説明

携帯通信端末

【課題】 使用者が設定する称呼で場所名を登録し、使用者およびその関係者には直感的で分かり易い場所名で位置情報を送信可能とすること。
【解決手段】 使用者が所望し設定する場所名を、その場所の位置情報に関連付けて携帯通信端末100の場所情報記憶エリア150に登録記憶しておき、現在の位置情報が位置特定部124で検出して特定されると、特定された前記現在の位置情報と場所情報記憶エリア150の記憶内容とを場所選択部151で比較し、使用者が設定した場所名が選択されると、選択された場所名を組み込んだ送信電文を送信メール電文組立部110で自動的に作成し、作成された送信電文を送信部115から送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が自己の居る場所を送信して通知する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯電話などの携帯通信端末に予め、メールの送信先と、メール送信文章の雛形を記憶しておき、ひったくり等緊急事態が発生した場合に記憶している送信先に作成したメールを送信するようなものがある(例えば、特許文献1参照)。ただし、この特許文献1における位置情報は緯度・経度である。
【0003】
位置情報が緯度・経度の生情報である場合、一般人にとっては分かりにくいものであるから従来技術としては、緯度・経度などの位置情報を地名や住所に変換ないし翻訳して利用者に提供するものがある(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4,特許文献5および特許文献6参照)。
【0004】
特許文献2は、幼稚園バスの運行管理を行うもので、幼稚園バスがバス停に到着するとバス停の名称を含む情報が保護者に電子メールで知らされる。このバス停の名称を含む運行経路情報は、システムの中央側に設置される管理センターからバスに搭載されるバス用端末装置にダウンロードされて記憶されている。
【0005】
特許文献3や特許文献4に記載の危機通知システムにあっては、体調不良の人が発生した場合の危機通報をするにあたって、システムの中央側に設けられた管理中継局交換機で緯度・経度による位置情報を具体的住所に翻訳し音声で知らせる。
【0006】
特許文献5では、利用者の携帯電話にて検出された位置情報に対応する地名情報をシステム中央側に設けられた簡易位置確認支援装置で地図情報も含めて抽出できるが、土地勘のある利用者には地図情報を含まない地名の情報(場所名)のみを利用者の携帯電話に送信し表示させることにより位置情報の迅速表示と地図情報を送らないことによる送信手数料の低額化を図っている。
【0007】
さらに特許文献6記載の携帯通信端末はセルラー方式の携帯電話機であり、GPS(Global Positioning System)による正確な情報が必要で無い場合には、セルラー方式の基地局の基地局情報に対応したエリア名称を表す文字を通知するようになっている。
【特許文献1】特開2003―110752号公報
【特許文献2】特開2004―157607号公報(第1図)
【特許文献3】特開平11―88546号公報(第9頁、第1図)
【特許文献4】特開2000―224334号公報(第8頁、第2図)
【特許文献5】特開2003−315083号公報(第10頁、第1図)
【特許文献6】特開平11―331915号公報(第7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2ないし特許文献6記載の従来技術では、中央側に大容量のサーバーまたはインフラを設置して、相当狭い領域まで地名や住所名まで位置情報が絞り込むことができたとしても、それは一般的な地名や住所の情報に止まり、携帯通信端末の使用者にとって必ずしも直感的に理解し易いとは言えない。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、使用者が所望する称呼を場所名として登録可能とし、使用者およびその関係者には直感的で分かり易い場所名で位置情報を送信可能とした携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、本発明の携帯通信端末は、使用者が設定した場所名を、その場所の位置に関連付けて記憶するための場所名記憶手段と、自局の現在の位置を特定する位置特定手段と、特定された前記現在の位置と場所名記憶手段の記憶内容とを比較し、現在の位置に対応する場所名を選択する場所名選択手段と、選択された場所名を含む送信電文を作成する送信電文作成手段と、作成された送信電文を送信するメール送信手段とを具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者が所望する称呼を場所名として登録し、使用者およびその関係者には直感的で分かり易い場所名で位置情報を送信可能とした携帯通信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における携帯通信端末100の構成を示すブロック図である。携帯通信端末100は携帯電話など一般利用者が使用するものである。図1において、携帯通信端末100は、制御回路101、表示制御部102、表示部103、キー入力制御部104、入力キー105、メール電文送信制御部109、送信メール電文組立部110、アンテナ113、受信部114、送信部115、記憶部116、場所選択部151、および位置特定部124を具備している。
