説明

携帯電子機器

【課題】第三者に、自身が無断で撮影されているという不快感を与えることを防止することができるとともに、撮影時に簡易的に照明効果を加えることができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話装置1は、第2撮影窓312に対応して表示部側筐体部3の内部に配置される第2カメラ部311と、第2撮影窓312に対向して表示部側筐体部3に配置される第2電子ペーパー部313と、第2電子ペーパー部313の動作を制御する制御部70と、を備える。また、制御部70は、第2カメラ部311が駆動している場合の第2電子ペーパー部313での透過率が、第2カメラ部311が駆動していない場合の第2電子ペーパー部313での透過率よりも高くなるように第2電子ペーパー部313を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー部を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラを備えた携帯電話等の携帯電子機器が広く普及しつつある。このような携帯電子機器において、ユーザは、カメラを駆動させることにより、手軽に撮影を行うことができる。
【0003】
また、このような携帯電子機器では、カメラ以外に、複数のアプリケーションを実行する機能を備えている場合が多い。このように携帯電子機器がカメラ以外に複数のアプリケーションを実行する機能を備えている場合、この携帯電子機器のユーザがカメラを駆動させているか、他のアプリケーションを実行させているかについて、第三者が判断することは困難である。このため、この携帯電子機器のカメラが第三者に向いている場合、携帯電子機器のユーザがカメラを駆動させていない場合であっても、この第三者に、自身が無断で撮影されているという不快感を与えてしまうおそれがある。
【0004】
このような問題に対応するために、例えば、スライド可能な遮蔽部材を筐体に設け、この遮蔽部材を手動でスライドさせることにより、カメラを遮蔽する方法(例えば、特許文献1参照)や、携帯端末にLEDを設け、カメラが駆動している場合に、LEDを発光させたり点滅させたりして、撮影していることを第三者に周知させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−309003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遮蔽部材を手動でスライドさせてカメラを遮蔽する方法は、カメラを駆動させることに応じて、遮蔽部材を手動でスライドさせるので、携帯端末の意匠が悪化又は制約されるとともに、ユーザの操作が煩雑になってしまう。また、カメラが駆動している場合に、LEDを発光させる方法は、撮影時にLEDを発光させないように制御する等、制御が複雑になってしまい、携帯端末のコスト増につながってしまう。また、LEDを発光させる方法は、LEDを発光させるため、電力を消費してしまう。
【0007】
また、遮蔽部材を手動でスライドさせてカメラを遮蔽する方法では、例えば、カメラで撮影を行う際に、写真に対して色補正等の照明効果を加えたい場合、ソフト的に画像の色補正等の制御を行う必要があり、制御が煩雑になってしまう。
【0008】
本発明は、第三者に、自身が無断で撮影されているという不快感を与えることを防止することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、撮影時に簡易的に照明効果を加えることができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯電子機器は、撮影窓を有する筐体と、前記撮影窓に対応して前記筐体の内部に配置されるカメラ部と、前記撮影窓に対向して前記筐体に配置される電子ペーパー部と、前記電子ペーパー部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記電子ペーパー部を制御する。
【0010】
また、本発明の携帯電子機器は、前記筐体に発光部と、前記発光部に対向して前記筐体に配置される発光部用電子ペーパー部と、を更に備え、前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記発光部用電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記発光部用電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記発光部用電子ペーパー部を制御することが好ましい。
【0011】
また、前記電子ペーパー部は、コレステリック液晶によって構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記カメラ部が駆動していない場合に前記電子ペーパー部を前記筐体と同一の色に変化させることが好ましい。
【0013】
また、本発明の携帯電子機器は、撮影窓を有する筐体と、前記撮影窓に対応して前記筐体の内部に配置されるカメラ部と、前記撮影窓に対向し、前記カメラ部及び前記筐体の一部を覆って前記筐体に配置される電子ペーパー部と、前記電子ペーパー部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記電子ペーパー部を制御する。
【0014】
