搬送装置
【課題】搬送物の姿勢を変更できるものでありながら、搬送能力の高い搬送装置を提供すること。
【解決手段】制御手段が姿勢変更手段24における保持部25の保持作動、移動手段27の移動作動、及び、回転手段の回転作動を制御して、非接触状態で支持された状態の搬送物Wを保持位置P3において保持部25により保持し、移動手段27により保持部25を移動させて搬送方向に沿って保持位置P3より下流側の保持解除位置P4まで非接触状態で支持された状態の搬送物Wを搬送する間に、移動手段27により保持部25を移動させながら回転手段により保持部25を回転させて保持している搬送物Wの搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、保持解除位置P4にて搬送物Wの保持を解除する搬送装置。
【解決手段】制御手段が姿勢変更手段24における保持部25の保持作動、移動手段27の移動作動、及び、回転手段の回転作動を制御して、非接触状態で支持された状態の搬送物Wを保持位置P3において保持部25により保持し、移動手段27により保持部25を移動させて搬送方向に沿って保持位置P3より下流側の保持解除位置P4まで非接触状態で支持された状態の搬送物Wを搬送する間に、移動手段27により保持部25を移動させながら回転手段により保持部25を回転させて保持している搬送物Wの搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、保持解除位置P4にて搬送物Wの保持を解除する搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に接触して搬送物に搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記搬送装置は、送風式支持手段にて搬送物を非接触状態に支持し、推進力付与手段にて搬送方向の推進力を接触状態で搬送物に付与して、搬送物を搬送するものである。搬送物として、例えば、液晶モニタ等のFPD用のガラス基板を搬送する場合には、ガラス基板の搬送方向を前後方向としたときの左右中央部分を送風式支持手段にて非接触状態で支持し、搬送方向を前後方向としたときの左右両端部に対して推進力付与手段を接触させて推進力を付与することで、ガラス基板における製品化される左右中央部分を保護しながら搬送するようになっている。
【0003】
そして、搬送物に対する加工等の処理を行う処理装置間で搬送物を搬送する場合において、前工程の処理装置と後工程の処理装置とで、搬送装置に対する搬送物の授受姿勢が異なるときなどのように、搬送装置にて搬送される搬送物の搬送姿勢を変更する必要がある場合がある。このような搬送物の姿勢を変更できる搬送装置の従来例として、搬送装置で搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
従来では、特許文献1に記載されているように、搬送物を回転させて搬送姿勢を変更する回転位置が設定され、搬送物の底面に吸着して搬送物を保持する吸着部を回転位置において縦軸心周りに回転自在にかつ昇降自在に設けて姿勢変更手段を構成している。そして、吸着部を下降位置に下降させた状態で回転位置に搬送物を搬送させて停止させた後、吸着部を上昇位置に上昇させて吸着部にて搬送物を吸着保持させ、この状態で吸着部を縦軸心周りに設定角度回転させることで、搬送物を回転させて搬送姿勢を変更する。そして、搬送物の回転が完了した後、吸着部による吸着保持を解除するとともに、吸着部を下降位置に下降させてから搬送物の搬送を再開するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−145651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、搬送物を搬送方向で一定の回転位置に停止させた状態で吸着部にて吸着保持して回転させて姿勢を変更するので、姿勢変更に要する時間を短縮しようとして吸着部の回転速度を速くすると、回転速度の加速時及び減速時に搬送物の回転中心に生じる慣性トルクが吸着部の吸着保持力より大きくなって、吸着部による搬送物の保持が外れてしまい搬送物の回転を制御できなくなるおそれがある。そのため、吸着部を低速で回転させる必要があり、搬送物の姿勢変更に時間を要していた。また、姿勢変更手段により搬送物を回転させている間は、搬送物は回転位置に停止したままであるので、搬送手段による搬送物の搬送方向に沿う移動が滞ってしまう。このように、姿勢変更手段を設けて搬送物の姿勢を変更できるようにすると搬送装置としての搬送能力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬送物の姿勢を変更できるものでありながら、搬送能力の高い搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る搬送装置の第1特徴構成は、搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に対して搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置において、
前記姿勢変更手段が、非接触状態で支持された搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持自在な保持部と、前記保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、前記保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えて構成され、前記制御手段が、非接触状態で支持された状態の搬送物を保持位置において前記保持部により保持し、前記移動手段により前記保持部を移動させて搬送方向に沿って前記保持位置より下流側の保持解除位置まで非接触状態で支持された状態の搬送物を搬送する間に、前記移動手段により前記保持部を移動させながら前記回転手段により前記保持部を回転させて保持している搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、前記保持解除位置にて搬送物の保持を解除するべく、前記保持部の保持作動、前記移動手段の移動作動、及び、前記回転手段の回転作動を制御するように構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、制御手段により搬送手段が制御されることで、搬送物は、送風式支持手段に非接触状態で支持された状態で推進力付与手段による推進力にて搬送方向に搬送される。搬送装置は姿勢変更手段を備えており、この姿勢変更手段は、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持する保持部と、保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えている。そして、制御手段が姿勢変更手段の作動を制御することで、保持位置において搬送物の平面視での複数の端部に対して保持部を係合させることにより搬送物を保持部に保持させ、回転手段及び移動手段より、搬送物を係合保持している保持部を移動させながら回転させて、搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させることができる。
【0010】
このように、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持している保持部を回転することで保持された搬送物を縦軸心周りに回転させることができるので、保持部の回転速度を速くしても保持部から搬送物が外れ難く、保持部にて確実に保持した状態で搬送物を高速で回転させることができる。そのため、搬送物の姿勢変更を短時間で行うことができる。
【0011】
しかも、制御手段は、回転手段と移動手段を制御して、保持部を回転させながら搬送方向に沿って移動させるので、搬送物は、保持位置にて保持部に保持された後、回転しながら搬送方向に移動して、保持解除位置にて保持部による保持が解除されることになる。つまり、搬送物の搬送姿勢が変更される間も搬送手段による搬送方向での移動が滞ることがなく、搬送物は、搬送姿勢が変更されている間も搬送方向に沿って移動されることになるので、搬送装置としての搬送能力が高いものとなる。
【0012】
このように、搬送物の姿勢を変更できるものでありながら、搬送能力の高い搬送装置を得るに至った。
【0013】
本発明に係る搬送装置の第2特徴構成は、前記保持部が、前記搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と前記端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部を備え、この係合作用部が前記係合姿勢になると搬送物を保持し、前記解除姿勢になると搬送物を解放するように構成され、前記制御手段が、前記保持位置及び前記保持解除位置において前記係合作用部の姿勢切換作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合する複数の係合作用部を横軸心周りに揺動させることにより係合姿勢と解除姿勢とにその姿勢を切り換えることで、搬送物の保持と保持解除の動作を行うことができる。そのため、保持部の一部分である複数の係合作用部の姿勢を変更させるだけで済むので、保持部全体を昇降させる等の大掛かりな動作を伴うことなく、簡素な構成でかつ短時間で搬送物の保持及び保持解除を行うことができる。したがって、姿勢変更手段のコンパクト化を図ることができるとともに、保持部による搬送物の保持や保持解除を比較的短時間で完了させることができる。例えば、保持部による搬送物の保持や保持解除を、搬送物を停止させた状態で行う場合に、保持位置や保持解除位置での停止時間を極力短くでき、搬送能力の低下を抑制できる。
【0015】
本発明に係る搬送装置の第3特徴構成は、前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、前記保持位置よりも上流側に設定された導入位置から前記保持位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段が設けられ、前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部の前記保持位置から前記保持解除位置への移動を開始させた後、前記非保持状態の保持部の前記保持位置への復帰移動を終了させるまでに、後続する搬送物を前記保持位置に搬送するべく、前記導入搬送手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、保持位置よりも上流側に設定された導入位置から保持位置まで搬送物を搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段を備えることで、搬送物を保持している保持状態の保持部を保持位置から保持解除位置へ移動させ始めた後、搬送物を保持していない非保持状態の保持部を復帰移動させて保持位置に位置させるまでに、導入搬送手段により後続する搬送物を保持位置に搬送しておくことができる。
【0017】
つまり、複数の搬送物を順次搬送する場合に、保持部が、先行する搬送物を保持した状態で保持位置から下流側の保持解除位置に移動した後、搬送物を保持していない状態で再び保持位置に戻ってくる間に、導入搬送手段により、後続する搬送物を保持位置に搬送しておくことで、保持部が非保持状態で保持位置に戻ってきたときに、次の保持対象の搬送物が保持位置に準備されている状態にすることができる。
【0018】
このように、導入位置から保持位置の間は導入搬送手段にて搬送して、保持位置から保持解除位置までは姿勢変更手段にて搬送するようにして搬送物を分担して搬送することで、搬送物を姿勢変更させながら効率よく搬送することができる。
【0019】
本発明に係る搬送装置の第4特徴構成は、前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持位置からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、保持部が保持位置からの移動を開始すると同時に又は略同時に保持部の回転が開始されるので、保持部が復帰移動して保持位置に位置したときに導入搬送手段によりすでに保持位置に搬送物が搬送されていれば、直ちに搬送物を保持して搬送物の搬送姿勢を回転させ始めることができる。したがって、搬送物の回転開始までに保持体が搬送方向に沿って移動する距離を極力短くできるので、姿勢変更手段を保持体の移動方向でコンパクトに構成できる。
【0021】
本発明に係る搬送装置の第5特徴構成は、前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、前記保持解除位置から前記保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段が設けられ、前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部が前記保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放させた後、後続の搬送物を保持している前記保持状態の保持部を前記保持解除位置に移動させるまでに、前記保持部から解放された搬送物を前記保持解除位置から搬送するべく、前記導出搬送手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、保持解除位置から保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段を備えることで、保持部が保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放した後、後続の搬送物を保持している保持部を保持解除位置に移動させるまでに、導出搬送手段により保持部から解放された搬送物を保持解除位置から搬送しておくことができる。
【0023】
つまり、複数の搬送物を順次搬送する場合に、保持部が、先行する搬送物を保持解除位置で開放した後、後続する次の搬送物を保持した状態で再び保持解除位置に戻ってくる間に、導出搬送手段により、先行する搬送物を導出位置に搬送しておくことで、保持部が保持解除位置に戻ってきたときに、先に開放した搬送物が保持解除位置から導出されて保持解除位置が空き状態となるように準備しておくことができる。
【0024】
このように、保持位置から保持解除位置の間は姿勢変更手段にて搬送して、保持解除位置から導出位置までは導出搬送手段にて搬送するようにして搬送物を分担して搬送することで、搬送物を姿勢変更させながら効率よく搬送することができる。
