携帯機器
【課題】 簡単な構造で、容易に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供する。
【解決手段】 下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11の内面に、電池収納部8の両側に位置する下部ケース3の外側部にそれぞれ設けられた係止溝部14に係脱可能に係合する係合フック部13を形成し、また外側蓋部11の内側に取り付けられる内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11の係合フック部13に対面した状態で接近するパッキン溝18を全周に沿って連続させて形成した。従って、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に形成することができるので、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12のパッキン溝18とが接近していても、容易に製作できる。このため、構造が簡単で、内側蓋部12のパッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ良好に密接させることができるので、防水性を確保することができる。
【解決手段】 下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11の内面に、電池収納部8の両側に位置する下部ケース3の外側部にそれぞれ設けられた係止溝部14に係脱可能に係合する係合フック部13を形成し、また外側蓋部11の内側に取り付けられる内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11の係合フック部13に対面した状態で接近するパッキン溝18を全周に沿って連続させて形成した。従って、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に形成することができるので、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12のパッキン溝18とが接近していても、容易に製作できる。このため、構造が簡単で、内側蓋部12のパッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ良好に密接させることができるので、防水性を確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、電子カメラなどの携帯型の電子機器に用いられる蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子カメラに用いられている電池蓋においては、特許文献1に記載されているように、カメラケース内に設けられた電池収納部を開閉可能に塞ぐ際に、電池収納部の開口部内に蓋本体の内側部が挿入し、この挿入した蓋本体の内側部の外周部に設けられた防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接することにより、防水を図るように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−157240号公報
【0004】
このような電子カメラの電池蓋は、防水を維持するために、カメラケースの電池収納部を塞いだ際に、蓋本体にその内外に露出した状態で回転可能に設けられたロックダイヤルを回転させて、このロックダイヤルの内面に設けられたロックレバーをカメラケースの内面に係止させることにより、蓋本体の防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接した状態を維持させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような電子カメラの電池蓋では、蓋本体にロックダイヤルを内外に露出させた状態で回転可能に設けているため、このロックダイヤルにも防水パッキンを設けて防水性を確保する必要がある。このため、2重の防水構造になり、構造が複雑になるばかり、組立て作業も煩雑になり、製作コストが高くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、容易に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、機器ケースの収納部を塞ぐ際に、外側蓋部の内面に固定された内側蓋部のパッキン溝に防水パッキンを装着し、この内側蓋部を機器ケースの収納部の開口部内に挿入させて、外側蓋部を機器ケースに押し付けると、収納部の開口部の内周面に防水パッキンを密接させて外側蓋部の係合フック部を機器ケースの両側の外側部に設けられた係止溝部に係合させることができる。
【0009】
このとき、内側蓋部のパッキン溝に接近している外側蓋部の係合フック部によって、パッキン溝に装着された防水パッキンを収納部の内周面に確実に押し付けることができる。このため、1つの防水パッキンを内側蓋部のパッキン溝に装着するだけの簡単な構造で防水性を確保することができると共に、機器ケースの係止溝部に対する外側蓋部の係合フック部の係合により、防水性を確実に維持することができる。
【0010】
また、外側蓋部と内側蓋部とを別々に成形することができるので、外側蓋部の係合フック部と内側蓋部のパッキン溝とが対面した状態で接近していても、簡単に且つ容易に製作することができる。このため、外側蓋部と内側蓋部とを自由な形状に形成することができると共に、外観性およびデザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1に示された携帯情報端末機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を所定角度に開いた状態を示した拡大斜視図である。
【図4】図3に示された携帯情報端末機のA−A矢視において、携帯情報端末機を破断して示した要部の拡大斜視図である。
【図5】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を示した拡大斜視図である。
【図6】図5に示された携帯情報端末機の電池蓋を裏面側から見て示した拡大裏面図である。
【図7】図6に示された電池蓋のB−B矢視における断面を示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態を示した拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態を示した拡大断面図である。
【図8】図7に示された電池蓋の要部を更に拡大して示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態における要部の拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態における要部の拡大断面図である。
【図9】図6に示された電池蓋のC−C矢視における断面を示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態を示した拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態を示した拡大断面図である。
【図10】図9に示された電池蓋の要部を更に拡大して示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態における要部の拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態における要部の拡大断面図である。
【図11】図6に示された電池蓋の外側蓋部を示し、(a)はその外側蓋部の拡大裏面図、(b)はその外側蓋部のD−D矢視における拡大断面図、(c)はその外側蓋部のE−E矢視における拡大断面図である。
【図12】図6に示された電池蓋の内側蓋部を示し、(a)はその内側蓋部の拡大裏面図、(b)はその内側蓋部のF−F矢視における拡大断面図、(c)はその内側蓋部のG−G矢視における拡大断面図である。
【図13】図7(a)に示された電池蓋の防水パッキンを示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図13を参照して、この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯情報端末機は、図1および図2に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とかなっている。この機器ケース1内には、図1および図4に示すように、入力表示部4およびキー入力部5が上部ケース2の上面側(図4では下面側)に露出した状態で設けられている。下部ケース3の下面(図2では上面)には、図2および図3に示すように、電池蓋6および点検蓋7が配置されている。
【0013】
この場合、入力表示部4は、図4に示すように、透明なタッチパネル4aと表示パネル4bとを備えている。透明なタッチパネル4aは、その表面をタッチ操作することにより、情報が入力されるように構成されている。表示パネル4bは、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、情報処理に伴う各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0014】
