説明

携帯端末装置、及び、携帯端末装置における紛失防止方法

【課題】特別なデバイスを必要とせず、周囲に迷惑を掛ける不都合も無く、効果的に携帯端末装置の紛失を防止する。
【解決手段】携帯端末装置10において、位置情報取得手段(GPS受信部106)は、現在の位置情報を取得する。この位置情報により携帯端末装置10が予め設定された所定範囲(例えば、自宅等)に存在することが検出されると、タイマー107による所定時間の計測が開始される。この所定時間内に、携帯端末装置10の充電端子111が外部の充電装置20に接続されて内蔵電池への充電が開始されない場合には、スピーカー109やバイブレータ110等の報知手段により報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、及び、携帯端末装置における紛失防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機に代表される携帯端末装置の紛失を防止する為に、様々な方法が実用化或いは提案されている。例えば、第1の方法として、携帯端末装置と近距離無線を行うキーデバイスを用いて、近距離無線通信が途切れた場合に携帯端末装置又はキーデバイスからアラーム音を報知する方法が実用化されている。又、第2の方法として、一般的に、自宅等で紛失してしまった携帯電話機を見つける場合に別の携帯電話機から発信を掛けて、紛失した携帯電話機に着信報知を行わせる方法も有る。更に、第3の方法として、特開平5−327615号公報(特許文献1)には、充電器から長時間無通話状態で放置された場合に警報音を発する無線携帯電話が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−327615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の第1の方法では、ユーザは、携帯端末装置の他にキーデバイスを常時携帯しておく必要がある。例えば自宅内等での利用を考えると、これらを常時携帯することは現実的では無い。更に、キーデバイスも紛失してしまう可能性がある。又、上述の第2の方法では、紛失した携帯電話機を探す時に、他の携帯電話機や固定電話機が近くに無い場合は、この方法を使うことはできない。又、上述の第3の方法においては、紛失していない場合でも警報音が鳴り響く場合がある。例えば、外出先等、本来充電する状況に無い場所にいても、一定時間無通話であれば警報音が鳴り、周りに迷惑を掛ける等の不都合が起こり得る。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の課題を解決する携帯端末装置、及び、携帯端末装置における紛失防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末装置は、充電可能な電池により動作する携帯端末装置であって、現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、時間計測を行うタイマーと、外部充電装置から前記電池への充電を制御する充電制御手段と、報知手段と、前記位置情報により前記携帯端末装置が所定範囲に存在することを検出し、かつ、前記タイマーが計測する所定時間内に、前記充電が開始されない場合に前記報知手段により報知を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
又、本発明の携帯端末装置において、前記報知手段は、報知音を発生するスピーカーを含んでも良い。
【0008】
又、本発明の携帯端末装置において、前記報知手段は、振動を発生するバイブレータを含んでも良い。
【0009】
又、本発明の携帯端末装置において、前記位置情報取得手段は、GPS機能により前記位置情報を取得するようにしても良い。
【0010】
又、本発明の携帯端末装置において、入力手段を更に備え、前記位置情報取得手段が取得した位置情報が示す位置を中心として、前記入力手段により入力された半径に基づいて、前記所定範囲を決定するようにしても良い。
【0011】
又、本発明の携帯端末装置において、前記入力手段により、前記所定時間を設定するようにしても良い。
【0012】
本発明の携帯端末装置における紛失防止方法は、充電可能な電池により動作する携帯端末装置における紛失防止方法であって、現在の位置情報を取得し、前記位置情報により前記携帯端末装置が所定範囲に存在することを検出して、タイマーによる所定時間の計測を開始し、前記所定時間内に、外部充電装置からの前記電池への充電が開始されない場合に、報知手段により報知を行う、ことを特徴とする。
【0013】
又、本発明の携帯端末装置における紛失防止方法において、前記報知は、スピーカーが発生する報知音により行われるようにしても良い。
【0014】
又、本発明の携帯端末装置における紛失防止方法において、前記報知は、バイブレータが発生する振動により行われるようにしても良い。
【0015】
又、本発明の携帯端末装置における紛失防止方法において、GPS機能により前記位置情報を取得するようにしても良い。
【0016】
又、本発明の携帯端末装置における紛失防止方法において、取得した前記位置情報が示す位置を中心として、入力手段により入力された半径に基づいて、前記所定範囲を決定することようにしても良い。