【0014】
位置特定部124は具体的には例えばGPS(Global Positioning System)を利用するもの、基地局の位置情報を利用するもの、基地局からの電波の到達時間差を利用するもの、Bluetoothを利用するもの、ワイヤレスLANを利用するもの、RFIDや位置タグを利用するもの等をあげることができるが、これらに限定されるわけではない。自局の現在の位置を、利用者が選定する精度で、特定できるものであればよい。
【0015】
記憶部116は、メール電文送信バッファ117、メール電文編集エリア118、メール雛形電文記憶エリア119、メール送信先記憶エリア120、メール送信リトライ回数記憶エリア121、場所情報記憶エリア150が確保されている。場所情報記憶エリア150には、場所名、緯度・経度、有効範囲(例えば有効距離や有効緯度・経度差)等の場所の情報を少なくとも1組以上関連づけて記憶するエリアが確保されている。このうち有効範囲は省略することは可能である。また場所の情報として他の情報を含めてもよい。
【0016】
なお、場所の情報は携帯通信端末の使用者個人がほとんど行く可能性のないような場所も含めた一般的な地名や住所と関連付けた大量のデータを網羅的に記憶するのではなく、基本的に使用者個人が日常生活でよく行く場所に限定してその場所の場所名と関連付けて記憶する。これによって、データ容量が少なくなり、携帯通信端末100内に場所情報記憶エリア150を設けることが容易になる。
【0017】
次に、携帯通信端末100を使用してあらかじめいくつかの場所名に関する情報を記憶しておく手順について説明する。まずあらかじめ1箇所以上の場所の場所名と緯度・経度を記憶する。場所を記憶する手順は携帯通信端末の使用者個人のよく行く場所で行うのが原則である。
【0018】
この手順を図2のフロー図で示す。使用者は、携帯通信端末100を起動して、まず位置特定部124から記憶する場所の緯度・経度の情報を取得する(ステップS201)。次に使用者は、入力キー105から場所名を入力し(ステップS202)、さらに入力キー105から有効範囲を入力する(ステップS203)。このような使用者の一連の操作に応じて制御回路101は、緯度・経度、場所名、有効範囲の場所情報を関連付けて場所情報記憶エリア150に書き込んで記憶する(ステップS204)。
【0019】
記憶する場所名の例としては一般的な地名や住所も含まれてもよいが、前述したように、携帯通信端末の使用者個人が日常生活でよく行く場所の名称であることが原則である。従ってこの場合の場所名としては、「会社」、「自宅」、「実家」など使用者が日常生活で称呼して使っている名称とされる場合も多く含まれる。このような「会社」、「自宅」、「実家」などと言う称呼は、特定の位置を表すものとしては一般的なものではないが携帯通信端末の使用者個人にとって理解しやすい場所である。すなわち、使用者および使用者がメールを送信する関係者にとって馴染みやすい、使用者が通常生活で使用する称呼が場所名として登録される。
【0020】
有効範囲の記憶は、後で現在地通知メールを送信するときに場所名の示す場所が現在の場所からある一定距離以内である場合に限るために行う。また、この前提として、使用者は場所名を一定の広さをもって認識していることが多く、場所名を点のみではなく有効範囲とも関連づけて記憶するほうが好ましいためでもある。例えば駅周辺や街を散策する場合は場所名を一定の広さをもって認識していると言える。そのため有効範囲は場所名の示す場所の範囲の広さまたはGPSの精度を考慮して場所ごとに設定しておくと便利である。例えば、「自宅」の場合は100m程度と狭く、「○○ビル」または「○○駅」の場合には500m程度と中程度に、「渋谷」または「横浜」の場合には1km〜2km程度と広く設定する。ただし有効範囲を場所ごとに設定する手間を省きたい場合にはデフォルト値を一括して設定しておくことも可能である。
【0021】
次に使用者が現在地通知メールを送信するため、送信先を記憶させる手順について、図3のフロー図を用いて説明する。使用者が入力キー105からメール送信先を入力すると(ステップS301)、これを受けて制御回路101は、メール送信先をメール送信先記憶エリア120に記憶させる(ステップS302)。本発明の実施の態様に係る場合のメール送信先の例として、使用者が既婚者の場合は配偶者、使用者が子供の場合は保護者、使用者が年配者の場合は同居の親族など、携帯通信端末100の使用者が日常生活で使う場所名の称呼から直感的に場所を直感することができる人々、すなわちいわば関係者が考えられる。このようにメール送信先は特定の相手で済む場合が多いので、個人的な利用である限りメモリ容量が負担となることはない。
