定の方向にチップ描画用体63の方向が調整されており、ステップS6の方向調整では、調整開始時のチップ描画用体63の方向が一定となるため、調整開始時のチップ描画用体63の方向が変化することに起因して調整工程が複雑になることを抑制することができる。
【0128】
(5)ステップS7で、チップ描画用体63に対する描画を実施し、ステップS8で、チップ描画用体63の方向を戻す工程を実施した後、ステップS9で、描画済のチップ描画用体63を、液滴吐出装置1から除材する。
チップ描画用体63の方向を戻す工程を実施することで、適切な描画走査相対方向が変わっても、除材を実施する際のチップ描画用体63の方向は、略一定となるため、除材対象のチップ描画用体63の方向が変化することに起因して除材工程が複雑になることを抑制することができる。
【0129】
(6)チップ描画用体63に描画されるマーキング画像76の画像方向と描画走査方向との描画走査相対方向を変えて、マーキング画像76における空白部74cと描画走査方向との相対方向を変えている。描画走査に際して、マーキング画像76を描画する範囲における空白部74cの部分にのみ臨む位置に位置することに起因して、吐出を実施しない吐出ノズル24の数は、空白部74cと描画走査方向との相対方向によって異なる。描画走査に際して、描画走査相対方向を変えることで、吐出を実施しない吐出ノズル24の数を抑制する方向に調整することができる。
【0130】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0131】
(変形例1)前記実施形態においては、画像方向と描画走査方向との相対方向を、描画走査に際して空白部74cなどの最大非配置領域の部分にのみ臨む位置に位置することに起因して吐出を実施しない吐出ノズル24をなくする方向に設定していた。しかし、描画走査相対方向は、他の方法を用いて規定することもできる。
描画工程は、描画する画像をビットマップに展開し、当該ビットマップにしたがって描画する工程であってもよい。ビットマップは、画像を、機能液の液滴を着弾させる位置情報、及び当該機能液を吐出させる吐出ノズルの情報で規定したマップである。画像をビットマップに展開することで、描画走査において液状体の吐出を実施する吐出ノズルの割合である稼働ノズル率を求めることができる。描画走査相対方向を変えて画像をビットマップに展開し、それぞれのビットマップから稼働ノズル率を求めることで、稼働ノズル率が最大となる描画走査相対方向を求めることができる。描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に調整することで、描画走査工程において吐出を実施する吐出ノズルの割合が最大となり、吐出を実施しない吐出ノズルの割合を最小にすることができる。描画走査相対方向を、稼働ノズル率が最大となる方向に調整する工程が、走査相対方向調整工程に相当する。
画像をビットマップに展開する工程、稼働ノズル率を求める工程、及び稼働ノズル率が最大となる描画走査相対方向を求める工程は、CPU84が、制御装置65からの指令に従って、ROM45などに記憶されたプログラムに基づいて実施する。この場合のCPU84が、相対方向規定手段に相当する。相対方向調整手段としては、図8を参照して説明した描画工程のように回動機構32を用いてもよいし、図12を参照して説明した描画工程のように、ワーク載置台30の移動速度とヘッドユニット21の移動速度とを制御するCPU84であってもよい。
【0132】
(変形例2)前記実施形態においては、マーキング画像を描画する被描画媒体は、半導体チップ61を保持板62上に整列させて仮固定したチップ描画用体63であったが、画像を描画する対象は、半導体チップに限らない。画像を描画する対象は、液滴吐出装置を用いて画像を描画することができるものであれば、どのようなものであってもよい。
被描画媒体が描画する対象の集合体であることも必須ではない。個別の半導体チップ61のような個別の描画対象のそれぞれに描画してもよい。
描画する画像がマーキング画像であることも必須ではない。描画する画像は、どのような画像であってもよい。
【0133】
(変形例3)前記実施形態においては、マーキング画像71を構成する文字画像72は、5区画×6区画の30個の着弾点区画73で形成されていた。しかし、文字画像72のような形状を描画するための画素ドットの数は、もっと多いことが好ましい。例えば文字を構成する画素ドットの数を多くすることで、描画する文字の形状の自由度を高くすることができ、滑らかな形状の文字などを描画することができる。文字を構成する画素ドットの数が多くなることで、文字に対する画素ドットの大きさが、相対的に小さくなる。
【0134】
(変形例4)前記実施形態においては、図12及び図13を参照して説明した描画工程の2においても回動機構32を備える液滴吐出装置1を使用していた。描画工程の2は、描画を実施する際に、X軸走査機構36によって、ワーク載置台30を走査させ、並行して、Y軸走査機構26によって、ヘッドユニット21を走査させる。したがって、描画工程の2のような描画工程においては、描画走査方向を変えることで、描画走査方向と被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、調整することができる。描画走査相対方向を調整するために描画走査方向を変える場合、描画を実施する描画装置は、回動機構32のような媒体方向変更手段を備えない装置であってもよい。
【0135】
(変形例5)前記実施形態においては、マーキング画像76は1種類の機能液で描画されていたが、画像を形成するために用いる液状体の種類が1種類であることは必須ではない。複数種類の液状体を用いて画像を形成してもよい。複数種類の液状体を用いる場合、同じ種類の液状体を吐出する吐出ノズルごとに、描画走査において吐出を実施しない吐出ノズルの数を抑制する描画走査相対方向を設定してもよい。あるいは、機能液が1種類である場合と同様に、使用される吐出ノズル全体において、描画走査に際して吐出を実施しない吐出ノズルの数を抑制する描画走査相対方向を設定してもよい。
