説明

携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラム

【課題】携帯情報通信端末が通信中や待受中でも、確実に無線タグへの給電や情報の送信などのアクセスを行うことができる携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びにアクセス制御プログラムの提供。
【解決手段】W−CDMA方式(3G通信方式)の通信手段とGSM方式又はGPRS方式(2.5G通信方式)の通信手段とを有し、各々の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段108を備える携帯情報通信端末101において、複数の通信手段の各々に無線タグ114への給電/送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段111、112を設け、通信制御手段108に、現在通信を行っていない通信手段(すなわち、無線タグ114への給電/送信が可能な通信手段)を選択する無線タグ給電送信選択手段113を設け、選択した通信手段の無線タグ給電送信手段を利用して無線タグ114への給電/送信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラムに関し、特に、W−CDMA方式(3G通信方式)とGSM/GPRS方式(2.5G通信方式)の双方の通信方式に対応した通信手段を備える携帯情報通信端末及び該携帯情報通信端末を用いた無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される携帯情報通信端末は、音声通話やテレビ電話、メールやWeb閲覧など、その利用手段は多岐に渡り、移動通信手段の代表といえる存在となっており、最近では無線タグ機能を有した携帯情報通信端末も現れており、簡易財布などの機能として利用されはじめている。また、無線タグを認証手段として利用する需要が高まっていることもあり、無線タグへの読み書きを行う機能(いわゆるリーダ/ライタ機能)を備えた携帯情報通信端末の需要が今後は高まるものと思われる。
【0003】
ここで、無線タグは一般に電源を備えておらず、外部(例えば、リーダ/ライタ)から送信される電波(搬送波)を用いて給電を行う必要があることから、携帯情報通信端末に給電用の周波数送信器を設ける構造が提案されている。また、下記特許文献1には、携帯情報通信端末の送信装置を利用し、上記給電用の周波数送信器の代替とする構造も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−102839号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯情報通信端末に給電用の周波数送信器を設ける構造では、搭載部品が増加するために携帯情報通信端末が大型化してしまうという問題がある。また、携帯情報通信端末の送信装置を周波数送信器の代替とする構造では、携帯情報通信端末が通信中や待受中の場合には無線タグへの給電が行えないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、携帯情報通信端末が通信中や待受中であっても、確実に無線タグへの給電や情報の送信などのアクセスを行うことができる携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段と、前記複数の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末において、前記複数の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備え、前記通信制御手段に、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する選択手段を備え、前記通信制御手段では、前記選択手段で選択された通信手段の前記無線タグ給電送信手段で作成される前記信号を利用して、前記無線タグへの給電又は情報の送信を行うものである。
【0008】
また、本発明は、第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末において、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備え、前記通信制御手段に、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する選択手段を備え、前記通信制御手段では、前記選択手段で選択された通信手段の前記無線タグ給電送信手段で作成される前記信号を利用して、前記無線タグへの給電又は情報の送信を行うものであり、前記第1の通信方式はW−CDMA方式、前記第2の通信方式はGSM方式又はGPRS方式とすることができる。
【0009】
本発明においては、各々の前記通信手段に、ベースバンド信号を作成するベースバンド処理手段と、変調/復調処理を行うRF手段と、アンテナとを備え、前記ベースバンド処理手段に前記無線タグ給電送信手段が設けられ、前記無線タグ給電送信手段で作成された前記信号が、前記RF手段によって前記無線タグで利用可能な周波数に変調され、前記アンテナから出力される構成とすることができる。
【0010】
また、本発明は、異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段が切り替え可能に構成され、前記複数の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備える携帯情報通信端末で動作するプログラムであって、コンピュータを、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する手段、選択された前記通信手段の前記無線タグ給電送信手段に、前記信号を作成させる手段、として機能させるものである。