この入力表示部4は、透明なタッチパネル4aの下側(図4では上側)に表示パネル4bが配置され、この状態で上部ケース2内に組み込まれている。これにより、入力表示部4は、透明なタッチパネル4aが上部ケース2の表示開口部2aから上側(図4では下側)に露出し、表示パネル4bに表示された情報が透明なタッチパネル4aを通して上方(図4では下側)から見え、この表示パネル4bに表示された情報を見ながら透明なタッチパネル4aをタッチ操作するように構成されている。
【0015】
キー入力部5は、図1に示すように、文字キー、カーソルキー、ファンクションキーなどの情報処理に必要な各種のキーを備え、図4に示すように、上部ケース2内に組み込まれて、その上面(図4では下面)が上部ケース2のキー開口部2bから上方(図4では下側)に露出するように構成されている。また、下部ケース3の内部には、図3および図4に示すように、電池(図示せず)を収納する電池収納部8が、キー入力部5の下側(図4では上側)に対応した状態で、下部ケース3の下側(図3および図4では上側)に開放されて設けられている。
【0016】
ところで、電池蓋6は、図4に示すように、キー入力部5に対応する箇所の下部ケース3内に設けられた電池収納部8の開口部8aを開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池蓋6は、図2〜図6に示すように、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側(図3では下側)に取り付けられて、下部ケース3に設けられた電池収納部8の開口部8a内に挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備えている。
【0017】
外側蓋部11は、合成樹脂からなり、図2〜図5に示すように、その外面(図5では上面)に滑り止め用の凹凸部11aが多数設けられていると共に、この外面における両側部が下部ケース3の外側面と連続する湾曲面11bに形成された構成になっている。この外側蓋部11は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部8の開口部8aよりも少し大きく形成され、電池収納部8の開口部8aの外周部に位置する縁部に配置されるように構成されている。
【0018】
この場合、電池収納部8の開口部8aの周囲に位置する下部ケース3の外面(図3では上面)には、図3および図4に示すように、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部が配置する装着凹部8bが設けられている。これにより、外側蓋部11は、図2に示すように、電池収納部8の開口部8aを覆った状態で、外側蓋部11の周縁部が下部ケース3の装着凹部8bに配置された際に、外側蓋部11の外面が下部ケース3の外面に連続し、機器ケース1を手で握った際に、手のひらに良好に密接するように構成されている。
【0019】
また、この外側蓋部11の内面には、図11(a)〜図11(c)に示すように、内側蓋部12が配置される蓋装着凹部11cが一側部(図11(a)では下辺部)のみに開放されて設けられている。この蓋装着凹部11cの左右方向(つまり下部ケース3の長手方向と直交する方向)における両側に位置する外側蓋部11の内面における両側部には、図6〜図8、図11に示すように、一対の係合フック部13が一体に形成されている。
【0020】
この一対の係合フック部13は、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部における装着凹部8b内に設けられた係止溝部14に係脱可能に係合するように構成されている。すなわち、この一対の係合フック部13は、図7、図8および図11に示すように、外側蓋部11の湾曲部11bの内面から垂下(図7では起立)され、その下端部(図7では上端部)が外側蓋部11の中央部、つまり内側蓋部12の外周面に向けて突出した形状に形成されている。
【0021】
また、下部ケース3の係止溝部14は、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部に設けられた装着凹部8b内における下部ケース3の両側部に位置する箇所にそれぞれ設けられた切り込み溝であり、この切込み溝内には、図3に示すように、係合フック部13の下端部を係止する係止突起部14aが設けられた構成になっている。
【0022】
さらに、この外側蓋部11の前後方向(下部ケース3の長手方向)における一側部(図3では左側部)には、図2および図3に示すように、下部ケース3の下面(図3では上面)に設けられた固定部材15によって電池蓋6を下部ケース3に対して固定するための固定溝部16が設けられている。この固定溝部16は、図5および図6に示すように、外側蓋部11の一側部をほぼ半円形状に切り欠いて形成されており、この切り欠いて形成された固定溝部16の内周面における上下部には、図9〜図11に示すように、それぞれ挟持鍔部16a、16bが設けられている。
【0023】
この場合、固定部材15は、図2および図3に示すように、下部ケース3の下面(図3でが上面)にその面方向に回転可能に取り付けられた円板部15aと、この円板部15aの所定箇所に位置する外周面から突出して形成された係合鍔部(図示せず)と、円板部15aの上面に設けられた操作部15bとを備えた構成になっている。
【0024】
これにより、固定部材15は、その円板部15aを回転させて係合鍔部を電池収納部8から離した状態で、電池蓋6を閉じると、円板部15aが外側蓋部11の固定溝部16内に相対的に挿入し、この状態で操作部15bを操作して円板部15aを回転させると、円板部15aの係合鍔部(図示せず)が外側蓋部11の固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入することにより、外側蓋部11を下部ケース3に対して固定するように構成されている。
【0025】
一方、内側蓋部12は、外側蓋部11と同様、合成樹脂からなり、図6〜図10に示すように、外側蓋部11の内面に設けられた蓋装着凹部11c内に接着剤や溶着などによって固定されるように構成されている。この内側蓋部12は、図3および図6に示すように、その外形が電池収納部8の開口部8aの内周面とほぼ同じか、それよりも少し小さい形状に形成されている。
【0026】
すなわち、この内側蓋部12は、図6および図12に示すように、外側蓋部11の蓋装着凹部11cとほぼ同じ大きさに形成された板部12aと、この板部12aの周囲に垂下(図12では起立)された枠状部12bとを一体に形成し、板部12aと枠状部12bとが電池収納部8の開口部8a内に挿入するように構成されている。この場合、枠状部12bの外周部には、図12(a)〜図12(c)に示すように、パッキン溝18が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続して設けられている。
【0027】
このパッキン溝18は、図7〜図9、図12に示すように、内側蓋部12の外周面に形成された断面矩形状の凹部であり、内側蓋部12の外周側に向けて開放された状態で、外側蓋部11の一対の係合フック部13に対面して接近するように構成されている。また、このパッキン溝18は、図6、図8および図10に示すように、その内部に防水パッキン20が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続した状態で装着されるように構成されている。
【0028】
この防水パッキン20は、図13に示すように、ゴムなどの弾性部材からなり、断面がほぼ円形状に形成されている。この場合、防水パッキン20は、図8および図10に示すように、内側蓋部12のパッキン溝18内に配置された際に、その一部がパッキン溝18内から内側蓋部12の外周側の外部に突出するように、パッキン溝18の円周方向の深さよりも少し太く形成されている。
【0029】
また、内側蓋部12の前後方向(つまり下部ケース3の長手方向)における一側部(図6では下辺部)、つまり外側蓋部11の固定溝部16と反対側に位置する側部には、図3、図5および図6に示すように、電池収納部8を電池蓋6で塞ぐ際に、電池蓋6の回転支点となる一対の支持突起21が側方(図6では手前側)に向けて突出して設けられている。
【0030】
すなわち、この一対の支持突起21は、図10(a)および図10(b)に示すように、内側蓋部12の枠状部12bにおけるパッキン溝18よりも下側(図10では上側)に位置する外側面からその側方に突出して形成され、電池蓋6を電池収納部8に取り付ける際に、図4に示すように、電池収納部8の開口部8aの内周面に設けられた係止穴部22に挿脱可能に挿入して保持されるように構成されている。
【0031】
これにより、電池蓋6は、図3および図4に示すように、電池収納部8を塞ぐ際に、内側蓋b12の外周部に設けられた一対の支持突起21を電池収納部8の係止穴部22に挿入させて保持させ、この状態で一対の支持突起21を中心に内側蓋部12を回転させると、内側蓋部12が電池収納部8の開口部8a内に挿入すると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む外周縁部が電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置されるように構成されている。
【0032】
次に、このような電池蓋6を製作する場合について説明する。
