説明

携帯通信端末および情報収集システム

【課題】ユーザが複雑な操作をすることなく、自動で災害情報の配信を受けることができる携帯通信端末および情報収集システムを提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、無線ネットワークに接続可能な通信部40と、災害発生時にBCMCSにより配信される災害情報番組の受信パラメータを予め記憶する記憶部60と、通信部40にて、BCMCSよりも小容量のデータ配信を行うBCSMSにより通知される番組配信時刻情報を受信すると、当該番組配信時刻情報に基づいて、記憶部60に受信パラメータが記憶されている災害情報番組の配信時刻を登録する登録部31と、登録部31により登録された配信時刻が到来したことに応じて、災害情報番組の受信を通信部40にて行わせる番組受信部32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害情報を取得する携帯通信端末および携帯通信端末のユーザに関する情報を収集する情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CDMA2000_1x_EVDOの通信プロトコルにおいて、基地局の通信エリア内の全ユーザに向けてデータを一斉配信する、BCMCS(Broadcast Multicast Service)と呼ばれるサービスが提供されている。このサービスでは、ユーザは、予め受信したいBCMCS番組の情報を携帯通信端末に登録しておく。携帯通信端末は、登録した番組の配信開始時刻になると、通信エリア内で送信されている報知情報(Broadcast Overhead Message、BOM)を受信し、登録した番組が配信されていることを確認できたらデータ受信を開始する。
【0003】
特許文献1では、このBCMCSを利用した災害情報の配信システムが提案されている。このシステムでは、災害発生時に、携帯通信端末がユーザの操作に応じて基地局へメッセージを送信し、基地局は、メッセージを受信したことに応じて災害情報をBCMCSにより送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ユーザが手動で災害情報の取得をメッセージ送信により要求するため、ユーザがメッセージを送信しなかった場合、または災害による負傷等のためにメッセージを送信できなかった場合には、災害情報を取得できなかった。
【0006】
本発明は、ユーザが複雑な操作をすることなく、自動で災害情報の配信を受けることができる携帯通信端末および情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯通信端末は、無線ネットワークに接続可能な無線通信部と、災害発生時に第1の情報配信サービスにより配信される災害情報の受信パラメータを予め記憶する番組情報記憶部と、前記無線通信部にて、前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行う第2の情報配信サービスにより通知される配信時刻情報を受信すると、当該配信時刻情報に基づいて、前記番組情報記憶部に前記受信パラメータが記憶されている災害情報の配信時刻を登録する登録部と、前記登録部により登録された配信時刻が到来したことに応じて、前記災害情報の受信を前記無線通信部にて行わせる番組受信部と、を備える。
【0008】
また、前記第1の情報配信サービスは、特定の配信時刻に特定チャネルにて配信されるサービスであり、前記第2の情報配信サービスは、不特定時刻に前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行うサービスであることが好ましい。
【0009】
また、前記第1の情報配信サービスは、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCS(Broadcast Multicast Service)であり、前記第2の情報配信サービスは、前記CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCSMS(Broadcast Short Message Service)であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る携帯通信端末は、前記無線通信部により前記災害情報を受信する際、前記災害情報に対応する報知情報を受信したことに応じて、端末情報を含む登録メッセージを前記無線通信部に送信させる端末情報送信部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、前記登録メッセージは、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCSにより提供される報知情報(Broadcast Overhead Message)において、所定のパラメータ(Register For Paging)が設定されていることに応じて送信されるメッセージ(BCMCS Flow Registration