【0011】
また、本発明は、第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段とが切り替え可能に構成され、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備える携帯情報通信端末で動作するプログラムであって、コンピュータを、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する手段、選択された前記通信手段の前記無線タグ給電送信手段に、前記信号を作成させる手段、として機能させるものである。
【0012】
また、本発明は、異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段と、前記複数の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、前記複数の通信手段の各々に設けられ、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末における無線タグへのアクセス方法であって、現在、通信に利用されていない通信手段を選択するステップと、選択した通信手段の前記無線タグ給電送信手段を用いて、前記信号を作成するステップと、選択した前記通信手段を用いて、作成した前記信号を出力するステップと、を少なくとも有するものである。
【0013】
また、本発明は、第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に設けられ、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末における無線タグへのアクセス方法であって、現在、通信に利用されていない通信手段を選択するステップと、選択した通信手段の前記無線タグ給電送信手段を用いて、前記信号を作成するステップと、選択した前記通信手段を用いて、作成した前記信号を出力するステップと、を少なくとも有するものである。
【0014】
本発明においては、ハンドオーバー要求があった場合に、前記無線タグへの給電又は情報の送信に利用している通信手段の前記無線タグ給電送信手段を停止した後、ハンドオーバーを実行する構成とすることができる。
【0015】
このように、複数の通信手段の各々に、無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を設けると共に、複数の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段に、通信を行っていない通信手段を選択する選択手段を設け、選択手段で選択した通信手段の無線タグ給電送信手段を利用して無線タグへの給電又は情報の送信を行うことにより、携帯情報通信端末が通信中や待受中であっても、確実に無線タグへのアクセスを行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラムによれば、携帯情報通信端末が通信中や待受中であっても、確実に無線タグにアクセスすることができる。
【0017】
その理由は、W−CDMA方式(3G通信方式)の通信手段とGSM/GPRS方式(2.5G通信方式)の通信手段などの複数の通信手段を有し、各々の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段を備える携帯情報通信端末において、複数の通信手段の各々に、無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を設けると共に、通信制御手段に、現在通信を行っていない通信手段(すなわち、無線タグへの給電又は情報の送信が可能な通信手段)を選択する無線タグ給電送信選択手段を設け、無線タグへのアクセスを行う際に、無線タグ給電送信選択手段で選択した通信手段の無線タグ給電送信手段を利用して無線タグへの給電又は情報の送信を行うことにより、通信と無線タグへのアクセスとの競合を避けることができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
従来技術で示したように、携帯情報通信端末を無線タグのリーダ/ライタとして機能させる場合に、携帯情報通信端末に給電用の周波数送信器を設けると搭載部品が増加して端末が大型化してしまい、携帯情報通信端末の送信装置を周波数送信器の代替とする場合は、通信中や待受中に無線タグへのアクセスができなくなってしまうという問題があった。
【0019】
一方、近年の携帯情報通信端末には、W−CDMA方式(3G通信方式)とGSM/GPRS方式(2.5G通信方式)などの複数の通信方式に対応した複数の通信手段を備えるものも提供されている。
【0020】
そこで、本発明では、W−CDMA方式(3G通信方式)の通信手段とGSM/GPRS方式(2.5G通信方式)の通信手段などの複数の通信手段を有し、通信制御部の切り替え制御により、各々の通信手段を排他的もしくは相互にハンドオーバーが可能な携帯情報通信端末において、各々の通信方式で通信を行うためのベースバンド信号を作成するディジタルベースバンド処理手段に、無線タグへの給電及び通信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を設けると共に、通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段に、通信に利用していない通信手段(すなわち、無線タグへの給電又は情報の送信に利用可能な通信手段)を選択する無線タグ給電送信選択手段を設け、3G通信方式にて待受中もしくは通信中の場合には2.5G通信方式のディジタルベースバンド処理手段内の無線タグ給電送信手段を利用して、無線タグへの給電又は情報の送信を行い、2.5G通信方式で待受中、通信中の場合には、3G通信方式のディジタルベースバンド処理手段内の無線タグ給電送信手段を利用して、無線タグへの給電又は情報の送信を行う。これにより、携帯情報通信端末の通信機能を損なうことなく、確実に無線タグへのアクセスを行うことができる。
