説明

携帯型無線端末機

【課題】ディスプレイの画面全体にテレビジョン放送の受信映像を映し出すことが出来ると共に、テレビジョン放送の視聴中においてもキー操作が容易な携帯型無線端末機を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯型無線端末機において、本体1は、複数の操作キー11が配備された第1筐体10と、所定のアスペクト比を有する矩形状の画面を具えたディスプレイ21が配備された第2筐体20と、両筐体10、20を互いに連結する連結機構4とを具え、連結機構4は、第1筐体10に対して第2筐体20を画面と平行な面に沿って回転させるための枢支機構5を具えている。無線通信時には、前記画面が縦長となる画面配置形態にて表示が行なわれ、テレビジョン放送受信時には、前記画面が横長となる画面配置形態にて表示が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機の如く、矩形状のディスプレイ画面を有する携帯型無線端末機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機は、近年、電話通信機能を具えるに留まらず、メール機能、インターネット機能、カメラ機能などを具えて、様々な情報を処理することが可能な携帯型情報処理無線端末機として益々発展を遂げてきており、最近では、テレビジョン放送受信機能を具えた携帯電話機の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、一般に携帯電話機においては、使用者の持ち易さを考慮して、筐体は縦長に形成され、該筐体の表面の上端部に受話部が配備されると共に下端部には送話部が配備され、受話部と送話部の間の領域には、複数の操作キーとディスプレイとが配備されており、該ディスプレイは、筐体の縦長形状に合わせて上下方向に長い矩形状を呈している。
【0004】
この様な縦長の画面を有する携帯電話機にテレビジョン放送受信機能を搭載して、ディスプレイの画面にテレビジョン放送の受信映像を映し出した場合、該受信映像は、テレビジョン受像機における横長のアスペクト比を有する画面形状に対応させて、横長の長方形の輪郭を有しているので、ディスプレイの画面の上下に黒帯が表示されることとなって、画面全体を映像の表示に利用することが出来ない問題があった。
【0005】
上記問題を解決することが可能な携帯電話機として、例えば図15及び図16に示す如く、本体部(91)に第1回転軸(94)及び第2回転軸(95)を介してフリップ部(92)を支持した携帯電話機が提案されている(特許文献2参照)。
該携帯電話機においては、本体部(91)の表面に複数の操作キー(96)が配備されると共に、該操作キー(96)の下方には送話部(98)が配備されている。又、フリップ部(92)の表面には、縦長の長方形の画面を有するディスプレイ(93)が配備され、該ディスプレイ(93)の上方には受話部(97)が配備されている。
【0006】
上記携帯電話機にテレビジョン放送受信機能を搭載した場合において、無線電話機能を利用するときには、図15に示す如くディスプレイ(93)の画面が縦長となる画面配置形態を設定するのに対し、テレビジョン放送受信機能を利用するときには、図16に示す如く第1回転軸(94)及び第2回転軸(95)を中心としてフリップ部を回転させて、ディスプレイ(93)の画面が横長となる画面配置形態を設定する。これによって、ディスプレイ(93)の画面全体に受信映像を表示することが可能である。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−215217号公報
【特許文献2】
特開2001−169166号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15に示す従来の携帯電話機においては、図16に示す如くテレビジョン放送観賞時にディスプレイ(93)を使用者の視線の方向に向けたとき、本体部(91)の操作キー(96)が使用者から見て横を向くことになるため、使用者がチャンネル切り替えのために操作キー(96)を操作したり、着信に応答して操作キー(96)を操作するとき、操作キー(96)が正面を向いていないため、操作が困難となる問題がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、ディスプレイの画面全体にテレビジョン放送の受信映像を映し出すことが出来ると共に、テレビジョン放送の視聴中においてもキー操作が容易な携帯型無線端末機を提供することである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係る携帯型無線端末機においては、携帯可能な本体を具えると共に、テレビジョン放送受信機能と無線通信機能を有し、前記本体の表面には、複数の操作キーとディスプレイが配備されている。