【0022】
さらに使用者は、必要に応じてメール雛形電文の記憶を行う。このメール雛形電文の記憶について、図4のフロー図を用いて説明する。使用者は、入力キー105からメール雛形電文を入力し(ステップS401)、これを受けて制御回路101は、メール雛形電文をメール雛形電文記憶エリア119に記憶させる(ステップS402)。メール雛形電文の例としては例えば、「いま<場所名>です。これから帰ります。」または「いま<場所名>です。これから参ります。」のような文が考えられる。ただしこの設定の手間を省きたい人のためにはデフォルトで例えば「いま<場所名>です。」のようなメール雛形電文を記憶しておいてもよい。
【0023】
これらの設定をあらかじめ行ったうえで、携帯通信端末100を使用して場所名通知メールを送信する手順について図5、図6のフロー図を参照しながら説明する。場所名通知メールの送信は、あらかじめ決められたキー操作をトリガーとして開始される。キー操作の例としては「メールキー→メールキー→実行」、または「メールボタン長押し」などの簡単なキー操作が考えられる。このように使用者が1回トリガーを与えることで手順を開始から場所名を通知するメールの送信まで全て自動で行うのでキー操作を少なくすることができる。また、使用者がトリガーを与えることによって、不必要なメールが送信されることを防止できる。
【0024】
このような使用者の操作によりこの手順が開始されると、制御回路101は、まず位置特定部124から現在の緯度・経度の情報を取得する(ステップS501)。次に場所選択部151は、現在の緯度・経度と場所情報記憶エリア150にあらかじめ記憶しておいた場所の緯度・経度を比較して、あらかじめ記憶しておいた場所の中から有効範囲内でかつ現在の緯度・経度に最も近い場所を選択する(ステップS502)。
【0025】
場所を選択できなかった場合(ステップS503:NO)、場所選択部151は、制御回路101に、場所を選択できなかったことを通知する(ステップS504)。これに伴い制御回路101は、エラー表示を表示制御部102に依頼し、表示部103に例えば「該当なし」というエラーメッセージが表示させる(ステップS505)。すなわち、現在の緯度・経度があらかじめ記憶しておいた全ての場所の緯度・経度の有効範囲からはずれている場合にはこのようなエラーメッセージが表示される。
【0026】
この様なエラーメッセージが表示されたことは、携帯通信端末100の使用者が場所名の1回トリガーによる自動送信を期待したが、不成功に終わったことを意味する。この場合今後再度使用者がその場所から前述の1回トリガーによるメール自動送信を試みることも予想され、加えて現在の緯度・経度の情報は取得済みであるから、場所名の登録を催促するメッセージを表示部103に表示して、使用者がこの催促を受け入れた場合には、以下図2のステップS202ないしS204と同様の処理を行い、緯度・経度、場所名、有効範囲の場所情報を関連付けて場所情報記憶エリア150に書き込んで登録記憶することもできる(ステップS506)。このように使用者がこの場所名を逐次追加していけば使用者にとって使い勝手の良い様に携帯通信端末を、いわばカスタマイズしていくことができる。
【0027】
他方場所名が既に登録されていて、場所を選択できた場合(ステップS503:YES)、制御回路101は、メール雛形電文をメール雛形電文記憶エリア119から取り出しメール電文編集エリア118へ転送し(ステップS507)、メール電文編集エリア118でメール雛形電文の<場所名>の部分を選択した場所名に置換する(ステップS508)。
【0028】
メール送信先がメール送信先記憶エリア120内に記憶されていない場合(ステップS509:NO)、メール電文送信制御部109は、制御回路101にメール送信先が記憶されていないことを通知する(ステップS510)。制御回路101は、エラー表示を表示制御部102に依頼し(ステップS511)、表示部103にエラーメッセージが表示させる(ステップS512)。
【0029】
メール送信先がメール送信先記憶エリア120内に記憶されている場合(ステップS509:YES)、制御回路101は、メール送信先をメール電文編集エリア118へ転送し送信電文の組立を依頼し(ステップS513)、メール電文編集エリア118の送信電文をメール送信バッファ117へ転送し(ステップS514)、メール電文送信制御部109に制御を渡す(ステップS515)。
【0030】
メール電文送信制御部109は、制御回路101にメール送信を依頼し(ステップS516)、制御回路101は送信部115を通してメール送信を行う(ステップS517)。
【0031】
メールの送信が正常に完了した場合(ステップS518:YES)、送信部115は制御回路101にメール送信が完了したことを通知する(ステップS519)。制御回路101は、送信完了の表示を表示制御部102に依頼し(ステップS520)、表示部103に送信完了のメッセージが表示される(ステップS521)。
【0032】