【実施例】
【0021】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る携帯情報通信端末及び無線タグへのアクセス方法並びに制御プログラムについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施例の携帯情報通信装置の構成を模式的に示すブロック図である。また、図2は、本実施例の携帯情報通信端末を用いて無線タグへの給電を行う手順を示すフローチャート図であり、図3は、無線タグへの給電を停止する手順を示すフローチャート図であり、図4は、通信方式のハンドオーバー時の手順を示すフローチャート図である。
【0022】
図1に示すように、本実施例の携帯情報通信端末101は、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)方式(以下、3G通信方式と呼ぶ。)で通信を行うための3Gアンテナ102、3GRF103及び3Gディジタルベースバンド処理手段104(これらを総称して3G通信手段と呼ぶ。)と、GSM(Global System for Mobile Communications)方式又はGPRS(General Packet Radio Service)方式(以下、2.5G通信方式と呼ぶ。)で通信を行うための2.5Gアンテナ105、2.5GRF106及び2.5Gディジタルベースバンド処理手段107(これらを総称して2.5G通信手段と呼ぶ。)と、各々の通信手段を排他的もしくは相互にハンドオーバーが可能なように切り替え制御を行う通信制御手段108と、アプリケーションソフトウェアの実行を行うCPU109と、アプリケーションソフトウェアより利用され、外部の無線タグ114からの電波を受信する無線タグ受信手段110と、3Gディジタルベースバンド処理手段104及び2.5Gディジタルベースバンド処理手段107の各々に設けられ、無線タグ114への給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段111及び112と、通信制御手段108に設けられ、現在通信で利用されていない通信手段(すなわち、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用可能な通信手段)を選択する無線タグ給電送信選択手段113などを備えている。
【0023】
各々の通信手段を用いて電波を送信する場合は、上記3Gディジタルベースバンド処理手段104(又は2.5Gディジタルベースバンド処理手段107)で図示しないマイクや操作部から入力された信号に基づいてベースバンド信号を作成し、3GRF103(又は2.5GRF106)でベースバンド信号を変調し、3Gアンテナ102(又は2.5Gアンテナ105)から電波として出力する。電波を受信する場合は、3Gアンテナ102(又は2.5Gアンテナ105)で電波を受信し、3GRF103(又は2.5GRF106)で電波信号を復調し、3Gディジタルベースバンド処理手段104(又は2.5Gディジタルベースバンド処理手段107)でベースバンド信号を作成して、図示しないスピーカや表示部から出力する。
【0024】
また、無線タグ給電送信手段111(又は無線タグ給電送信手段112)では、無線タグ114への給電又は情報の送信のための信号(ベースバンド信号)を作成し、3GRF103(又は2.5GRF)でこの信号を無線タグ114で利用可能な周波数に変調し、3Gアンテナ102(又は2.5Gアンテナ106)から出力する。上記無線タグ114で利用する周波数は特に限定されないが、例えば、2GHz、1.9GHz、1.7GHz、900MHz、850MHz、800MHzなどを用いることができる。また、ここでは、無線タグ114の給電又は情報の送信のための信号を3Gアンテナ102(又は2.5Gアンテナ106)から出力する構成としているが、例えば、無線タグ給電送信手段111及び112にアンテナを設け、このアンテナから無線タグ114の給電又は情報の送信のための信号を直接出力するようにしてもよい。
【0025】
また、上記手段は携帯情報通信端末101にハードウェアとして構成してもよいが、例えば、コンピュータを、通信に利用されていない通信手段(すなわち、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用する通信手段)を選択する手段、選択された通信手段の無線タグ給電送信手段111又は112に無線タグ114の給電又は情報の送信のための信号を作成させる手段、として機能させる制御プログラムとして構成し、該制御プログラムを携帯情報通信端末101上で動作させる構成としてもよい。
【0026】
なお、図1では、説明を容易にするために無線タグ給電送信選択手段113を独立した手段として記載しているが、通信制御手段108には通信に利用する通信手段を選択する機能を備えていることから、通信制御手段108に、無線タグ114の給電又は情報の送信に利用する通信手段を選択する機能を持たせてもよい。また、無線タグ114や無線タグ受信手段110の構成は特に限定されず、無線タグ114や無線タグ受信手段110における電波の変調/復調方式や、無線タグ受信手段110で受信する情報の内容などは任意である。
