説明

携帯型情報機器

【課題】小型な構成でカーソル操作等の多様な操作を良好に行えるようにする。
【解決手段】ディスプレイと、押下操作されるスイッチと、そのスイッチを押下するための操作ノブとを具備する携帯型情報機器において、操作ノブ31に指が接触したことを検出する接触検出手段と、その接触検出手段により検出される指の接触状態の継続時間を計時する計時手段と、その継続時間が予め設定された単位時間を越えた時、指の接触に基づいてディスプレイ22上で実行される動作を変更するための信号を出力する変更手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯電話機やPHS、PDAさらにはデジタルカメラ等の携帯型の情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やデジタルカメラには各種操作を行うための5WAYスイッチと呼ばれるスイッチが搭載されている。図18はこの5WAYスイッチが搭載されている携帯電話機の概要を示したものであり、5WAYスイッチ11は図中に番号1〜5を付した箇所を押下することで各種の操作を行うことができるものとなっている。一般的にはリング状をなす操作ノブ12の番号1〜4を付した箇所を押下することで各種項目を選択し、番号5を付した円形の中央操作ノブ13を押下することで選択した項目を決定することができるものとなっている。図18中、21は電話機本体を示し、22はディスプレイを示す。
図19はディスプレイ22の表示画面を例示したもので、例えば図19Aのような表示画面で項目を選択する場合、操作ノブ12の番号1を付した箇所を押下することで選択領域が図19Bに示したように上方に移動し、“002 BBB”を選択することができる。“002 BBB”が選択された状態で中央操作ノブ13(番号5を付した箇所)を押下すると、“002 BBB”を実行することができる。仮に、図19に示された各項目が楽曲であった場合、中央操作ノブ13を押下すると“002 BBB”の楽曲が再生される。
【0003】
ところで、最近の携帯電話機においては上述したような5WAYスイッチのみでは操作が難しくなる状況が生じている。その理由は現在パーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)等で閲覧しているインターネット画面を携帯電話機で閲覧したいという市場の要求による。
従来、携帯電話機ではPCとは異なるインターネット画面を表示させており、その操作は5WAYスイッチで充分であった。しかしながら、携帯電話機の高機能化に伴い、PCで表示させていたインターネット画面を表示できる携帯電話機(一般的にはフルブラウザと呼ばれている)が数年前から登場した。
このような携帯電話機が登場したことにより、携帯電話機にもカーソルを操作できるようなポインティングデバイスが望まれていた。
【0004】
特許文献1にはカーソルの操作ができるポインティングデバイスを搭載した携帯電話機が記載されており、その構成は従来の5WAYスイッチの中央の押下スイッチの部分にポインティングデバイスを搭載したものとなっている。
このポインティングデバイスは図20に矢印で示したように中央操作ノブ13’を多方向に移動(スライド)させることでカーソルを操作可能としたものであり、また押下することにより操作されるスイッチとしての機能も持っている。
【特許文献1】特開2006−197159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記のようなポインティングデバイスは中央操作ノブをスライドさせ、その移動量の変化によりカーソルを動作させるため、中央操作ノブをスライドするための面積が必要となることから、小型化には限界があり、よって携帯電話機等の小型化が要求される携帯型情報機器への搭載は搭載スペースを確保する必要があることから、その小型化を阻害する要因となる。
また、カーソル操作に加え、中央操作ノブを押下することで、選択した項目を決定することができるが、押下する際に中央操作ノブがスライドする恐れがあり、これにより所望の選択項目とは異なる項目を決定してしまうといった問題もある。
この発明の目的はこのような問題に鑑み、従来のポインティングデバイスのようにスライド動作させる面積を確保する必要がなく、小型な構成でカーソル操作等の多様な操作を良好に行うことができる操作デバイスを搭載した携帯型情報機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、ディスプレイと、押下操作されるスイッチと、そのスイッチを押下するための操作ノブとを具備する携帯型情報機器において、操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段と、その接触検出手段により検出される指の接触状態の継続時間を計時する計時手段と、その計時手段により計時される継続時間が予め設定された単位時間を越えた時、接触検出手段で検出される指の接触に基づいてディスプレイ上で実行される動作を変更するための信号を出力する変更手段とが設けられる。