【0136】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を備えており、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は単一の機能液であった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する液状体が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる液状体を吐出してもよい。色が異なる複数種類の液状体を吐出することでカラー描画も可能である。液状体の種類は、描画装置が複数のヘッドユニットを備えて、ヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに液状体を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる液状体を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる液状体を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0137】
(変形例7)前記実施形態においては、ノズル列24Aの延在方向における着弾点91の着弾ピッチは、液滴吐出ヘッド20における吐出ノズル24の配設ピッチであった。しかし、ノズル列の延在方向における着弾ピッチが液滴吐出ヘッドにおける吐出ノズルの配設ピッチであることは必須ではない。ノズル列の延在方向における相対移動における移動量の最小値を吐出ノズルの配設ピッチより小さくすることで、ノズル列の延在方向における着弾ピッチを、吐出ノズルの配設ピッチより小さくすることができる。
【0138】
(変形例8)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。描画装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。
【0139】
(変形例9)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0140】
(変形例10)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0141】
(変形例11)前記実施形態においては、X軸走査機構によってワーク載置台30をX軸方向に移動させることでワークWをX軸方向に移動し、Y軸走査機構によって液滴吐出ヘッド20をY軸方向に移動することで、ワークWと液滴吐出ヘッド20とを平面方向において相対移動させていた。描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させるために描画対象物と吐出ヘッドの両方を移動させることは必須ではない。描画対象物と吐出ヘッドのいずれか一方を平面方向に移動させることで、描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させる構成であってもよい。
【0142】
(変形例12)前記実施形態においては、ノズル列24Aにおけるノズルピッチは140μmであり、2本のノズル列24Aを備える液滴吐出ヘッド20におけるノズル列方向の吐出ピッチは約70μmであった。しかし、液滴吐出ヘッドにおけるノズルの配置は、液滴吐出ヘッド20における配置に限らない。ノズル列におけるノズルピッチは140μmとは異なるノズルピッチであってもよい。
【符号の説明】
【0143】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…ワーク機構部、6…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、22…移動枠、23…ユニットプレート、24…吐出ノズル、24A…ノズル列、26…Y軸走査機構、30…ワーク載置台、31…載置台、32…回動機構、32a…回動軸、36…X軸走査機構、45…ROM、46…RAM、59…圧電素子、61…半導体チップ、62…保持板、63…チップ描画用体、71…マーキング画像、72,72a,72b,72c,72d…文字画像、73…着弾点区画、73a…実着弾区画、73b…非着弾区画、74,74a,74b,74c,74d…空白部、76…マーキング画像、76a…マーキング画像、84…CPU、91…着弾点、91A…着弾円、210,211,220,221,260,261,270,271…ヘッドユニット、240A…ユニットノズル列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する複数の吐出ノズルを備える吐出ヘッドと被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査工程を含む描画工程を実施することによって、前記被描画面に前記液状体を用いて画像を描画する描画方法であって、
前記描画走査工程における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を調整する走査相対方向調整工程を有することを特徴とする描画方法。
【請求項2】
前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査相対方向を、当該被描画媒体に対する前記描画走査工程において、前記複数の吐出ノズルにおける、当該描画走査工程において吐出を実施する吐出ノズルの割合である稼働ノズル率が最大となる方向に調整することを特徴とする、請求項1に記載の描画方法。