前記本体は、前記複数の操作キーが配備された第1筐体と、前記ディスプレイが配備された第2筐体と、両筐体を互いに連結する連結機構とを具え、前記ディスプレイは所定のアスペクト比を有する画面を具えている。
前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を前記画面と平行な面に沿って回転させるための枢支機構を具え、無線通信時には、前記画面が縦長となる第1画面配置形態にて表示が行なわれ、テレビジョン放送受信時には、前記画面が横長となる第2画面配置形態にて表示が行なわれる。
【0011】
上記本発明に係る携帯型無線端末機において、無線通信機能を利用するときには、ディスプレイの画面を第1画面配置形態とすることによって、ディスプレイは本体の形状に沿った縦長形状となり、該ディスプレイの画面上には無線通信時に必要な情報が表示される。
これに対し、テレビジョン放送受信機能を利用するときには、ディスプレイの画面を第1筐体に対して90度回転させた第2画面配置形態とすることによって、ディスプレイは横長のアスペクト比を有するテレビジョン放送の受信映像に対応した横長形状となり、これによって、ディスプレイの画面全体をテレビジョン放送の受信映像の表示に利用することが可能となる。
【0012】
又、ディスプレイと操作キーは共に本体の表面に配備されており、ディスプレイの画面は、枢支機構による第2筐体の回転により第1画面配置形態から第2画面配置形態まで同一平面上にて回転するので、ディスプレイと操作キーは共に、第2筐体の回転後も使用者の方向を向いたままである。従って、使用者は、テレビジョン放送を視聴しながら容易にキー操作を行なうことが出来る。
【0013】
又、具体的構成において、前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を前記枢支機構の回転軸と両筐体の配列方向の両方に直交する方向へスライドさせるためのスライド機構を具え、第1画面配置形態又は第2画面配置形態にて第1筐体と第2筐体の距離を短縮することが可能である。
【0014】
上記具体的構成によれば、使用者は、第2筐体を摺動させてディスプレイを第1筐体に接近させた位置にて、テレビジョン放送を視聴することが出来る。
【0015】
更に具体的な構成において、前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を第1画面配置形態と第2画面配置形態のそれぞれにて軟係止するための軟係止構造を具えている。
該具体的な構成においては、ディスプレイの画面が第1画面配置形態にあるとき、第2筐体は軟係止機構によってその姿勢で軟係止され、大きな力が作用しない限りその姿勢が維持される。又、ディスプレイの画面が第2画面配置形態にあるとき、第2筐体は軟係止機構によってその姿勢で軟係止され、大きな力が作用しない限りその姿勢が維持される。
従って、ディスプレイの画面を第1画面配置形態及び第2画面配置形態に設定した状態で、第2筐体が使用者の意思に反して自由に動くことはない。
【0016】
【発明の効果】
本発明に係る携帯型無線端末機によれば、ディスプレイの画面全体にテレビジョン放送の受信映像を映し出すことが出来ると共に、テレビジョン放送の視聴中においてもキー操作を容易に行なうことが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
第1実施例
以下、本発明を折り畳み式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る折り畳み式携帯電話機は、テレビジョン受信機能と無線通信機能を有しており、本体(1)は、図1の如く縦長に形成された第1筐体(10)と、同じく縦長に形成された第2筐体(20)と、両筐体(10)(20)を開閉可能とするヒンジ機構(30)と、両筐体(10)(20)を互いに回転可能且つスライド可能とする連結機構(4)とから構成されており、該連結機構(4)は、第2筐体(20)を第1筐体(10)に対して回転させるための枢支機構(5)と、第2筐体(20)を第1筐体(10)に対して摺動させるためのスライド機構(6)とから構成されている。
