説明

搬送装置

【課題】同一の検体処理装置で検体試料の再処理を行う際に、作業者を介することなく、検体処理装置にラック(検体試料)を再搬送することが可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】この搬送装置1は、搬入部10により搬入されたラック5をラック受け取り位置P2で受け取るとともに、ラック受け取り位置P2で受け取ったラック5を貯留し、かつ、ラック受け取り位置P2からY1方向にラック5を移動させることにより、横送り開始位置P3にラック5を搬送するための第1ラック搬送機構部22を有する貯留部20を備えている。そして、第1ラック搬送機構部22は、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側に向かってラック5を移動させることも可能なように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に、検体容器内の検体試料を処理する検体処理装置の検体供給位置に、検体容器が収容されたラックを搬送するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体試料を処理する検体処理装置の検体供給位置に、検体容器が収容されたラックを搬送するための搬送装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。なお、検体処理装置により処理される検体試料は、ラックに収容された検体容器に収容されている。上記特許文献1には、バッファ部(貯留部)と、第1フィーダ部(横送り部)と、第2フィーダ部(排出部)とを備えた搬送装置が開示されている。
【0003】
上記特許文献1に開示された搬送装置において、バッファ部は、搬送装置の導入口から導入されたラックを貯留するとともに、その貯留されたラックを第1フィーダ部に搬送する機能を有する。また、第1フィーダ部は、バッファ部により搬送されたラックを、検体供給位置および第2フィーダ部に搬送する機能を有する。また、第2フィーダ部は、第1フィーダ部により搬送されたラックを、搬送装置の搬出口から搬出する機能を有する。また、バッファ部、第1フィーダ部および第2フィーダ部は、一方向にのみラックを搬送することが可能なように構成されている。具体的には、バッファ部により搬送されるラックは、第1フィーダ部側に向かう方向にのみ移動される。また、第1フィーダ部により搬送されるラックは、検体供給位置(第2フィーダ部)側に向かう方向にのみ移動される。また、第2フィーダ部により搬送されるラックは、搬送装置の搬出口側に向かう方向にのみ移動される。
【0004】
【特許文献1】特開平9−43246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような従来の搬送装置において、所定の検体試料の処理中に検体処理装置でエラーが発生した場合に、同一の検体処理装置で所定の検体試料を再処理するためには、所定の検体試料に対応する検体容器が収容された所定のラックをバッファ部に再貯留し、かつ、所定のラックを第1フィーダ部により検体供給位置に再搬送する必要がある。この場合、上記特許文献1の搬送装置では、バッファ部においてラックが一方向にのみ搬送されるように構成されているので、所定のラックを再貯留するためのスペースを確保するためには、作業者が既に貯留されているラックを移動させなければならないという不都合がある。その結果、上記特許文献1では、同一の検体処理装置で検体試料の再処理を行う際に、作業者の負担が大きくなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、同一の検体処理装置で検体試料の再処理を行う際に、作業者を介することなく、検体処理装置にラック(検体試料)を再搬送することが可能な搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による搬送装置は、検体容器内の検体試料を処理する検体処理装置の検体供給位置に、検体容器が収容されたラックを搬送するための搬送装置であって、ラックが導入される導入口からラックを搬入するための搬入部と、搬入部により搬入されたラックを第1位置で受け取るとともに、第1位置で受け取ったラックを貯留し、かつ、第1位置から第1の方向にラックを移動させることにより、検体供給位置へのラックの搬送が開始される第2位置にラックを搬送するための第1移動機構部を有する貯留部と、第2位置に搬送されたラックを第1の方向と交差する第2の方向に移動させることにより、検体供給位置にラックを搬送するための横送り部とを備えている。そして、第1移動機構部は、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックを移動させることが可能なように構成されている。
【0008】
この一の局面による搬送装置では、上記のように、第1位置で受け取ったラックを検体供給位置へのラックの搬送が開始される第2位置に搬送するための第1移動機構部を、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックを移動させることが可能なように構成することによって、第1移動機構部により、作業者を介することなく、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックを移動させることができる。これにより、1つ目のラックに収容された検体容器内の検体試料を同一の検体処理装置で再処理する際に、第2位置から検体供給位置に搬送された1つ目のラックを再び第2位置に逆方向に搬送して貯留部に再貯留するとともに、その再貯留された1つ目のラックを第2位置から検体供給位置に再搬送する場合に、作業者を介することなく、第1移動機構部により第2位置に既に搬送されている2つ目のラックを貯留部の第2位置以外の領域に移動させることができるので、貯留部において1つ目のラックを再貯留する領域(第2位置)を確保することができる。その結果、同一の検体処理装置で検体試料の再処理を行う際に、作業者を介することなく、検体処理装置にラック(検体試料)を再搬送することができる。
【0009】
上記一の局面による搬送装置において、好ましくは、貯留部にラックが貯留されない領域が存在するように、第1移動機構部によりラックが移動される。このように構成すれば、1つ目のラックに収容された検体容器内の検体試料を同一の検体処理装置で再処理する際に、たとえば、第2位置の第1位置側に隣接する領域に貯留部のラックが貯留されない領域を設けるようにすれば、第2位置に既に搬送されている2つ目のラックを第2位置に隣接する貯留部のラックが貯留されない領域に搬送することにより、容易に、貯留部において1つ目のラックを再貯留する領域(第2位置)を確保することができる。また、たとえば、第2位置に隣接しない第1位置側の所定の領域に貯留部のラックが貯留されない領域を設けるようにすれば、第2位置に既に搬送されている2つ目のラックを含む2つ目以降の複数のラックを貯留部のラックが貯留されない領域に移動させることにより、2つ目以降の全てのラックを第1位置側に移動させることができる。これにより、2つ目のラックを貯留部の第2位置以外の領域に搬送することができるので、容易に、貯留部において1つ目のラックを再貯留する領域(第2位置)を確保することができる。
【0010】
上記貯留部にラックが貯留されない領域が存在するように第1移動機構部によりラックが移動される構成において、好ましくは、貯留部のラックが貯留されない領域は、ラックの少なくとも1つ分の大きさを有する。このように構成すれば、容易に、貯留部のラックが貯留されない領域に少なくとも1つのラックを搬送することができる。
【0011】
上記貯留部にラックが貯留されない領域が存在するように第1移動機構部によりラックが移動される構成において、好ましくは、第1移動機構部は、ラックと係合することによりラックを移動させるための係合部材を有し、貯留部のラックが貯留されない領域は、第2位置の第1位置側に隣接する領域に設けられている。このように構成すれば、係合部材によりラックを1つずつ移動させることができる。これにより、1つ目のラックに収容された検体容器内の検体試料を同一の検体処理装置で再処理する際に、第2位置に既に搬送されている2つ目のラックのみを第2位置の第1位置側に隣接する領域(貯留部のラックが貯留されない領域)に搬送することにより、より容易に、貯留部において1つ目のラックを再貯留する領域(第2位置)を確保することができる。
【0012】
上記貯留部のラックが貯留されない領域が第2位置の第1位置側に隣接する領域に設けられている場合において、好ましくは、貯留部のラックが貯留されない領域には、ラックの貯留を規制するための貯留規制部材が設けられている。このように構成すれば、容易に、貯留規制部材により、貯留部のラックが貯留されない領域へのラックの貯留を規制することができる。
【0013】
上記貯留部のラックが貯留されない領域に貯留規制部材が設けられた構成において、好ましくは、貯留規制部材は、貯留部のラックが貯留される載置面の下方に配置されているとともに、貯留部の載置面から突出させることが可能なように構成されている。このように構成すれば、第2位置側から第1位置側に向かってラックが移動される場合(検体試料を再処理する場合)、および、第2位置にラックが存在せず、かつ、第1位置側から第2位置側に向かってラックが移動される場合(通常搬送時にラックを第2位置に搬送する場合)に、貯留規制部材を貯留部の載置面の下方に収納することにより、第2位置側から第1位置側または第1位置側から第2位置側へのラックの移動が貯留規制部材により妨げられることがない。また、第2位置にラックが存在し、かつ、第1位置側から第2位置側に向かってラックが移動される場合に、貯留規制部材を貯留部の載置面から突出させることにより、貯留部のラックが貯留されない領域へのラックの貯留を貯留規制部材により規制することができる。
【0014】
上記貯留規制部材が貯留部の載置面の下方に配置された構成において、好ましくは、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックが移動される場合、および、第2位置にラックが存在せず、かつ、第1位置側から第2位置側に向かって搬送方向にラックが移動される場合に、貯留規制部材が貯留部の載置面の下方に収納されることによりラックが貯留されない領域をラックが通過可能な状態にし、第2位置にラックが存在し、かつ、第1位置側から第2位置側に向かって搬送方向にラックが移動される場合に、貯留規制部材が貯留部の載置面から突出されることによりラックが貯留されない領域にラックが貯留されない状態にする。このように構成すれば、第2位置側から第1位置側に向かってラックが移動される場合(検体試料を再処理する場合)、および、第2位置にラックが存在せず、かつ、第1位置側から第2位置側に向かってラックが移動される場合(通常搬送時にラックを第2位置に搬送する場合)に、容易に、第2位置側から第1位置側または第1位置側から第2位置側にラックを移動させることができる。また、第2位置にラックが存在し、かつ、第1位置側から第2位置側に向かってラックが移動される場合に、容易に、貯留部のラックが貯留されない領域へのラックの貯留を規制することができる。
【0015】
上記貯留部にラックが貯留されない領域が存在するように第1移動機構部によりラックが移動される構成において、好ましくは、第1移動機構部は、ラックを移動させるための搬送ベルトを有し、貯留部のラックが貯留されない領域は、搬入部により搬入されたラックを受け取る貯留部の第1位置に設けられる。このように構成すれば、搬送ベルトにより、貯留部の第1位置以外の領域に貯留された全てのラックを第2位置側から第1位置側に同時に搬送方向とは逆方向に移動させることができる。これにより、1つ目のラックに収容された検体容器内の検体試料を同一の検体処理装置で再処理する際に、第2位置に既に搬送されている2つ目のラックを貯留部の第2位置以外の領域に3つ目以降のラックと共に移動させることができるので、より容易に、貯留部において1つ目のラックを再貯留する領域(第2位置)を確保することができる。
【0016】
