説明

携帯アクセスポイント機器および複合通信中継装置

【課題】固定通信回線に代わり、携帯通信端末の無線通信回線でデータ通信端末をネットワークに接続して、移動体通信網のサービスエリア全域がデータ通信の利用場所として活用できるようにする。
【解決手段】屋内では、固定アクセスポイント機器3が電気的に起動され、端子部12と端子部38とが互いに接続され、制御部9が電気的に起動し、バッテリー10が充電され、ユーザーが無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39を操作すると、無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39が複合通信中継装置1を経由してネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行うことができ、屋外では、ユーザーが携帯無線LAN搭載機器23を操作すると、携帯無線LAN搭載機器23が携帯アクセスポイント機器2を介してネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FTTHまたはADSLなどの固定通信回線に代わり、屋内および屋外を問わず、PHSやPHS以外の移動体通信端末の無線通信回線でパソコンやコンピュータゲーム機などのデータ通信端末をネットワークに接続して、移動体通信網のサービスエリア全域がデータ通信の利用場所として活用できる、携帯アクセスポイント機器およびそれを備えた複合通信中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のデータ通信システムを示す。図7では、家庭、会社、学校、公衆無線LANスポットなどのように、固定アクセスポイント機器55が建物51の内部に設置され、固定アクセスポイント機器55とネットワーク18とがFTTHまたはADSLなどの固定通信回線56で互いに接続され、固定アクセスポイント機器55の電源プラグ32が建物51の電源コンセント52に接続され、固定アクセスポイント機器55が電気的に起動された状態において、ユーザーが無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39などのデータ通信端末を操作することによって、データ通信端末が固定アクセスポイント機器55を経由してネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。しかしながら、データ通信を利用する場所が、家庭、会社、学校、公衆無線LANスポットなど固定通信回線56の設置された場所に限定されてしまうという欠点がある。
【特許文献1】特開2007−6069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題点は、データ通信の利用場所が限定的であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る携帯アクセスポイント機器は、携帯可能な容器に、公衆無線通信機能を有する携帯通信端末と無線LAN用アンテナと無線LAN送受信部とバッテリーとを備えたことを特徴とする主要な特徴とする。本発明に係る携帯アクセスポイント機器の場合、バッテリーが充電可能な電池で構成され、バッテリーに外部から電力を充電し得る端子部が携帯可能な容器に設けられてもよい。本発明に係る複合通信中継装置は、携帯アクセスポイント機器と固定アクセスポイント機器とに分かれて構成され、携帯アクセスポイント機器が携帯可能な容器に公衆無線通信機能を有する携帯通信端末と無線LAN用アンテナと無線LAN送受信部とバッテリーおよび端子部を備え、固定アクセスポイント機器が容器に高性能アンテナとアンテナ切替部および上記携帯アクセスポイント機器の端子部に接続可能な端子部を備えたことを主要な特徴とする。本発明に係る複合通信中継装置の場合、固定アクセスポイント機器がルーティング処理部および有線LAN口を備えたり、または、携帯通信端末がPHSまたはPHS以外の移動体通信端末により構成されたり、または、交流を携帯アクセスポイント機器および固定アクセスポイント機器の双方に使用される直流に変換する電源回路が固定アクセスポイント機器に設けられたりしてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る携帯アクセスポイント機器または複合通信中継装置によれば、従来の固定通信回線を省略し、屋内および屋外を問わず、携帯通信端末の無線通信回線でパソコンやコンピュータゲーム機などのデータ通信端末をネットワークに接続して、移動体通信網のサービスエリア全域がデータ通信の利用場所として活用できる。