説明

撮像素子、電子機器、並びに、製造方法

【課題】複数方向の被写体を撮像することができるようにする。
【解決手段】本開示の撮像素子は、光電変換素子が形成されるシリコン基板と、前記シリコン基板の表面側に形成される配線層とを備え、前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する。本開示は撮像素子、電子機器、並びに、製造方法に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子、電子機器、並びに、製造方法に関し、特に、複数方向の被写体を撮像することができるようにした撮像素子、電子機器、並びに、製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器、特に携帯電話機に代表される情報通信端末においては、イメージセンサが2つ以上設けられている場合がある。このようなイメージセンサとしては、例えば、写真撮影用のメインカメラ、テレビ電話用のサブカメラ、周辺照度を検知する照度センサ、または、赤外線を検知する赤外線センサなどが挙げられる。
【0003】
ところで、電子機器は、小型化、薄型化、および、低コスト化等が常に求められているが、上述したように多数のイメージセンサの設置も求められており、そのイメージセンサによって、小型化、薄型化、および低コスト化の実現が困難になる場合もあった。
【0004】
そこで、2つの撮像素子を貼り合わせて両面から受光可能にする方法が考えられた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法においても、2つの撮像素子が使用される。つまり、この技術では、撮像素子2個分のコストが必要となり、低コスト化の実現が困難であった。
【0005】
そこで、撮像素子の表面および裏面の両方から光を受光する構造が考えられた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−306387号公報
【特許文献2】特許400449号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2には、正面側と背面側の撮像を行う固体撮像素子(光電変換素子)を共通化することが記載されているのみである。
【0008】
しかしながら、さらなる性能向上が求められている。
【0009】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より具体的な構成を開示することにより、複数方向の被写体を撮像する機能の多用途化、高機能化、低コスト化、および小型化等の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面は、光電変換素子が形成されるシリコン基板と、前記シリコン基板の表面側に形成される配線層とを備え、前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する撮像素子である。
【0011】
前記配線層の配線は、前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路以外に配置されることができる。
【0012】
前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路に導波路が形成されることができる。
【0013】
前記光電変換素子の裏面側にカラーフィルタを備え、前記光電変換素子の表面側にカラーフィルタ以外のフィルタが備えられることができる。
【0014】
前記カラーフィルタ以外のフィルタは、赤外透過フィルタ若しくはホワイト画素用フィルタの少なくともいずれか一方を含むことができる。
【0015】
各画素のフィルタが、所定の無機膜により分離されることができる。
【0016】
前記光電変換素子の裏面側と表面側の両方にオンチップレンズが形成されることができる。
【0017】
前記オンチップレンズは、無機系の材料により形成されることができる。
【0018】
前記光電変換素子の裏面側にのみオンチップレンズが形成されることができる。
【0019】
前記シリコン基板は、各画素の構成として複数の前記光電変換素子を備える縦型分光構造を有することができる。
【0020】
前記配線層の配線の外部端子としての電極部を有し、前記シリコン基板および前記配線層は、前記電極部が裏面側に露出するように開口されることができる。
【0021】
前記電極部は、前記電極部に積層される構成が、前記光電変換素子が形成される画素領域における構成よりも盛り上がるように、比較的厚く形成されることができる。
【0022】
前記配線層の表面側には、所定の接着材料を用いて、光を透過する支持基板が接着されることができる。
【0023】
前記配線層の表面側には、プラズマ接合により、光を透過する支持基板が接合されることができる。
【0024】
前記配線層の表面側に形成される、光を透過する支持基板の、前記光電変換素子が形成される画素領域以外の部分に回路が形成されることができる。
【0025】
配線若しくは遮光膜、またはその両方によって、前記光電変換素子の裏面側および表面側のうち、一方の側から入射する光を遮光し、前記光電変換素子が、他方の側から入射する光のみを光電変換する画素を有することができる。
【0026】
前記光電変換素子の表面側および裏面側のそれぞれに、互いに独立に駆動し、それぞれの側からの光の入射を制御するシャッタをさらに備えることができる。
【0027】
前記光電変換素子の一方の側の画素領域が遮光板により分割され、分割された各領域の画素が互いに異なる波長域の検出に用いられることができる。
【0028】
本開示の他の側面は、光電変換素子が形成されるシリコン基板と、前記シリコン基板の表面側に形成される配線層とを備え、前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子により得られた画像に対して画像処理を行う画像処理部とを備える電子機器である。
【0029】
本開示のさらに他の側面は、製造装置の製造方法であって、製造部が、表面照射型のイメージセンサを製造し、接着部が、接着材料を用いて、光を透過する支持基板を、前記表面照射型のイメージセンサの表面側に接着し、研磨部が、前記表面照射型のイメージセンサの裏面側を研磨し、形成部が、研磨された前記表面照射型のイメージセンサの裏面側にオンチップレンズを形成する製造方法である。
【0030】
本開示の一側面においては、光電変換素子が形成されるシリコン基板と、シリコン基板の表面側に形成される配線層とが備えられ、光電変換素子により、表面側から配線層を介して入射される光が光電変換されるとともに、シリコン基板の裏面側から配線層を介さずに入射される光が光電変換される。
【0031】
