説明

携帯端末装置、応答通信装置並びに被探索対象表示システム及び方法

【課題】被探索対象位置測定装置と撮影装置とを兼備し、ディスプレイ上に撮影した画像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップ表示できるシステム、方法等を提供すること。
【解決手段】携帯端末装置は、ディスプレイ;ディスプレイ上に映し出す映像を撮影する撮影手段;被探索対象からの応答信号の到来方向及び距離を測定する被探索対象位置測定手段;及び撮影手段で撮影した映像をディスプレイ上に表示させ、被探索対象がディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定された場合に映像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせてディスプレイ上に表示させる表示制御手段;から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被探索対象探索が可能な携帯端末装置、被探索対象に装着可能な応答通信装置並びに被探索対象表示システム及び方法に関し、特に携帯端末装置のディスプレイ上に光学カメラの画像と被探索対象ポインタとをオーバーラップ表示することに関する。
【背景技術】
【0002】
無線技術の発展や電子機器の小型化技術により、従来搭載するのが困難であると思われた小さな物品に対しても、センサーや計算能力を備えた通信装置を装着できるようになってきた。例えば、商品1つ1つに微少なRFIDタグを付着することで、物流や流通の追跡調査を詳細に行うことが可能である。
【0003】
このような使用法がさらに進展すれば、やがてあらゆる物品に微少な通信装置が装着され、1平方メートル当たり数百の通信装置が存在するようになる可能性がある。そうなった場合、それら通信装置が付いた物品(被探索対象)を人間がどのように発見し、識別し、管理するのかという問題が深刻になるものと予想される。
【0004】
このような問題に適用可能な従来技術として、以下のような技術が存在するが、いずれも不利点を抱えている。
【0005】
パッシブRFID技術は、非常に短い通信距離しかないために、身の回りの物品の場所を特定するという用途には不向きである。さらに、通信距離を稼げる既存のアクティブRFID技術でも、現状ではタグの存在する位置を特定することはできない。さらに、通信可能エリアに複数のタグが存在するときに、現在どの位置にあるタグと通信を行っているのかを人間が直感的に認識できる方法が提供されていない。
【0006】
一方、遠方の物体を認識する用途にレーダー通信装置が用いられるが、広く用いられているレーダー技術は遠方の物体に対して高出力で送信した電磁波の反射波を測定する、1次レーダーとしての目的で使用されており、室内などの近距離で小さな物体を探索するという用途には不向きである。
【0007】
近年、Micro-power Impulse Radar 技術やUWBレーダー技術が開発され、近距離でのレーダー技術の小型化が進められている。
【0008】
しかしながら、これらの技術は物体からの反射波を測定する1次レーダーであるため、物体のIDなどに関する情報を得ることができない。そのため、識別及び認識という点において上記問題を解決できない。
【0009】
同様に魚群探知機、地雷探知機、衝突防止車載レーダーなどの近距離レーダー技術も存在するが、これらも1次レーダーであるため物体の相対位置は検知できるが、物体のIDなどに関する情報を得ることができないため上記問題を解決しない。
【0010】
また、探索される側が信号を出すという点では、航空機の2次レーダー装置が存在するが、近距離での使用は考慮されておらず、実際の画像とオーバーラップ表示して人間の物探しを支援するような機能も無い。
【0011】
近くの物品を探知するという用途に関しては、画像認識により物品を認識するという技術も存在するが、認識率を向上させるために画像の解像度を上げる必要があるのと、識別のための計算量が大きいため、携帯端末装置への搭載には不向きである。また、画像認識では物体の陰など可視光領域で見通し線上にない物品を発見することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、例えば近距離2次レーダー通信装置などの被探索対象位置測定装置とカメラなどの撮影装置とを兼備した探索可能携帯端末装置をもたらし、ディスプレイ上に撮影した画像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップ表示できるシステム、方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するための本発明の一特徴に従った、探索可能な携帯端末装置は、ディスプレイ;ディスプレイ上に映し出す映像を撮影する撮影手段;
被探索対象からの信号の到来方向及び距離を測定する被探索対象位置測定手段;及び撮影手段で撮影した映像をディスプレイ上に表示させ、被探索対象がディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定された場合に映像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせてディスプレイ上に表示させる表示制御手段;から構成される。
