説明

携帯無線機

【課題】サブアンテナ用の部材を別途必要とすることなく、ダイバーシチアンテナ技術を利用可能にすると共に、サブアンテナを配置するための特別な空間の確保を不要にすることが可能な携帯無線機を提供する。
【解決手段】 本携帯無線機は、第1の端末10の筐体(第1筐体)と第2の端末20の筐体(第2筐体)とが着脱自在に構成された携帯無線機100であって、第1筐体に配設された第1のアンテナ11と、第1筐体に配設され、第1のアンテナ11に接続された第1の通信モジュール12と、第2筐体に配設された第2のアンテナ21と、第2筐体に配設され、第2のアンテナ21に接続された第2の通信モジュール22と、第1筐体に第2筐体が装着されたことを検出する装着検出部24と、装着検出部24により第1筐体に第2筐体が装着されたことが検出されたとき、第2のアンテナ21と第1の通信モジュール12とを接続するよう切り替える第1の信号切替部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体と第2筐体とが着脱自在に構成された携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な無線装置において、電波の受信感度や受信品質の改善等のために、複数のアンテナを同時に利用するダイバーシチ技術が利用されている。また、小型化が不可欠な携帯無線機においては、複数のアンテナを利用可能にするために様々な工夫が提案されている。
【0003】
例えば、携帯情報端末において、導電性の情報入力用ペンを本体収納時にダイバーシチ用サブアンテナとして使用する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、無線通信機において外部イヤホンアンテナ装着時に、内蔵アンテナと外部イヤホンアンテナとを組み合わせてダイバーシチ動作させ、感度の向上及び広帯域化を可能にする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、薄型のテレビ放送受像機において、薄さを損なわないように2つの開口導波管アンテナを配置してダイバーシチ動作させること提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−191751号公報
【特許文献2】特開2004−364149号公報
【特許文献3】特開2008−136219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイバーシチ技術を利用するためには、同時に使用可能な複数のアンテナを1つの装置に搭載する必要がある。しかし、携帯無線機は小型化が不可欠であるため、複数のアンテナを配置するための空間を確保するのが難しく、筐体等の小型化の妨げになる。そのため、サブアンテナとして特許文献1のように情報入力用ペンを利用したり、特許文献2のように外部イヤホンアンテナを利用したりすることが試みられている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は情報入力用ペンが付属されていなければ採用できないし、特許文献2の技術は外部イヤホンアンテナが付属されていなければ採用できない。また、特許文献1の技術においては、情報入力用ペンを装置本体に収納するためには、それを収納するための空間を確保しなければならず、筐体等の小型化の妨げになる。また、特許文献2の技術において、外部イヤホンアンテナを利用する場合には、このアンテナが装置本体と一体化されていないため、取り扱いが不便であり、イヤホンコードの取り回し状態の違いに応じてダイバーシチアンテナの特性が大きく変化してしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、サブアンテナ用の部材を別途必要とすることなく、ダイバーシチアンテナ技術を利用可能にすると共に、サブアンテナを配置するための特別な空間の確保を不要にすることが可能な携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯無線機は、第1筐体と第2筐体とが着脱自在に構成された携帯無線機であって、前記第1筐体に配設された第1のアンテナと、前記第1筐体に配設され、前記第1のアンテナに接続された第1の通信モジュールと、前記第2筐体に配設された第2のアンテナと、前記第2筐体に配設され、前記第2のアンテナに接続された第2の通信モジュールと、前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことを検出する装着検出部と、前記装着検出部により前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことが検出されたとき、前記第2のアンテナと第1の通信モジュールとを接続するよう切り替える第1の信号切替部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、第1筐体に第2筐体が装着されると、この状態を装着検出部が検出し、第1の信号切替部が前記第2のアンテナと第1の通信モジュールとを接続するよう切り替える。従って、前記第1の通信モジュールのアンテナ入力には、第1のアンテナと第2のアンテナとの両方が接続されることになり、これらをダイバーシチアンテナとして使用できる。つまり、第1筐体がサブアンテナを搭載していなくても、第1筐体に第2筐体を装着して使用する時には、ダイバーシチ技術を利用できる。