とりわけ、無線通信回線を利用するので、ネットワーク上のサーバーから提供される対戦ゲームを複数のユーザー間で行うことができるという利点がある。本発明に係る携帯アクセスポイント機器において、バッテリーが充電可能な電池で構成され、バッテリーに外部から電力を充電し得る端子部が携帯可能な容器に設けられれば、バッテリーを携帯可能な容器に入れたまま、バッテリーに充電することができるという利点がある。本発明に係る複合通信中継装置において、固定アクセスポイント機器がルーティング処理部および有線LAN口を備えれば、有線端末接続機能を付加することができるという利点がある。本発明に係る複合通信中継装置において、携帯通信端末がPHSまたはPHS以外の移動体通信端末により構成されれば、公衆無線通信回線の使用が容易になるという利点がある。本発明に係る複合通信中継装置において、交流を携帯アクセスポイント機器および固定アクセスポイント機器の双方に使用される直流に変換する電源回路が固定アクセスポイント機器に設けられれば、交流を直流に変換する電源回路が最も少ない個数でよいので、構造が簡単になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、複合通信中継装置1の構成を示す。図2は、バッテリー10の充電残量表示の構成を示す。図3は、複合通信中継装置1の外観を示す。図4は、制御部9における中継処理の流れを示す。図5は、複合通信中継装置1の屋内での使用形態を示す。図6は、複合通信中継装置1の屋外での使用形態を示す。
【0007】
図3を参照し、複合通信中継装置1の概略について説明する。複合通信中継装置1は、携帯アクセスポイント機器2と固定アクセスポイント機器3とを備える。固定アクセスポイント機器3の電源プラグ32が建物51に設けられた電源コンセント52に接続され、固定アクセスポイント機器3が電気的に起動されると、固定アクセスポイント機器3の高性能アンテナ34および有線LAN差込口37が通信可能になる。
【0008】
携帯アクセスポイント機器2の端子部12が固定アクセスポイント機器3の端子部38に接続されると、携帯アクセスポイント機器2が固定アクセスポイント機器3から供給される電力で電気的に起動され、携帯アクセスポイント機器2の無線LAN用アンテナ6が通信可能になり、携帯アクセスポイント機器2のバッテリー10への充電が開始される。
【0009】
PHS26が携帯アクセスポイント機器2のスロット53に差し込まれ、携帯アクセスポイント機器2における電源スイッチがオン操作されると、PHS26がバッテリー10から供給される電力で電気的に起動され、PHS26の無線通信用アンテナ5が通信可能になる。PHS26が携帯アクセスポイント機器2に内蔵され、PHS26と携帯アクセスポイント機器2とが単一体として構成されてもよい。つまり、PHS26と携帯アクセスポイント機器2とが分離できない形態でもよい。
【0010】
図1を参照し、複合通信中継装置1の詳細な構成について説明する。複合通信中継装置1における携帯アクセスポイント機器2は、携帯可能な容器4に、無線通信用アンテナ5、無線LAN用アンテナ6、無線通信送受信処理部7、無線LAN送受信処理部8、制御部9、バッテリー10、電源切替部11、端子部12を備える。
【0011】
無線通信送受信処理部7は、制御部9から出力された送受信処理のコマンドによって、無線通信用アンテナ5と公衆無線基地局15の無線通信用アンテナ16との間に無線チャネル17を設定し、設定された無線チャネル17を経由して携帯アクセスポイント機器2とネットワーク18上のサーバー19とのデータ通信をパケット交換方式で行う、フィルタリング、変復調、増幅などの公衆無線通信処理を行う。無線通信送受信処理部7では、無線チャネル17として、例えば、1.9GHz帯を使う公衆無線通信回線が設定される。
【0012】
無線LAN送受信処理部8は、制御部9から出力された送受信処理のコマンドによって、無線LAN用アンテナ6と無線LAN搭載機器20の無線LAN用アンテナ21との間に無線チャネル22を設定し、または、無線LAN用アンテナ6と携帯無線LAN搭載機器23の無線LAN用アンテナ24との間に無線チャネル25を設定する。
【0013】