【0014】
本発明の他の特徴に従った、被探索対象に装着可能な応答通信装置は、送受信アンテナ;探索可能装置からの探索信号を受信する受信器;受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う応答処理部;及び受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する同期処理部;から構成される。
【0015】
本発明の他の特徴に従った、被探索対象をディスプレイ上に表示させるための被探索対象表示システムは、探索可能な携帯端末装置と被探索対象に装着された応答通信装置とから構成され、
携帯端末装置が、ディスプレイ;ディスプレイ上に映し出す映像を撮影する撮影手段;被探索対象からの応答信号の到来方向及び距離を測定する被探索対象位置測定手段;及び撮影手段で撮影した映像をディスプレイ上に表示させ、被探索対象がディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定された場合に映像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせてディスプレイ上に表示させる表示制御手段;から構成され、
応答通信装置が、送受信アンテナ;携帯端末装置からの探索信号を受信する受信器;受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う応答処理部;及び受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する同期処理部;から構成される。
【0016】
本発明の他の特徴に従った、被探索対象をディスプレイ上に表示させるための被探索対象表示方法は、
探索可能な携帯端末装置において、探索信号を送信する段階;
被探索対象に装着された応答通信装置において、前記探索信号を受信する段階;受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う段階;受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する段階;
携帯端末装置において、被探索対象からの応答信号の到来方向及び距離を測定する段階;撮影手段で撮影した映像をディスプレイ上に表示させ、被探索対象がディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合に映像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせてディスプレイ上に表示させる段階;から構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によれば、光学カメラによる画像と2次レーダー通信装置による電磁波又は音波の到来方向と距離を測定した結果を携帯端末装置のディスプレイにオーバーラップ表示することにより、探索対象たる物品がどこにあるか視覚的に把握することができる。また、応答通信装置から取得した名前、IDなどの属性情報を表示することにより、物品に関連する情報を得ることが可能になる。インターネット等の外部ネットワークと接続することで、該当物品に関連したより詳細な情報を得ることや、前回いつどこで探したかなどの履歴情報を確認することもできる。
【0018】
本発明の実施例は、以下のような多岐にわたり応用できる。
【0019】
・押入にしまっている所有物の場所の検索
・深い草に覆われてロストしたゴルフボールの探索
・デパートやスーパーで目的とする買い物の探索
・美術館や博物館で鑑賞目的としている作品の探索
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
最初に図1を参照しながら、本発明の実施例の概要について説明する。
【0021】
探索機能付き携帯端末装置のユーザが携帯端末装置に備え付けられたレーダー探索用モードを有効にすることにより、光学カメラとディスプレイ装置と2次レーダー通信装置が起動される。さらにユーザが探索用スイッチを有効にすると、2次レーダー通信装置から応答通信装置探索用の指向性を有する探索信号が電磁波や音波により送信される。探索信号は特定の応答通信装置を探す探索信号と不特定の応答通信装置を探す探索信号に大別される。
【0022】
探索信号を受信した応答通信装置は探索信号の内容を解析し、自分宛の探索信号であるか又は不特定多数探索信号である場合に、応答信号を探索信号に同期させて送信する。
【0023】
応答通信装置からの応答信号を受信した携帯端末装置は、アレイアンテナなど各種技術を用いて、応答信号の到来方向を測定する。携帯端末装置は、同期情報から距離を測定する。さらに、携帯端末装置は、応答信号の内容からその応答通信装置のIDや名前などの属性情報を取得する。
【0024】
得られた到来方向の情報は、その時点での光学カメラのレンズ画角と照合され、ディスプレイ上の座標に変換される。このようにして得られた情報は、光学カメラからの映像にオーバーラップさせて表示される。つまり、応答通信装置の位置は、カメラ画像とともにリアルタイムにディスプレイ上に表示され、距離、ID、名前などの属性情報が吹き出し形式などで表示される。
【0025】
ユーザはディスプレイ上に表示された応答通信装置の情報をカーソルなどにより選択することで、さらに詳細なデータがインターネット接続などを経由して調べることができる。
