説明

携帯型通信機器

【課題】携帯型通信機器で着信の有無をユーザに知らせる際の消費電力を少なくすることを課題とする。
【解決手段】消費電力が互いに異なる複数の動作モードを有し、着信があったときには所定の着信情報を表示部20に表示することができる携帯型通信機器70を構成するにあたり、複数の動作モードには使用時間延長モードを含ませ、さらに、該使用時間延長モードの間は表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示を指示する表示指令があったときに表示部を予め定められた期間だけ動作させて着信情報を表示させる表示制御部47を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送受話や電子メールの送受信を行うことができ、かつ着信があったことを表示部に表示することがきる携帯型通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
送受話や電子メールの送受信に用いられる携帯型通信機器、例えば携帯電話端末やPHS(Personal Handy-phone System)端末等では、その電源として二次電池が多用されている。今日では二次電池の性能の向上が図られてはいるものの、1回の充電で携帯型通信機器をできるだけ長時間に亘って使用することができるように、携帯型通信機器でも省電力化のための工夫が種々なされている。
【0003】
例えば、多くの携帯電話端末には、一定時間操作されないときには表示画面を暗くして消費電力を抑える機能が付加されている。また、特許文献1には、電池残量が基準値以下になると、少なくとも通話時には着信通知機能の動作を制限して、具体的には表示部への電源供給や、バックライト制御部への電源供給、着信音制御回路への電源供給、およびバイブレータ制御部への電源供給を停止して、消費電力を抑える通信端末装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−253142号公報(第0161段、図8、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯型通信機器への着信は当該携帯型通信機器の電池残量の多寡に拘わらずあるものであり、特許文献1に記載された通信端末装置の一態様におけるように電池残量が少ないときに着信通知機能を停止させた場合には、電話や電子メールの着信があったことがユーザに全く通知されなくなるので、携帯型通信機器の利便性が損なわれる。また、特許文献1に記載された通信端末装置の他の態様におけるように電池残量が少ない通話時にのみ着信通知機能を停止させた場合には、電池残量が少ない非通話時に着信があると着信通知機能が通常通り動作して表示部等で電力消費が進んでしまうため、高い省電力効果を得難い。
【0006】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、少ない消費電力の下に着信の有無をユーザに知らせることができる携帯型通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する第1の発明の携帯型通信機器は、消費電力が互いに異なる複数の動作モードを有し、着信があったときには所定の着信情報を表示部に表示することができる携帯型通信機器であって、複数の動作モードは使用時間延長モードを含み、該使用時間延長モードの間は表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示を指示する表示指令があったときに表示部を予め定められた期間だけ動作させて着信情報を表示させる表示制御部を有する。
【0008】
この携帯型通信機器では、使用時間延長モードの間は表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示指令があったときに初めて表示部を動作させて着信情報の表示を行うので、動作モードが当該使用時間延長モードに設定されていれば、着信の有無をユーザに知らせるのに要する電力が抑えられる。少ない消費電力の下に着信の有無をユーザに知らせることができる。
【0009】
第2の発明の携帯型通信機器は、上記第1の発明の携帯型通信機器に含まれるものであり、動作モードを使用時間延長モードに指定するモード指定部を更に有する。この携帯型通信機器では、電池残量の多寡に拘わらず当該携帯型通信機器の動作モードを任意の時期に使用時間延長モードに切り替えることができるので、第1の発明の携帯型通信機器に比べても省電力化を図り易い。
【0010】
