説明

携帯端末表示システム

【課題】携帯端末の画面に表示される地図をスムーズにスクロール表示することが可能な携帯端末表示システムを提供することを目的とする。
【解決手段】WEBサーバ3により起動されるCGI4において、インターネットブラウザ2から送信されるURLによりHDD5から読み込んだ新しいFlashファイルのActionScript内の変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、URL内に含まれるパラメータに上書きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の画面にFlash(登録商標)形式のファイルを表示させるための携帯端末表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の機能の1つに、GPS(Global Positioning System)により取得される位置情報を利用して、携帯電話の画面上の地図にユーザの現在の位置を表示させる機能がある(例えば、特許文献1参照)。このような機能を利用するためには、BREW(登録商標)やJAVA(登録商標)アプリケーションなどによる地図表示用の専用アプリケーションを予め携帯電話にインストールしておく必要がある。
【0003】
しかしながら、現在では、地図表示用の専用アプリケーションと携帯端末用のインターネットブラウザの完全な連携ができていない。地図表示用の専用アプリケーションと携帯端末用のインターネットブラウザは、個別のプログラムであり、互いに異なるアプリケーションとして起動するため、地図表示用の専用アプリケーション使用中に携帯端末用のインターネットブラウザを携帯電話の画面に表示させることはできない。反対に、携帯端末用のインターネットブラウザの表示中に地図表示用の専用アプリケーションを使用することもできない。
【0004】
携帯端末用のインターネットブラウザで地図を表示させた後、さらにその地図をスクロール表示させられるようにすることが望ましいが、既存の携帯端末用のインターネットブラウザがもつ様々な制約により、そのようなことを実現することは難しい。既存の携帯端末用のインターネットブラウザでは、地図を画面に表示させた後、その地図を上下左右にスクロール表示させたい場合、スクロール後の地図を再度受信し、その受信した地図を表示しなければならない。
【0005】
そこで、携帯端末用のインターネットブラウザにおいて地図をスクロール表示させるための方法として、FlashLite(登録商標)を利用することが考えられる。
最近の携帯端末用のインターネットブラウザは、動的な画像を表示させるためにFlashLiteが使用可能である。FlashLiteは、動的な画像を表現するためにActionScript(登録商標)のようなプログラミングスクリプトを記述することができる。それを利用して簡単に地図をスクロール表示させることができる。
【0006】
しかしながら、FlashLiteには、携帯電話の画面に表示可能な最大容量制限が100KB以内という制約があるため、1つのFlashファイルでは地図全体を携帯電話の画面に表示させることができない。
【0007】
そこで、図5に示すように、地図全体を複数に分割し、それらの地図をそれぞれ携帯電話の画面に表示可能な容量のFlashファイル(FlashファイルA〜F)に変換して個別に携帯電話のインターネットブラウザに送ることが考えられる。このように、地図全体を複数に分割し、各地図をそれぞれFlashファイルに変換することにより、1つのFlashファイルにより携帯電話の画面に表示される地図を上下左右にスクロール表示させることができる。そして、図5及び図6に示すように、スクロール中に、1つのFlashファイルにより表示可能な地図60のうち携帯電話の画面に表示される領域を示す画面領域61が地図60の境界線(例えば、FlashファイルAにより表示可能な地図60の端)を越えて隣の地図60(FlashファイルBにより表示可能な地図60)に移る場合は、隣の地図60に対応するFlashファイルが携帯電話のインターネット
ブラウザに送られる。これにより、ユーザは、携帯電話の画面において地図をスクロールさせながら全体の地図を見ることができる。
【0008】
図7は、FlashLiteを利用した既存の携帯端末表示システムを示す図である。
図7に示す携帯端末表示システム70は、携帯端末(携帯電話)に備えられる携帯端末用のインターネットブラウザ71と、WEBサーバ72と、I/O(Input Output)アクセス部73と、HDD(Hard Disk Drive)74とを備えて構成されている。
【0009】
上記WEBサーバ72は、インターネットブラウザ71から送信される、次のFlashファイルの記録場所を示すURLを受信すると、そのURLに対応するFlashファイルをI/Oアクセス部73を介してHDD74から読み込むと共に、その読み込んだFlashファイルをTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のプロトコルを利用してインターネットブラウザ71に送信する。
【0010】
このように構成される携帯端末表示システム70によれば、WEBサーバ72からインターネットブラウザ71にスクロール先の隣の地図に対応するFlashファイルを送信することができる。
【特許文献1】特開2002−340608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記携帯端末表示システム70は、FlashLiteを利用しているため、上述のように、URL(Uniform Resource Locator)により新しいFlashファイルがHDD74から読み込まれ、そのFlashファイルがインターネットブラウザ71に送信されるだけの構成になっている。そのため、図8に示すように、スクロール先の隣の地図60に対応するFlashファイルが携帯電話に送られた後、画面領域61が初期位置である地図60の中央にきてしまいスムーズなスクロール表示ができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、携帯端末の画面に表示される地図をスムーズにスクロール表示することが可能な携帯端末表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、本発明の携帯端末表示システム1は、Flashファイルが表示される携帯端末と、複数のFlashファイルが記録される記録手段と、前記携帯端末から送信されるFlashファイルを所得したい旨の要求を受信すると、その要求に対応するFlashファイルを前記記録手段から読み込むと共に、前記複数のFlashファイルにより表示可能な画像において前記携帯端末の画面に表示される領域の位置を示すパラメータを前記要求から取り出し、前記記録手段から読み込んだFlashファイルのパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに置き換え、そのパラメータを置き換えたFlashファイルを前記携帯端末に送信するWEBサーバとを備える。
