説明

撥水性微粒子及びその製造方法

【解決手段】体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部にポリオルガノシルセスキオキサン0.5〜25質量部を被覆してなる微粒子であって、水に分散せず、水に浮くことを特徴とする撥水性微粒子。
【効果】本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子は、撥水性が非常に高いものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧料にさらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与する目的で、シリコーン粒子が用いられている。特に、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子(特許文献1:特開平07−196815号公報参照)は、柔らかい感触が得られ、かつ凝集性がなく、分散性に優れることから、多くの化粧料に使用されている。
一方、粉末固形化粧料において、化粧料を皮膚に施した後、水や汗によって濡れると、化粧料の色調が変化したり、化粧膜の均一性が損なわれたりする、いわゆる化粧崩れの現象が起きる。化粧崩れを防止するために、撥水性のある粉体を用いることが一般的である。
しかしながら、上記のシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子は、製造工程で使用した界面活性剤が含まれているため、撥水性が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−196815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上記の問題点を踏まえ、撥水性の高い、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子及びその製造方法を提供しようとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記のシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1:
体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部にポリオルガノシルセスキオキサン0.5〜25質量部を被覆してなる微粒子であって、水に分散せず、水に浮くことを特徴とする撥水性微粒子。
請求項2:
更に、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面にトリメチルシリル基を結合させたことを特徴とする請求項1記載の撥水性微粒子。
請求項3:
更に、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面で、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシリル化剤とを加水分解、縮合反応させて得られたことを特徴とする請求項1記載の撥水性微粒子。
請求項4:
界面活性剤を用いて製造された体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質の存在下に、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解、縮合反応させ、最後にアルコール又はアルコールと水の混合溶液で洗浄して上記界面活性剤を除去することを特徴とするシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子の製造方法。
請求項5:
界面活性剤を用いて製造された体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質の存在下に、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解、縮合反応させ、次いで、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシリル化剤とを添加して加水分解、縮合反応させ、最後にアルコール又はアルコールと水の混合溶液で洗浄して上記界面活性剤を除去することを特徴とするシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子は、撥水性が非常に高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、シリコーンエラストマー球状微粒子の体積平均粒径が0.1〜100μmであることが必要である。0.1μm未満であるとさらさら感、なめらかさがでないし、100μmより大きいとさらさら感、なめらかさが低下し、またざらつき感がでる。好ましくは1〜40μmの範囲である。なお、体積平均粒径は電気抵抗法によって測定したものである。
【0008】
該シリコーンエラストマーは、式−(R12SiO2/2n−で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する、ゴム弾性を有し、べたつきがない硬化物である。ここで、式中のR1は、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、nは、5〜5000の正数である。R1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
【0009】
該シリコーンエラストマーのゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で、5〜90が好ましい。5未満では凝集性が強く、流動性、分散性、さらさら感、なめらかさが乏しくなり、90超えると柔らかな感触が乏しくなり、より好ましくは10〜80の範囲である。
【0010】
該シリコーンエラストマーは、硬化性液状シリコーンから得られるものであるが、その硬化は、メトキシシリル基(≡SiOCH3)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)などとの縮合反応、メルカプトプロピルシリル基(≡Si−C36SH)とビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とのラジカル反応、ビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とヒドロシリル基(≡SiH)との付加反応によるものなどが例示されるが、反応性の点から、付加反応によるものとすることが好ましい。
【0011】
付加反応による硬化でシリコーンエラストマーとする場合、平均式R2a3bSiO(4-a-b)/2で示される一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと平均式R4cdSiO(4-c-d)/2で示される一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組み合わせ、又は、平均式R2a3bSiO(4-a-b)/2で示される一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有するオルガノポリシロキサンと平均式R4cdSiO(4-c-d)/2で示される一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組み合わせのいずれか一方において、1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1価オレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が0.5〜2個となるような比率で配合された液状シリコーン組成物を白金触媒の存在下において付加重合させればよい。
【0012】
ここで、式中のR2は、脂肪族不飽和基を除く、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、R3は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。a、bは、0<a<3、0<b≦3、0.1≦a+b≦3で示される正数であり、好ましくは0<a≦2.295、0.005≦b≦2.3、0.5≦a+b≦2.3である。R4は脂肪族不飽和基を除く置換又は非置換の炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。c、dは0<c<3、0<d≦3、0.1≦c+d≦3で示される正数であり、好ましくは0<c≦2.295、0.005≦d≦2.3、0.5≦c+d≦2.3である。
【0013】
2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には全R2基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0014】
3としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基であることが好ましい。
【0015】
4としては、R2と同じものが例示される。
【0016】
このオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、100000mm2/sを超えると、後記の製造方法において、分布の狭い粒子を得ることができなくなることから、100000mm2/s以下が好ましく、より好ましくは10000mm2/s以下である。また、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状いずれであってもよいが、特に直鎖状が好ましい。なお、この粘度は毛管粘度計による測定値である。
【0017】
前記したように、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンは一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンはケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有する組み合わせとするか、又は、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンは一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンはケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する組み合わせとすることが必要である。一分子中のオレフィン性不飽和基及びヒドロシリル基が、少なくともそのような数としないとべたつきのないエラストマー硬化物とすることができない。
【0018】
前記したように、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合比率は、オレフィン性不飽和基1個に対しケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜2個となるようにすることが必要である。ケイ素原子に結合した水素原子が0.5個未満、又は2個より多くなる比率では、べたつきのないエラストマー硬化物とすることができなかったり、反応活性の高いエラストマーとなったりする。好ましくは0.7〜1.5である。
【0019】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子は、その粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末などを含有していてもよい。
【0020】
粒子の表面に他の材料を被覆することは粒子の複合化技術に属するものであり、それには多くの方法がある。例えば、芯となる粒子と被覆する粒子を乾式混合することにより芯となる粒子の表面に被覆する粒子を付着させる方法、又は更に衝撃力、圧縮力、摩擦力及びせん断力等を加える処理を行うことにより、粒子を固定化、膜化させる方法があるが、シリコーンエラストマー粒子は凝集性が強いため、乾式混合によって芯となる粒子表面に薄く均一に付着させることは困難であり、また、シリコーンエラストマー粒子は弾性があるため、衝撃力、圧縮力、摩擦力及びせん断力等を加えても粒子を固定化することはできない。芯となる粒子と被覆する粒子の分散液を噴霧乾燥して被覆粒子を製造する方法があるが、凝集した粒子が生成したり、被覆する粒子のみの粒子が生成したりする。そこで、本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、特開平07−196815号公報に記載の方法によって製造される。すなわち、界面活性剤を用いて製造されたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液中で、オルガノトリアルコキシシランを加水分解、縮合反応させて、シリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆させる。
【0021】
シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液は、公知の方法によって製造すればよい。例えば、付加反応による硬化でシリコーンエラストマーとする場合、前記したオルガノハイドロジェンポリシロキサンとオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンからなる液状シリコーン組成物に界面活性剤と水を添加し、乳化を行い、エマルジョンとした後に白金系触媒を添加して付加重合させる方法が挙げられる。
【0022】
ここでの界面活性剤は、特に限定はされず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、N−アシルタウリン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、カルボン酸高分子、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩、カチオン化セルロース等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができるが、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを併用することはできない。なお、界面活性剤の使用量は、液状シリコーン組成物100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。0.01質量部より少ないと微細な粒子とすることができず、20質量部より多くすると後記する後工程でのポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆させることが困難となるおそれがある。
【0023】
乳化分散は、一般的な乳化分散機を用いればよく、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモミキサー等の高速回転剪断型撹拌機、ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0024】
白金系触媒が水に対する分散性が悪い場合には、白金系触媒を界面活性剤に溶解したものをエマルジョンに添加すればよい。付加重合させる際の反応温度は、室温でもよいが、反応が完結しない場合には、エマルジョンを100℃未満で加熱してもよい。
【0025】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対しポリオルガノシルセスキオキサンが0.5〜25質量部被覆されていることが必要である。ポリオルガノシルセスキオキサンが0.5質量部未満であると凝集性が強く、流動性、分散性、さらさら感、なめらかさが乏しくなるし、25質量部より多いと柔らかな感触が乏しくなる。好ましくは1〜15質量部の範囲である。
【0026】
該ポリオルガノシルセスキオキサンは、式:R5SiO3/2で示される単位が三次元網目状に架橋したレジン状固体物である。本発明においては、式中のR5は、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。R5としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアミノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。後記の方法によってポリオルガノシルセスキオキサンを被覆するには、このR5は50モル%以上がメチル基であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0027】
また、柔らかい感触の向上等の目的で、非凝集性、分散性等の特性を損なわない範囲で、R5SiO3/2単位の他に、R52SiO2/2単位を含んでいてもよい。
【0028】
前記したように、本発明は、界面活性剤を用いて製造されたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液中で、オルガノトリアルコキシシランを加水分解、縮合反応させて、シリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆させるが、オルガノトリアルコキシシランの加水分解、縮合反応の触媒として、アルカリ性物質を使用する。シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に予めアルカリ性物質を添加するが、その添加量は、シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液のpHが10.0より低いとオルガノトリアルコキシシランの加水分解、縮合反応が十分に進行せず、pHが13.0より高いとエラストマー粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆することができないので、pHが10.0〜13.0となる量が好ましく、より好ましくは10.5〜12.5の範囲となる量である。
【0029】