【0010】
また、本発明の携帯無線機は、前記第1筐体に配設された第1の表示部と、前記第2筐体に配設され、前記第1の表示部よりも小さい第2の表示部とを備え、前記第1の通信モジュールが、フルセグメントチューナを有し、前記第2の通信モジュールは、1セグメントチューナを有する。
【0011】
この構成によれば、フルセグメントチューナを有する第1筐体が備える第1のアンテナだけでは高い受信品質が得られない場合であっても、第1筐体に第2筐体が装着された状態で、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとをダイバーシチアンテナとして使用することにより受信品質が改善されるので、フルセグメントの画像等を高品質で受信可能になる。
【0012】
また、本発明の携帯無線機は、前記第1の通信モジュールが、フルセグメント及び1セグメントの共用チューナを有し、前記共用チューナによる受信感度に応じて、前記フルセグメントチューナによる受信及び前記1セグメントチューナによる受信を切り替えるチューナ切替部を備える。
【0013】
この構成によれば、受信環境に適した好ましい受信品質が得られる。例えば、強電界地域では高い受信品質が得られるので、共用チューナがフルセグメント受信を行うよう切り替えて解像度の高い画像を高品質で受信し、弱電界地域では受信品質が低下するので、共用チューナが1セグメント受信を行うよう切り替えて解像度の低い画像を受信することができる。
【0014】
また、本発明の携帯無線機は、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間に配設された容量結合部と、前記装着検出部により前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことが検出されたとき、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとを前記容量結合部を介して有線接続するよう切り替える第2の信号切替部と、を備える。
【0015】
この構成によれば、第1筐体に第2筐体が装着された状態では、アンテナのダイバーシチ技術を利用できるだけでなく、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとの間で有線でのモジュール間通信が可能になる。更に、第2の通信モジュールが第1のアンテナを利用して外部装置との間で無線通信することが可能になる。
【0016】
また、本発明の携帯無線機は、前記第1のアンテナが、無線LAN及びBluetoothの共用アンテナであり、前記第2のアンテナが、Bluetoothアンテナであり、前記第1の通信モジュールが、無線LAN及びBluetoothの共用モジュールを有し、前記第2の通信モジュールが、Bluetoothモジュールを有する。
【0017】
この構成によれば、第1筐体に第2筐体が装着された状態で、第1の通信モジュールが、第1のアンテナと第2のアンテナとをダイバーシチアンテナとして利用し、無線LAN通信を行うことができる。また、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で有線でのモジュール間通信が可能になる。更に、第1の通信モジュールが無線LAN通信を行わない時には、第2の通信モジュールが第1のアンテナを利用して外部装置との間でBluetooth通信することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サブアンテナ用の部材を別途必要とすることなく、ダイバーシチアンテナ技術を利用可能であり、サブアンテナを配置するための特別な空間の確保が不要にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態における携帯無線機の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における携帯無線機の変形例1の構成を示すブロック図
【図3】図2に示した携帯無線機の子機単独での構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態における携帯無線機の変形例2の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施形態における携帯無線機の変形例3の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
まず、本発明の携帯無線機に関する基本的な構成について、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示した携帯無線機100は、第1の端末10と第2の端末20とを有して構成されている。携帯無線機100としては、携帯型情報端末(PDA)、携帯型テレビ受像機、携帯電話端末などが想定される。図1においては、第1の端末10に第2の端末20が装着された状態を表しているが、これらは互いに分離してそれぞれ独立に動作することが可能な端末である。また、図1に示すように、第1の端末10に第2の端末20が装着できるように、装着部30が設けてある。