第3の発明の携帯型通信機器は、上記第2の発明の携帯型通信機器に含まれるものであり、モード指定部は、側面に配置されたサイドキーを含む。この携帯型通信機器では、サイドキーを押すことによって動作モードを使用時間延長モードに指定することが可能になるので、動作モード指定時の誤操作を防止し易い。
【0011】
第4の発明の携帯型通信機器は、上記第1〜3のいずれか1つの発明の携帯型通信機器に含まれるものであり、電池残量を検出する電池残量検出部と、電池残量検出部による電池残量の検出結果が条件値を下回ったときに動作モードを使用時間延長モードに自動的に移行させる動作モード制御部とを更に有する。この携帯型通信機器では、動作モードを使用時間延長モードに切り替えるのをユーザが忘れてしまったときでも電池残量が条件値を下回ると自動的に使用時間延長モードに移行するので、第1または第2の発明の携帯型通信機器に比べても利便性が高い。
【0012】
第5の発明の携帯型通信機器は、上記第1〜4のいずれか1つの発明の携帯型通信機器に含まれるものであり、主表示部と該主表示部の背面側に配置された補助表示部とを有し、主表示部を内側にして二つ折りにすることができる折り畳み式の携帯電話端末であり、補助表示部に前記着信情報が表示される。この携帯型通信機器(携帯電話端末)では、補助表示部に着信情報が表示されるので、ポケットや鞄等に入れたままの状態でも着信の有無をユーザが確認し易いと共に着信の有無をユーザに知らせる際の消費電力を抑え易い。
【発明の効果】
【0013】
この発明の携帯型通信機器は、少ない消費電力の下に着信の有無をユーザに知らせることができるものであるので、着信に起因する電力の消費を抑えて使用可能時間を長くすることができる。電池残量が少ないときに、充電する前に電池が切れてしまうのではないかというユーザの不安を和らげることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、この発明の携帯型通信機器の実施の形態について実施例を挙げて具体的に説明する。なお、この発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
図1は、この発明の携帯型通信機器の一例を概略的に示す斜視図である。同図に示す携帯型通信機器70は、電話端末としての機能と電子メールを送受信する機能とを有する携帯電話端末(以下、「携帯電話端末70」という)であり、電話番号、メール文章、指令等の入力に用いられる入力部10と、入力部10から入力された電話番号やメール文章等が表示される主表示部15と、着信情報や時刻等が表示される補助表示部20とを有している。
【0016】
図1には、入力部10を構成しているテンキー1、メニューキー3、および側面に配置されたサイドキー5も示されている。テンキー1は例えば数字、文字、キャラクタの入力等に用いられ、メニューキー3は例えば携帯電話端末70の機能選択画面の表示指示や機能選択等に用いられる。また、サイドキー5は、例えばメールセンターへの接続指示や着信情報の表示指示等の指令の入力に用いられる。このサイドキー5は、後述する使用時間延長モードへの移行を指示するモード指定部としても用いられる。
【0017】
図示の携帯電話端末70は、主表示部15を内側にして二つ折りにすることができる折り畳み式のものであり、少ない消費電力の下に着信の有無をユーザに知らせることができる使用時間延長モードを備えている。使用時間延長モードの間は、着信があっても表示指令があるまでは補助表示部20を非表示状態とし、表示指令があったときに初めて補助表示部20が動作して着信情報を表示する。このため、動作モードが当該使用時間延長モードに設定されていれば、着信の有無をユーザに知らせるのに要する電力が抑えられる。以下、図2を参照して携帯電話端末70の構成を具体的に説明した後、図3を参照して携帯電話端末70の動作を具体的に説明する。
【0018】
図2は、図1に示した携帯電話端末70を概略的に示すブロック図である。同図に示すように、携帯電話端末70は、上述した入力部10、主表示部15、および補助表示部20の他に、送話部25、受話部30、送受信処理部35、アンテナ部40、制御部50、記憶部55、着信報知部60、電源部65、および電池残量検出部67を備えている。
【0019】
上記の送話部25は、入力された音声を電気的な音声信号に変換して送受信処理部35に送る。また、受話部30は、送受信処理部35から送られてくる電気的な音声信号に基づいて音声を合成し、出力する。
【0020】
送受信処理部35は、電話の発信時に制御部50から電気信号の形で送られてくる発信先情報および発信元情報を電波信号に変換してアンテナ部40に送り、ここから発信する。そして、電話応答を行うときには、送話部25から送られてくる音声信号を元に音声データを作成してアンテナ部40から発信させると共に、アンテナ部40を介して受信した音声データを所定の音声信号に変換して受話部30に送る。
