説明

携帯端末、携帯端末の緊急通報方法および携帯端末の緊急通報プログラム

【課題】通話中の携帯端末の使用者が携帯端末の操作を行えない状態であっても、確実に緊急通報を行うことが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】通話機能を有した携帯端末において、終話操作が行われ通話が終了した場合(ステップ103)に、終話操作が予め定めた終話操作と等しいか否かを確認する(ステップ104)。これが異なる場合は緊急通報メールの送信、警告音の発生、あるいは警告光の発生を用いて緊急通報を行い(ステップ105)、救援を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信機能を持ち、特に犯罪あるいは災害に遭遇した場合に緊急通報を行う機能を備えた携帯端末、携帯端末の緊急通報方法および携帯端末の緊急通報プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末の小型化・軽量化および無線通信技術の普及に伴って、無線通信機能を備えた携帯端末の普及が進んでいる。携帯端末の一例として、無線通信機能を備えた携帯電話機は、電話による音声通信機能に加えてデータ通信機能を備えており、電子メール(以下、単にメールと表記する)の送受信によって他の携帯電話機あるいは固定通信端末と通信を行う機能を備えている。また、基地局の設置拡大により、無線信号の提供される範囲は非常に広くなっているために、携帯電話機の使用者はいつでも外部と通信することが可能である。
【0003】
こうした携帯電話機の普及と携帯電話機に用いられる技術の発展に伴って、携帯電話機を防犯用具として用いる機会が増加している。携帯電話機は通常使用者によって常に携帯され、更に外部と通信可能な状態におかれている。従って、何時遭遇するかわからない犯罪に対して、救援信号の送信や、携帯電話機のブザー鳴動などの方法によって対処が可能である。
【0004】
こうした利点を生かし、携帯電話機に防犯キーを設け、防犯キーが引き抜かれるとブザーを鳴動させ、所定の連絡先に救援メールを送信する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、通話を行う際に予め監視システムに通話を監視するよう指示して異常を監視するものもある。即ち、監視システムによって監視されている通話が終了すると、使用者は所定の時間内に監視システムに無事に通話が終了した旨を連絡する。この連絡が所定の時間内に行われなかった場合は、監視システムは使用者に異常が発生したと判断し、所定の連絡先に救援メールを送信する技術が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−193250号公報
【特許文献2】特開2006−246235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述した防犯機能を備えた携帯電話機の普及に伴い、通話中に遭遇した犯罪にも対応した防犯機能の要求が高まっている。携帯電話機の使用者が、通話中に突然災害や犯罪に遭遇した場合を考えると、通話に集中している使用者が複雑な防犯機能起動操作を咄嗟に行うことは難しい。また、遭遇した第3者に携帯電話機を奪われると、防犯機能起動操作自体が行えない事態も考えられる。
【0006】
例えば、携帯電話機で通話中に犯罪等に巻き込まれて携帯電話機が奪われた場合、その奪った第3者は、携帯電話機の使用者が危険な状態にあることを通話の相手等が察知してしまう事態を防ぐために、通話を終了させてしまうことが予想される。この場合、先述した様に使用者は防犯機能起動操作を行うことができず、また通話相手にも助けを求めることができないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、通話が異常終了したことを検知し、連動して緊急通報を行うことで通話中に遭遇した犯罪に対処することが可能な携帯端末、携帯端末の緊急通報方法、及び携帯端末の緊急通報プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、文字又は指示の入力を行う入力手段と、
基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、
前記通話手段における通話が終了し、且つ前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定されている終話操作と異なる場合に、所定の緊急通報を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の携帯端末の緊急通報方法は、文字又は指示の入力を行う入力手段と、基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、を有する携帯端末の緊急通報方法であって、前記通話手段における通話が終了し、前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定された終話操作と異なる際に、所定の緊急通報を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の携帯端末の緊急通報プログラムは、文字又は指示の入力を行う入力手段と、基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、を有する携帯端末の緊急通報プログラムであって、前記通話手段における通話が終了し、且つ前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定されている終話操作と異なる場合に、所定の緊急通報を行う緊急通報機能とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通話中の携帯端末の使用者が災害や犯罪に遭遇し、複雑な操作が行えない場合であっても、適切な緊急通報を行うことができる。これにより、携帯電話機の使用者の安全を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る携帯端末の一例である折り畳み携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(a)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態を正面から見た外観の構成を示し、図1(b)は携帯電話機1を開状態にあるときの側面から見た外観の構成を示している。
【0014】