この場合には、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に製作する。まず、外側蓋部11を製作する場合には、成形用の第1金型によって成形する。このとき、外側蓋部11の係合フック部13は、外側蓋部11の湾曲部11bから垂下(図11(b)では起立)され、その下端部(図11(b)では上端部)が外側蓋部11の中央部、つまり内側蓋部12の外周面に向けて突出した形状になっている。
【0033】
また、この外側蓋部11の一側部(図11(c)では右側部)に位置する固定溝部16は、固定部材15の係止鍔部(図示せず)が挿脱可能に挿入する上下の挟持鍔部16a、16bが形成された形状になっている。これにより、外側蓋部11の係合フック部13および固定溝部16は、所謂アンダーカット形状またはオーバーハング形状になっている。
【0034】
このため、成形用の第1金型の内部には、係合フック部13および固定溝部16を形成するために、スライド機構が設けられている。これにより、外側蓋部11は、第1金型内に樹脂を射出させた後に離型する際に、スライド機構のスライドコアをスライドさせることにより、外側蓋部11に一体に成形される。
【0035】
一方、内側蓋部12を成形する場合には、成形用の第2金型によって成形する。このときには、内側蓋部12の枠状部12bの外周面に沿って連続するパッキン溝18が、枠状部12bの外周面から外部側方に向けて開放された形状になっている。これにより、内側蓋部12のパッキン溝18も、アンダーカット形状またはオーバーハング形状になっている。このため、内側蓋部12を成形する成形用の第2金型内にも、パッキン溝18を形成するために、スライド機構が設けられている。これにより、内側蓋部12は、外側蓋部11と同様に、第2金型によって成形される。
【0036】
次に、外側蓋部11の内面に内側蓋部12を接着剤や溶着によって固定する。このときには、図6に示すように、外側蓋部11の内面に設けられた蓋装着凹部11c内に内側蓋部12の板部12aを配置して、内側蓋部12の一側部(図6では上辺部)を外側蓋部11の固定溝部16に接近させると共に、内側蓋部12の一対の支持突起21を外側蓋部11の他側部(図6では下辺部)から突出させる。
【0037】
この状態で、外側蓋部11の内面に内側蓋部12を固定すると、図6〜図8に示すように、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18とが、互いに対面した状態で接近する。この場合、外側蓋部11と内側蓋部12とを1つの成形用金型で一体に成形しようとすると、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18との間隔Sが狭いため、成形用金型内にスライド機構を設けることができない。
【0038】
しかし、この実施形態のように、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に成形することにより、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18との間隔Sが狭くても、外側蓋部11に内側蓋部12を固定するときに、その両者の間隔Sを調整することにより、狭い間隔Sに設定することができる。
【0039】
次に、このような電池蓋6を下部ケース3に取り付けて電池収納部8の開口部8aを塞ぐ場合について説明する。
このときには、まず、内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18内に防水パッキン20を装着する。そして、図3および図4に示すように、電池蓋6の内側蓋部12を下部ケース3の電池収納部8の開口部8aに対応させて、内側蓋部12の一対の支持突起21を電池収納部8の係止穴部22(図4参照)に挿入する。
【0040】
この状態で、一対の支持突起21を中心に電池蓋6を回転させて、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入すると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部を電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置する。このときには、内側蓋部12の外周面のパッキン溝18内に装着されて外部に突出した防水パッキン20の一部が、電池収納部8の開口部8aの内周面に弾接して密接する。これにより、内側蓋部12は、電池収納部8の開口部8a内に防水パッキン20の弾接によってガイドされながら挿入するので、電池蓋6全体をガイドする。
【0041】
また、外側蓋部11の周縁部の湾曲部11bを含む周縁部が、電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置すると、外側蓋部11の内面に設けられた一対の係合フック部13が、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部に設けられた装着凹部8bにおける下部ケース3の両側部に位置する箇所に設けられた一対の係止溝部14に係止される。これにより、電池蓋6が電池収納部8の開口部8aを塞いて電池収納部8を密閉した状態で、下部ケース3に取り付けられる。
【0042】
すると、図2および図3に示すように、下部ケース3に設けられた固定部材15の円板部15aが外側蓋部11の一側部に設けられた半円形状の固定溝部16に相対的に挿入する。この状態で、円板部15aの上面に設けられた操作部15bを指で回して円板部15aを所定角度回転させると、円板部15aの係合鍔部(図示せず)が外側蓋部11の固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入する。これによっても、外側蓋部11が下部ケース3に固定される。
【0043】
この結果、電池蓋6は、下部ケース3の一対の係止溝部14に対する一対の係合フック部13の係合、電池収納部8の開口部8aの係止穴部22に対する一対の支持突起21の挿入保持、および固定部材15による固定溝部16の固定によって、下部ケース3に対し確実に且つ強固に取り付けられる。なお、電池蓋6を取り外す場合には、上述した操作と逆の操作を行うことにより、容易に取り外すことができる。
【0044】
このように、この電池蓋6によれば、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられて電池収納部8の開口部8aに挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備え、外側蓋部11の内面には、電池収納部8の両側に位置する下部ケース3の外側部にそれぞれ設けられた一対の係止溝部14に係脱可能に係合する一対の係合フック部13が形成されており、内側蓋部12の外周部には、外側蓋部11の一対の係合フック部13に対面した状態で接近するパッキン溝18が、全周に沿って連続して形成されている構成であるから、構造が簡単で、容易に製作できると共に、防水性を確保することができる。
【0045】
すなわち、この電池蓋6では、下部ケース3の電池収納部8を塞ぐ際に、外側蓋部11の内面に固定された内側蓋部12のパッキン溝18に防水パッキン20を装着し、この内側蓋部11を下部ケース3の電池収納部8の開口部8aに挿入させて、外側蓋部11を下部ケース3に押し付けると、電池収納部8の開口部8aの内周面に防水パッキン20を密接させて外側蓋部11の一対の係合フック部13を下部ケース3の両側の外側部に設けられた一対の係止溝部14に係合させることができる。
【0046】
この場合、電池蓋6は、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近した構成であるから、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13が係合した際に、下部ケース3の係止溝部14に対する係合フック部13の係合力によって、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ強固に押し付けることができ、これにより防水性を高めることができる。
【0047】
このため、1つの防水パッキン20を内側蓋部12のパッキン溝18に装着するだけの簡単な構造で、防水性を確保することができると共に、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13を係合させるだけで、簡単に且つ確実に電池蓋6を下部ケース3に取り付けることができる。これにより、防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ良好に押し付けることができるので、防水性を確実に維持することができる。
【0048】
また、外側蓋部1と内側蓋部12とを別々に成形することができるので、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近する構成であっても、簡単に且つ容易に製作することができると共に、外側蓋部11と内側蓋部12とを自由な形状に形成することができ、これにより外観性およびデザイン性に優れたものを得ることができるほか、機器ケース1を握り易くすることができ、使い勝手が良く、且つ小型化および薄型化をも図ることができる。
【0049】
