説明

携帯型情報処理装置

【課題】ユーザにより選択された文字列にもとづいて情報検索を行う携帯型情報処理装置であって、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援することができる携帯型情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯電話機10は、表示入力部11および制御部を少なくとも有する。表示入力部11は、表示部と、入力部としてのタッチセンサと、により構成されるいわゆるタッチパネルである。制御部は、表示部に表示された文字列からユーザにより文字列が選択される際に、文字列が正確に選択されない場合に対応するため、ユーザにより選択された文字列の情報にもとづいて、ユーザが本当に選択したかった文字列を複数予想して提示することにより、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援し、ユーザが所望する文字列にもとづいて情報検索する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択された文字列情報にもとづいて情報検索を行う携帯型情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報検索を行う技術に、特開2008−117161号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1に開示された関連サイトの検索用プログラムは、インターネット又はイントラネットと接続されたコンピュータを、表示部に表示された文字列を選択する文字列選択手段と、選択された文字列の情報にもとづいて関連サイトを検索する検索手段と、関連サイトに関する情報を表示部に表示させる関連サイト情報出力手段と、を少なくとも含むコンピュータとして機能させるプログラムである。
【0004】
文字列選択手段は、マウスのクリックボタンの動作およびドラッグ動作を監視するマウス監視手段を有する。このため、特許文献1に開示された技術によれば、ユーザは、マウス操作によってモニタなどの表示部に表示された文字列(テキスト文章など)から任意の文字列を選択することができ、選択された文字列に基づいて簡単に関連サイトを検索することができる。
【特許文献1】特開2008−117161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型の情報処理装置は、より小型のものが開発されてきている。たとえば、一部の携帯型の情報処理装置は、タッチパネルを採用して入力装置および表示装置を一体化することにより、情報処理装置全体のサイズを小型化している。これらの携帯型の情報処理装置が備える表示装置は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報処理装置が備える表示装置にくらべ、小さいものが多い。
【0006】
しかし、従来の技術は、この種の小さな表示装置に表示された文字列から一部の文字列を選択する場合について考慮していない。このため、従来の技術を適用した携帯型情報処理装置では、ユーザが文字列の選択時に誤操作してしまう可能性が高く、利便性が低い。たとえば、従来の技術を利用する場合、ユーザは、小型の携帯型情報処理装置を利用して所望の文字列を選択するために、小さな表示装置に表示された文字列から所望の文字列を選択するという細かい作業を強いられる。特に、携帯型の情報処理装置がタッチパネルを採用している場合、ユーザは、自らの指先を用いて小さな表示装置に表示された文字列をなぞることにより所望の文字列を選択することになるが、文字サイズが指先の幅よりも小さいことも多く正確な操作を行うことが難しい。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ユーザにより選択された文字列にもとづいて情報検索を行う携帯型情報処理装置であって、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援することができる携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯型情報処理装置は、上述した課題を解決するために、表示部に表示された文字列から入力部を介して選択された文字列の情報を取得する選択文字列受付部と、前記選択された文字列の情報にもとづいて、前記選択された文字列に関連する複数の文字列を作成して前記表示部に表示させる候補作成部と、前記作成された複数の文字列から前記入力部を介して決定された1つの文字列の情報を取得する決定文字列受付部と、前記決定文字列受付部から前記決定された1つの文字列の情報を受けて前記1つの文字列の情報にもとづいて情報検索を行い、この情報検索の結果を前記表示部に表示させる検索部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯型情報処理装置は、ユーザにより選択された文字列にもとづいて情報検索を行う携帯型情報処理装置であって、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る携帯型情報処理装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、タッチパネルを備えた携帯電話機を本発明に係る携帯型情報処理装置の一例として示す。