Message)であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る携帯通信端末は、操作部と、前記無線通信部により災害情報を受信した際、前記操作部により所定の操作入力があれば、当該操作入力に応じた安否情報を前記無線通信部に送信させる安否情報送信部と、をさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る携帯通信端末は、前記災害情報を受信したことに応じて計時を開始する計時部と、前記計時部により所定時間の経過が検知されたことに応じて周囲へ報知する報知部と、をさらに備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る携帯通信端末は、現在地を取得する測位部と、前記測位部により取得された現在地を前記無線通信部により送信させる現在地送信部と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
本発明に係る情報収集システムは、携帯通信端末、災害情報配信サーバ、メッセージ配信サーバ、基地局および情報蓄積サーバを備え、災害発生地域にある前記携帯通信端末の利用ユーザに関する情報を収集する情報収集システムであって、前記携帯通信端末は、無線ネットワークに接続可能な無線通信部と、災害発生時に第1の情報配信サービスにより配信される災害情報の受信パラメータを予め記憶する番組情報記憶部と、前記無線通信部にて、前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行う第2の情報配信サービスにより通知される配信時刻情報を受信すると、当該配信時刻情報に基づいて、前記番組情報記憶部に前記受信パラメータが記憶されている災害情報の配信時刻を登録する登録部と、前記登録部により登録された配信時刻が到来したことに応じて、前記災害情報の受信を前記無線通信部にて行わせる番組受信部と、前記無線通信部により前記災害情報を受信する際、前記災害情報に対応する報知情報を受信したことに応じて、端末情報を含む登録メッセージを前記無線通信部により前記基地局へ送信させる端末情報送信部と、を備え、前記災害情報配信サーバは、災害発生時に前記災害情報および当該災害情報の報知情報を、当該災害発生地域の基地局を介して配信する災害情報配信部を備え、前記メッセージ配信サーバは、前記災害情報の配信時刻情報を、前記基地局を介して通知する配信時刻通知部を備え、前記情報蓄積サーバは、前記基地局が前記携帯通信端末から受信した登録メッセージに基づいて、当該携帯通信端末の識別データを記憶する災害情報記憶部を備える。
【0016】
また、本発明に係る情報収集システムにおいて、前記携帯通信端末は、操作部と、前記無線通信部により災害情報を受信した際、前記操作部により所定の操作入力があれば、当該操作入力に応じた安否情報を前記無線通信部により前記基地局へ送信させる安否情報送信部と、をさらに備え、前記情報蓄積サーバの前記災害情報記憶部は、前記基地局が前記携帯通信端末から受信した安否情報を、当該携帯通信端末の識別データと対応付けて記憶することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯通信端末において、ユーザが複雑な操作をすることなく、自動で災害情報の配信を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る情報収集システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る番組配信時刻情報を受信した携帯電話機の表示画面例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る災害情報番組を受信した携帯電話機の表示画面例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る安否情報蓄積サーバにより提供される災害者情報の画面表示例である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報収集システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本実施形態では、携帯通信端末の一例として、携帯電話機1を説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る情報収集システム100の構成を示す図である。
基地局110、BCMCS番組配信サーバ120(災害情報配信サーバ)、BCSMS配信サーバ(メッセージ配信サーバ)および安否情報蓄積サーバ140(情報蓄積サーバ)は、ネットワークを介して互いに接続されている。
【0021】
また、基地局110は、自身の通信エリア内の携帯電話機1(1aおよび1b)と無線通信を行う。具体的には、携帯電話機1は、所定以上の電界強度が得られる基地局110に対して自端末の位置登録を行い、基地局110は、位置登録が行われた携帯電話機1を通信対象とする。
【0022】