【0023】
すなわち、図1に示す例では、第1の端末10の筐体の一部分に、第2の端末20の大きさや形状に合わせた凹部が装着部30として形成してあるので、この凹部に第2の端末20を配置して固定し、これらを一体化するように第1の端末10に第2の端末20を装着することができる。また、装着状態を解除することにより、第2の端末20を第1の端末10から脱離することもできる。つまり、第2の端末20の筐体(第2筐体)は第1の端末10の筐体(第1筐体)に対して着脱自在に構成されており、第1の端末10及び第2の端末20は単体で使用することも可能であるし、装着状態で使用することも可能である。また、装着状態では、第1の端末10側に設けた接点14と第2の端末20側に設けた接点25とが対向し、これらの間が電気的に導通状態になる。
【0024】
第1の端末10は、第1のアンテナ11、第1のアンテナ11に接続された第1の通信モジュール12、を備えている。第1の通信モジュール12は、無線通信の送信及び受信の少なくとも一方の機能を搭載しており、第1のアンテナ11を利用して電波の送信及び/又は受信を行うことができる。また、第1の通信モジュール12は、アンテナのダイバーシチ動作を可能にする機能を搭載しており、複数のアンテナとそれぞれ接続するために2つのアンテナ端子12a、12bを備えている。一方のアンテナ端子12aは第1のアンテナ11と接続されており、もう一方のアンテナ端子12bは接点14と接続されている。
【0025】
一方、図1に示した第2の端末20は、第2のアンテナ21、第2の通信モジュール22、第1の信号切替部23、装着検出部24、を備えている。第2の通信モジュール22は、無線通信の送信及び受信の少なくとも一方の機能を搭載しており、第2のアンテナ21を利用して電波の送信及び/又は受信を行うことができる。
【0026】
第2の通信モジュール22のアンテナ端子は、第1の信号切替部23を経由して第2のアンテナ21と接続される。第1の信号切替部23は、装着検出部24の制御により切り替え可能なスイッチ回路であり、制御入力の他に端子23a、23b、23cを有している。第1の信号切替部23の端子23cは第2のアンテナ21と接続され、端子23aは第2の通信モジュール22のアンテナ端子と接続され、端子23bは接点25と接続されている。そして、第1の信号切替部23は、端子23cの接続先を端子23aと端子23bとのいずれか一方に選択的に切り替えることができる。
【0027】
装着検出部24は、第2の端末20が第1の端末10に装着されているか否かを検出し、その結果に応じた二値信号を第1の信号切替部23に与える。具体例として、図1に示した装着検出部24は、ホール素子を内蔵している。また、第1の端末10側には、図1に示すように、第2の端末20が装着された状態で装着検出部24と対向する位置に永久磁石13が設置してある。従って、ホール素子を内蔵した装着検出部24は、磁気の検出状態により、第2の端末20が第1の端末10に装着されているか否かを識別できる。
【0028】
なお、装着検出部24は第2の端末20が第1の端末10に装着されたかどうかを検出できればよいので、装着検出部24をホール素子以外の手段で置き換えることもできる。例えば、機械的なスイッチを用いて第1の端末10の筐体と第2の端末20の筐体との接近状態あるいは接触状態を検出することもできる。また、例えば第1の端末10と第2の端末20にコネクタのオス/メスを設けて第2の端末20が第1の端末10に装着された時にコネクタのオス/メス同士が係合するように構成し、これらのコネクタの接続状態を電気信号として検出してもよい。
【0029】
第1の信号切替部23は、装着検出部24が出力する制御信号に従って、第2の端末20が第1の端末10から分離している状態では、端子23cと端子23aとを接続し、第2の端末20が第1の端末10に装着されている状態では、端子23cと端子23bとを接続する。
【0030】
つまり、第2の端末20が第1の端末10から分離している状態では、第2のアンテナ21が第1の信号切替部23の端子23c、23aを介して第2の通信モジュール22のアンテナ端子と接続されるので、第2の通信モジュール22は第2のアンテナ21を用いて無線通信(送信及び/又は受信)を行うことができる。
【0031】
一方、第2の端末20が第1の端末10に装着された状態では、第2のアンテナ21と第2の通信モジュール22との接続は切り離され、第2のアンテナ21が端子23c、端子23b、接点25、接点14を経由して第1の端末10側の第1の通信モジュール12のアンテナ端子12bと接続される。この状態で、第1の通信モジュール12は、アンテナ端子12aに接続された第1のアンテナ11とアンテナ端子12bに接続された第2のアンテナ21との両方を同時に使用してダイバーシチ動作を行うことができる。
【0032】
