説明

携帯機器及び緊急信号発信方法

【課題】
緊急信号発生させる機能を使用する毎に設定・解除することなく、通常の操作により緊急信号を発生させることができる情報端末を提供する。
【解決手段】
無線信号の送受信を行う無線部3と、文字入力及び各種メニューの選択をする操作部5と、登録した1又は複数の所定のキー操作が行われなかった未操作時間をカウントするタイマー部4と、キー操作の種類、緊急信号の発信先、発信方法、及び発信までの時間などを記憶するメモリ部2と、タイマー部4により未操作時間をカウントし、未操作時間が設定時間を超えた場合に外部機器に対して緊急信号を自動的に発信するよう制御する制御部7とを有し、制御部7は、未操作時間のカウント中に登録したキー操作が行われるとタイマー部4のカウントをリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的にアラームを発信させることができる携帯電話機などに好適な携帯機器及びその緊急信号発信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高齢化する社会の中で、高齢者の一人暮らしが増加している。こういった高齢者の一人暮らしの場合、急な体調不良等により誰かと連絡が取りたい様な状況が発生ずることが考えられる。しかし、高齢者であると体の自由が利かず、外部との連絡を取ることが難しい場合も考えられる。
【0003】
このような問題を解決する為には、専用のアラーム発信装置を設置することが考えられる。しかしながらアラーム発信の為の操作を行なわなければならず、一人暮らしなにおいては周囲に誰もいない場合など使用者の置かれた状況によってはアラームの発信動作を行えない等ことも考えられる。
【0004】
これに対し、従来、予め設定された時間を経過すると自動的に緊急事態発生を通報でき、所在場所を知らせることのできる緊急信号発信装置付き携帯電話が開示されている(特許文献1)。
【0005】
この特許文献1に記載の緊急信号発信装置付き携帯電話は、緊急時に自動的に緊急信号を発信できる緊急信号発生装置を有する。緊急信号発生装置は、予めタイマーに設定された緊急通報時間が経過した場合に、メモリ回路に記憶されている所定の緊急信号を、通常の外部との通信に用いられる周波数とは異なる周波数で自動的に発信する。
【0006】
緊急信号発生には、例えば使用者がキーマトリックスを操作できる状態にある場合は、携帯電話のキー入力により緊急信号のコマンドを発生させる他、登山等で事故に遭い、遭難した場合、すなわち自分自身で携帯電話の操作ができない状態、例えば気を失っている、または身動きがとれない等の場合を想定し、携帯電話にタイマーを設け、設定から一定時間経過後に緊急信号を発生させる。これにより、緊急時に外部に緊急信号を発信することができる。
【特許文献1】特開2002−15206010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法により緊急時に連絡が取れない場合に緊急信号を発生させようとすると、例えば、登山に出かける前に、下山する予定時間+α(例えば2時間)の時間を緊急信号発生装置付き携帯電話に設定しておくなど、予め緊急事態を想定して緊急信号発生装置の設定をしておく必要がある。しかし、例えば、一人暮らしの高齢者の体調の変化の有無を確認することを目的とする場合などにおいては、予めそれを想定しておき緊急信号発生装置を設定しておくことは困難であり、また定期的に緊急信号の発生を設定しておき、通報が不要になった場合には解除するなどとすると操作が煩雑になると共に解除し忘れることで緊急信号が誤って発生してトラブルの原因になるとも考えられる。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、緊急信号などを発生させる機能を使用する毎に設定・解除することなく、通常の操作により所定の信号を発生させることができる携帯機器、及びその緊急信号発信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明にかかる携帯機器は、無線信号の送受信を行う無線部と、所定の操作を行なう操作部と、登録した1又は複数の所定の操作が行われなかった未操作時間をカウントするタイマー部と、前記タイマー部により前記未操作時間をカウントし、当該未操作時間が設定時間を超えた場合に外部機器に対して所定信号を自動的に発信するよう制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記未操作時間のカウント中に前記所定の操作が行われると前記タイマー部のカウントをリセットするものである。
【0010】