この場合、外側蓋部11の係合フック部13は、内側蓋部12の外周側に位置して、内側蓋部12のパッキン溝18に向けて突出しており、内側蓋部12のパッキン溝18は、内側蓋部12の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、係合フック部13に対面して接近していることにより、電池蓋6によって電池収納部8を塞いだ際に、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の開口部8aの内周面に確実に且つ良好に押し付けることができる。
【0050】
すなわち、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12のパッキン溝18とが互いに対面した状態で接近していることにより、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13が係合した際に、下部ケース3の係止溝部14に対する係合フック部13の係合力によって、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ強固に押し付けることができ、これにより、より一層、防水性を高めることができる。
【0051】
このような電池蓋6を製作する際には、外側蓋部11を成形する第1金型内に係合フック部13を形成するためのスライド機構を設けて外側蓋部11を成形し、内側蓋部12を成形する第2金型内に枠状部12bのパッキン溝18を形成するためのスライド機構を設けて内側蓋部12を成形し、この成形された外側蓋部11に内側蓋部12を固定することにより、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近する構成であっても、簡単に且つ容易に製作することができる。
【0052】
また、この電池蓋6では、内側蓋部12のパッキン溝18に、下部ケース3の電池収納部8における開口部8aの内周面に弾接する防水パッキン20が、連続して装着されているので、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入させた際に、パッキン溝18内から突出した防水パッキン20の一部を電池収納部8の開口部8aの内周面に確実に且つ良好に弾接させることができ、これにより電池収納部8の開口部8aを確実に密閉することができるので、防水性を確保することができる。
【0053】
また、この電池蓋6によれば、外側蓋部11の外周部における一対の係合フック部13が設けられた両側部に対して直交する内側蓋部12の一側部に、電池収納部8の開口部8aにおける内周面に設けられた係止穴部22に挿脱可能に挿入して内側蓋部12の回転支点となる一対の支持突起21が形成されているので、この一対の支持突起21を支点として電池蓋6を回転させることにより、電池蓋6を下部ケース3に対して容易に且つ良好に取り付けることができる。
【0054】
すなわち、この電池蓋6では、内側蓋部12の一対の支持突起21を電池収納部8の開口部8aにおける内周面に設けられた係止穴部22に挿入させ、この状態で一対の支持突起2を中心に電池蓋6を回転させて内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入させると、内側蓋部12のパッキン溝18に装着された防水パッキン20が電池収納部8の開口部8aの内周面に密接しながら挿入するので、この防水パッキン20によってガイドされながら、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に円滑に且つ良好に挿入させることができる。
【0055】
また、このときには、外側蓋部11の一対の係合フック部13が電池収納部8の周縁部の装着凹部8bに設けられた係止溝部14に係合するので、電池蓋6が電池収納部8の開口部8aを塞いだ状態で、電池蓋6を下部ケース3に確実に取り付けることができると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部を、電池収納部8の周縁部の装着凹部8b内に良好に配置させることができ、これにより電池蓋6を下部ケース3に容易に且つ確実に取り付けて、電池収納部8を良好に塞ぐことができる。
【0056】
また、この電池蓋6では、内側蓋部12の支持突起21が設けられた一側部と反対側に位置する外側蓋部11の他側部に、下部ケース3に設けられた固定部材15によって下部ケース3に固定される固定溝部16が、外側蓋部11の外周面から外部側方に向けて開放された状態で形成されているので、固定溝部16が固定部材15によって固定されることにより、より一層、電池蓋6を下部ケース3に対して強固に固定することができる。
【0057】
この場合、固定溝部16は、半円形状に形成された切欠き溝であり、その内周面の上下に挟持鍔部16a、16bが設けられており、固定部材15は、下部ケース3に回転可能に取り付けられた円板部15aと、この円板部15aの外周面に設けられた係合鍔部(図示せず)と、円板部15aの上面に設けられた操作部15bとを備えているので、操作部15bを操作して円板部15aを回転させ、係合鍔部を固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入させるだけで、電池蓋6を下部ケース3に対して簡単に固定することができる。
【0058】
これにより、電池蓋6は、落下などの衝撃を受けた際に、仮に外側蓋部11の一対の係合フック部13が電池収納部8の周縁部の装着凹部8bに設けられた係止溝部14から外れても、電池収納部8の開口部8aの係止穴部22に挿入した内側蓋部12の一対の支持突起21と、固定部材15によって固定された外側蓋部11の固定溝部16とによって、電池蓋6が下部ケース3から脱落することがなく、電池蓋6を下部ケース3に確実に固定することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、蓋部材として、機器ケース1の電池収納部8を塞ぐ電池蓋6について述べたが、必ずしも電池蓋6である必要なく、例えば、点検用の開口部を塞ぐ点検蓋7にも適用することができるほか、外部接続端子の端子収納部やメモリーカードのカード収納部などの各種の収納部を塞ぐ蓋部材にも広く適用することができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、携帯情報端末に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯情報端末機である必要はなく、例えば、携帯電話機や電子カメラ、電子辞書、携帯型の音楽プレーヤなどの各種の携帯機器に広く適用することができる。
【0061】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0062】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【0063】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記係合フック部は、前記内側蓋部の外周側に位置して、前記内側蓋部の前記パッキン溝に向けて突出しており、前記内側蓋部の前記パッキン溝は、前記内側蓋部の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、前記係合フック部に対面して接近していることを特徴とする蓋部材である。
【0064】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記パッキン溝には、前記収納部の前記開口部における内周面に弾接する防水パッキンが、環状に連続して装着されていることを特徴とする蓋部材である。
【0065】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の一側部には、前記収納部の前記開口部における内周面に設けられた係止穴部に挿脱可能に挿入して前記内側蓋部の回転支点となる支持突起が形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【0066】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記支持突起が設けられた前記一側部と反対側に位置する前記外側蓋部の他側部には、前記機器ケースに設けられた固定部材によって前記機器ケースに対して固定される固定溝部が形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【符号の説明】
【0067】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
6 電池蓋
8 電池収納部
8a 開口部
11 外側蓋部
12 内側蓋部
13 係合フック部
14 係止溝部
15 固定部材
16 固定溝部
18 パッキン溝
20 防水パッキン
21 支持突起
22 係止穴部
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、電子カメラなどの携帯型の電子機器に用いられる蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子カメラに用いられている電池蓋においては、特許文献1に記載されているように、カメラケース内に設けられた電池収納部を開閉可能に塞ぐ際に、電池収納部の開口部内に蓋本体の内側部が挿入し、この挿入した蓋本体の内側部の外周部に設けられた防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接することにより、防水を図るように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−157240号公報