図1(a)および(b)に示すように、携帯電話機1は中央のヒンジ部6を介して第1筐体2と第2筐体3とがヒンジ結合されており、ヒンジ部6を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ21)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して後述する電波基地局84との間で電波を送受信する。
【0015】
第1筐体2には、その表面に「0」から「9」までの数字キー、発信・着信キー、リダイヤルキー、終話・電源キー、クリアキー、および第1のメニューキーなどから構成される操作キー4が設けられている。更に、第1筐体2の側面にはマナーモードキー、第2のメニューキーなどから構成されるサイドキー5が設けられている。使用者は、操作キー4またはサイドキー5を用いて携帯電話機1へ各種指示やデータを入力する。なお、説明の簡単のために、以降操作キー4およびサイドキー5を総称して入力手段40と呼ぶ。
【0016】
第1筐体2には、操作キー4の下部にマイクロフォン7が設けられており、マイクロフォン7によって通話時の使用者音声を集音する。
【0017】
なお、第1筐体2には背面側にバッテリ9が取り付けられており、終話・電源キーが長押されて携帯電話機1がオン状態になると、バッテリ9は後述する各回路部に対して電源を供給する。
【0018】
一方、第2筐体3には、その正面にメインディスプレイ10が設けられており、携帯電話機の設定画面やメール、ウェブサイトなどを表示することができる。なお、メインディスプレイ10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)によって構成されるディスプレイである。また、メインディスプレイ10の上部にはレシーバ8が設けられている。レシーバ8は通話相手の音声、通話着呼やメール受信の報知音、あるいは防犯機能起動時の警告音を発する。更に、メインディスプレイ10の上部にはライト12が設けられている。ライト12は、例えばLED(Light Emitting Diode)から構成され、通話着呼やメール受信時や、あるいは防犯機能起動時に発光して、光による報知を行う。
【0019】
図2は、本発明に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機1が折り畳まれたときの外観の構成を示す図である。図2(a)は、携帯電話機1が閉状態にあるときの正面から見た外観の構成を示し、図2(b)は携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観の構成を示している。
【0020】
第2筐体3の表面には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ11が設けられており、例えば、携帯電話機1が受信している電波強度レベルを示すアンテナピクト、バッテリ9の残量を示す電池ピクト、あるいは現在時刻などが表示される。また、第2筐体3に設けられたサイドキー5は、携帯電話機1が閉状態にあっても操作可能な位置に設けられている。
【0021】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示すブロック図である。
【0022】
後述する電波基地局84から送信された無線信号は、アンテナ21で受信された後、アンテナ共用機(DUP)22を介して受信回路(RX)23に入力される。受信回路23は、受信された無線信号と周波数シンセサイザ(SYN)24から出力された局部発信信号とをミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)される。そして、受信回路23によってこのダウンコンバートされた中間周波数信号が復調され、受信ベースバンド信号として出力される。また、図示せぬGPS衛星から無線信号によって送信された時報情報も、電波基地局84から送信された無線信号と同様の処理を経て受信ベースバンド信号として出力される。
【0023】
受信回路23から出力された受信ベースバンド信号は、CDMA(Code Division Multiple Access)信号処理部26に入力される。CDMA信号処理部26は、図示せぬRake受信器を備える。このRake受信器では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(即ち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相を回転させた後にコヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインターリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、CDMA信号処理部26によって、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが生成される。この受信パケットデータは、CDMA信号処理部26から圧縮/伸張処理部27へ入力される。なお、CDMA信号処理部26は、DSP(Digital Signal Processor)から構成される。
【0024】
圧縮/伸張処理部27は、CDMA信号処理部26から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によって、音声信号、データ信号、あるいはGPSから送信された時報情報などのメディアごとに分離し、その分離したメディアに対してそれぞれ復号処理を行う。
【0025】
一方、マイクロフォン7に入力された使用者の音声信号は、送話増幅器30により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック28によりPCM符号化される。このPCM符号化されたディジタルオーディオ信号は、圧縮/伸張処理部27に入力される。また、制御部31で生成されたメールなどのデータ信号なども、圧縮/伸張処理部27に入力される。
【0026】
圧縮/伸張処理部27は、PCMコーデック28から出力されたディジタルオーディオ信号あるいは制御部31から出力されたデータ信号を、所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。その後、圧縮符号化された信号は図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化された後にパケット化される。パケット化された後の送信パケットデータはCDMA信号処理部26に出力される。
【0027】