本発明においては、登録した所定の操作がなされない状態の累積時間を未操作時間としてカウントし、所定操作がなされた場合には未操作時間はリセットされるため、例えば、使用者が通常の操作が不能であるときのみ所定信号が発信することとなり、外部機器を例えば使用者の緊急連絡先が所有している機器としておけばこれを緊急信号として利用することができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記外部機器に対し、予め登録した内容の電子メール、又は音声データを前記所定信号として発信させることができ、使用者の用途に応じ、また所定信号を受け取る外部機器の種類に応じて適宜所定信号の発信方法を設定することができる。
【0012】
更に、前記外部機器が前記所定信号を着信するまで前記所定信号の発信を繰り返すことができ、これにより、確実に所定信号を外部機器に発信することができる。
【0013】
更にまた、前記外部機器が前記所定信号を着信するまで前記所定信号の発信を繰り返す間に他の外部機器より着信があった場合に予め登録した音声データを再生することができ、所定信号を他の外部機器に逸早く発信したり、所定信号の発信中であっても通常の着信動作を行わせることも可能である。
【0014】
また、機器の位置情報を検出する位置検出部をさらに有し、前記制御部は、前記位置検出部により検出した前記位置情報を前記所定信号に付加して発信させることができ、携帯機器の所有者が外出先で緊急事態に陥った場合には所有者の位置を確認することが可能となり、また、携帯機器を紛失した場合などには早期発見の手がかりとすることができる。
【0015】
更に、画像データを取得するカメラ部をさらに有し、前記制御部は、前記カメラ部により周囲の画像を取得し、前記所定信号に当該画像を付加して発信させることができ、携帯機器の周囲の状態を知ることができる。
【0016】
本発明にかかる緊急信号発生方法は、無線信号の送受信が可能な携帯機器による緊急信号発生方法であって、登録した1又は複数の所定の操作が行われなかった未操作時間をカウントし、前記未操作間のカウント中に前記所定の操作が行われた場合には当該未操作時間のカウントをリセットし、前記未操作時間が予め設定した設定時間を超えた場合には外部機器に対して所定信号を緊急信号として自動的に発信するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、緊急信号として使用可能な所定の信号を発生させる機能を、使用する毎に設定・解除することなく、通常の操作により所定の信号を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、自動アラーム発信機能付の携帯電話に適用したものであるが、携帯電話に限らず、外部(他の機器)に例えば電子メールを発信することができる情報端末等であってもよい。
【0019】
本実施の形態においては、携帯電話機において予め設定された一定時間以上の間、使用者により決められた操作がなされなかった場合、自動的に他の情報端末に向けて電話及び電子メール等の発信をアラームとして行う機能を有する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話機を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる携帯電話機1は、各種プログラムが格納されたメモリ部2と、無線データの送受信を行う無線部3と、時間カウントを行うタイマー部4と、使用者が各種情報を入力するための操作部5と、各種情報を表示する表示部6と、これらを制御する制御部7とを有する。
【0021】
メモリ部2は、携帯電話機1を動作させるための各種プログラム11、並びに電話番号及びメールアドレスなどの情報12、パスワード等の携帯電話固有の情報が記録されている。また、音声メモ13、メール文章14などを任意に書き込み・読み出しすることができる。そして、制御部7による制御によりこれらの書き込み・読み出しが任意に実行可能となっている。
【0022】
無線部3は、アンテナ21を有し、アンテナ21を介して無線データの送受信を行うことで、携帯電話機1が通話動作及び電子メールの送受信等の通信を行なう。タイマー部4は、例えばカウントアップタイマーとして、制御部7の制御により、カウントのスタート及びリセット、並びにカウント中の累積時間の読み出し等を行う。操作部5は、使用者がメール文章、発信先の電話番号などの文字・数字の入力、及び各種メニュー選択を行うための複数のキーを有している。表示部6は、文字・数字、電池残量、日付、画像等の各種情報を表示する。制御部7は、携帯電話機1を動作させるための各種制御を行う。例えば、無線部3を介して電子メールの送受信を行う送受信機能、音声通話の発着信機能等を有する。などを有する。携帯電話機1は、その他、携帯電話機本体の現在存在する位置を検出する位置検出部(不図示)や、画像データの取り込みを行うことのできるカメラ部(不図示)などを有してもよい。