【0004】
このような電子カメラの電池蓋は、防水を維持するために、カメラケースの電池収納部を塞いだ際に、蓋本体にその内外に露出した状態で回転可能に設けられたロックダイヤルを回転させて、このロックダイヤルの内面に設けられたロックレバーをカメラケースの内面に係止させることにより、蓋本体の防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接した状態を維持させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような電子カメラの電池蓋では、蓋本体にロックダイヤルを内外に露出させた状態で回転可能に設けているため、このロックダイヤルにも防水パッキンを設けて防水性を確保する必要がある。このため、2重の防水構造になり、構造が複雑になるばかり、組立て作業も煩雑になり、製作コストが高くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、容易に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、機器ケースの収納部を塞ぐ際に、外側蓋部の内面に固定された内側蓋部のパッキン溝に防水パッキンを装着し、この内側蓋部を機器ケースの収納部の開口部内に挿入させて、外側蓋部を機器ケースに押し付けると、収納部の開口部の内周面に防水パッキンを密接させて外側蓋部の係合フック部を機器ケースの両側の外側部に設けられた係止溝部に係合させることができる。
【0009】
このとき、内側蓋部のパッキン溝に接近している外側蓋部の係合フック部によって、パッキン溝に装着された防水パッキンを収納部の内周面に確実に押し付けることができる。このため、1つの防水パッキンを内側蓋部のパッキン溝に装着するだけの簡単な構造で防水性を確保することができると共に、機器ケースの係止溝部に対する外側蓋部の係合フック部の係合により、防水性を確実に維持することができる。
【0010】
また、外側蓋部と内側蓋部とを別々に成形することができるので、外側蓋部の係合フック部と内側蓋部のパッキン溝とが対面した状態で接近していても、簡単に且つ容易に製作することができる。このため、外側蓋部と内側蓋部とを自由な形状に形成することができると共に、外観性およびデザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1に示された携帯情報端末機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を所定角度に開いた状態を示した拡大斜視図である。
【図4】図3に示された携帯情報端末機のA−A矢視において、携帯情報端末機を破断して示した要部の拡大斜視図である。
【図5】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を示した拡大斜視図である。
【図6】図5に示された携帯情報端末機の電池蓋を裏面側から見て示した拡大裏面図である。
【図7】図6に示された電池蓋のB−B矢視における断面を示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態を示した拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態を示した拡大断面図である。
【図8】図7に示された電池蓋の要部を更に拡大して示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態における要部の拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態における要部の拡大断面図である。
【図9】図6に示された電池蓋のC−C矢視における断面を示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態を示した拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態を示した拡大断面図である。
【図10】図9に示された電池蓋の要部を更に拡大して示し、(a)はパッキン溝に防水パッキンを装着した状態における要部の拡大断面図、(b)はパッキン溝から防水パッキンを取り外した状態における要部の拡大断面図である。
【図11】図6に示された電池蓋の外側蓋部を示し、(a)はその外側蓋部の拡大裏面図、(b)はその外側蓋部のD−D矢視における拡大断面図、(c)はその外側蓋部のE−E矢視における拡大断面図である。
【図12】図6に示された電池蓋の内側蓋部を示し、(a)はその内側蓋部の拡大裏面図、(b)はその内側蓋部のF−F矢視における拡大断面図、(c)はその内側蓋部のG−G矢視における拡大断面図である。
【図13】図7(a)に示された電池蓋の防水パッキンを示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図13を参照して、この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯情報端末機は、図1および図2に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とかなっている。この機器ケース1内には、図1および図4に示すように、入力表示部4およびキー入力部5が上部ケース2の上面側(図4では下面側)に露出した状態で設けられている。下部ケース3の下面(図2では上面)には、図2および図3に示すように、電池蓋6および点検蓋7が配置されている。
【0013】
この場合、入力表示部4は、図4に示すように、透明なタッチパネル4aと表示パネル4bとを備えている。透明なタッチパネル4aは、その表面をタッチ操作することにより、情報が入力されるように構成されている。表示パネル4bは、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、情報処理に伴う各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0014】
この入力表示部4は、透明なタッチパネル4aの下側(図4では上側)に表示パネル4bが配置され、この状態で上部ケース2内に組み込まれている。これにより、入力表示部4は、透明なタッチパネル4aが上部ケース2の表示開口部2aから上側(図4では下側)に露出し、表示パネル4bに表示された情報が透明なタッチパネル4aを通して上方(図4では下側)から見え、この表示パネル4bに表示された情報を見ながら透明なタッチパネル4aをタッチ操作するように構成されている。
【0015】
キー入力部5は、図1に示すように、文字キー、カーソルキー、ファンクションキーなどの情報処理に必要な各種のキーを備え、図4に示すように、上部ケース2内に組み込まれて、その上面(図4では下面)が上部ケース2のキー開口部2bから上方(図4では下側)に露出するように構成されている。また、下部ケース3の内部には、図3および図4に示すように、電池(図示せず)を収納する電池収納部8が、キー入力部5の下側(図4では上側)に対応した状態で、下部ケース3の下側(図3および図4では上側)に開放されて設けられている。
【0016】
ところで、電池蓋6は、図4に示すように、キー入力部5に対応する箇所の下部ケース3内に設けられた電池収納部8の開口部8aを開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池蓋6は、図2〜図6に示すように、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側(図3では下側)に取り付けられて、下部ケース3に設けられた電池収納部8の開口部8a内に挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備えている。
【0017】
外側蓋部11は、合成樹脂からなり、図2〜図5に示すように、その外面(図5では上面)に滑り止め用の凹凸部11aが多数設けられていると共に、この外面における両側部が下部ケース3の外側面と連続する湾曲面11bに形成された構成になっている。この外側蓋部11は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部8の開口部8aよりも少し大きく形成され、電池収納部8の開口部8aの外周部に位置する縁部に配置されるように構成されている。
【0018】
この場合、電池収納部8の開口部8aの周囲に位置する下部ケース3の外面(図3では上面)には、図3および図4に示すように、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部が配置する装着凹部8bが設けられている。これにより、外側蓋部11は、図2に示すように、電池収納部8の開口部8aを覆った状態で、外側蓋部11の周縁部が下部ケース3の装着凹部8bに配置された際に、外側蓋部11の外面が下部ケース3の外面に連続し、機器ケース1を手で握った際に、手のひらに良好に密接するように構成されている。
【0019】
また、この外側蓋部11の内面には、図11(a)〜図11(c)に示すように、内側蓋部12が配置される蓋装着凹部11cが一側部(図11(a)では下辺部)のみに開放されて設けられている。この蓋装着凹部11cの左右方向(つまり下部ケース3の長手方向と直交する方向)における両側に位置する外側蓋部11の内面における両側部には、図6〜図8、図11に示すように、一対の係合フック部13が一体に形成されている。