メールの送信が正常に完了しなかった場合(ステップS518:NO)、リトライ回数分繰り返したかどうかの判定をし(ステップS522)、リトライ回数分繰り返していない場合は、メール電文送信制御部109は再度制御回路101にメール送信を依頼し(ステップS516)、同じ手順を繰り返す。リトライ回数分繰り返した場合は、制御回路101にメール送信が失敗したことを通知する(ステップS523)。制御回路101は、送信失敗の表示を表示制御部102に依頼し(ステップS524)、表示部103に送信失敗のメッセージが表示される(ステップS525)。
【0033】
なお、メール送信先がメール送信先記憶エリア120内に記憶されていない場合に、エラーメッセージを表示させて終了せずに、送信先の入力を促し、送信先が入力された場合には場所名を通知するメールを送信することも可能である。
【0034】
以上のように本発明の携帯通信端末の場所の場所名は一般的な地名や住所の大量のデータを網羅的に記憶するのではなく、携帯通信端末100の使用者がよく行く場所の名称などの場所名を、使用者が日常生活で使用する称呼で記憶するので、データ量を少なくすることができ、その結果携帯通信端末の外の特別なインフラを使用せずに済み、さらにその結果コストや通信の負荷を軽減することができる。このような携帯通信端末は気軽に日常的なコミュニケーションに利用することができる。また場所情報は緯度・経度や一般的な地名や住所ではなくあらかじめ記憶しておいた場所名に変換されるので、使用者ならびに送信を受ける関係者にとっても使用者の現在の居場所を直感的に理解しやすくなる。
【0035】
このように使用者が日常生活で使用する称呼で場所名を順次登録し場所名などの情報を強化することで、携帯通信端末の使用者個々向けのカスタマイズを促進することができる。例えば、先に述べた図5のステップS504ないしS506の様に場所名が未登録であることが判明した機会を利用して場所名などの情報を追加登録することで、使用者は、自己の携帯電話を逐次使い勝手の良い携帯電話に仕上げることができる。
【0036】
さらに送信先を入力する場合以外は使用者が1回トリガーを与えるだけでメール送信まで行うことができるので、キー操作を少なくすることができる。
【0037】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1を基礎に発展させたものである。すなわち、実施の形態1の使用者が1回トリガーを与えることでメールを自動的に送信させるものであったのに対し、実施の形態2では、使用者が所定の時刻あるいは時間帯を予め設定しておくと、実施の形態1における1回トリガーをしなくても、設定された時刻あるいは時間帯にメールが自動送信されるものである。また、使用者がトリガーを与える代わりに、時間帯を予め設定しておくことで不必要なメールが送信されることを防止するものである。以下実施の形態2について図7のブロック図と図8,図9および図10のフロー図を用いて説明する。
【0038】
なお、本実施の形態では、本発明の実施の形態1のブロック図(図1)、フロー図(図5、図6)と共通する部分については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0039】
図7は本発明の実施の形態2における携帯通信端末700の構成を示すブロック図である。図7において752は自動送信制御部、756は時計機構を含み、時刻を計時する時刻測定部である。この時刻測定部756では、日付、曜日も含めて時刻が計時される。
【0040】
記憶部716には、メール電文送信バッファ117、メール電文編集エリア118、メール雛形電文記憶エリア719、メール送信先記憶エリア720、メール送信リトライ回数記憶エリア721、場所情報記憶エリア750に加えて、さらにメール送信時間記憶エリア754、メール最終送信時間記憶エリア755、自動送信設定記憶エリア757が確保されている。
【0041】
場所情報記憶エリア750は場所名、緯度・経度、有効範囲のほかに基地局情報を関連づけて記憶する。基地局情報の記憶は省略することもできるが、あらかじめ場所の場所名と緯度・経度を記憶するのに加えて基地局情報を記憶しておくと自動送信手順の実行時にGPS等の位置特定手段の起動回数を減らすことができる。GPS等の起動回数を減らすことによって電池の消耗を抑えることができる点で有利である。
【0042】
メール送信時間記憶エリア754は、自動送信する時刻または時間帯の情報を複数記憶する。また、メール最終送信時間記憶エリア755は、メールが自動送信された時刻または時間帯を複数記憶する。
【0043】
自動送信設定記憶エリア757は、現在地送信場所およびメール送信時刻のどのような組み合わせで自動送信するかが使用者により設定されるとその設定内容を記憶する。この自動送信の設定は、複数設定が可能なように、自動送信設定記憶エリア757には複数の記憶エリアが設けられている。
【0044】