【0023】
ここで、本実施の形態にかかる携帯電話機1は、使用者が操作部5により所定の操作(以下、キー操作という)を登録すると、タイマー部4がこの登録したキー操作がなされなかった時間をカウントし、制御部7がこのカウント時間に応じて自動的に音声データ又は電子メールなど(以下、アラームという。)を発信する機能を有する。アラーム発信までの設定時間T0、アラームの発信先、アラーム発信方法、発信するアラームの内容は予め携帯電話機1の使用者が予め設定(以下、初期設定ともいう。)しておくものとする。設定時間T0は、時間単位・日付単位で設定することが可能であり、また、夜間など時間帯によってカウントを無効とするような設定についても可能なものとする。以下の説明においては、タイマー部4が上記キー操作がなされない未操作時間を単純に連続してカウントする時間、及びカウントを無効とする時間帯を除いてカウントした累積時間をまとめて未操作時間Tということとする。
【0024】
そして、アラーム発信先は、例えば携帯電話機1の使用者の緊急連絡先が使用している携帯電話の電話番号、メールアドレスなどとすることができる。これにより、未操作時間Tが設定時間T0を超えた場合に自動的にアラームが発信されることとなる。また、アラームの発信方法としては、携帯電話機1から緊急連絡先の携帯電話又は固定電話へ電話をかけその旨を伝える音声データを流したり、緊急連絡先の携帯電話などのメールアドレスへその旨を伝える電子メールを送信したりすることが考えられる。
【0025】
使用者が登録するキー操作は、「キー押下」の様な単純な操作から「カメラ画像閲覧」などの一連の操作が設定可能なものとする。また、例えば特定又は不特定の相手に対するメールの送信操作、メールの受信操作、特定又は不特定の相手からの通話の発着、電源のON・OFFなど、携帯電話機1で可能な操作のいずれか1以上を登録しておくことができるものとする。また、これら全ての操作を登録対象とすることも可能である。
【0026】
例えばメールの送信操作を登録し、自動的にアラームを発信するためにカウントする時間を24時間とすれば、最後にメール送信操作が行われたときから24時間経過してもメール送信操作が行われなかった場合に、予め登録した外部の通信機器に自動的にアラームが発信される。ここで外部の通信機器に対し、アラームとして予め入力しておいた内容の電子メールを送信するようにしてもよいし、外部の通信機器に対し自動的に通話を開始し所定のメッセージを流すようにしてもよい。
【0027】
また、登録する所定の操作を、特定の操作とせず、携帯電話機1に対して何らかの操作がなされない時間をカウントするようにしてもよい。その場合、アラーム発信までの時間を24時間としておけば、24時間携帯電話を使用(操作)しなかった場合に自動的にアラームが発信される。
【0028】
ここで、本実施の形態にかかるタイマー部4は、リセット機能を有し、予め登録した上記キー操作がなされた場合にカウント中のカウント時間をリセットする。これにより、自動アラーム発信機能を利用するためにアラーム発信機能をON・OFFするなどの特別な操作を不要とし、一旦、上述の初期設定をしておけば、自動的に登録先にアラームが発信されることなる。また、自動アラームの発信は、例えば使用者が最も操作をする確率が高いものとしておけば、操作する毎にカウント時間がリセットされ、通常の使用ではアラームが発信されないようにすることができ、アラームが誤って送信されるようなこともない。
【0029】
また、タイマー部4のカウンタは、上述したように時間帯に応じてカウントを一時停止させることもできるが、例えば電源がOFFの間がカウントアップしないように設定したり、逆に電源がOFFの状態であってもカウントを続け、未操作時間Tが設定時間T0に達した場合は自動的に電源をONしてアラームの発信をするようにすることも可能である。
【0030】
次に、本実施の形態にかかる自動アラーム発信機能付携帯電話機の動作について説明する。図2は、本実施の形態にかかる携帯電話機1のアラーム発信方法を示すフローチャートである。先ず、携帯電話機1の使用者はアラーム発信までの設定時間T0及び未操作時間Tをリセットするための鍵となるキー操作を決定し、登録・設定する(ステップS1、S2)。
【0031】
次に、アラームの発信先及び発信方法の設定を行う(ステップS3)。アラームの発信方法として、例えば音声通話によるアラーム発信又は電子メールによるアラーム発信の2つから選択することができる。そして、アラーム発信先へのメッセージとして、音声通話を選択した場合には音声メモの録音、電子メールを選択した場合には電子メール本文の作成を行う(ステップS4)。これらステップS1〜ステップS4にて設定された情報はメモリ部2へ保存される。