上記貯留部のラックが貯留されない領域が第1位置に設けられている場合において、好ましくは、搬入部は、導入口から第2の方向にラックを移動させることにより第1位置にラックを搬入するための搬入機構部を含み、搬入機構部は、搬入機構部が導入口側のラックの搬入開始位置に移動されている場合に、第1位置へのラックの貯留を規制する貯留規制部材として機能する。このように構成すれば、搬入機構部を搬入開始位置に移動させることにより、容易に、貯留部のラックが貯留されない領域(第1位置)へのラックの貯留を規制することができる。また、搬入機構部を、第1位置へのラックの貯留を規制する貯留規制部材として機能させることによって、第1位置へのラックの貯留を規制するための貯留規制部材を別個に設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
【0017】
上記搬入部が搬入機構部を含む構成において、好ましくは、搬入機構部は、搬入機構部がラックの搬入終了位置に移動されている場合には、貯留規制部材としては機能せず、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックが移動される場合に、搬入機構部が搬入終了位置に移動される。このように構成すれば、第2位置側から第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向にラックが移動される場合(検体試料を再処理する場合)に、搬入機構部を搬入終了位置に移動させることにより、第2位置側から第1位置側へのラックの移動が搬入機構部により妨げられることがない。
【0018】
上記搬入部が搬入機構部を含む構成において、好ましくは、貯留部の第1位置以外の領域に、少なくとも1つ分のラックを貯留することが可能な領域が存在する場合に、搬送機構部により第1位置にラックが搬入される。このように構成すれば、第1位置(貯留部のラックが貯留されない領域)にラックが搬送されたとしても、そのラックを貯留部の第1位置以外の領域に搬送することができるので、第1位置にラックが貯留されることがない。
【0019】
上記一の局面による搬送装置において、好ましくは、横送り部により第2の方向に移動されるラックを第3位置で受け取るとともに、第3位置から第2の方向と交差する第3の方向にラックを移動させることにより、ラックの搬出口からの搬出が開始される第4位置側にラックを移動させるための第2移動機構部を有し、かつ、第2移動機構部により第4位置にラックを1つずつ排出するための排出部と、第4位置に排出されたラックを搬出口から搬出するための搬出部とをさらに備え、横送り部は、第3位置側に移動されたラックを搬送方向である第2の方向とは逆方向に移動させることにより、第2位置にラックを移動させることが可能なように構成されている。このように構成すれば、所定のラックに収容された検体容器内の検体試料を同一の検体処理装置で再処理する際に、第2位置から検体供給位置に搬送された所定のラックを再び第2位置に搬送して貯留部に再貯留するとともに、その再貯留された所定のラックを第2位置から検体供給位置に再搬送する場合に、容易に、横送り部により、第2位置から検体供給位置に搬送された所定のラックを再び第2位置に搬送することができる。
【0020】
上記一の局面による搬送装置において、好ましくは、第1の方向は、ラックの長手方向と交差する方向であり、第2の方向は、ラックの長手方向である。このように構成すれば、貯留部においてラックの長手方向と交差する方向(第1の方向)にラックが搬送されるとともに、横送り部においてラックの長手方向(第2の方向)にラックが搬送される搬送装置において、同一の検体処理装置で検体試料の再処理を行う際に、作業者を介することなく、検体処理装置にラック(検体試料)を再搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による搬送装置が分析装置に接続された状態を示した斜視図である。図2および図3は、それぞれ、図1に示した第1実施形態による搬送装置により搬送されるラックの構造を示した斜視図および正面図である。まず、図1〜図3を参照して、第1実施形態による搬送装置1が接続される第1血液分析装置2および第2血液分析装置3を含む全体構成について説明する。
【0023】
第1実施形態による搬送装置1は、たとえば、図1に示すように、1次分析を行うための第1血液分析装置2および2次分析を行うための第2血液分析装置3の各々に接続される。また、第1血液分析装置2による1次分析は、全ての検体試料について行われるとともに、第2血液分析装置3による2次分析は、1次分析の結果に基づいて詳細な分析が必要と判断された検体試料のみについて行われる。
【0024】
また、検体試料は、検体容器4に収容されているとともに、その検体容器4は、ラック5に収容されている。このラック5は、図2および図3に示すように、10個の検体容器4を収容することが可能なように構成されている。また、ラック5は、検体容器4が収容される部分よりも短手方向の長さが大きい下部5aを有する。また、ラック5の裏面側には、空間領域が設けられているとともに、そのラック5の裏面側の空間領域には、複数の板部5bが設けられている。また、ラック5の検体容器4が収容される部分の側面側には、複数の溝部5cが設けられている。
【0025】
そして、図1に示すように、搬送装置1は、検体容器4が収容されたラック5を、第1血液分析装置2および第2血液分析装置3の各々の検体供給位置2aおよび3aに搬送する機能を有する。また、第1血液分析装置2の検体供給位置2aには、ラック5から検体容器4を取り出すとともに、検体容器4内の検体試料を攪拌し、かつ、検体試料を第1血液分析装置2内に供給するためのハンド部材2bが設けられている。また、第2血液分析装置3の検体供給位置3aにも、ラック5から検体容器4を取り出すとともに、検体容器4内の検体試料を攪拌し、かつ、検体試料を第2血液分析装置3内に供給するためのハンド部材3bが設けられている。また、第1血液分析装置2の検体供給位置2aおよび第2血液分析装置3の検体供給位置3aには、それぞれ、検体容器4に貼付されたバーコードを読み取るためのバーコード読取部2cおよび3cが設けられている。
【0026】
また、搬送装置1の検体供給位置2aおよび3aに対応する領域には、それぞれ、ラック5に収容された検体容器4を回転させるための検体容器回転装置6が設置されている。そして、バーコード読取部2cおよび3cによる検体容器4に貼付されたバーコードの読み取りは、検体容器回転装置6により検体容器4が回転されることによって行われる。
【0027】
また、第1血液分析装置2および第2血液分析装置3の各々に接続された2つの搬送装置1は、中間搬送装置7を介して接続されている。また、第1血液分析装置2および第2血液分析装置3の各々に接続された2つの搬送装置1は、同じ構造を有する。
【0028】
図4および図5は、それぞれ、本発明の第1実施形態による搬送装置の構造を示した斜視図および平面図である。図6〜図19は、図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の構造を示した詳細図である。次に、図4〜図19を参照して、第1実施形態による搬送装置1の構造を詳細に説明する。
【0029】
第1実施形態による搬送装置1は、図4および図5に示すように、搬入部10と、貯留部20と、横送り部30と、排出部40と、搬出部50とを備えている。
【0030】
搬送装置1の搬入部10は、搬送装置1の導入口1aから導入されたラック5を、X1方向に移動させた後に貯留部20側に押出すために設けられている。また、搬入部10は、ラック搬入機構部11と、ラック押出し機構部12とを含んでいる。
【0031】
搬入部10のラック搬入機構部11は、導入口1aから導入されたラック5をX1方向に移動させるために設けられている。このラック搬入機構部11は、搬送ベルト111と、プーリ112aおよび112bと、モータ113と、検出部114と、透過型センサ115とによって構成されている。搬送ベルト111は、プーリ112aおよび112bに装着されているとともに、プーリ112aは、モータ113に連結されている。これにより、モータ113が駆動することにより、プーリ112aを介して、搬送ベルト111が駆動される。したがって、導入口1aからラック5が導入された場合には、搬送ベルト111をX1方向に駆動することにより、ラック5がX1方向に移動される。
【0032】
また、ラック搬入機構部11の検出部114は、搬送ベルト111によりX1方向に移動されるラック5が押出し位置P1に到着したことを検出するために設けられている。なお、押出し位置P1とは、ラック押出し機構部12によりラック5を貯留部20側に押出すことが可能な位置である。この検出部114は、検出ピン114aと、圧縮ばね114bと、透過型センサ114cとを有する。検出ピン114aは、一方の端部が押出し位置P1側に突出するように圧縮ばね114bにより付勢されている。また、透過型センサ114cは、検出ピン114aの他方の端部側に配置されている。そして、搬送ベルト111によりラック5が押出し位置P1に搬送された場合には、検出ピン114aの一方の端部がラック5に押圧されることにより、検出ピン114aが圧縮ばね114bの付勢力に抗してX1方向に移動される。これにより、検出ピン114aの他方の端部により透過型センサ114cが遮光状態となるので、搬送ベルト111によりX1方向に移動されるラック5が押出し位置P1に到着したことが検出される。
【0033】
また、ラック搬入機構部11の透過型センサ115は、押出し位置P1におけるラック5の有無を検出するとともに、ラック押出し機構部12によりラック5が押出し位置P1から貯留部20側に押出されたことを検出するために設けられている。この透過型センサ115は、ラック5が押出し位置P1に存在する場合に、遮光状態となるように配置されている。
【0034】
また、搬入部10のラック押出し機構部12は、押出し位置P1に搬送されたラック5を貯留部20側に押出すために設けられている。このラック押出し機構部12は、押出し部材121と、直動ガイド122と、アーム123と、モータ124とによって構成されている。押出し部材121は、直動ガイド122に取り付けられているとともに、直動ガイド122は、Y1方向(Y2方向)に沿って延びるように配置されている。また、アーム123の一方の端部には、長穴123aが形成されている。また、アーム123の一方の端部は、長穴123aを介して押出し部材121に取り付けられているとともに、他方の端部は、モータ124の回転軸に連結されている。これにより、モータ124が駆動することにより、アーム123の一方の端部が回動するとともに、押出し部材121が直動ガイド122の延びる方向(Y1方向)に沿って移動される。したがって、ラック5が押出し位置P1に存在する場合には、押出し部材121により、ラック5を貯留部20側に押出すことが可能となる。
【0035】
また、搬送装置1の貯留部20は、導入口1aから検体供給位置2a(3a)に搬送されるラック5を貯留するために設けられている。さらに、第1実施形態では、貯留部20は、再分析が行われる場合に、検体供給位置2a(3a)から搬送方向とは逆方向に移動されたラック5を再貯留する機能も有する。また、貯留部20は、貯留プレート21と、第1ラック搬送機構部22と、透過型センサ23および24と、逆戻り防止部材25と、貯留規制機構部26と、バーコード読取部27とを含んでいる。
【0036】
貯留部20の貯留プレート21は、ラック当接部21aと、貯留規制部21bと、一対の穴部21cおよび一対の穴部21dと、切り欠き部21eとを有する。ラック当接部21aは、貯留プレート21の搬入部10側とは反対側に設けられている。また、ラック当接部21aは、貯留プレート21を載置面21fに対して垂直方向に折り曲げることにより形成されている。そして、貯留プレート21の搬入部10側の端部(逆戻り防止部材25)と、ラック当接部21aとの間の領域が、ラック5を貯留することが可能な貯留領域である。また、貯留プレート21の搬入部10側の端部の1つ分のラック5の大きさの領域が、搬入部10から押出されたラック5を受け取るためのラック受け取り位置P2である。また、貯留プレート21のラック当接部21a側の1つ分のラック5の大きさの領域が、横送り部30によるラック5の搬送が開始される横送り開始位置P3である。
【0037】