【0020】
この一対の係合フック部13は、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部における装着凹部8b内に設けられた係止溝部14に係脱可能に係合するように構成されている。すなわち、この一対の係合フック部13は、図7、図8および図11に示すように、外側蓋部11の湾曲部11bの内面から垂下(図7では起立)され、その下端部(図7では上端部)が外側蓋部11の中央部、つまり内側蓋部12の外周面に向けて突出した形状に形成されている。
【0021】
また、下部ケース3の係止溝部14は、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部に設けられた装着凹部8b内における下部ケース3の両側部に位置する箇所にそれぞれ設けられた切り込み溝であり、この切込み溝内には、図3に示すように、係合フック部13の下端部を係止する係止突起部14aが設けられた構成になっている。
【0022】
さらに、この外側蓋部11の前後方向(下部ケース3の長手方向)における一側部(図3では左側部)には、図2および図3に示すように、下部ケース3の下面(図3では上面)に設けられた固定部材15によって電池蓋6を下部ケース3に対して固定するための固定溝部16が設けられている。この固定溝部16は、図5および図6に示すように、外側蓋部11の一側部をほぼ半円形状に切り欠いて形成されており、この切り欠いて形成された固定溝部16の内周面における上下部には、図9〜図11に示すように、それぞれ挟持鍔部16a、16bが設けられている。
【0023】
この場合、固定部材15は、図2および図3に示すように、下部ケース3の下面(図3でが上面)にその面方向に回転可能に取り付けられた円板部15aと、この円板部15aの所定箇所に位置する外周面から突出して形成された係合鍔部(図示せず)と、円板部15aの上面に設けられた操作部15bとを備えた構成になっている。
【0024】
これにより、固定部材15は、その円板部15aを回転させて係合鍔部を電池収納部8から離した状態で、電池蓋6を閉じると、円板部15aが外側蓋部11の固定溝部16内に相対的に挿入し、この状態で操作部15bを操作して円板部15aを回転させると、円板部15aの係合鍔部(図示せず)が外側蓋部11の固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入することにより、外側蓋部11を下部ケース3に対して固定するように構成されている。
【0025】
一方、内側蓋部12は、外側蓋部11と同様、合成樹脂からなり、図6〜図10に示すように、外側蓋部11の内面に設けられた蓋装着凹部11c内に接着剤や溶着などによって固定されるように構成されている。この内側蓋部12は、図3および図6に示すように、その外形が電池収納部8の開口部8aの内周面とほぼ同じか、それよりも少し小さい形状に形成されている。
【0026】
すなわち、この内側蓋部12は、図6および図12に示すように、外側蓋部11の蓋装着凹部11cとほぼ同じ大きさに形成された板部12aと、この板部12aの周囲に垂下(図12では起立)された枠状部12bとを一体に形成し、板部12aと枠状部12bとが電池収納部8の開口部8a内に挿入するように構成されている。この場合、枠状部12bの外周部には、図12(a)〜図12(c)に示すように、パッキン溝18が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続して設けられている。
【0027】
このパッキン溝18は、図7〜図9、図12に示すように、内側蓋部12の外周面に形成された断面矩形状の凹部であり、内側蓋部12の外周側に向けて開放された状態で、外側蓋部11の一対の係合フック部13に対面して接近するように構成されている。また、このパッキン溝18は、図6、図8および図10に示すように、その内部に防水パッキン20が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続した状態で装着されるように構成されている。
【0028】
この防水パッキン20は、図13に示すように、ゴムなどの弾性部材からなり、断面がほぼ円形状に形成されている。この場合、防水パッキン20は、図8および図10に示すように、内側蓋部12のパッキン溝18内に配置された際に、その一部がパッキン溝18内から内側蓋部12の外周側の外部に突出するように、パッキン溝18の円周方向の深さよりも少し太く形成されている。
【0029】
また、内側蓋部12の前後方向(つまり下部ケース3の長手方向)における一側部(図6では下辺部)、つまり外側蓋部11の固定溝部16と反対側に位置する側部には、図3、図5および図6に示すように、電池収納部8を電池蓋6で塞ぐ際に、電池蓋6の回転支点となる一対の支持突起21が側方(図6では手前側)に向けて突出して設けられている。
【0030】
すなわち、この一対の支持突起21は、図10(a)および図10(b)に示すように、内側蓋部12の枠状部12bにおけるパッキン溝18よりも下側(図10では上側)に位置する外側面からその側方に突出して形成され、電池蓋6を電池収納部8に取り付ける際に、図4に示すように、電池収納部8の開口部8aの内周面に設けられた係止穴部22に挿脱可能に挿入して保持されるように構成されている。
【0031】
これにより、電池蓋6は、図3および図4に示すように、電池収納部8を塞ぐ際に、内側蓋b12の外周部に設けられた一対の支持突起21を電池収納部8の係止穴部22に挿入させて保持させ、この状態で一対の支持突起21を中心に内側蓋部12を回転させると、内側蓋部12が電池収納部8の開口部8a内に挿入すると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む外周縁部が電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置されるように構成されている。
【0032】
次に、このような電池蓋6を製作する場合について説明する。
この場合には、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に製作する。まず、外側蓋部11を製作する場合には、成形用の第1金型によって成形する。このとき、外側蓋部11の係合フック部13は、外側蓋部11の湾曲部11bから垂下(図11(b)では起立)され、その下端部(図11(b)では上端部)が外側蓋部11の中央部、つまり内側蓋部12の外周面に向けて突出した形状になっている。
【0033】
また、この外側蓋部11の一側部(図11(c)では右側部)に位置する固定溝部16は、固定部材15の係止鍔部(図示せず)が挿脱可能に挿入する上下の挟持鍔部16a、16bが形成された形状になっている。これにより、外側蓋部11の係合フック部13および固定溝部16は、所謂アンダーカット形状またはオーバーハング形状になっている。
【0034】
このため、成形用の第1金型の内部には、係合フック部13および固定溝部16を形成するために、スライド機構が設けられている。これにより、外側蓋部11は、第1金型内に樹脂を射出させた後に離型する際に、スライド機構のスライドコアをスライドさせることにより、外側蓋部11に一体に成形される。
【0035】
一方、内側蓋部12を成形する場合には、成形用の第2金型によって成形する。このときには、内側蓋部12の枠状部12bの外周面に沿って連続するパッキン溝18が、枠状部12bの外周面から外部側方に向けて開放された形状になっている。これにより、内側蓋部12のパッキン溝18も、アンダーカット形状またはオーバーハング形状になっている。このため、内側蓋部12を成形する成形用の第2金型内にも、パッキン溝18を形成するために、スライド機構が設けられている。これにより、内側蓋部12は、外側蓋部11と同様に、第2金型によって成形される。
【0036】
次に、外側蓋部11の内面に内側蓋部12を接着剤や溶着によって固定する。このときには、図6に示すように、外側蓋部11の内面に設けられた蓋装着凹部11c内に内側蓋部12の板部12aを配置して、内側蓋部12の一側部(図6では上辺部)を外側蓋部11の固定溝部16に接近させると共に、内側蓋部12の一対の支持突起21を外側蓋部11の他側部(図6では下辺部)から突出させる。
【0037】
この状態で、外側蓋部11の内面に内側蓋部12を固定すると、図6〜図8に示すように、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18とが、互いに対面した状態で接近する。この場合、外側蓋部11と内側蓋部12とを1つの成形用金型で一体に成形しようとすると、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18との間隔Sが狭いため、成形用金型内にスライド機構を設けることができない。
【0038】
しかし、この実施形態のように、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に成形することにより、外側蓋部11の一対の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18との間隔Sが狭くても、外側蓋部11に内側蓋部12を固定するときに、その両者の間隔Sを調整することにより、狭い間隔Sに設定することができる。