【0026】
図1に示すのは、ユーザが携帯端末装置のディスプレイ上に被探索対象のポインタが表示されている様子を示した図である。星形のポインタがカギに装着された応答通信装置の現在位置を示し、吹き出しにはその属性情報としてカギという名前、所属、応答通信装置までの距離が表示されている。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明に従った実施例について説明する。
【0028】
先ず、図2を参照しながら、本発明の実施例に従った探索機能付き携帯端末装置を説明する。探索機能付き携帯端末装置200は、撮影手段としての光学レンズ210とCCD212とCCDドライバ214,操作ボタン260,撮影手段が撮影した映像を表示するディスプレイ242、イメージプロセッサ244、RAM246,CPU248、被探索対象位置測定手段としての2次元アレイアンテナ230と送受信器232とレーダードライバ234、ROM250から構成される。
【0029】
被写体から得られる光学的情報が光学レンズ210を経由し、CCD212によって受信され、CCDドライバ214によって処理されて、イメージプロセッサ244に送られる。
【0030】
一方、被写体中に存在する被探索対象に装着された応答通信装置から送信される電磁波信号又は音波信号は、水平方向と垂直方向の2次元に配置されたアレイアンテナ230やエスパアンテナにより受信され送受信器232へ送られる。送受信器232からの情報は、レーダードライバ234を経由してCPU248へ送信され、CPU248又はレーダードライバ234において光学レンズ210の画角設定と照合され、被探索対象がディスプレイ242上に表示された映像の範囲内にあるか否かが判定される。さらに、ディスプレイ242内の座標を決定した結果をイメージプロセッサ244に送信する。
【0031】
レーダードライバ234は、応答通信装置からの距離とIDや名前などの属性情報もイメージプロセッサ244へ送る。イメージプロセッサ244は、CCDドライバ214から得られた情報と、レーダードライバ234から得られた情報を元にDRAM等のメモリを用いてオーバーラップ表示のための画像情報を計算した結果をLCD等のディスプレイ242へ送信する。
【0032】
ユーザは、操作ボタン260を通じてCPUへ指示を送り、CCDドライバ214やレーダードライバ234は、CPUとフラッシュメモリ等を用いて計算を行う。
【0033】
図3を参照しながら、本発明の実施例に従った応答通信装置について説明する。被探索対象に装着可能な応答通信装置300は、送受信アンテナ310、探索可能装置からの探索信号を受信器320、受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う応答処理部330,変調器340、送信器350、受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する同期処理部360、属性情報を記憶するROM370から構成される。
【0034】
応答処理部300の受信器320が受信した探索信号は、応答処理部330へ送られる。応答処理部330は、受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージか、不特定通信装置探索メッセージであれば応答処理を行う。応答処理に基づく応答信号は、変調器340において変調されて、送信器350に送られ、アンテナ310より送信される。
【0035】
ここで応答処理に用いられる名前、IDなどの属性情報は、ROM370から読み出される。
【0036】
また、受信された探索信号のタイミングは、同期処理部360へ送られ、次に予想される受信のタイミングと同期して送信を行うように同期処理される。この処理により、探索可能装置において距離の測定が可能になる。予測に用いられる時間間隔は、探索メッセージ内に記述されている。
【0037】
図4を参照して、本発明の実施例に従った探索可能携帯端末装置の起動手順につき説明する。
【0038】
ユーザが携帯端末装置の操作ボタン260の一部であるスイッチを押下すると(S410)、撮影手段として光学カメラを起動し(S420)、起動しない場合にはエラーメッセージを表示する(S430)。
【0039】
光学カメラ起動後にレーダー通信装置の起動を行い(S450)、正常に起動しない場合にはエラーメッセージを表示する(S430)。そして正常に起動した場合には、特定通信装置の探索を行うか否かにより探索メッセージを変える(S450)。特定通信装置の探索を行う場合には、特定通信装置を探索するための探索信号を作成する(S470)。その際、事前に別操作により探索すべき特定通信装置のIDなどの属性情報を取得しておくことが必要である(S485)。
【0040】
不特定通信装置の探索の場合には、ブロードキャストメッセージのように、すべての応答通信装置が受信する探索信号を作成する(S480)。これらの作業を行った後、起動後の状態へと遷移する(S490)。
【0041】
図5を参照しながら、探索携帯端末装置における到来角度・距離測定及び結果表示の手順を説明する。
【0042】