【0027】
次に、図2のフローチャート図を参照して、上記構成の携帯情報通信端末101を用いて無線タグ14に給電又は所定の情報を送信する場合の処理について説明する。
【0028】
まず、ステップS201で、携帯情報通信端末101においてアプリケーションソフトウェアより無線タグ114との通信命令が発行されると、ステップS202で、CPU109は無線タグ受信手段110の機能をONにするとともに、通信制御手段108に対して無線タグ給電送信機能の利用要求を発行する。
【0029】
次に、ステップS203で、上記無線タグ給電送信機能利用要求を受けた通信制御手段108は、無線タグ給電送信選択手段113を用いて、3G通信方式及び2.5G通信方式の内、現在、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用可能な通信方式(すなわち、現在通信に利用されていない通信方式)を選択する。
【0030】
そして、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用する通信方式として3G通信方式が選択された場合(ステップS204の3G側)には、ステップS205で、通信制御手段108は、3Gディジタルベースバンド処理手段104に搭載された無線タグ給電送信手段111、3GRF103を起動し、ステップS206で、3G通信方式の無線タグ給電送信手段111を利用して無線タグ114への給電又は情報の送信を開始する。具体的には、無線タグ給電送信手段111で給電のための信号又は所定の情報を送信するための信号を作成し、作成した信号を3GRF103で所定の周波数の電波信号に変調し、3Gアンテナ102から出力する。
【0031】
一方、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用する通信方式として2.5G通信方式が選択された場合(ステップS204の2.5G側)には、ステップS207で、2.5Gディジタルベースバンド処理手段107に搭載された無線タグ給電送信手段112、2.5GRF106を起動し、ステップS208で、2.5G通信方式の無線タグ給電送信手段112を利用して無線タグ114への給電又は情報の送信を開始する。具体的には、無線タグ給電送信手段112で給電のための信号又は所定の情報を送信するための信号を作成し、作成した信号を2.5GRF106で所定の周波数の電波信号に変調し、2.5Gアンテナ105から出力する。
【0032】
次に、ステップS209で、通信制御手段108は無線タグ114への給電開始をCPU109へ通知し、これにより、無線タグ114への給電、送受信の経路が確保され、無線タグ114の読み書きが可能となる。すなわち、3G通信手段を用いて通信が行われている場合は、2.5G通信手段を用いて無線タグ114への給電又は情報の送信が行われ、2.5G通信手段を用いて通信が行われている場合は、3G通信手段を用いて無線タグ114への給電又は情報の送信が行われ、いずれの場合も携帯情報通信端末101の通信機能を損なうことなく、確実に無線タグ114を利用したアプリケーションを実行することができる。
【0033】
次に、図3のフローチャート図を参照して、無線タグ114への給電又は情報の送信を停止する場合の処理について説明する。
【0034】
まず、ステップS301で、アプリケーションソフトウェアにおいて、無線タグ114との通信完了通知が発行されると、ステップS302で、CPU109は、無線タグ受信手段110の機能をOFFにするとともに、通信制御手段108に対して無線タグ給電送信機能の停止要求を発行する。
【0035】
上記無線タグ給電送信機能停止要求を受けた通信制御手段108は、ステップS303で、無線タグ114への給電、情報の送信に利用している通信方式を特定し、3G通信方式を無線タグ114への給電、情報の送信に利用している場合には、ステップS304で、3GRF103及び3Gディジタルベースバンド処理手段104に搭載された無線タグ給電送信手段111を停止する。
【0036】
一方、ステップS303で2.5G通信方式を無線タグ114への給電、情報の送信に利用している場合には、ステップS305で、2.5GRF106及び2.5Gディジタルベースバンド処理手段107に搭載された無線タグ給電送信手段112を停止する。
【0037】
そして、ステップS306で、通信制御手段108は、無線タグ給電送信機能選択手段113を停止し、無線タグ給電送信機能の停止をCPU109へ通知する。
【0038】
次に、図4のフローチャート図を参照して、無線タグ利用時に3G通信方式、2.5G通信方式間でハンドオーバー要求が発生した場合の動作について説明する。
【0039】
ステップS401で、通信制御手段108はハンドオーバー要求を監視し、ハンドオーバー要求を受けた通信制御手段108は、ステップS402で無線タグ114への給電、情報の送信に利用している通信方式を特定し、3G通信方式を無線タグ114への給電、情報の送信に利用している場合、すなわち2.5G通信方式で通常の通信を行っている場合には、ステップS403で、3Gディジタルベースバンド処理手段104に搭載された無線タグ給電送信手段111を停止する。ここで、3GRF103は次の処理でハンドオーバー動作により3G通信方式での通信が開始されるため、停止を行わなくてもよい。次に、ステップS404で、通信制御手段108は通常のハンドオーバー動作と同じく、2.5G通信方式から3G通信方式へのハンドオーバーを行う。このとき2.5GRF106は、次の処理で無線タグ給電送信機能として使用するため、停止を行わなくてもよい。続いて、ステップS405で、通信制御手段108は、無線タグ給電送信選択手段113に対して、選択通信方式を3G通信方式から2.5G通信方式に切り替えるとともに、2.5Gディジタルベースバンド処理手段107に搭載された無線タグ給電送信手段112を起動する。