本開示の他の側面においては、光電変換素子が形成されるシリコン基板と、シリコン基板の表面側に形成される配線層とが備えられ、光電変換素子により、表面側から配線層を介して入射される光が光電変換されるとともに、シリコン基板の裏面側から配線層を介さずに入射される光が光電変換され、得られた画像に対して画像処理が行われる。
【0032】
本開示のさらに他の側面においては、表面照射型のイメージセンサが製造され、接着材料を用いて、光を透過する支持基板が、表面照射型のイメージセンサの表面側に接着され、表面照射型のイメージセンサの裏面側が研磨され、研磨された表面照射型のイメージセンサの裏面側にオンチップレンズが形成される。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、被写体を撮像することができる。特に、複数方向の被写体を撮像する機能の性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】裏面照射型のCMOSイメージセンサの主な構成例を示す図である。
【図2】裏面照射型のCMOSイメージセンサを用いた電子機器の主な構成例を示す図である。
【図3】両面照射型の撮像素子の主な構成例を示す図である。
【図4】導波路の有無による入射光の光路の違いを説明する図である。
【図5】製造装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図6】製造処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】各工程の様子を説明する図である。
【図8】フィルタの例を説明する図である。
【図9】両面照射型の撮像素子の、他の構成例を示す図である。
【図10】製造装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】製造処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図12】各工程の様子を説明する図である。
【図13】両面照射型の撮像素子の、さらに他の構成例を示す図である。
【図14】撮像素子の構成例を示す図である。
【図15】撮像素子の他の構成例を示す図である。
【図16】両面照射型の撮像素子の、さらに他の構成例を示す図である。
【図17】多層構造を説明する図である。
【図18】多層構造を説明する図である。
【図19】両面照射型の撮像素子の、さらに他の構成例を示す図である。
【図20】フィルタの他の例を説明する図である。
【図21】撮像モジュールの主な構成例を示す図である。
【図22】撮像モジュールの他の構成例を示す図である。
【図23】フィルタの構成例を示す図である。
【図24】両面照射型のCMOSイメージセンサを用いた電子機器の構成例を示す図である。
【図25】両面照射型のCMOSイメージセンサを用いた電子機器の、内部の構成例を示すブロック図である。
【図26】撮像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図27】撮像の様子の例を説明する図である。
【図28】撮像処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図29】情報提供システムの例を説明する図である。
【図30】端末装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図31】情報提供サーバの主な構成例を示すブロック図である。
【図32】情報提供処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本技術を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(撮像素子,製造装置)
2.第2の実施の形態(撮像モジュール)
3.第3の実施の形態(電子機器)
4.第4の実施の形態(情報提供システム)
【0036】
<1.第1の実施の形態>
[裏面照射型CMOSイメージセンサ]
図1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサの構成例を示す図である。図1に示される撮像素子10は、フォトダイオード等の光電変換素子が形成される半導体基板の表面側に配線層が形成され、裏面側から入射する光を光電変換素子によって光電変換する裏面照射型のCMOSイメージセンサである。
【0037】
撮像素子10のシリコン基板11には、入射光を光電変換するフォトダイオード12が形成される。図中、左側が表面側であり、右側が裏面側である。シリコン基板11の裏面側には、平坦化膜13、カラーフィルタ14、およびオンチップレンズ15が形成される。フォトダイオード12は、この裏面側から、平坦化膜13、カラーフィルタ14、およびオンチップレンズ15を介して入射される光を光電変換する。
【0038】
シリコン基板11の表面側には、フォトダイオード12に蓄積された電荷を読み出す回路等の配線16が形成される配線層が形成される。配線層の表面側には、回路の外部端子となるPAD電極17が形成される。さらに、配線層の表面側には、パッシベーション膜18等が形成されて保護される。さらに、そのパッシベーション膜18の表面側に支持基板19が形成される。
【0039】
このように、裏面照射型の撮像素子10は、一方向(裏面側)からの入射光のみを光電変換する。
【0040】
[電子機器]
図2は、このような裏面照射型の撮像素子10を用いた電子機器の構成例を示す図である。
【0041】
図2に示される電子機器30は、図1に示される撮像素子を内蔵し、前方と後方の両方を撮像することができる。電子機器30は、図2Aに示されるように、その筺体の前面31に前方用レンズ41を有し、図2Bに示されるように、その筺体の背面32に後方用レンズ42を有する。
【0042】
図2Cは、電子機器30を側面33側から見た透過図である。図2Cに示されるように、この場合、電子機器30は、前方を撮像するための前方撮像モジュール51と、後方を撮像するための後方撮像モジュール52とを内蔵する。つまり、電子機器30は、図1の撮像素子10を少なくとも2つ以上内蔵する必要がある。
【0043】
そのため、電子機器30の製造コストの低減や、筺体の小型化が困難になる恐れがあった。また、例えば、前方撮像素子で照度を検知しながら、後方撮像素子で被写体を撮像する場合等、両方の撮像素子を同時に駆動させたい場合、撮像素子10を複数駆動させなければならず、消費電力の低減が困難であった。
【0044】
なお、特許文献2には、正面と背面の両方で撮像する撮像素子が開示されているが、上述したように、光電変換素子が共通化されることが記載されているのみである。
【0045】
本開示においては、表面および裏面の被写体を撮像する撮像素子の構成をより具体的に開示することにより、撮像性能をより向上させた撮像素子について説明する。