また、貯留プレート21の貯留規制部21bは、ラック当接部21aの所定領域を載置面21fに対して平行になるように折り曲げることにより形成されている。すなわち、貯留規制部21bは、平面的に見て、ラック当接部21aから横送り開始位置P3側に突出するように形成されている。この貯留規制部21bは、作業者が横送り開始位置P3にラック5を載置できないようにするために設けられている。また、図6に示すように、貯留規制部21bの載置面21fからの距離は、ラック5の全体の高さよりも小さく、かつ、ラック5の下部5aの高さよりも大きくなるように設定されている。また、貯留規制部21bのラック当接部21aからの突出量は、ラック5(下部5a)がラック当接部21aに当接したときに、ラック5が貯留規制部21bに接触しないように設定されている。
【0038】
また、図4および図5に示すように、貯留プレート21の一対の穴部21cは、貯留プレート21のラック受け取り位置P2から横送り開始位置P3にまで延びるように形成されている。また、貯留プレート21の一対の穴部21dは、ラック5(下部5a)の短手方向の長さと実質的に同じ長手方向の長さを有するように、長方形状に形成されている。また、貯留プレート21の一対の穴部21dは、一対の穴部21cを挟むように、かつ、ラック当接部21aからラック5(下部5a)の短手方向の長さと実質的に同じ距離だけ離れた領域に配置されている。この貯留プレート21の一対の穴部21dが形成された領域は、ラック5の貯留が規制される領域(貯留規制位置P4)である。また、貯留プレート21の一対の切り欠き部21eは、貯留プレート21の搬入部10側の端部に形成されている。
【0039】
ここで、第1実施形態では、貯留部20の第1ラック搬送機構部22は、貯留プレート21の載置面21fに貯留されたラック5を、ラック受け取り位置P2側から横送り開始位置P3側(Y1方向)に移動させる機能に加えて、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側(Y2方向)に搬送方向とは逆方向に移動させる機能も有する。この第1ラック搬送機構部22は、図7および図8に示すように、駆動部22aと、ラック搬送部22bとによって構成されている。駆動部22aは、ラック搬送部22bを、Y1方向(搬送方向)およびY2方向(搬送方向とは逆方向)に移動させるために設けられているとともに、貯留プレート21の載置面21fの下方に配置されている。この駆動部22aは、モータ221と、中間ベルト222と、モータプーリ223と、大径プーリ224と、駆動ベルト225と、プーリ226aおよび226bと、テンションプーリ227と、直動ガイド228とを有する。中間ベルト222は、モータプーリ223および大径プーリ224に装着されているとともに、モータプーリ223は、モータ221に連結されている。また、駆動ベルト225は、プーリ226aおよび226bと、大径プーリ224の小径部224aとに装着されている。また、駆動ベルト225には、テンションプーリ227によりテンション(張力)が付与されている。これにより、モータ221が駆動することにより、中間ベルト222、モータプーリ223および大径プーリ224を介して、駆動ベルト225が減速されて駆動される。また、直動ガイド228は、Y1方向(Y2方向)に沿って延びるように配置されている。
【0040】
この第1実施形態では、第1ラック搬送機構部22のラック搬送部22bは、貯留プレート21の載置面21fに貯留されたラック5を、Y1方向およびY2方向に移動させるために設けられている。このラック搬送部22bは、第1移動部材229と、第2移動部材230とを含んでいる。第1移動部材229は、駆動ベルト225に連結されているとともに、第2移動部材230は、直動ガイド228に取り付けられている。また、第2移動部材230は、互いに対向するように所定の間隔を隔てて配置された一対の板部230aを有するとともに、第1移動部材229は、第2移動部材230の一対の板部230a間に配置されている。また、第2移動部材230は、駆動ベルト225が駆動することにより第1移動部材229が移動する際に、第1移動部材229の移動に追従して移動するように構成されている。
【0041】
具体的には、第2移動部材230の一対の板部230a間に、軸231が取り付けられているとともに、その軸231に、第1移動部材229が軸231の延びる方向(Y1方向およびY2方向)に摺動可能に嵌め込まれている。また、軸231には、第1移動部材229をY2方向に付勢するための圧縮ばね232が装着されている。これにより、図7および図9に示すように、第1移動部材229が駆動ベルト225によりY1方向に移動される場合(第1移動部材229が図7の位置から図9の位置に移動する場合)には、第1移動部材229が圧縮ばね232を介して第2移動部材230の一方の板部230aをY1方向に押圧するので、第2移動部材230が直動ガイド228に沿ってY1方向に移動される。なお、第1移動部材229が駆動ベルト225によりY2方向に移動される場合(第1移動部材229が図9の位置から図7の位置に移動する場合)には、第1移動部材229が第2移動部材230の他方の板部230aをY2方向に押圧するので、第2移動部材230が直動ガイド228に沿ってY2方向に移動される。
【0042】
また、図7および図8に示すように、ラック搬送部22bの第2移動部材230には、シリンダ233と、直動ガイド234とが取り付けられている。シリンダ233は、シリンダロッド233aが貯留プレート21の載置面21fに対して垂直な方向(Z方向)に伸びるように配置されているとともに、直動ガイド234は、Z方向に延びるように配置されている。また、シリンダロッド233aおよび直動ガイド234には、軸ホルダ235が取り付けられている。これにより、軸ホルダ235は、シリンダロッド233aがZ方向に伸びることにより、直動ガイド234の延びる方向(Z方向)に沿って移動される。
【0043】
また、ラック搬送部22bの軸ホルダ235には、軸236が取り付けられているとともに、その軸236には、一対の係合爪237aおよび一対の係合爪237bが、軸236の軸心を支点として回動可能に取り付けられている。また、一対の係合爪237aの一方は、軸236の一方端に配置されているとともに、一対の係合爪237aの他方は、軸236の他方端に配置されている。また、一対の係合爪237bの一方は、軸236の一方端に配置されているとともに、一対の係合爪237bの他方は、軸236の他方端に配置されている。さらに、係合爪237aおよび237bは、図10および図11に示すように、軸ホルダ235がZ方向に移動したときに、貯留プレート21の一対の穴部21cを介して載置面21fから突出するように配置されている。また、係合爪237aおよび237bは、それぞれ、ラック5の下部5aの内側面と係合する係合面237cおよび237dを有する。これにより、係合爪237aおよび237bを載置面21fから突出させるとともに、ラック搬送部22bをY1方向(Y2方向)に移動させた場合、係合爪237a(237b)の係合面237c(237d)にラック5の下部5aの内側面が係合することにより、ラック5がY1方向(Y2方向)に移動される。なお、ラック5をY1方向に移動させる際には、図10に示すように、係合爪237aがラック5の下部5aの内側面に係合するとともに、ラック5をY2方向に移動させる際には、図11に示すように、係合爪237bがラック5の下部5aの内側面に係合される。
【0044】
また、図10および図11に示すように、ラック搬送部22bの係合爪237aは、係合面237cと、ラック5の下部5aの内側面とが平行になるように、軸ホルダ235に取り付けられた引張りばね238aにより付勢されている。また、係合爪237bは、係合面237dと、ラック5の下部5aの内側面とが平行になるように、軸ホルダ235に取り付けられた引張りばね238bにより付勢されている。このため、係合爪237a(237b)に上方から外力が加わった場合には、引張りばね238a(238b)の付勢力に抗して係合爪237a(237b)が所定の方向に回動される。また、係合爪237a(237b)への上方からの外力が除かれた場合には、係合面237c(237d)と、ラック5の下部5aの内側面とが平行になるように、引張りばね238a(238b)の付勢力により係合爪237a(237b)が所定の方向とは反対方向に回動される。
【0045】
また、図7および図8に示すように、ラック搬送部22bの第1移動部材229には、検出片239が取り付けられているとともに、第2移動部材230には、透過型センサ240が取り付けられている。この検出片239および透過型センサ240は、第1ラック搬送機構部22によるラック5のY1方向への搬送が停止したことを検出するために設けられている。具体的には、検出片239および透過型センサ240は、図9に示すように、第2移動部材230が停止しているときに、第1移動部材229がY1方向にさらに移動する場合に、検出片239により透過型センサ240が遮光状態になるように配置されている。
【0046】
また、図4および図5に示すように、貯留部20の透過型センサ23は、貯留部20の横送り開始位置P3以外の貯留領域におけるラック5の有無を検出するために設けられている。この透過型センサ23は、貯留部20の横送り開始位置P3以外の貯留領域に、少なくとも1つのラック5が貯留されている場合に、遮光状態となるように配置されている。また、貯留部20の透過型センサ24は、ラック受け取り位置P2側からY1方向に移動されるラック5が、横送り開始位置P3に到着したことを検出するために設けられている。この透過型センサ24は、横送り開始位置P3にラック5が到着した場合に、遮光状態となるように配置されている。
【0047】
また、貯留部20の逆戻り防止部材25は、押出し位置P1からラック受け取り位置P2に押出されたラック5が、ラック受け取り位置P2から押出し位置P1に逆戻りするのを防止するために設けられている。この逆戻り防止部材25は、貯留プレート21の切り欠き部21eに対応する領域に配置されている。また、逆戻り防止部材25は、図12に示すように、貯留プレート21の載置面21fに対して垂直な垂直面25aと、垂直面25aに対して所定の角度傾斜した傾斜面25bとを有する。そして、図12および図13に示すように、逆戻り防止部材25は、ラック5が押出し位置P1とラック受け取り位置P2との境界を通過する際には、貯留プレート21の下方側に回動し、かつ、ラック5が押出し位置P1とラック受け取り位置P2との境界を通過した後には、貯留プレート21の上方側に回動して初期状態(図12の状態)に戻るように構成されている。さらに、逆戻り防止部材25は、Y2方向の外力に対しては回動しないように構成されている。
【0048】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、貯留部20の貯留規制機構部26は、貯留プレート21の貯留規制位置P4へのラック5の貯留を規制するために設けられている。この貯留規制機構部26は、図5および図14に示すように、一対の貯留規制部材261と、一対のシリンダ262とによって構成されている。シリンダ262は、シリンダロッド262aが貯留プレート21の載置面21fに対して垂直な方向(Z方向)に伸びるように配置されている。また、シリンダロッド262aは、ブラケット263を介して、貯留プレート21の載置面21fとは反対側の面に取り付けられている。このため、図15に示すように、シリンダロッド262aをZ方向に伸ばした場合には、シリンダ262の本体部分が貯留プレート21に向かってZ方向に移動する。
【0049】
この第1実施形態では、貯留規制部材261は、シリンダ262のシリンダロッド262aとは反対側の本体部分に取り付けられている。また、貯留規制部材261は、シリンダ262の本体部分がZ方向に移動したときに、貯留プレート21の穴部21dを介して載置面21fから突出するように配置されている。また、図5に示すように、貯留規制部材261は、貯留プレート21の穴部21dと同様、平面的に見て長方形状に形成されているとともに、ラック5(下部5a)の短手方向の長さと実質的に同じ長手方向の長さを有する。このため、図15に示すように、貯留規制部材261が載置面21fから突出した場合には、貯留規制部材261により、貯留規制位置P4へのラック5の貯留が規制される。また、貯留規制部材261が載置面21fから突出した場合には、貯留規制部材261の横送り開始位置P3側の端部と、貯留プレート21の貯留規制部21bの横送り開始位置P3側の端部との間の距離がラック5(下部5a)の短手方向の長さよりも小さいので、横送り開始位置P3へのラックの貯留も規制される。