このようにメール雛形電文記憶エリア719、メール送信先記憶エリア720、メール送信リトライ回数記憶エリア721、場所情報記憶エリア750、メール送信時間記憶エリア754、メール最終送信時間記憶エリア755および自動送信設定記憶エリア757には自動送信に必要な情報が、少なくとも1組以上場所名と時間に関連づけて設定できる。
【0045】
以下ではあらかじめ自動送信の設定をひとつ行った場合の、携帯通信端末700を使用した現在地通知メールを自動送信する手順を図7から図10を参照しながら説明する。
【0046】
まず、自動送信制御部752が自動送信設定記憶エリア757から自動送信設定を取り出し(ステップS801)、自動送信をする設定になっていない場合(ステップS802:NO)は処理を終了し、自動送信をする設定になっている場合には処理を続ける(ステップS802:YES)。
【0047】
次に時刻測定部756から現在の時刻の情報を取得し(ステップS807)、メール送信時間記憶エリア754から予め記憶しておいたメール送信時刻を取り出す(ステップS808)。現在の時刻が、記憶されたメール送信時刻の有効範囲外の場合(ステップS809:NO)は処理を終了し、メール送信時刻の有効範囲内の場合は処理を続ける(ステップS809:YES)。
【0048】
次に現在の基地局情報を取得し(ステップS810)、場所情報記憶エリア750からあらかじめ記憶しておいた基地局情報を取り出す(ステップS811)。現在の基地局情報があらかじめ記憶しておいた基地局情報と異なる場合(ステップS812:NO)は処理を終了し、同じ場合は処理を続ける(ステップS812:YES)。なおこのような基地局情報の比較は必ずしも必要ないが、緯度・経度の比較をする前に基地局情報の比較をすることで、GPS等の位置特定手段の起動回数を減らし、携帯通信端末700の電池の消耗を抑えることができる。
【0049】
次に位置特定部124から現在の緯度・経度を取得し(ステップS813)、場所情報記憶エリア750からあらかじめ記憶しておいた緯度・経度と有効範囲を取り出す(ステップS814)。現在の緯度・経度があらかじめ記憶しておいた緯度・経度と有効範囲内でない場合(ステップS815:NO)は処理を終了し、有効範囲内である場合は処理を続ける(ステップS815:YES)。
【0050】
この様に使用者の現在の位置が有効範囲内と確認されると実施の形態1の場合と同様メールを自動送信する処理に制御回路101の制御は移る。以下、この制御処理については、図9、図10のフロー図を用いて説明する。なお、この図9、図10のフロー図においては、S500番台の参照符号を一部で用いている。このS500番台で示されるブロックでの処理は、実施の形態1における図5、図6のフローチャートで同一の参照符号で示される処理と同一である。
【0051】
すなわち、次にメール雛形電文をメール雛形電文記憶エリア719から取り出しメール電文編集エリア118へ転送し(ステップS507)、メール電文編集エリア118でメール雛形電文の<場所名>の部分を場所情報記憶エリアの場所名に置換する(ステップS508)。
【0052】
この後の途中S509からS518は実施の形態1と同様の手順を行う。すなわち、この時刻に必要な内容でメールの自動送信がなされ、このメールの送信が正常に完了した場合には、送信部115は制御回路101にメール送信が完了したことを通知する(ステップS519)。
【0053】
次に制御回路101は、時刻測定部756を介して、現在の時刻の情報を取得し(ステップS820)、メール最終送信時間記憶エリア755のメール最終送信時間を更新する(ステップS821)。この更新によって、その時刻あるいは時間帯でのメールの自動送信処理が完了したことを制御回路101は登録する。
【0054】
さらに送信完了の表示を表示制御部102に依頼し(ステップS520)、表示部103に送信完了のメッセージが表示される(ステップS521)。メールの送信が正常に完了しなかった場合には、実施の形態1と同様で、リトライ回数分繰り返したかどうかの判定をし(ステップS522)、リトライ回数分繰り返していない場合は、メール電文送信制御部109は再度制御回路101にメール送信を依頼し(ステップS516)、同じ手順を繰り返す。リトライ回数分繰り返した場合は、制御回路101にメール送信が失敗したことを通知し(ステップS523)、送信失敗の表示を表示制御部102に依頼し(ステップS524)、表示部103に送信失敗のメッセージが表示される(ステップS525)。
【0055】
以上ではひとつの自動送信の設定をあらかじめ行った場合について説明したが、複数の自動送信の設定を行った場合には、制御回路101は該当する時刻あるいは時間帯になったときに同様な手順を設定数回行う。
【0056】
このように本実施の形態2によれば、実施の形態1で説明した効果に加えて、さらに場所情報記憶エリア750とメール送信時間記憶エリア754と自動送信設定記憶エリア757などを利用してあらかじめ自動送信の設定を記憶しておくことで使用者がトリガーを与えなくても場所と時間から携帯通信端末が判断を行って自動的にトリガーをかけてメール送信まで行うのでキー操作の必要すらなくなる。
【0057】