【0046】
[両面照射型CMOSイメージセンサ]
図3は、両面照射型の撮像素子の主な構成例を示す図である。図3に示される撮像素子100は、同じシリコン基板の表面および裏面にそれぞれ受光部を持ち、表面から入射した光と裏面から入射した光が同一のフォトダイオードに集光されて駆動する両面照射型の撮像素子である。
【0047】
撮像素子100のシリコン基板111には、入射された光を光電変換するフォトダイオード121が形成される。図中、左側が表面側であり、右側が裏面側である。
【0048】
シリコン基板111の裏面側には、シリコン基板111の裏面界面を平坦化させる平坦化膜122、入射光の所定の波長域(色)成分を透過させるカラーフィルタ123、および、入射光をフォトダイオード121の裏面側に集光させるオンチップレンズ124が積層される。
【0049】
また、シリコン基板111の表面側には、配線131が複数層形成される配線層112が形成される。配線131は、例えばフォトダイオード121に蓄積される電荷を読み出す回路等の配線である。配線層112の表面側には、その回路の外部端子となる電極部132が形成される。電極部132は、裏面側に対して露出している。
【0050】
配線層112および電極部132の表面側は、パッシベーション膜141が形成され、保護されている。フォトダイオード121には表面側から入射光が照射される。したがって、配線131は、配線層112の、その入射光の光路となる部分以外に配置される。つまり、例えば、図3に示されるように、配線層112の、後述するカラーフィルタ144(オンチップレンズ145)からフォトダイオード121までを結ぶ部分を避けて、配線される。
【0051】
この、配線層112の、表面側から入射される入射光の光路となる部分は、表面側から穴が開けられ、パッシベーション膜141が形成された後、導波路142が形成される。導波路142は、例えば、高屈折率の樹脂や、シリコン窒化膜(SiN)等、所定の素材により構成される。導波路142は、周囲との屈折率の差により、光が入出力する面以外の境界面で全反射を起こして、高効率に光を伝搬する。
【0052】
導波路142およびパッシベーション膜141の表面側には、さらに、平坦化膜143、カラーフィルタ144、およびオンチップレンズ145が積層される。これらは、表面側から入射される光のための構成である。さらに、オンチップレンズ145の表面側に、光を透過する透明支持基板146が接合若しくは接着される。
【0053】
以上のように、フォトダイオード121には、表面側と裏面側の両方から光が入射する。フォトダイオード121は、その両方の光を光電変換することができる。つまり、撮像素子100においては、表面側から入射される光を光電変換する光電変換素子と、裏面側から入射される光を光電変換する光電変換素子とが共通化されている。さらに、撮像素子100の場合、配線131も共通化することができる。したがって、このような両面照射型の撮像素子100をより小型に実現することができる、また、撮像素子100の製造コストを、個別に2つの撮像素子を製造する場合に比べて低減させることができる。
【0054】
なお、撮像素子100の場合、配線層112がシリコン基板111の一方の側(表面側)に形成される。したがって、撮像素子100の裏面側から入射する光は、オンチップレンズ124、カラーフィルタ123、および平坦化膜122の各層を透過し、フォトダイオード121に入射し、光電変換される。つまり撮像素子100の裏面側から入射する光は、配線層を介さずにフォトダイオード121に入射されるので、撮像素子100は、裏面側の光電変換の感度を向上させることができる。
【0055】
また、上述したように、配線層112に導波路142が形成されるので、撮像素子100は、表面側の光電変換の感度も向上させることができる。
【0056】
なお、導波路142が設けられることにより、撮像素子100に表面側から入射される入射光は、その導波路142を通ってフォトダイオード121に入射するので、隣接画素への進入が抑制される。つまり、導波路142は、表面側から入射される入射光による混色の発生を抑制することができる。また、それだけでなく、導波路142は、裏面側から撮像素子100に入射される入射光による混色の発生も抑制することができる。
【0057】
例えば、導波路142を設けない場合、図4Aに示されるように、裏面側から入射した光は、フォトダイオード121を透過した後、配線131によって反射し、隣接画素のフォトダイオード121へ侵入してしまう恐れがあった。すなわち、混色が発生する恐れがあった。
【0058】
これに対して、撮像素子100の場合、図4Bに示されるように、裏面側から入射した光は、フォトダイオード121を透過した後、導波路142に進入するので、配線131に反射せずに表面側に抜ける。したがって、混色の発生が抑制される。
【0059】
なお、画素サイズが小さいほど、混色が発生する可能性が高くなるので、導波路142による混色発生を抑制することによる効果はより大きくなる。
【0060】
なお、配線131を共通化せずに、フォトダイオード121が表面側からの入射光を光電変換する場合の回路と、裏面側からの入射光を光電変換する場合の回路とを分けるようにしてもよい。ただし、この場合、両回路を独立して動作させることができるようになるものの、略同様の構成の回路が2系統形成されることになるので、回路の冗長性が増大する。
【0061】
さらに、フォトダイオード121、トランジスタ、および配線131等の回路を共通化することにより、製造時の工程数を低減させることができ、個別に2つの撮像素子を製造する場合に比べて製造コストを低減させることができる。
【0062】
また、図3に示されるように、シリコン基板111およびシリコン基板111より表面側の構成が、表面照射型のイメージセンサを形成している。また、シリコン基板111およびシリコン基板111より裏面側の構成が、裏面照射型のイメージセンサを構成している。
【0063】
つまり、撮像素子100は、表面照射型のイメージセンサの裏面側に、裏面照射型のイメージセンサのシリコン基板111より裏面側の構成(平坦化膜122乃至オンチップレンズ124)を形成することにより、製造することができる(ただし、電極部132の開口方向は裏面側である)。換言すれば、撮像素子100は、裏面照射型のイメージセンサの配線層112の表面側に、表面照射型のイメージセンサの配線層112より表面側の構成(パッシベーション膜141乃至透明支持基板146)を形成することにより、製造することができる。
【0064】
つまり、撮像素子100は、従来の撮像素子の製造方法を用いて容易に製造することができる。
【0065】
[製造]
以下に、撮像素子100の製造方法の例について説明する。
【0066】