【0050】
また、図4および図5に示すように、貯留部20のバーコード読取部27は、ラック受け取り位置P2側から横送り開始位置P3側に移動するラック5のバーコードを読み取るために設けられている。
【0051】
また、搬送装置1の横送り部30は、横送り開始位置P3に搬送されたラック5を、検体供給位置2a(3a)および排出部40に搬送するために設けられている。さらに、第1実施形態では、横送り部30は、再分析が行われる場合に、排出部40側に搬送されたラック5を、横送り開始位置P3に搬送方向とは逆方向に再び移動させる機能も有する。また、横送り部30は、図16および図17に示すように、横送りプレート31と、駆動部32と、ラック搬送部33と、検出部34とを含んでいる。
【0052】
横送り部30の横送りプレート31の搬送面31aには、図5に示すように、横送り開始位置P3から後述する排出開始位置P5にまで達する穴部31bが形成されている。
【0053】
また、図16および図17に示すように、横送り部30の駆動部32は、ラック搬送部33を、X1方向(搬送方向)およびX2方向(搬送方向とは逆方向)に移動させるために設けられているとともに、横送りプレート31の搬送面31aの下方に配置されている。この駆動部32は、モータ321と、駆動ベルト322と、プーリ323aおよび323bと、直動ガイド324とによって構成されている。モータ321は、プーリ323aに連結されているとともに、駆動ベルト322は、プーリ323aおよび323bに装着されている。これにより、モータ321が駆動することにより、プーリ323aを介して、駆動ベルト322が駆動される。また、直動ガイド324は、X1方向(X2方向)に沿って延びるように配置されている。
【0054】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、横送り部30のラック搬送部33は、横送りプレート31の搬送面31a上のラック5を、横送り開始位置P3から排出開始位置P5側(X1方向)に移動させる機能に加えて、排出開始位置P5側から横送り開始位置P3(X2方向)に移動させる機能も有する。なお、横送り部30において、図5中の初期位置30aは、ラック搬送部33によるラック5の横送りが開始される位置であり、図5中の横送り終了位置30bは、ラック搬送部33によるラック5の横送りが終了される位置である。このラック搬送部33は、図16および図17に示すように、移動部材331と、ソレノイド332と、直動ガイド333と、係合部材334と、透過型センサ335とによって構成されている。移動部材331は、駆動ベルト322に連結されているとともに、直動ガイド324に取り付けられている。これにより、駆動ベルト322が駆動することにより、移動部材331が直動ガイド324の延びる方向(X1方向およびX2方向)に沿って移動される。また、ソレノイド332は、移動部材331に取り付けられているとともに、ソレノイド332のロッド322aが横送りプレート31の搬送面31aに対して垂直な方向(Z方向)に伸びるように配置されている。また、直動ガイド333は、移動部材331に取り付けられているとともに、Z方向に沿って延びるように配置されている。また、係合部材334は、ソレノイド332のロッド322aおよび直動ガイド333に取り付けられている。これにより、係合部材334は、ソレノイド332のロッド332aがZ方向に伸びることにより、直動ガイド333の延びる方向(Z方向)に沿って移動される。
【0055】
また、ラック搬送部33の係合部材334には、第1係合部334aと第2係合部334bとが一体的に設けられている。また、第1係合部334aおよび第2係合部334bは、図18および図19に示すように、係合部材334がZ方向に移動したときに、横送りプレート31の穴部31bを介して搬送面31aから突出するように配置されている。これにより、図18に示すように、第1係合部334aおよび第2係合部334bを搬送面31aから突出させるとともに、ラック搬送部33をX1方向に移動させた場合、第1係合部334aにラック5の1番目の検体容器4側の内側面が係合することにより、ラック5がX1方向に移動される。さらに、図19に示すように、第2係合部334bにラック5の10番目の検体容器4側の板部5bを係合させるとともに、第1係合部334aにラック5の1番目の検体容器4側の内側面を係合させることにより、2つのラック5が直列に同時にX1方向に移動される。なお、図18および図19には、ラック5をX1方向に移動させるときの状態を示している。すなわち、図18において、ラック5をX2方向に移動させる場合には、第1係合部材334aがラック5の1番目の検体容器4側の板部5bに係合する。また、図19において、ラック5をX2方向に移動させる場合には、第1係合部材334aがラック5の1番目の検体容器4側の板部5bに係合するとともに、第2係合部材334bがラック5の10番目の検体容器4側の内側面に係合する。
【0056】
また、図16および図17に示すように、ラック搬送部33の透過型センサ335は、第1係合部334aおよび第2係合部334bが横送りプレート31の搬送面31aから突出していることを検出するために設けられている。この透過型センサ335は、第1係合部334aおよび第2係合部334bが横送りプレート31の搬送面31aから突出した場合に、係合部材334に取り付けられた検出片334cにより遮光状態になるように配置されている。
【0057】
また、横送り部30の検出部34は、X1方向およびX2方向に移動するラック搬送部33の位置を検出するために設けられている。この検出部34は、透過型センサ341aおよび341bと、透過型センサ342aおよび342bと、検出板343とによって構成されている。透過型センサ341aは、ラック搬送部33が初期位置30a(図5参照)に移動されたことを検出するために設けられている。この透過型センサ341aは、ラック搬送部33が初期位置30aに移動された場合に、ラック搬送部33を構成する移動部材331の検出片331aにより遮光状態になるように配置されている。また、透過型センサ341bは、ラック搬送部33が横送り終了位置30b(図5参照)に移動されたことを検出するために設けられている。この透過型センサ341bは、ラック搬送部33が横送り終了位置30bに移動された場合に、ラック搬送部33を構成する移動部材331の検出片(図示せず)により遮光状態になるように配置されている。
【0058】
また、検出部34の透過型センサ342aおよび342bは、ラック搬送部33を構成する移動部材331に取り付けられている。また、透過型センサ342aおよび342bは、ラック搬送部33の移動方向(X1方向およびX2方向)に互いに所定の間隔を隔てて配置されている。また、検出部34の検出板343は、ラック搬送部33の移動方向(X1方向およびX2方向)に沿って配列された複数の矩形状の検出用穴部343a〜343hを有する。この検出用穴部343a〜343hは、透過型センサ342aおよび342bを、透過(オン)状態または遮光(オフ)状態に変化させるために設けられている。また、検出用穴部343a〜343hは、ラック搬送部33をX1方向に約20mmのピッチで移動させる場合において、ラック搬送部33がX1方向に1ピッチ移動する毎に、透過型センサ342aおよび342bの少なくとも一方の状態(オン状態およびオフ状態)が変化するように配置されている。これにより、ラック搬送部33をX1方向に1ピッチ移動させる毎に、透過型センサ342aおよび342bにおけるオン状態とオフ状態との組み合わせが変化される。すなわち、透過型センサ342aおよび342bにおけるオン状態とオフ状態との組み合わせによって、ラック搬送部33の位置が検出される。
【0059】
なお、検出部34において、透過型センサ342aが検出用穴部343aに対応する領域に位置する場合は、ラック搬送部33が初期位置30a(図5参照)に移動されている。また、透過型センサ342aが検出用穴部343gに対応する領域に位置する場合は、ラック搬送部33が横送り終了位置30b(図5参照)に移動されている。また、検出用穴部343a〜343gは、X1方向(初期位置30aから横送り終了位置30b)にこの順番で配置されている。また、検出用穴部343hは、検出用穴部343aのX2方向側に所定の間隔を隔てて配置されている。
【0060】
また、図4および図5に示すように、搬送装置1の排出部40は、横送り部30から排出部40に搬送されたラック5を、搬出部50により搬出口1bから搬出することが可能な位置に搬送するために設けられている。また、排出部40は、排出プレート41と、第2ラック搬送機構部42と、透過型センサ43および44とを含んでいる。
【0061】
排出部40の排出プレート41は、ラック当接部41aと、一対の穴部41bとを有する。なお、排出プレート41の横送り部30側の1つ分のラック5の大きさの領域が、排出部40においてラック5の搬送が開始される排出開始位置P5である。また、排出プレート41の排出開始位置P5とは反対側(搬出部50側)の1つ分のラック5の大きさの領域が、搬出部50によるラック5の搬出口1bからの搬出が開始される搬出開始位置P6である。そして、ラック当接部41aは、排出プレート41の搬出開始位置P6側に設けられている。また、ラック当接部41aは、排出プレート41を排出面41cに対して垂直方向に折り曲げることにより形成されている。また、排出プレート41の一対の穴部41bは、排出プレート41の排出開始位置P5から搬出開始位置P6にまで延びるように形成されている。
【0062】
また、排出部40の第2ラック搬送機構部42は、排出プレート41の排出面41c上のラック5をY2方向に移動させるために設けられているとともに、排出プレート41の排出面41cの下方に配置されている。この第2ラック搬送機構部42は、ラック5をY2方向に移動させる際に、ラック5の下部5aの内側面と係合する一対の係合部材421を有する。また、係合部材421は、排出プレート41の穴部41bに対応する領域に配置されているとともに、図示しない第2ラック搬送機構部42の駆動部により穴部41bに沿ってY2方向(Y1方向)に移動可能に構成されている。さらに、係合部材421は、ラック5をY2方向に移動させるときに、排出プレート41の穴部41bを介して排出面41cから突出するように構成されている。
【0063】
また、排出部40の透過型センサ43は、横送り部30からX1方向に移動されるラック5が、排出開始位置P5に到着したことを検出するために設けられている。この透過型センサ43は、排出開始位置P5にラック5が到着した場合に、遮光状態となるように配置されている。また、排出部40の透過型センサ44は、排出開始位置P5からY2方向に移動されるラック5が、搬出開始位置P6に到着したことを検出するために設けられている。この透過型センサ44は、搬出開始位置P6にラック5が到着した場合に、遮光状態となるように配置されている。
【0064】
また、搬送装置1の搬出部50は、排出部40において搬出開始位置P6に搬送されたラック5を、搬出口1bから搬出するために設けられている。また、搬出部50は、ラック搬送部材51と、モータ52と、駆動ベルト53と、プーリ54aおよび54bと、直動ガイド55とを含んでいる。
【0065】
搬出部50のラック搬送部材51は、搬出開始位置P6に搬送されたラック5をX1方向(搬出口1b側)に移動させるために設けられている。また、モータ52は、プーリ54aに連結されているとともに、駆動ベルト53は、プーリ54aおよび54bに装着されている。これにより、モータ52が駆動することにより、プーリ54aを介して、駆動ベルト53が駆動される。また、直動ガイド55は、X1方向(X2方向)に沿って延びるように配置されている。そして、ラック搬送部材51は、駆動ベルト53に連結されているとともに、直動ガイド55に取り付けられている。これにより、駆動ベルト53が駆動することにより、移動部材51が直動ガイド55の延びる方向(X1方向およびX2方向)に沿って移動される。