【0014】
このように構成される携帯端末表示システムによれば、スクロール中において、携帯端末の画面に表示される領域が1つのFlashファイルにより表示される地図の境界線を越える前と後とで、携帯端末の画面に表示される領域を同じ位置にすることができるので、それら異なるFlashファイル間で地図をスムーズにスクロール表示させることができる。
【0015】
また、本発明のWEBサーバは、携帯端末から送信されるFlashファイルを所得したい旨の要求を受信すると、その要求に対応するFlashファイルを記録手段から読み込むと共に、前記記録手段に記録される複数のFlashファイルにより表示可能な画像において前記携帯端末の画面に表示される領域の位置を示すパラメータを前記要求から取り出し、前記記録手段から読み込んだFlashファイルのパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換え、そのパラメータを書き換えたFlashファイルを前記携帯端末に送信する。
【0016】
また、上記WEBサーバは、CGIにより、前記要求からパラメータを取り出すと共に、前記記録手段から読み込んだFlashファイル内のActionScriptの変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換えるように構成してもよい。
【0017】
また、上記複数のFlashファイルにより表示可能な画像は、地図、写真、または絵としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、携帯端末の画面に表示される地図をスムーズにスクロールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の携帯端末表示システムを示す図である。
図1に示す携帯端末表示システム1は、携帯端末に備えられる携帯端末用のインターネットブラウザ2と、WEBサーバ3と、CGI(Common Gateway Interface)4と、HDD5とを備えて構成されている。なお、上記携帯端末は、例えば、Flashファイルが表示可能な携帯電話とする。ここで、Flashファイルが表示可能な携帯電話とは、Macromedia Flash Lite1.0(登録商標)、または、Macromedia Flash Lite1.1(登録商標)が実装される携帯電話のことを指す。また、HDD5は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などその他の記録手段に置き換えることができるものとする。
【0020】
上記WEBサーバ3は、インターネットブラウザ2から送信されるFlashファイルを取得したい旨を示す要求としてのURLを受信すると、HDD5に記録されるFlashファイルをパラメータ処理するプログラムとしてのCGI4を起動し、受信したURLをCGI4に受け渡すと共に、CGI4から受け取ったFlashファイルをTCP/IPのプロトコルを利用してインターネットブラウザ2に送信する。
【0021】
図2は、CGI4の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、CGI4は、WEBサーバ3から受け取ったURLに基づいてHDD5からテンプレートのFlashファイルを読み込む。(S1)このとき読み込んだFlashファイルは、WEBサーバ3に備えられるメモリに記録される。なお、CGI4は、WEBサーバ3から受け取ったURLを、QUERY_STRINGという環境変数を通じて取得する。実際のプログラミング時のC言語ソースは、char*query=getenv(“QUERY_STRING”);となる。
【0022】
次に、CGI4は、S1で読み込んだFlashファイル内の各ブロックを順次検索する。(S2)
ここで、図3は、Flashファイル内のブロック構造を示す図である。
【0023】
図3に示すFlashファイル30は、filehead31、図形データ32、画像データ33、及びActionScript34の各ブロックを有している。
また、図2において、CGI4は、S2で検索したブロックがActionScriptであるか否かを判断する。(S3)
ActionScriptでないと判断した場合(S3がNo)、CGI4は、S2に戻って、次のブロックを検索する。
【0024】
一方、ActionScriptであると判断した場合(S3がYes)、CGI4は、そのActionScript内の複数の変数を順次検索する。(S4)
次に、CGI4は、S4で検索した変数が、WEBサーバ3から受け取ったURLに含まれるパラメータ(図5に示すFlashファイルA〜Fにより表示可能な地図全体において画面領域61の位置を示す値)が示される数値領域をもつ変数と一致するか否かを判断する。(S5)例えば、パラメータを、「a=1、b=2、c=3」とした場合、そのパラメータは、「http://test.co.jp/test.swf?a=1&b=2&c=3」のように、インターネットブラウザ2からWEBサーバ3に送信されるURL内に含まれる。
【0025】
変数が一致しないと判断した場合(S5がNo)、CGI4は、S4に戻って次の変数を検索する。
一方、変数が一致すると判断した場合(S5がYes)、CGI4は、その変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、WEBサーバ3から受け取ったURLに含まれるパラメータに書き換える(上書き)。(S6)
そして、CGI4は、S6でパラメータが上書きされたActionScriptを有するFlashファイルをWEBサーバ3からインターネットブラウザ2に送信する。(S7)