【0032】
以上の設定が完了すると、自動アラーム発信機能がONとなる。携帯電話機1は、キー操作がなされない状態の時間を累積した未操作時間Tのカウントを開始する(ステップS5)。また携帯電話機1は未操作時間Tのカウントを行うと同時に、使用者によってステップS2にて設定されている未操作時間Tをリセットするためのキー操作の有無を確認する(ステップS6)。ここで使用者により未操作時間Tをリセットするためのキー操作が行われた場合(ステップS6:Yes)、携帯電話機1はタイマー部4のリセットを行い(ステップS7)、改めてその時点からの未操作時間Tのカウントを開始する。また、未操作時間Tのリセットを行う動作が行われない場合、ステップS1にて設定したアラーム発信までの設定時間T0をタイマー部4から読み出し、カウント中の未操作時間Tとの比較を行う(ステップS8)。現在の未操作時間Tが設定した設定時間T0に達していない場合は引き続きタイマー部4により未操作時間Tのカウントの継続及び使用者によるキー操作の有無を監視する。
【0033】
一方、未操作状態の未操作時間TがステップS2にて設定した設定時間T0に到達した場合はステップS3にて設定したアラーム発信先及びアラーム用のメッセージとして保存された音声メモ又は電子メールをメモリ部2から読み出しし、音声通話又は電子メールを、他の情報端末へ向け発信(アラーム発信)する(ステップS9)。例えば音声通話にてアラーム発信を行った場合、アラームとして発信された音声通話に対し受信側が応答したら、携帯電話機1はメモリ部2からステップS4にて録音された音声メモの再生を行う(ステップS10)。
【0034】
本実施の形態においては、従来は携帯電話機の使用者が急な体調不良等により他の人に連絡を取りたい場合、周囲に人がいない時は使用者自身が携帯電話機等の操作により音声通話又は電子メール等の発信を行わなければならなかった。こういった場合、一人暮らし等で常に誰かと連絡できない状態であり、体調不良などで自ら携帯電話機などの操作が行えない場合は、通話等の発信が行えず誰とも連絡が取れないようなことが発生してしまう危険性があった。
【0035】
これに対して本実施の形態によれば、日常から使用している携帯電話機1のみで、尚且つ通常の使用方法で使用しているだけで、使用者が携帯電話を通常通り使用していない場合にこれを異常な状態であると自動的に検出し、携帯電話機1が自発的にアラームの発信を他の情報端末に向け行うことが可能となる。例えば、朝8時から夜8時の間で、4時間以上携帯電話の操作が行われなかった場合、家族へアラームの発信を行う様な設定を行えば、実際に何らかの体調不良により4時間以上携帯電話の操作を行わなかった場合、自動的にアラームを発信することが可能となる。
【0036】
このように、本実施の形態においては、携帯電話機を通常通りの使用方法で使用しているだけで、携帯電話機の操作を行えないような状態になった際、初期設定がしてあれば携帯電話機が自動的にアラームを発信する。このため、確実なアラーム発信が可能となる。
【0037】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかる携帯電話機ついて説明する。本実施の形態にかかる携帯電話機は、音声通話によりアラーム発信をした場合に、アラーム受信側が着信するまでアラームの発信を繰り返し、確実にアラームを受信させるものである。携帯電話機1の構成としては、図1に示す実施の形態1と同様に構成することができる。すなわち、初期設定を登録するための操作部5、キー操作の種類、アラーム発信先、アラーム発信方法、及びアラームの内容などを記憶するメモリ部2、設定時間をカウントするタイマー部4、キー操作の有無によりタイマー部4のリセット、カウントアップなどを制御したり、未操作時間Tに応じてアラーム発信を制御する制御部7などから構成される。
【0038】
図3は本実施の形態にかかる自動アラーム発信方法を示すフローチャートである。図3に示すように、先ず、実施の形態1におけるステップS1〜S8と同様に、使用者により、アラーム発信までの時間・アラーム発信先・発信方法等の設定(初期設定)を行う(ステップS21)。初期設定の完了後、携帯電話機1は、未操作時間Tのカウント及び使用者による携帯電話機のキー操作の有無を監視する。そして、設定された設定時間T0以上、携帯電話機1にキー操作がなされなかった場合(ステップS22)、携帯電話機1はメモリ部2よりアラームの発信先・発信方法の読み出しを行う(ステップS23)。アラームの発信手段として電子メールを設定していた場合には、アラーム発信先に向け電子メールによりアラームを発信する(ステップS24)。一方、アラームの発信方法として音声通話を設定していた場合、音声通話の発信によりアラームの発信を行う(ステップS25)。