BCMCS番組配信サーバ120は、BCMCS(第1の情報配信サービス)の番組配信を管理するサーバである。BCMCS番組配信サーバ120(災害情報配信部)からの番組配信要求に応じて、基地局110は、エリア内へ報知情報(Broadcast Overhead Message、BOM)を送信する。報知情報には、所定のパラメータ(Register For Paging)があり、このパラメータに「1」が設定されている場合には、番組を受信する携帯電話機1に対して、登録メッセージ(BCMCS Flow Registration Message)の送信を要求する。
【0023】
そして、基地局110は、携帯電話機1から登録メッセージを受信したことに応じて、配信しようとしているBCMCS番組を受信する携帯電話機1の情報を知る。この登録メッセージをいずれの携帯電話機1からも受信しなかった場合には、BCMCS番組の受信を待機している携帯電話機1が存在しないと判断し、基地局110は、BCMCS番組の送信を停止することができる。
【0024】
また、携帯電話機1は、BCMCS番組の受信中に、定期的に基地局110に対して登録メッセージを送信することにより、現在BCMCS番組を受信中であることを基地局110へ通知することができる。基地局110は、一定時間、携帯電話機1からの登録メッセージを受信しなかった場合、配信中のBCMCS番組を受信している携帯電話機1が存在しないと判断し、BCMCS番組の送信を停止することができる。
【0025】
BCSMS配信サーバ130は、BCSMS(Broadcast Short Message Service、第2の情報配信サービス)のメッセージ配信を管理するサーバである。BCSMSでは、エリア内で位置登録を行った不特定多数の携帯電話機1に対して、ショートメッセージと呼ばれる限られた容量(例えば、140バイト)のメッセージを送信する。
【0026】
また、BCSMS配信サーバ130(配信時刻通知部)は、このBCSMSで配信されるショートメッセージにより、前述のBCMCS番組の配信開始時刻を含む番組配信時刻情報を通知する。これにより、予め配信時刻が定まらない災害情報番組等のBCMCS番組の配信開始時刻を、不特定多数の携帯電話機1へ通知して受信を待機させることができる。
【0027】
安否情報蓄積サーバ140(災害情報記憶部)は、前述の登録メッセージを受信した基地局110から、送信元の携帯電話機1の端末情報を取得して記憶する。また、安否情報蓄積サーバ140は、BCMCS番組を受信した携帯電話機1から、ユーザの操作入力に応じて通知される安否情報を受信し、端末情報と対応付けて記憶する。
【0028】
このように、情報収集システム100では、安否確認を行うためのBCMCS番組を災害発生地域で配信し、このBCMCS番組を受信した携帯電話機1(1aおよび1b)へ安否情報の通知を要求する。ユーザによる操作が行われた携帯電話機1aからは安否情報の通知がされ、ユーザによる操作が行われなかった携帯電話機1bからは安否情報の通知がされない。そして、この安否情報の有無が安否情報蓄積サーバ140に記憶される。
【0029】
これにより、安否情報蓄積サーバ140は、自動的に登録される携帯電話機1の端末情報、すなわち災害発生地域にある携帯電話機1(1aおよび1b)と、ユーザの操作入力に応じて登録される安否情報とを、災害者の家族等へ提供することができる。
【0030】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1(携帯通信端末)の外観斜視図である。
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0031】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0032】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0033】
図3は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。携帯電話機1は、操作部11と、表示部21と、制御部30と、通信部40(無線通信部)と、アンテナ41と、音声制御部50(報知部)と、記憶部60(番組情報記憶部)と、タイマ70(計時部)と、を備える。
【0034】
制御部30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21、通信部40、音声制御部50等に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部60を制御し、各種プログラムおよびデータの読み出し、およびデータの書き込みを行う。なお、本実施形態に係る制御部30の各機能は後述する。
【0035】
通信部40は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局110)と通信を行う。そして、通信部40は、アンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給し、また、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ41から外部装置に送信する。
【0036】