【請求項3】
前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査相対方向を、前記描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査工程において、前記液状体が配置されない非配置領域の前記第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、前記液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、前記描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に調整することを特徴とする、請求項1に記載の描画方法。
【請求項4】
前記走査相対方向調整工程では、前記描画走査方向に対して、前記被描画媒体の方向を変えることで、前記描画走査相対方向を調整することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の描画方法。
【請求項5】
前記走査相対方向調整工程では、前記被描画媒体の方向に対して、前記描画走査方向を変えることで、前記描画走査相対方向を調整することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の描画方法。
【請求項6】
前記走査相対方向調整工程を、前記描画工程を実施する描画装置に前記被描画媒体を供給する給材工程と、前記描画工程との間に実施することを特徴とする、請求項4に記載の描画方法。
【請求項7】
前記描画工程と、前記描画装置から前記被描画媒体を除去する除材工程との間に、前記被描画媒体の方向を前記給材工程において給材された方向と略同じ方向に向ける方向戻し工程をさらに有することを特徴とする、請求項6に記載の描画方法。
【請求項8】
液状体を吐出する複数の吐出ノズルを備える吐出ヘッドと、
被描画媒体を支持する支持装置と、
前記吐出ヘッドと、前記支持装置とを、前記支持装置に支持された前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させる相対移動手段と、
前記相対移動手段による前記相対移動の相対移動方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向を規定する相対方向規定手段と、
前記相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された方向に調整する相対方向調整手段と、を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項9】
前記相対方向調整手段は、前記吐出ヘッドと前記被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、前記複数の吐出ノズルにおける、前記描画走査において吐出を実施する吐出ノズルの割合である稼働ノズル率が最大となる相対方向に規定することを特徴とする、請求項8に記載の描画装置。
【請求項10】
前記相対方向規定手段は、前記吐出ヘッドと前記被描画媒体とを、前記被描画媒体の被描画面に略平行な方向に相対移動させると共に前記複数の吐出ノズルから選択的に前記液状体を吐出させる描画走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である描画走査方向と、前記被描画媒体の方向と、の相対方向である描画走査相対方向を、前記描画走査方向が第一の描画走査方向である第一の描画走査において、前記液状体が配置されない非配置領域の前記第一の描画走査方向に直交する方向における幅が最大である最大非配置領域を挟んで位置し、前記液状体が配置される第一の被配置領域と第二の被配置領域とが、前記描画走査方向に平行に延在する同一の直線に接する方向に規定することを特徴とする、請求項8に記載の描画装置。
【請求項11】
前記相対方向調整手段は、前記描画走査方向に対して、前記被描画媒体の方向を変えることで、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整する媒体方向変更手段であることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の描画装置。
【請求項12】
前記相対方向調整手段は、前記相対移動手段による前記描画走査方向を変えることによって、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された相対方向に調整する描画走査方向変更手段であることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の描画装置。
【請求項13】
前記媒体方向変更手段は、前記支持装置上に供給されて支持され、所定の方向に方向調整された前記被描画媒体の方向を変えることによって、前記描画走査相対方向を、前記相対方向規定手段によって規定された方向に調整することを特徴とする、請求項11に記載の描画装置。
【請求項14】
前記媒体方向変更手段は、描画を実施済の前記被描画媒体の方向を、前記描画装置から前記被描画媒体を除去する前に、前記被描画媒体が前記支持装置上に供給された方向と略同じ方向に向けることを特徴とする、請求項13に記載の描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−96169(P2012−96169A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245977(P2010−245977)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】