説明

搬送台車、停止位置判定方法およびプログラム

【課題】搬送システムが多数の装置を含んでいても、装置の設置位置変更を行なったときの搬送システムの立上げ、搬送システムの変更時に要する工数および時間を抑制できること
【解決手段】軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取るOHT搬送台車1において、基準画像記憶部は基準画像を記憶する。バーコード検出部33は、レール10に付されたバーコード25を検出する。走行距離測定部は、バーコード25からの走行距離を測定する。走行指示部は、走行距離が予め決められた距離となったときに、当該OHT搬送台車1を停止させる。CCDカメラ2は、OHT搬送台車1が停止したときに、レール10を含む画像を撮像する。停止位置判定部は、基準画像記憶部から読み出した基準画像とCCDカメラ2が撮像した画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車、停止位置判定方法およびプログラム、特に半導体製造工場などに設置され、軌道を走行する搬送台車が装置間やストッカ間の物品の搬送を行なう搬送システムにおける搬送台車、停止位置判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場では、ベイ内に軌道を敷設して無人搬送車により、装置間やストッカ間にウェハを収納したFOUP(Front Opening Unified Pod)などの物品の搬送を行う。図9は半導体製造工場ベイの一例である。搬送システム109の搬送ルートは工程間軌道103、工程内軌道104、分岐軌道107から構成され、工程間軌道103から分岐する分岐軌道107に隣接してストッカ106が設置される。ストッカ106は、天井部に敷設された軌道から吊り下がった状態で軌道を走行するOHT(Overhead Hoist Transport)搬送台車101との間で、FOUP130の受渡しをポート123を介して行う。また工程内軌道104に隣接して半導体製造装置105が設置され、半導体製造装置105は、OHT搬送台車101との間で、FOUP130の受渡しをポート124を介して行う。また分岐軌道107の直下に配置されるOHB(OverHead Buffer)108に対し、OHT搬送台車101はFOUP130を直接載置または摘出する。
【0003】
OHT搬送台車101がこれらポート123,124からFOUP130を首尾よく摘出したり、搬送してきたFOUP130をポート123,124に載置し、半導体製造装置105やポート124に確実に受け渡したりするためには、OHT搬送台車101が各ポートにおいて所定の位置に正確に停止できなければならない。従来のOHT搬送台車101は、停止位置の確定を次のような方法により行なっている。
【0004】
軌道上を走行しているOHT搬送台車101は、軌道上に設置されたバーコードなどを検出し、自己が内蔵する地図情報と照らし合わせ停止すべきポートであることを確認し、停止動作に入る。このときバーコードから停止位置までの距離、台車方向などポートヘの位置決めに必要な情報は予め全てメモリに記憶されているので、OHT搬送台車101はこの情報に従って位置合わせし停止する。
バーコードからポートまでの位置合わせ情報をOHT搬送台車101に事前に登録させる作業を一般にテーチング作業と言うが、テーチング作業はマニュアル操作で実施されることが多く、特許文献1のように、一部自動化する技術も開示されている。
【0005】
この特許文献1ではポートに目印を設置し、搬送台車に専用の特許発明に係る撮像装置を搭載させ、撮像した目印位置を基準にOHT搬送台車1の位置合わせを確定させることで正確な位置に停止させている。
また、特許文献2では、床面上を走行し、床面上に設置された目印を検出する搬送台車が記載されている。
【特許文献1】特開2001−166830号公報
【特許文献2】特開平11−175147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方式にあっては、ポート毎に目印を設置しているので、ポート位置の変更時には、目印を設置し直し、テーチング作業を実施せねばならない。このため、図9のOHB108のように装置台数が多いと、装置の設置位置変更を行なうときに多量の目印の設置し直しとテーチング作業とが必要となり、搬送システムの立上げ、搬送システムの変更時に多大な工数および時間が必要とされるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、搬送システムが多数の装置を含んでいても、装置の設置位置変更を行なったときの搬送システムの立上げ、搬送システムの変更時に要する工数および時間を抑制することができる搬送台車、停止位置判定方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の搬送台車は、軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車において、基準画像を記憶する画像記憶手段と、前記軌道に付されたマークを検出するマーク検出手段と、前記マークからの走行距離を測定する