CDMA信号処理部26は、圧縮/伸張処理部27から出力された送信パケットデータに、スペクトラム拡散処理を施し拡散信号を生成する。このスペクトラム拡散処理は、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて行われる。CDMA信号処理部26によって生成された拡散信号は、送信回路(TX)25へ出力される。送信回路25は、拡散信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用し変調する。更に送信回路25は、拡散信号と周波数シンセサイザ24から発生される局部発信信号とを合成し、無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして送信回路25は、制御部31により指示される送信電力レベルを満たすようにアップコンバートされた無線信号を増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器22を介してアンテナ21に供給され、このアンテナ21から後述する電波基地局84に向けて無線信号が送信される。
【0028】
また、携帯電話機1には所定の周期を計算し、この所定周期ごとに制御部31にクロック信号を供給するクロック信号発生器(タイマ)39が設けられている。また、携帯電話機1に設けられた電源回路34は、バッテリ9のアナログ電圧出力をアナログ/ディジタル変換して生成した所定の動作電源電圧Vccを上述した各回路部へと供給する。
【0029】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などの電子回路から構成される。CPUは、ROMに記憶されているプログラム、またはRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行する。更にCPUは、上述した各回路部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生成し、各回路部へ供給する。これらの処理により、CPUは携帯電話機1を統括的に制御する。また、RAMにはCPUが各種の処理を実行する上で必要なデータが記憶される。また、制御部31は図示しないビデオRAMを備えており、メインディスプレイ10に表示される映像に関する情報が記憶される。記憶部32は、例えば電気的に書き換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子や、HDD(Hard Disc Drive)などから構成される。記憶部32は、制御部31のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムやデータ群を格納している。
【0030】
次に、実施形態の携帯電話機1における制御部31の機能構成について述べる。図4は、本実施形態における携帯電話機1の機能構成を示す図である。
【0031】
通話手段41は、後述するネットワーク80との無線通信を通じて、他の通信端末との通話を行う。通話の相手として例えば携帯電話機、固定電話機などが挙げられる。また、通話手段41は、後述する制御装置85との通信によって擬似的に携帯電話機1の使用者が通話中である様に見せかける、所謂擬似通話を行う手段としても用いる。
【0032】
電波強度監視手段42は、アンテナ21が受信する無線信号の電界強度を測定し、緊急状態検知手段43へ通知する。これに応答して、緊急状態検知手段43は、例えばメインディスプレイ10およびサブディスプレイ11に通知された電界強度を表示する。また、電波強度監視手段42は、通話処理中に通話に必要な電波強度が得られないことを検知すると、その旨を緊急状態検知手段43に通知する。
【0033】
データ通信手段44は、後述する電波基地局84とのパケット信号の送受信を行う。パケット信号の内容としては、例えば携帯電話機1の使用者が作成し、あるいは携帯電話機1が受信するメールデータ、ウェブサイトの表示データ、あるいは電波基地局84より送信されるセル情報などがある。
【0034】
緊急状態検知手段43は、通話手段41による通話が異常終了したことを検知して、データ通信手段44や後述する警告音発生手段45、あるいは警告光発生手段46を用いて緊急通報を行う機能を持つ。即ち、緊急状態検知手段43は、例えば終話指示が所定の入力操作に沿って行われなかった場合、通話中に電源の遮断指示が行われた場合、あるいは通話中に電波信号の受信が行えず圏外となった場合等を通話の異常終了と見なして緊急通報処理を行う。
【0035】
警告音発生手段45は、携帯電話機1の使用者が救援を求めていることを、スピーカ8を用いて通報する手段である。スピーカ8が発する警告音は、例えばサイレンの様な警告音であっても構わないし、例えば救援を求める録音音声であっても構わない。
【0036】
警告光発光手段46は、携帯電話機1の使用者が救援を求めていることを、ライト12を用いて通報する手段である。
【0037】
なお、図4に示した機能構成はこれに限られるものではなく、図4に挙げた構成要素の一部を削除し、あるいは図4に図示しない要素を付加しても構わない。また、各要素はソフトウェア又はハードウェアのいずれで構成しても良い。
【0038】
図5は、例えば、携帯電話機A(70),B(71)および固定通信端末72を繋ぐ、ネットワーク接続を示す概念図である。ネットワーク80は、少なくとも電波基地局A(83),B(84)、制御装置85、データベースサーバ86、交換装置87、およびメールサーバ88から構成される。
【0039】
電波基地局A(83),B(84)は、ネットワーク間を流れる有線信号を無線信号に変調し、ネットワーク80内の携帯電話機へ送信する。また、携帯電話機が送信する無線信号を有線信号に復調しネットワーク80内に送信する。
【0040】
制御装置85は、ネットワーク80内にある携帯電話機等の通信端末の存在情報を保持する。更に、ネットワーク80に属する各携帯電話機が行う発呼命令に応じて、発呼先への回線経路を設計する。更に、携帯電話機A(70),B(71)の緊急通報発信要求に応じて、データベースサーバ86に緊急通報メールの送信を指示する。
【0041】
交換装置87は、ネットワーク80に属する各携帯電話機の通信端末が送信したメールなどのパケット信号に設定された宛先情報に応じて、信号送信先への回線経路を設計する。更に、交換装置87あるいは制御装置85が設計した回線経路に従って、ネットワーク間や交換装置間の回線接続を切り替える、所謂回線交換処理を行う。
【0042】
メールサーバ88は、ネットワーク80内にある各携帯電話機の通信端末へメールが送信された場合に、送信されたメールを一旦保管する。更に、制御装置85あるいは各携帯電話機の通信端末から出力されたメールデータ出力指示に応じてメールデータを出力する。
【0043】
(通話処理)
次に、携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)に対し通話発信し、通話を行う場合の処理について述べる。ここでは、携帯電話機A(70)に対しては電波基地局A(83)が無線信号を提供し、携帯電話機B(71)に対しては無線基地局B(84)が無線信号を提供するものとする。