図5は、撮像素子100を製造する製造装置の主な構成例を示すブロック図である。図5に示されるように、製造装置200は、制御部201、表面照射型イメージセンサ製造部211、接着部塗布部212、透明支持基板接着部213、研磨部214、平坦化膜塗布部215、フィルタレンズ形成部216、および電極開口部217を有する。また、製造装置200は、入力部221、出力部222、記憶部223、通信部224、およびドライブ225を有する。
【0067】
制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を有し、その他の各部を制御し、撮像素子100の製造に関する処理を行う。例えば、制御部201のCPUは、ROMに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、CPUは、記憶部223からRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはまた、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0068】
表面照射型イメージセンサ製造部211乃至電極開口部217は、制御部201に制御され、撮像素子100を製造する各工程の処理を行う。
【0069】
入力部221は、キーボード、マウス、タッチパネル、および外部入力端子などよりなり、ユーザ指示や外部からの情報の入力を受け付け、制御部201に供給する。出力部222は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ、スピーカ、並びに外部出力端子などよりなり、制御部201から供給される各種情報を画像、音声、若しくは、アナログ信号やデジタルデータとして出力する。
【0070】
記憶部223は、フラッシュメモリ等SSD(Solid State Drive)やハードディスクなどよりなり、制御部201から供給される情報を記憶したり、制御部201からの要求に従って、記憶している情報を読み出して供給したりする。
【0071】
通信部224は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や無線LANのインタフェースやモデムなどよりなり、インターネットを含むネットワークを介して、外部の装置との通信処理を行う。例えば、通信部224は、制御部201から供給される情報を通信相手に送信したり、通信相手から受信した情報を制御部201に供給したりする。
【0072】
ドライブ225は、必要に応じて制御部201に接続される。そして、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア231がそのドライブ225に適宜装着される。そして、そのドライブ225を介してリムーバブルメディア231から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部223にインストールされる。
【0073】
図6のフローチャートを参照して、製造処理の流れの例を説明する。なお、適宜、図7を参照して説明する。図7は、製造処理の各工程の様子を説明する図である。
【0074】
製造処理が開始されると、ステップS101において、表面照射型イメージセンサ製造部211は、制御部201に制御されて、例えば、特開2010−41034号公報(以下、特許文献3と称する)に記載のような従来の方法で、配線層に導波路を有する表面照射型のイメージセンサを製造する(図7のプロセス[1])。
【0075】
ステップS102において、接着剤塗布部212は、制御部201に制御されて、オンチップレンズ145の表面に所定の接着材料252を塗布する(図7のプロセス[2])。
【0076】
ステップS103において、透明支持基板接着部213は、制御部201に制御されて、透明支持基板146を接着する(図7のプロセス[3])。
【0077】
研磨部214は、ステップS104において、制御部201に制御されて、ここまで製造した撮像素子100を裏返し(図7のプロセス[4])す。研磨部214は、さらに、ステップS105において、制御部201に制御されて、シリコン基板111の裏面側を研磨する(図7のプロセス[5])。研磨の方法は、バックグラインドでも良いが、カラーフィルタ144やオンチップレンズ145への圧力を軽減するためにエッチングによって行われるようにしても良い。
【0078】
これ以降のプロセスは、例えば、特開2008−103368号公報(以下、特許文献4と称する)に記載のような従来の裏面照射型イメージセンサの製造手法と同様に行うことができる。
【0079】
ステップS106において、平坦化膜塗布部215は、制御部201に制御されて、研磨されたシリコン基板111の裏面界面に平坦化膜122を塗布する(図7のプロセス[6])。
【0080】
ステップS107において、フィルタレンズ形成部216は、制御部201に制御されて、平坦化膜122の裏面側にカラーフィルタを形成する(図7のプロセス[7])。さらに、フィルタレンズ形成部216は、ステップS108において、制御部201に制御されて、オンチップレンズを形成する(図7のプロセス[8])。
【0081】
ステップS109において、電極開口部217は、制御部201に制御されて、シリコン基板111および配線層112を裏面側から開口し、電極部132を裏面側に露出させる。
【0082】
ステップS109の処理が終了すると、制御部201は、製造処理を終了する。
【0083】
以上のように、製造装置200は、従来の撮像素子の製造方法を利用して、撮像素子100をより容易に製造することができる。
【0084】
[多用途化]
なお、以上においてはカラーフィルタが形成されるように説明したが、このフィルタは、例えばRGBのカラーフィルタであっても良いし、ホワイト画素用のフィルタであってもよい。また、フォトダイオード121に入射される光の波長域は、例えば赤外光等の可視光以外であってもよい。つまり、このフィルタは、赤外光を透過させる赤外透過フィルタであってもよい。
【0085】
図3に示されるように、裏面側から入射される光は、配線層を介さずにフォトダイオード121に入射されるので、フォトダイオード121は、裏面側の入射光に対する感度の方が良い。そこで、例えば、撮像素子100の裏面側の構成を、可視光の撮像に用い、表面側の構成を、赤外光の検出や照度検知等、通常の可視光の画像の撮像以外の用途に用いるようにしてもよい。
【0086】
図8は、撮像素子100の表面側と裏面側のそれぞれのフィルタの構成例を説明する図である。図8の例の場合、裏面側の画素にRGBのベイヤ配列のカラーフィルタ261が形成され、表面側の画素に赤外透過フィルタとホワイト画素用フィルタが所定の順に配列された多用途フィルタ262が形成されている。
【0087】
つまり、この場合、撮像素子100は、裏面側の構成で、通常の可視光の(RGBの)画像の撮像を行い、表面側の構成で、赤外光を検出したり、照度を検知したりすることができる。したがって、撮像素子100は、より多様な用途に用いることができる。