【0039】
次に、このような電池蓋6を下部ケース3に取り付けて電池収納部8の開口部8aを塞ぐ場合について説明する。
このときには、まず、内側蓋部12の枠状部12bのパッキン溝18内に防水パッキン20を装着する。そして、図3および図4に示すように、電池蓋6の内側蓋部12を下部ケース3の電池収納部8の開口部8aに対応させて、内側蓋部12の一対の支持突起21を電池収納部8の係止穴部22(図4参照)に挿入する。
【0040】
この状態で、一対の支持突起21を中心に電池蓋6を回転させて、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入すると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部を電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置する。このときには、内側蓋部12の外周面のパッキン溝18内に装着されて外部に突出した防水パッキン20の一部が、電池収納部8の開口部8aの内周面に弾接して密接する。これにより、内側蓋部12は、電池収納部8の開口部8a内に防水パッキン20の弾接によってガイドされながら挿入するので、電池蓋6全体をガイドする。
【0041】
また、外側蓋部11の周縁部の湾曲部11bを含む周縁部が、電池収納部8の開口部8aの周囲に設けられた装着凹部8b内に配置すると、外側蓋部11の内面に設けられた一対の係合フック部13が、図3に示すように、電池収納部8の開口部8aの周縁部に設けられた装着凹部8bにおける下部ケース3の両側部に位置する箇所に設けられた一対の係止溝部14に係止される。これにより、電池蓋6が電池収納部8の開口部8aを塞いて電池収納部8を密閉した状態で、下部ケース3に取り付けられる。
【0042】
すると、図2および図3に示すように、下部ケース3に設けられた固定部材15の円板部15aが外側蓋部11の一側部に設けられた半円形状の固定溝部16に相対的に挿入する。この状態で、円板部15aの上面に設けられた操作部15bを指で回して円板部15aを所定角度回転させると、円板部15aの係合鍔部(図示せず)が外側蓋部11の固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入する。これによっても、外側蓋部11が下部ケース3に固定される。
【0043】
この結果、電池蓋6は、下部ケース3の一対の係止溝部14に対する一対の係合フック部13の係合、電池収納部8の開口部8aの係止穴部22に対する一対の支持突起21の挿入保持、および固定部材15による固定溝部16の固定によって、下部ケース3に対し確実に且つ強固に取り付けられる。なお、電池蓋6を取り外す場合には、上述した操作と逆の操作を行うことにより、容易に取り外すことができる。
【0044】
このように、この電池蓋6によれば、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられて電池収納部8の開口部8aに挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備え、外側蓋部11の内面には、電池収納部8の両側に位置する下部ケース3の外側部にそれぞれ設けられた一対の係止溝部14に係脱可能に係合する一対の係合フック部13が形成されており、内側蓋部12の外周部には、外側蓋部11の一対の係合フック部13に対面した状態で接近するパッキン溝18が、全周に沿って連続して形成されている構成であるから、構造が簡単で、容易に製作できると共に、防水性を確保することができる。
【0045】
すなわち、この電池蓋6では、下部ケース3の電池収納部8を塞ぐ際に、外側蓋部11の内面に固定された内側蓋部12のパッキン溝18に防水パッキン20を装着し、この内側蓋部11を下部ケース3の電池収納部8の開口部8aに挿入させて、外側蓋部11を下部ケース3に押し付けると、電池収納部8の開口部8aの内周面に防水パッキン20を密接させて外側蓋部11の一対の係合フック部13を下部ケース3の両側の外側部に設けられた一対の係止溝部14に係合させることができる。
【0046】
この場合、電池蓋6は、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近した構成であるから、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13が係合した際に、下部ケース3の係止溝部14に対する係合フック部13の係合力によって、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ強固に押し付けることができ、これにより防水性を高めることができる。
【0047】
このため、1つの防水パッキン20を内側蓋部12のパッキン溝18に装着するだけの簡単な構造で、防水性を確保することができると共に、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13を係合させるだけで、簡単に且つ確実に電池蓋6を下部ケース3に取り付けることができる。これにより、防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ良好に押し付けることができるので、防水性を確実に維持することができる。
【0048】
また、外側蓋部1と内側蓋部12とを別々に成形することができるので、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近する構成であっても、簡単に且つ容易に製作することができると共に、外側蓋部11と内側蓋部12とを自由な形状に形成することができ、これにより外観性およびデザイン性に優れたものを得ることができるほか、機器ケース1を握り易くすることができ、使い勝手が良く、且つ小型化および薄型化をも図ることができる。
【0049】
この場合、外側蓋部11の係合フック部13は、内側蓋部12の外周側に位置して、内側蓋部12のパッキン溝18に向けて突出しており、内側蓋部12のパッキン溝18は、内側蓋部12の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、係合フック部13に対面して接近していることにより、電池蓋6によって電池収納部8を塞いだ際に、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の開口部8aの内周面に確実に且つ良好に押し付けることができる。
【0050】
すなわち、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12のパッキン溝18とが互いに対面した状態で接近していることにより、下部ケース3の係止溝部14に外側蓋部11の係合フック部13が係合した際に、下部ケース3の係止溝部14に対する係合フック部13の係合力によって、パッキン溝18に装着された防水パッキン20を電池収納部8の内周面に確実に且つ強固に押し付けることができ、これにより、より一層、防水性を高めることができる。
【0051】
このような電池蓋6を製作する際には、外側蓋部11を成形する第1金型内に係合フック部13を形成するためのスライド機構を設けて外側蓋部11を成形し、内側蓋部12を成形する第2金型内に枠状部12bのパッキン溝18を形成するためのスライド機構を設けて内側蓋部12を成形し、この成形された外側蓋部11に内側蓋部12を固定することにより、外側蓋部11の係合フック部13と内側蓋部12の枠状部12bに設けられたパッキン溝18とが対面した状態で接近する構成であっても、簡単に且つ容易に製作することができる。
【0052】
また、この電池蓋6では、内側蓋部12のパッキン溝18に、下部ケース3の電池収納部8における開口部8aの内周面に弾接する防水パッキン20が、連続して装着されているので、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入させた際に、パッキン溝18内から突出した防水パッキン20の一部を電池収納部8の開口部8aの内周面に確実に且つ良好に弾接させることができ、これにより電池収納部8の開口部8aを確実に密閉することができるので、防水性を確保することができる。
【0053】
また、この電池蓋6によれば、外側蓋部11の外周部における一対の係合フック部13が設けられた両側部に対して直交する内側蓋部12の一側部に、電池収納部8の開口部8aにおける内周面に設けられた係止穴部22に挿脱可能に挿入して内側蓋部12の回転支点となる一対の支持突起21が形成されているので、この一対の支持突起21を支点として電池蓋6を回転させることにより、電池蓋6を下部ケース3に対して容易に且つ良好に取り付けることができる。
【0054】
すなわち、この電池蓋6では、内側蓋部12の一対の支持突起21を電池収納部8の開口部8aにおける内周面に設けられた係止穴部22に挿入させ、この状態で一対の支持突起2を中心に電池蓋6を回転させて内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に挿入させると、内側蓋部12のパッキン溝18に装着された防水パッキン20が電池収納部8の開口部8aの内周面に密接しながら挿入するので、この防水パッキン20によってガイドされながら、内側蓋部12を電池収納部8の開口部8a内に円滑に且つ良好に挿入させることができる。
【0055】