また、本発明の携帯電子機器は、所定の画像を記憶する記憶部を更に備え、前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合に、前記電子ペーパーの前記カメラ部を覆わない部分に対して、前記記憶部に記憶されている前記所定の画像を表示させることが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記カメラ部により撮像された画像を解析し、解析した結果に基づいて前記電子ペーパーの前記カメラ部を覆わない部分に対して、前記記憶部に記憶されている前記所定の画像を表示させることが好ましい。
【0016】
また、前記所定の画像は、前記カメラ部による撮像する位置の変更を示す画像であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第三者に、自身が無断で撮影されているという不快感を与えることを防止することができる。また、本発明によれば、撮影時に簡易的に照明効果を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る携帯電話装置の概観斜視図である。
【図2】本実施形態に係る携帯電話装置を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図3】本実施形態に係る携帯電話装置のカメラユニットの断面図である。
【図4】本実施形態に係る電子ペーパーの構成を示す図である。
【図5】本実施形態に係る携帯電話装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図6】本実施形態に係る携帯電話装置の制御部における第1電子ペーパー部及び第2電子ペーパー部を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】変形例に係る携帯電話装置の概観斜視図である。
【図8】変形例に係る携帯電話装置を折り畳んだ状態の斜視図(その1)である。
【図9】変形例に係る携帯電話装置の制御部における第1電子ペーパー部を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】変形例に係る携帯電話装置を折り畳んだ状態の斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図である。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ、フリップタイプ)でも良い。
【0020】
[機能構成]
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能やカメラ機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0021】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21(例えば、LCD(Liquid Crystal Display))と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22と、被写体を撮像する第1カメラユニット23と、を備えて構成されている。第1カメラユニット23の詳細については後述する。
【0022】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転させることにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0023】
図2は、携帯電話装置1を折り畳んだ状態の斜視図である。表示部側筐体部3は、外平面部に、時計やメールの着信等が表示されるサブ表示部30と、被写体を撮像する第2カメラユニット31と、第2カメラユニット31による撮像時に発光する発光部32と、着信時に発光して着信を報知するLED発光部35が備えられている。
【0024】
図3は、第1カメラユニット23及び第2カメラユニット31の断面図である。
第1カメラユニット23は、表示部側筐体部3の内部の厚さ方向の略中央に配置されている基板40に固定されており、第1カメラ部231と、第1撮影窓232と、第1電子ペーパー部233と、を備える。第1カメラ部231は、被写体を撮影(撮像)する機能を有しており、第1撮影窓232に対応して表示部側筐体部3の内部に配置され、基板40に接続されている。第1撮影窓232は、光を透過させつつ、第1電子ペーパー部233と第1カメラ部231とを保護するものであり、第1カメラ部231に対向し、表示部側筐体部3の内平面部に配置されている。第1電子ペーパー部233は、第1撮影窓232に対向し、第1カメラ部231と、第1撮影窓232との間に配置されており、第1カメラ部231を覆っている。
【0025】
第2カメラユニット31は、第1カメラユニット23と同様の構成である。すなわち、第2カメラユニット31は、基板40に固定されており、第2カメラ部311と、第2撮影窓312と、第2電子ペーパー部313と、を備える。第2カメラ部311は、被写体を撮影(撮像)する機能を有しており、第2撮影窓312に対応して表示部側筐体部3の内部に配置されており、基板40に接続されている。第2撮影窓312は、光を透過させつつ、第2電子ペーパー部313と第2カメラ部311とを保護するものであり、第2カメラ部311に対向し、表示部側筐体部3の外平面部に配置されている。第2電子ペーパー部313は、第2撮影窓312に対向し、第2カメラ部311と、第2撮影窓312との間に配置されており、第2カメラ部311を覆っている。