【0021】
また、送受信処理部35は、アンテナ部40を介して呼出し信号を受信したときに、当該呼出し信号から発信元情報を抽出して電気信号に変換し、これを制御部50に送る。呼出し信号の受信に引き続いて電話応答を行うときには、アンテナ部40を介して受信した音声データを所定の音声信号に変換して受話部30に送ると共に、送話部25から送られてくる音声信号を元に音声データを作成してアンテナ部40から発信する。
【0022】
電子メールの送信時には、送信しようとするメール文章に対応した文字・図形情報と、送信先情報と、送信元情報とを含む電子メール情報が電気信号の形で制御部50から送受信処理部35に送られる。送受信処理部35は、当該電子メール情報を元に電子メールデータを作成してアンテナ部40から送信する。また、アンテナ部40を介して電子メールデータを受信したときには、当該電子メールデータからメール文章に対応した文字・図形情報と送信元情報とを別々に抽出し、これらを電気信号に変換して制御部50に送る。
【0023】
制御部50は、記憶部55に予め格納されている制御プログラムまたは入力部10から入力された指令に従って主表示部15、補助表示部20、送話部25、受話部30、送受信処理部35、または着信報知部60の動作を制御する。そのために、当該制御部50は指令処理部41、第1通信制御部43、第2通信制御部45、表示制御部47、および動作モード制御部49を有している。
【0024】
上記の指令処理部41は、入力部10から入力された指令に応じて、第1通信制御部43、第2通信制御部45、表示制御部47、および動作モード制御部49を含めた各部の動作を制御する。
【0025】
第1通信制御部43は、送話部25、受話部30、および送受信処理部35の動作を制御して携帯電話端末70を電話端末として機能させるものであり、電話の発信時には、発信先情報および発信元情報を電気信号にして送受信処理部35に送る。発信先情報は入力部10から入力されて記憶部55に格納されており、発信元情報は記憶部55に予め格納されているので、第1通信制御部43は、電話の発信時にこれらの情報を記憶部55から読み出して電気信号に変換する。また、電話の着信時(呼出し信号の受信時)には、送受信処理部35から送られてくる発信元情報を記憶部55に格納すると共に、所定の第1受信信号を表示制御部47に送る。さらには、後述する省電力モードまたは通常モードのときに着信があると、着信報知部60を動作させる。
【0026】
第2通信制御部45は、電子メールの送受信時に送受信処理部35の動作を制御するものであり、電子メールの送信時には、メール文章に対応した文字・図形情報と、送信先情報と、送信元情報とを含む電子メール情報を電気信号にして送受信処理部35に送る。送信先情報は入力部10から入力されて記憶部55に格納されており、送信元情報は記憶部55に予め格納されているので、第2通信制御部45は、電子メールの送信時にこれらの情報を記憶部55から読み出して電気信号に変換する。また、電子メールの受信時には、送受信処理部35から送られてくる送信元情報を記憶部55に格納すると共に、所定の第2受信信号を表示制御部47に送る。さらには、後述する省電力モードまたは通常モードのときに着信があると、着信報知部60を動作させる。
【0027】
なお、電話の発信時の発信先情報は、発信先の電話番号情報のまま、あるいは当該電話番号情報に対応づけられた固有名詞情報として記憶部55に格納される。電話発信時の発信元情報、電話着信時の発信元情報、電子メール送信時の送信先情報、電子メール送信時の送信元情報、および電子メール受信時の送信元情報についても同様である。また、これらの情報を非開示にして電話の発着信や電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0028】
表示制御部47は、主表示部15および補助表示部20の動作を制御する。例えば、入力部10から電話番号やメール文章が入力されると、これらが文字・図形情報として主表示部15に表示されるように、主表示部15の動作を制御する。また、受信した電子メールを開封したときには、メール文章を主表示部15に表示させる。電話の着信時(呼出し信号の受信時)に第1通信制御部43から第1受信信号を受けると、記憶部55に格納されている発信元情報を読み出して補助表示部20に送る。発信元情報が非開示になっているときには、電話の着信があったことを示す情報を補助表示部20に送る。同様に、電子メールの着信時に第2通信制御部45から第2受信信号を受けると、記憶部55に格納されている送信元情報を読み出して補助表示部20に送る。送信元情報が非開示になっているときには、電子メールの着信があったことを示す情報を補助表示部20に送る。
【0029】