ここで、通信部40は、データ通信専用の通信プロトコルであるCDMA2000_1x_EVDOに対応している。通信部40は、制御部30からの指令に基づいて、このプロトコルにより、BCMCSの配信データ(災害情報番組)およびBCSMSの配信データ(災害情報番組の配信時刻情報通知)を受信する。
【0037】
なお、大容量の情報配信サービス(第1の情報配信サービス)の例として、CDMA2000_1xのEVDOにおけるBCMCSを例に説明を行うが、これに限定されるものではない。例えば、3GPP仕様においてUMTS用として最初にRelease6で登場したMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)、LTE(Long Term Evolution)用にRelease9で定義される予定のeMBMSであってもよい。以降、説明の簡略化のため、CDMA2000_1xのEVDOにおけるBCMCSを例に用いて説明を行う。
【0038】
音声制御部50は、制御部30の制御に従って、通信部40から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部50から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、または、レシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。
【0039】
また、音声制御部50は、制御部30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を通信部40に出力する。通信部40は、音声制御部50から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をアンテナ41より出力する。
【0040】
さらに、音声制御部50は、報知部としても機能する。具体的には、音声制御部50は、災害情報番組を受信してから操作入力がないまま所定時間が経過したことをタイマ70により検知すると、所定の音声を出力することにより、携帯電話機1の周囲へ報知を行う。すなわち、音声制御部50は、安否情報の通知に係る操作入力がされていない携帯電話機1の存在を周囲へ報知することができる。
【0041】
記憶部60は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部30による演算処理に利用される。また、本実施形態に係る各種プログラム等を記憶する。さらに、記憶部60は、災害発生時にBCMCSにより配信される災害情報番組の識別データ(例えば、周波数、チャネル、フローID等)を受信パラメータとして予め記憶しており、災害発生時にBCSMSにより通知される番組配信時刻情報を対応付けて記憶する。なお、記憶部60は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0042】
タイマ70は、携帯電話機1がBCMCSにより災害情報番組を受信したことに応じて起動されて計時を開始する。そして、タイマ70は、操作部11により操作入力を受け付けると計時を停止し、操作入力がないまま所定時間が満了するまで、時間経過を制御部30へ通知する。
【0043】
次に、制御部30の機能を詳述する。制御部30は、登録部31と、番組受信部32と、端末情報送信部33と、安否情報送信部34と、測位部35と、現在地送信部36と、を備える。
【0044】
登録部31は、災害発生後に災害発生地域の基地局110からBCSMSにより通知される番組配信時刻情報に基づいて、記憶部60に受信パラメータが記憶されている災害情報番組の配信時刻を登録する。これにより、制御部30は、災害情報番組の配信開始時刻を取得することができる。
【0045】
図4は、本実施形態に係る番組配信時刻情報を受信した携帯電話機1の表示画面例を示す図である。
この例では、災害情報番組の配信時刻情報として、開始日時および終了時刻が表示されている。これにより、携帯電話機1は、災害情報が配信されることをユーザに知らせることができ、BCMCSの受信処理を妨げるおそれのある通話等の実行を控えさせることができる。
【0046】
番組受信部32は、登録部31により登録された配信時刻が到来したことに応じて、通信部40を制御し、BCMCSにより災害情報番組の受信を行う。
【0047】
端末情報送信部33は、災害情報番組の報知情報(BOM)を受信したことに応じて、所定のパラメータ(Register For Paging)を参照し、このパラメータが「1」であることを確認すると、携帯電話機1の端末情報を含む登録メッセージを基地局110へ送信する。
【0048】
安否情報送信部34は、番組受信部32により受信した災害情報番組に基づいて、所定の操作入力に応じた安否情報を基地局110へ送信する。
【0049】
図5は、本実施形態に係る災害情報番組を受信した携帯電話機1の表示画面例を示す図である。
この例では、携帯電話機1の表示部21は、地震発生地域のユーザに対して、安否情報の通知を要求する入力フォームを表示している。
【0050】
携帯電話機1のユーザは、この入力フォームに対して、無事であるか負傷しているかの選択入力を行う。そして、安否情報送信部34は、安否情報送信ボタンの押下に応じて、この選択情報を安否情報として基地局110へ通知する。通知された安否情報は、安否情報蓄積サーバ140へ送信され、携帯電話機1の端末情報と共に記憶される。