探索携帯端末装置200は、起動(S490)された後、操作ボタン260の一部である探索スイッチをオン(S512)することにより探索信号の送信(S520)を開始する。探索信号は、探索スイッチがオンである間は、一定間隔T秒ごとに1回送信されるように設定される。探索携帯端末装置は、応答通信装置からの応答信号を受信(S530)すると以下の3種の処理を開始する。
【0043】
第1の処理:電波又は音波の到来角の測定(S550)を行い、現在の光学カメラの画像(S546)の画角との照合により被探索応答通信装置がディスプレイ242上の映像の範囲内にあるか否かの判定(S552)を行う。そしてディスプレイ242の範囲内の場合には、座標を計算し(S580)、被探索対象のポインタをディスプレイ242上にオーバーラップ表示する(S548)。ディスプレイ242の範囲外の場合には、その旨を表すメッセージを計算し(S544)、ディスプレイ242上にオーバーラップ表示する(S548)。
【0044】
到来角度の測定は、水平方向と垂直方向に対して少なくとも2対の受信アレイアンテナやエスパアンテナを配置することにより、図6に示すように複数の到来波の遅延時間又は位相差を測定することにより到来角度を算出する(S550)。このアレイアンテナを水平方向と垂直方向に2次元に並べることによりディスプレイ242上の2次元座標のどの位置から波が到来しているかを判定することが可能となる。
【0045】
第2の処理:応答通信装置からの応答信号を解析し、そのIDと名前などの属性情報をインターネット接続などを通じて取得する処理である(S560)。その結果はディスプレイ242内外表示方式の双方(S544,S580)に送られ、ディスプレイ242上にオーバーラップ表示される(S548)。
【0046】
属性情報には、例えば、ID、名前、位置、距離、マルチホップ通信における中継ノード数、URLなどの関連デジタルコンテンツアドレス、ユーザとの関係性情報(使用履歴など)がある。
【0047】
第3の処理:応答通信装置からの距離を測定する処理である。距離測定は信号同期フラグが受信信号に含まれている場合(S540)に行われる。距離は、探索信号と応答信号の遅延時間の差によって計算され(S542)、その結果はディスプレイ242上にオーバーラップ表示される(S548)。同期が取れている場合には、遅延差から距離を計算するが、同期が取れていない場合は、測定不能メッセージを表示するか或いは何も表示しない。このように測距と到来角度測定を組み合わせることで、応答通信装置の3次元的な位置を表示することが可能となる。
【0048】
以上の測定や情報取得によって得られる情報の表示モードには、例えば、リアルタイム表示モード、画像と情報の同時録画モード、録画されたものの再生モードがある。
【0049】
図7を参照して、探索携帯端末装置においてユーザがディスプレイ上のポインタを選択して、詳細表示を要求したときの手順を説明する。
【0050】
ユーザは探索携帯端末装置のディスプレイ242に表示されているポインタ(応答通信装置の場所を表す印)の中から、カーソルなどを用いて1つ又は複数のポインタを選択することができる(S710)。その他にも、詳細情報出力対象の被写体を特定する方法として、例えば、以下のものが挙げられる。
【0051】
・撮影画面の中心にある被写体
・所望の条件を入力し、条件が一致する被写体(ユーザが求めている被写体)
・ユーザがキーパッド等を用いて指定する被写体
選択された応答通信装置のIDに関する情報が携帯端末装置内のメモリ(ローカルなメモリ)上に存在する場合には(S720)、その中の情報(名前その他の属性情報等)を取得しディスプレイ242内でオーバーラップ表示する(S770)。ローカルなメモリ上にIDに関する情報が存在しない場合には(S740)、無線パケット網などを用いて外部ネットワークに接続し、ID情報を元に属性情報などを取得する。外部から取得した情報はRAMなどのローカルなメモリ領域に蓄積し(S760)、ディスプレイ242内でオーバーラップ表示する(S770)。もし外部ネットワークの検索で何も見つからなかった場合はエラーメッセージをオーバーラップ表示する(S750)。
【0052】
視覚的な出力に使用される画像には静止画像と動画像があり、選択することができる。
【0053】
静止画像の場合は、光学カメラでシャッターを押した瞬間の画像と2次レーダー通信装置による測位結果が同時に保存され、保存された情報を後に取り出してディスプレイ242上に表示することによって、図7に示される手順をたどることができる。さらに、保存された情報を電子メイルなどに添付して、外部へと送信することも可能である。
【0054】
動画像の場合には、光学カメラが連続して撮影する画像と2次レーダー通信装置の測位結果をリアルタイムにディスプレイ242上にオーバーラップ表示し、図7に示される表示手順を辿ることができる。また、動画像は2次レーダー通信装置の測位結果と合わせてネットワークを介して送信することも可能である。
【0055】
音声的な出力を選択することも可能であり、オーバーラップ表示されている応答通信装置の属性などを読み上げることや、携帯端末装置の向きを変えていく際に音の大きさを変化させることによって方角と距離を表現することも可能である。
【0056】
さらに、光学カメラと2次レーダー通信装置で得られた情報を外部機器に出力することも可能である。
【0057】