第1筐体(10)の上端部にヒンジ機構(30)と連結機構(4)を介して第2筐体(20)の下端部が連結されており、これによって、第1筐体(10)と第2筐体(20)はヒンジ機構(30)の動作により互いに開閉可能となる。
【0018】
第1筐体(10)は、扁平な矩形状の表面を有し、該表面には複数の操作キー(11)が配列されると共に、該操作キー(11)の下方には送話部(12)が配備されている。又、第2筐体(20)は、第1筐体(10)と同様に扁平な矩形状の表面を有しており、該表面には所定のアスペクト比を有する矩形状のディスプレイ(21)が本体(1)の縦長形状に合わせて縦長に配備されると共に、該ディスプレイ(21)の上方には受話部(22)が配備されている。
【0019】
ヒンジ機構(30)の一方の回動端には第1筐体(10)が連結され、他方の回動端には、第2筐体(20)の表面と平行な表面及び背面を具えた支持板(70)が突設されている。図5に示す如く、該支持板(70)の表面と背面には、同軸上に、一対の係合ピン(71)(71)が弾性支持されて支持板(70)の表面及び背面から出没可能に取り付けられている。
【0020】
図4及び図5に示す如く、第2筐体(20)の側面(27)及び端面(28)から筐体内部に向けて、支持板(70)を移動可能に収容すべき支持板収容室(23)がL字状に凹設されており、該支持板収容室(23)には、支持板(70)の表面及び背面と対向する面に、支持板(70)の摺動を案内すべき一対のスライド溝(26)(26)が、互いに対向して形成されている。
該スライド溝(26)(26)の下端部には第1軸受部(24)(24)が凹設されると共に、上端部には第2軸受部(25)(25)が凹設されており、支持板(70)の係合ピン(71)(71)は、第1軸受部(24)(24)と第2軸受部(25)(25)の間でスライド溝(26)に摺動可能に嵌まっている。
【0021】
枢支機構(5)は、支持板収容室(23)に凹設された一対の第1軸受部(24)(24)と、支持板(70)の表面及び背面から突出した一対の係合ピン(71)(71)とから構成されている。
図5に示す如く、係合ピン(71)(71)が第1軸受部(24)(24)と対向する位置にあるとき、係合ピン(71)(71)は、その先端部が第1軸受部(24)(24)の底面に当接するまで支持板(70)から突出し、第1軸受部(24)(24)に係合することによって、係合ピン(71)(71)は第1軸受部(24)(24)に軟係止される。該軟係止状態において、第2筐体(20)は、係合ピン(71)(71)を回転軸として回転可能である。
【0022】
又、スライド機構(6)は、支持板収容室(23)に形成された一対のスライド溝(26)(26)と、支持板(70)の表面及び背面から突出した一対の係合ピン(71)(71)とから構成される。
図2の如く枢支機構(5)の動作によって第2筐体(20)を第1筐体(10)に対して90度回転させた状態で、第2筐体(20)を側方から押圧すると、係合ピン(71)(71)と第1軸受部(24)(24)の軟係止が解除される。そして、軟係止を解除された係合ピン(71)(71)がスライド溝(26)(26)上を摺動することにより、図6R>6の如く第2筐体(20)の移動が案内される。
【0023】
上記本発明に係る折り畳み式携帯電話機を用いて電話をかけるとき、図1に示す如く、ヒンジ機構(30)の動作によって第1筐体(10)と第2筐体(20)を開く。これによって、ディスプレイ(21)の画面は、縦長形状の画面配置形態に設定され、該ディスプレイ(21)の画面上には、発信相手の電話番号などの必要な情報が表示されることになる。
【0024】
又、テレビジョン放送を視聴するときには、図1の如く開き状態の第2筐体(20)を矢印の如く側方から押圧する。これによって、第2筐体(20)は、枢支機構(5)の動作により係合ピン(71)(71)を中心として90度回転することとなる。該回転の結果、第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面は、図1に示す縦長形状の画面配置形態から図2に示す横長形状の画面配置形態に、画面の向きを変える。
又、該回転に伴って、ディスプレイ(21)は、画面に対する画像の表示方向が90度異なる方向に切り換えられて、横長の画面に正常な向きで画像の表示が行なわれることになる。
【0025】