【0025】
本発明に係る搬送装置の第6特徴構成は、前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持解除位置までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、保持部が保持解除位置までの移動を終了すると同時に又は略同時に保持部の回転が終了されるので、導出搬送手段に保持解除位置から導出位置までの搬送を担せることで、保持部が保持解除位置に移動した後は、直ちに保持解除位置で搬送物を解放して、後続の搬送物を保持するべく保持位置に復帰移動することができる。したがって、搬送物の回転が終了した後に保持体が搬送方向に沿って移動する距離を極力短くできるので、姿勢変更手段を保持体の移動方向でコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】搬送装置の全体平面図
【図2】搬送装置の全体側面図
【図3】搬送ユニットの斜視図
【図4】搬送ユニットの縦断断面図
【図5】姿勢変更モジュールの縦断断面図
【図6】姿勢変更手段の模式図
【図7】回転アームの端部拡大図
【図8】導入コンベヤの側面図
【図9】制御装置の制御ブロック図
【図10】制御装置の制御動作のフローチャート
【図11】搬送装置の搬送作用図
【図12】搬送装置の搬送作用図
【図13】搬送装置における各装置の動作タイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る搬送装置の実施形態について、搬送物として液晶ディスプレイ用のガラス基板Wを搬送する搬送装置1を例に図面に基づいて説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、搬送装置1は、それぞれの搬送方向が同一方向となるように直線状に並べて配置された上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3と、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3の間に配置された姿勢変更モジュール4とを備え、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4の作動を制御する制御装置Hを備えて構成されている。
【0030】
搬送装置1は、図1及び図2で左から右に向かう方向を搬送方向として直線状の搬送経路に沿って上流側から下流側に複数のガラス基板Wを順次搬送し、直線状の搬送経路途中においてガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させてガラス基板Wの搬送姿勢を上流側コンベヤ2における上流側姿勢から下流側コンベヤ3における下流側姿勢に変更できるようになっている。本実施形態では、上流側コンベヤ2はガラス基板Wをその短手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送し、下流側コンベヤ3はガラス基板Wをその長手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送する。
【0031】
上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4により、送風式支持手段10及び推進力付与手段11を備えた搬送手段Dが構成されている。また、制御装置Hが、搬送手段Dの作動を制御する制御手段として機能する。以下、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4について具体的に説明する。
【0032】
上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3のそれぞれは、架台5上に設置される複数の搬送ユニット6を搬送方向に沿って並ぶ状態で配置して隣接するもの同士を互いに接続して構成されている。上流側コンベヤ2の搬送ユニット6aと下流側コンベヤ3の搬送ユニット6bとは、左右方向(図1における紙面上下方向)の長さが異なる以外は基本的な構成は同じであるから、上流側コンベヤ2を構成する搬送ユニット6aを例に搬送ユニット6について説明し、下流側コンベヤ3を構成する搬送ユニット6bについては説明を省略する。
【0033】
搬送ユニット6aは、図3及び図4に示すように、上面カバー7及び支持枠8からなるケース体9に送風式支持手段10a及び推進力付与手段11aを備えて構成されている。
【0034】
搬送ユニット6aの送風式支持手段10aは、ガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する複数個のファンフィルタユニット12と、多数の通気孔13aが形成されてファンフィルタユニット12に載置支持されてガラス基板Wの下面に供給される清浄空気の整風を行う整風板13とを備えて構成されている。ファンフィルタユニット12は、支持枠8に連結固定されており、塵埃を除去する除塵フィルタ14と、その除塵フィルタ14を通してガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する電動式の送風ファン15とを一体的に組み付けて構成されている。送風式支持手段10aは、ファンフィルタユニット12を前後方向に隣接させて2つ並べ、左右方向に間隔を隔てて2つ並べた計4つのファンフィルタユニット12を備えている。また、姿勢変更モジュール4に上流側で隣接する搬送ユニット6aの送風式支持手段10aの整風板13の下流側部分には、後述する導入コンベヤ29が送風式支持手段10aより上方に突出可能なように導入コンベヤ用スリット13bが搬送方向に沿って形成されている。
【0035】
搬送ユニット6aの推進力付与手段11aは、左右方向での両端部分において搬送方向に沿って並べて配置され、送風式支持手段10aにて非接触状態で支持されたガラス基板Wの左右両端部の下面に接触してガラス基板Wに搬送方向の推進力を付与する複数の駆動ローラ16とこれらの駆動ローラ16を回転駆動させる駆動ローラ用モータM1(図9参照)を備えている。
【0036】
駆動ローラ16及び駆動ローラ用モータM1を支持するケース体9の支持枠8は、外部空気を導入する空気導入口17を下面に備えた底部プレート18と、支持枠8の左右方向の両側に搬送方向に沿って固定状態で備えた左右一対の収納フレーム19とを備えて構成されている。そして、上面カバー7が両側の収納フレーム19にわたって備えられている。左右一対の収納フレーム19の夫々には、駆動ローラ用モータM1及びこの駆動ローラ用モータM1の回転駆動力を複数の駆動ローラ16に分配する伝動軸20を備えた伝動機構が内装されている。なお、駆動ローラ16には、ガラス基板Wの左右方向の両端部の側面に接当して、ガラス基板Wの左右方向への移動を受け止める大径部16aが備えられている。
【0037】
次に、姿勢変更モジュール4の構成について説明する。図1、図2及び図5に示すように、姿勢変更モジュール4は、上面カバー21及び平面視が略矩形状の支持枠22からなるケース体23に送風式支持手段10b及び推進力付与手段11bを備えて構成されている。
【0038】
姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bは、搬送ユニット6の送風式支持手段10aと同様に構成されている。すなわち、図5にも示すように、ガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する複数個のファンフィルタユニット12と、多数の通気孔13aが形成されてファンフィルタユニット12に載置支持されてガラス基板Wの下面に供給される清浄空気の整風を行う整風板13とを備えて構成されている。ファンフィルタユニット12は、支持枠23に連結固定されており、塵埃を除去する除塵フィルタ14と、その除塵フィルタ14を通してガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する電動式の送風ファン15とを一体的に組み付けて構成されている。
【0039】
姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bは、支持枠22に載置支持された複数のファンフィルタユニット12を前後方向に隣接する状態で備えているが、左右方向に並べる個数は上流側から下流側に向かって2個、3個、2個と搬送方向で異なっている。上流側の端部に配列される2つのファンフィルタユニット12と、下流側の端部に配列される2つのファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢は同じであり、これらのファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢は、搬送方向で中間に位置する3個のファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢とは異なっている。また、後述する導入コンベヤ29が送風式支持手段10bより上方に突出可能なように姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bにおける整風板13の上流側部分には、姿勢変更モジュール4に上流側で隣接する搬送ユニット6aの送風式支持手段10aの整風板13に形成された導入コンベヤ用スリット13bに連続するように、導入コンベヤ用スリット13cが形成されている(図1参照)。
【0040】
姿勢変更モジュール4は、ガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させる姿勢変更手段24を備えており、姿勢変更モジュール4の推進力付与手段11bは、この姿勢変更手段24にて兼用されている。
【0041】
図2、図5及び図6に示すように、姿勢変更手段24は、送風式支持手段10bにて非接触状態で支持されたガラス基板Wの平面視での複数の端部に対して係合することによりガラス基板Wを保持自在な保持部としての回転アーム25と、回転アーム25を縦軸心X1周りに回転させる回転手段としての回転部26と、回転アーム25を搬送方向に沿って移動させる移動手段としてのスライド部27とを備えている。
【0042】
図5、図6及び図7に示すように、回転アーム25は、送風式支持手段10bにて非接触状態で支持されるガラス基板Wの高さよりも上方側に配置されており、その両端部には、ガラス基板Wの平面視での一対の端部に対して係合する係合姿勢とこれらの端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心Y1周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部として、一対のチャック部28を備えている。この一対のチャック部28が係合姿勢になるとガラス基板Wを保持し、解除姿勢になるとガラス基板Wを解放するように構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、一対のチャック部28の姿勢を切り換え駆動するチャック用モータM2(図9参照)が、回転アーム25の両端部に内装されている。
【0043】
回転アーム25は、平面視で矩形状のガラス基板Wの短辺の長さに対応した長さの長尺状の中空部材にて構成され、両端に設けられた一対のチャック部28のそれぞれが、ガラス基板Wの長辺の略中央部分に係合することでガラス基板Wを保持するようになっている。一対のチャック部28の夫々は、横軸心Y1方向に並ぶ2個の当接片28a・28bを備えており、ガラス基板Wの長辺の略中央部分に対して、2個の当接片28a・28bが2箇所で当接することで、一対のチャック部28が係合姿勢であると、回転アーム25に対するガラス基板Wの相対回転が規制される。なお、一対のチャック部28における当接片28a・28bの当接面にウレタンゴム等の弾性部材を設けて、ガラス基板Wと一対のチャック部28とが弾性接触できるようにしている。
【0044】
回転部26は、回転アーム25を正逆双方向に回転駆動する回転用モータM3(図9参照)及び回転用モータM3の回転駆動量を検出することで回転アーム25の回転位置を検出する回転位置検出手段としての回転位置検出用ロータリエンコーダRE1(図9参照)を備えている。
【0045】
スライド部27は、支持枠22が備える前後一対の支持フレーム22aにより複数箇所が支持された状態で搬送方向に沿って設けられたガイドレール27aと、このガイドレール27aに案内されて、ガラス基板Wを保持位置P3(図11(b)参照)に位置させる後退限とガラス基板Wを保持解除位置P4(図12(d)参照)に位置させる前進限との間で往復移動自在に設けられたスライドブロック27bと、スライドブロック27bを搬送方向で上流から下流に向けて前進駆動させ、かつ、搬送方向で下流から上流に向けて後退駆動させる移動用モータM4(図9参照)を備えている。また、ガイドレール27aの前後両端部には、後退限のスライドブロック27bに検出作用する保持位置検出用センサS3(図9参照)、及び、前進限のスライドブロック27bに検出作用する保持解除位置検出用センサS4(図9参照)が設けられている。
【0046】
保持位置P3では、制御装置Hにより回転アーム25の一対のチャック部28が解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更されガラス基板Wが回転アーム25にて保持される。また、保持解除位置P4では、制御装置Hにより回転アーム25の一対のチャック部28が保持姿勢から解除姿勢に姿勢変更されガラス基板Wが回転アーム25から解放される。つまり、制御装置Hは、保持位置P3及び保持解除位置P4において一対のチャック部28の姿勢切換作動を制御するように構成されている。
【0047】
姿勢変更手段24は、一対のチャック部28をガラス基板Wに係合する係合姿勢に切り換えた状態で回転部26にて回転アーム25を縦軸心X1周りに回転させながらスライド部27にて回転部26を搬送方向に沿ったガイドレール27aに沿って移動させることで、ガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させながら、ガラス基板Wに対して搬送方向の推進力を付与して搬送方向に搬送する。
【0048】
このように、姿勢変更モジュール4は、推進力付与手段11bを兼用する姿勢変更手段24を備えており、ガラス基板Wの姿勢変更機能に加えてガラス基板Wに対して接触して搬送方向への推進力を付与する機能を有している。姿勢変更モジュール4による搬送方向となる回転アーム25の回転縦軸心X1の移動方向は、上流側コンベヤ1及び下流側コンベヤ2の搬送方向と一致しており、図1及び図2において左から右に沿う方向となっている。