ディスプレイ242に出力される被探索対象を示すポインタには、被探索対象がディスプレイ242の画像の範囲外にある場合に被探索対象の方向を示す方向ポインタと、被探索対象がディスプレイ242の画像内に存在する場合にその被探索対象を指示する被探索対象ポインタの2種類が存在する。方向ポインタの場合は、画像との水平方向と画像の奥行き方向がディスプレイ242上に表示される。被探索対象に関係する情報には、文字、画像、音声(動作音、鳴き声など)がある。
【0058】
図8を参照しながら、応答通信装置300が探索携帯端末装置200からの探索信号を受信した後、応答信号を送信するまでの処理手順を説明する。
【0059】
応答通信装置300は、常時或いは間欠的に信号受信のためにアイドル(idle)状態(S810)から起きあがり、探索携帯端末装置からの探索信号の有無を判断する(S820)。もしも受信がない場合には、次に起きあがるためのウエイクアップ(Wakeup)のタイマを設定し、一定時間アイドル状態に遷移しスリープする(S830)。もし、受信があった場合には(S820)、自分の応答信号を発信するタイミングとの同期が取れているか判定する(S340)。もし信号同期が取れていない場合、信号同期フラグをオフにして、応答信号を送信し、引き込み処理により応答信号との同期処理を試みる(S850)。もしも応答信号との同期が取れている場合は(S340)信号同期フラグをオンにして応答信号を送信する(S870)。
【0060】
引き込み処理では、探索信号に含まれる送信タイミングから次に受信するタイミングを予測し、受信と送信のタイミングを合わせるようにする。信号同期フラグは探索携帯端末装置側で距離を測定する際に用いられる。応答信号送信後は、アイドル状態に戻り(S810)次の受信を待つ。
【0061】
図9に探索信号と応答信号の交換のプロトコル手順を示す。このプロトコルは、要求・応答型の手順となっており、探索携帯端末装置からの探索信号1つにつき、応答通信装置から応答信号が1つ返信されるというプロトコルになっている。この際、応答通信装置側で探索信号を受信するタイミングと応答信号が返信されるタイミングがずれている場合(図9の最上部に示すように)には、同期フラグをオフにすることで、同期が取れていないことを探索携帯端末装置側で判定できる。
【0062】
同期が取れている場合(図9の2番目、3番目の応答に示すように)には同期フラグをオンにすることで、同期が取れていることを探索携帯端末装置側で判定でき、距離測定の処理が行われることになる。同期を取る方法としては、完全同期とオフセット同期があり、完全同期の場合には受信と送信のタイミングが完全に一致していることを示している。オフセット同期の場合には、受信から一定の間隔をあけて送信することを示している。図9には、完全同期の例を示している。
【0063】
図10に探索信号のフォーマットを示す。
【0064】
探索信号にはヘッダ部とフッタ部の他に、探索信号種別、ID、送信タイミングが含まれている。探索信号種別はその探索が特定通信装置探索であるか不特定通信装置探索であるかの種別などが示される。IDは特定通信装置探索の場合に、それを特定する番号を入れる。送信タイミングにはどの周期で探索信号を送信しているかを表している。
【0065】
図11に応答信号のファーマットを示す。
【0066】
応答信号は、ヘッダ部とフッタ部の他に、同期情報、ID,属性値の情報が含まれている。同期情報には、完全同期かオフセット同期かの種別情報と、それが現在同期しているかというフラグが含まれる。ID情報には、応答通信装置自身のID値が含まれる。属性値には、名前、価格など任意の情報を含めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に従った携帯端末装置、応答通信装置並びに被探索対象表示システム及び方法は、ディスプレイ上に撮影した画像と被探索対象を示すポインタとをオーバーラップ表示するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例に従った探索機能付き携帯端末装置のディスプレイの概略図である。
【図2】本発明の実施例に従った探索機能付き携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に従った応答通信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例に従った探索可能携帯端末装置の起動手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に従った探索携帯端末装置における到来角度・距離測定及び結果表示の手順を示すフローチャートである。
【図6】複数の到来波の遅延時間又は位相差を測定することにより到来角度を算出する方法を示す概念図である。
【図7】本発明の実施例に従った探索携帯端末装置においてユーザがディスプレイ上のポインタを選択して、詳細表示を要求したときの手順を説明する示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例に従い、応答通信装置が探索携帯端末装置からの探索信号を受信した後、応答信号を送信するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例に従った、探索信号と応答信号の交換のプロトコル手順を示すチャートである。
【図10】本発明の実施例に従った探索信号のフォーマットを示す。