【0051】
図6は、本実施形態に係る安否情報蓄積サーバ140により提供される災害者情報の画面表示例である。この画面は、災害者の家族や親類等が使用する通信端末からの照会に応じて、この通信端末に表示される。
【0052】
この例では、携帯電話機1の端末情報としての電話番号と、安否情報の有無とその内容(無事であるか負傷しているか)とが表示されている。ここで、携帯電話機1(図1の携帯電話機1b)から安否情報の通知がされていない場合には、安否情報が無い旨が表示されるので、携帯電話機1bのユーザが端末を操作できない程度の被害を受けている可能性を示している。
【0053】
また、安否情報蓄積サーバ140は、安否情報が無いためユーザの安全が確認できない場合には、通信端末からの探索要求を受け付けることもできる。具体的には、「GPS探索する」が選択されたことに応じて、携帯電話機1bの位置情報を取得する。
【0054】
図3に戻り、測位部35は、GPS(Global Positioning System)を用いて、携帯電話機1の現在地を取得する。なお、測位部35は、測位に必要なGPS衛星を捕捉できない場合には、位置登録を行った基地局110の所在地や受信電波の電界強度等により、現在地を算出してもよい。
【0055】
現在地送信部36は、測位部35により取得された現在地を基地局110へ送信する。この現在地情報は、安否情報蓄積サーバ140に提供され、前述の通信端末からの探索要求を受け付けたことに応じて、この通信端末へ通知される。
【0056】
図7は、本実施形態に係る情報収集システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
【0057】
ステップS1では、災害が発生する前に予め、携帯電話機1のユーザは、BCMCS番組配信サーバ120にアクセスし、災害情報BCMCS番組の受信パラメータを携帯電話機1に登録する。
【0058】
ステップS2では、地震等の災害が発生したため、BCMCS番組配信サーバ120は、災害発生地域における災害情報BCMCS番組の配信時刻を決定し、BCSMS配信サーバ130へ配信時刻の通知を要求する。
【0059】
ステップS3では、BCSMS配信サーバ130は、エリア内の携帯電話機1へ、災害情報BCMCS番組の配信時刻情報を、基地局110を介して通知する。
【0060】
ステップS4では、携帯電話機1は、ステップS1で登録した受信パラメータに対応付けて、災害情報BCMCS番組の配信時刻を登録する。
【0061】
ステップS5では、BCMCS番組配信サーバ120は、災害情報BCMCS番組の配信データを生成し、配信準備を開始する。
【0062】
ステップS6では、BCMCS番組配信サーバ120は、ステップS2で決定した災害情報BCMCS番組の配信開始時刻の前(例えば、5分前)になると、番組配信の準備を、災害発生地域を通信エリアとしている基地局110へ要求する。
【0063】
ステップS7では、基地局110は、エリア内の携帯電話機1へ、パラメータ(Register For Paging)を「1」に設定した上で、報知情報(BOM)を送信する。
【0064】
ステップS8では、携帯電話機1は、ステップS7の報知情報を受信すると、自動的に、自端末の端末情報を含む登録メッセージを、基地局110へ送信する。
【0065】
ステップS9では、基地局110は、ステップS8で受信した登録メッセージから携帯電話機1の端末情報を抽出し、この端末情報を安否情報蓄積サーバ140へ登録する処理を実行する。
【0066】
ステップS10では、基地局110は、ステップS9の登録処理において、携帯電話機1の端末情報を安否情報蓄積サーバ140へ送信する。安否情報蓄積サーバ140は、この端末情報(例えば、電話番号)を記憶することにより、災害発生地域の基地局110配下にある携帯電話機1の情報を蓄積することができる。
【0067】
ステップS11では、BCMCS番組配信サーバ120は、基地局110を介して、災害情報BCMCS番組を、災害発生地域の携帯電話機1へ配信する。
【0068】
ステップS12では、携帯電話機1は、災害情報BCMCS番組の受信を開始すると、タイマ70を起動して計時を開始する。
【0069】
ステップS13では、携帯電話機1は、受信した災害情報BCMCS番組に基づいて、ユーザが無事であるか否かの安否情報の入力をユーザに促し、ユーザが携帯電話機1を操作可能であるか否かを判定する。ユーザが携帯電話機1を操作可能である場合(YESの場合)には、ステップS14により、安否情報が携帯電話機1に入力される。
【0070】
ステップS15では、携帯電話機1は、ステップS14の安否情報の入力を受け付けたことに応じて、タイマ70を停止させる。
【0071】
ステップS16では、携帯電話機1は、ステップS14で受け付けた安否情報を基地局110へ通知する。
【0072】