【0044】
まず、発信側の携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)に向けて発信要求を行う。発信要求は、携帯電話機A(70)に無線信号を提供する電波基地局A(83)に向けて送信される。電波基地局A(83)は発信要求を受信すると、受信信号の復調を行い、復調した発信要求を制御装置85へと送信する。制御装置85は発信要求を受信すると、発信要求信号に含まれる宛先情報から、発信先が携帯電話機B(71)であることを確認する。制御装置85は発信先の確認を行うと、携帯電話機B(71)に対して無線信号を送受信可能な電波基地局B(84)の場所を検索する。電波基地局B(84)の場所が確認されると、制御装置85は電波基地局A(83),B(84)間を繋ぐ回線経路を設計する。通常回線経路の設計は、回線ごとに通信コストを予め設定しておき、回線経路に掛かる通信コストの合計が最も少なくなる経路を選択するプロトコルである、OSPF(Open Shortest Pass Fast)が用いられる。制御装置85は、設計した回線経路を通じて通信が行えるように交換装置87を駆動し、回線を導通させる。制御装置85は、回線が導通する旨を発信元である携帯電話機70および発信先である携帯電話機71へ通知する。これにより、携帯電話機70、携帯電話機71間の通話が開始される。
【0045】
(メール送受信処理)
次に、携帯電話機70が固定通信端末72に対してメールなどのパケットデータを送信する場合の処理について述べる。
【0046】
まず、携帯電話機A(70)が固定通信端末72を宛先に指定したメールの送信操作を行う。携帯電話機A(70)はメールを無線パケットデータに変換し、無線パケットデータを電波基地局A(83)に向け送信する。電波基地局A(83)は無線パケットデータを受信すると、受信信号の復調を行い、復調した有線パケットデータ(以下、単にメールと記す)を制御装置85へと送信する。メールを受信した制御装置85は、メールの宛先欄に設定されている、固定通信端末72のアドレスを確認する。制御装置85は固定通信端末72のアドレスを認識すると、固定通信端末72に対してメールサービスを提供するメールサーバ88にアドレス確認を行う。制御装置85は、メールサーバ88でのアドレス確認が行われると、制御装置85とメールサーバ88とを繋ぐ回線経路を設計する。回線経路の設計は、通常先述したOSPFプロトコルが用いられる。
【0047】
回線経路が設計されると、制御装置85は交換装置87へメールを送信する。交換装置87は設計された回線経路に従って回線交換処理を行い、メールをメールサーバ88へ送信する。メールサーバ88は受信したメールを、自身の保持する情報記録媒体内に保存する。次に、固定通信端末72が、メール受信指示を制御装置85に対して送信する。制御装置85はメールサーバ88に対してメール受信指示を送信する。メールサーバ88はメール受信指示に応じて保存したメールを読み出し、固定通信端末72へ送信する。以上の操作によって、メールの送受信が行われる。
【0048】
(緊急通報メール送信処理)
次に、携帯電話機A(70)が緊急通報要求を発信し、緊急通報メールを固定通信端末72へ送信する場合の処理について述べる。
【0049】
まず、携帯電話機A(70)が制御装置85を宛先に指定し緊急通報要求を発信する。
緊急通報要求には、例えば発呼元情報、緊急通報メールを示す文面などが含まれる。携帯電話機A(70)は緊急通報要求を無線パケットデータに変換し、それを電波基地局A(83)に向け送信する。電波基地局A(83)は受信した無線パケットデータの復調を行い、復調した有線パケットデータ(以下、単に緊急通報データと記す)を制御装置85へと送信する。制御装置85は、緊急通報データの発呼元を認識して、データベースサーバ86に緊急通報データを送信する。データベースサーバ86は、緊急通報データの発呼元によって予め設定された緊急連絡先(この例においては、固定通信端末72)を確認する。データベースサーバ86は、当該緊急連絡先を宛先に持つ緊急通報メールを作成し、制御装置85へ送信する。以降、メール送信処理で述べた処理と同様の処理を経て、固定通信端末72へメールの送信が行われる。
【0050】
なお、データベースサーバ86が作成するメールには、携帯電話機A(70)の所属するセル情報や時刻情報、あるいは緊急通報データに連動して行われる測位によって得た携帯電話機A(70)の位置情報を付加しても良い。また、緊急通報メールの送信はデータベースサーバ86を介さず、替わりに携帯電話機A(70)が緊急通報メールを作成しメール送信処理を行うことでも同様の発明の効果が得られる。
【0051】
以上では電波基地局A(83)、B(84)、制御装置85、データベースサーバ86、交換装置87、およびメールサーバ88をそれぞれ別の装置として構成する場合について説明したが、これらの装置のうち幾つかを1つの装置としてまとめた構成を利用しても良い。例えば、制御装置85と交換装置87をまとめて1つの装置として構成しても良い。
【0052】
(緊急通報の方法)
次に、緊急通報に用いる手段について述べる。緊急通報に用いる手段は、例えばデータ通信手段44を用いて行う緊急通報メールの送信、警告音発生手段45を用いて行う警告音の鳴動、そして警告光発生手段46を用いて行う警告光の点灯の3つが挙げられる。
【0053】
緊急通報メールによる緊急通報は、先に述べた緊急通報メールの送信処理の手順に従って、携帯電話機A(70)の使用者が予め定めた連絡先へ緊急通報メールを送信し救援を求める。緊急通報メールには、携帯電話機A(70)の使用者が緊急事態にあることや、携帯電話機A(70)のセル情報から得られる位置情報、時刻情報、あるいは緊急通報の開始に連動して行われる測位によって得た、携帯電話機(70)の位置情報などが含まれる。
【0054】
警告音による緊急通報は、携帯電話機A(70)のスピーカ8を用いて警告音を発生することで救援を求める。警告音は、例えばサイレン、ブザー音のような警告音や、あるいは救援を求める録音音声を再生することで構成する。
【0055】
警告光による緊急通報は、携帯電話機A(70)のライト12を用いて警告光を発することで救援を求める。
【0056】
例えば、以上の3つの警告手段を用いることで第3者に救援を求め、携帯電話機A(70)の使用者に被害が及ぶ事態を防止する。なお、これら3つの警告手段は、いずれか1つ以上を組み合わせて用いても構わない。
【0057】
(緊急通報設定)