【0066】
第1実施形態では、上記のように、貯留部20において、ラック受け取り位置P2で受け取ったラック5を横送り開始位置P3に搬送するための第1ラック搬送機構部22を、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側に向かって搬送方向とは逆方向にラック5を移動させることが可能なように構成することによって、第1ラック搬送機構部22により、作業者を介することなく、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側に向かって搬送方向とは逆方向にラック5を移動させることができる。これにより、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料を同一の分析装置(第1血液分析装置2または第2血液分析装置3)で再分析する際に、横送り開始位置P3から検体供給位置2a(3a)に搬送された1つ目のラック5を再び横送り開始位置P3に逆方向に搬送して貯留部20に再貯留するとともに、その再貯留された1つ目のラック5を横送り開始位置P3から検体供給位置2a(3a)に再搬送する場合に、作業者を介することなく、第1ラック搬送機構部22により横送り開始位置P3に既に搬送されている2つ目のラック5を貯留部20の横送り開始位置P3以外の領域に移動させることができるので、貯留部20において1つ目のラック5を再貯留する領域(横送り開始位置P3)を確保することができる。その結果、同一の分析装置(第1血液分析装置2または第2血液分析装置3)で検体試料の再分析を行う際に、作業者を介することなく、第1血液分析装置2または第2血液分析装置3にラック5(検体試料)を再搬送することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、第1ラック搬送機構部22を、ラック5と係合する係合爪237aおよび237bを含むように構成することによって、第1ラック搬送機構部22の係合爪237aおよび237bによりラック5を1つずつ移動させることができる。この場合、横送り開始位置P3のラック受け取り位置P2側に隣接する1つ分のラック5の大きさの領域を、ラック5の貯留が規制される領域(貯留規制位置P4)とすることによって、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料を同一の分析装置(第1血液分析装置2または第2血液分析装置3)で再分析する際に、横送り開始位置P3に既に搬送されている2つ目のラック5のみを横送り開始位置P3のラック受け取り位置P2側に隣接する領域(貯留規制位置P4)に搬送することにより、容易に、貯留部20において1つ目のラック5を再貯留する領域(横送り開始位置P3)を確保することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、ラック5の貯留が規制される領域(貯留規制位置P4)に、ラック5の貯留を規制するための貯留規制部材261を設けることによって、容易に、貯留規制部材261により、ラック5の貯留が規制される領域(貯留規制位置P4)へのラック5の貯留を規制することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、貯留規制部材261を、貯留部20の載置面21fの下方に配置するとともに、載置面21fから突出させることが可能なように構成することによって、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側に向かってラック5が移動される場合(検体試料を再分析する場合)、および、横送り開始位置P3にラック5が存在せず、かつ、ラック受け取り位置P2側から横送り開始位置P3側に向かってラック5が移動される場合(通常搬送時にラック5を横送り開始位置P3に搬送する場合)に、貯留規制部材261を貯留部20の載置面21fの下方に収納することにより、横送り開始位置P3側からラック受け取り位置P2側またはラック受け取り位置P2側から横送り開始位置P3側へのラック5の移動が貯留規制部材261により妨げられることがない。また、横送り開始位置P3にラック5が存在し、かつ、ラック受け取り位置P2側から横送り開始位置P3側に向かってラックが移動される場合に、貯留規制部材261を貯留部20の載置面21fから突出させることにより、ラック5の貯留が規制される領域(貯留規制位置P4)へのラック5の貯留を貯留規制部材261により規制することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、横送り開始位置P3に搬送されたラック5を検体供給位置2a(3a)および排出開始位置P5に搬送するための横送り部30を、排出開始位置P5側から横送り開始位置P3に向かって搬送方向とは逆方向にラック5を移動させることが可能なように構成することによって、所定のラック5に収容された検体容器4内の検体試料を同一の分析装置(第1血液分析装置2または第2血液分析装置3)で再分析する際に、容易に、横送り部30により、横送り開始位置P3から検体供給位置2a(3a)に搬送された所定のラック5を再び横送り開始位置P3に搬送することができる。
【0071】
図20〜図39は、本発明の第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。次に、図1、図5、図9および図20〜図39を参照して、第1実施形態による搬送装置1の搬送動作について説明する。
【0072】
まず、図20に示すように、搬送装置1の搬入部10に、導入口1aを介して1つ目のラック5を導入する。このとき、搬入部10において、ラック搬入機構部11の搬送ベルト111を駆動させる。これにより、搬送ベルト111により、1つ目のラック5が導入口1aから押出し位置P1(図5参照)に搬送される。この際、検出部114により、1つ目のラック5が押出し位置P1に到着したことが検出される。また、透過型センサ115により、1つ目のラック5が押出し位置P1に存在することが検出される。
【0073】
そして、図21に示すように、搬入部10において、1つ目のラック5が押出し位置P1に搬送された後に、ラック押出し機構部12の押出し部材121をY1方向に移動させる。これにより、1つ目のラック5が押出し位置P1からラック受け取り位置P2(図5参照)に押出される。この際、透過型センサ115により、1つ目のラック5が押出し位置P1からラック受け取り位置P2に押出されたことが検出される。また、貯留部20の透過型センサ23により、1つ目のラック5がラック受け取り位置P2(貯留部20の横送り開始位置P3以外の貯留領域)に存在することが検出される。
【0074】
この後、図22に示すように、貯留部20において、ラック受け取り位置P2に押出された1つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部22の係合爪237a(図5参照)によりY1方向に移動させる。この際、貯留規制機構部26の貯留規制部材261を、貯留プレート21の載置面21fよりも下方に収納する。
【0075】
これにより、図23に示すように、第1ラック搬送機構部22の係合爪237a(図5参照)によりY1方向に移動される1つ目のラック5は、貯留規制部材261によりY1方向への移動を妨げられることなく、横送り開始位置P3(図5参照)に搬送される。この際、透過型センサ24により、1つ目のラック5が横送り開始位置P3に到着したことが検出される。
【0076】
また、貯留部20において、1つ目のラック5が横送り開始位置P3(図5参照)に到着すると、貯留プレート21のラック当接部21aに1つ目のラック5が当接することにより、1つ目のラック5のY1方向への移動が停止する。このとき、図9に示すように、第1ラック搬送機構部22を構成するラック搬送部22bは、以下のように動作する。すなわち、ラック搬送部22bの第1移動部材229には、モータ221により駆動される駆動ベルト225が連結されているとともに、1つ目のラック5と係合する係合爪237aが取り付けられていないので、モータ221が駆動している状態では、第1移動部材229のY1方向への移動が続けられる。その一方、ラック搬送部22bの第2移動部材230には、駆動ベルト225が連結されておらず、かつ、1つ目のラック5と係合する係合爪237aが種々の部品を介して取り付けられているので、第2移動部材230のY1方向への移動が停止される。これにより、第1移動部材229のみが圧縮ばね232の付勢力に抗してY1方向に移動するので、第1移動部材229に取り付けられた検出片239により、第2移動部材230に取り付けられた透過型センサ240が遮光状態となる。その結果、第1ラック搬送機構部22による1つ目のラック5の横送り開始位置P3への搬送が終了したことが検出される。
【0077】
この後、図24に示すように、横送り部30により、横送り開始位置P3に搬送された1つ目のラック5をX1方向に約20mmのピッチ(隣接する検体容器4間のピッチ)で移動させることによって、1つ目のラック5に収容された検体容器4を順次検体供給位置2a(3a)に搬送する。また、2つ目から4つ目のラック5については、1つ目のラック5と同様に貯留部20の貯留領域に搬送する。この際、貯留部20において、貯留規制機構部26の貯留規制部材261を、貯留プレート21の載置面21fから突出させる。これにより、貯留規制部材261により、2つ目以降のラック5の貯留規制位置P4への搬送が規制される。
【0078】
次に、図25に示すように、貯留部20において、1つ目のラック5が横送り開始位置P3から完全に移動された場合には、貯留規制機構部26の貯留規制部材261(図5参照)を、貯留プレート21の載置面21fよりも下方に収納する。そして、貯留規制部材261を貯留プレート21の載置面21fよりも下方に収納した状態で、2つ目から4つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部22の係合爪237a(図5参照)によりY1方向に移動させる。この際、2つ目のラック5が横送り開始位置P3(図5参照)に搬送されるまで、2つ目から4つ目のラック5をY1方向に移動させる。
【0079】
この後、図26に示すように、貯留部20において、3つ目および4つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部22の係合爪237b(図5参照)により搬送方向と逆方向であるY2方向に移動させる。この際、3つ目のラック5が貯留規制位置P4に隣接する貯留領域に搬送されるまで、3つ目および4つ目のラック5をY2方向に移動させる。この後、貯留規制機構部26の貯留規制部材261を、貯留プレート21の載置面21fから突出させる。
【0080】
ここで、図26に示した状態で、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料において再分析が必要と判断された場合の動作について説明する。
【0081】
1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料において再分析が必要と判断された場合には、図27に示すように、まず、貯留部20において、貯留規制機構部26の貯留規制部材261(図5参照)を、貯留プレート21の載置面21fよりも下方に収納する。この後、貯留規制部材261を貯留プレート21の載置面21fよりも下方に収納した状態で、2つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部22の係合爪237b(図5参照)により貯留規制位置P4(図5参照)に搬送する。
【0082】
次に、図28に示すように、横送り部30により、1つ目のラック5をX2方向(搬送方向と逆方向)に移動させることによって、1つ目のラック5を横送り開始位置P3(図5参照)に搬送する。この後、図29に示すように、横送り部30により、横送り開始位置P3に搬送された1つ目のラック5をX1方向に約20mmのピッチで再び移動させることによって、1つ目のラック5を検体供給位置2a(3a)に再搬送する。
【0083】