請求項2の発明では請求項1の発明において、前記スイッチはクリック感を発生するスイッチとされ、操作ノブはその中心に対して4方向に配置された4つの前記スイッチを選択押下可能とされ、接触検出手段は操作ノブの中心回りに等角間隔で少なくとも4つ配置されて、それら接触検出手段により操作ノブに対する指の接触位置を検出可能とされる。
請求項3の発明では請求項2の発明において、ディスプレイにカーソルを表示するカーソル表示手段と、そのカーソル表示手段によって表示されたカーソルをディスプレイ上で移動させるカーソル移動手段とを備え、カーソル移動手段は接触検出手段によって検出される指の接触位置に対応して所定の方向へカーソルを移動させ、かつ変更手段からの信号によりカーソルの移動速度を増大させる。
【0007】
請求項4の発明では請求項3の発明において、ディスプレイの表示画面を移動させる画面移動手段を備え、画面移動手段はディスプレイの周縁部に設定された画面移動領域にカーソルが進入し、かつカーソル移動手段からその進入方向にさらにカーソルを移動させる信号が出力されている場合に、表示画面を前記進入方向と反対方向に移動させる。
請求項5の発明では請求項3の発明において、ディスプレイの表示画面を移動させる画面移動手段を備え、画面移動手段は前記スイッチが押下操作されると、その押下操作されたスイッチが前記中心に対して位置する方向と反対方向に表示画面を移動させる。
請求項6の発明では請求項4の発明において、カーソル移動手段は前記スイッチが押下操作されると、その押下操作されたスイッチが前記中心に対して位置する方向にカーソルを加速移動させる。
請求項7の発明では請求項4の発明において、前記スイッチを押下操作することにより、カーソル周辺がアクティブ状態になる。
【0008】
請求項8の発明では請求項4の発明において、ディスプレイの表示画面を拡大縮小させる画面拡大縮小手段を備え、画面拡大縮小手段は複数の接触検出手段が所定時間内に連続して指の接触を検出した時、その検出順序に応じて表示画面を拡大縮小させる。
請求項9の発明によれば、ディスプレイと、押下操作されるスイッチと、そのスイッチを押下するための操作ノブとを具備する携帯型情報機器において、前記スイッチはクリック感を発生するスイッチとされ、操作ノブはその中心に対して4方向に配置された4つの前記スイッチを選択押下可能とされ、操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段が操作ノブの中心回りに等角間隔で少なくとも4つ配置されて、それら接触検出手段により操作ノブに対する指の接触位置を検出可能とされており、接触検出手段で検出される指の接触位置に基づいてディスプレイ上で実行される動作と、複数の接触検出手段が指の接触を所定時間内に連続して検出した時にディスプレイ上で実行される動作とが異なるものとされる。
請求項10の発明によれば、操作ノブを押下することにより操作されるスイッチを複数具備する携帯型情報機器において、操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段が各操作ノブに配置され、それら各操作ノブに配置された接触検出手段が指の接触を所定時間内に連続して検出した時、前記スイッチに割り当てられた機能を変更するものとされる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、従来のポインティングデバイスのようにスライド操作するための面積を確保する必要がなく、例えば従来の5WAYスイッチと同等の小型な構成でカーソル操作等の操作を良好に行うことができ、かつ多様な操作を行うことができる操作デバイスを搭載した携帯型情報機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
[実施例1]
図1はこの発明による携帯型情報機器の一実施例として携帯電話機の外観概要を示したものであり、図中、21は電話機本体を示し、22はディスプレイを示す。
この例では図18に示した従来の携帯電話機と同様、押下操作される5WAYスイッチを備えており、さらにこの5WAYスイッチに接触検出手段(タッチセンサ)が付加された構造となっている。接触検出手段はリング状をなす操作ノブ31に指が接触したことを検出するもので、この例では操作ノブ31の中心回りに等角間隔で、つまり45°間隔で8つ配置されている。操作ノブ31の番号1〜8を付した箇所は接触検出手段が配置されている箇所を示す。