走行距離測定手段と、前記走行距離測定手段が測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる走行指示手段と、停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像する撮像手段と、前記画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像した画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する停止位置判定手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の搬送台車は、上述のいずれかの搬送台車であって、前記走行距離測定手段は、エンコーダであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の搬送台車は、上述のいずれかの搬送台車であって、前記撮像手段は、前記撮像した画像について、明度について2値化を行った画像を生成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の搬送台車は、上述のいずれかの搬送台車であって、前記撮像手段は、当該搬送台車の進行方向に対して垂直な方向を撮像するように設置され、前記停止位置判定手段は、前記画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像した画像との差異として、前記基準画像もしくは前記撮像した画像を進行方向に動かしたときに、これらの画像が一致するまでの移動量を検出し、該移動量が所定の範囲内であるときは、所定の停止位置に停止したと判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の停止位置判定方法は、軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車における停止位置判定方法において、前記搬送台車が、前記軌道に付されたマークを検出する第1の過程と、前記搬送台車が、前記マークからの走行距離を測定する第2の過程と、前記搬送台車が、前記第2の過程にて測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる第3の過程と、前記搬送台車が、当該搬送台車が停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像する第4の過程と、前記搬送台車が、画像記憶手段から読み出した基準画像と前記第4の過程にて撮像した画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する第5の過程とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプログラムは、軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車が具備するコンピュータを、前記軌道に付されたマークを検出するマーク検出手段、前記マークからの走行距離を測定する走行距離測定手段、前記走行距離測定手段が測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる走行指示手段、停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像させる撮像手段、画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像させた画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する停止位置判定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、停止位置判定手段は、撮像手段が撮像した軌道を含む画像に基づいて停止位置を判定するので、停止位置判定のマークを設置する必要がなく、搬送台車により被搬送物を搬送する搬送システムの立上げおよび搬送システムの変更時に要する工数および時間を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は半導体製造装置5のポート24で移載動作を実施しているOHT搬送台車1、図2はOHT搬送台車1の走行部の上方斜視図、図3は本願発明によるOHT搬送台車1が具備するコンピュータ部40のハード構成を示す概略ブロック図、図4は走行情報記憶部43の記憶内容例、図5はコンピュータ部40の機能構成を示す概略ブロック図、図6は位置合わせ手順のフローチャート、図7はCCDカメラ2で撮像した画像による位置合わせ方法説明図である。
【0016】
図1のOHT搬送台車1はポート24に於いてFOUP30を移載中である。OHT搬送台車1の走行部は天井26より吊り部材27により懸垂されるレール10内部に配置される。