そして、無線LAN送受信処理部8は、設定された無線チャネル22または設定された無線チャネル25を経由して携帯アクセスポイント機器2と無線LAN搭載機器20または携帯無線LAN搭載機器23とのデータ通信をパケット交換方式で行う、フィルタリング、変復調、増幅などの無線通信処理を行う。
【0014】
無線LAN送受信処理部8では、無線免許が不要で屋内および屋外において誰でも利用できる、無線チャネル22;25として、例えば、2.4GHz帯を使う、IEEE802.11g規格による無線LAN通信回線が設定される。これによって、携帯アクセスポイント機器2が、屋内および屋外で、場所を選ばす、自由に使用できる。
【0015】
制御部9は、制御部9に内蔵したコンピュータのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがいRAMを使用しながらネットワーク18を利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、送受信処理、アンテナ切換処理、ルーティング処理、電源切換処理、充電残量表示処理などを実行し、その実行結果としてのコマンドを無線通信送受信処理部7、無線LAN送受信処理部8、電源切替部11、有線LAN用端子28、高性能アンテナ用端子29に個別に出力する。ROMには、携帯アクセスポイント機器2の固体識別情報として、固体製造番号などが記録されている。
【0016】
バッテリー10は、乾電池などの1次電池または2次電池または蓄電池などを使用すればよいが、2次電池を使用すれば、バッテリー10の充電容量が大きく、携帯時の使用時間が長くなる。
【0017】
電源切替部11は、制御部9から出力された電源切換処理のコマンドによって、バッテリー10と電源用端子27とを接続する充電経路、制御部9と電源用端子27とを接続する電源経路、制御部9とバッテリー10とを接続する放電経路を作るスイッチを構成する。
【0018】
無線通信用アンテナ5と無線通信送受信処理部7とがPHS26を構成する。PHS26は、公衆無線通信回線によってネットワーク18上のサーバー19とデータ通信を行う携帯通信端末であって、音声通信機能は備えていてもいなくてもよい。PHS26をPHS26以外の移動体通信端末で代替してもよい。
【0019】
端子部12には、電源用端子27、有線LAN用端子28、高性能アンテナ用端子29が設けられる。
【0020】
複合通信中継装置1における固定アクセスポイント機器3は、容器31に、電源プラグ32、電源回路33、高性能アンテナ34、アンテナ切替部35、ルーティング処理部36、有線LAN差込口37、端子部38を備える。
【0021】
電源回路33は、電源コンセント52(図3参照)から供給された交流を複合通信中継装置1で使用する電圧の直流に変換する。高性能アンテナ34は、無線通信用アンテナ5に代わり、屋内における無線通信送受信処理部7と屋外における無線通信用アンテナ16との間のデータ通信をパケット交換方式で行う。電源回路33は、容器31に内蔵されることなく、電源プラグ32または電源プラグ32から容器31に伸びるケーブルに設けられてもよい。
【0022】
アンテナ切替部35は、制御部9から出力されたアンテナ切換処理のコマンドが高性能アンテナ用端子29;43から入力されることによって、公衆無線基地局15に対するデータ通信に使用するアンテナを無線通信用アンテナ5から高性能アンテナ34に切り替えるスイッチを構成する。
【0023】
ルーティング処理部36は、制御部9から出力されたルーティング処理のコマンドが有線LAN用端子28;42から入力されることによって、複数の有線LAN差込口37の1つをコマンドに対応する通信経路として確立するスイッチを構成する。
【0024】
有線LAN差込口37には、電気的に起動した有線LAN搭載機器39が通信ケーブル40で個別に接続される。端子部38には、電源用端子41、有線LAN用端子42、高性能アンテナ用端子43が設けられる。
【0025】
複合通信中継装置1の動作について説明する。先ず、電源プラグ32が電源コンセント52(図3参照)に接続されることによって、電源回路33で変換された直流の電力が電源回路33からアンテナ切替部35および電源用端子27に供給され、固定アクセスポイント機器3のアンテナ切替部35および電源用端子27が電気的に起動される。
【0026】
その状態において、携帯アクセスポイント機器2が屋外から屋内に持ち込まれ、端子部12と端子部38とが互いに接続されると、双方の電源用端子27;41が互いに接続され、双方の有線LAN用端子28;42が互いに接続され、双方の高性能アンテナ用端子29;43が互いに接続される。