一方、押下操作されるスイッチはクリック感を発生するスイッチ(クリックスイッチ)とされ、操作ノブ31の番号1,3,5,7を付した箇所に配置されている。操作ノブ31はこれら中心に対して4方向に配置されたスイッチを選択押下可能とされ、また8つの接触検出手段により操作ノブ31に対する指の接触位置が検出可能とされている。なお、番号9を付した中央操作ノブ32には接触検出手段は配置されておらず、押下操作されるスイッチのみが配置されている。
【0011】
図2はこのように5WAYスイッチに接触検出手段が付加された構造の操作デバイス30の構造を一部分解して示したものであり、押下操作される5つのスイッチ33はベース34上に配置された接点パターンが形成されたFPC33aと各接点パターン部に搭載されたクリックドーム33bとによって構成され、これらスイッチ33と操作ノブ31との間に、この例ではメンブレンスイッチが接触検出手段35として配置されている。なお、接触検出手段35としてはメンブレンスイッチ(感圧方式)に限らず、静電容量方式のものも用いることができる。
操作ノブ31及び中央操作ノブ32の下面側にはラバーシート36が配され、このラバーシート36には操作ノブ31及び中央操作ノブ32の番号1〜9を付した箇所に対応して押圧用の突起が形成されている。
【0012】
図3は携帯電話機の回路構成の要部を示したものであり、CPU40とROM51とRAM52と入力回路53,54と表示回路55と計時手段56とを備え、入力回路53,54にはそれぞれ前述したスイッチ33及び接触検出手段35が接続され、表示回路55にはディスプレイ22が接続されている。なお、通信や音声関係等の回路の図示は省略している。
ROM51には携帯電話機の各部を制御するための制御プログラムや固定的なデータが格納され、RAM52には一時的なデータが格納される。
押下判定手段41、接触判定手段42、表示制御手段43、比較手段44、変更手段45はCPU40によって構成されており、表示制御手段43はカーソル表示手段43a、カーソル移動手段43b、画面移動手段43c、画面拡大縮小手段43dを含むものとされる。
【0013】
押下判定手段41はスイッチ33が押下操作されたことを判定し、5つのスイッチ33のうちのどのスイッチ33が操作ノブ31あるいは中央操作ノブ32によって押下されたかを判定する。接触判定手段42は8つの接触検出手段35のうち、どの接触検出手段35が操作ノブ33に対する指の接触を検出したかを判定する。
カーソル表示手段43aはディスプレイ22にカーソルを表示させ、カーソル移動手段43bはカーソルをディスプレイ22上で移動させる。画面移動手段43cはディスプレイ22の表示画面を移動させ、画面拡大縮小手段43dはディスプレイ22の表示画面を拡大・縮小させる。
比較手段44は計時手段56によって計時される時間と予め設定された時間とを比較する。変更手段45は計時手段56で計時される時間が予め設定された時間を越えた時、ディスプレイ22上で実行される動作を変更するための信号を出力する。
【0014】
図4は上記のような構成を有する携帯電話機において、接触検出手段35による指の接触検出に基づくカーソル、画面制御の流れを示したものであり、以下、順に説明する。
操作ノブ31への接触を検出したかどうかを判定し(ステップS101)、接触を検出した場合は指の接触位置に対応した移動方向にカーソルを予め設定された速度で移動させる(ステップS102)。図5はディスプレイ22に地図画面が表示されている場合を例にカーソル移動の様子を示したものであり、図5Aは初期状態、図5Bはカーソル移動状態を示し、操作ノブ31の番号1を付した箇所に指が接触している場合、カーソルは図5Bに示したように上方へ移動する。
操作ノブ31への接触を検出すると、計時手段56によってその指の接触状態の継続時間が計時され、予め設定された単位時間を越えた時(ステップS103)、変更手段45から出力される信号によりカーソル移動手段43bはカーソル移動速度を増大させる(ステップS104)。カーソル移動速度の増大は所定値増大させてもよく、また接触状態の継続時間に応じてカーソルが加速移動するようにしてもよい。
【0015】
図6は図5と同様、地図画面において操作ノブ31の番号1を付した箇所に指が接触している場合のカーソルが加速移動する様子を示したものであり、図6Aは初期状態、図6Bはカーソルの加速移動状態を示す。
一方、この例では図7Aに示したようにディスプレイ22の周縁部に画面移動領域22aが設定されており、この画面移動領域22a内にカーソルを移動させることで画面を移動させることができるものとなっている。即ち、カーソル位置が画面移動領域22a内かどうかを判定し(ステップS105)、カーソルが画面移動領域22aに進入しており、かつカーソル移動手段43bからその進入方向にさらにカーソルを移動させる信号が出力されている場合に画面をそのカーソルの進入方向(カーソル移動方向)と逆方向に移動させる(ステップS106)。