一方、ステップS13において、ユーザが携帯電話機1を操作できなかった場合、ステップS17では、安否情報の入力がないままタイマ70が満了したか否かを判定する。この判定がYESの場合は、携帯電話機1は、ステップS18において、音声制御部50によりアラームを鳴動させ、周囲へ携帯電話機1の場所を報知する。なお、このアラームは、携帯電話機1のユーザへ安否情報の入力を促すための報知手段としても機能する。この場合の報知手段はアラーム鳴動には限らず、バイブレーションやLEDの発光等、種々のものであってよい。
【0073】
ステップS19では、基地局110は、携帯電話機1から安否情報の通知を受信したか否かを判定する。この判定がYESの場合は、基地局110は、ステップS20において、安否情報を安否情報蓄積サーバ140へ登録する。
【0074】
本実施形態によれば、携帯電話機1は、BCSMSにより番組配信時刻を自動で登録するので、ユーザが操作することなく、自動でBCMCSにより災害情報番組の配信を受けることができる。また、携帯電話機1は、この災害情報番組の報知情報を受信したことに応じて、自動で登録メッセージを送信するので、安否情報蓄積サーバ140において、災害発生地域にいるユーザの情報を収集することができる。
【0075】
さらに、携帯電話機1は、配信された災害情報番組に基づいて、ユーザからの安否情報入力を受け付けるので、ユーザが携帯電話機1を操作できる場合には、入力された安否情報を安否情報蓄積サーバ140が収集することができる。また、ユーザが負傷等のため携帯電話機1を操作できない場合には、安否情報が入力されていないことが安否情報蓄積サーバ140において把握できるので、このユーザを救急の対象として迅速に対応できる可能性がある。
【0076】
また、携帯電話機1は、安否情報の入力がないまま所定の時間が経過した場合に、アラームの鳴動により報知を行うので、ユーザが負傷等のため携帯電話機1を操作できない場合に、周囲へ居場所を知らせることができる。
【0077】
また、安否情報蓄積サーバ140は、携帯電話機1による測位結果を受信するので、災害発生地域において安否情報が入力されていないユーザの居場所を特定するための補助になり得る。
【0078】
なお、災害情報番組の識別データや配信時刻情報は、災害が明らかに去った、あるいは誤報であった場合に、ネットワーク側からBCSMSでの情報削除を指示し、再度BCSMSにより配信情報の停止が通知されると消去される。また、個人的に安全が確保でき、安全を一通りの知人に伝え終わった場合には、ユーザ自身の操作入力により、災害情報番組の自動受信を解除する設定が行なわれると災害情報番組の識別データや配信時刻情報が消去されてもよい。このように、少ない手数で災害情報番組の受信に必要な情報を削除することにより、不必要な配信情報の受信に電力消費が生じてしまうことを防止できる。
【0079】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。また、前述の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、前述のものに限定されない。
【0080】
例えば、前述の実施形態において、携帯通信端末として携帯電話機1について説明しているが、携帯通信端末はこれに限定されず、本発明は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の様々な携帯通信端末に適用可能である。
【0081】
また、前述の実施形態において、携帯電話機1は、ヒンジ機構4により折り畳み可能な型式としたが、これには限られない。携帯電話機1は、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが1つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉および回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1、1a、1b 携帯電話機(携帯通信端末)
11 操作部
21 表示部
30 制御部
31 登録部
32 番組受信部
33 端末情報送信部
34 安否情報送信部
35 測位部
36 現在地送信部
40 通信部(無線通信部)
50 音声制御部(報知部)
60 記憶部(番組情報記憶部)
70 タイマ(計時部)
100 情報収集システム
110 基地局
120 BCMCS番組配信サーバ(災害情報配信サーバ、災害情報配信部)
130 BCSMS配信サーバ(メッセージ配信サーバ、配信時刻通知部)
140 安否情報蓄積サーバ(情報蓄積サーバ、災害情報記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークに接続可能な無線通信部と、
災害発生時に第1の情報配信サービスにより配信される災害情報の受信パラメータを予め記憶する番組情報記憶部と、
前記無線通信部にて、前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行う第2の情報配信サービスにより通知される配信時刻情報を受信すると、当該配信時刻情報に基づいて、前記番組情報記憶部に前記受信パラメータが記憶されている災害情報の配信時刻を登録する登録部と、
前記登録部により登録された配信時刻が到来したことに応じて、前記災害情報の受信を前記無線通信部にて行わせる番組受信部と、を備える携帯通信端末。
【請求項2】