ダイバーシチ動作を行うことにより、第1の通信モジュール12は無線信号の受信感度を改善したり通信の品質(CN比(Carrier to Noise ratio)など)を向上したりすることができる。しかも、図1に示す構成では、第1の端末10自体には第1のアンテナ11だけを搭載すればよい。つまり、特別なサブアンテナを第1の端末10に搭載する必要がないため、第1の端末10の筐体にサブアンテナの配置スペースを確保する必要がなく、筐体等の小型化が可能になる。
【0033】
(変形例1)
図1に示した携帯無線機の変形例1が図2、図3に示されている。この変形例1について以下に説明する。
【0034】
この変形例1の携帯無線機100Bは、図2に示す第1の端末10Bと第2の端末20Bとを有して構成されている。第1の端末10Bに第2の端末20Bが装着された状態が図2に示されており、第2の端末20B単独の構成が図3に示されている。なお、図2、図3において、図1中に示した構成と対応する要素については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0035】
図2に示す携帯無線機100Bについても、図1の携帯無線機100と同様に、第2の端末20Bの筐体は第1の端末10Bの筐体に対して着脱可能に構成してある。変形例1においては、第1の端末10Bと第2の端末20Bとは、親機/子機の関係にある。すなわち、親機である第1の端末10Bは子機である第2の端末20Bと比べて、機能や性能が上位にあり、筐体等の大きさも第1の端末10Bの方が大きい。
【0036】
具体的には、第1の端末10B、第2の端末20Bは、いずれもデジタルテレビ放送をユーザが視聴するための受信機能や表示機能を搭載している。但し、第1の端末10Bは、高解像度のテレビ画像情報を受信して、サイズが大きくかつ解像度も高い画面上に表示する性能を有している。一方、第2の端末20Bは、比較的解像度の低いテレビ画像情報を受信して、サイズが小さくかつ解像度も低い画面上に表示する性能を有している。
【0037】
図2に示すように、第1の端末10Bは前述の第1の通信モジュール12として、フルセグメントチューナ12Bを搭載している。デジタルテレビ放送ではそれぞれのチャネル内が複数(13個)のセグメントに区分され、セグメント毎に分割された情報が放送されており、13セグメントの全て(フルセグメント)を受信することにより、放送されている全ての情報を受信し、解像度の高い画像を表示することができる。フルセグメントチューナ12Bは、13セグメントの全てを受信する機能を有しているので、高解像度のテレビ放送を表示できる。
【0038】
また、フルセグメントチューナ12Bは、13セグメントの中から、受信対象のセグメントを選別したり受信するセグメント数を減らしたりする機能を搭載してもよい。この場合、テレビ放送電波の強電界地域では、簡易なアンテナを用いるだけでも十分な信号レベルで放送電波を受信できるので、フルセグメントの情報を受信して高解像度の画像を視聴するのに必要かつ十分なCN比を得ることができる。一方、弱電界地域では、受信できる信号レベルが小さくなるので、フルセグメントの情報の視聴に必要なCN比が得られなくなる。しかし、ワンセグ放送として用意されている特定の1セグメントだけを受信する場合には、小さいCN比であっても受信エラーを生じることなく放送を受信することができる。つまり、フルセグメントチューナ12Bは、フルセグメントチューナ及び1セグメントチューナの共用チューナとして機能することができる。
【0039】
図2に示すように、フルセグメントチューナ12Bには、チューナ切替部17が搭載されている。また、フルセグメントチューナ12Bは、基本的な機能として、受信チャネルの選択、選択したチャネルの放送信号の受信、受信信号の復号、画像処理の各機能を有している。
【0040】
チューナ切替部17は、フルセグメントチューナ12Bに入力された受信信号のレベルあるいは受信信号のCN比を監視し、受信感度に応じて、フルセグメントの受信と1セグメントの受信とを切り替えるように、フルセグメントチューナ12Bを制御する。すなわち、弱電界地域などで単一のアンテナ(第1のアンテナ11)だけを使用している場合のように、受信感度が低い(例えば受信信号レベルが低い、CN比が小さい、BERが悪い)場合には1セグメントの受信に切り替え、強電界地域でなくてもダイバーシチアンテナを使用している場合や強電界地域にいる場合のように、受信感度が高い(例えば受信信号レベルが高い、CN比が大きい)場合にはフルセグメントの受信に切り替える。
【0041】
図2に示すように、フルセグメントチューナ12Bの一方のアンテナ端子12aは、整合部15を経由して第1のアンテナ11と接続されている。フルセグメントチューナ12Bのもう一方のアンテナ端子12bは、第2の端末20Bが第1の端末10Bに装着されている時に、第1の信号切替部23及び整合部26を介して第2のアンテナ21と接続される。
【0042】
また、図2に示すように、第1の端末10Bは第1の表示部16を備える。この第1の表示部16は、比較的サイズが大きく解像度も高い高性能の表示機能を有している。なお、第1の表示部16は例えば液晶表示装置である。第1の表示部16は、フルセグメントチューナ12Bの受信により得られたテレビ放送の番組コンテンツ(動画像や音声を含む情報)をフルセグメントチューナ12Bの出力から入力し、その画像を画面に表示する。