【0026】
図4は、第1電子ペーパー部233の構成を示す図である。
第1電子ペーパー部233は、コレステリック液晶によって構成されており、多層構造を有している。この第1電子ペーパー部233は、最下層、すなわち第1カメラ部231側から順に、第1赤色液晶部233R、第1緑色液晶部233G及び第1青色液晶部233Bが設けられており、これら第1赤色液晶部233R、第1緑色液晶部233G及び第1青色液晶部233Bが制御されることにより、光の透過率が変化し、所定の色に変化する。
【0027】
第1赤色液晶部233Rは、1枚の第1赤色液晶層233Rと、2枚の第1透明電極233Rと、2枚の第1透明フィルム233Rとを備えている。
この第1赤色液晶層233Rは、液晶分子によって構成されており、2枚の第1透明電極233Rにより挟持されている。また、第1赤色液晶層233Rは、2枚の第1透明電極233Rに第1電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、赤色の光が透過され、第1電圧よりも高い第2電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、赤色の光が反射される。なお、変更された液晶分子の向きは、電圧の印加が停止されても維持される。
【0028】
2枚の第1透明電極233Rは、2枚の第1透明フィルム233Rにより挟持されている。また、第1赤色液晶層233R及び2枚の第1透明電極233Rは、導線(図示省略)と基板40とを介して、後述の制御部70に接続されている。
【0029】
第1緑色液晶部233Gは、第1赤色液晶部233Rと同様の構成であり、1枚の第1緑色液晶層233Gと、2枚の第1透明電極233Gと、2枚の第1透明フィルム233Gとを備えている。
この第1緑色液晶層233Gは、液晶分子によって構成されており、2枚の第1透明電極233Gにより挟持されている。また、第1緑色液晶層233Gは、2枚の第1透明電極233Gに第1電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、緑色の光が透過され、第1電圧よりも高い第2電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、緑色の光が反射される。なお、変更された液晶分子の向きは、電圧の印加が停止されても維持される。
【0030】
2枚の第1透明電極233Gは、2枚の第1透明フィルム233Gにより挟持されている。また、第1緑色液晶層233G及び2枚の第1透明電極233Gは、導線(図示省略)と基板40とを介して、後述の制御部70に接続されている。
【0031】
第1青色液晶部233Bは、第1赤色液晶部233R及び第1緑色液晶部233Gと同様の構成であり、1枚の第1青色液晶層233Bと、2枚の第1透明電極233Bと、2枚の第1透明フィルム233Bとを備えている。
【0032】
この第1青色液晶層233Bは、液晶分子によって構成されており、2枚の第1透明電極233Bにより挟持されている。また、第1青色液晶層233Bは、2枚の第1透明電極233Bに第1電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、青色の光が透過され、第1電圧よりも高い第2電圧が印加されることにより、液晶分子の向きが変更され、青色の光が反射される。なお、変更された液晶分子の向きは、電圧の印加が停止されても維持される。
【0033】
2枚の第1透明電極233Bは、2枚の第1透明フィルム233Bにより挟持されている。また、第1青色液晶層233B及び2枚の第1透明電極233Bは、導線(図示省略)と基板40とを介して、後述の制御部70に接続されている。
【0034】
第2電子ペーパー部313は、第1電子ペーパー部233の構成と同様である。すなわち、第2電子ペーパー部313は、コレステリック液晶によって構成されており、多層構造を有している。この第2電子ペーパー部313は、最下層、すなわち第2カメラ部311側から順に、第2赤色液晶部313R、第2緑色液晶部313G及び第2青色液晶部313Bが設けられている。
【0035】
第2赤色液晶部313Rは、1枚の第2赤色液晶層313Rと、2枚の第2透明電極313Rと、2枚の第2透明フィルム313Rとを備えている。また、第2緑色液晶部313Gは、1枚の第2緑色液晶層313Gと、2枚の第2透明電極313Gと、2枚の第2透明フィルム313Gとを備えている。また、第2青色液晶部313Bは、1枚の第2青色液晶層313Bと、2枚の第2透明電極313Bと、2枚の第2透明フィルム313Bとを備えている。
【0036】
これら、第2赤色液晶部313R、第2緑色液晶部313G及び第2青色液晶部313Bは、それぞれ第1赤色液晶部233R、第1緑色液晶部233G及び第1青色液晶部233Bと同様の構成であるので、説明を省略する。
【0037】
図5は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図5に示すように、操作部11と、マイク12と、メインアンテナ50と、RF回路部51と、表示制御部52と、音声処理部53と、記憶部60と、制御部70が操作部側筐体部2に備えられ、表示部21と、スピーカ22と、第1カメラユニット23と、第2カメラユニット31と、表示ドライバ24と、サブ表示部30と、が表示部側筐体部3に備えられている。
【0038】