【0016】
図7Bは図7Aの画面移動前の状態に対し、このようにして画面が移動された移動後の状態を示す。なお、画面移動領域22a内にカーソルが進入していない場合は引き続きカーソルを移動させる(ステップS107)。
図8は地図上のアイコンにカーソルを合わせた状態で中央操作ノブ32(番号9を付した箇所)を押し込み、スイッチ(クリックスイッチ)をONにした状態の一例を示したものであり、この例ではポップアップメニューが表示され、映画館の上映時間が確認できるものとなっている。
なお、この例ではポップアップメニューが表示されるものとなっているが、インターネット画面で画面内にリンクが配置されており、そのリンクにカーソルを合わせた状態で中央操作ノブ32を押し込み、スイッチをONにすると、画面がリンクに割り当てられた画面に移ることは容易に想像できる。
【0017】
以上説明したように、この例によれば操作ノブ31への指の接触により、カーソルを多方向へ操作可能となっており、さらに画面移動も行えるものとなっている。従って、図20に示したポインティングデバイスのようにスライド動作させる面積は不要であって、そのような面積を確保する必要がないため、カーソル操作を必要とする携帯型情報機器の小型化に寄与することができ、例えば図18に示した従来の5WAYスイッチと同等の大きさでカーソルのポインティング機能を携帯型情報機器に付加することができる。
また、図20に示した従来例では中央操作ノブ13’に選択、決定の2つの機能を割り当てているのに対し、この例ではリング状の操作ノブ31への接触によりカーソルを移動し、アイコンを選択させ、中央操作ノブ32を押下することで選択されているアイコンを決定するというように、選択と決定の手段が明確に分離している。そのため、決定操作を行う際に、選択しているアイコンがずれたりすることがなく、その点で誤操作を減少させることができる。
【0018】
なお、この例では操作ノブ31への接触によりカーソルと画面の両方を移動させることができるため、操作ノブ31の押下によって操作される4方向のスイッチ33に所望の機能を割り当てることができ、その点で操作性に優れた携帯型情報機器の実現が可能となる。
加えて、操作ノブ31への接触時間と予め設定された単位時間との比較を行い、単位時間を越えた場合に実行する動作を変える(切り替える)ものとなっており、この点でも多様な操作を良好に行えるものとなっている。
なお、この例では操作ノブ31に対する指の接触を番号1〜8を付した8箇所によって検出し、8方向のカーソル移動を行えるものとしているが、例えば番号1,3,5,7の4箇所で接触を検出するようにしてもよく、さらには例えば16箇所で接触を検出するようにしてもよい。
また、この例ではリング状をなす操作ノブ31に接触検出手段(タッチセンサ)が付加されており、中央操作ノブ32には接触検出手段は配置されていないが、特に接触検出手段の配置場所を限定する必要はなく、中央操作ノブ32に複数の接触検出手段が付加されており、リング状をなす操作ノブ31に接触検出手段を配置しない構成も可能である。
【0019】
[実施例2]
実施例1では操作ノブ31への指の接触によりカーソル移動と画面移動の両方を操作することができるものとしているが、この例では操作ノブ31への指の接触によりカーソルが移動操作され、画面移動は操作ノブ31の押下によるスイッチ33の押下操作によって行うようにしたものである。
図9はこの場合のカーソル、画面制御の流れを示したものであり、ステップS101からステップS104までは実施例1と同じである。
この例では操作ノブ31が押下されたかどうかを判定し(ステップS111)、押下された場合はカーソルの動作を停止し(ステップS112)、押下位置に対応してつまりONとされたスイッチ33の位置に対応して画面を移動させる(ステップS113)。
【0020】
図10はこの画面移動の様子を示したものであり、図10Aは初期状態、図10Bは移動後の状態を示す。操作ノブ31の番号1を付した箇所を押し込み、スイッチ33をONさせると、この図10に示したように画面は下方に移動する。なお、この時、接触検出手段35は番号1を付した箇所への接触を検出しており、本来、カーソルは上方へ移動するが、ユーザが画面移動からカーソル移動に移る場合にカーソルの位置を見失わないように画面を移動させている場合はカーソルの動作を止めている。
この実施例2に示したように、4方向のスイッチ33に画面移動機能を割り当てるようにしてもよい。
【0021】
[実施例3]