ただし、後述する使用時間延長モードの間、表示制御部47は主表示部15および補助表示部20の各々を基本的に非表示状態に保つ。たとえ第1通信制御部43から第1受信信号を受けても、また、たとえ第2通信制御部45から第2受信信号を受けても、補助表示部20に着信情報(発信元情報、送信元情報等)を送らない。着信情報の表示を指示する表示指令があったときに初めて補助表示部20を予め定められた期間だけ動作させ、当該補助表示部20に着信情報を送って表示させる。
【0030】
動作モード制御部49は、携帯電話端末70の動作モードを制御する。携帯電話端末70は、消費電力が最も少ない使用時間延長モード、消費電力が2番目に少ない省電力モード、および消費電力が最も多い通常モードの計3つの動作モードを有しており、後述する電池残量検出部67による検出値が条件値を下回ったときや、入力部10から動作モードを使用時間延長モードに指定する指令が入力されたときに使用時間延長モードに入る。例えば、入力部10におけるサイドキー5がモード指定部として機能し、当該サイドキー5が所定時間以上連続して押されたときに上記の指令が入力されたものとして扱われて、携帯電話端末70の動作モードが使用時間延長モードに入る。動作モード制御部49による動作モードの制御については、後に図3を参照して詳述する。
【0031】
記憶部55には、前述した制御プログラム、発信先情報、発信元情報、送信先情報、および送信元情報が格納される他に、入力部10から入力されたメール文章や、電池残量検出部67による電池残量の検出値についての条件値等も格納される。
【0032】
着信報知部60は、電話や電子メールの着信があったときに第1通信制御部43または第2通信制御部45により動作を制御されて、着信があったことを光、音、振動等によりユーザに報知する。ただし、携帯電話端末70の動作モードが使用時間延長モードのときには第1通信制御部43および第2通信制御部45による制御を受けず、結果として着信の報知も行わない。
【0033】
電源部65には、二次電池が装着される。この電源部65は、装着された二次電池から電力を取り出し、電源ライン(図示せず)を介して携帯電話端末70の各部に供給する。電池残量検出部67は電源部65に接続されて、当該電源部65に装着された二次電池の電池残量を例えば電源部65からの出力電圧値に基づいて検出し、検出結果を動作モード制御部49に伝える。
【0034】
このような構成を有する携帯電話端末70は、使用時間延長モード時の動作に特徴を有している。以下、図3を参照して、携帯電話端末70の動作について具体的に説明する。
【0035】
図3は、携帯電話端末70での動作モードの移行を概略的に示すフローチャートである。同図に示すように、携帯電話端末70ではステップS1〜S8、ステップS11〜S13、ステップS21〜S29を行って3つの動作モード間を移行する。
【0036】
電源が投入されたときに最初に行われるステップS1では、電池残量検出部67による電池残量の検出値と記憶部55に格納されている条件値とを動作モード制御部49(図2参照)が比較して、検出値が条件値を下回っているか否かを当該動作モード制御部49が判断する。検出値が条件値を下回っていると判断されたときには後述するステップS21に進み、検出値が条件値を下回ってはいないと判断されたときにはステップS2に進んで、動作モードが使用時間延長モードに指定された否かを動作モード制御部49が判断する。このステップS2で動作モードが使用時間延長モードに指定されたと判断されたときには後述するステップS21に進み、使用時間延長モードに指定されてはいないと判断されたときにはステップS3に進む。
【0037】
上記のステップS3では、動作モード制御部49が携帯電話端末70の動作モードを通常モードに移行させる。続いて行われるステップS4では、何らかの指令、例えばユーザからの指令や第1通信制御部43または第2通信制御部45から着信報知部60への動作開始指令があったか否かを、指令処理部41(図2参照)が判断する。このステップS4で何らかの指令があったと判断されたときにはステップS5に進んで、当該指令が電源の切断を指示するものであるか否かを指令処理部41が判断する。
【0038】
このステップS5で電源の切断を指示する指令であると判断されたときにはステップS31に進んで電源を切断して処理を終了し、電源の切断を指示する指令ではないと判断されたときにはステップS6に進んで、当該指令が使用時間延長モードへの移行を指示するものであるか否かを指令処理部41が判断する。そして、使用時間延長モードへの移行を指示する指令であると判断されたときには後述するステップS21に進み、使用時間延長モードへの移行を指示する指令ではないと判断されたときにはステップS7に進んで指令を実行した後、上述のステップS1に戻る。