なお、本実施の形態2では場所の情報とメール送信時間の情報と自動送信設定の情報などから携帯通信端末が判断を行って自動的にトリガーをかける例を挙げたが、メール送信時間の情報には時刻または時間帯のほか、日付、曜日も含めてもよい。また、ひとつの設定で1日に1回しか自動的にトリガーをかけられなくしてもよいし、1日に何回でも自動的にトリガーをかけられるようにしてもよい。さらに設定した場所に一定の時間以上とどまった場合に自動的にトリガーをかけるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明では場所名を送信するにあたって、携帯通信端末とインフラとの間の特別な通信が発生しないので通信の負荷を軽減することができ、かつ利用者が所望する場所名を含んで自動送信するので携帯電話などの使い勝手の向上に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯通信端末の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における場所情報記憶の手順を示すフロー図
【図3】本発明の実施の形態1における現在地通知メール送信先記憶の手順を示すフロー図
【図4】本発明の実施の形態1における現在地通知メール雛形電文記憶の手順を示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態1における現在地通知メール送信手順を示すフロー図
【図6】本発明の実施の形態1における現在地通知メール送信手順を示すフロー図
【図7】本発明の実施の形態2における携帯通信端末の構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2における自動送信手順を示すフロー図
【図9】本発明の実施の形態2における自動送信手順を示すフロー図
【図10】本発明の実施の形態2における自動送信手順を示すフロー図
【符号の説明】
【0060】
100、700 携帯通信端末
101 制御回路(演算回路)
102 表示制御部
103 表示部
104 キー入力制御部
105 入力キー
109 メール電文送信制御部
110 送信メール電文組立部
113 アンテナ
114 受信部
115 送信部
116、716 記憶部
117 メール電文送信バッファ
118 メール電文編集エリア
119、719 メール雛形電文記憶エリア
120、720 メール送信先記憶エリア
121、721 メール送信リトライ回数記憶エリア
124 位置特定部
150、750 場所情報記憶エリア
151 場所選択部
752 自動送信制御部
754 メール送信時間記憶エリア
755 メール最終送信時間記憶エリア
756 時刻測定部
757 自動送信設定記憶エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が設定した場所名を、その場所の位置に関連付けて記憶する場所名記憶手段と、
自局の現在の位置を特定する位置特定手段と、
特定された前記現在の位置と場所名記憶手段の記憶内容とを比較し、前記現在の位置に対応する場所名を選択する場所名選択手段と、
選択された場所名を含む送信電文を作成する送信電文作成手段と、
作成された送信電文を送信するメール送信手段と
を具備することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記場所名記憶手段は、前記場所名が示す場所の位置の有効範囲を記憶し、前記場所名選択手段は、前記現在の位置が前記有効範囲内にあるとき前記場所名を選択することを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記現在の位置が前記有効範囲にないときに、前記使用者に場所名の設定を誘導する表示を表示手段に表示させる場所名設定誘導手段を具備することを請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記メール送信手段は、使用者の1回の自動送信トリガー操作によって場所名を含む前記送信電文をメール送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯通信端末。
【請求項5】
時計機構を含み、時刻を計時する時刻測定手段と、
メールを送信すべき時刻を記憶するメール送信時間記憶手段と
を有し、
前記場所名選択手段で前記場所名が選択され、かつ前記時刻測定手段が出力する現在の時刻が、前記メール送信時間記憶手段に予め記憶していた時刻であるとき、前記メール送信手段は、送信電文を送信するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−191374(P2006−191374A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1562(P2005−1562)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】