【0043】
一方、図2、図3に示すように、第2の端末20Bには、前述の第2の通信モジュール22として、1セグメント(ワンセグ)チューナ22Bが搭載されている。この1セグメントチューナ22Bは、デジタルテレビ放送の各チャネルに含まれている13セグメントの中で、ワンセグ放送として用意されている特定の1セグメントだけを受信する機能を有している。また、1セグメントチューナ22Bは、基本的な機能として、受信チャネルの選択、選択したチャネルの放送信号の受信、受信信号の復号、画像処理の各機能を有している。
【0044】
図2、図3に示すように、第2の端末20Bは第2の表示部27を備える。第2の表示部27は、前述の第1の表示部16と比べて比較的サイズが小さく解像度も低い低性能の表示機能を有している。すなわち、第2の端末20Bは子機なので携帯に便利な小型の筐体に収納できるように構成されており、簡易的な表示機能だけを提供する。従って、解像度の低いワンセグ放送だけを受信対象とする1セグメントチューナ22Bを搭載している。なお、第2の表示部27は例えば液晶表示装置である。
【0045】
第2の表示部27は、1セグメントチューナ22Bの受信により得られたテレビ放送の番組コンテンツ(動画像や音声を含む情報)を1セグメントチューナ22Bの出力から入力し、その画像を画面に表示する。上記以外の構成や動作については、図1に示した携帯無線機100と同様である。
【0046】
変形例1の携帯無線機100Bによれば、第1の端末10Bに第2の端末20Bに装着された状態で使用する場合には、フルセグメントチューナ12Bが第2の端末20B側の第2のアンテナ21を利用するため、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でダイバーシチアンテナを構成できるので、デジタルテレビ放送の受信感度や受信品質を改善することが可能になる。つまり、特別なサブアンテナを収容するための空間を第1の端末10Bの筐体内に確保しておかなくてもダイバーシチ受信が可能であり、第1の端末10Bの小型化が可能になる。さらに、受信状態の変化に応じて、フルセグメントの受信と1セグメントの受信とをチューナ切替部17が切り替え可能であるので、第1の端末10Bでは、ユーザが特別な切り替え操作を行わなくても、高品質の受信ができる状況の時にはフルセグメントの受信が実行され、高品質の受信ができない時には1セグメントの受信が実行される。
【0047】
(変形例2)
図1に示した携帯無線機の変形例2が図4に示されている。この変形例2について以下に説明する。
この変形例2の携帯無線機100Cは、図4に示す第1の端末10Cと第2の端末20Cとを有して構成されている。第1の端末10Cに第2の端末20Cが装着された状態が図4に示されている。なお、図4において、図1中に示した構成と対応する要素については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0048】
図4に示す携帯無線機100Cについても、図1の携帯無線機100と同様に、第2の端末20Cの筐体は第1の端末10Cの筐体に対して着脱可能に構成してある。図4に示すように、第1の端末10Cは、第1のアンテナ11と第1の通信モジュール12Cとを備えている。また、第1の通信モジュール12Cは、相手装置との通信ができるように送信機能と受信機能との双方を有している。
【0049】
一方、図4に示すように、第2の端末20Cは、第2のアンテナ21、第2の通信モジュール22C、第1の信号切替部23、装着検出部24、第2の信号切替部28を搭載している。第2の通信モジュール22Cは、相手装置との通信ができるように送信機能と受信機能との双方を有している。また、第2の信号切替部28は、第1の信号切替部23と同様に装着検出部24の制御により切り替え可能なスイッチ回路であり、制御入力の他に端子28a、28b、28cを有している。
【0050】
図4に示す第2の端末20Cにおいては、第2のアンテナ21は、第1の信号切替部23、第2の信号切替部28を経由して第2の通信モジュール22Cのアンテナ端子と接続される。但し、図4に示すように、第2の端末20Cが第1の端末10Cに装着された状態では、装着検出部24の出力する制御信号によって第1の信号切替部23、第2の信号切替部28の接続状態が切り替わるので、第2のアンテナ21と第2の通信モジュール22Cのアンテナ端子との接続は遮断され、代わりに次のように接続される。すなわち、第2のアンテナ21は、第1の信号切替部23の端子23bを経由して第1の通信モジュール12Cのアンテナ端子12bと接続される。同時に、第2の通信モジュール22Cのアンテナ端子は、第2の信号切替部28の端子28c、28b、容量結合部18を経由して第1の通信モジュール12Cのアンテナ端子12a及び第1のアンテナ11と接続される。
【0051】
容量結合部18は、高周波信号が通過するのに支障がない程度の非常に静電容量が小さいコンデンサのような構成要素である。これにより、第1の端末10Cに第2の端末20Cが装着された時にこれらの間を物理的に接続しなくても、第1の通信モジュール12Cと第2の通信モジュール22Cとの間の電気接続経路を確保できる。