【0049】
搬送装置1には、図1、図4、図5及び図11に示すように、保持位置P3よりも上流側に設定された導入位置P2から保持位置P3までガラス基板Wを搬送方向に沿ってガラス基板Wの搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段として導入コンベヤ29が設けられている。導入コンベヤ29により搬送されるガラス基板Wの搬送下流側の端部を受け止める左右一対のストッパ40が姿勢変更モジュール4に設けられている。
【0050】
一対のストッパ40は、図1に示すように、姿勢変更モジュール4の搬送方向で中間位置において左右方向に3つ並ぶファンフィルタユニット12の間に形成される2個の隙間の夫々に1個ずつ配置されている。一対のストッパ40は、ストッパ昇降用モータM9(図9参照)を正逆に回転作動させることにより、導入コンベヤ29にて保持位置P3まで搬送されたガラス基板Wの搬送下流側の端辺の2箇所に当接して、ガラス基板Wを上流側姿勢に維持しながらガラス基板Wの搬送方向下流側への移動を規制する上昇位置と、ガラス基板Wの搬送方向下流側への移動を許容する下降位置とに、切り換え自在に構成されている(図11及び図12参照)。
【0051】
また、搬送装置1には、図1に示すように、保持解除位置P4からその保持解除位置P4よりも下流側に設定された導出位置P5までガラス基板Wを搬送方向に沿ってガラス基板Wの搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段としての導出コンベヤ30が設けられている。導入コンベヤ29及び導出コンベヤ30は配置位置が異なるものの基本的な構成は同様であるので、導入コンベヤ29を例に具体的に説明する。
【0052】
導入コンベヤ29は、図1、図4、図5及び図8に示すように、上流側姿勢(導出コンベヤ30の場合は下流側姿勢)のガラス基板Wにおける左右方向の中央部を接触支持する導入側ベルト式推進力付与部31を備えている。この導入側ベルト式推進力付与部31は、図4及び図5に示すように、ファンフィルタユニット12を左右方向に2つ並べることにより左右方向で中間位置に形成される前後方向に細長の隙間Gに設けられている。
【0053】
導入側ベルト式推進力付与手段31は、図8に示すように、搬送方向の上流側に位置して導入コンベヤ駆動用モータM5によって回転する駆動輪32と、搬送方向の上流側に位置する回転自在な従動輪33と、これら駆動輪32と従動輪33とに亘って巻回し、ガラス基板Wの下面を接触支持して推進力を付与するタイミングベルト34と、タイミングベルト34における送り経路部分を内周面側から支持する内支持輪35と、これらを支持する支持枠36とから構成されている。そして、図8に示すように、支持枠36には、導入側ベルト式推進力付与部31を昇降操作するための導入コンベヤ昇降用モータM6が前後一対設けられており、各導入コンベヤ昇降用モータM6の出力ギヤ37と、ファンフィルタユニット12の側面に形成されたラック38とが噛み合わされている。
【0054】
一対の導入コンベヤ昇降用モータM6を同期した状態で正逆方向に駆動回転させることによって、導入側ベルト式推進力付与部31は、タイミングベルト34の上側経路部分の外周面が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4が備える整風板13よりも上方に位置してガラス基板Wの下面に接触自在な上昇位置と、タイミングベルト34の上側経路部分の外周面が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4が備える整風板13よりも下方に位置してガラス基板Wの下面に接触しない下降位置とに上下昇降自在に構成されている。ベルト式推進力付与部31が上下昇降する際には、タイミングベルト34の上側経路部分が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4がそれぞれ備える整風板13に連続する状態で形成されたスリット13b・13cを通過することになる。
【0055】
導出コンベヤ30は、導出コンベヤ駆動用モータM7及び一対の導出コンベヤ昇降用モータM8を備えている(図9参照)。導出コンベヤ駆動用モータM7を回転駆動させることにより、導出側ベルト式推進力付与手段39のタイミングベルトが巻回作動し、導入コンベヤ昇降用モータM8を同期した状態で正逆方向に駆動回転させることにより、導出側ベルト式推進力付与手段39が昇降作動する。
【0056】
次に、搬送装置1の制御構成について説明する。図9に示すように、搬送装置1の作動を制御する制御装置Hには、上流側コンベヤ2、導入コンベヤ29、姿勢変更モジュール4、導出コンベヤ30及び下流側コンベヤ3が備える各電動モータやファンフィルタユニット12や各種センサ類が接続されている。
【0057】
制御装置Hには、上流側コンベヤ2の最下流の搬送ユニット6aにおける準備位置用在荷センサS1、各搬送ユニット6aにおける複数の駆動ローラ用モータM1及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。上流側コンベヤ2の準備位置用在荷センサS1は、上流側コンベヤ2の搬送方向で下流側の端部に設定された準備位置P1(図11(a)参照)までガラス基板Wが搬送されたことを検出する光学式センサである。
【0058】
同様に、制御装置Hには、下流側コンベヤ3の最上流の搬送ユニット6bにおける完了位置用在荷センサS2、各搬送ユニット6bにおける複数の駆動ローラ用モータM1及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。下流側コンベヤ3の完了位置用在荷センサS2は、下流側コンベヤ3の搬送方向で上流側の端部に設定された完了位置P6(図12(e)参照)までガラス基板Wが搬送されたことを検出する光学式センサである。
【0059】
制御装置Hには、姿勢変更モジュール4の姿勢変更手段24における一対のチャック用モータM2、回転用モータM3、移動用モータM4、回転位置検出用ロータリエンコーダRE1、一対のストッパ昇降用モータM9及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。
【0060】
制御装置Hには、導入コンベヤ29の導入コンベヤ駆動用モータM5及び一対の導入コンベヤ昇降用モータM6が接続されている。同様に、制御装置Hには、導出コンベヤ30の導出コンベヤ駆動用モータM7及び一対の導出コンベヤ昇降用モータM8が接続されている。
【0061】
制御装置Hは、非接触状態で支持された状態のガラス基板Wを保持位置P3にて回転アーム25にて保持し、スライド部27により回転アーム25を移動させて搬送方向に沿って保持位置P3より下流側の保持解除位置P4まで非接触状態で支持された状態のガラス基板Wを搬送する間に、スライド部27により回転アーム25を移動させながら回転部26により回転アーム25を回転させて保持しているガラス基板Wの搬送姿勢を縦軸心X1周りに90度回転させ、保持解除位置P4にてガラス基板Wの保持を解除するべく、回転アーム25の保持作動、スライド部27の移動作動、及び、回転部26の回転作動を制御する。
【0062】
制御装置Hは、ガラス基板Wを保持している保持状態の回転アーム25を保持位置P3から保持解除位置P4へ移動させた後、ガラス基板Wを保持していない非保持状態の回転アーム25を保持位置P3に復帰移動させるべく、回転アーム25の保持作動、スライド部27の移動作動、及び、回転部26の回転作動を繰り返し制御する。
【0063】
制御装置Hは、保持状態の回転アーム25の回転と保持状態の回転アーム25の保持位置P3からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、回転部26及びスライド部27の作動を制御するとともに、保持状態の回転アーム25の保持位置P3から保持解除位置P4への移動を開始させた後、非保持状態の回転アーム25の保持位置P3への復帰移動を終了させるまでに、後続するガラス基板Wを保持位置P3に搬送するべく、導入コンベヤ29の作動を制御する。
【0064】
制御装置Hは、保持状態の回転アーム25の回転と保持状態の回転アーム25の保持解除位置P4までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、回転部26及びスライド部27の作動を制御するとともに、保持状態の回転アーム25が保持解除位置P4に位置した状態で保持しているガラス基板Wを解放させた後、後続のガラス基板Wを保持している保持状態の回転アーム25を保持解除位置P4に移動させるまでに、回転アーム25から解放されたガラス基板Wを保持解除位置P4から搬送するべく、導出コンベヤ30の作動を制御する。
【0065】
制御装置Hの制御動作について図10のフローチャートと図11及び図12の動作図に基づき説明する。図10のフローチャートは、上流側コンベヤ2により準備位置P1まで搬送されてきたガラス基板Wが準備位置P1から完了位置P6まで搬送方向に搬送されながら姿勢変更されるまでの間に発生する上流側コンベヤ2、下流側コンベヤ3、姿勢変更モジュール4、導入コンベヤ29、導出コンベヤ30の動作を示している。
【0066】
なお、図10に示す左右3列のステップ群のうち、左列のステップ群は上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに導入コンベヤ29及び導出コンベヤ30の動作を示し、中央列のステップ群は姿勢変更手段24の動作を示し、右列のステップ群はストッパ40の動作を示している。
【0067】
まず、ステップ#1〜ステップ#4で、準備位置用在荷センサS1にて準備位置P1にガラス基板Wが搬送されたことが検出されると、準備位置P1に位置するガラス基板Wを上流側コンベヤ2の最下流の搬送ユニット6aにて導入位置P2まで上流側姿勢で搬送する(図11(a)参照)。この間に、ステップ#2で、下降位置に位置している導入コンベヤ29の上昇を開始させ、ステップ#3で導入コンベヤ29の搬送作動を開始させる。これにより、上流側コンベア2により導入位置P2に搬送されたガラス基板Wは、直ちに導入コンベア29に引き継がれて保持位置P3へ向けて搬送される。なお、導入コンベヤ29を上昇位置に切り換える前に搬送作動を開始させておいてもよい。
【0068】
保持位置P3へ搬送されるガラス基板Wは、上流側部分の左右両端部が上流側コンベヤ2の下流端部で案内されながら導入コンベヤ29にて左右方向の中央部に対して搬送方向に沿う向きの推進力が付与されるため、保持位置P3まで搬送される直前までその姿勢が上流側姿勢に維持された状態で搬送される。そして、姿勢変更モジュール4が備える左右一対のストッパ40にガラス基板Wの上流側の単辺の2箇所が受け止められることで、ガラス基板Wは、保持位置P3に位置決めされる(図11(b)参照)。
【0069】
ステップ#5で、導入コンベア29の搬送作動が停止された後、ステップ#6で導入コンベア29が下降位置に切り換えられ、ステップ#7でチャック部28が解除姿勢から係合姿勢に切り換えられ、ステップ#8で一対のストッパ40が下降位置に切り換えられる。
【0070】
ステップ#9で姿勢変更手段24によるガラス基板Wの姿勢変更と搬送方向に沿う移動が開始される。すなわち、回転アーム25の縦軸心X1周りの正方向(右回り)の回転と搬送方向下流側への移動とが同時に開始される。これにより、対向する長辺の夫々に対してチャック部28が係合することで回転アーム25に確実に保持されたガラス基板Wは、縦軸心X1周りに回転することで上流側姿勢から下流側姿勢に姿勢が変更されながら、搬送方向に沿って保持解除位置P4まで移動される(図11(c)参照)。
【0071】
ガラス基板Wが保持解除位置P4に接近又は到着すると、ステップ#10で導出コンベヤ30が下降位置から上昇位置に切り換えられ、導出コンベヤ30が準備される。そして、ステップ#11で姿勢変更手段24によるガラス基板Wの姿勢変更と搬送方向に沿う移動が終了される。すなわち、回転アーム25の縦軸心X1周りの正方向(右回り)の回転と搬送方向下流側への移動とが同時に終了される。
【0072】
回転アーム25の回転作動及び移動作動の停止制御は、回転アーム25の回転位置を検出する回転位置検出用ロータリエンコーダRE1並びに保持位置検出用センサS3及び保持解除位置検出用センサS4の検出情報に基づいてフィードバック制御される。
【0073】
このように、回転アーム25の回転作動と移動作動は同時又は略同時に開始され同時又は略同時に終了される。つまり、回転アーム25の回転速度と移動速度とは、回転部26が回転アーム25を90度回転させるときの所要時間と、スライド部27が回転アーム25を保持位置P3から保持解除位置P4まで移動させるときの所要時間とが略一致する関係となっている。
【0074】
回転アーム25の回転作動及び移動作動が停止すると、ステップ#12でチャック部28が係合姿勢から解除姿勢に切り換えられ、ガラス基板Wは保持解除位置P4で解放される。そして、ステップ#13で上昇位置にある導出コンベヤ30の搬送作動が開始され、ガラス基板Wは下流側姿勢を維持したまま保持解除位置P4から導出位置P5まで搬送される(図12(d)参照)。これにより、姿勢変更手段24により保持解除位置P4に搬送されたガラス基板Wは、直ちに導出コンベア30に引き継がれて導出位置P5へ向けて搬送される。なお、導出コンベヤ30を上昇位置に切り換える前に搬送作動を開始させておいてもよい
【0075】
搬送対象のガラス基板Wを保持解除位置P4まで保持していた回転アーム25は、ステップ#12でチャック部28が解除姿勢に切り換えられると、搬送対象のガラス基板Wを保持解除位置P4から導出位置P5に導出コンベヤ30にて搬送している間に、後続するガラス基板Wの搬送のために、ステップ#15〜ステップ#16にて保持位置P3まで後退させ、かつ、保持位置P3用の回転位置まで逆回転させて、保持位置P3にて後続するガラス基板Wを保持できる状態に復帰させておく(図12(d)(e)参照)。
【0076】
また、ガラス基板Wを保持位置P3にて位置決めする一対のストッパ40は、搬送対象のガラス基板Wが、ステップ#9〜ステップ#10において回転アーム25が前進及び正回転して下降位置の一対のストッパ40の上方を通過した後にステップ#14で上昇位置に復帰させておく。これにより、回転アーム25の保持位置P3への復帰移動及び逆回転が終了する前に、後続する次の搬送対象のガラス基板Wを準備位置P1から先行して搬送しておき、予め導入位置P3に上流側姿勢で待機させておくことができる(図12(e)参照)。