【0011】
図1は、本発明に係る携帯電話機10の一実施形態を示す概略的な外観図である。図1(a)には携帯電話機10の正面斜視図を、図1(b)には携帯電話機10の背面斜視図を、それぞれ示した。また、図2は、携帯電話機10の機能ブロック図である。
【0012】
図1(a)に示すように、携帯電話機10の正面の表面上には、表示入力部11、スピーカ12およびマイクロフォン13が設けられる。また、側面の一部には、電源ボタン14が設けられる。また、図1(b)に示すように、携帯電話機10の裏面の表面上には、撮像部15が設けられる。
【0013】
さらに、図2に示すように、携帯電話機10は、アンテナ21、送受信部22、記憶部23および制御部24を少なくとも有する。
【0014】
表示入力部11は、表示部31と、表示部31の近傍に設けられた入力部としてのタッチセンサ32とにより構成されるいわゆるタッチパネルである。
【0015】
表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、制御部24の制御に従って各種文字列を含む画像をはじめとする様々な情報を表示する。
【0016】
この表示部31は、制御部24に制御されて、ウェブブラウザや電子メールアプリケーションプログラム、文書作成アプリケーションプログラムなどにより生成される各種文字列を含む画像をはじめ、携帯電話機10を操作するための情報や携帯電話機10を操作するための複数のキー(以下、ソフトキーという)などを表示する。
【0017】
表示入力部11の入力部としてのタッチセンサ32は、ユーザによるタッチセンサ32上の指示位置の情報を携帯電話機10の制御部24に与える。たとえば、ユーザが表示部31に表示された画面上の文字列の一部分の文字列を選択する操作を意図した場合、ユーザは画面上の選択したい文字列をなぞるように接触しようとする。タッチセンサ32は、この接触動作から得た情報を操作者の指示位置の情報として取得し、携帯電話機10の制御部24に与える。たとえば抵抗膜方式の感圧式タッチパネルにより構成される場合、タッチセンサ32は、押圧された位置の情報を操作者の指示位置の情報として取得し、携帯電話機10の制御部24に与える。
【0018】
スピーカ12は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を発生する。また、マイクロフォン13は、ユーザによる音声入力を音声信号に変換して送話を行う。
【0019】
電源ボタン14は、ユーザにより押下されるとこの押下に応じた信号を制御部24に与える。制御部24は、電源ボタン14が押下されると、押下されてから開放されるまでの時間に応じて携帯電話機10を制御することができる。たとえば、制御部24は、電源ボタン14が短押しされるといわゆるクリア機能を実現し、長押しされると携帯電話機10全体の電源のONまたはOFFを行い、超長押しされると携帯電話機10をリセットする。
【0020】
ここで、短押しとはボタンが押下されてから第1の所定の時間(たとえば1秒)未満で開放される動作をいい、長押しとはボタンが第1の所定の時間以上押下され続けてから開放される動作をいい、超長押しとはボタンが第1の所定の時間より長い第2の所定の時間(たとえば10秒)以上押下され続ける動作をいうものとする。また、クリア機能は、一般的な携帯電話機10に広く備えられた機能であり、たとえば文字入力の受け付け中であればキャレット位置の文字を一文字消去することや、待ち受け画面に戻ることや、アプリケーションを終了することなどの動作を実行する機能をいう。なお、電源ボタン14は、ユーザが容易に操作できる位置に設置すればよく、この位置は携帯電話機10の側面に限られない。
【0021】
撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成され、携帯電話機10の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成して制御部24に与える。制御部24は、撮像部15から受けた映像信号にもとづく画像を生成して表示部31に表示する。
【0022】
アンテナ21は、図示しない無線基地局との間で通信電波の送受信を行う。送受信部22は、通信電波に内在する無線信号を送受信する無線回路であり、制御部24から出力される通信データを変調し、アンテナ21を介して送信する。また、送受信部22は、アンテナ21を介して受信した通信データを復調し、制御部24へ出力する。通信データには、少なくとも通話を行うための音声データおよびインターネット通信を行うためのデータが含まれる。
【0023】
記憶部23は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえば電子メールデータや音楽データなどの各種データを記憶している。
【0024】