また、このときには、外側蓋部11の一対の係合フック部13が電池収納部8の周縁部の装着凹部8bに設けられた係止溝部14に係合するので、電池蓋6が電池収納部8の開口部8aを塞いだ状態で、電池蓋6を下部ケース3に確実に取り付けることができると共に、外側蓋部11の湾曲部11bを含む周縁部を、電池収納部8の周縁部の装着凹部8b内に良好に配置させることができ、これにより電池蓋6を下部ケース3に容易に且つ確実に取り付けて、電池収納部8を良好に塞ぐことができる。
【0056】
また、この電池蓋6では、内側蓋部12の支持突起21が設けられた一側部と反対側に位置する外側蓋部11の他側部に、下部ケース3に設けられた固定部材15によって下部ケース3に固定される固定溝部16が、外側蓋部11の外周面から外部側方に向けて開放された状態で形成されているので、固定溝部16が固定部材15によって固定されることにより、より一層、電池蓋6を下部ケース3に対して強固に固定することができる。
【0057】
この場合、固定溝部16は、半円形状に形成された切欠き溝であり、その内周面の上下に挟持鍔部16a、16bが設けられており、固定部材15は、下部ケース3に回転可能に取り付けられた円板部15aと、この円板部15aの外周面に設けられた係合鍔部(図示せず)と、円板部15aの上面に設けられた操作部15bとを備えているので、操作部15bを操作して円板部15aを回転させ、係合鍔部を固定溝部16の上下の挟持鍔部16a、16b間に挿入させるだけで、電池蓋6を下部ケース3に対して簡単に固定することができる。
【0058】
これにより、電池蓋6は、落下などの衝撃を受けた際に、仮に外側蓋部11の一対の係合フック部13が電池収納部8の周縁部の装着凹部8bに設けられた係止溝部14から外れても、電池収納部8の開口部8aの係止穴部22に挿入した内側蓋部12の一対の支持突起21と、固定部材15によって固定された外側蓋部11の固定溝部16とによって、電池蓋6が下部ケース3から脱落することがなく、電池蓋6を下部ケース3に確実に固定することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、蓋部材として、機器ケース1の電池収納部8を塞ぐ電池蓋6について述べたが、必ずしも電池蓋6である必要なく、例えば、点検用の開口部を塞ぐ点検蓋7にも適用することができるほか、外部接続端子の端子収納部やメモリーカードのカード収納部などの各種の収納部を塞ぐ蓋部材にも広く適用することができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、携帯情報端末に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯情報端末機である必要はなく、例えば、携帯電話機や電子カメラ、電子辞書、携帯型の音楽プレーヤなどの各種の携帯機器に広く適用することができる。
【0061】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0062】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【0063】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記係合フック部は、前記内側蓋部の外周側に位置して、前記内側蓋部の前記パッキン溝に向けて突出しており、前記内側蓋部の前記パッキン溝は、前記内側蓋部の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、前記係合フック部に対面して接近していることを特徴とする蓋部材である。
【0064】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記パッキン溝には、前記収納部の前記開口部における内周面に弾接する防水パッキンが、環状に連続して装着されていることを特徴とする蓋部材である。
【0065】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の一側部には、前記収納部の前記開口部における内周面に設けられた係止穴部に挿脱可能に挿入して前記内側蓋部の回転支点となる支持突起が形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【0066】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記支持突起が設けられた前記一側部と反対側に位置する前記外側蓋部の他側部には、前記機器ケースに設けられた固定部材によって前記機器ケースに対して固定される固定溝部が形成されていることを特徴とする蓋部材である。
【符号の説明】
【0067】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
6 電池蓋
8 電池収納部
8a 開口部
11 外側蓋部
12 内側蓋部
13 係合フック部
14 係止溝部
15 固定部材
16 固定溝部
18 パッキン溝
20 防水パッキン
21 支持突起
22 係止穴部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、
前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、
前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、
前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記係合フック部は、前記内側蓋部の外周側に位置して、前記内側蓋部の前記パッキン溝に向けて突出しており、前記内側蓋部の前記パッキン溝は、前記内側蓋部の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、前記係合フック部に対面して接近していることを特徴とする蓋部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記パッキン溝には、前記収納部の前記開口部における内周面に弾接する防水パッキンが、環状に連続して装着されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の一側部には、前記収納部の前記開口部における内周面に設けられた係止穴部に挿脱可能に挿入して前記内側蓋部の回転支点となる支持突起が形成されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記支持突起が設けられた前記一側部と反対側に位置する前記外側蓋部の他側部には、前記機器ケースに設けられた固定部材によって前記機器ケースに対して固定される固定溝部が形成されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項1】
機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、
前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に固定されて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、
前記外側蓋部の内面には、前記収納部の両側に位置する前記機器ケースの外側部にそれぞれ設けられた係止溝部に係脱可能に係合する係合フック部が形成されており、
前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部の前記係合フック部に対面した状態で接近するパッキン溝が、全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記係合フック部は、前記内側蓋部の外周側に位置して、前記内側蓋部の前記パッキン溝に向けて突出しており、前記内側蓋部の前記パッキン溝は、前記内側蓋部の外周面から外部側方に向けて開放された状態で、前記係合フック部に対面して接近していることを特徴とする蓋部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記パッキン溝には、前記収納部の前記開口部における内周面に弾接する防水パッキンが、環状に連続して装着されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の一側部には、前記収納部の前記開口部における内周面に設けられた係止穴部に挿脱可能に挿入して前記内側蓋部の回転支点となる支持突起が形成されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓋部材において、前記内側蓋部の前記支持突起が設けられた前記一側部と反対側に位置する前記外側蓋部の他側部には、前記機器ケースに設けられた固定部材によって前記機器ケースに対して固定される固定溝部が形成されていることを特徴とする蓋部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−146715(P2012−146715A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1670(P2011−1670)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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