【図11】本発明の実施例に従った応答信号のファーマットを示す。
【符号の説明】
【0069】
200 探索機能付き携帯端末装置
210 光学レンズ
212 CCD
214 CCDドライバ
260 操作ボタン
242 ディスプレイ
244 イメージプロセッサ
246 RAM
248 CPU
230 2次元アレイアンテナ
232 送受信器
234 レーダードライバ
250 ROM
280 携帯インターネット通信機能
300 応答通信装置
310 アンテナ
320 受信器
330 応答処理部
340 変調器
350 送信器
360 同期処理部
370 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探索可能な携帯端末装置であって:
ディスプレイ;
該ディスプレイ上に映し出す映像を撮影する撮影手段;
被探索対象からの信号の到来方向及び距離を測定する被探索対象位置測定手段;及び
前記撮影手段で撮影した映像を前記ディスプレイ上に表示させ、前記被探索対象が前記ディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定された場合に前記映像と前記被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせて前記ディスプレイ上に表示させる表示制御手段;
から構成される探索可能携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載された探索可能携帯端末装置であって、
前記被探索対象位置測定手段が、被探索対象から放出される電磁波又は音波の到来方向及び距離を測定する2次レーダー通信手段であることを特徴とする探索可能携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載された探索可能携帯端末装置であって、
前記表示制御手段が、被探索対象の属性情報も前記ディスプレイ上に表示させる;
ことを特徴とする探索可能携帯端末装置。
【請求項4】
被探索対象に装着可能な応答通信装置であって:
送受信アンテナ;
探索可能装置からの探索信号を受信する受信器;
受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う応答処理部;及び
受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する同期処理部;
から構成される応答通信装置。
【請求項5】
請求項4に記載された応答通信装置であって、さらに
前記応答処理に用いるための自分の属性情報を記憶した記憶手段;
から構成される応答通信装置。
【請求項6】
被探索対象をディスプレイ上に表示させるための被探索対象表示システムであって:
探索可能な携帯端末装置と被探索対象に装着された応答通信装置とから構成され、
前記携帯端末装置が、
ディスプレイ;
該ディスプレイ上に映し出す映像を撮影する撮影手段;
被探索対象からの応答信号の到来方向及び距離を測定する被探索対象位置測定手段;及び
前記撮影手段で撮影した映像を前記ディスプレイ上に表示させ、前記被探索対象が前記ディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定された場合に前記映像と前記被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせて前記ディスプレイ上に表示させる表示制御手段;
から構成され、
前記応答通信装置が、
送受信アンテナ;
前記携帯端末装置からの探索信号を受信する受信器;
受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う応答処理部;及び
受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する同期処理部;
から構成される、
ことを特徴とする被探索対象表示システム。
【請求項7】
被探索対象をディスプレイ上に表示させるための被探索対象表示方法であって:
探索可能な携帯端末装置において、
探索信号を送信する段階;
被探索対象に装着された応答通信装置において、
前記探索信号を受信する段階;
受信した探索信号が自分宛の特定通信装置探索メッセージである場合に応答処理を行う段階;
受信された信号のタイミングに基づき、次に予想される受信タイミングと同期して応答信号を送信するよう制御する段階;
前記携帯端末装置において、
前記被探索対象からの応答信号の到来方向及び距離を測定する段階;
撮影手段で撮影した映像をディスプレイ上に表示させ、前記被探索対象が前記ディスプレイ上に表示された映像の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合に前記映像と前記被探索対象を示すポインタとをオーバーラップさせて前記ディスプレイ上に表示させる段階;
から構成される被探索対象表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−308493(P2006−308493A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133323(P2005−133323)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】