制御部24は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、ROM内に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の処理動作を制御する。CPUは、ROM内に記憶された文字列選択支援プログラムおよびプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、文字列選択支援プログラムに従って、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援する処理を実行する。
【0025】
RAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0026】
ROMは、携帯電話機10の起動プログラム、文字列選択支援プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0027】
なお、ROMは、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、ROM内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0028】
図3は、図2に示す制御部24のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0029】
CPUは、文字列選択支援プログラムによって、少なくとも選択文字列受付部41、候補作成部42、決定文字列受付部43、メニュー表示部44、メニュー受付部45および検索部46として機能する。この各部41〜46は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0030】
次に、CPUの各部41〜46について説明する。選択文字列受付部41は、表示部31に表示された文字列(以下、元文字列という)からユーザによりタッチセンサ32を介して選択された文字列(以下、仮選択文字列という)の情報を取得する。なお、本実施形態では、ユーザがタッチセンサ32の所望の文字列上を指先でなぞることにより、元文字列から所望の文字列を選択することができる場合の例について説明する。
【0031】
図4は、元文字列を含む情報が表示入力部11の表示部31に表示された様子の一例を示す説明図である。図4には、元文字列が電子メールアプリケーションプログラム(以下、メールアプリケーションという)により受信された電子メールに含まれており、メールアプリケーションがこの電子メールを表示部31に表示した様子を示した。
【0032】
表示部31が小さいあるいは表示部31がある程度大きくても表示される文字が小さい場合、指先で文字列を正確になぞる作業は難しい。このため、選択文字列受付部41は、ユーザが所望した文字列(以下、選択希望文字列という)とは異なる文字列の情報を仮選択文字列として取得してしまう場合がある。
【0033】
図5は、ユーザがタッチセンサ32の所望の文字列上を指先でなぞることにより元文字列から所望の文字列を選択する様子の一例を示す説明図である。また、図6は、元文字列から仮選択文字列が選択された様子の一例を示す説明図である。図6において、斜線部の文字列はユーザによりタッチセンサ32を介して選択された文字列(仮選択文字列)であることを示す。
【0034】
たとえば、ユーザが「感圧式タッチパネル」について情報検索したいと所望し、この文字列を選択しようとする場合、ユーザはこの「感圧式タッチパネル」(選択希望文字列)が表示されている箇所を指先でなぞることにより選択希望文字列を選択しようとする。しかし、表示部31が小さいあるいは表示部31がある程度大きくても表示される文字が小さい場合、指先で文字列を正確になぞる作業は難しく、特に文字列の始点と終点には、ずれが生じてしまうことが多い。図6には、ユーザが「感圧式タッチパネル」を選択したいと所望したものの、選択文字列受付部41には「圧式タッチパ」のみが仮選択文字列として与えられてしまった場合の例について示した。
【0035】
本実施形態に係る携帯電話機10は、このズレが生じることをあらかじめ想定し、ユーザにより選択された文字列の情報にもとづいて、ユーザが本当に選択したかった文字列(選択希望文字列)を複数予想して提示することにより、ユーザによる文字列の選択を支援するものである。
【0036】
候補作成部42は、選択文字列受付部41から受けた仮選択文字列の情報にもとづいて、仮選択文字列に関連する複数の文字列(以下、候補文字列群という)を作成して表示部31に表示させる。候補文字列群は、ユーザが選択しようとしていた文字列(選択希望文字列)の候補となる文字列である。ユーザが正確な選択を行い仮選択文字列が選択希望文字列と一致する場合を考慮し、候補文字列群には仮選択文字列が含まれるようにするとよい。また、この候補文字列群は、たとえば自然文検索に好適なように語尾などがアレンジされた文字列としてもよい。
【0037】
また、候補作成部42は、候補文字列群について、仮選択文字列に含まれる文字のみから作成しても良いし、仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列を利用して作成しても良いし、さらに記憶部23に記憶された辞書やネットワーク上に存在する辞書を利用して作成してもよい。