次に、携帯電話機A(70)の使用者が通話中に災害や犯罪等に遭遇した場合の動作を考察する。この場合、携帯電話機A(70)の使用者は、咄嗟の出来事に対応することで一杯となり、複雑な緊急通報指示を行えない事態が予想される。また、第3者に携帯電話機A(70)を取り上げられ、緊急通報指示自体が行えない事態も予想される。
【0058】
これに対処するため本発明においては、携帯電話機A(70)の使用者が終話する際に、予め定めた終話操作が行われなかった場合が緊急事態であると判断する。例えば、操作キー4のうち「0」キーと終話キーを同時に押すものを終話操作として定めておく。そして、終話キーのみによる終話指示など、予め定めた終話操作と異なる操作によって終話が行われた場合、緊急状態検知43は異常事態であると判断し緊急通報を行う。あるいは、例えば、携帯電話機A(70)の使用者が終話時に予め定めたパスコードを入力し、定められたパスコードの入力が行われない場合が緊急事態であると判断する。緊急状態検知手段43には、使用者が予め定めた終話パスコード、あるいは終話操作が記憶されている。
【0059】
図6は、緊急通報設定を行う際のメインディスプレイ10における画面表示例を示している。以下に、緊急通報の設定の手順の例について述べる。まず、入力手段40によって、携帯電話機の動作設定画面から、緊急通報設定が選択される(図6(a)を参照)。入力手段40によって緊急通報設定が選択されると、緊急通報設定画面が表示される(図6(b)を参照)。緊急通報設定画面には、例えば終話設定登録、連絡先登録、あるいは緊急動作設定の項目が表示される。
【0060】
入力手段40によって、終話操作登録が選択されると終話操作登録画面が表示される(図6(c)を参照)。終話操作登録画面では、例えば「0」キーと終話操作キーを同時に押下する操作を終話操作とする、などの終話操作が設定される。あるいは例えば、終話パスコード設定の項目が表示される。入力手段40によって終話パスコードが設定される。
【0061】
入力手段40によって、連絡先登録が選択されると、連絡先登録画面が表示される(図6(d)を参照)。入力手段40によって、緊急通報に電子メールの送信を用いる場合の、電子メールの宛先が設定される。
【0062】
入力手段40によって、緊急動作設定が選択されると、緊急動作設定画面が表示される(図6(e)を参照)。入力手段40によって、警告音発生手段45を用いて行う警告音の鳴動、あるいは警告光発生手段46を用いて行う警告光の発光方法が設定される。
【0063】
以下に、緊急状態検知手段43が異常状態であることを検知し、緊急通報を行う3つの実施形態について述べる。
【0064】
(第1の実施形態)
図7に示す第1の実施形態では、例えば、携帯電話機A(70)とB(71)間で通話が行われている場合で、発信元の携帯電話機A(70)の通話が所定の終話操作とは異なる操作によって終了した場合に、緊急通報を行う例である。
【0065】
まず、携帯電話機A(70)の通話手段41は、入力手段40による携帯電話機B(71)への発呼指示、あるいは携帯電話機B(71)からの発呼を受けると、携帯電話機A(70)とB(71)間の通話を開始する(ステップ101)。携帯電話機A(70)の通話手段41は通話を開始すると、入力手段40による終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)による終話指示を受けるまで、通話を継続する(ステップ102のNo)。携帯電話機A(70)の通話手段41は、自端末の終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)の終話指示を受けると(ステップ102のYes)、通話を終了する(ステップ103)。
【0066】
携帯電話機A(70)の緊急状態検知手段43は通話が終了すると、入力手段40からの終話操作と、予め記憶した終話操作とを比較照合して、予め定めたものと同一であったか否かを判断する(ステップ104)。終話指示が予め定めたものと一致する場合は(ステップ104のYes)、処理を終了し(ステップ106)、終話指示が予め定めたものと異なる場合は(ステップ104のNo)、緊急通報を行った後に(ステップ105)、処理を終了する(ステップ106)。
【0067】
以上の第1の実施形態によって、制御部31は緊急状態を検知し、緊急通報を行う。通話中の携帯電話機A(70)の使用者が災害や犯罪等に遭遇し、第3者によって終話が行われた場合であっても、第3者は予め定めた終話操作を知り得ないために、制御部31によって確実に緊急通報を行うことが可能となる。
【0068】
(第2の実施形態)
図8に示す第2の実施形態では、携帯電話機A(70)とB(71)間で通話が行われている場合で、発信元の携帯電話機A(70)の通話が所定の終話操作と異なる操作によって終了した場合に、緊急通報許可入力を求める。使用者が入力手段40から緊急通報の許可が行われるか、あるいは入力時間がタイムアウトすると、緊急通報を行う例である。
【0069】
まず、携帯電話機A(70)の入力手段40による携帯電話機B(71)への発呼指示、あるいは携帯電話機B(71)からの発呼を受けると、携帯電話機A(70)の通話手段41は携帯電話機A(70)とB(71)間の通話を開始する(ステップ201)。通話手段41は通話を開始すると、入力手段40による終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)による終話指示を受けるまで、通話を継続する(ステップ202のNo)。携帯電話機A(70)の通話手段41は自端末の終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)からの終話指示を受けると(ステップ202のYes)、通話を終了する(ステップ203)。
【0070】
携帯電話機A(70)の緊急状態検知手段43は通話が終了すると、入力手段40からの終話操作と、予め記憶した終話操作とを比較照合して、予め定めたものと同一であったか否かを判断し、終話指示が予め定めたものと一致する場合は(ステップ204のYes)、処理を終了する(ステップ210)。終話指示が予め定めたものと異なる場合は(ステップ204のNo)、緊急状態検知手段43はメインディスプレイ10などを用いて、緊急通報を行って良いか否かを問い合わせ、入力手段40からの入力を待つ(ステップ205)。入力手段40から一定時間内に入力が行われなかった場合はタイムアウトし(ステップ206のYes)、緊急通報を行う(ステップ208)。また、タイムアウト前に(ステップ206のNo)、入力手段40から緊急通報を許可する入力が行われた場合には(ステップ207のYes)、緊急通報を行う(ステップ208)。
【0071】