【0039】
前述のステップS4で何ら指令がないと判断されたときにはステップS8に進んで、通常モードに移行してからの経過時間が基準時間を超えたか否かを指令処理部41が判断する。このとき判断基準となる基準時間についての情報は、例えば携帯電話端末70のメーカによって記憶部55(図2参照)に予め格納される。上記のステップS8で基準時間が未だ経過していないと判断されたときにはステップS4に戻り、基準時間が経過したと判断されたときにはステップS11に進んで、動作モード制御部49が携帯電話端末70の動作モードを省電力モードに移行させる。省電力モード時には、表示制御部47による制御の下に、補助表示部20の表示画面が通常モード時よりも暗くなると共に、携帯電話端末70を二つ折りの状態から開いているときには主表示部15の表示画面が通常モード時よりも暗くなる。
【0040】
ステップS11に続いて行われるステップS12では、何らかの指令、例えばユーザからの指令や第1通信制御部43または第2通信制御部45から着信報知部60への動作開始指令があったか否かを指令処理部41が判断する。何ら指令がないと判断されたときにはステップS12を繰り返し、指令があったと判断されたときにはステップS5に戻って当該ステップS5以降を繰り返す。ステップS5に戻った時点で、携帯電話端末70の動作モードは通常モードとなる。
【0041】
一方、前述のステップS1で電池残量検出部67による電池残量の検出値が条件値を下回っていると判断されたときや、前述のステップS2で動作モードが使用時間延長モードに指定されたと判断されたときにはステップS21に進んで、動作モード制御部49が携帯電話端末70の動作モードを使用時間延長モードに移行させる。使用時間延長モード時には、表示制御部47による制御の下に、補助表示部20が基本的に非表示状態となると共に、携帯電話端末70を二つ折りの状態から開いても主表示部15が非表示状態となる。また、入力部10を構成する各キーに照明灯が内蔵されている場合には、これらの照明灯も指令処理部41による制御の下に非点灯状態に保たれる。
【0042】
ステップS21に続いて行われるステップS22では、何らかの指令、例えばユーザからの指令があったか否かを指令処理部41が判断する。何ら指令がないと判断されたときにはステップS22を繰り返し、指令があったと判断されたときにはステップS23に進んで、当該指令が電源の切断を指示するものであるか否かを指令処理部41が判断する。
【0043】
このステップS23で電源の切断を指示する指令があったと判断されたときにはステップS31に進んで電源を切断して処理を終了し、電源の切断を指示する指令ではない他の指令があったと判断されたときにはステップS24に進んで、当該指令が着信情報の表示を指示する表示指令であるか否かを指令処理部41が判断する。そして、表示指令ではないと判断されたときには、ステップS25に進んで動作モード制御部49が携帯電話端末70の動作モードを省電力モードに移行させてからステップS26に進んで指令を実行した後、上述のステップS1に戻る。
【0044】
ステップS25で省電力モードに移行すると、表示制御部47による制御の下に補助表示部20が非表示状態に保たれる一方で、携帯電話端末70を二つ折りの状態から開いたときに主表示部15が通常モード時よりも暗い表示状態となる。また、入力部10を構成する各キーに照明灯が内蔵されている場合には、これらの照明灯も指令処理部41による制御の下に点灯状態に保たれる。
【0045】
上述のステップS24で表示指令であると判断されたときにはステップS27進んで、表示制御部47が記憶部55から着信情報、すなわち使用時間延長モードに移行した後にあった着信についての発信元情報または送信元情報を読み出して補助表示部29に表示させる。着信がなかったときは、その旨を示す情報を補助表示部20に表示されるか、補助表示部20に何ら情報を表示させることなく、当該補助表示部20の表示画面だけを明るくする。使用時間延長モード時には、例えばサイドキー5(図1または図2参照)を押したときに表示情報の表示指令が入力されたものとして扱われる。
【0046】
この後、ステップS28に進んで、表示指令が入力されてから所定の期間が経過した否かを表示制御部47が判断し、所定の期間が経過していないと判断されたときには当該ステップS28を繰り返し、所定の期間が経過した判断されたときにはステップS29に進んで着信情報の表示を終了してからステップS22に戻る。上記ステップS28での着信情報の表示期間は、例えば予め定められた時間とすることもできるし、表示指令の入力キー(サイドキー5)が押し続けられている期間とすることもできる。使用時間延長モードの間、補助表示部20は上記の期間だけ表示状態となる。