【0077】
導出位置P5へ搬送されるガラス基板Wは、下流側部分の左右両端部が下流側コンベヤ3の上流端部で案内されながら導出コンベヤ30にて左右方向の中央部に対して搬送方向に沿う向きの推進力が付与されるため、その姿勢が下流側姿勢に維持された状態で搬送される(図12(d)参照)。
【0078】
ガラス基板Wが導出位置P5まで搬送されると、ステップ#18で導出コンベヤ30の搬送作動が停止され、ステップ#19で導出コンベヤ30が下降位置に切り換えられる。そして、導出位置P5まで搬送されたガラス基板Wは、ステップ#17〜ステップ#20において下流側コンベヤ3により完了位置P6まで下流側姿勢にて搬送される(図12(e)参照)。
【0079】
以上説明した制御装置Hの制御動作によれば、導入コンベヤ29、姿勢変更モジュール4及び導出コンベヤ30が、ガラス基板Wを導入位置P2から導出位置P5まで分担して搬送することで、先行するガラス基板Wを搬送しながら後続のガラス基板Wをも搬送することが可能となっている。具体的には、図13に示すように、姿勢変更モジュール24の回転アーム25が保持位置P3で搬送対象のガラス基板Wを保持して保持位置P3から移動している間に、上流側コンベヤ2により準備位置P1から導入位置P2へ後続のガラス基板Wを搬送し、回転アーム25が保持位置P3に復帰するまでに、導入コンベヤ29にて保持位置P3に後続のガラス基板を搬送して準備しておくことができる。
【0080】
これにより、図13のタイミングチャートに示すように、1枚のガラス基板Wを準備位置P1から完了位置P6まで搬送する場合の所要時間に対して、ガラス基板Wについての準備位置P1からの搬送が開始されてから、後続する次のガラス基板Wについての準備位置P1からの搬送が開始されるまでのタクトタイムを短くすることができる。例えば、図13のタイミングチャートにおいて1マスを2秒とした場合、1枚のガラス基板Wについての搬送所要時間は33秒であるのに対して、タクトタイムはおよそ17秒となる。このように、複数のガラス基板Wを準備位置P1から姿勢変更させながら搬送方向に沿って順次搬送するときの搬送効率が向上する。
【0081】
〔別実施形態〕
【0082】
(1)回転アーム25の移動作動の停止制御については、ガイドレール27aの前後両端部に保持位置検出用センサS3及び保持解除位置検出用センサS4を設けて、これらのセンサの検出情報に基づいてフィードバック制御するものを例示したが、これに限らず、スライド部27の移動開始位置(例えば、後退限)からの移動量を検出することで回転アーム25の搬送方向における位置又はガイドレール27aにおける位置を検出する移動位置検出手段を設けて、この移動位置検出手段の検出情報に基づいてフィードバック制御してもよい。また、回転位置検出用ロータリエンコーダRE1の検出情報に基づいて、回転アーム25の移動作動をフィードバック制御してもよい。この場合、回転部26とスライドブロック27bとを連動連結して、スライド部27による回転アーム25の移動作動と回転部26による回転アーム25の回転作動とを連動させることが好ましい。
【0083】
(2)導入コンベヤ29の搬送作動の停止制御は、図10のステップ#3で導入コンベア29の搬送作動を開始してから設定時間経過後に停止するようにフィードフォワード制御してもよいし、保持位置P3にガラス基板Wが搬送されたことを検出する保持位置用在荷センサを設けて、この保持位置用在荷センサの検出情報に基づいて搬送作動を停止するようにフィードバック制御してもよい。
【0084】
(3)上記実施形態では、導入位置P2から保持位置P3までガラス基板Wを導入コンベヤ29にて搬送するものを例示したが、導入コンベヤ29を設けずに、回転アーム25の搬送方向の移動範囲を上流側に延長し、保持位置を上記実施形態における導入位置P2に相当する位置に設定して、制御装置Hにて、上記実施形態における導入位置P2に相当する位置にてガラス基板Wを保持し、その後、回転アーム25を回転させずに搬送方向下流側に設定量移動させた後に回転アーム25の回転を開始するように回転部26及び移動部27並びにチャック部28の作動を制御してもよい。
【0085】
(4)上記実施形態では、保持解除位置P4から導出位置P5までガラス基板Wを導出コンベヤ30にて搬送するものを例示したが、導出コンベヤ30を設けずに、回転アーム25の搬送方向の移動範囲を下流側に延長し、保持解除位置を上記実施形態における導出位置P5に相当する位置に設定して、制御装置Hにて、ガラス基板Wを保持している回転アーム25を上記実施形態における保持解除位置P4に相当する位置から回転させずに搬送方向下流側に設定量移動させて上記実施形態における導出位置P5に相当する位置にてガラス基板Wの保持を解除するように回転部26及び移動部27並びにチャック部28の作動を制御してもよい。
【0086】
(5)上記実施形態では、導入搬送手段及び導出搬送手段が、昇降自在なベルトコンベヤにて構成されたものを例示したが、これに限らず、搬送物の底面に吸着自在な吸着部を昇降自在にかつ搬送方向に移動自在に設けて構成してもよい。また、搬送物の底面における上流側端部に係合する突起を往復移動自在にかつ昇降自在に備えて構成してもよい。
さらに、搬送物の底面における上流側端部に係合する突起を、無端ベルトの巻回外方側に突出する状態で備えた突起付きベルトを備えて構成してもよい。送風式支持手段にて非接触状態で支持されている搬送物の底面よりも下方に突起付きベルトの巻回経路を配置して、突起が上部側巻回部分に位置するときに送風式支持手段にて非接触状態で支持されている搬送物の底面よりも上方に突出する高さに位置するように構成しておけば、突起付きベルトを昇降自在に設けずに済む。この場合、突起を複数設けるには、巻回方向で隣り合う突起の巻回方向に沿う間隔を導入搬送手段の搬送距離よりも長く設定すればよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、導入搬送手段及び導出搬送手段が搬送される搬送物より下方に配置されたものを例示したが、これに代えて、導入搬送手段又は導出搬送手段を搬送される搬送物の上方に配置してもよい。
【0088】
(7)上記実施形態では、上流側コンベヤ2がガラス基板Wをその短手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送し、下流側コンベヤ3がその長手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送するものを例示したが、これと逆の姿勢で搬送するものであってもよい。
【0089】
(8)上記実施形態では、保持部が、平面視矩形状の搬送物の対向する短辺に対して係合する2つの係合作用部を両端部に備えて、搬送物の短手方向に沿う姿勢にて搬送物を保持するものを例示したが、保持部の具体的構成がこれに限定されるものではない。例えば、3個以上の係合作用部を備えたものであってもよく、その一例としては、平面視矩形状の搬送物の四辺の夫々に係合する4つの係合作用部を備えたものであってもよい。
【0090】
(9)上記実施形態では、保持部の複数の係合作用部として、搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在なものを例示したが、保持部の複数の係合作用部として、その下端部が、送風式支持手段にて非接触状態で支持される搬送物の下面高さよりも下方に位置する状態で搬送物の端部に対して係合する係合高さと、その下端部が、送風式支持手段にて非接触状態で支持される搬送物の上面高さよりも上方に位置する状態で搬送物の端部に対する係合が解除される解除高さとに高さ切換自在なものでもよい。
【0091】
(10)
上記実施形態では、搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度として90度回転させて搬送姿勢を変更するものを例示したが、搬送物を回転させる角度は適宜変更可能である。
【0092】
(11)
上記実施形態では、搬送装置の搬送方向が一直線に沿うものを例示したが、例えば、姿勢変更手段よりも上流側の搬送部分と下流側の搬送部分とで搬送方向が異なるものであってもよい。この場合、姿勢変更手段における移動手段は、上流側搬送方向又は下流側搬送方向の何れかに沿って保持部を移動させるように構成すればよい。
【0093】
(12)上記実施形態では、送風式支持手段として、ファンフィルタユニットを縦横に複数配列して構成されたものを例示したが、送風式支持手段はファンフィルタユニットを用いずに構成してもよい。例えば、清浄空気を外部から供給する空気供給路を搬送装置に接続して、送風式支持手段が外部供給路から供給される清浄空気を搬送物の下面に向けて供給するものであってもよい。
【0094】
(13)上記実施形態では、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3における搬送ユニット6の推進力付与手段11aとして、複数のガイドローラを備えたものを例示したが、推進力付与手段11aとしては搬送ベルトを備えたもの等、種々変更が可能である。
【0095】
(14)上記実施形態では、姿勢変更手段の全体が搬送手段と平面視で重なる位置に配置されたものを例示したが、これに限らず、例えば、姿勢変更手段における移動手段の一部を搬送手段の横脇に配置する等、姿勢変更手段の一部を、平面視で搬送手段の存在領域から外れた位置に配置してもよい。このような配置とすることで、搬送装置における姿勢変更手段が設けられた箇所の上下高さを低く抑えることができる。
【0096】
具体的には、例えば、上記実施形態におけるガイドレール27aを姿勢変更モジュール4における横側部に配置して、ガイドレール27aから姿勢変更モジュール4の内方側に、水平面において搬送方向と直交する方向に沿って、延びる状態のスライドアームを、搬送方向に沿ってスライド移動自在に設けて、このスライドアームの先端部に回転アーム25を縦軸心周りに回転自在に設けて、姿勢変更手段24を構成してもよい。
【0097】
また、平面視で姿勢変更モジュール4の外部に位置する縦軸心周りに揺動自在な揺動アームを設けて、この揺動アームの揺動半径方向で外方側の部分(例えば、先端部分)に回転アーム25を縦軸心周りに回転自在(又は、縦軸心周りに回転自在かつ揺動アームに沿って移動自在)に設けて、姿勢変更手段24を構成してもよい。この場合、制御手段は、揺動アームの揺動作動(又は、揺動アームの揺動作動及び揺動アームに沿う回転アーム25の移動作動)を制御するように構成すればよい。
【符号の説明】
【0098】
2、3、4 搬送手段
10 送風式支持手段
11 推進力付与手段
24 姿勢変更手段
25 保持部
26 回転手段
27 移動手段
28 係合作用部
29 導入搬送手段
30 導出搬送手段
X1 縦軸心
Y1 横軸心
D 搬送手段
H 制御手段
W 搬送物
P2 導入位置
P3 保持位置
P4 保持解除位置
P5 導出位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に接触して搬送物に搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記搬送装置は、送風式支持手段にて搬送物を非接触状態に支持し、推進力付与手段にて搬送方向の推進力を接触状態で搬送物に付与して、搬送物を搬送するものである。搬送物として、例えば、液晶モニタ等のFPD用のガラス基板を搬送する場合には、ガラス基板の搬送方向を前後方向としたときの左右中央部分を送風式支持手段にて非接触状態で支持し、搬送方向を前後方向としたときの左右両端部に対して推進力付与手段を接触させて推進力を付与することで、ガラス基板における製品化される左右中央部分を保護しながら搬送するようになっている。
【0003】
そして、搬送物に対する加工等の処理を行う処理装置間で搬送物を搬送する場合において、前工程の処理装置と後工程の処理装置とで、搬送装置に対する搬送物の授受姿勢が異なるときなどのように、搬送装置にて搬送される搬送物の搬送姿勢を変更する必要がある場合がある。このような搬送物の姿勢を変更できる搬送装置の従来例として、搬送装置で搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
従来では、特許文献1に記載されているように、搬送物を回転させて搬送姿勢を変更する回転位置が設定され、搬送物の底面に吸着して搬送物を保持する吸着部を回転位置において縦軸心周りに回転自在にかつ昇降自在に設けて姿勢変更手段を構成している。そして、吸着部を下降位置に下降させた状態で回転位置に搬送物を搬送させて停止させた後、吸着部を上昇位置に上昇させて吸着部にて搬送物を吸着保持させ、この状態で吸着部を縦軸心周りに設定角度回転させることで、搬送物を回転させて搬送姿勢を変更する。そして、搬送物の回転が完了した後、吸着部による吸着保持を解除するとともに、吸着部を下降位置に下降させてから搬送物の搬送を再開するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−145651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、搬送物を搬送方向で一定の回転位置に停止させた状態で吸着部にて吸着保持して回転させて姿勢を変更するので、姿勢変更に要する時間を短縮しようとして吸着部の回転速度を速くすると、回転速度の加速時及び減速時に搬送物の回転中心に生じる慣性トルクが吸着部の吸着保持力より大きくなって、吸着部による搬送物の保持が外れてしまい搬送物の回転を制御できなくなるおそれがある。そのため、吸着部を低速で回転させる必要があり、搬送物の姿勢変更に時間を要していた。また、姿勢変更手段により搬送物を回転させている間は、搬送物は回転位置に停止したままであるので、搬送手段による搬送物の搬送方向に沿う移動が滞ってしまう。このように、姿勢変更手段を設けて搬送物の姿勢を変更できるようにすると搬送装置としての搬送能力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬送物の姿勢を変更できるものでありながら、搬送能力の高い搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る搬送装置の第1特徴構成は、搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に対して搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置において、