また、OHT搬送台車1の走行部はレール10の内側上面に設置される永久磁石とリニアモータを形成する1次側鉄心コイル12、1次側電源供給線14から非接触で電力を受ける2次側鉄心13、レール10の内側両側面に設けられた分岐ガイド15に沿い、分岐部において分岐動作を行う分岐ローラ16、レール10の内側両側面にならい、ガイドするガイドローラ18、および走行輪17を具備する。またOHT搬送台車1の走行部には本願発明に係るCCDカメラ2と照明8が設けられ、レール内面を撮影し、後述する画像処理により、ポートに於けるOHT搬送台車1の停止位置決めを行う。
【0017】
OHT搬送台車1は走行部以外に懸垂機構19、懸垂ベルト20、昇降体21から構成され、昇降体21の先端部にはグリッパ22が設けられFOUP30をフランジ31で把持する。また懸垂機構19の上面にはバーコードリーダ33が設置され、これと対向するレール面にはバーコード25が設置される。
図1においてOHT搬送台車1は懸垂ベルト20を繰出し伸張させ、FOUP30を半導体製造装置5のポート24に載置動作中である。
【0018】
図2はOHT搬送台車1の走行部の斜視図でCCDカメラ2と照明8の取付け状況が示されている。CCDカメラ2は、OHT搬送台車1の進行方向に対して垂直な方向(例えば、水平方向)を向いて、レール10の内部を撮像するように設置されている。
CCDカメラ2は慣用されるCCDカメラであれば十分であるが、照明8の設置は必須要件ではなく、設置する場合はレール10の内部の凹凸による紋様の発見が容易となるランプを用い、CCDカメラ2の撮像対象に光を照射する位置に設置する。
【0019】
図3は、OHT搬送台車1が具備するコンピュータ部40のハード構成およびコンピュータ部40と各部との関連を示す概略ブロック図である。コンピュータ部40は、入出力部36、走行制御部37、CPU(Central Processing Unit)38、RAM(Random Access Memory)41、ROM(Read Only Memory)42、通信部45を具備する。入出力部36は、CPU38が、バーコードリーダ33、走行距離センサ34、CCDカメラ2、照明8、走行制御部37の各部を制御するためのインターフェースである。走行制御部37は、OHT搬送台車1を走行および停止させる走行駆動機構32を制御する。
【0020】
CPU38は、ROM42に格納されたプログラムに従いOHT搬送台車1全体を制御する。CPU38がプログラムに従い行なう制御については、図5にて詳述する。RAM41は、CPU38のワークメモリとして動作する。ROM42は、CPU38を動作させるためのプログラムと、各停止位置に関する情報を格納した走行情報記憶部43と、各停止位置を判定するための基準画像記憶部(画像記憶手段)44とを備える。通信部45は、この搬送システム全体を制御するMCS(Material Control System)46と通信する。
【0021】
図4は、各停止位置に関する情報の走行情報記憶部43への格納例を示した図である。走行情報記憶部43は、停止位置毎に、バーコード読取値、ポート番号、基準走行距離、撮像条件、基準画像ファイル名を、例えば、「0930283892」、「21」、「303」、「照明有り」、「基準画像ファイルF1」というように対応付けて記憶する。
【0022】
図5は、コンピュータ部40の機能の構成を示す概略ブロック図である。CPU38がプログラムに従い行なう機能は、命令受信部51、バーコード検出部52、撮像部53、走行指示部54、走行距離測定部55、停止位置判定部56を備える。命令受信部51は、MCS46と通信部45を介して通信し、停止すべきポートのポート番号を受信するとともに、走行指示部54に走行を指示する。バーコード検出部(マーク検出手段)52は、命令受信部51が受信したポート番号に対応するバーコード読取値を走行情報記憶部43から取得し、OHT搬送台車1が走行中に検出したバーコード25(マーク)の読取値と、走行情報記憶部43から取得したバーコード読取値とを比較し、一致しているか否かを判定する。
【0023】
走行距離測定部(走行距離測定手段)55は、バーコード検出部52が一致していると判定したバーコード25からの走行距離をエンコーダにて測定する。走行距離測定部55は、命令受信部51が受信したポート番号に対応する基準走行距離を走行情報記憶部43から取得し、この基準走行距離とエンコーダにて測定した走行距離とが一致したら、走行指示部54に停止を指示する。なお、本実施形態において、エンコーダは、走行輪17の回転量を検出することで、OHT搬送台車1の走行距離を測定する。撮像部(撮像手段)53は、OHT搬送台車1が停止すると、命令受信部51が受信したポート番号に対応する撮像条件を取得し、取得した撮像条件に従い照明8を点灯させ、さらにCCDカメラ2に撮像させた画像を取得する。次に、撮像部53は、取得した画像の各画素の明度について、予め決められた閾値を超えているか否かに基づき2値化した画像を生成する。
【0024】
停止位置判定部(停止位置判定手段)56は、命令受信部51が受信したポート番号に対応する基準画像ファイル名を取得し、このファイル名の基準画像を基準画像記憶部44から取得する。さらに停止位置判定部56は、取得した基準画像と撮像部53が生成した画像とを比較し、これらの画像の水平方向、すなわちOHT搬送台車1の進行方向のずれを検出し、ずれの大きさが予め決められた閾値未満であれば、停止位置に停止したと判定する。ずれの大きさが閾値以上のときは、停止位置以外の位置に停止したと判定し、停止位置判定部56は、ずれの向きに応じて、走行指示部54に走行する向きと距離を指示する。走行指示部(走行指示手段)54は、命令受信部51からの走行指示や、走行距離測定部55からの停止指示、停止位置判定部56の走行する向きと距離との指示に従い、走行駆動機構32を制御する。