【0027】
これによって、制御部9が電源回路33から電源用端子27;41および電源切替部11の電源経路を経由して供給された直流の電力で電気的に起動し、バッテリー10が電源回路33から電源用端子27;41および電源切替部11の充電経路を経由して供給される直流の電力で充電される。
【0028】
前記のように制御部9が電気的に起動された場合、制御部9は高性能アンテナ用端子29;43を経由してアンテナ切替部35を制御し、アンテナ切替部35が公衆無線基地局15に対するデータ通信に使用するアンテナを無線通信用アンテナ5から高性能アンテナ34に切り替える。
【0029】
次に、ユーザーが無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39を操作することによって、無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39が複合通信中継装置1を経由してネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。
【0030】
無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39は、パソコンやコンピュータゲーム機などプロトコルによる無線通信可能なデータ通信端末を構成する。
【0031】
ユーザーが無線LAN搭載機器20の操作部を操作した場合、無線LAN用アンテナ6と無線LAN用アンテナ21とが無線チャネル22で接続され、無線通信用アンテナ16と高性能アンテナ34とが無線チャネル54(図5参照)で接続され、無線LAN搭載機器20が無線LAN送受信処理部8や無線通信送受信処理部7および制御部9の動作によってネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。
【0032】
ユーザーが1台の有線LAN搭載機器39の操作部を操作した場合、無線通信用アンテナ16と高性能アンテナ34とが無線チャネル54(図5参照)で接続され、有線LAN搭載機器39がルーティング処理部36や無線通信送受信処理部7および制御部9の動作によってネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。
【0033】
つまり、携帯アクセスポイント機器2が屋内に持ち込まれて固定アクセスポイント機器3に接続され、携帯アクセスポイント機器2の制御部9が電源コンセント52(図3参照)から固定アクセスポイント機器3の電源回路33を経由して供給される直流の電力によって起動する。
【0034】
その状態において、ユーザーが無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39を操作すると、無線通信用アンテナ16と高性能アンテナ34とを相互に接続した無線チャネル54(図5参照)としての無線通信回線を利用し、無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39がネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。
【0035】
また、携帯アクセスポイント機器2の端子部12が固定アクセスポイント機器3の端子部12から外された場合、携帯アクセスポイント機器2の制御部9がバッテリー10からの電力によって起動してアンテナ切替部35を制御し、アンテナ切替部35が公衆無線基地局15に対するデータ通信に使用するアンテナを高性能アンテナ34から無線通信用アンテナ5に切り替える。
【0036】
その後、携帯アクセスポイント機器2が屋内から屋外に持ち出され、ユーザーが携帯パソコンや携帯コンピュータゲーム機などの携帯無線LAN搭載機器23を操作すると、無線LAN用アンテナ6と無線LAN用アンテナ24とが無線チャネル25で接続され、無線通信用アンテナ5と無線通信用アンテナ16とが無線チャネル17で接続され、携帯無線LAN搭載機器23が携帯アクセスポイント機器2における無線LAN送受信処理部8や無線通信送受信処理部7および制御部9の動作によってネットワーク18上のサーバー19とデータ通信をパケット交換方式で行う。
【0037】