実施例3は実施例1では規定していなかったスイッチ33の機能をカーソルの加速移動に割り当てるようにしたものであり、操作ノブ31への接触によるカーソルの動作及び画面移動の動作については実施例1と同様である。
この例では例えば操作ノブ31の番号1を付した箇所を押し込み、スイッチ33をONにすると、カーソルが加速移動する。この加速移動は前述の実施例1において図6で示したカーソルの加速移動と同様であり、押下操作されたスイッチ33が操作ノブ31の中心に対して位置する方向にカーソルを加速移動させることができる。スイッチ33の割り当ては番号1を付した箇所:上、番号3を付した箇所:右、番号5を付した箇所:下、番号7を付した箇所:左となる。
この例では接触検出手段35によるカーソル移動とは別に、スイッチ33によるカーソル加速機能を付加したことで、アイコンの選択と画面の大きな移動時の操作が快適となる。
即ち、アイコンの選択時にはカーソル速度は遅い方が所定の位置のアイコンにカーソルを合わせることが容易であるのは当然のことであるが、カーソル速度を遅くすると、画面を大きく移動させる際に時間がかかってしまうという問題がある。この例では画面を大きく移動させる際には操作ノブ31を押下してカーソルを加速移動させればよく、快適な操作性の携帯型情報機器を提供することができる。
【0022】
[実施例4]
実施例4は実施例1では規定していなかったスイッチ33の機能をアイコンのアクティブ状態移動に割り当てるようにしたものであり、カーソルの動作及び画面移動の動作については実施例1と同様である。
図11はこの様子を示したものであり、図11Aに示した状態で操作ノブ31の番号1,3,5,7を付した箇所のいずれかを押し込み、スイッチ33をONにすると、カーソル付近のアイコンがアクティブ状態になる。図11Aの場合では駅アイコンがカーソルに最も近いので駅アイコンがアクティブになる。
次に、操作ノブ31の番号3を付した箇所を押し込み、スイッチ33をONにすると、駅アイコンより右にある映画アイコンが図11Bに示したようにアクティブとなる。さらに、映画アイコンがアクティブ状態の時に、中央操作ノブ32を押し込み、スイッチ33をONにすると、この場合はポップアップメニューが図11Cに示したように表示され、映画の上映時間を確認することができる。
この例では上述したように操作ノブ31を押下し、4方向に配置されたスイッチ33を適宜、ONさせることによりアクティブ状態の移動を行うことができ、つまりカーソルによるアイコンの選択とは別にスイッチ33によるアクティブ状態移動を追加したことにより、カーソルを移動させるよりも早く所望のアイコンを選択することができる。
また、カーソルによる選択とクリックによる選択の両方を一つの操作デバイス(ポインティングデバイス)にて提供することでユーザは操作方法を自分で選択することができ、より多くのユーザに受け入れられる携帯型情報機器を提供することが可能となる。
【0023】
[実施例5]
実施例5では実施例1と同様、操作ノブ31への指の接触によって、つまり接触検出手段35の接触検出によってカーソルと画面の両方を移動させるが、操作ノブ31の番号1〜8を付した箇所に配置されている接触検出手段35が連続して指の接触を検出した時、即ち、複数の接触検出手段35への連続した操作(以下、モーション入力と言う)が行われた時、表示画面を拡大縮小するようにしたものである。
図12はこの場合の画面制御の流れを示したものであり、まず操作ノブ31への接触を検出したかどうかを判定する(ステップS101)。接触を検出した場合は複数の箇所が連続して接触検出したかどうかを判定する(ステップS121)。具体的には操作ノブ31の番号1〜8を付した8箇所のうち、例えば5箇所が連続して接触検出したかどうかを判定する。そして、5箇所連続接触検出された場合は、その入力時間が所定時間内かどうかを判定する(ステップS122)。入力時間が所定時間内であった場合はその入力順序(検出順序)が時計方向かどうかを判定する(ステップS123)。入力順序が時計方向である場合は画面を拡大し(ステップS124)、入力順序が反時計方向である場合は画面を縮小する(ステップS125)。
なお、ステップS121において5箇所連続接触されていないと判定された場合は図4に示したフローチャート(もしくは図9に示したフローチャート)のステップS102に進む。
【0024】
図13は一例として画面拡大の様子を示したものであり、図13Aは初期状態、図13Bは拡大後の状態を示す。この例では操作ノブ31の番号1〜5を付した箇所がこの順序に連続して接触操作されることによってディスプレイ22に表示された地図が拡大している。
なお、この例では連続接触検出の数を5個(5箇所)としているが、これに限らず、複数であればよい。しかしながら、この例のように5個とすることで、つまりリング状の操作ノブ31における半周分とすることでモーション入力の検出の確実性が増す。