【0047】
このようにして3つの動作モード間を移行する携帯電話端末70では、使用時間延長モードの間は着信があっても表示指令があるまでは補助表示部20を非表示状態とし、表示指令があったときに初めて補助表示部20を動作させて着信情報を表示するので、動作モードが当該使用時間延長モードに設定されていれば、着信の有無をユーザに知らせるのに要する電力が抑えられる。結果として、少ない消費電力の下に着信の有無をユーザに知らせることができる。
【0048】
例えば、電池残量検出部67(図2参照)による電池残量の検出結果が20%を下回ったときに自動的に使用時間延長モードに移行するように携帯電話端末70を構成すれば、動作モードを使用時間延長モードに切り替えるのをユーザが忘れてしまったときでも電池残量が20%を下回ると自動的に使用時間延長モードに移行するので、その利便性が高まる。勿論、電池残量が多いときでもサイドキー5からの指令により使用時間延長モードに移行させることができるので、電池残量の多寡に拘わらず省電力化を図ることもできる。
【0049】
また、サイドキー5を押すことによって動作モードを使用時間延長モードに指定することができるので、動作モード指定時の誤操作を防止し易い。携帯電話端末70は補助表示部20に着信情報が表示される折り畳み式のものであるので、ポケットや鞄等に入れたままの状態でも着信の有無をユーザが確認し易いと共に、着信の有無をユーザに知らせる際の消費電力を抑え易い。
【0050】
以上、実施例を挙げてこの発明の携帯型通信機器の実施の形態を具体的に説明したが、前述したように、この発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば、この発明は携帯電話端末に限らず、電話端末としての機能や電子メールを送受信する機能等、無線により情報の授受の行う機能を有し、かつ着信があったことを表示部に表示することができる種々の携帯型通信機器に適用することができる。携帯型通信機器が携帯電話端末である場合、当該携帯電話端末は折り畳み式のものに限らず、表示部がスライドするスライド式、表示部が回転する回転式、表示部が固定されたストレート式等、他の方式のものであってもよい。
【0051】
また、この発明の携帯型通信機器は、自動的に使用時間延長モードに移行する機能と、モード指定部をユーザが操作したときに使用時間延長モードに移行する機能との少なくとも一方を有していればよい。自動的に使用時間延長モードに移行する機能を付加する場合、使用時間延長モードに自動的に移行するトリガーとなるパラメータは電池残量に限定されるものではなく、他のパラメータ、例えば充電後の使用時間等であってもよい。
【0052】
使用時間延長モードの間は、消費電力をできるだけ抑えるという観点から、着信があったことを光、音、あるいは振動によりユーザに知らせる着信報知部の動作を停止させることが好ましいが、着信があったことをユーザに知らせるという観点からは、当該着信報知部の少なくとも一部の機能を有効にしておいてもよい。
【0053】
さらに、予め記憶部に登録しておいた発信元ないし送信元からの着信については、使用時間延長モードの間でも着信情報が表示部(補助表示部)に自動的に表示されるように、また着信報知部の少なくとも一部の機能が有効となるように、携帯型通信機器を構成してもよい。
【0054】
使用時間延長モードの間は表示部が非表示状態となるので、ユーザが故障と勘違いしないように、所定のキー(例えばサイドキー)が押されたときに使用時間延長モードであることを示すメッセージが表示部に表示されるように携帯型通信機器を構成してもよい。この発明に関しては、上述した以外にも種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。
【0055】
(付記1)消費電力が互いに異なる複数の動作モードを有し、着信があったときには所定の着信情報を表示部に表示することができる携帯型通信機器であって、
前記複数の動作モードは使用時間延長モードを含み、
該使用時間延長モードの間は前記表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示を指示する表示指令があったときに前記表示部を予め定められた期間だけ動作させて着信情報の表示を行う表示制御部を有することを特徴とする携帯型通信機器。
【0056】
(付記2)動作モードを前記使用時間延長モードに指定するモード指定部を更に有することを特徴とする付記1に記載の携帯型通信機器。
【0057】
(付記3)前記モード指定部は、側面に配置されたサイドキーを含むことを特徴とする付記2に記載の携帯型通信機器。
【0058】
(付記4)電池残量を検出する電池残量検出部と、