【0025】
図6は、OHT搬送台車1のCCDカメラ2による停止位置合わせの動作を説明するフローチャートである。MCS46の搬送命令“ポート番号「22」で半導体製造装置からのFOUP30の引取”を通信部45で受信した命令受信部51は、走行指示部54に指示して、走行駆動機構32を作動させる。これにより、OHT搬送台車1は、半導体製造装置の上流側から半導体製造装置のポート番号「22」のポートに接近する(S1)。OHT搬送台車1がポート番号「22」のポートの手前でバーコード25が敷設された軌道を通過すると、バーコードリーダ33がこのバーコード25を読取る。この読み取ったバーコード読取値を、入出力部36を経由しバーコード検出部52が取得する。バーコード検出部52は、この取得したバーコード読取値と、走行情報記憶部43に格納されたポート番号「22」に対応するバーコード読取値とを比較し、一致しているか否かを判定する(S2)。
【0026】
ステップS2にて、一致していないと判定したときは、ステップS1に戻って、そのまま走行を続けるが、一致していると判定したときは、バーコード検出部52は、走行指示部54に指示して、走行制御部37を経由して走行駆動機構32を負の加速度で減速させる。またこれと同時に、バーコード検出部52は、走行距離測定部55に走行距離の測定を指示する。この指示を受けた走行距離測定部55が、走行距離センサ(エンコーダ)34を作動させ、バーコード25からの距離をカウントする(S3)。走行距離測定部55は、測定した走行距離が走行情報記憶部43から取得したポート番号「22」に対応する走行距離と一致したときに(S4)、走行指示部54に、走行制御部37を介して走行駆動機構32を停止させる(S5)。走行駆動機構32が停止し、OHT搬送台車1が停止すると、走行距離測定部55は、撮像部53に撮像を指示する。この指示を受けると、撮像部53は、ポート番号「22」に対応する撮像条件を走行情報記憶部43から取得する、ここでは撮像条件が「照明あり」であったとすると、撮像部53は、照明8を点燈させるとともに、CCDカメラ2にレール10の内側を撮像させて、撮像画像を入出力部36を経由して取得する(S6)。
【0027】
撮像部53は、撮像画像の明度について2値化処理を行う(S7)。このとき、2値化処理の閾値を走行情報記憶部43の撮像条件に格納しておき、停止位置毎に異なる閾値を用いてもよい。2値化後の画像は図7(A)に例示するようにレール10の加工時などに生じた凹凸による紋様などの線L1および線L2がある。停止位置判定部56は、これと基準画像記憶部44に記憶された基準画像との一致度を比較する。撮像した画像を2値化することで、画像比較処理時間を短縮化することができる。停止位置判定部56は、図7(B)の様に、撮像した画像の線L2と基準画像の線L4との位置ずれ寸法ΔL1を計算する(S8)。本実施形態では、CCDカメラ2はOHT搬送台車1の進行方向に対して垂直な方向を撮像するので、レール10に対して常に垂直に保持され、位置ずれ寸法ΔLは水平方向のずれのみの測寸となる。
【0028】
図7(C)に示すように線L2と線L4との位置ずれ寸法ΔL2が予め決められた基準値未満の場合は、停止位置判定部56は、OHT搬送台車1が目標停止位置に停止していると判定して、ポート24への位置決めが完了し、OHT搬送台車1はFOUP30の移載作業を行なう(S11)。図7(B)に示すように位置ずれ寸法ΔL1が上述の基準値以上の場合は、停止位置判定部56は、寸法ΔL1に基づき移動量と向きとを計算し(S9)、走行指示部54に該移動量と向きとを指示する。走行指示部54は、この受けた指示に従い、走行駆動機構32を駆動させて、OHT搬送台車1を指示された移動量だけ指示された向きへ移動させる。移動後再度ステップS6に戻りステップS6〜S8の作業を再実施し、線L4と線L2との位置ずれ寸法を基準値未満に収束して位置決めが完了するまで繰り返す。
【0029】
図8は、基準画像の基準画像記憶部44への格納方法を説明するフローチャートである。OHT搬送台車1をポートに指定したい任意の位置に停止させ、これを正規停止位置とする(S101)。次いでOHT搬送台車1が備え図示しない操作手段を介して、撮像部53に撮像を指示する。撮像部53は、撮像の指示を受けると、照明8を点燈させ(S102)、CCDカメラ2にレール10の内側を撮像させ(S103)、撮像した画像を入出力部36を経由して取込む。撮像部53は、取り込んだ画像の明度を2値化処理する(S104)。2値化処理後の画像を基準画像として、撮像部53は基準画像記憶部44に格納する(S105)。このとき、ポート番号を操作手段から指定しておくと、撮像部53は、走行情報記憶部43の指定されたポート番号に対応する基準画像ファイル名に、格納した基準画像のファイル名を登録する。