図1の複合通信中継装置1によれば、従来の固定通信回線56(図7参照)を省略し、屋内および屋外の双方を問わず、PHS26またはPHS26以外の図外の移動体通信端末による無線通信回線でパソコンやコンピュータゲーム機などのデータ通信端末としての無線LAN搭載機器20または携帯無線LAN搭載機器23をネットワークに接続して、移動体通信網のサービスエリア全域がデータ通信の利用場所として活用でき、ネットワーク18上のサーバー19から提供される対戦ゲームなどのゲームやそれ以外のデータ通信を行うことができる。固定アクセスポイント機器3がルーティング処理部36と有線LAN差込口37を備えているので、有線端末接続機能を付加することができる。携帯通信端末がPHSにより構成されているので、公衆無線通信回線の使用が容易になる。交流を携帯アクセスポイント機器2および固定アクセスポイント機器3の双方に使用される直流に変換する電源回路33が固定アクセスポイント機器3に設けられているので、交流を直流に変換する電源回路33が最も少ない1つという個数でよく、構造が簡単になる。
【0038】
図2を参照し、バッテリー10の充電残量表示について説明する。携帯アクセスポイント機器2には、バッテリー10の充電残量表示のために、充電処理部45、充電残量検出部46、充電残量表示部47が設けられる。図2では、固定アクセスポイント機器3の電源用端子41(図1参照)の図示を省略してある。
【0039】
そして、電源プラグ32が電源コンセント52(図3参照)に接続された場合、電源回路33で変換された直流の電力が電源回路33から電源用端子27を経由して電源切替部11および充電処理部45に供給される。
【0040】
これによって、電源切替部11が充電経路および電源経路を成立させるとともに放電経路を遮断する。電源経路の成立に伴い、電源回路33で変換された直流の電力が電源回路33から電源用端子27と電源切替部11とを経由して制御部9に供給され、制御部9が電気的に起動する。充電経路の成立に伴い、電源回路33で変換された直流の電力が電源回路33から電源用端子27と充電処理部45とを経由してバッテリー10に充電される。
【0041】
バッテリー10への充電に伴い、充電残量検出部46がバッテリー10の電圧を充電残量として検出した信号(以下、残量検出信号という)を制御部9に出力し、制御部9が残量検出信号に応じて充電残量表示部47を制御し、充電残量表示部47がバッテリー10への充電量を充電残量として表示する。
【0042】
次に、電源プラグ32が電源コンセント52(図3参照)から外された場合、電源切替部11が充電経路および電源経路を遮断するとともに放電経路を成立させる。充電経路の遮断に伴い、電源回路33からバッテリー10への直流の電力の供給が遮断される。電源経路の遮断に伴い、電源回路33から制御部9への直流の電力の供給が遮断される。放電経路の成立に伴い、直流の電力がバッテリー10から電源切替部11を経由して制御部9に供給され、制御部9の電気的な起動が維持される。
【0043】
そして、充電残量検出部46がバッテリー10の残量検出信号を制御部9に出力し、制御部9が残量検出信号に応じて充電残量表示部47を制御し、充電残量表示部47がバッテリー10の充電残量を表示する。
【0044】
図4を参照し、制御部9の中継処理について説明する。この中継処理の説明中における、携帯アクセスポイント機器2、無線通信用アンテナ5、無線LAN用アンテナ6、制御部9、バッテリー10、端子部12、公衆無線基地局15、無線通信用アンテナ16、無線LAN用アンテナ17、ネットワーク18、サーバー19、無線LAN搭載機器20、携帯無線LAN搭載機器23、無線LAN用アンテナ24、無線チャネル25、電源回路33、高性能アンテナ34、端子部38、有線LAN搭載機器39、充電残量表示部47は、図1または図2を参照。この中継処理に用いられる複合通信中継装置1においては、バッテリー10がフル充電され、制御部9が電気的に起動した初期状態にあるものとする。
【0045】
制御部9の中継処理が始まると、ステップ101において端子部12;38が接続されたか否かを判定する。そして、端子部12が端子部38に接続された場合、ステップ101がYESとなり、ステップ102に進む。端子部12が端子部38から外された場合、ステップ101がNOとなり、ステップ104に進む。
【0046】
ステップ102では、電源が商用電源に切り替わることによって、電源回路33で変換された直流の電力が制御部9に供給され、電源回路33で変換された直流の電力がバッテリー10に充電され、ステップ103に進む。
【0047】