このアルカリ性物質は、特に限定されず、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;アンモニア、テトラアンモニウムオキサイド又はモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンタアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどのアミン類等が使用可能であり、これらのアルカリ性物質はアルカリ水溶液の形態で添加することができる。中でも、揮発させることにより、粉末から容易に除去できることから、アンモニアが最も適しており、これには市販されているアンモニア水溶液を用いればよい。
【0030】
アルカリ性物質を添加したシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、撹拌下、オルガノトリアルコキシシランを投入、又は徐々に滴下する。
このオルガノトリアルコキシシランは、式R5Si(OR63で表される。式中のR5は、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、具体的には前記と同様である。R6は、非置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、R6としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、反応性の点からメチル基であることが好ましい。ポリオルガノシルセスキオキサン中にR52SiO2/2単位を導入したい場合には、R52Si(OR62を同時に添加すればよい。
【0031】
オルガノトリアルコキシシランの添加量は、前記したシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対しポリオルガノシルセスキオキサンが0.5〜25質量部の範囲になるような量とする。
【0032】
オルガノトリアルコキシシランを添加する時の撹拌は、強い撹拌とすると粒子同士の凝集が起こり、うまくポリオルガノシルセスキオキサンを被覆させることができないことから、プロペラ翼、平板翼等を用いる緩い撹拌とすることがよいが、オルガノトリアルコキシシランがシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液中に分散される撹拌強度は必要とされる。
【0033】
オルガノトリアルコキシシランを添加する時のシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液の温度は、0℃より低いと水分散液が凝固してしまい、60℃より高くすると粒子が凝集を起こし、うまくポリオルガノシルセスキオキサンを被覆させることができないことから、上記温度は0〜60℃であることが好ましく、より好ましくは0〜40℃である。
【0034】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、撥水性を示すものであるが、撥水性をより高くするために、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面に、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシリル化剤とを加水分解、縮合反応させたものとすることが好ましい。トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンの加水分解、縮合反応で、ポリオルガノシルセスキオキサンの表面にトリメチルシリル基を導入することにより撥水性が向上するが、本発明では、ポリオルガノシルセスキオキサンの表面に多くのトリメチルシリル基を形成させるために、ポリオルガノシルセスキオキサンの表面で、テトラアルコキシシランを加水分解、縮合反応させている。すなわち、本発明では、ポリオルガノシルセスキオキサンの表面で、テトラアルコキシシランを加水分解、縮合反応させることにより、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンが反応しうるシラノール基及び/又はアルコキシシリル基を多く形成させ、それによって導入されるトリメチルシリル基を増加させている。
【0035】
テトラアルコキシシランは、式Si(OR74で表され、ここで、R7は同一又は異種の炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、特にはメチル基が好ましい。トリメチルアルコキシシランは、式(CH33SiOR8で表され、ここで、R8は同一又は異種の炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、特にはメチル基が好ましい。トリメチルシラノールは、式(CH33SiOHで表され、ヘキサメチルジシラザンは、式[(CH33Si]2NHで表される。
【0036】
添加するトリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール及び/又はヘキサメチルジシラザンの量は、シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、0.1質量部未満では撥水性向上の効果が十分でなく、10質量部より多くしても撥水性は向上しないので、0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。
【0037】
添加するテトラアルコキシシランの量は、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール1モル又はヘキサメチルジシラザン0.5モルに対し、0.2モル未満では撥水性向上の効果が十分でなく、1モルより多くすると撥水性が低下するので、0.2〜1モルが好ましく、より好ましくは0.3〜0.5モルの範囲である。
【0038】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子の撥水性をより高くするために、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面に、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンとを加水分解、縮合反応させる場合には、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解、縮合反応させた後、撹拌下、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンとを投入、又は徐々に滴下して添加する。
【0039】
テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンとは、先に添加されたアルカリ性物質の触媒作用により、加水分解、縮合反応するが、液のpHが低い場合には、反応性が悪くなるため、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンを添加する前、又は添加した後に、前述したアルカリ性物質を追加して添加してもよい。
【0040】
テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンをポリオルガノシルセスキオキサン系微粒子の水分散液に添加する時の撹拌は、強い撹拌とすると該粒子同士の凝集が起こり撥水性を十分とすることができないことから、プロペラ翼、平板翼等を用いる緩い撹拌とすることがよいが、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンがポリオルガノシルセスキオキサン系微粒子の水分散液中に分散される撹拌強度は必要とされる。
【0041】
テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンをポリオルガノシルセスキオキサン系微粒子の水分散液に添加する時の温度は、0℃より低いと水分散液が凝固してしまい、60℃より高くすると該粒子が凝集を起こし撥水性を十分とすることができないことから、上記温度は0〜60℃であることが好ましく、より好ましくは0〜40℃である。
【0042】
テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンは、ポリオルガノシルセスキオキサン系微粒子の水分散液に同時添加するか、もしくはテトラアルコキシシランを先に添加し、その後、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、及び/又はヘキサメチルジシラザンを添加する。添加終了後、加水分解、縮合反応が完全に終了するまで、しばらく撹拌を続けておくことが好ましく、加水分解、縮合反応を完結させるために40〜100℃で加熱してもよい。その後必要であれば酸性物質を投入して中和してもよい。
【0043】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、水に分散せず、水に浮く撥水性を示す。すなわち、水の接触角が90°以上の撥水性を示す。好ましくは30%メタノール水に分散せず、該メタノール水に浮く撥水性を示すものである。
【0044】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなる微粒子は、水に分散しない撥水性を付与するために界面活性剤を除去したものである。被覆されているポリオルガノシルセスキオキサン、及びトリメチルシリル基は、撥水性を示すが、少量の界面活性剤を含有するだけでも撥水性を示さなくなるので、界面活性剤の除去は必要である。