なお、上述の操作手段をOHT搬送台車1ではなくMCS46に設け、操作手段が受け付けた操作指示をMCS46がOHT搬送台車1に送信し、この操作指示を通信部45を介して撮像部53が取得するようにしてもよい。
【0030】
なお、本実施形態では、OHT搬送台車1に設置するCCDカメラ2は1台であるとして説明したが、1台に限定されず複数台設置してもよく、複数台のCCDカメラを停止位置に応じて切替使用したり、複数台のカメラを全て同時に又は、任意の組合せで使用したりして撮像しても良い。
また、本実施形態では、CCDカメラ2はOHT搬送台車1の進行方向に対して垂直な方向を撮像するとして説明したが、撮像する向きは固定でなく、停止位置毎に軌道に対する角度を変更する、或いは、角度を変えて複数枚撮像してもよい。
【0031】
また、CCDカメラ2にズーム機能を備え、CCDカメラ2のズーム機能を用いて撮像した拡大画像、ズーム機能を使用しない通常画像、或いはこれら画像を複数枚組み合わせてもよい。
また、撮像部53が生成し、停止位置判定部56が判定に用いる画像は、明度の2値化画像ではなく、R(赤),G(緑),B(青)データ、或いは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)データ、或いは、明度、色相、彩度などの画像であってもよいし、これらのうちのいずれかの2値化画像であってもよい。
また、照明8を設置する場合、複数個の設置であってもよく、単色光の光源を用いる、あるいは、単色光を照射するように光源と光学フィルターとを組合わせたものを用いるようにしてもよい。これにより、外乱光の干渉を抑制し、レール10内部の加工時などに生じた凹凸による紋様などが画像に含まれ易くなるという効果および撮像の度に異なる画像となることを抑制することができるという効果が得られる。
【0032】
また、走行情報記憶部43に基準値を各停止位置に対応付けて記憶しておき、目標停止位置に停止しているか否かの判定に停止位置判定部56が用いる基準値に、この記憶している基準値を用いることで、停止位置毎に異なる基準値となるようにしてもよい。
また、走行情報記憶部43に閾値を各停止位置に対応付けて記憶しておき、撮像した画像の明度について撮像部53が2値化する際の閾値を、この記憶している閾値を用いることで、停止位置毎に異なる閾値となるようにしてもよい。
【0033】
このように、停止位置であるポートの判定にレール10内の画像を用いたので、レール上に特別な認識マーク等を設置する必要がなく、システムの立上げ、システムの変更時にマーク設置に係る工数を節減することができる。
また、マークが不要であるので、任意の場所をポートに指定でき、特別なテーチング作業が不要であるのでポートの設定、およびポートの位置変更が容易である。特にOHBなどを用いており、ポート数が多いシステムや、ポート変更の起こり易いシステムでは、ポート設定、ポート位置修正、ポート位変更に要する工数の節減効果が大きい。
また、CCDカメラ2は、レール10内部を撮像するように設置されているので、外乱光の影響を受け難く、一定の条件で撮像することができる。このため、撮像する度に異なる画像となり、停止位置を判定できないといった現象を抑えることができる。
【0034】
また、図5における命令受信部51、バーコード検出部52、撮像部53、走行指示部54、走行距離測定部55、停止位置判定部56の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0035】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0036】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、半導体工場においてウェハを収納したFOUPなどの搬送を行なう搬送システムのOHT搬送台車に用いて好適であるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態によるOHT搬送台車1が軌道に組み込まれている様子を示す正面図である。
【図2】本実施形態におけるOHT搬送台車1の走行部の上方斜視図である。
【図3】本実施形態におけるOHT搬送台車1が具備するコンピュータ部40のハード構成およびコンピュータ部40と各部との関連を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態における各停止位置に関する情報の走行情報記憶部43への格納例を示した図である。
【図5】本実施形態におけるコンピュータ部40の機能の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本実施形態におけるOHT搬送台車1のCCDカメラ2による停止位置合わせの動作を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態における撮像部53が2値化処理した画像の例を示す図である。
【図8】本実施形態における基準画像の基準画像記憶部44への格納方法を説明するフローチャートである。
【図9】従来の搬送システム10を示す上面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…OHT搬送台車