【0088】
なお、フィルタの構成は、図8に限らない。例えば、表面側のフィルタが、多用途フィルタ262の代わりに、赤外透過フィルタのみにより構成されるようにしてもよいし、ホワイト画素用フィルタのみにより構成されるようにしてもよい。もちろん、例えば、RGBのカラーフィルタと混在させるようにしてもよいし、これら以外のフィルタを用いるようにしてもよい。さらに、表面側にカラーフィルタ261を適用し、裏面側に多用途フィルタ262を適用するようにしてもよい。
【0089】
[表面側の他の構成例]
なお、図8の例のように、一方において通常の可視光の画像を撮像し、他方において赤外光や照度等の検知を行うようにする場合、例えば図9に示されるように、撮像素子100のオンチップレンズ等の構成を省略することもできる。
【0090】
図9の例の場合、撮像素子100は、裏面側において通常の可視光の(RGBの)画像の撮像を行い、表面側において照度検知や赤外検知を行う。照度検知や赤外検知の用途では、入射光を集光させるオンチップレンズ145は必須ではない。そこで、撮像素子100においては、導波路142乃至オンチップレンズ145が省略されている。このようにすることにより、撮像素子100は、製造に必要な材料や工程数を低減することができ、製造コストを低減させることができる。また、表面側の構造が単純化するので、撮像素子100は、圧力による材料の形状崩れのリスクを低減させることができる。
【0091】
[製造]
図10は、この場合の製造装置の構成例を示すブロック図である。図10に示される製造装置300は、図9の場合の撮像素子100を製造する装置である。図10に示されるように、製造装置300は、制御部301、フォトダイオード形成部311、配線層形成部312、電極部形成部313、パッシベーション膜形成部314、透明支持基板接合部315、研磨部316、平坦化膜塗布部317、フィルタレンズ形成部318、および電極開口部319を有する。制御部301は、図5に示される制御部201と同様の処理部である。
【0092】
また、製造装置300は、入力部321、出力部322、記憶部323、通信部324、およびドライブ325を有する。入力部321乃至ドライブ325は、それぞれ、図5に示される入力部221乃至ドライブ225と同様の処理部である。また、リムーバブルメディア331は、図5のリムーバブルメディア231と同様のメディアである。
【0093】
フォトダイオード形成部311乃至電極開口部319は、制御部301に制御され、撮像素子100の製造に関する各工程の処理を実行する。
【0094】
図11のフローチャートを参照して、この場合の製造処理の流れの例を説明する。必要に応じて図12を参照して説明する。
【0095】
製造処理が開始されると、ステップS201において、フォトダイオード形成部311は、制御部301に制御されて、シリコン基板111にフォトダイオード121を形成する。ステップS202において、配線層形成部312は、制御部301に制御されて、シリコン基板111の表面側に配線層112を形成する。ステップS203において、電極部形成部313は、制御部301に制御されて、配線層112の表面側に電極部132を形成する(図12に示されるプロセス[1])。
【0096】
ステップS204において、パッシベーション膜形成部314は、制御部301に制御されて、配線層112および電極部132の表面側に、例えばシリコン窒化膜(SiN)等のパッシベーション膜141を形成する(図12に示されるプロセス[2])。
【0097】
ステップS205において、透明支持基板接合部315は、制御部301に制御されて、プラズマ接合により透明支持基板146をパッシベーション膜141に接合する(図12に示されるプロセス[3])。なお、この場合、パッシベーション膜141は、比較的平坦であるので、プラズマ接合による接合を容易に実現することができる。プラズマ接合の代わりに、接着部材を用いて透明支持基板146をパッシベーション膜141に接着することもできるが、接着部材により光の吸収や屈折が生じる恐れがある。すなわち、集光効率が低下し、イメージセンサの感度が低下する恐れがある。これに対してプラズマ接合の場合、そのような光の吸収や屈折の恐れがなく、フォトダイオード121を高感度に維持することができる。
【0098】
なお、図5乃至図7を参照して説明した製造方法においては、透明支持基板146を接着材料を用いて接着するように説明した。この場合、表面側にはオンチップレンズ145が形成されているので、平坦でないのでプラズマ接合よりも接着部材を用いた接着の方が容易である。
【0099】
ステップS206において、研磨部316は、制御部301に制御されて、ここまで製造した撮像素子100を裏返す(図12に示されるプロセス[4])。ステップS207において、研磨部316は、制御部301に制御されて、シリコン基板111の裏面側を研磨する(図12に示されるプロセス[5])。
【0100】
ステップS208において、平坦化膜塗布部317は、制御部301に制御されて、研磨したシリコン基板111の裏面界面に平坦化膜122を塗布する(図12に示されるプロセス[6])。
【0101】
ステップS209において、フィルタレンズ形成部318は、制御部301に制御されて、平坦化膜122の裏面側にカラーフィルタ123を形成する(図12に示されるプロセス[7])。さらに、フィルタレンズ形成部318は、ステップS210において、制御部301に制御されて、オンチップレンズ124を形成する(図12に示されるプロセス[8])。
【0102】
ステップS211において、電極開口部319は、制御部301に制御されて、シリコン基板111および配線層112を裏面側から開口し、電極部132を裏面側に露出させる。
【0103】
ステップS211の処理が終了すると、制御部301は、製造処理を終了する。
【0104】
以上のように、製造装置300は、従来の撮像素子の製造方法を利用して、撮像素子100をより容易に製造することができる。
【0105】
[縦型分光構造]
撮像素子100のシリコン基板111において、図13に示されるように、縦型分光構造を適用し、各画素にカラーフィルタを用いないようにしても良い。
【0106】
図13に示される撮像素子100は、シリコン基板111にフォトダイオード351乃至フォトダイオード353が形成される。各フォトダイオードは、入射光の、その深さに応じた波長域の成分を光電変換する。縦型分光構造の作製方法については、例えば、特開2011−29453号公報(以下、特許文献5と称する)に開示されている。このような縦型分光構造の画素の場合、1画素において複数の色成分が検出される。したがって、同一の有機光電変換膜を全画素に塗布するのであれば、カラーフィルタを用いる場合のように圧力によって異なる色の隣接画素同士が混じり合うことはない。