メインアンテナ50は、デュアルバンド対応構成であり、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行い、第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)でGPS衛星と通信を行う。
【0039】
RF回路部51は、メインアンテナ50によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部70に供給する。また、RF回路部51は、制御部70から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ50を介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、RF回路部51は、メインアンテナ50によって受信する信号の強度を制御部70に通知する。
【0040】
表示制御部52は、制御部70の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データを表示ドライバ24に出力する。表示ドライバ24は、フレームメモリを備えており、表示制御部52から供給された画像データをフレームメモリに蓄える。そして、表示ドライバ24は、フレームメモリに蓄えられた画像データを所定のタイミングで表示部21又はサブ表示部30に出力する。
【0041】
音声処理部53は、制御部70の制御にしたがって、RF回路部51から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部53から供給された信号を外部に出力する。
また、音声処理部53は、制御部70の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部51に出力する。RF回路部51は、音声処理部53から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ50に出力する。
【0042】
記憶部60は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部70による演算処理に利用される。また、記憶部60は、複数のアプリケーションを記憶している。また、記憶部60は、第1電子ペーパー部233の透過率を変化させて所定の色に変化させるための情報として、第1赤色液晶部233R、第1緑色液晶部233G及び第1青色液晶部233Bに対して印加される電圧の情報としての第1電子ペーパー制御情報を記憶する。また、記憶部60は、第2電子ペーパー部313の透過率を変化させて所定の色に変化させるための情報として、第2赤色液晶部313R、第2緑色液晶部313G及び第2青色液晶部313Bに対して印加される電圧の情報としての第2電子ペーパー制御情報を記憶する。
【0043】
制御部70は、携帯電話装置1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。
【0044】
この制御部70は、第1カメラ部231が駆動している場合の第1電子ペーパー部233での透過率が、第1カメラ部231が駆動していない場合の第1電子ペーパー部233での透過率よりも高くなるように第1電子ペーパー部233を制御する。
【0045】
具体的には、制御部70は、第1カメラ部231が駆動を開始する場合、すなわち、操作部11により第1カメラ部231の駆動開始操作を受け付けた場合に、記憶部60に記憶されている第1電子ペーパー制御情報に基づいて、第1電子ペーパー部233に対して電圧を印加して光を透過させる。また、制御部70は、第1カメラ部231が駆動を終了する場合に、記憶部60に記憶されている第1電子ペーパー制御情報に基づいて、第1電子ペーパー部233に対して電圧を印加して所定の色に変化させる。
【0046】
ここで、所定の色は、例えば、表示部側筐体部3の色と同一の色である。なお、本実施形態では、これに限らず、表示部側筐体部3の色と類似する色等、表示部側筐体部3に対して相対的に目立たない色であったり、カメラであることを意識させない色であったりしてもよい。
【0047】
また、この制御部70は、第2カメラ部311が駆動している場合の第2電子ペーパー部313での透過率が、第2カメラ部311が駆動していない場合の第2電子ペーパー部313での透過率より高くなるように第2電子ペーパー部313を制御する。
【0048】
具体的には、制御部70は、第2カメラ部311が駆動を開始する場合、すなわち、操作部11により第2カメラ部311の駆動開始操作を受け付けた場合に、記憶部60に記憶されている第2電子ペーパー制御情報に基づいて、第2電子ペーパー部313に対して電圧を印加して光を透過させる。また、制御部70は、第2カメラ部311が駆動を終了する場合に、記憶部60に記憶されている第2電子ペーパー制御情報に基づいて、第2電子ペーパー部313に対して電圧を印加して所定の色に変化させる。
【0049】
なお、本実施形態では、表示部側筐体部3に、発光部32に対向して、第1電子ペーパー部233と同様の電子ペーパー部を覆うように配置させるとともに、この電子ペーパー部を透過する光を変化させるための情報として、この電子ペーパー部に印加される電圧の情報としての発光部用電子ペーパー制御情報を記憶部60に記憶するようにしてもよい。そして、制御部70は、発光部32が発光する場合、すなわち、第2カメラ部311が駆動している場合に、電子ペーパー部での透過率が、第2カメラ部311が駆動していない場合の当該電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように当該電子ペーパー部を制御するようにしてもよい。また、この場合、携帯電話装置1のユーザが、記憶部60に記憶されている発光部用電子ペーパー制御情報を変更可能とし、任意の色の光を透過できるようにしてもよい。