このとき、前記係合ピン(71)(71)は第2筐体(20)の表面に対して垂直に設けられているので、第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面は、同一平面上にて回転する。これによって、第2筐体(20)のディスプレイ(21)と第1筐体(10)の操作キー(11)は共に、第2筐体(20)の回転後も正面を向いていることとなる。
【0026】
更に、図2の如く第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面が横長形状の画面配置形態に設定された状態で、第2筐体(20)を矢印の如く側方から押圧する。これによって、係合ピン(71)(71)の第1軸受部(24)(24)における軟係止が解除され、第2筐体(20)はスライド機構(6)の動作によって第1筐体(10)に対して移動し、図3の如く第2筐体(20)が第1筐体(10)に接近することになる。
【0027】
このとき、第2筐体(20)の移動を案内すべきスライド溝(26)は、第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面と平行な平面上に形成されているので、第2筐体(20)の移動後も、第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面と第1筐体(10)の操作キー(11)とは正面を向いていることとなる。
【0028】
本発明に係る折り畳み式携帯電話機によれば、ディスプレイ(21)の画面全体をテレビジョン放送の受信映像の表示に利用することが可能となり、然もテレビジョン放送を視聴しているときも、ディスプレイ(21)と操作キー(11)は共に使用者と対向する位置にあるので、使用者はテレビジョン放送を視聴しながら容易にキー操作を行なうことが出来る。
又、第2筐体(20)のディスプレイ(21)の画面と第1筐体(10)の操作キー(11)を共に使用者に対して対向させた位置にて、第2筐体(20)を第1筐体(10)に接近させることによって、使用者は、本体(1)を幅方向に縮小したコンパクトな状態で、テレビジョン放送を視聴することが出来る。
【0029】
第2実施例
図8〜図10に示す本実施例の携帯電話機は、第1筐体(10)に対して第2筐体(20)が連結機構(4)の動作によって回転及び摺動を行なう構造において、上記第1実施例と同じ構造を有するが、図8に示す如く、本体(2)がヒンジ機構を具えておらず、縦長形状の第1筐体(10)と縦長形状の第2筐体(20)は連結機構(4)のみを介して取り付けられている。
【0030】
即ち、第1筐体(10)の上端部に支持板(70)が取り付けられており、該支持板(70)の表面及び背面に突設された係合ピン(71)(71)が、第2筐体(20)の支持板収容室(23)に形成されたスライド溝(26)(26)に第1軸受部(24)(24)と第2軸受部(25)(25)の間で摺動可能に嵌まることにより、上記第1実施例と同じ枢支機構(5)及びスライド機構(6)が構成されている。
【0031】
本実施例においては、図8に示す電話機能使用時の第2筐体(20)の姿勢から、図10に示すテレビジョン放送受信時の第2筐体(20)の姿勢まで、第1筐体(10)に対して第2筐体(20)を移動させる過程で、第2筐体(20)のディスプレイ(21)は同一平面上を移動する。
この結果、使用者は、ディスプレイ(21)の画面全体にテレビジョン放送の受信映像を表示させてテレビジョン放送を視聴することが可能であると共に、該テレビジョン放送を視聴しながら容易にキー操作を行なうことが可能である。
【0032】
第3実施例
図11〜図14に示す本実施例の携帯電話機は、連結機構(40)の動作によって第1筐体(10)に対して第2筐体(80)が回転及び摺動を行なう構造において、上記第1実施例と異なるが、他の構造は第1実施例と同じであるので、連結機構(40)の動作によって第2筐体(80)が回転及び摺動を行なう構造についてのみ説明し、他の構造については同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
図11に示す如く、支持板(72)が第2筐体(80)の表面と平行な表面及び背面を具えて第1筐体(10)の上端部に取り付けられており、該支持板(72)の表面と背面には、同軸上に、一対の係合ピン(73)(73)が弾性支持されて支持板(72)の表面及び背面から出没可能に取り付けられている。
【0034】