【0107】
なお、このような縦型分光構造を適用することにより、撮像素子100は、カラーフィルタが省略され、より簡易な構造となるので、その製造時にかかる圧力に対する耐性を向上させることができる。
【0108】
[圧力分散構造]
さらに圧力を分散させる手法として、図14の例のように、画素領域の外側(たとえば電極部)を画素領域よりも高く形成するようにしてもよい。図14の例の場合、図3の電極部132よりも厚く形成された電極部361が設けられている。
【0109】
この電極部361の厚みにより、パッシベーション膜141、平坦化膜143、オンチップレンズ145等が、画素部(フォトダイオード121や導波路142等が形成されている部分)よりも電極部361が形成されている部分の方が高く(表面側に盛り上がるように)形成される。
【0110】
そうすることで圧力を画素領域の外側へ分散させることができる。例えば、撮像素子100を製造する際に、裏面からのシリコン研磨すると、撮像素子100に荷重が加わり、オンチップレンズ145やカラーフィルタ144が損傷する恐れがある。そこで、図14に示される例のように、画素領域外の構成を高くする(盛り上げる)ことで、撮像素子100にかかる荷重を周辺に分散させることができる。
【0111】
[フィルタ混色対策]
上述したように、撮像素子100の製造の際に、シリコン基板の裏面を研磨する際、ダイシングのプロセス条件によっては撮像素子100に過度な荷重がかかり、カラーフィルタ144や、オンチップレンズ145などの形状が崩れる恐れがある。
【0112】
そこで、図15に示される例のように、カラーフィルタ144間を、例えば酸化膜や金属系膜等の無機系の膜で囲むようにしてもよい。図15の例の場合、カラーフィルタ144−1およびカラーフィルタ144−2の周囲が無機膜371により囲まれている。つまり、隣接する画素のフィルタであるカラーフィルタ144−1およびカラーフィルタ144−2は、この無機膜371によって互いに分離されている。このようにすることにより、隣接する画素同士のカラーフィルタが圧力によって混ざり合うのを抑制する。
【0113】
また、オンチップレンズ145も無機系の膜(例えばSiN(窒化ケイ素))で形成するようにしてもよい。図15の例の場合、オンチップレンズ145の代わりとして無機系の材料よりなる無機膜オンチップレンズ372が各画素に設けられている。
【0114】
なお、図3を参照して説明した導波路142もSiN(窒化ケイ素)などの無機系高屈折率膜で形成するようにしてもよい。例えばALD(Atomic Layer Deposition)により導波路142を形成するようにすれば、導波路142の径が小さくても高カバレッジで埋めこむことができる。
【0115】
[多層構造]
撮像素子100の透明支持基板146は、少なくとも画素領域部において光を透過することができればよく、例えば図16の例のように、透明支持基板146の、画素領域外に接する部分に、周辺回路等が形成されるようにしてもよい。
【0116】
この場合、図16に示されるように、配線層112の配線に接続される電極部132と、透明支持基板146に組み込まれた回路部381の電極382とを、貫通電極383および接続電極384によって接続することにより、撮像素子100の構成を多層化することができる。
【0117】
図17にこのような多層構造の撮像素子の例を示す。一般的な撮像素子の場合、図17Aに示されるように、単層構造であり、画素領域と、その制御回路やロジック回路は同一の層に形成される。
【0118】
特開2010−245508号公報(以下、特許文献6と称する)には、図17Bに示されるように、撮像素子を多層構造化し、ロジック回路を、画素領域および制御回路とは異なる層に設けるようにすることが記載されている。このように多層化することにより、図17Aの場合に比べて、チップサイズを小さくすることができる。
【0119】
また、特許文献6には、図17Cに示されるように、ロジック回路と制御回路を画素領域と異なる層に設けるようにすることも記載されている。このようにすることにより、図17Bの場合に比べて、画素領域をさらに大きく確保することができる。
【0120】
撮像素子100の場合も、これらと同様に、ロジック回路や制御回路の全てもしくは一部を画素領域と異なる階層に設けることができる。ただし、図18に示されるように、画素領域と異なる層の、画素領域と重畳する部分は、光が透過するような構成とする(透明領域とする)必要がある。図18の例においては、画素領域を撮像素子側の層に設けているが、これに限らず、画素領域を支持基板側の層に設けるようにしてもよい。その場合、撮像素子側の層の画素領域と重畳する部分は透明領域とされる。
【0121】
このように多層構造とすることにより、撮像素子100の面積をより小さくすることができる。
【0122】
[一方向専用画素]
なお、両面照射型である撮像素子100の一部または全部の画素において、遮光膜や配線等により、表裏の内、一方を遮光するようにしてもよい。例えば、図19に示されるように、遮光膜391によって裏面側から入射する光を遮光し、表面撮像用の画素を形成したり、配線392によって表面側から入射する光を遮光し、裏面撮像用の画素を形成したりしてもよい。
【0123】
例えば、全画素の内の半分を、遮光膜391によって裏面側から入射する光が遮光された表面撮像用の画素とし、残りの半分を、配線392によって表面側から入射する光が遮光された裏面撮像用の画素としてもよい。
【0124】
このようにすることにより、表面の撮像と裏面の撮像とが互いに異なる画素において行われるようになる。したがって、撮像素子100は、表面の撮像と裏面の撮像とを同時に行い、表面の画像および裏面の画像の2枚の画像を得ることができる。
【0125】
また、撮像素子100が、上述したような一方向の光のみを検出可能な画素によって、どちら側から光が入っているかを自己認識することができるようにしてもよい。例えば、このような光の入射方向を検知することにより、撮像素子100は、表面側と裏面側のどちら側の画素が駆動しているかを検知することができる。例えば、撮像素子100が、この検知結果によって駆動方法(例えばフレームレートや加算方法など)を変えるようにしてもよい。
【0126】
なお、一部の画素をこのような一方向の光のみを検出可能な構成とし、表面/裏面判別用に用いる場合、撮像により得られた撮像画像において、その画素が欠陥補正により補正されるようにしてもよい。
【0127】
なお、以上のような遮光は、例えば、図20に示されるようにカラーフィルタで行うようにしてもよい。図20の例の場合、表面用カラーフィルタ395の一部の画素が遮光膜397により遮光されている。また、裏面用カラーフィルタ396においては、表面用カラーフィルタ395における遮光された画素と異なる一部の画素が、遮光膜398により遮光されている。