【0050】
[フローチャート]
続いて、携帯電話装置1における、第1電子ペーパー部233及び第2電子ペーパー部313を制御する処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。図6は、携帯電話装置1の制御部70における第1電子ペーパー部233及び第2電子ペーパー部313を制御する処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートを説明するにあたり、第1カメラ部231及び第2カメラ部311が駆動していない状態であるものとし、第1電子ペーパー部233及び第2電子ペーパー部313が所定の色であるものとする。
【0051】
ステップS1では、制御部70は、操作部11により第1カメラ部231の駆動開始操作が受け付けられたか否かを判定する。制御部70は、この判定がYESの場合、処理をステップS2に移し、この判定がNOの場合、処理をステップS5に移す。
【0052】
ステップS2では、制御部70は、第1電子ペーパー部233に第1電圧を印加し、第1電子ペーパー部233に入射する光を透過させる。
【0053】
ステップS3では、制御部70は、操作部11により第1カメラ部231の駆動終了操作が受け付けられたか否かを判定する。制御部70は、この判定がYESの場合、処理をステップS4に移し、この判定がNOの場合、ステップS3の処理を再実行する。
【0054】
ステップS4では、制御部70は、第1電子ペーパー部233に第1電圧より高い電圧である第2電圧を印加し、第1電子ペーパー部233に入射する所定の色の光を反射させ、第1電子ペーパー部233を視覚的に所定の色に変化させる。
【0055】
ステップS5では、制御部70は、操作部11により第2カメラ部311の駆動開始操作が受け付けられたか否かを判定する。制御部70は、この判定がYESの場合、処理をステップS6に移し、この判定がNOの場合、処理をステップS9に移す。
【0056】
ステップS6では、制御部70は、第2電子ペーパー部313に第1電圧を印加し、第2電子ペーパー部313に入射する光を透過させる。
【0057】
ステップS7では、制御部70は、操作部11により第2カメラ部311の駆動終了操作が受け付けられたか否かを判定する。制御部70は、この判定がYESの場合、処理をステップS8に移し、この判定がNOの場合、ステップS7の処理を再実行する。
【0058】
ステップS8では、制御部70は、第2電子ペーパー部313に第2電圧を印加し、第2電子ペーパー部313に入射する所定の色の光を反射させ、第2電子ペーパー部313を視覚的に所定の色に変化させる。
【0059】
ステップS9では、制御部70は、例えば携帯電話装置1の電源を切る操作等の終了操作を受け付けたか否かを判定する。制御部70は、この判定がYESの場合、本フローチャートに係る処理を終了し、この判定がNOの場合、処理をステップS1に移す。
【0060】
以上、本実施形態によれば、携帯電話装置1は、制御部70により、第2カメラ部311が駆動している場合の第2電子ペーパー部313での透過率が、第2カメラ部311が駆動していない場合の第2電子ペーパー部313での透過率よりも高くなるように第2電子ペーパー部313を制御する。よって、携帯電話装置1は、第2カメラ部311が駆動していない場合、第2電子ペーパー部313の透過率を、駆動している場合の透過率よりも低くすることで、第2カメラ部311を視認しにくくすることができるので、第三者に、自身が無断で撮影されているという不快感を与えることを防止することができる。
【0061】
また、携帯電話装置1は、制御部70は、第2カメラ部311が駆動している場合の発光部用電子ペーパー部での透過率が、第2カメラ部311が駆動していない場合の発光部用電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように、当該発光部用電子ペーパー部を制御する。よって、携帯電話装置1は、第2カメラ部による撮影時に、発光部用電子ペーパー部を制御することによって、撮影される写真に対して簡易的に照明効果を加えることができる。
【0062】
また、第1電子ペーパー部233及び第2電子ペーパー部313は、コレステリック液晶によって構成される。コレステリック液晶は、印加された電圧により変更される液晶分子の向きを、電圧の印加を停止した後も維持するという特性を有する。よって、携帯電話装置1は、第1カメラ部231及び第2カメラ部311を視認しにくくしたり、視認しやすくしたりする切り換え時のみ第1電子ペーパー部233及び第2電子ペーパー部313に電圧を印加することで、第1カメラ部231及び第2カメラ部311が視認しにくい状態及び視認可能な状態を維持することができるので、電力消費量を抑制することができる。
【0063】
また、制御部70は、第1カメラ部231が駆動していない場合に第1電子ペーパー部233を表示部側筐体部3と同一の色に変化させるので、第1カメラ部231の不使用時に、第1カメラ部231をより目立たなくすることができる。
【0064】