【0040】
一方、ステップS402で2.5G通信方式を無線タグ114への給電、情報の送信に利用している場合、すなわち3G通信方式で通常の通信を行っている場合には、ステップS406で、2.5Gディジタルベースバンド処理手段107に搭載された無線タグ給電送信手段112を停止する。ここで、2.5GRF106は次の処理でハンドオーバー動作により2.5G通信方式での通信が開始されるため、停止を行わなくてもよい。次に、ステップS407で、通信制御手段108は通常のハンドオーバー動作と同じく、3G通信方式から2.5G通信方式へのハンドオーバーを行う。このとき3GRF103は、次の処理で無線タグ給電送信機能として使用するため、停止を行わなくてもよい。続いて、ステップS408で、通信制御手段108は無線タグ給電送信選択手段113に対して、選択通信方式を2.5G通信方式から3G通信方式に切り替えるとともに、3Gディジタルベースバンド処理手段104に搭載された無線タグ給電送信手段111を起動する。
【0041】
そして、ステップS409で、無線タグ給電送信手段111又は無線タグ給電送信手段112を用いて無線タグ114への給電又は情報の送信が再開され、無線タグ114の読み書きが可能となる。すなわち、2.5G通信方式から3G通信方式へのハンドオーバーが行われた場合は、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用する通信方式が3G通信方式から2.5G通信方式に切り替えられ、3G通信方式から2.5G通信方式へのハンドオーバーが行われた場合は、無線タグ114への給電又は情報の送信に利用する通信方式が2.5G通信方式から3G通信方式に切り替えられ、いずれの場合も携帯情報通信端末101のハンドオーバーに支障なく、確実に無線タグ114を利用したアプリケーションを実行することができる。
【0042】
なお、上記説明では、ハンドオーバー時の動作として、通信のハンドオーバーと無線タグ114への給電又は情報の送信の切り替えとを個別に行ったが、これを同時に切り替えてもよい。
【0043】
このように、本実施例の携帯情報通信端末101によれば、無線タグ給電送信選択手段113では無線タグへの給電又は情報の送信に利用する通信方式(すなわち、現在通信や待ち受けに利用されていない通信方式)を選択し、3G通信方式を用いて通信を行っている場合には、2.5G通信方式の無線タグ給電送信手段112、2.5GRF106及び2.5Gアンテナ105を用いて無線タグ114への給電又は情報の送信を行い、2.5G通信方式を用いて通信を行っている場合には、3G通信方式の無線タグ給電送信手段111、3GRF103及び3Gアンテナ102を用いて無線タグ114への給電又は情報の送信を行うため、携帯情報通信端末101の通信機能を損なうことなく、無線タグ114へのアクセスを行うことができる。
【0044】
なお、上記では、3G通信方式と2.5G通信方式の2つの通信方式について記載したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、PDC(Personal Digital Cellular)通信方式、PHS(Personal Handyphone System)通信方式を採用しても良いし、無線LANやBluetooth、UWB(Ultra Wide Band)といった通信手段との併用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、無線タグへの給電機能を有する携帯電話機、PHS、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯情報通信端末装置であって、W−CDMA方式(3G通信方式)とGSM/GPRS方式(2.5G通信方式)などの複数の通信方式を具備する携帯情報通信端末装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施例に係る携帯情報通信端末の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る携帯情報通信端末を用いて無線タグへの給電又は情報の送信を行う場合の動作を示すフローチャート図である。
【図3】本実施例に係る携帯情報通信端末を用いて無線タグへの給電又は情報の送信を停止する場合の動作を示すフローチャート図である。
【図4】本実施例に係る携帯情報通信端末を用いて通信方式の切り替えを行う場合の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0047】
101 携帯情報通信端末
102 3Gアンテナ
103 3GRF
104 3Gディジタルベースバンド処理手段
105 2.5Gアンテナ
106 2.5GRF
107 2.5Gディジタルベースバンド処理手段
108 通信制御手段
109 CPU
110 無線タグ受信手段
111 無線タグ給電送信手段
112 無線タグ給電送信手段
113 無線タグ給電送信選択手段
114 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段と、
前記複数の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末において、
前記複数の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備え、