【0017】
又、本発明の携帯端末装置における紛失防止方法において、前記所定時間を入力手段により設定するようにしても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自宅等の予め定められた場所において、充電器に携帯端末装置を接続しない状態で所定時間経過すると、携帯端末装置が報知動作を自動的に行う。その為に、特別なデバイスを必要とせず、周囲に迷惑を掛ける不都合も無く、効果的に携帯端末装置の紛失を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の構成を示す機能ブロック図である。図1に示す携帯端末装置10は、無線部101と、制御部102と、表示部103と、操作部104と、記憶部105と、GPS受信部106と、タイマー107と、充電制御部108と、スピーカー109と、バイブレータ110と、充電端子111とを有している。
【0020】
無線部101は、図示省略した無線通信システムの無線基地局と無線通信を行い、通話やデータ通信等を実現させる。制御部102は、携帯端末装置10の各部を制御するプロセッサ(CPU)であり、制御手段として機能する。表示部103は、例えば、液晶表示装置等で実現され、ユーザに伝える各種情報を表示する。操作部104は、テンキーやカーソルキー等を含む入力手段であり、ユーザからの操作入力を受け付ける。記憶部105は、携帯端末装置10の制御プログラムや各種設定情報、報知音等のデータを格納する。GPS受信部106は、図示省略したGPS(Global Positioning System)衛星から位置情報を取得する機能を有する位置情報取得手段である。タイマー107は、設定された時間を計測する計時手段である。
【0021】
充電制御部108は、外部の充電装置20に接続された充電端子111から充電電流を受け、携帯端末装置10に内蔵されている二次電池(図示せず)の充電を制御する充電制御手段として機能する。充電制御部108は、更に、充電端子111と充電装置20との接続を検出し、検出信号を制御部102に通知する機能を有している。スピーカー109は、報知音を出力する。バイブレータ110は、携帯端末装置10を振動させて報知を行う。これらスピーカー109とバイブレータ110は、本発明における報知手段に含まれる。充電端子111は、充電装置20と接続する為の端子である。以上説明した各部は、既存の携帯電話機と同様の技術で構成できる。
【0022】
図2は、図1の記憶部105の内容の一例を示す図である。記憶部105には、携帯端末装置10の制御プログラム1051と、スピーカー109から出力される報知音やバイブレータ110の振動パターン等の各種データ1052と、ユーザによって指定された位置情報1053と、設定時間情報1054とが記憶されている。ここで、位置情報1053は、携帯端末装置10の紛失を防止したい場所(例えば、自宅)の緯度及び経度と、その範囲を示す情報である。又、設定時間情報1054は、報知を行うまでの時間を示す情報であり、タイマー107によって計時される時間を示す。
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態の動作について図面を参照して説明する。図3に、本発明の一実施形態の動作を示すフローチャートである。この処理は、携帯端末装置10の紛失防止機能を実現し、制御プログラム1051の一部として組み込まれており、制御部102によって実行される。
【0024】
まず、携帯端末装置10のユーザは、操作部104を操作して所定のメニュー等から紛失防止機能の設定画面を表示部103に表示させ、本発明の紛失防止機能の初期設定を行う。最初に、紛失防止機能を有効にする場所の緯度及び経度を、GPS受信部106を用いて取得する(ステップS1)。場所情報の取得はユーザ操作によって、例えば自宅等、ユーザが希望する場所にて行われる。
【0025】
次に、取得した緯度及び経度を中心として、紛失防止機能を有効にする所定範囲を設定する為に、操作部104のテンキーから範囲情報(取得位置からの半径(メートル))を入力する(ステップS2)。更に、報知起動までの所定時間(A分)を設定する(ステップS3)。そして、取得した緯度及び経度、ユーザによって指定された範囲は位置情報1053として、報知起動までの時間は設定時間1054として、記憶部105に保存する(ステップS4)。以上が、携帯端末装置10における紛失防止機能の初期設定となる。
【0026】
初期設定終了後、ユーザの操作部104の操作によって紛失防止機能が有効に設定されると(ステップS5のYes)、携帯端末装置10のGPS受信部106は、定期的に位置情報を取得する(ステップS6)。取得した位置情報が設定された位置情報1053が示す範囲内にあるとき(ステップS7)、タイマー107が起動して、設定時間1054(A分)の計測を開始する(ステップS8)。タイマー107が起動すると、充電制御部108によって、携帯端末装置10に充電装置20が接続されたか否かが検出される(ステップS9)。
【0027】