前記姿勢変更手段が、非接触状態で支持された搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持自在な保持部と、前記保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、前記保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えて構成され、前記制御手段が、非接触状態で支持された状態の搬送物を保持位置において前記保持部により保持し、前記移動手段により前記保持部を移動させて搬送方向に沿って前記保持位置より下流側の保持解除位置まで非接触状態で支持された状態の搬送物を搬送する間に、前記移動手段により前記保持部を移動させながら前記回転手段により前記保持部を回転させて保持している搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、前記保持解除位置にて搬送物の保持を解除するべく、前記保持部の保持作動、前記移動手段の移動作動、及び、前記回転手段の回転作動を制御するように構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、制御手段により搬送手段が制御されることで、搬送物は、送風式支持手段に非接触状態で支持された状態で推進力付与手段による推進力にて搬送方向に搬送される。搬送装置は姿勢変更手段を備えており、この姿勢変更手段は、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持する保持部と、保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えている。そして、制御手段が姿勢変更手段の作動を制御することで、保持位置において搬送物の平面視での複数の端部に対して保持部を係合させることにより搬送物を保持部に保持させ、回転手段及び移動手段より、搬送物を係合保持している保持部を移動させながら回転させて、搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させることができる。
【0010】
このように、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持している保持部を回転することで保持された搬送物を縦軸心周りに回転させることができるので、保持部の回転速度を速くしても保持部から搬送物が外れ難く、保持部にて確実に保持した状態で搬送物を高速で回転させることができる。そのため、搬送物の姿勢変更を短時間で行うことができる。
【0011】
しかも、制御手段は、回転手段と移動手段を制御して、保持部を回転させながら搬送方向に沿って移動させるので、搬送物は、保持位置にて保持部に保持された後、回転しながら搬送方向に移動して、保持解除位置にて保持部による保持が解除されることになる。つまり、搬送物の搬送姿勢が変更される間も搬送手段による搬送方向での移動が滞ることがなく、搬送物は、搬送姿勢が変更されている間も搬送方向に沿って移動されることになるので、搬送装置としての搬送能力が高いものとなる。
【0012】
このように、搬送物の姿勢を変更できるものでありながら、搬送能力の高い搬送装置を得るに至った。
【0013】
本発明に係る搬送装置の第2特徴構成は、前記保持部が、前記搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と前記端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部を備え、この係合作用部が前記係合姿勢になると搬送物を保持し、前記解除姿勢になると搬送物を解放するように構成され、前記制御手段が、前記保持位置及び前記保持解除位置において前記係合作用部の姿勢切換作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、搬送物の平面視での複数の端部に対して係合する複数の係合作用部を横軸心周りに揺動させることにより係合姿勢と解除姿勢とにその姿勢を切り換えることで、搬送物の保持と保持解除の動作を行うことができる。そのため、保持部の一部分である複数の係合作用部の姿勢を変更させるだけで済むので、保持部全体を昇降させる等の大掛かりな動作を伴うことなく、簡素な構成でかつ短時間で搬送物の保持及び保持解除を行うことができる。したがって、姿勢変更手段のコンパクト化を図ることができるとともに、保持部による搬送物の保持や保持解除を比較的短時間で完了させることができる。例えば、保持部による搬送物の保持や保持解除を、搬送物を停止させた状態で行う場合に、保持位置や保持解除位置での停止時間を極力短くでき、搬送能力の低下を抑制できる。
【0015】
本発明に係る搬送装置の第3特徴構成は、前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、前記保持位置よりも上流側に設定された導入位置から前記保持位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段が設けられ、前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部の前記保持位置から前記保持解除位置への移動を開始させた後、前記非保持状態の保持部の前記保持位置への復帰移動を終了させるまでに、後続する搬送物を前記保持位置に搬送するべく、前記導入搬送手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、保持位置よりも上流側に設定された導入位置から保持位置まで搬送物を搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段を備えることで、搬送物を保持している保持状態の保持部を保持位置から保持解除位置へ移動させ始めた後、搬送物を保持していない非保持状態の保持部を復帰移動させて保持位置に位置させるまでに、導入搬送手段により後続する搬送物を保持位置に搬送しておくことができる。
【0017】
つまり、複数の搬送物を順次搬送する場合に、保持部が、先行する搬送物を保持した状態で保持位置から下流側の保持解除位置に移動した後、搬送物を保持していない状態で再び保持位置に戻ってくる間に、導入搬送手段により、後続する搬送物を保持位置に搬送しておくことで、保持部が非保持状態で保持位置に戻ってきたときに、次の保持対象の搬送物が保持位置に準備されている状態にすることができる。
【0018】
このように、導入位置から保持位置の間は導入搬送手段にて搬送して、保持位置から保持解除位置までは姿勢変更手段にて搬送するようにして搬送物を分担して搬送することで、搬送物を姿勢変更させながら効率よく搬送することができる。
【0019】
本発明に係る搬送装置の第4特徴構成は、前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持位置からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、保持部が保持位置からの移動を開始すると同時に又は略同時に保持部の回転が開始されるので、保持部が復帰移動して保持位置に位置したときに導入搬送手段によりすでに保持位置に搬送物が搬送されていれば、直ちに搬送物を保持して搬送物の搬送姿勢を回転させ始めることができる。したがって、搬送物の回転開始までに保持体が搬送方向に沿って移動する距離を極力短くできるので、姿勢変更手段を保持体の移動方向でコンパクトに構成できる。
【0021】
本発明に係る搬送装置の第5特徴構成は、前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、前記保持解除位置から前記保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段が設けられ、前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部が前記保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放させた後、後続の搬送物を保持している前記保持状態の保持部を前記保持解除位置に移動させるまでに、前記保持部から解放された搬送物を前記保持解除位置から搬送するべく、前記導出搬送手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、保持解除位置から保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段を備えることで、保持部が保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放した後、後続の搬送物を保持している保持部を保持解除位置に移動させるまでに、導出搬送手段により保持部から解放された搬送物を保持解除位置から搬送しておくことができる。
【0023】
つまり、複数の搬送物を順次搬送する場合に、保持部が、先行する搬送物を保持解除位置で開放した後、後続する次の搬送物を保持した状態で再び保持解除位置に戻ってくる間に、導出搬送手段により、先行する搬送物を導出位置に搬送しておくことで、保持部が保持解除位置に戻ってきたときに、先に開放した搬送物が保持解除位置から導出されて保持解除位置が空き状態となるように準備しておくことができる。
【0024】
このように、保持位置から保持解除位置の間は姿勢変更手段にて搬送して、保持解除位置から導出位置までは導出搬送手段にて搬送するようにして搬送物を分担して搬送することで、搬送物を姿勢変更させながら効率よく搬送することができる。
【0025】
本発明に係る搬送装置の第6特徴構成は、前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持解除位置までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、保持部が保持解除位置までの移動を終了すると同時に又は略同時に保持部の回転が終了されるので、導出搬送手段に保持解除位置から導出位置までの搬送を担せることで、保持部が保持解除位置に移動した後は、直ちに保持解除位置で搬送物を解放して、後続の搬送物を保持するべく保持位置に復帰移動することができる。したがって、搬送物の回転が終了した後に保持体が搬送方向に沿って移動する距離を極力短くできるので、姿勢変更手段を保持体の移動方向でコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】搬送装置の全体平面図
【図2】搬送装置の全体側面図
【図3】搬送ユニットの斜視図
【図4】搬送ユニットの縦断断面図
【図5】姿勢変更モジュールの縦断断面図
【図6】姿勢変更手段の模式図
【図7】回転アームの端部拡大図
【図8】導入コンベヤの側面図
【図9】制御装置の制御ブロック図
【図10】制御装置の制御動作のフローチャート
【図11】搬送装置の搬送作用図
【図12】搬送装置の搬送作用図
【図13】搬送装置における各装置の動作タイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る搬送装置の実施形態について、搬送物として液晶ディスプレイ用のガラス基板Wを搬送する搬送装置1を例に図面に基づいて説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、搬送装置1は、それぞれの搬送方向が同一方向となるように直線状に並べて配置された上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3と、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3の間に配置された姿勢変更モジュール4とを備え、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4の作動を制御する制御装置Hを備えて構成されている。
【0030】
搬送装置1は、図1及び図2で左から右に向かう方向を搬送方向として直線状の搬送経路に沿って上流側から下流側に複数のガラス基板Wを順次搬送し、直線状の搬送経路途中においてガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させてガラス基板Wの搬送姿勢を上流側コンベヤ2における上流側姿勢から下流側コンベヤ3における下流側姿勢に変更できるようになっている。本実施形態では、上流側コンベヤ2はガラス基板Wをその短手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送し、下流側コンベヤ3はガラス基板Wをその長手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送する。
【0031】
上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4により、送風式支持手段10及び推進力付与手段11を備えた搬送手段Dが構成されている。また、制御装置Hが、搬送手段Dの作動を制御する制御手段として機能する。以下、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに姿勢変更モジュール4について具体的に説明する。
【0032】
上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3のそれぞれは、架台5上に設置される複数の搬送ユニット6を搬送方向に沿って並ぶ状態で配置して隣接するもの同士を互いに接続して構成されている。上流側コンベヤ2の搬送ユニット6aと下流側コンベヤ3の搬送ユニット6bとは、左右方向(図1における紙面上下方向)の長さが異なる以外は基本的な構成は同じであるから、上流側コンベヤ2を構成する搬送ユニット6aを例に搬送ユニット6について説明し、下流側コンベヤ3を構成する搬送ユニット6bについては説明を省略する。
【0033】
搬送ユニット6aは、図3及び図4に示すように、上面カバー7及び支持枠8からなるケース体9に送風式支持手段10a及び推進力付与手段11aを備えて構成されている。
【0034】