【0038】
図7は、候補文字列群が表示された様子の一例を示す説明図である。図7は、候補作成部42が候補文字列群を、仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列を利用して作成する場合の例について示した。
【0039】
候補作成部42が候補文字列群を仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列を利用して作成する場合、図7に示すように、候補生成部は、仮選択文字列である「圧式タッチパ」の情報にもとづいて、仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列とあわせて形態素解析し、たとえば「圧式タッチパ」、「感圧式タッチパネル」、「感圧式タッチ」、「タッチパネル」、「感圧式」、「タッチ」などを候補文字列群として作成して表示部31に表示させる。
【0040】
なお、候補文字列群を仮選択文字列に含まれる文字のみから作成する場合、候補文字列群は、たとえば「圧式タッチパ」、「圧式タッチ」、「タッチ」などとするとよい。また、候補文字列群を辞書を利用して作成する場合、仮選択文字列を形態素解析して「圧式」と「タッチパ」に分解し、「圧式」と合致する辞書データから「負圧式」「感圧式」「加圧式」などを、「タッチパ」と合致する辞書データから「タッチパネル」「タッチパッド」などを、それぞれ抽出し、これらを組み合わせた文字列を作成して候補文字列群としてもよい。また、「タッチパ」を「タッチ」と「パ」に分解する場合、「パ」を破棄して「タッチ」に合致する辞書データから「タッチスイッチ」「タッチスクリーン」などを抽出して候補文字列群の作成に利用してもよい。
【0041】
また、仮選択文字列として「には、感圧式タッチパネルを採用した」が与えられ、候補文字列群を仮選択文字列に含まれる文字のみから作成する場合、候補作成部42は、仮選択文字列の情報にもとづいて、たとえば「には、感圧式タッチパネルを採用した」、「感圧式タッチパネルを採用」、「感圧式タッチパネル」、「タッチパネル」などを候補文字列群として作成して表示部31に表示させることができる。
【0042】
候補作成部42により作成される候補文字列群には、選択希望文字列が含まれることが期待できる。このため、ユーザは、タッチセンサ32を介して文字列を選択する際には大まかな操作をすればよく、この大まかな操作により選択された仮選択文字列の情報にもとづいて候補作成部42により作成された候補文字列群から選択希望文字列を選択することによって、所望の文字列を的確かつ容易に選択することができる。
【0043】
決定文字列受付部43は、候補文字列群のうちの一つの文字列をユーザがタッチセンサ32を介して触れることにより決定された1つの文字列(以下、決定文字列という)の情報を取得する。たとえば、図6に示した例において、ユーザが「感圧式タッチパネル」が表示された箇所を指先で触れると、決定文字列受付部43はこの「感圧式タッチパネル」の文字列を決定文字列として取得する。
【0044】
メニュー表示部44は、決定文字列受付部43から決定文字列の情報を取得した旨の情報を受け、この決定文字列に対して取りうる動作を提示する項目群(以下、メニューという)を表示部31に表示させる。このメニューには、少なくとも情報検索を実行すべき旨の項目が含まれる。
【0045】
図8は、決定文字列について表示されるメニューの一例を示す説明図である。
【0046】
図8に示すように、メニュー表示部44は、「検索」および「コピー」の項目を示すことにより、ユーザに対しこの決定文字列について「検索」および「コピー」の動作を取りうることを提示する。
【0047】
「検索」が選択されると、検索部46は情報検索に必要な処理を実行する。また、「コピー」が選択されると、制御部24は、決定文字列をRAMや記憶部23などに一時的に記憶する。
【0048】
図9は、検索部46が少なくともウェブ検索とファイル検索の機能を備え、かつ、ウェブ検索についていわゆる文字検索や画像検索などの複数種の検索方法が可能である場合のメニューの一例について示す説明図である。
【0049】
情報検索について、携帯電話機10がいわゆるウェブ検索の機能に加えファイル検索をはじめとする他の検索機能も備えている場合、図9に示すように、メニュー表示部44は、「検索」が選択されると、さらに「ウェブ検索」や「ファイル検索」などの項目を表示するとよい。また、「ウェブ検索」について、いわゆる文字検索や画像検索など、複数種の検索方法が可能である場合は、図9に示すように、メニュー表示部44は、「ウェブ検索」が選択されると、さらにこれらの検索に導くための項目を表示するとよい。
【0050】
メニュー受付部45は、ユーザがタッチセンサ32を介して触れることにより選択された項目の情報を受けつける。検索に関する項目が選択された場合、メニュー受付部45は、選択された項目の情報および決定文字列の情報を検索部46に与える。
【0051】