一方、入力手段40から緊急通報を許可しない入力が行われた場合には(ステップ207のNo)、処理を終了する(ステップ210)。緊急状態検知手段43はステップ208で緊急通報を終了すると、緊急通報が行われた旨をメインディスプレイ10などに表示して、携帯電話機A(70)の使用者に通知する(ステップ209)。また、緊急通報が緊急通報メールによって行われた場合には、例えば緊急通報メールの送信先や緊急通報メールに含まれるメッセージ、送信が終了した時刻などが相手に通知される。これらの通知が行われると、緊急通報処理を終了する(ステップ210)。
【0072】
以上の第2の実施形態によれば、通話中の携帯電話機A(70)の使用者が災害や犯罪に遭遇し、第3者によって終話が行われた場合であっても、第3者は予め定めた終話操作を知りえない。従って、制御部31は確実に緊急通報を行うことが可能となる。更に、緊急通報を行う際に、制御部31は携帯電話機A(70)の使用者に通報を行うか否かの確認を行う。これにより、使用者の操作ミスによって終話が行われた場合に、誤って緊急通報が行われてしまう事態を防ぐことができる。更に、制御部31は緊急通報が終了した後に通報が終了した旨を確認する通知を行い、通報を訂正する場合には緊急通報を行った連絡先へ訂正メールの送信を行う。これにより、誤って緊急通報が行われた場合であっても、緊急通報を訂正する連絡を簡便に行うことができる。
【0073】
(第3の実施形態)
図9に示す第3の実施形態では、携帯電話機A(70)とB(71)間で通話が行われている場合で、発信元の携帯電話機A(70)の通話が所定の終話操作と異なる操作や、電源の遮断指示によって終了した場合、あるいは無線信号の不達によって終了した場合に、緊急通報許可を求める。そして、入力手段40から緊急通報の許可が行われるか、あるいは入力時間がタイムアウトすると、緊急通報を行う例である。
【0074】
まず、携帯電話機A(70)の入力手段40による携帯電話機B(71)への発呼指示、あるいは携帯電話機B(71)からの発呼を受けると、通話手段41は携帯電話機A(70)とB(71)間の通話を開始する(ステップ301)。携帯電話機A(70)の通話手段41は、入力手段40による終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)による終話指示を受けるまで(ステップ304のNo)、通話を継続する。また、通話手段41は、通話中に電源の遮断指示を受けるか(ステップ302のYes)、あるいは無線信号の不達を検出すると(ステップ303のYes)、通話を終了する(ステップ307)。
【0075】
緊急状態検知手段43は通話を終了すると、メインディスプレイ10又はスピーカ8などを用いて、緊急通報を行って良いか否かを問い合わせ表示又は音声を出力して(ステップ307)、入力手段40又はマイクロフォン7からの入力を待つ。入力手段40から一定時間内に緊急通報の禁止入力が行われなかった場合はタイムアウトし(ステップ308のYes)、緊急通報を行う(ステップ310)。また、タイムアウト前に(ステップ308のNo)、入力手段40から緊急通報を許可する入力が行われた場合には(ステップ309のYes)、緊急通報を行う(ステップ310)。
【0076】
また、通話手段41は入力手段40による終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)による終話指示を受けると(ステップ304のYes)、通話を終了する(ステップ305)。緊急状態検知手段43は通話を終了すると、入力手段40が受け付けた終話操作が予め定めたものと一致する場合は処理を終了する(ステップ313)。緊急状態検知手段43は入力手段40からの終話操作が予め定めたものと異なる場合に、メインディスプレイ10などを用いて緊急通報を行って良いか否かを問い合わせ、入力手段40からの入力を待つ(ステップ308)。一定時間以上入力手段40による入力が行われなかった場合はタイムアウトし(ステップ309)、緊急通報を行う(ステップ311)。
【0077】
また、入力手段40によって緊急通報を許可する入力が行われた場合には(ステップ310)、緊急通報を行う(ステップ311)。緊急通報を許可しない入力が行われた場合には(ステップ310)、処理を終了する(ステップ313)。緊急状態検知手段は緊急通報を終了すると、緊急通報が行われた旨をメインディスプレイ10などを用いて携帯電話機A(70)の使用者に通知する(ステップ312)。緊急通報が緊急通報メールによって行われた場合には、例えば緊急通報メールの送信先や緊急通報メールに含まれるメッセージ、送信が終了した時刻などが通知される。通知が行われると、緊急通報処理を終了する(ステップ313)。
【0078】
(第4の実施形態)
図10に示す第4の実施形態では、携帯電話機A(70)とB(71)間で通話が行われている場合で、発信元の携帯電話機A(70)の通話が所定の終話操作と異なる操作によって終了した場合で、更に、緊急通報メールが無線信号の不達によって送信できなかった場合は、警告音発生手段45による警告音の発生か、警告光発生手段46による警告光の発生を用いた緊急通報を行う例である。
【0079】
まず、携帯電話機A(70)の入力手段40による携帯電話機B(71)への発呼指示、あるいは携帯電話機B(71)からの発呼を受けると、携帯電話機A(70)の通話手段41は携帯電話機A(70)とB(71)間の通話を開始する(ステップ401)。通話手段41は通話を開始すると、入力手段40による終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)による終話指示を受けるまで(ステップ402のNo)、通話を継続する。そして、通話手段41は自端末の終話操作か、あるいは携帯電話機B(71)の終話指示を受けると、通話を終了する(ステップ403)。
【0080】
携帯電話機A(70)の緊急状態検知手段43は通話が終了すると、入力手段40からの終話操作と、予め記憶した終話操作とを比較照合して、予め定めたものと同一であったか否かを判断し、終話操作が予め定めたものと一致する場合は(ステップ404のYes)、処理を終了する(ステップ412)。終話操作が予め定めたものと異なる場合は(ステップ404のNo)、緊急状態検知手段43はメインディスプレイ10などを用いて、緊急通報を行って良いか否かの問い合わせ表示を行い(ステップ405)、入力手段40からの入力を待つ。
【0081】
緊急状態検知手段43は、入力手段40から一定時間内に入力が行われなかった場合はタイムアウトし(ステップ406のYes)、緊急通報メールの送信による緊急通報を行う(ステップ408)。また、入力手段40によって緊急通報を許可する入力が行われた場合には(ステップ407のYes)、緊急通報メールの送信による緊急通報を行う(ステップ408)。一方、緊急通報を許可しない入力が行われた場合には(ステップ407のNo)、処理を終了する(ステップ412)。
【0082】