搬送ユニット6aの送風式支持手段10aは、ガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する複数個のファンフィルタユニット12と、多数の通気孔13aが形成されてファンフィルタユニット12に載置支持されてガラス基板Wの下面に供給される清浄空気の整風を行う整風板13とを備えて構成されている。ファンフィルタユニット12は、支持枠8に連結固定されており、塵埃を除去する除塵フィルタ14と、その除塵フィルタ14を通してガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する電動式の送風ファン15とを一体的に組み付けて構成されている。送風式支持手段10aは、ファンフィルタユニット12を前後方向に隣接させて2つ並べ、左右方向に間隔を隔てて2つ並べた計4つのファンフィルタユニット12を備えている。また、姿勢変更モジュール4に上流側で隣接する搬送ユニット6aの送風式支持手段10aの整風板13の下流側部分には、後述する導入コンベヤ29が送風式支持手段10aより上方に突出可能なように導入コンベヤ用スリット13bが搬送方向に沿って形成されている。
【0035】
搬送ユニット6aの推進力付与手段11aは、左右方向での両端部分において搬送方向に沿って並べて配置され、送風式支持手段10aにて非接触状態で支持されたガラス基板Wの左右両端部の下面に接触してガラス基板Wに搬送方向の推進力を付与する複数の駆動ローラ16とこれらの駆動ローラ16を回転駆動させる駆動ローラ用モータM1(図9参照)を備えている。
【0036】
駆動ローラ16及び駆動ローラ用モータM1を支持するケース体9の支持枠8は、外部空気を導入する空気導入口17を下面に備えた底部プレート18と、支持枠8の左右方向の両側に搬送方向に沿って固定状態で備えた左右一対の収納フレーム19とを備えて構成されている。そして、上面カバー7が両側の収納フレーム19にわたって備えられている。左右一対の収納フレーム19の夫々には、駆動ローラ用モータM1及びこの駆動ローラ用モータM1の回転駆動力を複数の駆動ローラ16に分配する伝動軸20を備えた伝動機構が内装されている。なお、駆動ローラ16には、ガラス基板Wの左右方向の両端部の側面に接当して、ガラス基板Wの左右方向への移動を受け止める大径部16aが備えられている。
【0037】
次に、姿勢変更モジュール4の構成について説明する。図1、図2及び図5に示すように、姿勢変更モジュール4は、上面カバー21及び平面視が略矩形状の支持枠22からなるケース体23に送風式支持手段10b及び推進力付与手段11bを備えて構成されている。
【0038】
姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bは、搬送ユニット6の送風式支持手段10aと同様に構成されている。すなわち、図5にも示すように、ガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する複数個のファンフィルタユニット12と、多数の通気孔13aが形成されてファンフィルタユニット12に載置支持されてガラス基板Wの下面に供給される清浄空気の整風を行う整風板13とを備えて構成されている。ファンフィルタユニット12は、支持枠23に連結固定されており、塵埃を除去する除塵フィルタ14と、その除塵フィルタ14を通してガラス基板Wの下面に向けて清浄空気を供給する電動式の送風ファン15とを一体的に組み付けて構成されている。
【0039】
姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bは、支持枠22に載置支持された複数のファンフィルタユニット12を前後方向に隣接する状態で備えているが、左右方向に並べる個数は上流側から下流側に向かって2個、3個、2個と搬送方向で異なっている。上流側の端部に配列される2つのファンフィルタユニット12と、下流側の端部に配列される2つのファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢は同じであり、これらのファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢は、搬送方向で中間に位置する3個のファンフィルタユニット12の大きさ及び姿勢とは異なっている。また、後述する導入コンベヤ29が送風式支持手段10bより上方に突出可能なように姿勢変更モジュール4の送風式支持手段10bにおける整風板13の上流側部分には、姿勢変更モジュール4に上流側で隣接する搬送ユニット6aの送風式支持手段10aの整風板13に形成された導入コンベヤ用スリット13bに連続するように、導入コンベヤ用スリット13cが形成されている(図1参照)。
【0040】
姿勢変更モジュール4は、ガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させる姿勢変更手段24を備えており、姿勢変更モジュール4の推進力付与手段11bは、この姿勢変更手段24にて兼用されている。
【0041】
図2、図5及び図6に示すように、姿勢変更手段24は、送風式支持手段10bにて非接触状態で支持されたガラス基板Wの平面視での複数の端部に対して係合することによりガラス基板Wを保持自在な保持部としての回転アーム25と、回転アーム25を縦軸心X1周りに回転させる回転手段としての回転部26と、回転アーム25を搬送方向に沿って移動させる移動手段としてのスライド部27とを備えている。
【0042】
図5、図6及び図7に示すように、回転アーム25は、送風式支持手段10bにて非接触状態で支持されるガラス基板Wの高さよりも上方側に配置されており、その両端部には、ガラス基板Wの平面視での一対の端部に対して係合する係合姿勢とこれらの端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心Y1周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部として、一対のチャック部28を備えている。この一対のチャック部28が係合姿勢になるとガラス基板Wを保持し、解除姿勢になるとガラス基板Wを解放するように構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、一対のチャック部28の姿勢を切り換え駆動するチャック用モータM2(図9参照)が、回転アーム25の両端部に内装されている。
【0043】
回転アーム25は、平面視で矩形状のガラス基板Wの短辺の長さに対応した長さの長尺状の中空部材にて構成され、両端に設けられた一対のチャック部28のそれぞれが、ガラス基板Wの長辺の略中央部分に係合することでガラス基板Wを保持するようになっている。一対のチャック部28の夫々は、横軸心Y1方向に並ぶ2個の当接片28a・28bを備えており、ガラス基板Wの長辺の略中央部分に対して、2個の当接片28a・28bが2箇所で当接することで、一対のチャック部28が係合姿勢であると、回転アーム25に対するガラス基板Wの相対回転が規制される。なお、一対のチャック部28における当接片28a・28bの当接面にウレタンゴム等の弾性部材を設けて、ガラス基板Wと一対のチャック部28とが弾性接触できるようにしている。
【0044】
回転部26は、回転アーム25を正逆双方向に回転駆動する回転用モータM3(図9参照)及び回転用モータM3の回転駆動量を検出することで回転アーム25の回転位置を検出する回転位置検出手段としての回転位置検出用ロータリエンコーダRE1(図9参照)を備えている。
【0045】
スライド部27は、支持枠22が備える前後一対の支持フレーム22aにより複数箇所が支持された状態で搬送方向に沿って設けられたガイドレール27aと、このガイドレール27aに案内されて、ガラス基板Wを保持位置P3(図11(b)参照)に位置させる後退限とガラス基板Wを保持解除位置P4(図12(d)参照)に位置させる前進限との間で往復移動自在に設けられたスライドブロック27bと、スライドブロック27bを搬送方向で上流から下流に向けて前進駆動させ、かつ、搬送方向で下流から上流に向けて後退駆動させる移動用モータM4(図9参照)を備えている。また、ガイドレール27aの前後両端部には、後退限のスライドブロック27bに検出作用する保持位置検出用センサS3(図9参照)、及び、前進限のスライドブロック27bに検出作用する保持解除位置検出用センサS4(図9参照)が設けられている。
【0046】
保持位置P3では、制御装置Hにより回転アーム25の一対のチャック部28が解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更されガラス基板Wが回転アーム25にて保持される。また、保持解除位置P4では、制御装置Hにより回転アーム25の一対のチャック部28が保持姿勢から解除姿勢に姿勢変更されガラス基板Wが回転アーム25から解放される。つまり、制御装置Hは、保持位置P3及び保持解除位置P4において一対のチャック部28の姿勢切換作動を制御するように構成されている。
【0047】
姿勢変更手段24は、一対のチャック部28をガラス基板Wに係合する係合姿勢に切り換えた状態で回転部26にて回転アーム25を縦軸心X1周りに回転させながらスライド部27にて回転部26を搬送方向に沿ったガイドレール27aに沿って移動させることで、ガラス基板Wを縦軸心X1周りに回転させながら、ガラス基板Wに対して搬送方向の推進力を付与して搬送方向に搬送する。
【0048】
このように、姿勢変更モジュール4は、推進力付与手段11bを兼用する姿勢変更手段24を備えており、ガラス基板Wの姿勢変更機能に加えてガラス基板Wに対して接触して搬送方向への推進力を付与する機能を有している。姿勢変更モジュール4による搬送方向となる回転アーム25の回転縦軸心X1の移動方向は、上流側コンベヤ1及び下流側コンベヤ2の搬送方向と一致しており、図1及び図2において左から右に沿う方向となっている。
【0049】
搬送装置1には、図1、図4、図5及び図11に示すように、保持位置P3よりも上流側に設定された導入位置P2から保持位置P3までガラス基板Wを搬送方向に沿ってガラス基板Wの搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段として導入コンベヤ29が設けられている。導入コンベヤ29により搬送されるガラス基板Wの搬送下流側の端部を受け止める左右一対のストッパ40が姿勢変更モジュール4に設けられている。
【0050】
一対のストッパ40は、図1に示すように、姿勢変更モジュール4の搬送方向で中間位置において左右方向に3つ並ぶファンフィルタユニット12の間に形成される2個の隙間の夫々に1個ずつ配置されている。一対のストッパ40は、ストッパ昇降用モータM9(図9参照)を正逆に回転作動させることにより、導入コンベヤ29にて保持位置P3まで搬送されたガラス基板Wの搬送下流側の端辺の2箇所に当接して、ガラス基板Wを上流側姿勢に維持しながらガラス基板Wの搬送方向下流側への移動を規制する上昇位置と、ガラス基板Wの搬送方向下流側への移動を許容する下降位置とに、切り換え自在に構成されている(図11及び図12参照)。
【0051】
また、搬送装置1には、図1に示すように、保持解除位置P4からその保持解除位置P4よりも下流側に設定された導出位置P5までガラス基板Wを搬送方向に沿ってガラス基板Wの搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段としての導出コンベヤ30が設けられている。導入コンベヤ29及び導出コンベヤ30は配置位置が異なるものの基本的な構成は同様であるので、導入コンベヤ29を例に具体的に説明する。
【0052】
導入コンベヤ29は、図1、図4、図5及び図8に示すように、上流側姿勢(導出コンベヤ30の場合は下流側姿勢)のガラス基板Wにおける左右方向の中央部を接触支持する導入側ベルト式推進力付与部31を備えている。この導入側ベルト式推進力付与部31は、図4及び図5に示すように、ファンフィルタユニット12を左右方向に2つ並べることにより左右方向で中間位置に形成される前後方向に細長の隙間Gに設けられている。
【0053】
導入側ベルト式推進力付与手段31は、図8に示すように、搬送方向の上流側に位置して導入コンベヤ駆動用モータM5によって回転する駆動輪32と、搬送方向の上流側に位置する回転自在な従動輪33と、これら駆動輪32と従動輪33とに亘って巻回し、ガラス基板Wの下面を接触支持して推進力を付与するタイミングベルト34と、タイミングベルト34における送り経路部分を内周面側から支持する内支持輪35と、これらを支持する支持枠36とから構成されている。そして、図8に示すように、支持枠36には、導入側ベルト式推進力付与部31を昇降操作するための導入コンベヤ昇降用モータM6が前後一対設けられており、各導入コンベヤ昇降用モータM6の出力ギヤ37と、ファンフィルタユニット12の側面に形成されたラック38とが噛み合わされている。
【0054】
一対の導入コンベヤ昇降用モータM6を同期した状態で正逆方向に駆動回転させることによって、導入側ベルト式推進力付与部31は、タイミングベルト34の上側経路部分の外周面が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4が備える整風板13よりも上方に位置してガラス基板Wの下面に接触自在な上昇位置と、タイミングベルト34の上側経路部分の外周面が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4が備える整風板13よりも下方に位置してガラス基板Wの下面に接触しない下降位置とに上下昇降自在に構成されている。ベルト式推進力付与部31が上下昇降する際には、タイミングベルト34の上側経路部分が上流側コンベヤ2及び姿勢変更モジュール4がそれぞれ備える整風板13に連続する状態で形成されたスリット13b・13cを通過することになる。
【0055】
導出コンベヤ30は、導出コンベヤ駆動用モータM7及び一対の導出コンベヤ昇降用モータM8を備えている(図9参照)。導出コンベヤ駆動用モータM7を回転駆動させることにより、導出側ベルト式推進力付与手段39のタイミングベルトが巻回作動し、導入コンベヤ昇降用モータM8を同期した状態で正逆方向に駆動回転させることにより、導出側ベルト式推進力付与手段39が昇降作動する。
【0056】
次に、搬送装置1の制御構成について説明する。図9に示すように、搬送装置1の作動を制御する制御装置Hには、上流側コンベヤ2、導入コンベヤ29、姿勢変更モジュール4、導出コンベヤ30及び下流側コンベヤ3が備える各電動モータやファンフィルタユニット12や各種センサ類が接続されている。
【0057】
制御装置Hには、上流側コンベヤ2の最下流の搬送ユニット6aにおける準備位置用在荷センサS1、各搬送ユニット6aにおける複数の駆動ローラ用モータM1及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。上流側コンベヤ2の準備位置用在荷センサS1は、上流側コンベヤ2の搬送方向で下流側の端部に設定された準備位置P1(図11(a)参照)までガラス基板Wが搬送されたことを検出する光学式センサである。