検索部46は、メニュー受付部45から選択された項目の情報を受け、選択された項目に応じた処理を実行する。たとえば、ウェブ検索によって文字検索を実行すべき項目が選択された旨の情報を受けると、検索部46は、ウェブ検索の文字検索に必要な処理を行う。図8に示す例を用いてより具体的に説明する。「ウェブ検索」の「文字」が選択された旨の情報を受けると、検索部46は、まず、ウェブブラウザが起動しているかどうか判定し、起動していない場合はウェブブラウザを起動させてネットワークを介して外部の情報検索用のウェブページの内容を取得させる。そして、このウェブページを用いて決定文字列について文字検索を実行し、この文字検索の結果取得されるウェブページの画像を表示部31に表示させる。
【0052】
一方、「ファイル検索」が選択された旨の情報を受けると、検索部46は、たとえば携帯電話機10の記憶部23に記憶されているデータから決定文字列と一致する文字列を含むデータを検索する。この場合、具体的には、「ファイル検索」が選択された旨の情報を受けると、検索部46は、ファイル検索に用いられるプログラムが起動しているかどうかを判定し、起動していない場合はファイル検索に用いられるプログラムを起動させ、このプログラムを用いて決定文字列についてファイル検索を実行し、ファイル検索の結果の画像を表示部31に表示させる。
【0053】
次に、本実施形態に係る携帯電話機10の動作の一例について説明する。
【0054】
図10は、図1に示す携帯電話機10のCPUにより、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援する処理を実行する際の手順を示すフローチャートである。図10において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0055】
この手順は、元文字列を含む情報が表示部31に表示された時点でスタートとなる。なお、以下の説明では、元文字列を含む情報は、電子メールアプリケーションプログラム(メールアプリケーション)により受信された電子メールに含まれており、メールアプリケーションが起動されてメールアプリケーションがこの受信された電子メールを表示部31に表示させる場合の例について示す(図4参照)。
【0056】
まず、ステップS1において、選択文字列受付部41は、表示部31に表示された元文字列からユーザによりタッチセンサ32を介して選択された仮選択文字列の情報を取得する。このとき、ユーザは、表示部31に表示された文字列のうち選択したい文字列上を指先でなぞることにより、選択したい文字列の情報を選択文字列受付部41に与える。たとえば、図4に示す元文字列からユーザが「感圧式タッチパネル」を選択希望文字列としていながら、実際には「圧式タッチパ」のみを指先でなぞった場合(図5参照)、選択文字列受付部41は、「圧式タッチパ」を仮選択文字列として取得する(図6参照)。
【0057】
次に、ステップS2において、候補作成部42は、選択文字列受付部41から受けた仮選択文字列の情報にもとづいてユーザが本当に選択したかった文字列の候補(候補文字列群)を作成し、表示部31に表示させる。たとえば、候補作成部42が候補文字列群を仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列を利用して作成する場合、候補生成部は、仮選択文字列である「圧式タッチパ」の情報にもとづいて、仮選択文字列の前後の元文字列に含まれる文字列とあわせて形態素解析し、たとえば「圧式タッチパ」、「感圧式タッチパネル」、「感圧式タッチ」、「タッチパネル」、「感圧式」、「タッチ」、「パネル」を候補文字列群として作成して表示部31に表示させる(図7参照)。
【0058】
次に、ステップS3において、決定文字列受付部43は、決定文字列の情報を取得する。決定文字列は、候補文字列群のうちの一つの文字列をユーザがタッチセンサ32を介して触れることにより選択される。
【0059】
次に、ステップS4において、メニュー表示部44は、決定文字列受付部43から決定文字列の情報を取得した旨の情報を受け、この決定文字列に対して取りうる動作をユーザに提示するメニューを表示部31に表示させる。図8に示すように、この項目には、少なくとも情報検索を実行すべき旨の項目(図8では例として「検索」とした項目)が含まれる。
【0060】
次に、ステップS5において、メニュー受付部45は、ユーザがタッチセンサ32を介して触れることにより選択された項目の情報を受けつける。
【0061】
次に、ステップS6において、メニュー受付部45は、選択された項目が検索に関する項目であるか否かを判定する。検索に関する項目が選択された場合は、その旨の情報および決定文字列の情報を検索部46に与えてステップS7に進む。一方、検索に関する項目以外の項目が選択された場合は、ステップS8に進む。
【0062】
次に、ステップS7において、検索部46は、決定文字列の情報にもとづいて情報検索処理を行い、この情報検索の結果を表示部31に表示させて一連の手順は終了となる。
【0063】
他方、ステップS8において、制御部24は、メニュー受付部45から選択された項目の情報および決定文字列の情報をうけ、選択された項目に応じた機能を実現して一連の手順は終了となる。たとえば、図8に示した例において「コピー」が選択されると、制御部24は、決定文字列をRAMや記憶部23などに一時的に記憶する。