第2筐体(80)の内部には、支持板(72)を移動可能に収容すべき支持板収容室(81)が形成されており、該支持板収容室(81)の支持板(72)の表面及び背面と対向する面に、支持板(72)の摺動を案内すべき一対の第1スライド溝(85)(85)が互いに対向して形成されている。該第1スライド溝(85)(85)は第2筐体(80)の長手方向に沿って伸びており、該第1スライド溝(85)(85)の上端部には第1軸受部(82)(82)が凹設されると共に、下端部には第2軸受部(83)(83)が凹設されている。
又、第2軸受部(83)(83)を一方の端部として、前記第スライド溝(85)(85)と直交する方向に伸びる一対の第2スライド溝(86)(86)が形成されており、該第2スライド溝(86)(86)の他方の端部には第3軸受部(84)(84)が凹設されている。
支持板(72)の係合ピン(73)(73)は、第1軸受部(82)(82)と第3軸受部(84)(84)の間で第1スライド溝(85)(85)及び第2スライド溝(86)(86)に摺動可能に嵌まっている。
【0035】
枢支機構(50)は、支持板収容室(81)に凹設された一対の第2軸受部(83)(83)と、支持板(72)の表面及び背面から突出した一対の係合ピン(73)(73)とから構成されている。
係合ピン(73)(73)が第2軸受部(83)(83)と対向する位置にあるとき、係合ピン(73)(73)は第2軸受部(83)(83)に軟係止され、この状態で、第2筐体(80)は係合ピン(83)(83)を中心として回転可能である。
【0036】
又、スライド機構(60)は、支持板収容室(83)に形成されたそれぞれ一対の第1スライド溝(85)(85)及び第2スライド溝(86)(86)と、支持板(72)の表面及び背面から突出した一対の係合ピン(73)(73)とから構成される。
図11の如く第1筐体(10)の上端部と第2筐体(80)の下端部が互いに対向している状態で、第2筐体(80)を第1筐体(10)から離間する方向に引っ張ると、係合ピン(73)(73)と第1軸受部(82)(82)の係合が解除される。その後、係合ピン(73)(73)は第1スライド溝(85)(85)上を摺動し、図12に示す如く、第2筐体(80)が第1筐体(10)から離間することになる。
【0037】
又、図13の如く前記枢支機構(50)により第2筐体(80)を第1筐体(10)に対して90度回転させた状態で、第2筐体(80)を側方から押圧すると、係合ピン(73)(73)と第2軸受部(83)(83)の軟係止が解除される。そして、軟係止を解除された係合ピン(73)(73)は、第2スライド溝(86)(86)上を摺動し、図14R>4に示す如く第2筐体(80)が第1筐体(10)に接近する。
【0038】
本実施例に係る携帯電話機を用いてテレビジョン放送を視聴するときには、先ず、図11の如く本体(3)が収縮した状態で第2筐体(80)を第1筐体(10)から離間する方向に引っ張る。これによって、係合ピン(73)(73)と第1軸受部(82)(82)との係合が解除され、第2筐体(80)はスライド機構(60)の動作によって、図12の如く係合ピン(73)(73)が第2軸受部(83)(83)と対向する位置まで移動する。
【0039】
次に、図12の状態にて、第2筐体(80)を矢印の如く側方から押圧する。これによって、第2筐体(80)は、枢支機構(50)の動作によって係合ピン(73)(73)を中心として90度回転する。該回転の結果、第2筐体(80)のディスプレイ(21)の画面は、図12に示す縦長形状の画面配置形態から図13に示す横長形状の画面配置形態に、画面の向きを変える。
又、該回転に伴って、ディスプレイ(21)は、画面に対する画像の表示方向が90度異なる向きに切り換えられて、横長の画面に正常な向きで画像の表示が行なわれることになる。
【0040】
このとき、前記係合ピン(73)(73)は第2筐体(80)の表面に対して垂直に設けられているので、第2筐体(80)のディスプレイ(21)の画面は、同一平面上にて回転する。これによって、第2筐体(80)のディスプレイ(21)と第1筐体(10)の操作キー(11)は共に、第2筐体(80)の回転後も正面を向いていることとなる。
【0041】
更に、図13の如く第2筐体(80)のディスプレイ(21)の画面が横長形状の画面配置形態に設定された状態で、第2筐体(80)を第1筐体(10)の方向に押圧する。これによって、係合ピン(73)(73)の第2軸受部(83)(83)における軟係止が解除され、第2筐体(80)は、スライド機構(60)の動作によって第1筐体(10)に接近する。その結果、図14の如く係合ピン(73)(73)と第3軸受部(84)(84)とが互いに係合し、ディスプレイ(21)は、第1筐体(10)に対して接近させた位置に位置決めされることになる。
【0042】