【0058】
同様に、制御装置Hには、下流側コンベヤ3の最上流の搬送ユニット6bにおける完了位置用在荷センサS2、各搬送ユニット6bにおける複数の駆動ローラ用モータM1及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。下流側コンベヤ3の完了位置用在荷センサS2は、下流側コンベヤ3の搬送方向で上流側の端部に設定された完了位置P6(図12(e)参照)までガラス基板Wが搬送されたことを検出する光学式センサである。
【0059】
制御装置Hには、姿勢変更モジュール4の姿勢変更手段24における一対のチャック用モータM2、回転用モータM3、移動用モータM4、回転位置検出用ロータリエンコーダRE1、一対のストッパ昇降用モータM9及び複数のファンフィルタユニット12が接続されている。
【0060】
制御装置Hには、導入コンベヤ29の導入コンベヤ駆動用モータM5及び一対の導入コンベヤ昇降用モータM6が接続されている。同様に、制御装置Hには、導出コンベヤ30の導出コンベヤ駆動用モータM7及び一対の導出コンベヤ昇降用モータM8が接続されている。
【0061】
制御装置Hは、非接触状態で支持された状態のガラス基板Wを保持位置P3にて回転アーム25にて保持し、スライド部27により回転アーム25を移動させて搬送方向に沿って保持位置P3より下流側の保持解除位置P4まで非接触状態で支持された状態のガラス基板Wを搬送する間に、スライド部27により回転アーム25を移動させながら回転部26により回転アーム25を回転させて保持しているガラス基板Wの搬送姿勢を縦軸心X1周りに90度回転させ、保持解除位置P4にてガラス基板Wの保持を解除するべく、回転アーム25の保持作動、スライド部27の移動作動、及び、回転部26の回転作動を制御する。
【0062】
制御装置Hは、ガラス基板Wを保持している保持状態の回転アーム25を保持位置P3から保持解除位置P4へ移動させた後、ガラス基板Wを保持していない非保持状態の回転アーム25を保持位置P3に復帰移動させるべく、回転アーム25の保持作動、スライド部27の移動作動、及び、回転部26の回転作動を繰り返し制御する。
【0063】
制御装置Hは、保持状態の回転アーム25の回転と保持状態の回転アーム25の保持位置P3からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、回転部26及びスライド部27の作動を制御するとともに、保持状態の回転アーム25の保持位置P3から保持解除位置P4への移動を開始させた後、非保持状態の回転アーム25の保持位置P3への復帰移動を終了させるまでに、後続するガラス基板Wを保持位置P3に搬送するべく、導入コンベヤ29の作動を制御する。
【0064】
制御装置Hは、保持状態の回転アーム25の回転と保持状態の回転アーム25の保持解除位置P4までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、回転部26及びスライド部27の作動を制御するとともに、保持状態の回転アーム25が保持解除位置P4に位置した状態で保持しているガラス基板Wを解放させた後、後続のガラス基板Wを保持している保持状態の回転アーム25を保持解除位置P4に移動させるまでに、回転アーム25から解放されたガラス基板Wを保持解除位置P4から搬送するべく、導出コンベヤ30の作動を制御する。
【0065】
制御装置Hの制御動作について図10のフローチャートと図11及び図12の動作図に基づき説明する。図10のフローチャートは、上流側コンベヤ2により準備位置P1まで搬送されてきたガラス基板Wが準備位置P1から完了位置P6まで搬送方向に搬送されながら姿勢変更されるまでの間に発生する上流側コンベヤ2、下流側コンベヤ3、姿勢変更モジュール4、導入コンベヤ29、導出コンベヤ30の動作を示している。
【0066】
なお、図10に示す左右3列のステップ群のうち、左列のステップ群は上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3並びに導入コンベヤ29及び導出コンベヤ30の動作を示し、中央列のステップ群は姿勢変更手段24の動作を示し、右列のステップ群はストッパ40の動作を示している。
【0067】
まず、ステップ#1〜ステップ#4で、準備位置用在荷センサS1にて準備位置P1にガラス基板Wが搬送されたことが検出されると、準備位置P1に位置するガラス基板Wを上流側コンベヤ2の最下流の搬送ユニット6aにて導入位置P2まで上流側姿勢で搬送する(図11(a)参照)。この間に、ステップ#2で、下降位置に位置している導入コンベヤ29の上昇を開始させ、ステップ#3で導入コンベヤ29の搬送作動を開始させる。これにより、上流側コンベア2により導入位置P2に搬送されたガラス基板Wは、直ちに導入コンベア29に引き継がれて保持位置P3へ向けて搬送される。なお、導入コンベヤ29を上昇位置に切り換える前に搬送作動を開始させておいてもよい。
【0068】
保持位置P3へ搬送されるガラス基板Wは、上流側部分の左右両端部が上流側コンベヤ2の下流端部で案内されながら導入コンベヤ29にて左右方向の中央部に対して搬送方向に沿う向きの推進力が付与されるため、保持位置P3まで搬送される直前までその姿勢が上流側姿勢に維持された状態で搬送される。そして、姿勢変更モジュール4が備える左右一対のストッパ40にガラス基板Wの上流側の単辺の2箇所が受け止められることで、ガラス基板Wは、保持位置P3に位置決めされる(図11(b)参照)。
【0069】
ステップ#5で、導入コンベア29の搬送作動が停止された後、ステップ#6で導入コンベア29が下降位置に切り換えられ、ステップ#7でチャック部28が解除姿勢から係合姿勢に切り換えられ、ステップ#8で一対のストッパ40が下降位置に切り換えられる。
【0070】
ステップ#9で姿勢変更手段24によるガラス基板Wの姿勢変更と搬送方向に沿う移動が開始される。すなわち、回転アーム25の縦軸心X1周りの正方向(右回り)の回転と搬送方向下流側への移動とが同時に開始される。これにより、対向する長辺の夫々に対してチャック部28が係合することで回転アーム25に確実に保持されたガラス基板Wは、縦軸心X1周りに回転することで上流側姿勢から下流側姿勢に姿勢が変更されながら、搬送方向に沿って保持解除位置P4まで移動される(図11(c)参照)。
【0071】
ガラス基板Wが保持解除位置P4に接近又は到着すると、ステップ#10で導出コンベヤ30が下降位置から上昇位置に切り換えられ、導出コンベヤ30が準備される。そして、ステップ#11で姿勢変更手段24によるガラス基板Wの姿勢変更と搬送方向に沿う移動が終了される。すなわち、回転アーム25の縦軸心X1周りの正方向(右回り)の回転と搬送方向下流側への移動とが同時に終了される。
【0072】
回転アーム25の回転作動及び移動作動の停止制御は、回転アーム25の回転位置を検出する回転位置検出用ロータリエンコーダRE1並びに保持位置検出用センサS3及び保持解除位置検出用センサS4の検出情報に基づいてフィードバック制御される。
【0073】
このように、回転アーム25の回転作動と移動作動は同時又は略同時に開始され同時又は略同時に終了される。つまり、回転アーム25の回転速度と移動速度とは、回転部26が回転アーム25を90度回転させるときの所要時間と、スライド部27が回転アーム25を保持位置P3から保持解除位置P4まで移動させるときの所要時間とが略一致する関係となっている。
【0074】
回転アーム25の回転作動及び移動作動が停止すると、ステップ#12でチャック部28が係合姿勢から解除姿勢に切り換えられ、ガラス基板Wは保持解除位置P4で解放される。そして、ステップ#13で上昇位置にある導出コンベヤ30の搬送作動が開始され、ガラス基板Wは下流側姿勢を維持したまま保持解除位置P4から導出位置P5まで搬送される(図12(d)参照)。これにより、姿勢変更手段24により保持解除位置P4に搬送されたガラス基板Wは、直ちに導出コンベア30に引き継がれて導出位置P5へ向けて搬送される。なお、導出コンベヤ30を上昇位置に切り換える前に搬送作動を開始させておいてもよい
【0075】
搬送対象のガラス基板Wを保持解除位置P4まで保持していた回転アーム25は、ステップ#12でチャック部28が解除姿勢に切り換えられると、搬送対象のガラス基板Wを保持解除位置P4から導出位置P5に導出コンベヤ30にて搬送している間に、後続するガラス基板Wの搬送のために、ステップ#15〜ステップ#16にて保持位置P3まで後退させ、かつ、保持位置P3用の回転位置まで逆回転させて、保持位置P3にて後続するガラス基板Wを保持できる状態に復帰させておく(図12(d)(e)参照)。
【0076】
また、ガラス基板Wを保持位置P3にて位置決めする一対のストッパ40は、搬送対象のガラス基板Wが、ステップ#9〜ステップ#10において回転アーム25が前進及び正回転して下降位置の一対のストッパ40の上方を通過した後にステップ#14で上昇位置に復帰させておく。これにより、回転アーム25の保持位置P3への復帰移動及び逆回転が終了する前に、後続する次の搬送対象のガラス基板Wを準備位置P1から先行して搬送しておき、予め導入位置P3に上流側姿勢で待機させておくことができる(図12(e)参照)。
【0077】
導出位置P5へ搬送されるガラス基板Wは、下流側部分の左右両端部が下流側コンベヤ3の上流端部で案内されながら導出コンベヤ30にて左右方向の中央部に対して搬送方向に沿う向きの推進力が付与されるため、その姿勢が下流側姿勢に維持された状態で搬送される(図12(d)参照)。
【0078】
ガラス基板Wが導出位置P5まで搬送されると、ステップ#18で導出コンベヤ30の搬送作動が停止され、ステップ#19で導出コンベヤ30が下降位置に切り換えられる。そして、導出位置P5まで搬送されたガラス基板Wは、ステップ#17〜ステップ#20において下流側コンベヤ3により完了位置P6まで下流側姿勢にて搬送される(図12(e)参照)。
【0079】
以上説明した制御装置Hの制御動作によれば、導入コンベヤ29、姿勢変更モジュール4及び導出コンベヤ30が、ガラス基板Wを導入位置P2から導出位置P5まで分担して搬送することで、先行するガラス基板Wを搬送しながら後続のガラス基板Wをも搬送することが可能となっている。具体的には、図13に示すように、姿勢変更モジュール24の回転アーム25が保持位置P3で搬送対象のガラス基板Wを保持して保持位置P3から移動している間に、上流側コンベヤ2により準備位置P1から導入位置P2へ後続のガラス基板Wを搬送し、回転アーム25が保持位置P3に復帰するまでに、導入コンベヤ29にて保持位置P3に後続のガラス基板を搬送して準備しておくことができる。
【0080】
これにより、図13のタイミングチャートに示すように、1枚のガラス基板Wを準備位置P1から完了位置P6まで搬送する場合の所要時間に対して、ガラス基板Wについての準備位置P1からの搬送が開始されてから、後続する次のガラス基板Wについての準備位置P1からの搬送が開始されるまでのタクトタイムを短くすることができる。例えば、図13のタイミングチャートにおいて1マスを2秒とした場合、1枚のガラス基板Wについての搬送所要時間は33秒であるのに対して、タクトタイムはおよそ17秒となる。このように、複数のガラス基板Wを準備位置P1から姿勢変更させながら搬送方向に沿って順次搬送するときの搬送効率が向上する。
【0081】
〔別実施形態〕
【0082】
(1)回転アーム25の移動作動の停止制御については、ガイドレール27aの前後両端部に保持位置検出用センサS3及び保持解除位置検出用センサS4を設けて、これらのセンサの検出情報に基づいてフィードバック制御するものを例示したが、これに限らず、スライド部27の移動開始位置(例えば、後退限)からの移動量を検出することで回転アーム25の搬送方向における位置又はガイドレール27aにおける位置を検出する移動位置検出手段を設けて、この移動位置検出手段の検出情報に基づいてフィードバック制御してもよい。また、回転位置検出用ロータリエンコーダRE1の検出情報に基づいて、回転アーム25の移動作動をフィードバック制御してもよい。この場合、回転部26とスライドブロック27bとを連動連結して、スライド部27による回転アーム25の移動作動と回転部26による回転アーム25の回転作動とを連動させることが好ましい。
【0083】
(2)導入コンベヤ29の搬送作動の停止制御は、図10のステップ#3で導入コンベア29の搬送作動を開始してから設定時間経過後に停止するようにフィードフォワード制御してもよいし、保持位置P3にガラス基板Wが搬送されたことを検出する保持位置用在荷センサを設けて、この保持位置用在荷センサの検出情報に基づいて搬送作動を停止するようにフィードバック制御してもよい。
【0084】
(3)上記実施形態では、導入位置P2から保持位置P3までガラス基板Wを導入コンベヤ29にて搬送するものを例示したが、導入コンベヤ29を設けずに、回転アーム25の搬送方向の移動範囲を上流側に延長し、保持位置を上記実施形態における導入位置P2に相当する位置に設定して、制御装置Hにて、上記実施形態における導入位置P2に相当する位置にてガラス基板Wを保持し、その後、回転アーム25を回転させずに搬送方向下流側に設定量移動させた後に回転アーム25の回転を開始するように回転部26及び移動部27並びにチャック部28の作動を制御してもよい。
【0085】
(4)上記実施形態では、保持解除位置P4から導出位置P5までガラス基板Wを導出コンベヤ30にて搬送するものを例示したが、導出コンベヤ30を設けずに、回転アーム25の搬送方向の移動範囲を下流側に延長し、保持解除位置を上記実施形態における導出位置P5に相当する位置に設定して、制御装置Hにて、ガラス基板Wを保持している回転アーム25を上記実施形態における保持解除位置P4に相当する位置から回転させずに搬送方向下流側に設定量移動させて上記実施形態における導出位置P5に相当する位置にてガラス基板Wの保持を解除するように回転部26及び移動部27並びにチャック部28の作動を制御してもよい。
【0086】
(5)上記実施形態では、導入搬送手段及び導出搬送手段が、昇降自在なベルトコンベヤにて構成されたものを例示したが、これに限らず、搬送物の底面に吸着自在な吸着部を昇降自在にかつ搬送方向に移動自在に設けて構成してもよい。また、搬送物の底面における上流側端部に係合する突起を往復移動自在にかつ昇降自在に備えて構成してもよい。