前記通信制御手段に、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する選択手段を備え、
前記通信制御手段では、前記選択手段で選択された通信手段の前記無線タグ給電送信手段で作成される前記信号を利用して、前記無線タグへの給電又は情報の送信を行うことを特徴とする携帯情報通信端末。
【請求項2】
第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、
第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末において、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備え、
前記通信制御手段に、現在、通信に利用されていない通信手段を選択する選択手段を備え、
前記通信制御手段では、前記選択手段で選択された通信手段の前記無線タグ給電送信手段で作成される前記信号を利用して、前記無線タグへの給電又は情報の送信を行うことを特徴とする携帯情報通信端末。
【請求項3】
前記第1の通信方式はW−CDMA方式であり、前記第2の通信方式はGSM方式又はGPRS方式であることを特徴とする請求項2記載の携帯情報通信端末。
【請求項4】
各々の前記通信手段に、ベースバンド信号を作成するベースバンド処理手段と、変調/復調処理を行うRF手段と、アンテナとを備え、
前記ベースバンド処理手段に前記無線タグ給電送信手段が設けられ、
前記無線タグ給電送信手段で作成された前記信号が、前記RF手段によって前記無線タグで利用可能な周波数に変調され、前記アンテナから出力されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の携帯情報通信端末。
【請求項5】
異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段が切り替え可能に構成され、
前記複数の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備える携帯情報通信端末で動作するプログラムであって、
コンピュータを、
現在、通信に利用されていない通信手段を選択する手段、
選択された前記通信手段の前記無線タグ給電送信手段に、前記信号を作成させる手段、として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段とが切り替え可能に構成され、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段を備える携帯情報通信端末で動作するプログラムであって、
コンピュータを、
現在、通信に利用されていない通信手段を選択する手段、
選択された前記通信手段の前記無線タグ給電送信手段に、前記信号を作成させる手段、として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項7】
前記第1の通信方式はW−CDMA方式であり、前記第2の通信方式はGSM方式又はGPRS方式であることを特徴とする請求項6記載の制御プログラム。
【請求項8】
異なる通信方式で通信を行う複数の通信手段と、
前記複数の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、
前記複数の通信手段の各々に設けられ、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末における無線タグへのアクセス方法であって、
現在、通信に利用されていない通信手段を選択するステップと、
選択した通信手段の前記無線タグ給電送信手段を用いて、前記信号を作成するステップと、
選択した前記通信手段を用いて、作成した前記信号を出力するステップと、を少なくとも有することを特徴とする無線タグへのアクセス方法。
【請求項9】
第1の通信方式で通信を行う第1の通信手段と、
第2の通信方式で通信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の切り替え制御を行う通信制御手段と、
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段の各々に設けられ、外部の無線タグへの給電又は情報の送信のための信号を作成する無線タグ給電送信手段と、を少なくとも備える携帯情報通信端末における無線タグへのアクセス方法であって、
現在、通信に利用されていない通信手段を選択するステップと、
選択した通信手段の前記無線タグ給電送信手段を用いて、前記信号を作成するステップと、
選択した前記通信手段を用いて、作成した前記信号を出力するステップと、を少なくとも有することを特徴とする無線タグへのアクセス方法。
【請求項10】
前記第1の通信方式はW−CDMA方式であり、前記第2の通信方式はGSM方式又はGPRS方式であることを特徴とする請求項9記載の無線タグへのアクセス方法。
【請求項11】
ハンドオーバー要求があった場合に、
前記無線タグへの給電又は情報の送信に利用している通信手段の前記無線タグ給電送信手段を停止した後、ハンドオーバーを実行することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一に記載の無線タグへのアクセス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−235567(P2007−235567A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54919(P2006−54919)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】