このとき、第2筐体(80)の移動を案内すべき第1スライド溝(85)(85)及び第2スライド溝(86)(86)は、第2筐体(80)のディスプレイ(21)の画面と平行な平面上に形成されているので、第2筐体(80)の移動後も、第2筐体(80)のディスプレイ(21)の画面と第1筐体(10)の操作キー(11)とは正面を向いていることとなる。
【0043】
この結果、本実施例の携帯電話機においても、図11に示す電話機能使用時の第2筐体(80)の姿勢から、図14に示すテレビジョン放送受信時の第2筐体(80)の姿勢まで、第1筐体(10)に対して第2筐体(80)を移動させる過程で、ディスプレイ(21)は同一平面上を移動する。
従って、使用者は、ディスプレイ(21)の画面全体にテレビジョン放送の受信映像を表示させてテレビジョン放送を視聴することが可能であると共に、該テレビジョン放送を視聴しながら容易にキー操作を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の斜視図である。
【図2】該携帯電話機の第2筐体を90度回転させた状態を示す斜視図である。
【図3】該携帯電話機の第2筐体を第1筐体に接近させた状態を示す斜視図である。
【図4】図1の状態にあるときの第2筐体の内部を示す断面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】第2筐体を90度回転させた後、第1筐体に対してスライドさせている過程を示す断面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】第2実施例の携帯電話機の正面図である。
【図9】該携帯電話機の第2筐体を90度回転させた状態を示す正面図である。
【図10】該携帯電話機の第2筐体を第1筐体に接近させた状態を示す正面図である。
【図11】第3実施例の携帯電話機の正面図である。
【図12】該携帯電話機の第2筐体を第1筐体から離間させた状態を示す正面図である。
【図13】該携帯電話機の第2筐体を90度回転させた状態を示す斜視図である。
【図14】該携帯電話機の第2筐体を第1筐体に接近させた状態を示す斜視図である。
【図15】従来の携帯電話機の正面図である。
【図16】該携帯電話機のフリップ部を第1回転軸及び第2回転軸を中心として回転させた状態の正面図である。
【符号の説明】
(1) 本体
(10) 第1筐体
(11) 操作キー
(20) 第2筐体
(21) ディスプレイ
(4) 連結機構
(5) 枢支機構
(6) スライド機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な本体を具えると共に、テレビジョン放送受信機能と無線通信機能を有し、前記本体の表面には、複数の操作キーとディスプレイが配備されている携帯型無線端末機において、前記本体は、前記複数の操作キーが配備された第1筐体と、前記ディスプレイが配備された第2筐体と、両筐体を互いに連結する連結機構とを具え、前記ディスプレイは所定のアスペクト比を有する画面を具え、前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を前記画面と平行な面に沿って回転させるための枢支機構を具え、無線通信時には、前記画面が縦長となる第1画面配置形態にて表示が行なわれ、テレビジョン放送受信時には、前記画面が横長となる第2画面配置形態にて表示が行なわれることを特徴とする携帯型無線端末機。
【請求項2】
前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を前記枢支機構の回転軸と両筐体の配列方向の両方に直交する方向へスライドさせるためのスライド機構を具え、第1画面配置形態又は第2画面配置形態にて第1筐体と第2筐体の距離を短縮することが可能な請求項1に記載の携帯型無線端末機。
【請求項3】
前記連結機構は、第1筐体に対して第2筐体を第1画面配置形態と第2画面配置形態のそれぞれにて軟係止するための軟係止構造を具えている請求項1又は請求項2に記載の携帯型無線端末機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2004−215180(P2004−215180A)
【公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−2425(P2003−2425)
【出願日】平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】