【0064】
以上の手順により、携帯電話機10は、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援することができる。
【0065】
続いて、決定文字列の情報にもとづいて情報検索を行う際の手順を説明する。図11は、図10のステップS7で制御部24により実行される情報検索処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図11において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0066】
なお、以下の説明では、図9に示すように検索部46がウェブ検索とファイル検索のいずれの機能も備え、かつ、ウェブ検索についていわゆる文字検索や画像検索などの複数種の検索方法が可能である場合の例について示す。
【0067】
ステップS71において、メニュー受付部45は、情報検索を行うプログラムおよび検索方法を決定すべく、情報検索の種別の情報を取得する。図9に示す例では、メニュー受付部45は、ウェブ検索およびファイル検索から選択された項目の情報を情報検索の種別の情報として取得する。また、図9に示す例では、メニュー受付部45は、ウェブ検索が選択された場合には文字検索や画像検索などのいずれの方法で検索を行うかの情報を取得する。
【0068】
次に、ステップS72において、検索部46は、メニュー受付部45から情報検索の種別の情報を受け、この種別で情報検索するために必要なプログラムが起動中であるか否かを判定する。たとえば、情報検索の種別としてウェブ検索が選択された場合、検索部46は、ウェブブラウザが起動中であるか否かを判定する。また、情報検索の種別としてファイル検索が選択された場合、検索部46は、ファイル検索に用いられるプログラムが起動中であるか否かを判定する。プログラムが起動していない場合は、ステップS73に進む。一方、起動中である場合はステップS74に進む。
【0069】
次に、ステップS73において、検索部46は、情報検索するために必要なプログラムを起動する。
【0070】
次に、ステップS74において、検索部46は、情報検索するために必要なプログラムを用いて決定文字列の情報にもとづいて情報検索を行う。たとえば、メニュー受付部45からウェブ検索によって文字検索を実行すべき項目が選択された旨の情報を受けた場合、検索部46は、ウェブブラウザに対してネットワークを介して外部の情報検索用のウェブページの内容を取得させ、このウェブページを用いて決定文字列について文字検索を実行させる。また、メニュー受付部45からファイル検索を実行すべき項目が選択された旨の情報を受けると、検索部46は、ファイル検索に用いられるプログラムを用いて決定文字列についてファイル検索を実行する。
【0071】
次に、ステップS75において、検索部46は、情報検索の結果を表示部31に表示させて、図10のステップS7の処理は終了となる。
【0072】
以上の手順により、決定文字列の情報にもとづいて情報検索を行うことができる。
【0073】
本実施形態に係る携帯電話機10は、ユーザにより選択された文字列の情報にもとづいて、ユーザが本当に選択したかった文字列(選択希望文字列)を複数予想して候補文字列群として提示する。このため、ユーザは、タッチセンサ32を介して文字列を選択する際に誤操作をしてしまい、選択希望文字列とは異なる文字列を選択してしまっても、候補文字列から選択希望文字列を選択することができる。したがって、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、ユーザは、タッチセンサ32を介して文字列を選択する際には大まかな操作を行い、この大まかな操作により選択された文字列にもとづいて作成された候補文字列群から選択希望文字列を選択することができるため、所望の文字列を的確かつ容易に選択することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る携帯電話機10は、文字列が選択された際にこの文字列について情報検索すべき旨の指示があると、情報検索に必要なプログラムを自動的に起動して情報検索結果を表示させる。このため、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、ユーザは、大まかに文字列を選択するだけで、的確かつ容易に所望の文字列を抽出することができるだけでなく、この文字列について非常に容易に情報検索を行うことができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0076】
たとえば、本実施形態では入力部がタッチセンサである場合の例について示したが、入力部は表示部に表示された文字列を選択可能に構成されていればよく、タッチセンサに限らずマウスなど他のポインティングデバイスであってもよい。
【0077】
また、本発明は、本実施形態で説明した携帯電話機のほかにも、様々な携帯型情報処理装置に適用可能であり、たとえば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの携帯型の情報処理装置に適用することが可能である。特に、本発明は表示部が小型である携帯型情報処理装置に対してより好適である。