【0128】
このようにフィルタにより一方向が遮光される場合も、撮像素子100は、図19の例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0129】
<2.第2の実施の形態>
[撮像モジュール]
本技術は、表面側および裏面側の両面の撮像を行う撮像モジュールにも適用することができる。図21は、そのような撮像モジュール400の構成例を説明する図である。図21においては、撮像モジュールの断面が示されている。図21に示されるように、撮像モジュール400は、撮像素子として撮像素子100を有する。この撮像素子100は、信号処理回路411に接続される。
【0130】
図中、左側が表面側であり、右側が裏面側である。撮像素子100の裏面側には、赤外光を遮断するIRカットフィルタ412、シャッタ413、および集光レンズ414が設けられている。同様に、撮像素子100の表面側にも、IRカットフィルタ422、シャッタ423、および集光レンズ424が設けられている。
【0131】
シャッタ413およびシャッタ423は、光の入射を制御する。シャッタ413およびシャッタ423は、開いた状態で、光の進入を許し、閉じた状態で遮光する。シャッタ413およびシャッタ423は、一般的に、いずれか一方のみが開く。換言すれば、撮像したい方向のシャッタが開かれる。
【0132】
もちろん、シャッタ413およびシャッタ423の両方が開くようにしても良い。なお、このシャッタ413およびシャッタ423は、メカシャッタであってもよいし、液晶シャッタであってもよい。
【0133】
表面から入射する光は、集光レンズ424と、開いた状態のシャッタ423とを介して、IRカットフィルタ422に到達する。入射光の内、IRカットフィルタ422を透過した成分が、撮像素子100の表面に入射する。また、裏面から入射する光は、集光レンズ414と、開いた状態のシャッタ413とを介して、IRカットフィルタ412に到達する。入射光の内、IRカットフィルタ412を透過した成分が、撮像素子100の裏面に入射する。
【0134】
なお、撮像素子100の一部の画素若しくは全ての画素を赤外光検知に用いる場合、IRカットフィルタ412およびIRカットフィルタ422は、省略する必要がある。
【0135】
さらに、以上に述べたような、例えば、赤外光や照度の検知等、通常の可視光の(RGBの)画像の撮像以外の用途で用いる場合、高い解像度が求められない。このような用途においては、センサ全ての画素を用いる必要はない。
【0136】
つまり、例えば、図22に示されるように、一方若しくは両方の側に入射する光をモジュール構造によって区分けするようにしても良い。図22の例の場合、通常の可視光の画像の撮像用途に用いられる裏面側の画素は、全画素を1つの領域とされ、赤外光検知と照度検知を行う表面側の画素は、遮光板431によって、赤外光を検知する画素と、照度を検知する画素とに領域分割される。
【0137】
このとき、裏面側には、ベイヤ配列等の通常撮影用のカラーフィルタが設けられ、表面側の照度を検知する部分には、IRカットフィルタ422、シャッタ423−1、および集光レンズ424−1が形成され、赤外光を検知する部分には、赤外光透過フィルタ432、シャッタ423−2、および集光レンズ424−2が形成される。つまり、この場合、フィルタは、図23の例のように構成される。なお、モジュール内のフィルタ部422若しくは432だけでフォロダイオードへの入射光を決定付けても良い場合、カラーフィルタを省略することができる。逆に、カラーフィルタだけでフォトダイオードへの入射光を決定づける場合、モジュール内のフィルタ部422若しくは432を省略することができる。どちらか一方に限定することで、低コスト化が可能となる。
【0138】
なお、用途は上述した例に限らない。例えば、区分けした一方の領域を、立体視画像(3D画像)の右眼用画像を撮像する領域とし、他方の領域を、立体視画像(3D画像)の左眼用画像を撮像する領域とし、撮像素子100が3D画像の撮像を行うことができるようにしてもよい。
【0139】
以上のように、撮像モジュール400は、撮像素子100を有するので、複数方向の被写体を撮像する機能の性能をより向上させることができる。
【0140】
<3.第3の実施の形態>
[電子機器外観]
本技術は、表面側および裏面側の両側を撮像する機能を有する電子機器にも適用することができる。図24は、そのような電子機器の外観を説明する図である。図2の場合と同様に、図24Aの電子機器500は、その前面501に前方を撮像するための前方用レンズ511が設けられている。
【0141】
また、図24Bに示されるように、電子機器500の背面502には、後方を撮像するための後方用レンズ512が設けられている。
【0142】
図24Cに示されるように、この電子機器500は、上述した撮像モジュール400を内蔵する。撮像モジュール400は、前方用レンズ511を介して前方の撮像を行うことができる。また、撮像モジュール400は、後方用レンズ512を介して後方の撮像を行うことができる。
【0143】
したがって、電子機器500は、図2の場合と比べて、容易に小型化や薄型化を実現することができる。また、製造コストを低減させることができる。
【0144】
[電子機器内部構成]
図25は、この電子機器500の内部の構成例を示すブロック図である。図25に示されるように電子機器500は、撮像モジュール400、A/D変換部521、画像処理部522、表示部523、コーデック処理部524、記録部525、制御部530、および操作部531を有する。
【0145】
撮像モジュール400は、上述したように撮像素子100を有しており、表面側から入射する表面入射光と、裏面側から入射する裏面入射光の両方を光電変換することができる。撮像モジュール400は、それらの入射光を光電変換して画素毎の信号(画素信号)をA/D変換部521に供給する。
【0146】
A/D変換器521は、撮像モジュール400から、所定のタイミングで供給された画素信号を、デジタルデータ(画像データ)に変換し、所定のタイミングで順次、画像処理部522に供給する。
【0147】
操作部531は、例えば、ジョグダイヤル(商標)、キー、ボタン、またはタッチパネル等により構成され、ユーザによる操作入力を受け、その操作入力に対応する信号を制御部530に供給する。
【0148】
制御部530は、操作部531により入力されたユーザの操作入力に対応する信号に基づいて、各部の駆動を制御し、各部に撮像に関する処理を行わせる。
【0149】
画像処理部522は、A/D変換器521から供給された画像データに対して、例えば、混色補正や、黒レベル補正、ホワイトバランス調整、デモザイク処理、マトリックス処理、ガンマ補正、およびYC変換等の各種画像処理を施す。画像処理部522は、画像処理を施した画像データを表示部523およびコーデック処理部524に供給する。