ステップ103では、屋外モードとして、ネットワーク18上のサーバー19と無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39との通信が行われる。ステップ103では、例えば、ユーザーが無線LAN搭載機器20の操作部または有線LAN搭載機器39の操作部をサーバー19との通信を促すように操作した場合、高性能アンテナ34と公衆無線基地局15の無線通信用アンテナ16とを相互に接続した無線チャネル54(図5参照)としての無線通信回線を利用し、無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39がネットワーク18上のサーバー19との間でデータ通信がパケット交換方式行われ、無線LAN搭載機器20の表示画面または有線LAN搭載機器39の表示画面にサーバー19で提供されるゲームやデータが画像表示される。
【0048】
ステップ104では、電源がバッテリー10に切り替わり、直流の電力がバッテリー10から制御部9に供給され、ステップ105に進む。
【0049】
ステップ105では、充電残量が十分か否かを判定する。つまり、制御部9が充電残量検出部46から入力された検出値を制御部9のROMに例えばバッテリー10のフル充電量の約20%に相当する値として記録された規定値と比較し、検出値が規定値未満になると、ステップ105がNOとなり、ステップ106に進む。検出値が規定値以上であるならば、ステップ105がYESとなり、ステップ107に進む。規定値は、バッテリー10のフル充電量の約20%に相当する値に限定されるものではない。
【0050】
ステップ106では、バッテリー10の充電残量が規定値未満であることをユーザーに通知するアラートを充電残量表示部47で表示する。
【0051】
ステップ107では、屋外モードとして、ユーザーが屋外で携帯無線LAN搭載機器23の操作部をサーバー19との通信を促すように操作した場合、携帯アクセスポイント機器2の無線LAN用アンテナ6と携帯無線LAN搭載機器23の無線LAN用アンテナ24とが無線チャネル25で接続され、携帯アクセスポイント機器2の無線通信用アンテナ5と公衆無線基地局15の無線通信用アンテナ16とが無線チャネル17で接続され、携帯無線LAN搭載機器23とネットワーク18上のサーバー19との間でデータ通信がパケット交換方式で行われ、携帯無線LAN搭載機器23の表示画面にサーバー19で提供されるゲームやデータが画像表示される。
【0052】
図5を参照し、複合通信中継装置1の屋内での使用形態ついて説明する。図5に示すように、屋内では、電源プラグ32が電源コンセント52に差し込まれ、携帯アクセスポイント機器2が固定アクセスポイント機器3に接続されて電気的に起動した状態において、ユーザーが無線LAN搭載機器20または固定アクセスポイント機器3に接続された有線LAN搭載機器39を操作することによって、複合通信中継装置1が無線チャネル22;54からなる無線通信回線を通してネットワーク18上のサーバー19と無線LAN搭載機器20または有線LAN搭載機器39とのパケット交換方式によるデータ通信を中継することができる。
【0053】
図6を参照し、複合通信中継装置1の屋外での使用形態ついて説明する。図6に示すように、携帯アクセスポイント機器2が固定アクセスポイント機器3から外され、携帯アクセスポイント機器2および携帯無線LAN搭載機器23が屋外に持ち出されて電気的に起動した状態において、ユーザーが携帯無線LAN搭載機器23を操作することによって、複合通信中継装置1の携帯アクセスポイント機器2が無線チャネル17;25からなる無線通信回線を通してネットワーク18上のサーバー19と携帯無線LAN搭載機器23とのパケット交換方式によるデータ通信を中継することができる。
【0054】
図1において、電源プラグ32から伸びるケーブルの先端にコネクタが設けられ、当該コネクタがケース31に設けたコネクタに差し込まれるようにしてもよい。また、電源回路33に相当する電源回路が必要になるだけ最良の形態よりも構造が複雑になるものの、バッテリー10に対する充電用コネクタが電源プラグ32と別にケース4に設けられてもよい。
【0055】