この後、1つ目のラック5が横送り開始位置P3から完全に移動された後に、2つ目のラック5を第1ラック搬送機構部22の係合爪237a(図5参照)により横送り開始位置P3に搬送することによって、再分析前の状態(図26参照)に戻る。
【0084】
次に、横送り部30による搬送動作を詳細に説明する。
【0085】
まず、図30に示すように、初期状態において、横送り部30を構成するラック搬送部33は、初期位置30aに移動されている。そして、ラック搬送部33がX1方向に約20mmのピッチで移動する際には、ラック搬送部33の透過型センサ342aおよび342bが以下のように動作する。
【0086】
すなわち、図30に示すように、ラック搬送部33が初期位置30aに移動されている場合には、透過型センサ342aが透過(オン)状態になるとともに、透過型センサ342bが遮光(オフ)状態になる。また、図31に示すように、ラック搬送部33が初期位置30aから約20mm(1ピッチ)だけ移動された場合には、透過型センサ342aがオフ状態になるとともに、透過型センサ342bがオン状態になる。また、図32に示すように、ラック搬送部33が初期位置30aから約40mm(2ピッチ)だけ移動された場合には、透過型センサ342aがオン状態になるとともに、透過型センサ342bがオフ状態になる。また、図33に示すように、ラック搬送部33が初期位置30aから約60mm(3ピッチ)だけ移動された場合には、透過型センサ342aおよび342bの両方がオン状態になる。
【0087】
このように、ラック搬送部33をX1方向に1ピッチ移動させる毎に、透過型センサ342aおよび342bの状態の組み合わせが、上記した3パターンのうちのいずれか1つのパターンになるとともに、1ピッチ移動させる毎に必ず異なるパターンになるように構成する。これにより、ラック5の位置が1ピッチずれた場合に、容易に、そのずれを検出することが可能になる。なお、上記した3パターンとは、透過型センサ342aがオン状態であり、透過型センサ342bがオフ状態である第1パターンと、透過型センサ342aがオフ状態であり、透過型センサ342bがオン状態である第2パターンと、透過型センサ342aおよび342bの両方がオン状態である第3パターンの3つである。
【0088】
また、横送り部30において、ラック搬送部33により1つ目のラック5が初期位置30aから約40mmだけ移動されたとき(図32参照)に、1つ目のラック5の1番目の検体容器4に貼付されたバーコードが読み取られる。また、図34に示すように、ラック搬送部33により1つ目のラック5が初期位置30aから約80mm(4ピッチ)だけ移動されたときに、1つ目のラック5の1番目の検体容器4の検体試料が、第1血液分析装置2(第2血液分析装置3)のハンド部材2b(3b)(図1参照)により攪拌される。また、図35に示すように、ラック搬送部33により1つ目のラック5が初期位置30aから約100mm(5ピッチ)だけ移動されたときに、1つ目のラック5の1番目の検体容器4の検体試料が、ハンド部材2b(3b)により第1血液分析装置2(第2血液分析装置3)(図1参照)に供給される。
【0089】
なお、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料において再分析が必要と判断された場合には、図36に示すように、ラック搬送部33をX2方向に移動させる。この際、ラック搬送部33の透過型センサ342aが検出用穴部343hに対応する領域に達するまで、ラック搬送部33をX2方向に移動させる。このとき、透過型センサ342aおよび342bは、それぞれ、オン状態およびオフ状態となる。
【0090】
そして、図37に示すように、横送り部30により、1つ目のラック5をX1方向に約20mmのピッチで移動させることによって、1つ目のラック5を排出開始位置P5(図5参照)に搬送する。この際、排出部40の透過型センサ43により、1つ目のラック5が排出開始位置P5に到着したことが検出される。
【0091】
次に、図38に示すように、排出部40において、第2ラック搬送機構部42の係合部材421(図5参照)により、排出開始位置P5(図5参照)に搬送された1つ目のラック5をY2方向に移動させることによって、1つ目のラック5を搬出開始位置P6(図5参照)に搬送する。この際、排出部40の透過型センサ44により、1つ目のラック5が搬出開始位置P6に到着したことが検出される。
【0092】
最後に、図39に示すように、搬出部50において、1つ目のラック5が搬出開始位置P6に搬送された後に、ラック搬送部材51をX1方向に移動させる。これにより、搬出開始位置P6に搬送された1つ目のラック5がX1方向に移動されるので、搬出口1bから1つ目のラック5が搬出される。
【0093】
(第2実施形態)
図40は、本発明の第2実施形態による搬送装置の構造を示した平面図である。図41および図42は、図40に示した第2実施形態による搬送装置の構造を示した詳細図である。図3および図40〜図42を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、貯留部80におけるラック5の搬送を、搬送ベルト825により行う場合について説明する。なお、第2実施形態による搬送装置100により搬送されるラック5は、図2および図3に示したラック5と同じである。
【0094】
この第2実施形態による搬送装置100は、図40に示すように、搬入部70と、貯留部80と、横送り部30と、排出部40と、搬出部50とを備えている。なお、第2実施形態による搬送装置100の横送り部30、排出部40および搬出部50の構成は、上記第1実施形態による搬送装置1の横送り部30、排出部40および搬出部50の構成と同様である。
【0095】
搬送装置100の搬入部70は、搬送装置100の導入口100aから導入されたラック5を、X1方向に移動させることにより貯留部80側に搬入するために設けられている。また、搬入部70は、駆動部71と、ラック搬送部72と、透過型センサ73aおよび73bとを含んでいる。
【0096】
搬入部70の駆動部71は、ラック搬送部72を、X1方向およびX2方向に移動させるために設けられている。この駆動部71は、モータ711と、駆動ベルト712と、プーリ713aおよび713bと、直動ガイド714とによって構成されている。モータ711は、プーリ713aに連結されているとともに、駆動ベルト712は、プーリ713aおよび713bに装着されている。これにより、モータ711が駆動することにより、プーリ713aを介して、駆動ベルト712が駆動される。また、直動ガイド714は、X1方向(X2方向)に沿って延びるように配置されている。
【0097】
ここで、第2実施形態では、搬入部70のラック搬送部72は、導入口100aから導入されたラック5をX1方向に移動させるために設けられているとともに、貯留規制部材としての機能も有する。なお、図40中の搬入開始位置70aは、ラック搬送部72によるラック5の搬入が開始される位置であり、図40中の搬入終了位置70bは、ラック搬送部72によるラック5の搬入が終了される位置である。このラック搬送部72は、移動部材721と、ソレノイド722と、マイクロスイッチ723とを有する。移動部材721は、駆動ベルト712に連結されているとともに、直動ガイド714に取り付けられている。これにより、駆動ベルト712がX1方向に駆動することにより、移動部材721が直動ガイド714に沿ってX1方向に移動される。また、移動部材721は、導入口100aから導入されたラック5が当接する当接部721aを有する。なお、ラック5は、移動部材721の当接部721aに当接した状態でラック搬送部72によりX1方向に移動される。
【0098】
また、ラック搬送部72のマイクロスイッチ723は、移動部材721の当接部721aに取り付けられている。また、マイクロスイッチ723は、ラック5が移動部材721の当接部721aに当接したときに、マイクロスイッチ723のスイッチ部がラック5により押圧されるように配置されている。これにより、ラック5が移動部材721の当接部721aに当接した場合には、マイクロスイッチ723がオン(オフ)状態からオフ(オン)状態に切り替わるので、ラック5が当接部721aに当接したことが検出される。
【0099】
また、ラック搬送部72のソレノイド722は、移動部材721に取り付けられている。また、ソレノイド722は、ソレノイド722のロッド722aがY1方向に伸びるように、かつ、そのロッド722aが移動部材721の当接部721aに当接したラック5の溝部5c(図3参照)に挿入されるように配置されている。これにより、ソレノイド722のロッド722aをラック5の溝部5cに挿入させるとともに、ラック搬送部72をX1方向に移動させた場合、ソレノイド722のロッド722aにラック5の溝部5cが係合することにより、ラック5がX1方向に移動される。
【0100】
また、搬入部70の透過型センサ73aおよび73bは、X1方向およびX2方向に移動するラック搬送部72の位置を検出するために設けられている。すなわち、透過型センサ73aは、ラック搬送部72が搬入開始位置70aに移動されたことを検出するために設けられている。この透過型センサ73aは、ラック搬送部72が搬入開始位置70aに移動された場合に、ラック搬送部72を構成する移動部材721の検出片(図示せず)により遮光状態になるように設置されている。また、透過型センサ73bは、ラック搬送部72が搬入終了位置70bに移動されたことを検出するために設けられている。この透過型センサ73bは、ラック搬送部72が搬入終了位置70bに移動された場合に、ラック搬送部72を構成する移動部材721の検出片(図示せず)により遮光状態になるように設置されている。なお、ラック搬送部72が搬入開始位置70aに移動された場合には、ラック搬送部72を構成する移動部材721は、後述する貯留プレート81の上方の所定領域に位置している。その一方、ラック搬送部72が搬入終了位置70bに移動された場合には、ラック搬送部72を構成する移動部材721は、後述する貯留プレート81からずれた領域に位置している。
【0101】
また、搬送装置1の貯留部80は、導入口100aから検体供給位置2a(3a)に搬送されるラック5を貯留するために設けられている。さらに、第2実施形態では、貯留部80は、再分析が行われる場合に、検体供給位置2a(3a)から搬送方向とは逆方向に移動されたラック5を再貯留する機能も有する。また、貯留部80は、貯留プレート81と、第1ラック搬送機構部82と、バーコード読取部83とを含んでいる。
【0102】
貯留部80の貯留プレート81は、3分割されているとともに、3分割された各々の貯留プレート81は、互いに所定の間隔を隔てて配置されている。さらに、貯留プレート81は、X1方向(X2方向)に移動する搬入部70のラック搬送部72(移動部材721の当接部721a)が通過する領域を有するように配置されている。また、貯留プレート81は、ラック当接部81aを有する。ラック当接部81aは、貯留プレート81の搬入部70側とは反対側に設けられている。また、ラック当接部81aは、貯留プレート81を載置面81bに対して垂直方向に折り曲げることにより形成されている。そして、貯留プレート21の搬入部70側の端部と、ラック当接部81aとの間の領域が、ラック5を貯留することが可能な貯留領域である。また、貯留プレート81において、搬入部70のラック搬送部72が通過する領域が、搬入部70により搬送されたラック5を受け取るためのラック受け取り位置P22である。また、貯留プレート81のラック当接部81a側の1つ分のラック5の大きさの領域が、横送り部30によるラック5の搬送が開始される横送り開始位置P23である。
【0103】
ここで、第2実施形態では、搬入部70のラック搬送部72(移動部材721)が搬入開始位置70aに移動されているときには、移動部材721によりラック5のラック受け取り位置P22への貯留が規制される。すなわち、搬入部70のラック搬送部72(移動部材721)が搬入開始位置70aに移動されているときには、ラック搬送部72(移動部材721)が、ラック受け取り位置P22へのラック5の貯留を規制する貯留規制部材として機能する。なお、ラック搬送部72が搬入終了位置70bに移動されているときには、ラック搬送部72(移動部材721)が貯留プレート81からずれた領域に位置するので、ラック搬送部72(移動部材721)は貯留規制部材としては機能しない。また、ラック搬送部72は、貯留部80のラック受け取り位置P22以外の領域に、少なくとも1つ分のラック5を貯留することが可能な領域が存在する場合に、ラック受け取り位置P22へのラック5の搬入を開始するように構成されている。