また、制御部70は、第2カメラ部311が駆動していない場合に第2電子ペーパー部313を表示部側筐体部3と同一の色に変化させるので、第2カメラ部311の不使用時に、第2カメラ部311をより目立たなくすることができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0066】
[変形例]
本実施形態では、第1カメラユニット23及び第2カメラユニット31が設けられることとしたが、これに限らず、第1カメラユニット23及び第2カメラユニット31のいずれか一方のみが設けられることとしてもよい。また、本実施形態では、第1カメラユニット23及び第2カメラユニット31が表示部側筐体部3に設けられることとしたが、これに限らず、操作部側筐体部2に設けられることとしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、第1電子ペーパー部233を、第1カメラ部231を覆うように配置することとしたが、これに限らない。例えば、図7に示すように、第1カメラ部231を覆うだけではなく、第1カメラ部231の周辺部も覆うように第1電子ペーパー部233Aを配置することとしてもよい。そして、記憶部60に、第1カメラ部231を覆わない部分に対して表示される、撮像する位置の変更を示す画像等の所定の画像を記憶させておき、制御部70は、第1カメラ部231が駆動している場合の第1電子ペーパー部233Aでの透過率が、第1カメラ部231が駆動していない場合の第1電子ペーパー部233Aでの透過率よりも高くなるように制御するようにしてもよい。
【0068】
更に、制御部70は、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆う部分のみ色を透過させて、第1カメラ部231を覆わない部分に対して記憶部60に記憶されている所定の画像を表示させるようにしてもよい。また、この場合、制御部70は、第1カメラ部231を覆わない部分に対して、記憶部60に記憶されているアプリケーションに基づいて、撮影時に使用されるセルフタイマー等の画像を表示させるようにしてもよい。
【0069】
また、図8に示すように、表示部側筐体部3に第2カメラ部311を覆うだけではなく、第2カメラ部311の周辺部も覆うように第2電子ペーパー部30Aを配置することとしてもよい。この場合、第2電子ペーパー部30Aは、時計やメールの着信等が表示されるサブ表示部の役割も果たすこととする。そして、制御部70は、第2カメラ部311が駆動を開始する場合に、第2電子ペーパー部30Aの第2カメラ部311を覆う部分のみ色を透過させて、第2カメラ部311を覆わない部分に対して記憶部60に記憶されている所定の画像を表示させるようにしてもよい。また、この場合、制御部70は、第2カメラ部311を覆わない部分に対して、記憶部60に記憶されているアプリケーションに基づいて、撮影時に使用されるセルフタイマー等の画像を表示させるようにしてもよい。
【0070】
また、携帯電話装置1のユーザが自己の写真を撮影する場合に、制御部70は、ユーザの自画像が画角に収まるように、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆っていない部分又は第2電子ペーパー部30Aの第2カメラ部311を覆っていない部分に対して、写真撮影位置を修正させるための矢印を表示させたり、上半身を示す輪郭や顔の輪郭等の擬似的な輪郭を表示させたりしてもよい。
このようにすることで、携帯電話装置1は、第1電子ペーパー部233A及び第2電子ペーパー部30Aに、表示部の代わりに多様な情報を表示させることができ、更に、携帯電話装置1のユーザが自己の写真を撮影する場合に、撮影を支援することができる。
【0071】
また、携帯電話装置1のユーザが自己の写真を撮影する場合に、第1カメラ部231又は第2カメラ部311により撮像された画像を解析し、解析した結果に基づいて第1電子ペーパー部233A又は第2電子ペーパー部30Aの第1カメラ部231又は第2カメラ部311を覆わない部分に対して、記憶部60に記憶されている所定の画像を表示させることとしてもよい。例えば、自己の表情に対応する色を予め規定しておき、撮影時に、制御部70により、第1カメラ部231により撮像される自己の写真を解析させて自己の表情を特定し、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆っていない部分を、特定された表情に対応する色に変化させてもよい。
なお、この場合、複数の表情それぞれに対応する色の設定情報は、記憶部60に記憶されていることとし、携帯電話装置1のユーザが任意に設定可能であることとする。
【0072】
上述の例について、図9に示されるフローチャートを用いて説明を行う。まず、制御部70は、携帯電話装置1のユーザから、自己の表情を受け付け(ステップS11)、続いて、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆っていない部分を、表情に対応する色に変化させる(ステップS12)。続いて、制御部70は、第1カメラ部231により撮影されるユーザの顔を分析して表情を解析し、受け付けられた表情と一致するか否かを判定する(ステップS13)。続いて、制御部70は、受け付けられた表情と一致する場合に、第1カメラ部231により撮影されるユーザの画像を記憶部60に自動的に保存し(ステップS14)、受け付けられた表情と一致する場合に、ステップS12に戻り、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆っていない部分を、表情に対応する色に変化させる。