【0025】
[実施例6]
この例は操作ノブを押下することにより操作されるスイッチを複数具備する携帯型情報機器において、操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段を各操作ノブに配置し、各操作ノブに配置された接触検出手段が指の接触を所定時間内に連続して検出した時、つまりモーション入力が行われた時、スイッチに割り当てられた機能を変更するようにしたものである。
図14に示したように携帯電話機は長方形状の3つの操作ノブ61〜63を有するものとする。これら操作ノブ61〜63には接触検出手段がそれぞれ配置されており、さらに前述の図2に示した構成と同様の構成で接触検出手段の下にスイッチ(クリックスイッチ)がそれぞれ配置されているものとする。図中、64は電話機本体を示し、65はディスプレイを示す。
図15はこの携帯電話機の回路構成の要部を示したものであり、図3と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16はこのような構成を有する携帯電話機において、モーション入力による機能変更の流れを示したものである。まず、操作ノブ61〜63に指が接触したかどうかを判定する(ステップS201)。接触を検出した場合は3個の操作ノブ61〜63において連続接触検出されたかどうかを判定する(ステップS202)。3個連続接触検出された場合はその入力時間が所定時間内かどうかを判定する(ステップS203)。そして、入力時間が所定時間内であった場合はスイッチ33に割り当てられている機能を変更する(ステップS204)。
【0026】
図17はこの機能割り当て変更の一例を示したものであり、図17Aに示したように各操作ノブ61〜63のスイッチには音楽プレイヤー操作用の3つの機能(曲戻し、再生、曲送り)が割り当てられているが、操作ノブ61〜63に対するモーション入力により図17Bに示したように各操作ノブ61〜63のスイッチに割り当てられる機能が音量DOWN、←(メニューへ戻る)、音量UPの3つに変更される。
なお、この図17に示したようにディスプレイ65の下部に各操作ノブ61〜63の現在の機能が表示されていると、スイッチに割り当てられた現在の機能が分からなくなってしまうことがない。
この例によれば、所定時間内に接触検出手段が連続操作された場合、その入力順序によってスイッチに割り当てられた機能を変更することができる。
従来はメニュー変更するために別のスイッチを設けなければならなかったが、モーション入力によりメニューを変更することができるため、スイッチの数を減らすことができ、よって機器の小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明による携帯型情報機器の実施例1の外観概要を示す平面図。
【図2】図1における操作デバイスの一部分解した斜視図。
【図3】図1に示した携帯電話機の回路構成の要部を示すブロック図。
【図4】実施例1におけるカーソル、画面制御の流れを示すフローチャート。
【図5】カーソルの移動(等速移動)を示す図。
【図6】カーソルの加速移動を示す図。
【図7】画面移動を示す図。
【図8】決定動作の一例を示す図。
【図9】この発明の実施例2におけるカーソル、画面制御の流れを示すフローチャート。
【図10】画面移動を示す図。
【図11】アイコンのアクティブ状態、決定動作の一例を示す図。
【図12】この発明の実施例5におけるカーソル、画面制御の流れを示すフローチャート。
【図13】画面拡大を示す図。
【図14】この発明による携帯型情報機器の実施例6の外観概要を示す平面図。
【図15】図14に示した携帯電話機の回路構成の要部を示すブロック図。
【図16】実施例6における機能変更の流れを示すフローチャート。
【図17】機能割り当て変更を示す図。
【図18】携帯電話機の一従来例の外観概要を示す平面図。
【図19】カーソル移動を示す図。
【図20】携帯電話機の他の従来例の外観概要を示す平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、押下操作されるスイッチと、そのスイッチを押下するための操作ノブとを具備する携帯型情報機器において、
前記操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段と、
その接触検出手段により検出される指の接触状態の継続時間を計時する計時手段と、
その計時手段により計時される前記継続時間が予め設定された単位時間を越えた時、前記接触検出手段で検出される指の接触に基づいて前記ディスプレイ上で実行される動作を変更するための信号を出力する変更手段とを設けたことを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項2】