携帯電話機A(70)の電波強度監視手段42は、緊急通報メールの送信による緊急通報を行う際に(ステップ408)、無線信号による通信が可能であるか否かを確認する。
緊急状態検知手段43は無線信号による通信が行えない場合は(ステップ409のYes)、警告音発声手段45あるいは警告光発生手段46を用いて緊急通報を行う(ステップ411)。一方、緊急状態検知手段43は緊急通報メールの送信が完了した場合は(ステップ409のNo)、緊急通報メールの送信が行われた旨をメインディスプレイ10に表示して、携帯電話機A(70)の使用者に通知する(ステップ410)。この通知により、例えば緊急通報メールの送信先や緊急通報メールに含まれるメッセージ、送信が終了した時刻などがメインディスプレイ10に通知される。通知が行われると、緊急通報処理を終了する(ステップ412)。
【0083】
以上の第4の実施形態によれば、通話中の携帯電話機A(70)の使用者が災害や犯罪に遭遇し、第3者によって終話が行われた場合であっても、第3者は予め定めた終話操作を知りえない。これにより、制御部31は確実に緊急通報を行える。更に、本実施形態において、制御部31は緊急通報の手段としてまず緊急通報メールの送信を試みる。これにより、制御部31が無線信号の不達により緊急通報メールの送信が行えなかった場合であっても、警告音や警告光によって救援を求めることができる。更に、制御部31が緊急通報を行う際に携帯電話機A(70)の使用者に通報を行うか否かの確認を行う。これにより、使用者の操作ミスによって終話が行われた場合であっても、誤って制御部31が緊急通報を行ってしまう事態を防ぐことができる。更に、制御部31は緊急通報が終了した後に通報が終了した旨を確認する通知を行い、通報を訂正する場合には緊急通報を行った連絡先へ訂正メールの送信を行う。これにより、誤って緊急通報が行われた場合であっても、緊急通報を訂正する連絡を簡便に行うことができる。
【0084】
なお、ここに述べた実施の形態において、携帯電話機を挙げて説明を行った。しかし、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や有線端末、小型情報処理機器などにも適用できる。
また、実施の形態において折り畳み携帯電話機を例にとって説明したが、所謂スライド式携帯端末や、可動機構を持たない所謂バータイプの携帯端末にも適用できる。
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、構成要素を変形して具体化しても良い。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成しても良い。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を排除しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、外観の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の内部の構成を示す図。
【図4】本実施形態における携帯電話機のシステム構成図。
【図5】携帯電話機A(70),B(71)および固定通信端末72を繋ぐ、ネットワーク接続を示す概念図。
【図6】本実施形態における緊急通報設定を行う際のメインディスプレイの画面表示例。
【図7】所定の終話操作に従った終話が行われなかった場合に、緊急通報を行う緊急通報処理のフローチャート。
【図8】緊急通報を行う際に緊急通報許可確認を行い、更に緊急通報終了時に緊急通報完了表示を行う緊急通報処理のフローチャート。
【図9】所定の終話操作に従わない終話、電源の遮断指示、および無線信号の不達を検知して緊急通報を行う緊急通報処理のフローチャート
【図10】緊急通報を行う際に緊急通報メールによる緊急通報を試み、無線信号の不達を検知した場合は警告音あるいは警告光を用いた緊急通報を行う緊急通報処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0087】
1 携帯電話機
2 第1筐体
3 第2筐体
4 操作キー
5 サイドキー
7 マイクロフォン
8 レシーバ
9 バッテリ
10 メインディスプレイ
11 サブディスプレイ
12 ライト
21 アンテナ
31 制御部
32 記憶部
40 入力手段
41 通話手段
42 電波強度監視手段
43 緊急状態検知手段
44 データ通信手段
45 警告音発声手段
46 警告光発生手段
70 携帯電話機A
71 携帯電話機B
72 固定通信端末
80 ネットワーク
83 電波基地局A
84 電波基地局B
85 制御装置
86 データベースサーバ
87 交換装置
88 メールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字又は指示の入力を行う入力手段と、
基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、
前記通話手段における通話が終了し、且つ前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定されている終話操作と異なる場合に、所定の緊急通報を行う制御部と
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記基地局を通じて前記無線信号を用いたデータ通信を行うデータ通信手段と、
予め作成された所定宛先への電子メールが記憶される第1記憶部とを更に備え、
前記制御部は、前記第1記憶部に記憶された前記電子メールを前記データ通信手段を介して前記所定宛先へ送信することで前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記電子メールの送信による前記緊急通報後に前記入力手段から前記電子メールの訂正指示が入力された際に、前記電子メールを送信した前記所定宛先へ訂正電子メールを送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音又は警告音声を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と
を更に備え、
前記制御部は、前記通話手段における通話が終了し、且つ前記入力手段からの終話操作が予め設定された終話操作と異なる場合に、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、当該緊急通報パターンに従って前記音発生手段あるいは前記光発生手段を用いて前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音又は警告音声を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と