【0078】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】(a)は本発明に係る携帯電話機の正面斜視図、(b)は本発明に係る携帯電話機の裏面斜視図。
【図2】携帯電話機の機能ブロック図。
【図3】図2に示す制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図4】元文字列を含む情報が表示入力部の表示部に表示された様子の一例を示す説明図。
【図5】ユーザがタッチセンサの所望の文字列上を指先でなぞることにより元文字列から所望の文字列を選択する様子の一例を示す説明図。
【図6】元文字列から仮選択文字列が選択された様子の一例を示す説明図。
【図7】候補文字列群が表示された様子の一例を示す説明図。
【図8】決定文字列について表示されるメニューの一例を示す説明図。
【図9】検索部が少なくともウェブ検索とファイル検索の機能を備え、かつ、ウェブ検索についていわゆる文字検索や画像検索などの複数種の検索方法が可能である場合のメニューの一例について示す説明図。
【図10】図1に示す携帯電話機のCPUにより、ユーザが所望する文字列を容易かつ的確に選択できるよう支援する処理を実行する際の手順を示すフローチャート。
【図11】図10のステップS7で制御部により実行される情報検索処理の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
10 携帯電話機
11 表示入力部
12 スピーカ
13 マイクロフォン
14 電源ボタン
15 撮像部
21 アンテナ
22 送受信部
23 記憶部
24 制御部
31 表示部
32 タッチセンサ(入力部)
41 選択文字列受付部
42 候補作成部
43 決定文字列受付部
44 メニュー表示部
45 メニュー受付部
46 検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された文字列から入力部を介して選択された文字列の情報を取得する選択文字列受付部と、
前記選択された文字列の情報にもとづいて、前記選択された文字列に関連する複数の文字列を作成して前記表示部に表示させる候補作成部と、
前記作成された複数の文字列から前記入力部を介して決定された1つの文字列の情報を取得する決定文字列受付部と、
前記決定文字列受付部から前記決定された1つの文字列の情報を受けて前記1つの文字列の情報にもとづいて情報検索を行い、この情報検索の結果を前記表示部に表示させる検索部と、
を備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項2】
前記検索部は、
前記決定文字列受付部から前記決定された1つの文字列の情報を受けると、自動的に前記情報検索に必要なプログラムを起動してこのプログラムを用いて前記決定された1つの文字列の情報にもとづいて情報検索を行い、この情報検索の結果を前記表示部に表示させる、
請求項1記載の携帯型情報処理装置。
【請求項3】
前記情報検索は、
ネットワークを介して外部の情報検索用のウェブページを用いて行われるいわゆるウェブ検索であり、
前記検索部は、
前記決定文字列受付部から前記決定された1つの文字列の情報を受けると、自動的に前記情報検索に必要なウェブブラウザを起動してネットワークを介して外部の情報検索用のウェブページの内容を取得させ、前記ウェブページを用いて前記決定された1つの文字列の情報にもとづいて情報検索を行い、この情報検索の結果取得される前記ウェブページの画像を前記表示部に表示させる、
請求項2記載の携帯型情報処理装置。
【請求項4】
前記1つの文字列が決定されると少なくとも情報検索を実行すべき旨の項目を含む複数の項目を前記表示部に表示させるメニュー表示部と、
前記複数の項目から前記入力部を介して前記情報検索を実行すべき旨の項目が選択されると、その旨の情報を前記検索部に与えるメニュー受付部と、
をさらに備え、
前記検索部は、
前記決定された1つの文字列の情報を前記決定文字列受付部から、前記情報検索を実行すべき旨の項目が選択された旨の情報を前記メニュー受付部から、それぞれ受けると、前記決定された1つの文字列の情報にもとづいて情報検索を行う、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項5】
前記候補作成部は、
前記選択された文字列の前後にそれぞれ連続する1つ以上の文字の情報を用いて基準となる文字列を作成し、この基準となる文字列にもとづいて前記複数の文字列を作成する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の携帯型情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−134679(P2010−134679A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309710(P2008−309710)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】