請求項1記載の携帯型情報機器において、
前記スイッチはクリック感を発生するスイッチとされ、
前記操作ノブはその中心に対して4方向に配置された4つの前記スイッチを選択押下可能とされ、
前記接触検出手段は前記操作ノブの中心回りに等角間隔で少なくとも4つ配置されて、それら接触検出手段により前記操作ノブに対する指の接触位置を検出可能とされていることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項3】
請求項2記載の携帯型情報機器において、
前記ディスプレイにカーソルを表示するカーソル表示手段と、
そのカーソル表示手段によって表示されたカーソルを前記ディスプレイ上で移動させるカーソル移動手段とを備え、
前記カーソル移動手段は前記接触検出手段によって検出される指の接触位置に対応して所定の方向へカーソルを移動させ、かつ前記変更手段からの信号によりカーソルの移動速度を増大させることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項4】
請求項3記載の携帯型情報機器において、
前記ディスプレイの表示画面を移動させる画面移動手段を備え、
前記画面移動手段は前記ディスプレイの周縁部に設定された画面移動領域に前記カーソルが進入し、かつ前記カーソル移動手段からその進入方向にさらにカーソルを移動させる信号が出力されている場合に、表示画面を前記進入方向と反対方向に移動させることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項5】
請求項3記載の携帯型情報機器において、
前記ディスプレイの表示画面を移動させる画面移動手段を備え、
前記画面移動手段は前記スイッチが押下操作されると、その押下操作されたスイッチが前記中心に対して位置する方向と反対方向に表示画面を移動させることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項6】
請求項4記載の携帯型情報機器において、
前記カーソル移動手段は前記スイッチが押下操作されると、その押下操作されたスイッチが前記中心に対して位置する方向にカーソルを加速移動させることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項7】
請求項4記載の携帯型情報機器において、
前記スイッチを押下操作することにより、前記カーソル周辺がアクティブ状態になることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項8】
請求項4記載の携帯型情報機器において、
前記ディスプレイの表示画面を拡大縮小させる画面拡大縮小手段を備え、
前記画面拡大縮小手段は複数の前記接触検出手段が所定時間内に連続して指の接触を検出した時、その検出順序に応じて表示画面を拡大縮小させることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項9】
ディスプレイと、押下操作されるスイッチと、そのスイッチを押下するための操作ノブとを具備する携帯型情報機器において、
前記スイッチはクリック感を発生するスイッチとされ、
前記操作ノブはその中心に対して4方向に配置された4つの前記スイッチを選択押下可能とされ、
前記操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段が前記操作ノブの中心回りに等角間隔で少なくとも4つ配置されて、それら接触検出手段により前記操作ノブに対する指の接触位置を検出可能とされており、
前記接触検出手段で検出される指の接触位置に基づいて前記ディスプレイ上で実行される動作と、複数の前記接触検出手段が指の接触を所定時間内に連続して検出した時に前記ディスプレイ上で実行される動作とが異なることを特徴とする携帯型情報機器。
【請求項10】
操作ノブを押下することにより操作されるスイッチを複数具備する携帯型情報機器において、
前記操作ノブに指が接触したことを検出する接触検出手段が各操作ノブに配置され、
それら各操作ノブに配置された接触検出手段が指の接触を所定時間内に連続して検出した時、前記スイッチに割り当てられた機能を変更することを特徴とする携帯型情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−90618(P2008−90618A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271056(P2006−271056)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】