このようにすることで、携帯電話装置1は、第1電子ペーパー部233に、第1カメラ部231により撮影された画像に対応させて、多様な情報を表示させることができる。
【0073】
また、制御部70は、受け付けられた表情と一致する場合に、第1カメラ部231により撮影されるユーザの顔を記憶部60に自動的に保存することとしたが、これに限らない。例えば、制御部70は、第1カメラ部231により撮影されるユーザの顔を分析して表情を解析し、第1電子ペーパー部233Aの第1カメラ部231を覆っていない部分を、解析されたユーザの表情に対応する色に変化させることにより、ユーザに、自己の表情を通知させ、ユーザから操作部11を介して写真の撮影操作を受け付けるようにしてもよい。
【0074】
また、図10に示されるように、表示部側筐体部3の外平面部に、3次元写真を撮影することを可能とするように、第2カメラユニット31と、この第2カメラユニット31と同様の構成を備える第3カメラユニット33を設けて、制御部70により、以下のように電子ペーパー部を制御するようにしてもよい。
【0075】
すなわち、制御部70は、2次元の写真を撮影する場合に、撮影に使用されるカメラユニットの電子ペーパー部に光を透過させるとともに、撮影に使用されていないカメラユニットに設けられている電子ペーパー部を制御して所定の色に変化させるようにしてもよい。また、制御部70は、3次元の写真を撮影する場合に、第2カメラユニット31及び第3カメラユニット33それぞれの電子ペーパー部に光を透過させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
3 表示部側筐体部
70 制御部
23 第1カメラユニット
31 第2カメラユニット
231 第1カメラ部(カメラ部)
232 第1撮影窓(撮影窓)
233、233A 第1電子ペーパー部(電子ペーパー部)
311 第2カメラ部(カメラ部)
312 第2撮影窓(撮影窓)
313、30A 第2電子ペーパー部(電子ペーパー部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影窓を有する筐体と、
前記撮影窓に対応して前記筐体の内部に配置されるカメラ部と、
前記撮影窓に対向して前記筐体に配置される電子ペーパー部と、
前記電子ペーパー部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記電子ペーパー部を制御する携帯電子機器。
【請求項2】
前記筐体に発光部と、
前記発光部に対向して前記筐体に配置される発光部用電子ペーパー部と、を更に備え、
前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記発光部用電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記発光部用電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記発光部用電子ペーパー部を制御する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記電子ペーパー部は、コレステリック液晶によって構成されている請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記カメラ部が駆動していない場合に前記電子ペーパー部を前記筐体と同一の色に変化させる請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
撮影窓を有する筐体と、
前記撮影窓に対応して前記筐体の内部に配置されるカメラ部と、
前記撮影窓に対向し、前記カメラ部及び前記筐体の一部を覆って前記筐体に配置される電子ペーパー部と、
前記電子ペーパー部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合の前記電子ペーパー部での透過率が、前記カメラ部が駆動していない場合の前記電子ペーパー部での透過率よりも高くなるように前記電子ペーパー部を制御する携帯電子機器。
【請求項6】
所定の画像を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記カメラ部が駆動している場合に、前記電子ペーパー部の前記カメラ部を覆わない部分に対して、前記記憶部に記憶されている前記所定の画像を表示させる請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記カメラ部により撮像された画像を解析し、解析した結果に基づいて前記電子ペーパー部の前記カメラ部を覆わない部分に対して、前記記憶部に記憶されている前記所定の画像を表示させる請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記所定の画像は、前記カメラ部による撮像する位置の変更を示す画像である請求項6又は7に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74910(P2012−74910A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217942(P2010−217942)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】