【0039】
ここで、本実施の形態にかかる携帯電話機1は、音声通話によるアラームを発信後、このアラームに対して受信側の情報端末による応答の有無を監視する(ステップS26)。受信側の情報端末にて着信の応答があった場合には、携帯電話機1はメモリ部2より既に保存されている音声メモの読み出しを行い、アラーム発信先に向け音声メモの再生を行い、メッセージを伝える(ステップS27)。一方、受信側が着信に応答しなかった場合、携帯電話機1は一度音声発信を中断し、一定時間経過後(ステップS28)、再度音声発信を行う。音声発信によるアラーム発信は受信側が着信に応答するまで繰り返し行われ、応答があった際音声メモの再生を行い終了される。
【0040】
本実施の形態においては、音声通話によるアラーム発信の際、受信側の端末利用者が音声通話に応答しない限り引き続き受信側の応答があるまでアラームの発信が繰り返されるため、アラーム発信先へ確実にアラームを伝えることが可能である。
【0041】
また、その他、例えばアラームの発信回数を所定の回数に設定しておくことも可能である。例えばアラーム受信側の使用者にこの発信回数を通知しておけば、着信履歴によりアラームの発信があったことを認識させることができる。また、所定回数、音声通話による発信を行っても応答がなかった場合に、電子メールによるアラーム発信に切り替えることも可能である。この場合においても、アラーム発信先に確実にアラームを伝えることができる。
【0042】
更に、ステップS25における音声通話によるアラーム発信に対して、アラーム発信先の応答がない場合、一定時間経過後、引き続き受信側の応答があるまでアラームの発信を繰り返す(ステップS26、S28)が、ここでアラーム発信先の応答がなく、一定時間の経過を待っている(ステップS28)状態で、他の情報端末からの着信があった場合、携帯電話機1は自動的に着信応答するように設定しておくことも可能である。この場合、携帯電話機1は、メモリ部2から予め保存されている所定の音声メモの読み出しを行い、音声通話発信者に向けて音声メモの再生を行う。音声メモの配信後、携帯電話機1は音声通話を終了し、引き続き一定時間経過後にアラーム発信をする動作を繰り返す。
【0043】
このことにより、アラーム発信する配信先の例えば携帯電話機がその使用者が何らかの事情で長時間着信に応答できない場合、携帯電話機1は、その携帯電話機がアラーム発信に応答するまで音声通話によるアラーム発信を継続することとなるが、この間、携帯電話機1へ他の通信端末から着信があれば自動的に着信に応答し、音声メモを再生することができる。この際、再生する音声メモを緊急時用のアラームとしての音声メモとすることは勿論、着信不能時の通常の音声メモとすることも可能である。アラームとしての音声メモとすれば逸早くアラームを配信することが可能となる。また、全く無関係の外部機器から応答があった場合には、通常の応答メッセージ等としての音声メモを再生するように設定しておくことも可能である。
【0044】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3にかかる携帯電話機ついて説明する。図4は、本発明の形態3にかかる携帯電話機31を示す模式図である。なお図4に示す本実施の形態及び図5に示す実施の形態4において、図1に示す実施の形態1と同一構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0045】
図4に示すように、本実施の形態にかかる携帯電話機31は、位置検出部18を有する。位置検出部18は、制御部7の制御により携帯電話機31が現在どの位置に存在するかを検出することができ、検出した位置データはメモリ部2に保存することができる。また検出した位置データは添付ファイルとして電子メールにて送信することが可能である。
【0046】
次に本実施の形態にかかる携帯電話機31のアラーム発信方法について説明する。本実施の形態にかかる携帯電話機31は、実施の形態1における図2のステップS1〜ステップS8と同様に、先ず使用者による初期設定を行う。携帯電話機31は未操作状態の未操作時間Tのカウント及び使用者による携帯電話機31のキー操作の有無を監視する(ステップS6、S7、S8)。ここで、カウントした未操作時間Tが設定した設定時間T0を超えた場合には、アラーム発信が行われる。この場合、先ず、位置検出部18は制御部7の制御により現在の位置情報を検出する。検出された位置情報はメモリ部2へ保存される。次に携帯電話機31は予め設定されたアラームの発信先へ向け、予め作成されたメール本文に、位置検出部18にて検出されメモリ部2へ保存された現在位置情報を添付し、アラームとして送信する。なお、初期設定において、位置情報を添付するか否かを選択するようにすることも可能である。