【0045】
界面活性剤の除去は洗浄にて行う。水による洗浄では、洗浄操作を何回も繰り返し行う必要があったり、水を多量に必要としたりするので非効率であり、また十分に除去することは困難である。そのため、洗浄は、アルコール、又はアルコールと水の混合溶液で行う。このアルコールとしては、水溶性であることが好ましく、また、揮発させることにより粉末から容易に除去できる点から、沸点が低いものが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、エチレングリコール、2,3−ブタンジオール等が挙げられる。
【0046】
洗浄は、アルコール、又はアルコールと水の混合溶液を添加し、プロペラ翼、平板翼などの撹拌機を用いて撹拌した後、濾過分離、遠心脱水、デカンテーション等で脱水する方法で行えばよく、撥水性が不十分であれば、この操作を繰り返せばよい。また、遠心脱水しながらアルコール、又はアルコールと水の混合溶液を流す方法が挙げられる。なお、アルコールと水との混合溶液を用いる場合、アルコール濃度は5質量%以上が好ましく、特には10質量%以上が好ましい。
【0047】
洗浄後、加熱又は減圧下に加熱することによって、水分及びアルコール分を除去する。それには、脱水物を静置して行う方法、脱水物を撹拌又は流動させながら行う方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させる方法、流動熱媒体を利用する方法等で行えばよい。
【0048】
得られた粒子が凝集している場合には、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル等の粉砕機で解砕することも必要とされる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中、粘度は25℃において測定した値であり、濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
【0050】
[実施例1]
下記式(1)で示される、粘度が580mm2/sのメチルビニルポリシロキサン500gと下記式(2)で示される、粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g(オレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.06個となる配合量)を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)3gと水55gを加え、ホモミキサーを用いて6000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められ、更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2000rpmで撹拌しながら、水421gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.8g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.6gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液を得た。シリコーンエラストマー微粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であり、体積平均粒径を、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0051】
得られたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液870gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、水2013g、及び28%アンモニア水57gを添加した。このときの液のpHは、11.3であった。5〜10℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン60g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解、縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが6.5質量部となる量)を20分間かけて滴下し、この間の液温を5〜10℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0052】
シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシランを加水分解、縮合反応させた液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、50%メタノール水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0053】
一方、下記式(1)で示される、粘度が580mm2/sのメチルビニルポリシロキサン、下記式(2)で示される、粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン、及び塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を前記の配合割合で混合し、厚みが10mmになるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリコーンエラストマーを得た。シリコーンエラストマーの硬度を、デュロメータA硬度計で測定したところ、29であった。
【0054】
水50gを入れた100mLビーカーに、上で得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0055】
30%メタノール水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子はおよそ半分が水に分散し、およそ半分が水に浮いた状態であった。
【0056】
【化1】

【0057】
[実施例2]
実施例1と同様にしてシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液を製造した。
シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液870gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、水2013g、及び28%アンモニア水57gを添加した。このときの液のpHは、11.3であった。5〜10℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン46.8g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解、縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが5.1質量部となる量)を20分間かけて滴下し、次いでトリメチルシラノール8.4g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、1.9質量部となる量)とテトラメトキシシラン4.8g(トリメチルシラノール1モルに対し、0.34モルとなる量)の混合液を5分間かけて滴下し、この間の液温を5〜10℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びトリメチルシラノールメトキシシリルの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0058】
シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びトリメチルシラノールを加水分解、縮合反応させた液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、50%メタノール水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0059】
水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。30%メタノール水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0060】
[実施例3]
実施例1と同様にしてシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液を製造した。
シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液870gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、水2012g、及び28%アンモニア水57gを添加した。このときの液のpHは、11.3であった。5〜10℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン46.8g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解、縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが5.1質量部となる量)を20分間かけて滴下し、次いでトリメチルメトキシシラン9.9g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、2.2質量部となる量)とテトラメトキシシラン4.8g(トリメチルメトキシシラン1モルに対し、0.33モルとなる量)の混合液を5分間かけて滴下し、この間の液温を5〜10℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びトリメチルメトキシシランの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0061】
シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びトリメチルメトキシシランを加水分解、縮合反応させた液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、50%メタノール水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0062】
水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0063】
30%メタノール水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0064】
[実施例4]
実施例1と同様にしてシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液を製造した。
シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液870gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、水2014g、及び28%アンモニア水57gを添加した。このときの液のpHは、11.3であった。5〜10℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン46.8g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解、縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが5.1質量部となる量)を20分間かけて滴下し、次いでヘキサメチルジシラザン7.6g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、1.7質量部となる量)とテトラメトキシシラン4.8g(ヘキサメチルジシラザン0.5モルに対し、0.33モルとなる量)の混合液を5分間かけて滴下し、この間の液温を5〜10℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びヘキサメチルジシラザンの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0065】
シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びヘキサメチルジシラザンを加水分解、縮合反応させた液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、50%メタノール水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0066】
水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0067】
30%メタノール水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は水に分散せず、全量水に浮いた状態であった。
【0068】
[比較例1]
実施例1において得られた、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシランを加水分解、縮合反応させた液を、加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0069】
水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は全量水に分散した。
【0070】
[比較例2]
実施例2において得られた、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中でメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びトリメチルシラノールを加水分解、縮合反応させた液を、加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を熱風流動乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、流動性のある微粒子を得た。微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、粒子表面が約100nmの粒状形状物で被覆された球状粒子であり、シリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子となっていることが確認された。微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0071】
水50gを入れた100mLビーカーに、得られたシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子1gを投入し、ガラス棒で1分間撹拌したところ、微粒子は全量水に分散した。
【0072】
実施例1のメタノール水洗浄にて界面活性剤を除去したシリコーンエラストマー球状微粒子をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した微粒子は、撥水性があり、実施例2〜4の被覆したポリメチルシルセスキオキサンの表面でテトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール又はヘキサメチルジシラザンとを加水分解、縮合反応させ、かつメタノール水洗浄した微粒子は、撥水性がより高いものであった。これらを化粧料に配合しても、化粧崩れを起さないことが期待できる。一方、比較例1〜2の水洗浄のみの微粒子は、界面活性剤が残存しており、撥水性を示さず、前記効果が期待できないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部にポリオルガノシルセスキオキサン0.5〜25質量部を被覆してなる微粒子であって、水に分散せず、水に浮くことを特徴とする撥水性微粒子。
【請求項2】
更に、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面にトリメチルシリル基を結合させたことを特徴とする請求項1記載の撥水性微粒子。
【請求項3】
更に、被覆したポリオルガノシルセスキオキサンの表面で、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシリル化剤とを加水分解、縮合反応させて得られたことを特徴とする請求項1記載の撥水性微粒子。
【請求項4】
界面活性剤を用いて製造された体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質の存在下に、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解、縮合反応させ、最後にアルコール又はアルコールと水の混合溶液で洗浄して上記界面活性剤を除去することを特徴とするシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子の製造方法。
【請求項5】
界面活性剤を用いて製造された体積平均粒径が0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質の存在下に、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解、縮合反応させ、次いで、テトラアルコキシシランと、トリメチルアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシリル化剤とを添加して加水分解、縮合反応させ、最後にアルコール又はアルコールと水の混合溶液で洗浄して上記界面活性剤を除去することを特徴とするシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した撥水性微粒子の製造方法。

【公開番号】特開2010−180335(P2010−180335A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25529(P2009−25529)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】