【0052】
従って、図4に示した携帯無線機100Cにおいては、第2の端末20Cが第1の端末10Cに装着された状態で、第1の通信モジュール12Cは、第1のアンテナ11、第2のアンテナ21の両者を用いてダイバーシチ受信を行うことができ、良好な無線通信状態を確保できる。更に、第2の端末20Cが第1の端末10Cに装着された状態では、第1の通信モジュール12Cと第2の通信モジュール22Cとが相互に接続されるので、これらの間で有線通信を相互に行うこともできる。また、第1の通信モジュール12Cが第1のアンテナ11を使用していない時には、第2の通信モジュール22Cが第1のアンテナ11を使用して、外部の装置との間で無線通信することもできる。
なお、図4では、容量結合部18について示しているが、高周波信号が通過するのに支障がない程度の高インピーダンスの抵抗についても同様な効果が得られる。
【0053】
(変形例3)
図4に示した携帯無線機の変形例3が図5に示されている。この変形例3について以下に説明する。
【0054】
この変形例3の携帯無線機100Dは、図5に示す第1の端末10Dと第2の端末20Dとを有して構成されている。第1の端末10Dに第2の端末20Dが装着された状態が図5に示されている。なお、図5において、図4中に示した構成と対応する要素については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0055】
図5に示す携帯無線機100Dについても、図1の携帯無線機100と同様に、第2の端末20Dの筐体は第1の端末10Dの筐体に対して着脱可能に構成してある。図5に示す携帯無線機100Dにおいては、第1の端末10Dに第1のアンテナ11として無線LAN/Bluetooth(登録商標)の共用アンテナ11Dが搭載され、第1の通信モジュール12として無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dが搭載されている。また、第2の端末20Dには第2のアンテナ21としてBluetoothアンテナ21Dが搭載され、第2の通信モジュール22としてBluetoothモジュール22Dが搭載されている。
【0056】
共用アンテナ11Dは、無線LANの規格に適合する周波数帯の電波の送受信と、Bluetoothの規格に適合する周波数帯の電波の送受信のいずれにも利用可能なアンテナの機能を有している。また、共用モジュール12Dは、無線LANの規格に適合する信号を送受信する機能と、Bluetoothの規格に適合する信号を送受信する機能との双方を有し、これらの機能を選択的に利用可能になっている。Bluetoothアンテナ21Dは、Bluetoothの規格に適合する周波数帯の電波の送受信に利用可能なアンテナの機能を有している。Bluetoothモジュール22Dは、Bluetoothの規格に適合する信号を送受信する機能を有している。
【0057】
携帯無線機100Dの第2の端末20Dにおいては、Bluetoothアンテナ21DとBluetoothモジュール22Dのアンテナ端子との間が、第1の信号切替部23、第2の信号切替部28を経由して接続される。但し、図5に示すように、第2の端末20Dが第1の端末10Dに装着された状態では、装着検出部24の出力する制御信号によって第1の信号切替部23、第2の信号切替部28の接続状態が切り替わるので、Bluetoothアンテナ21DとBluetoothモジュール22Dのアンテナ端子との接続は遮断され、代わりに次のように接続される。
【0058】
すなわち、Bluetoothアンテナ21Dは、第1の信号切替部23の端子23bを経由して無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dのアンテナ端子12bと接続される。同時に、Bluetoothモジュール22Dのアンテナ端子は、第2の信号切替部28の端子28c、28b、容量結合部18を経由して無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dのアンテナ端子12a及び無線LAN/Bluetoothの共用アンテナ11Dと接続される。
【0059】
従って、図5に示した携帯無線機100Dにおいては、第2の端末20Cが第1の端末10Cに装着された状態で、無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dは無線LAN/Bluetoothの共用アンテナ11D、Bluetoothアンテナ21Dの両者を用いてダイバーシチ受信を行うことができ、良好な無線通信状態で無線LANの無線通信又はBluetoothの無線通信を行うことができる。更に、第2の端末20Cが第1の端末10Cに装着された状態では、無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12DとBluetoothモジュール22Dとが相互に接続されるので、これらの間で有線通信を相互に行うこともできる。また、無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dが無線LAN/Bluetoothの共用アンテナ11Dを使用していない時には、Bluetoothモジュール22Dが無線LAN/Bluetoothの共用アンテナ11Dを使用して、外部の装置との間でBluetoothの無線通信をすることもできる。