【0104】
また、第2実施形態では、貯留部80の第1ラック搬送機構部82は、貯留プレート81の載置面81bに貯留されたラック5を、ラック受け取り位置P22側から横送り開始位置P23側(Y1方向)に移動させる機能に加えて、横送り開始位置P23側からラック受け取り位置P22側(Y2方向)に搬送方向とは逆方向に移動させる機能も有する。また、第1ラック搬送機構部82は、貯留プレート81の載置面81bの下方に配置されている。この第1ラック搬送機構部82は、図41および図42に示すように、シリンダ821と、直動ガイド822と、ホルダ823と、モータ824と、2つの搬送ベルト825と、一対のプーリ826aおよび一対のプーリ826bと、複数のテンションプーリ827と、プーリ軸828と、駆動ベルト829と、透過型センサ830とによって構成されている。シリンダ821は、シリンダロッド821aが貯留プレート81の載置面81bに対して垂直な方向(Z方向)に伸びるように配置されているとともに、直動ガイド822は、Z方向に沿って延びるように配置されている。また、ホルダ823は、シリンダロッド821aおよび直動ガイド822に取り付けられている。これにより、ホルダ823は、シリンダロッド821aがZ方向に伸びることにより、直動ガイド822の延びる方向(Z方向)に沿って移動される。
【0105】
また、第1ラック搬送機構部82において、モータ824と、一対のプーリ826aおよび一対のプーリ826bと、複数のテンションプーリ827とは、ホルダ823に取り付けられている。また、一対のプーリ826aは、所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置されているとともに、一対のプーリ826bは、一対のプーリ826a間の距離と同じ距離を隔てて互いに対向するように配置されている。また、2つの搬送ベルト825は、それぞれ、一方側のプーリ826aおよび826bと、他方側のプーリ826aおよび826bとに装着されている。また、一方側および他方側の搬送ベルト825は、それぞれ、ホルダ823がZ方向に移動した場合に、3分割された各々の貯留プレート81間に対応する領域を介して載置面81bから突出するように配置されている。また、プーリ826aおよび826bに装着された搬送ベルト825には、複数のテンションプーリ827によりテンション(張力)が付与されている。
【0106】
また、第1ラック搬送機構部82において、プーリ軸828は、一対のプーリ826aに連結されているとともに、駆動ベルト829は、モータ824の回転軸と、プーリ軸828とに装着されている。これにより、モータ824が駆動することにより、駆動ベルト829、プーリ軸828およびプーリ826aを介して、搬送ベルト825が駆動される。また、搬送ベルト825を載置面81bから突出させた状態でY1方向(Y2方向)に駆動させた場合には、駆動する搬送ベルト825にラック5が接触することにより、ラック5がY1方向(Y2方向)に移動される。
【0107】
また、第1ラック搬送機構部82の透過型センサ830は、搬送ベルト825が貯留プレート81の載置面81bから突出していることを検出するために設けられている。この透過型センサ830は、搬送ベルト825が貯留プレート81の載置面81bから突出した場合に、ホルダ823に取り付けられた検出片823aにより遮光状態になるように配置されている。
【0108】
第2実施形態では、上記のように、貯留部80において、ラック受け取り位置P22で受け取ったラック5を横送り開始位置P23に搬送するための第1ラック搬送機構部82を、横送り開始位置P23側からラック受け取り位置P22側に向かって搬送方向とは逆方向にラック5を移動させることが可能なように構成することによって、上記第1実施形態と同様、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料を同一の分析装置で再分析する際に、作業者を介することなく、第1ラック搬送機構部82により横送り開始位置P23に既に搬送されている2つ目のラック5を貯留部80の横送り開始位置P23以外の領域に移動させることができるので、貯留部80において1つ目のラック5を再貯留する領域(横送り開始位置P23)を確保することができる。その結果、上記第1実施形態と同様、同一の分析装置で検体試料の再分析を行う際に、作業者を介することなく、分析装置にラック5(検体試料)を再搬送することができる。
【0109】
また、第2実施形態では、第1ラック搬送機構部82を、ラック5を移動させるための搬送ベルト825を含むように構成することによって、第1ラック搬送機構部82の搬送ベルト825により、貯留部80のラック受け取り位置P22以外の領域に貯留された全てのラック5を横送り開始位置P23側からラック受け取り位置P22側に同時に搬送方向とは逆方向に移動させることができる。この場合、ラック受け取り位置P22をラック5の貯留が規制される領域とすることによって、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料を同一の分析装置で再分析する際に、横送り開始位置P23に既に搬送されている2つ目のラック5を、貯留部80の横送り開始位置P23以外の領域に3つ目以降のラック5と共に移動させることができるので、容易に、貯留部80において1つ目のラック5を再貯留する領域(横送り開始位置P23)を確保することができる。
【0110】
また、第2実施形態では、搬入部70のラック搬送部72がラック5の搬入開始位置70aに移動されている場合に、ラック搬送部72がラック受け取り位置P22へのラック5の貯留を規制する貯留規制部材として機能するように構成することによって、ラック搬送部72を搬入開始位置70aに移動させることにより、容易に、ラック受け取り位置P22へのラック5の貯留を規制することができる。また、ラック搬送部72を、ラック受け取り位置P22へのラック5の貯留を規制する貯留規制部材として機能させることによって、ラック受け取り位置P22へのラック5の貯留を規制するための貯留規制部材を別個に設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
【0111】
また、第2実施形態では、搬入部70のラック搬送部72がラック5の搬入終了位置70bに搬送方向とは逆方向に移動されている場合に、ラック搬送部72が貯留規制部材として機能しないように構成することによって、横送り開始位置P23側からラック受け取り位置P22側に向かって搬送方向とは逆方向にラック5が移動される場合(検体試料を再処理する場合)に、ラック搬送部72を搬入終了位置70bに移動させることにより、横送り開始位置P23側からラック受け取り位置P22側へのラック5の移動がラック搬送部72により妨げられることがない。
【0112】
また、第2実施形態では、貯留部80のラック受け取り位置P22以外の領域に少なくとも1つ分のラック5を貯留することが可能な領域が存在する場合に、搬入部70のラック搬送部72によるラック受け取り位置P22へのラック5の搬入が開始されるように構成することによって、ラック受け取り位置P22(ラック5の貯留が規制される領域)にラック5が搬送されたとしても、そのラック5を貯留部80のラック受け取り位置P22以外の領域に搬送することができるので、ラック受け取り位置P22にラック5が貯留されることがない。
【0113】
図43〜図47は、本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。次に、図40および図43〜図47を参照して、第2実施形態による搬送装置100のラック搬送動作について説明する。
【0114】
まず、図43に示すように、貯留部80において、搬入部70から順次搬送された1つ目から6つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部82の搬送ベルト825によりY1方向(搬送方向)に移動させる。そして、横送り部30により、横送り開始位置P23(図40参照)に搬送された1つ目のラック5をX1方向(搬送方向)に約20mmのピッチで移動させることによって、1つ目のラック5を検体供給位置2a(3a)に搬送する。また、1つ目のラック5が横送り開始位置P23から完全に移動された場合には、2つ目から6つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部82の搬送ベルト825によりY1方向に移動させる。この際、2つ目のラック5が横送り開始位置P23に搬送されるまで、2つ目から6つ目のラック5をY1方向に移動させる。この後、搬入部70のラック搬送部72を、搬入開始位置70a(X2方向)に移動させる。
【0115】
ここで、図43に示した状態で、1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料において再分析が必要と判断された場合の動作について説明する。
【0116】
1つ目のラック5に収容された検体容器4内の検体試料において再分析が必要と判断された場合には、図44に示すように、まず、搬入部70において、ラック搬送部72を搬入終了位置70b(X1方向)に移動させる。
【0117】
そして、図45に示すように、2つ目から6つ目のラック5を、第1ラック搬送機構部82の搬送ベルト825により搬送方向と逆方向であるY2方向に移動させる。この際、6つ目のラック5がラック受け取り位置P22(図40参照)に搬送されるまで、2つ目から6つ目のラック5をY2方向に移動させる。
【0118】
次に、図46に示すように、横送り部30により、1つ目のラック5を搬送方向と逆方向であるX2方向に移動させることによって、1つ目のラック5を横送り開始位置P23に移動させる。この後、図47に示すように、横送り部30により、横送り開始位置P23に搬送された1つ目のラック5をX1方向に約20mmのピッチで再び移動させることによって、1つ目のラック5を検体供給位置2a(3a)に再搬送する。そして、1つ目のラック5が横送り開始位置P23から完全に搬送された後に、2つ目のラック5を第1ラック搬送機構部82の搬送ベルト825により横送り開始位置P23に搬送することによって、再分析前の状態(図43参照)に戻る。
【0119】
なお、第2実施形態の横送り部30、排出部40および搬出部50におけるラック5の搬送動作は、それぞれ、上記第1実施形態の横送り部30、排出部40および搬出部50におけるラック5の搬送動作と同様である。
【0120】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、血液分析装置に本発明の搬送装置を接続するようにしたが、本発明はこれに限らず、血液分析装置以外の検体処理装置に本発明の搬送装置を接続してもよい。
【0122】
また、上記第1および第2実施形態では、貯留部において、係合爪または搬送ベルトを有する第1移動機構部によりラックを搬送するようにしたが、本発明はこれに限らず、係合爪または搬送ベルトを有する第1移動機構部以外の第1移動機構部によりラックを搬送するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態による搬送装置が分析装置に接続された状態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による搬送装置により搬送されるラックの構造を示した斜視図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による搬送装置により搬送されるラックの構造を示した正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による搬送装置の構造を示した斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態による搬送装置の構造を示した平面図である。
【図6】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の貯留規制機構部周辺の構造を示した側面図である。