【0047】
本実施の形態においては、例えば外出先など、自宅以外で携帯電話機31を操作できない状態になった場合においても、位置情報付きのアラームを発信できるため、携帯電話機31の使用者の居場所を推定することが可能である。また使用者が携帯電話機31本体を紛失してしまった場合、アラーム発信先を使用者所有の他の情報端末に指定しておけば、設定された時間が経過したら自動的に携帯電話機自体の位置情報を含んだ電子メールがアラームとして発信されるため、これを受信すれば、この受信したアラームを頼りに携帯電話機31本体の現在位置を知ることが可能である。
【0048】
近年、携帯電話機は現在生活する上でなくてはならない存在といっても過言ではない時代となっている。また携帯電話自体に重要な個人情報が記録されている場合も多い。よって、携帯電話機自体の情報セキュリティが重要である。本実施の形態における携帯電話機においては、重要な情報を記憶している携帯電話機を紛失しても、アラーム発信機能により携帯電話機の位置情報付きのアラームが自動的に発信されることにより、携帯電話機の早期発見が可能となる。
【0049】
実施の形態4.
次に本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4にかかる携帯電話機41は、図5に示すように、カメラ部19を有する。カメラ部19は、内部にセンサ部51及びDSP(Digital Signal Processor)部52を有し、センサ部51により取り込まれた画像をDSP部52にて画像データへ変換し、表示部6に表示する。また、取り込んだ画像データはメモリ部2へ保存することが可能である。また保存した画像データは添付ファイルとして電子メールにて送信することが可能である。
【0050】
次に本実施の形態にかかるアラーム発信動作について説明する。先ず、実施の形態1における図2のステップS2〜ステップS8と同様に初期設定をする。次に、携帯電話機41は未操作時間Tのカウント及び使用者による携帯電話機41のキー操作の有無を監視する(ステップS6、S7、S8)。ここで、カウントした未操作時間Tが設定した設定時間T0を超えた場合には、アラーム発信が行われる。この場合、カメラ部19は周囲の状況を撮像し、撮像した画像を制御部7の制御により画像データとしてメモリ部2へ保存する。なお、この際保存される画像データは使用者の上記初期設定により静止画と動画の選択を行えるものとする。次いで、携帯電話機41は予め設定されたアラームの発信先へ向け、予め作成されたメール本文に対し、メモリ部2へ保存された画像データを添付した電子メールを、アラームとして送信する。
【0051】
本実施の形態においては、アラーム受信者はアラーム発生時の周囲の状況を確認することができる。これにより、アラーム発信者が現状どういった状況にあるかを受信者側に画像を通して知ることが可能となる。また、携帯電話機41を紛失してしまった場合も同様に、携帯電話機の周囲の状況を確認することができるため、周囲の状況から紛失した携帯電話機41を探すことが可能である。
【0052】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、実施の形態1乃至実施の形態4をそれぞれ組み合わせることも可能である。また、位置情報、画像情報などは初期設定の際に、携帯電話機の使用者の用途に応じて適宜アラームとして添付するか否かを選択できるようにすることができる。また、本実施の形態においては、アラーム発信機能を有する携帯電話機について説明したが、例えば電子メールの送受信が可能な携帯情報端末などであっても本発明を適用することができる。
【0053】
また、上述の実施の形態においては、使用者の携帯電話機1の未操作時間Tに応じてアラームが登録されている連絡先に発信されるものとして説明したが、例えばアラームの発信先、及び電子メール又は音声データなどによるアラームの内容を基地局へも登録しておき、携帯電話機1がアラームを発信できない状況であって、必要であると判断した場合には、基地局側から登録された連絡先にアラームを発信することも可能である。この場合、携帯電話機1の使用者は、携帯電話機1が基地局と通信が遮断されてからアラームを発信するまでの時間、アラーム発信先、アラーム発信方法などをネットワークなどを介して基地局に登録しておくものとする。そして、携帯電話機1の電源がOFFにされたり、又は電波の届かない位置へ移動したりした場合(以下、基地局との通信が遮断された場合)、その累積時間をカウントし、予め登録された時間を超えた場合には、基地局から予め登録されたアラーム発信先に、予め登録されたアラームを発信する。