さらに、搬送物の底面における上流側端部に係合する突起を、無端ベルトの巻回外方側に突出する状態で備えた突起付きベルトを備えて構成してもよい。送風式支持手段にて非接触状態で支持されている搬送物の底面よりも下方に突起付きベルトの巻回経路を配置して、突起が上部側巻回部分に位置するときに送風式支持手段にて非接触状態で支持されている搬送物の底面よりも上方に突出する高さに位置するように構成しておけば、突起付きベルトを昇降自在に設けずに済む。この場合、突起を複数設けるには、巻回方向で隣り合う突起の巻回方向に沿う間隔を導入搬送手段の搬送距離よりも長く設定すればよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、導入搬送手段及び導出搬送手段が搬送される搬送物より下方に配置されたものを例示したが、これに代えて、導入搬送手段又は導出搬送手段を搬送される搬送物の上方に配置してもよい。
【0088】
(7)上記実施形態では、上流側コンベヤ2がガラス基板Wをその短手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送し、下流側コンベヤ3がその長手方向が搬送方向に沿う姿勢にて搬送するものを例示したが、これと逆の姿勢で搬送するものであってもよい。
【0089】
(8)上記実施形態では、保持部が、平面視矩形状の搬送物の対向する短辺に対して係合する2つの係合作用部を両端部に備えて、搬送物の短手方向に沿う姿勢にて搬送物を保持するものを例示したが、保持部の具体的構成がこれに限定されるものではない。例えば、3個以上の係合作用部を備えたものであってもよく、その一例としては、平面視矩形状の搬送物の四辺の夫々に係合する4つの係合作用部を備えたものであってもよい。
【0090】
(9)上記実施形態では、保持部の複数の係合作用部として、搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在なものを例示したが、保持部の複数の係合作用部として、その下端部が、送風式支持手段にて非接触状態で支持される搬送物の下面高さよりも下方に位置する状態で搬送物の端部に対して係合する係合高さと、その下端部が、送風式支持手段にて非接触状態で支持される搬送物の上面高さよりも上方に位置する状態で搬送物の端部に対する係合が解除される解除高さとに高さ切換自在なものでもよい。
【0091】
(10)
上記実施形態では、搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度として90度回転させて搬送姿勢を変更するものを例示したが、搬送物を回転させる角度は適宜変更可能である。
【0092】
(11)
上記実施形態では、搬送装置の搬送方向が一直線に沿うものを例示したが、例えば、姿勢変更手段よりも上流側の搬送部分と下流側の搬送部分とで搬送方向が異なるものであってもよい。この場合、姿勢変更手段における移動手段は、上流側搬送方向又は下流側搬送方向の何れかに沿って保持部を移動させるように構成すればよい。
【0093】
(12)上記実施形態では、送風式支持手段として、ファンフィルタユニットを縦横に複数配列して構成されたものを例示したが、送風式支持手段はファンフィルタユニットを用いずに構成してもよい。例えば、清浄空気を外部から供給する空気供給路を搬送装置に接続して、送風式支持手段が外部供給路から供給される清浄空気を搬送物の下面に向けて供給するものであってもよい。
【0094】
(13)上記実施形態では、上流側コンベヤ2及び下流側コンベヤ3における搬送ユニット6の推進力付与手段11aとして、複数のガイドローラを備えたものを例示したが、推進力付与手段11aとしては搬送ベルトを備えたもの等、種々変更が可能である。
【0095】
(14)上記実施形態では、姿勢変更手段の全体が搬送手段と平面視で重なる位置に配置されたものを例示したが、これに限らず、例えば、姿勢変更手段における移動手段の一部を搬送手段の横脇に配置する等、姿勢変更手段の一部を、平面視で搬送手段の存在領域から外れた位置に配置してもよい。このような配置とすることで、搬送装置における姿勢変更手段が設けられた箇所の上下高さを低く抑えることができる。
【0096】
具体的には、例えば、上記実施形態におけるガイドレール27aを姿勢変更モジュール4における横側部に配置して、ガイドレール27aから姿勢変更モジュール4の内方側に、水平面において搬送方向と直交する方向に沿って、延びる状態のスライドアームを、搬送方向に沿ってスライド移動自在に設けて、このスライドアームの先端部に回転アーム25を縦軸心周りに回転自在に設けて、姿勢変更手段24を構成してもよい。
【0097】
また、平面視で姿勢変更モジュール4の外部に位置する縦軸心周りに揺動自在な揺動アームを設けて、この揺動アームの揺動半径方向で外方側の部分(例えば、先端部分)に回転アーム25を縦軸心周りに回転自在(又は、縦軸心周りに回転自在かつ揺動アームに沿って移動自在)に設けて、姿勢変更手段24を構成してもよい。この場合、制御手段は、揺動アームの揺動作動(又は、揺動アームの揺動作動及び揺動アームに沿う回転アーム25の移動作動)を制御するように構成すればよい。
【符号の説明】
【0098】
2、3、4 搬送手段
10 送風式支持手段
11 推進力付与手段
24 姿勢変更手段
25 保持部
26 回転手段
27 移動手段
28 係合作用部
29 導入搬送手段
30 導出搬送手段
X1 縦軸心
Y1 横軸心
D 搬送手段
H 制御手段
W 搬送物
P2 導入位置
P3 保持位置
P4 保持解除位置
P5 導出位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に対して搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、
前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、
前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置であって、
前記姿勢変更手段が、非接触状態で支持された搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持自在な保持部と、前記保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、前記保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、非接触状態で支持された状態の搬送物を保持位置において前記保持部により保持し、前記移動手段により前記保持部を移動させて搬送方向に沿って前記保持位置より下流側の保持解除位置まで非接触状態で支持された状態の搬送物を搬送する間に、前記移動手段により前記保持部を移動させながら前記回転手段により前記保持部を回転させて保持している搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、前記保持解除位置にて搬送物の保持を解除するべく、前記保持部の保持作動、前記移動手段の移動作動、及び、前記回転手段の回転作動を制御するように構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記保持部が、前記搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と前記端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部を備えて構成され、
前記制御手段が、前記保持位置及び前記保持解除位置において前記係合作用部の姿勢切換作動を制御するように構成されている請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、
前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、
前記保持位置よりも上流側に設定された導入位置から前記保持位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段が設けられ、
前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部の前記保持位置から前記保持解除位置への移動を開始させた後、前記非保持状態の保持部の前記保持位置への復帰移動を終了させるまでに、後続する搬送物を前記保持位置に搬送するべく、前記導入搬送手段の作動を制御するように構成されている請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持位置からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、
前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、
前記保持解除位置から前記保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段が設けられ、
前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部が前記保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放させた後、後続の搬送物を保持している前記保持状態の保持部を前記保持解除位置に移動させるまでに、前記保持部から解放された搬送物を前記保持解除位置から搬送するべく、前記導出搬送手段の作動を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか1項記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持解除位置までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている請求項5記載の搬送装置。
【請求項1】
搬送物の下面に向けて空気を供給して水平姿勢又は略水平姿勢で搬送物を非接触状態で支持する送風式支持手段及び前記送風式支持手段にて支持された搬送物に対して搬送方向の推進力を付与する推進力付与手段を備える搬送手段と、
前記搬送手段にて搬送される搬送物を縦軸心周りに回転させて搬送物の搬送姿勢を変更する姿勢変更手段と、
前記搬送手段及び前記姿勢変更手段の作動を制御する制御手段とが設けられた搬送装置であって、
前記姿勢変更手段が、非接触状態で支持された搬送物の平面視での複数の端部に対して係合することにより搬送物を保持自在な保持部と、前記保持部を縦軸心周りに回転させる回転手段と、前記保持部を搬送方向に沿って移動させる移動手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、非接触状態で支持された状態の搬送物を保持位置において前記保持部により保持し、前記移動手段により前記保持部を移動させて搬送方向に沿って前記保持位置より下流側の保持解除位置まで非接触状態で支持された状態の搬送物を搬送する間に、前記移動手段により前記保持部を移動させながら前記回転手段により前記保持部を回転させて保持している搬送物の搬送姿勢を縦軸心周りに所定角度回転させ、前記保持解除位置にて搬送物の保持を解除するべく、前記保持部の保持作動、前記移動手段の移動作動、及び、前記回転手段の回転作動を制御するように構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記保持部が、前記搬送物の端部に対して係合する係合姿勢と前記端部に対する係合が解除される解除姿勢とに横軸心周りの揺動により姿勢切換自在な複数の係合作用部を備えて構成され、
前記制御手段が、前記保持位置及び前記保持解除位置において前記係合作用部の姿勢切換作動を制御するように構成されている請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、
前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、
前記保持位置よりも上流側に設定された導入位置から前記保持位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導入搬送手段が設けられ、
前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部の前記保持位置から前記保持解除位置への移動を開始させた後、前記非保持状態の保持部の前記保持位置への復帰移動を終了させるまでに、後続する搬送物を前記保持位置に搬送するべく、前記導入搬送手段の作動を制御するように構成されている請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持位置からの移動とを同時又は略同時に開始させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送手段が、複数の搬送物を順次搬送するように構成され、
前記移動手段が、前記保持部を前記保持位置と前記保持解除位置との間で前記搬送手段の搬送方向に沿って往復移動させるように構成され、
前記保持解除位置から前記保持解除位置よりも下流側に設定された導出位置まで搬送物を前記搬送手段の搬送方向に沿って搬送物の搬送姿勢を維持しながら搬送する導出搬送手段が設けられ、
前記制御手段が、搬送物を保持している保持状態の前記保持部を前記保持位置から前記保持解除位置へ移動させた後、搬送物を保持していない非保持状態の前記保持部を前記保持位置に復帰移動させるべく、前記姿勢変更手段の作動を繰り返し制御するように構成され、かつ、前記保持状態の保持部が前記保持解除位置に位置した状態で保持している搬送物を解放させた後、後続の搬送物を保持している前記保持状態の保持部を前記保持解除位置に移動させるまでに、前記保持部から解放された搬送物を前記保持解除位置から搬送するべく、前記導出搬送手段の作動を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか1項記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記保持部の回転と前記保持部の前記保持解除位置までの移動とを同時又は略同時に終了させるように、前記回転手段及び前記移動手段の作動を制御するように構成されている請求項5記載の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−219238(P2011−219238A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91539(P2010−91539)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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