を更に備え、
前記制御部は、前記基地局から前記電子メールの送信エラーが通知された場合に、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、当該緊急通報パターンに従って前記音発生手段あるいは前記光発生手段を用いて前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記制御部は、前記緊急通報を行うか否かの確認表示又は確認音声を出力し、所定の時間内に前記緊急通報の中止入力が行われなかった場合に、前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
文字又は指示の入力を行う入力手段と、
基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、を有する携帯端末の緊急通報方法であって、
前記通話手段における通話が終了し、
前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定された終話操作と異なる際に、所定の緊急通報を行う
ことを特徴とする携帯端末の緊急通報方法。
【請求項8】
前記基地局を通じて前記無線信号を用いたデータ通信を行うデータ通信手段と、
予め作成された所定宛先への電子メールが記憶される第1記憶部と、を更に備え、
前記第1記憶部に記憶された前記電子メールを前記データ通信手段を介して前記所定宛先に送信することによって前記緊急通報を行う
ことを特徴とする携帯端末の緊急通報方法。
【請求項9】
前記電子メールの送信後に、前記入力手段から前記電子メールの訂正指示が入力された際に、前記電子メールを送信した前記所定宛先へ訂正電子メールを送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の携帯端末の緊急通報方法。
【請求項10】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音又は警告音声を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と、
を更に備え、
前記緊急通法時に、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、
前記緊急通報パターンに従って前記音発生手段あるいは前記光発生手段を用いて緊急通報を行う
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の携帯端末の緊急通報方法。
【請求項11】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と、
を更に備え、
前記基地局から前記電子メールの送信エラーが通知された場合、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、
前記緊急通報パターンに従って前記音発生手段あるいは前記光発生手段を用いて緊急通報を行う
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の携帯端末の緊急通報方法。
【請求項12】
前記緊急通報を行うか否かの確認表示又は確認音声の出力を行い、
所定の時間内に前記緊急通報の中止入力が行われなかった場合に、前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項13】
文字又は指示の入力を行う入力手段と、
基地局を通じて無線信号を用いた通話を行う通話手段と、を有する携帯端末の緊急通報プログラムであって、
前記通話手段における通話が終了し、且つ前記入力手段が受け付けた終話操作が予め設定されている終話操作と異なる場合に、所定の緊急通報を行う緊急通報機能を備えたことを特徴とする携帯端末の緊急通報プログラム。
【請求項14】
前記基地局を通じて前記無線信号を用いたデータ通信を行うデータ通信手段と、
予め作成された所定宛先への電子メールが記憶される第1記憶部と、を更に備え、
前記緊急通報機能は、前記第1記憶部に記憶された前記電子メールを前記データ通信手段を介して前記所定宛先へ送信することを特徴とする請求項13に記載の携帯端末の緊急通報プログラム。
【請求項15】
前記緊急通報機能は、前記電子メールの送信後に、前記入力手段から前記電子メールの訂正指示が入力された際に、前記電子メールを送信した前記所定宛先へ訂正電子メールを送信することを特徴とする請求項14に記載の携帯端末の緊急通報プログラム。
【請求項16】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音又は警告音声を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と、
を更に備え、
前記緊急通報機能は、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、当該緊急通報パターンに従って前記音発生手段を起動する機能あるいは前記光発生手段を起動することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の携帯端末の緊急通報プログラム。
【請求項17】
所定の音量、所定の警告音、所定の発光強度、あるいは所定の発光パターンを含む緊急通報パターンが記憶される第2記憶部と、
警告音又は警告音声を発する音発生手段と、
発光部材を用いて警告光を発する光発生手段と、
を更に備え、
前記緊急通報機能は、前記基地局から前記電子メールの送信エラーが送信された場合に、前記第2記憶部に記憶された前記緊急通報パターンを読み出し、当該緊急通報パターンに従って前記音発生手段を起動する機能あるいは前記光発生手段を起動することを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の携帯端末の緊急通報プログラム。
【請求項18】
前記緊急通報機能は、前記緊急通報を行うか否かの確認表示又は確認音声の出力を行い、所定の時間内に前記緊急通報の中止入力が行われなかった場合に、前記緊急通報を行うことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の携帯端末の緊急通報プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157848(P2010−157848A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334291(P2008−334291)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】