【図7】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の第1ラック搬送機構部の構造を示した平面図である。
【図8】図7に示した第1ラック搬送機構部の側面図である。
【図9】図7に示した第1ラック搬送機構部によるラックの搬送が停止したときの状態を示した平面図である。
【図10】図8に示した第1ラック搬送機構部の係合爪がラックに係合している状態を示した側面図である。
【図11】図8に示した第1ラック搬送機構部の係合爪がラックに係合している状態を示した側面図である。
【図12】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の逆戻り防止部材周辺の構造を示した側面図である。
【図13】図12に示した逆戻り防止部材が回動している状態を示した側面図である。
【図14】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の貯留規制機構部周辺の構造を示した側面図である。
【図15】図14に示した貯留規制機構部の貯留規制部材が貯留プレートの載置面から突出している状態を示した側面図である。
【図16】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の構造を示した平面図である。
【図17】図16に示した横送り部の側面図である。
【図18】図17に示した横送り部の係合部材がラックに係合している状態を示した側面図である。
【図19】図17に示した横送り部の係合部材がラックに係合している状態を示した側面図である。
【図20】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図21】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図22】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図23】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図24】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図25】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図26】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図27】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図28】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図29】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図30】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図31】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図32】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図33】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図34】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図35】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図36】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の横送り部の搬送動作を説明するための模式図である。
【図37】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図38】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図39】図4および図5に示した第1実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図40】本発明の第2実施形態による搬送装置の構造を示した平面図である。
【図41】図40に示した第2実施形態による搬送装置の第1ラック搬送機構部の構造を示した平面図である。
【図42】図41に示した第1ラック搬送機構部の側面図である。
【図43】本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図44】本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図45】本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図46】本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【図47】本発明の第2実施形態による搬送装置の搬送動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0124】
1、100 搬送装置
1a、100a 導入口
1b 搬出口
2 第1血液分析装置(検体処理装置)
2a 検体供給位置
3 第2血液分析装置(検体処理装置)
3a 検体供給位置
4 検体容器
5 ラック
10、70 搬入部
20、80 貯留部
21f 載置面
22、82 第1ラック搬送機構部(第1移動機構部)
30 横送り部
40 排出部
42 第2ラック搬送機構部(第2移動機構部)
50 搬出部
70a 搬入開始位置
70b 搬入終了位置
72 ラック搬送部(搬入機構部)
237a、237b 係合爪(係合部材)
261 貯留規制部材
825 搬送ベルト
P2、P22 ラック受け取り位置(第1位置)
P3、P23 横送り開始位置(第2位置)
P5 排出開始位置(第3位置)
P6 搬出開始位置(第4位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器内の検体試料を処理する検体処理装置の検体供給位置に、前記検体容器が収容されたラックを搬送するための搬送装置であって、
前記ラックが導入される導入口から前記ラックを搬入するための搬入部と、
前記搬入部により搬入された前記ラックを第1位置で受け取るとともに、前記第1位置で受け取った前記ラックを貯留し、かつ、前記第1位置から第1の方向に前記ラックを移動させることにより、前記検体供給位置への前記ラックの搬送が開始される第2位置に前記ラックを搬送するための第1移動機構部を有する貯留部と、
前記第2位置に搬送された前記ラックを前記第1の方向と交差する第2の方向に移動させることにより、前記検体供給位置に前記ラックを搬送するための横送り部とを備え、
前記第1移動機構部は、前記第2位置側から前記第1位置側に向かって搬送方向とは逆方向に前記ラックを移動させることが可能なように構成されている、搬送装置。
【請求項2】
前記貯留部に前記ラックが貯留されない領域が存在するように、前記第1移動機構部により前記ラックが移動される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記貯留部の前記ラックが貯留されない領域は、前記ラックの少なくとも1つ分の大きさを有する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1移動機構部は、前記ラックと係合することにより前記ラックを移動させるための係合部材を有し、
前記貯留部の前記ラックが貯留されない領域は、前記第2位置の前記第1位置側に隣接する領域に設けられている、請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記貯留部の前記ラックが貯留されない領域には、前記ラックの貯留を規制するための貯留規制部材が設けられている、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記貯留規制部材は、前記貯留部の前記ラックが貯留される載置面の下方に配置されているとともに、前記貯留部の載置面から突出させることが可能なように構成されている、請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第2位置側から前記第1位置側に向かって前記搬送方向とは逆方向に前記ラックが移動される場合、および、前記第2位置に前記ラックが存在せず、かつ、前記第1位置側から前記第2位置側に向かって前記搬送方向に前記ラックが移動される場合に、前記貯留規制部材が前記貯留部の載置面の下方に収納されることにより前記ラックが貯留されない領域を前記ラックが通過可能な状態にし、
前記第2位置に前記ラックが存在し、かつ、前記第1位置側から前記第2位置側に向かって前記搬送方向に前記ラックが移動される場合に、前記貯留規制部材が前記貯留部の載置面から突出されることにより前記ラックが貯留されない領域に前記ラックが貯留されない状態にする、請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1移動機構部は、前記ラックを移動させるための搬送ベルトを有し、
前記貯留部の前記ラックが貯留されない領域は、前記搬入部により搬入された前記ラックを受け取る前記貯留部の第1位置に設けられる、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記搬入部は、前記導入口から前記第2の方向に前記ラックを移動させることにより前記第1位置に前記ラックを搬入するための搬入機構部を含み、
前記搬入機構部は、前記搬入機構部が前記導入口側の前記ラックの搬入開始位置に移動されている場合に、前記第1位置への前記ラックの貯留を規制する貯留規制部材として機能する、請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記搬入機構部は、前記搬入機構部が前記ラックの搬入終了位置に移動されている場合には、前記貯留規制部材としては機能せず、
前記第2位置側から前記第1位置側に向かって前記搬送方向とは逆方向に前記ラックが移動される場合に、前記搬入機構部が前記搬入終了位置に移動される、請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記貯留部の前記第1位置以外の領域に、少なくとも1つ分の前記ラックを貯留することが可能な領域が存在する場合に、前記搬送機構部により前記第1位置に前記ラックが搬入される、請求項9または10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記横送り部により前記第2の方向に移動される前記ラックを第3位置で受け取るとともに、前記第3位置から前記第2の方向と交差する第3の方向に前記ラックを移動させることにより、前記ラックの搬出口からの搬出が開始される第4位置側に前記ラックを移動させるための第2移動機構部を有し、かつ、前記第2移動機構部により前記第4位置に前記ラックを1つずつ排出するための排出部と、
前記第4位置に排出された前記ラックを前記搬出口から搬出するための搬出部とをさらに備え、
前記横送り部は、前記第3位置側に移動された前記ラックを搬送方向である前記第2の方向とは逆方向に移動させることにより、前記第2位置に前記ラックを移動させることが可能なように構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記第1の方向は、前記ラックの長手方向と交差する方向であり、
前記第2の方向は、前記ラックの長手方向である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2006−275567(P2006−275567A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91060(P2005−91060)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】