2…CCDカメラ
5…半導体製造装置
8…照明
10…レール
12…1次側鉄心コイル
13…2次側鉄心
14…1次側電源供給線
15…分岐ガイド
16…分岐ローラ
17…走行輪
18…ガイドローラ
19…懸垂機構
20…懸垂ベルト
21…昇降体
22…グリッパ
24…ポート
25…バーコード
26…天井
27…吊り部材
30…FOUP
31…フランジ
32…走行駆動機構
33…バーコードリーダ
34…走行距離センサ
36…入出力部
37…走行制御部
38…CPU
40…コンピュータ部
41…RAM
42…ROM
43…走行情報記憶部
44…基準画像記憶部
45…通信部
46…MCS
51…命令受信部
52…バーコード検出部
53…撮像部
54…走行指示部
55…走行距離測定部
56…停止位置判定部
101…OHT搬送台車
103…工程間軌道
104…工程内軌道
105…半導体製造装置
106…ストッカ
107…分岐軌道
108…OHB
109…搬送システム
123、124…ポート
130…FOUP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車において、
基準画像を記憶する画像記憶手段と、
前記軌道に付されたマークを検出するマーク検出手段と、
前記マークからの走行距離を測定する走行距離測定手段と、
前記走行距離測定手段が測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる走行指示手段と、
停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像する撮像手段と、
前記画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像した画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する停止位置判定手段と
を具備することを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記走行距離測定手段は、エンコーダであることを特徴とする請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記撮像した画像について、明度について2値化を行った画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記撮像手段は、当該搬送台車の進行方向に対して鉛直な方向を撮像するように設置され、
前記停止位置判定手段は、前記画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像した画像との差異として、前記基準画像もしくは前記撮像した画像を進行方向に動かしたときに、これらの画像が一致するまでの移動量を検出し、該移動量が所定の範囲内であるときは、所定の停止位置に停止したと判定すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の搬送台車。
【請求項5】
軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車における停止位置判定方法において、
前記搬送台車が、前記軌道に付されたマークを検出する第1の過程と、
前記搬送台車が、前記マークからの走行距離を測定する第2の過程と、
前記搬送台車が、前記第2の過程にて測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる第3の過程と、
前記搬送台車が、当該搬送台車が停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像する第4の過程と、
前記搬送台車が、画像記憶手段から読み出した基準画像と前記第4の過程にて撮像した画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する第5の過程と
を具備することを特徴とする停止位置判定方法。
【請求項6】
軌道を走行して停止し、被搬送物を支給する、または被搬送物を引き取る搬送台車が具備するコンピュータを、
前記軌道に付されたマークを検出するマーク検出手段、
前記マークからの走行距離を測定する走行距離測定手段、
前記走行距離測定手段が測定した走行距離が予め決められた距離となったときに、当該搬送台車を停止させる走行指示手段、
停止したときに、前記軌道を含む画像を撮像させる撮像手段、
画像記憶手段から読み出した基準画像と前記撮像手段が撮像させた画像とを比較し、これらの差異が基準値の範囲内であれば、目標停止位置に停止したと判定する停止位置判定手段
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−197705(P2008−197705A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29120(P2007−29120)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】