【0060】
なお、Bluetoothモジュール22Dの外部装置との無線通信と、無線LAN/Bluetoothの共用モジュール12Dの外部装置との無線通信とが干渉するのを避ける必要がある。そのため、共用モジュール12Dは、同一時間及び同一周波数帯域で電波の干渉が生じないように、時分割多重制御もしくは周波数分割多重制御の機能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、サブアンテナ用の部材を別途必要とすることなく、ダイバーシチアンテナ技術を利用可能にすると共に、サブアンテナを配置するための特別な空間の確保を不要にすることが可能な携帯無線機等に有用である。
【符号の説明】
【0062】
100、100B、100C 携帯無線機
10 第1の端末
11 第1のアンテナ
11D 無線LAN/Bluetoothの共用アンテナ
12 第1の通信モジュール
12B フルセグメントチューナ
12D 無線LAN/Bluetoothの共用モジュール
13 永久磁石
14 接点
15 整合部
16 第1の表示部
17 チューナ切替部
18 容量結合部
20 第2の端末
21 第2のアンテナ
21D Bluetoothアンテナ
22 第2の通信モジュール
22B 1セグメント(ワンセグ)チューナ
22D Bluetoothモジュール
23 第1の信号切替部
24 装着検出部
25 接点
26 整合部
27 第2の表示部
28 第2の信号切替部
30 装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とが着脱自在に構成された携帯無線機であって、
前記第1筐体に配設された第1のアンテナと、
前記第1筐体に配設され、前記第1のアンテナに接続された第1の通信モジュールと、
前記第2筐体に配設された第2のアンテナと、
前記第2筐体に配設され、前記第2のアンテナに接続された第2の通信モジュールと、
前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことを検出する装着検出部と、
前記装着検出部により前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことが検出されたとき、前記第2のアンテナと第1の通信モジュールとを接続するよう切り替える第1の信号切替部と、
を備える携帯無線機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯無線機であって、更に、
前記第1筐体に配設された第1の表示部と、
前記第2筐体に配設され、前記第1の表示部よりも小さい第2の表示部と、
を備え、
前記第1の通信モジュールは、フルセグメントチューナを有し、
前記第2の通信モジュールは、1セグメントチューナを有する携帯無線機。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯無線機であって、
前記第1の通信モジュールは、フルセグメント及び1セグメントの共用チューナを有し、
前記共用チューナによる受信感度に応じて、前記フルセグメントチューナによる受信及び前記1セグメントチューナによる受信を切り替えるチューナ切替部を備える携帯無線機。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯無線機であって、更に、
前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間に配設された容量結合部と、
前記装着検出部により前記第1筐体に前記第2筐体が装着されたことが検出されたとき、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとを前記容量結合部を介して有線接続するよう切り替える第2の信号切替部と、
を備える携帯無線機。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯無線機であって、
前記第1のアンテナは、無線LAN及びBluetoothの共用アンテナであり、
前記第2のアンテナは、Bluetoothアンテナであり、
前記第1の通信モジュールは、無線LAN及びBluetoothの共用モジュールを有し、
前記第2の通信モジュールは、Bluetoothモジュールを有する携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−114840(P2011−114840A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272335(P2009−272335)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】