図1乃至図6では、複合通信中継装置1が携帯アクセスポイント機器2と固定アクセスポイント機器3とに分かれて構成された態様を開示したが、携帯アクセスポイント機器2だけで構成してもよい。その場合、例えば、図1において、携帯アクセスポイント機器2が、少なくとも、携帯可能な容器4に、無線通信用アンテナ5、無線LAN用アンテナ6、無線通信送受信処理部7、無線LAN送受信処理部8、バッテリー10を備えることによって、従来の固定通信回線56(図7参照)を省略し、屋内および屋外の双方を問わず、PHS26またはPHS26以外の図外の移動体通信端末による無線通信回線でパソコンやコンピュータゲーム機などのデータ通信端末としての無線LAN搭載機器20または携帯無線LAN搭載機器23をネットワークに接続して、移動体通信網のサービスエリア全域がデータ通信の利用場所として活用できる。さらに、バッテリー10が2次電池または蓄電池など充電可能な電池で構成され、電源用端子27を有する端子部12が容器4に設けられ、電源用端子27を経由してバッテリー10に外部から電力を充電し得る構造にしてもよい。つまり、端子部12は、バッテリー10に外部から電力を充電し得る端子部を構成する。これによって、バッテリー10を容器4に入れたまま、バッテリー10に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】複合通信中継装置のブロック図(最良の形態)。
【図2】バッテリーの充電残量表示のブロック図(最良の形態)。
【図3】複合通信中継装置の斜視図(最良の形態)。
【図4】中継処理のフローチャート(最良の形態)。
【図5】複合通信中継装置の屋内での使用形態を示す概略図(最良の形態)。
【図6】複合通信中継装置の屋外での使用形態を示す概略図(最良の形態)。
【図7】データ通信システムを示す概略図(従来)。
【符号の説明】
【0057】
1は複合通信中継装置、2は携帯アクセスポイント機器、3は固定アクセスポイント機器、4は容器、5は無線通信用アンテナ、6は無線LAN用アンテナ、7は無線通信送受信処理部、8は無線LAN送受信処理部、9は制御部、10はバッテリー、11は電源切替部、12は端子部、13;14は欠番、15は公衆無線基地局、16は無線通信用アンテナ、17は無線チャネル、18はネットワーク、19はサーバー、20は無線LAN搭載機器、21は無線LAN用アンテナ、22は無線チャネル、23は携帯無線LAN搭載機器、24は無線LAN用アンテナ、25は無線チャネル、26はPHS、27は電源用端子、28は有線LAN用端子、29は高性能アンテナ用端子、30は欠番、31は容器、32は電源プラグ、33は電源回路、34は高性能アンテナ、35はアンテナ切替部、36はルーティング処理部、37は有線LAN差込口、38は端子部、39は有線LAN搭載機器、40は通信ケーブル、41は電源用端子、42は有線LAN用端子、43は高性能アンテナ用端子、44は欠番、45は充電処理部、46は充電残量検出部、47は充電残量表示部、48乃至50は欠番、51は建物、52は電源コンセント、53はスロット、54は無線チャネル、55は固定アクセスポイント機器、56は固定通信回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な容器に、公衆無線通信機能を有する携帯通信端末と無線LAN用アンテナと無線LAN送受信部とバッテリーとを備えたことを特徴とする携帯アクセスポイント機器。
【請求項2】
バッテリーが充電可能な電池で構成され、バッテリーに外部から電力を充電し得る端子部が携帯可能な容器に設けられたことを特徴とする請求項1記載の携帯アクセスポイント機器。
【請求項3】
携帯アクセスポイント機器と固定アクセスポイント機器と分かれて構成され、携帯アクセスポイント機器が携帯可能な容器に公衆無線高速通信機能を有する携帯通信端末と無線LAN用アンテナと無線LAN送受信部とバッテリーおよび端子部を備え、固定アクセスポイント機器が容器に高性能アンテナとアンテナ切替部および上記携帯アクセスポイント機器の端子部に接続可能な端子部を備えたことを特徴とする複合通信中継装置。
【請求項4】
固定アクセスポイント機器がルーティング処理部および有線LAN口を備えたことを特徴とする請求項3記載の複合通信中継装置。
【請求項5】
携帯通信端末がPHSまたは携帯電話により構成されたことを特徴とする請求項3記載の複合通信中継装置。
【請求項6】
交流を携帯アクセスポイント機器および固定アクセスポイント機器の双方に使用される直流に変換する電源回路が固定アクセスポイント機器に設けられたことを特徴とする請求項3記載の複合通信中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−62760(P2010−62760A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225172(P2008−225172)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【Fターム(参考)】