ステップS9において、充電制御部108は、充電装置20への接続を検出すると(ステップS9のYes)、充電を開始すると共に検出信号を制御部102に通知する。この通知を受けた制御部102は、本機能を終了させる。一方、充電装置20への接続を検出しない場合(ステップS9のNo)、タイマー107の計測時間が設定時間1054に達したか否かを判定する(ステップS10)。そして設定時間1054が経過したときは(ステップS10のYes)、スピーカー109から報知音を出力して、ユーザに紛失防止のための報知を行う(ステップS11)。尚、この報知は、バイブレータ110の駆動によって行っても良い。
【0028】
以上説明した一実施形態において、紛失防止機能がオンとなっているとき、通話やブラウザ等、別の機能が起動している場合は、タイマー107による時間計測を停止し、その別機能が終了した時点で時間計測を開始するようにしても良い。
【0029】
尚、本発明は上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における記憶部の内容例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10 携帯端末装置
20 充電装置
101 無線部
102 制御部
103 表示部
104 操作部
105 記憶部
106 GPS受信部
107 タイマー
108 充電制御部
109 スピーカー
110 バイブレータ
111 充電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な電池により動作する携帯端末装置であって、
現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
時間計測を行うタイマーと、
外部充電装置から前記電池への充電を制御する充電制御手段と、
報知手段と、
前記位置情報により前記携帯端末装置が所定範囲に存在することを検出し、かつ、前記タイマーが計測する所定時間内に、前記充電が開始されない場合に前記報知手段により報知を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記報知手段は、報知音を発生するスピーカーを含むことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記報知手段は、振動を発生するバイブレータを含むことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記位置情報取得手段は、GPS機能により前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
入力手段を更に備え、前記位置情報取得手段が取得した位置情報が示す位置を中心として、前記入力手段により入力された半径に基づいて、前記所定範囲を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記入力手段により、前記所定時間を設定することを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
充電可能な電池により動作する携帯端末装置における紛失防止方法であって、
現在の位置情報を取得し、
前記位置情報により前記携帯端末装置が所定範囲に存在することを検出して、タイマーによる所定時間の計測を開始し、
前記所定時間内に、外部充電装置からの前記電池への充電が開始されない場合に、報知手段により報知を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置における紛失防止方法。
【請求項8】
前記報知は、スピーカーが発生する報知音により行われることを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置における紛失防止方法。
【請求項9】
前記報知は、バイブレータが発生する振動により行われることを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置における紛失防止方法。
【請求項10】
GPS機能により前記位置情報を取得することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1つに記載の携帯端末装置における紛失防止方法。
【請求項11】
取得した前記位置情報が示す位置を中心として、入力手段により入力された半径に基づいて、前記所定範囲を決定することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1つに記載の携帯端末装置における紛失防止方法。
【請求項12】
前記所定時間を入力手段により設定することを特徴とする請求項11記載の携帯端末装置における紛失防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−205752(P2008−205752A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38730(P2007−38730)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】