該電池残量検出部による電池残量の検出結果が条件値を下回ったときに動作モードを前記使用時間延長モードに自動的に移行させる動作モード制御部と、
を更に有することを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の携帯型通信機器。
【0059】
(付記5)主表示部と該主表示部の背面側に配置された補助表示部とを有し、前記主表示部を内側にして二つ折りにすることができる折り畳み式の携帯電話端末であり、前記補助表示部に前記着信情報が表示されることを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の携帯型通信機器。
【0060】
(付記6)着信があったことを光、音、または振動により報知する着信報知部を更に有し、前記着信報知部は、前記使用時間延長モードの間でも機能することを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の携帯型通信機器。
【0061】
(付記7)消費電力が互いに異なる複数の動作モードを有し、着信があったときには所定の着信情報を表示部に表示することができる携帯型通信機器であって、
前記複数の動作モードは使用時間延長モードを含み、
該使用時間延長モードの間は前記表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示を指示する表示指令があったとき、または予め定められた特定の発信元ないし送信元からの着信があったときに前記表示部を予め定められた期間だけ動作させて着信情報の表示を行い、他の期間は前記表示部を非表示状態に保つ表示制御部を有することを特徴とする携帯型通信機器。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、この発明は、携帯型通信機器の消費電力を抑えてその連続使用時間を延長するうえで有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の携帯型通信機器の一例を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した携帯電話端末を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1に示した携帯電話端末での動作モードの移行を概略的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
5 サイドキー
15 主表示部
20 補助表示部
47 表示制御部
49 動作モード制御部
67 電池残量検出部
70 携帯電話端末(携帯型通信機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力が互いに異なる複数の動作モードを有し、着信があったときには所定の着信情報を表示部に表示することができる携帯型通信機器であって、
前記複数の動作モードは使用時間延長モードを含み、
該使用時間延長モードの間は前記表示部を基本的に非表示状態に保ち、着信情報の表示を指示する表示指令があったときに前記表示部を予め定められた期間だけ動作させて着信情報を表示させる表示制御部を有することを特徴とする携帯型通信機器。
【請求項2】
動作モードを前記使用時間延長モードに指定するモード指定部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信機器。
【請求項3】
前記モード指定部は、側面に配置されたサイドキーを含むことを特徴とする請求項2に記載の携帯型通信機器。
【請求項4】
電池残量を検出する電池残量検出部と、
該電池残量検出部による電池残量の検出結果が条件値を下回ったときに動作モードを前記使用時間延長モードに自動的に移行させる動作モード制御部と、
を更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の携帯型通信機器。
【請求項5】
主表示部と該主表示部の背面側に配置された補助表示部とを有し、前記主表示部を内側にして二つ折りにすることができる折り畳み式の携帯電話端末であり、前記補助表示部に前記着信情報が表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の携帯型通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−89272(P2009−89272A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259138(P2007−259138)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】