このように、本実施形態の携帯端末表示システム1では、CGI4において、インターネットブラウザ2から送信されるURLによりHDD5から読み込んだ新しいFlashファイル内のActionScriptの変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、URLに含まれるパラメータに上書きするため、図4に示すように、画面領域61が地図60の境界線を越える前と後とで、画面領域61の位置を同じにすることができるので、それら異なるFlashファイル間で地図をスムーズにスクロール表示させることができる。
【0026】
なお、上記携帯端末表示システム1は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で随時変形して実施可能である。
例えば、Flashファイルで作成した地図の所定位置に、その所定位置に対応する地域情報を示すWEBページにリンク可能なボタンのアイコンを作成すると共に、リンク先のWEBページをFlashファイルで作成しておき、リンク先のWEBページにジャンプした後、再び地図に戻る際に、上述のように、CGI4によりパラメータの上書きを行うことで、スムーズなリンク動作を行うことができる。
【0027】
このように構成することにより、分割された各地図のうちの所定の地図内のあるボタンがユーザの操作により押されてリンク先にジャンプした後、再び地図に戻る際、リンク前の地図の同じ位置に戻ることができる。
【0028】
また、上記実施形態では、Flashファイルにより携帯電話の画面に表示される画像は、地図であるが、写真や絵など特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の携帯端末表示システムを示す図である。
【図2】CGIの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】Flashファイルのブロック構造を示す図である。
【図4】本実施形態の携帯端末表示システムにおけるスクロール動作を示す図である。
【図5】地図全体を複数に分割した際の各Flashファイルを示す図である。
【図6】1つのFlashファイル内のスクロール動作を示す図である。
【図7】既存の携帯端末表示システムを示す図である。
【図8】既存の携帯端末表示システムにおけるスクロール動作を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 携帯端末表示システム
2 インターネットブラウザ
3 WEBサーバ
4 CGI
5 HDD
30 Flashファイル
31 Filehead
32 図形データ
33 画像データ
34 ActionScript
60 地図
61 画面領域70 携帯端末表示システム
71 インターネットブラウザ
72 WEBサーバ
73 I/Oアクセス部
74 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Flashファイルが表示される携帯端末と、
複数のFlashファイルが記録される記録手段と、
前記携帯端末から送信されるFlashファイルを所得したい旨の要求を受信すると、その要求に対応するFlashファイルを前記記録手段から読み込むと共に、前記複数のFlashファイルにより表示可能な画像において前記携帯端末の画面に表示される領域の位置を示すパラメータを前記要求から取り出し、前記記録手段から読み込んだFlashファイルのパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換え、そのパラメータを書き換えたFlashファイルを前記携帯端末に送信するWEBサーバと、
を備えることを特徴とする携帯端末表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末表示システムであって、
前記WEBサーバは、CGIにより、前記要求からパラメータを取り出すと共に、前記記録手段から読み込んだFlashファイル内のActionScriptの変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換える、
ことを特徴とする携帯端末表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯端末表示システムであって、
前記複数のFlashファイルにより表示可能な画像は、地図または写真である、
ことを特徴とする携帯端末表示システム。
【請求項4】
携帯端末から送信されるFlashファイルを所得したい旨の要求を受信すると、その要求に対応するFlashファイルを記録手段から読み込むと共に、前記記録手段に記録される複数のFlashファイルにより表示可能な画像において前記携帯端末の画面に表示される領域の位置を示すパラメータを前記要求から取り出し、前記記録手段から読み込んだFlashファイルのパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換え、そのパラメータを書き換えたFlashファイルを前記携帯端末に送信する、
ことを特徴とするWEBサーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のWEBサーバであって、
CGIにより、前記要求からパラメータを取り出すと共に、前記記録手段から読み込んだFlashファイル内のActionScriptの変数がもつ数値領域に示されるパラメータを、前記要求から取り出したパラメータに書き換える、
ことを特徴とするWEBサーバ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のWEBサーバであって、
前記複数のFlashファイルにより表示可能な画像は、地図、写真、または絵である、
ことを特徴とするWEBサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−20376(P2009−20376A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183919(P2007−183919)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(505193678)ユーリテクノス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】