前記第1の情報配信サービスは、特定の配信時刻に特定チャネルにて配信されるサービスであり、前記第2の情報配信サービスは、不特定時刻に前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行うサービスであることを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記第1の情報配信サービスは、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCS(Broadcast Multicast Service)であり、前記第2の情報配信サービスは、前記CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCSMS(Broadcast Short Message Service)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記無線通信部により前記災害情報を受信する際、前記災害情報に対応する報知情報を受信したことに応じて、端末情報を含む登録メッセージを前記無線通信部に送信させる端末情報送信部をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記登録メッセージは、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCSにより提供される報知情報(Broadcast Overhead Message)において、所定のパラメータ(Register For Paging)が設定されていることに応じて送信されるメッセージ(BCMCS Flow Registration Message)であることを特徴とする請求項4に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
操作部と、
前記無線通信部により災害情報を受信した際、前記操作部により所定の操作入力があれば、当該操作入力に応じた安否情報を前記無線通信部に送信させる安否情報送信部と、をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記災害情報を受信したことに応じて計時を開始する計時部と、
前記計時部により所定時間の経過が検知されたことに応じて周囲へ報知する報知部と、をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項8】
現在地を取得する測位部と、
前記測位部により取得された現在地を前記無線通信部により送信させる現在地送信部と、をさらに備える請求項1から請求項7のいずれかに記載の携帯通信端末。
【請求項9】
携帯通信端末、災害情報配信サーバ、メッセージ配信サーバ、基地局および情報蓄積サーバを備え、災害発生地域にある前記携帯通信端末の利用ユーザに関する情報を収集する情報収集システムであって、
前記携帯通信端末は、
無線ネットワークに接続可能な無線通信部と、
災害発生時に第1の情報配信サービスにより配信される災害情報の受信パラメータを予め記憶する番組情報記憶部と、
前記無線通信部にて、前記第1の情報配信サービスよりも小容量のデータ配信を行う第2の情報配信サービスにより通知される配信時刻情報を受信すると、当該配信時刻情報に基づいて、前記番組情報記憶部に前記受信パラメータが記憶されている災害情報の配信時刻を登録する登録部と、
前記登録部により登録された配信時刻が到来したことに応じて、前記災害情報の受信を前記無線通信部にて行わせる番組受信部と、
前記無線通信部により前記災害情報を受信する際、前記災害情報に対応する報知情報を受信したことに応じて、端末情報を含む登録メッセージを前記無線通信部により前記基地局へ送信させる端末情報送信部と、を備え、
前記災害情報配信サーバは、
災害発生時に前記災害情報および当該災害情報の報知情報を、当該災害発生地域の基地局を介して配信する災害情報配信部を備え、
前記メッセージ配信サーバは、
前記災害情報の配信時刻情報を、前記基地局を介して通知する配信時刻通知部を備え、
前記情報蓄積サーバは、
前記基地局が前記携帯通信端末から受信した登録メッセージに基づいて、当該携帯通信端末の識別データを記憶する災害情報記憶部を備える情報収集システム。
【請求項10】
前記携帯通信端末は、
操作部と、
前記無線通信部により災害情報を受信した際、前記操作部により所定の操作入力があれば、当該操作入力に応じた安否情報を前記無線通信部により前記基地局へ送信させる安否情報送信部と、をさらに備え、
前記情報蓄積サーバの前記災害情報記憶部は、前記基地局が前記携帯通信端末から受信した安否情報を、当該携帯通信端末の識別データと対応付けて記憶することを特徴とする請求項9に記載の情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−71941(P2011−71941A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223547(P2009−223547)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】