【0054】
このことにより、携帯電話機1の充電が切れてしまってアラームが発信できないような場合であっても、基地局から携帯電話機1の変わりにアラームの発信がなされる。また、所定の動作をしてから基地局との通信が遮断された場合には、アラーム発信の対象としないような設定を行なうことも可能である。これにより、アラーム発信が不要のときは自動的にアラームを発信しないようにすることができ、アラーム発信機能をON・OFFさせる必要がなく、操作が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる携帯電話機を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる携帯電話機のアラーム発信方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる携帯電話機の自動アラーム発信方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態3にかかる携帯電話機を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4にかかる携帯電話機を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
2 メモリ部、3 無線部、
4 タイマー部、5 操作部、
6 表示部、7 制御部、
11 各種プログラム、12 電話番号情報、
13 音声メモ、14 メール文章、
18 位置検出部、19 カメラ部、
21 アンテナ、51 センサ部、
52 DSP部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の送受信を行う無線部と、
所定の操作を行なう操作部と、
登録した1又は複数の所定の操作が行われなかった未操作時間をカウントするタイマー部と、
前記タイマー部により前記未操作時間をカウントし、当該未操作時間が設定時間を超えた場合に外部機器に対して所定信号を自動的に発信するよう制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記未操作時間のカウント中に前記所定の操作が行われると前記タイマー部のカウントをリセットする携帯機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部機器に対し、予め登録した内容の電子メールを前記所定信号として発信させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部機器に対し、予め登録した内容の音声データを前記所定信号として発信させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項4】
前記外部機器が前記所定信号を着信するまで前記所定信号の発信を繰り返す
ことを特徴とする請求項3記載の携帯機器。
【請求項5】
前記外部機器が前記所定信号を着信するまで前記所定信号の発信を繰り返す間に、他の外部機器より着信があった場合に予め登録した音声データを再生する
ことを特徴とする請求項4記載の携帯機器。
【請求項6】
機器の位置情報を検出する位置検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記位置検出部により検出した前記位置情報を前記所定信号に付加して発信させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項7】
画像データを取得するカメラ部をさらに有し、
前記制御部は、前記カメラ部により周囲の画像を取得し、前記所定信号に当該画像を付加して発信させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項8】
無線信号の送受信が可能な携帯機器による緊急信号発生方法であって、
登録した1又は複数の所定の操作が行われなかった未操作時間をカウントし、
前記未操作時間のカウント中に前記所定の操作が行われた場合には当該未操作時間のカウントをリセットし、
前記未操作時間が予め設定した設定時間を超えた場合には外部機器に対して所定信号を緊急信号として自動的に発信する緊急信号発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−270757(P2006−270757A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88385(P2005−88385)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】