【0150】
表示部523は、例えば、液晶ディスプレイ等として構成され、画像処理部522から供給された画像データに基づいて、被写体の画像を表示する。
【0151】
コーデック処理部524は、画像処理部522から供給された画像データに対して、所定の方式の符号化処理を施し、得られた符号化データを記録部525に供給する。
【0152】
記録部525は、コーデック処理部524からの符号化データを記録する。記録部525に記録された符号化データは、必要に応じて画像処理部522に読み出されて復号される。復号処理により得られた画像データは、表示部523に供給され、対応する画像が表示される。
【0153】
以上のように、電子機器500は、本技術を適用した撮像モジュール400(撮像素子100)を有するので、複数方向の被写体を撮像する機能の多用途化、高機能化、低コスト化、および小型化を実現することができる。
【0154】
[撮像処理の流れ]
図26のフローチャートを参照して、この電子機器500により実行される撮像処理の流れの例を説明する。
【0155】
ステップS301において、制御部530は、操作部531から供給されるユーザの指示等に基づいて、裏面側を撮像するか否かを判定する。裏面側を撮像すると判定した場合、操作部531は、処理をステップS302に進め、撮像モジュール400を制御する。
【0156】
ステップS302において、撮像モジュール400は、例えば、シャッタ423を閉じる等して表面側を遮光し、シャッタ413を開口して撮像素子100を駆動させ、裏面側の被写体を撮像する。
【0157】
撮像が終了すると、制御部530は、処理をステップS304に進める。
【0158】
また、ステップS301において、表面側を撮像する(若しくは、赤外光や照度の検知等を行う)と判定した場合、制御部530は、処理をステップS303に進め、撮像モジュール400を制御する。
【0159】
ステップS303において、撮像モジュール400は、例えば、シャッタ413を閉じる等して裏面側を遮光し、シャッタ423を開口して撮像素子100を駆動させ、表面側の被写体を撮像する。
【0160】
撮像が終了すると、制御部530は、処理をステップS304に進める。
【0161】
ステップS304において、A/D変換部521は、制御部530に制御され、撮像モジュール400から出力される画素信号をA/D変換し、デジタルデータの撮像画像データに変換する。
【0162】
ステップS305において、画像処理部522は、制御部530に制御され、A/D変換されて得られた撮像画像データに対して所定の画像処理を施す。
【0163】
ステップS306において、表示部523は、制御部530に制御され、画像処理された撮像画像データの撮像画像をモニタに表示する。
【0164】
ステップS307において、コーデック処理部524は、制御部530に制御され、画像処理された撮像画像データを符号化する。
【0165】
ステップS308において、記録部525は、制御部530に制御され、符号化された撮像画像データを記録する。
【0166】
ステップS308の処理が終了すると、制御部530は、撮像処理を終了する。
【0167】
以上のように各処理を実行することにより、電子機器500は、容易に、複数方向の被写体を撮像することができる。また、電子機器500は、容易に、赤外光や照度の検知等、より多様な用途に使用することができる。
【0168】
[合成画像の生成]
なお、電子機器500は、表面側と裏面側の両方のシャッタを開放し、表面側の被写体と裏面側の被写体の両方を撮像することもできる。この場合、表面側と裏面側の光が両方とも1つのフォトダイオード121に集光される。つまり、図27に示されるように電子機器500の前方に位置する前方被写体541の画像と、後方に位置する後方被写体542の画像とがフォトダイオード121において合成されることになる。したがって、撮像モジュール400からは、前方被写体541の画像と後方被写体542の画像との合成画像543が出力される。つまり、撮像モジュール400からは、表面側の撮像画像と裏面側の撮像画像が合成された合成画像が出力される。
【0169】
さらに、電子機器500(撮像モジュール400)は、シャッタの開放度(液晶シャッタなら濃度)を表面側と裏面側で個別に調整して、合成される画像の表面/裏面の強弱を調整することもできる。もちろん、電子機器500(撮像モジュール400)が、表面側と裏面側で撮像のタイミングをずらす(互いに異なるタイミングで撮像する)ようにしてもよい。
【0170】
さらに、例えば、表面側の撮像における電荷蓄積時間と、裏面側の撮像における電荷蓄積時間も互いに独立に設定することができるようにしてもよい。例えば、電子機器500(撮像モジュール400)は、表面側と裏面側とで電荷蓄積時間が互いに異なるようにすることもできる。
【0171】
[撮像処理の流れ]
図28のフローチャートを参照して、その場合の撮像処理の流れの例を説明する。
【0172】
ステップS321において、制御部530は、操作部531から供給されるユーザの指示等に基づいて、撮像モジュール400を制御する。撮像モジュール400は、表面側および裏面側の両面のシャッタを開放して撮像素子100を駆動させ、両面側の被写体の合成画像を撮像する。
【0173】
ステップS322乃至ステップS326の各処理は、図26のステップS304乃至ステップS308の各処理と同様に行われる。
【0174】
以上のように各処理を実行することにより、電子機器500は、容易に、複数方向の被写体の合成画像を撮像することができる。
【0175】
<4.第4の実施の形態>
[情報提供システム]
なお、このような合成画像を撮像する電子機器500を用いて情報提供サービスを実現することも出来る。例えば、位置情報特定等に合成画像を利用するようにしてもよい。
【0176】
例えば、商業施設における利用を想定する。情報提供を受けたいユーザは、商業施設内において電子機器500の表面側および裏面側の合成画像を撮影し、この合成画像をオンライン上でサーバに提供する。サーバはこの合成画像をデータベースと照合し、ユーザがいる位置を特定し、その商業施設の販促情報などを携帯情報端末(例えば電子機器500)に配信する。
【0177】
上述したように、電子機器500は、フォトダイオード121において合成画像を生成するので、合成処理等が不要になり、短時間でこのような合成画像を得ることができる。また、合成前の複数の画像を処理する必要がないので、電子機器500は、このような合成画像を得るのに必要なメモリ容量を低減させることができる。さらに、電子機器500は、合成画像をサーバに伝送するので、複数の画像分の情報を画像1枚分のデータ量にすることができ、データ伝送量を低減させることができる。
【0178】
さらに、データベースにおいても、表面および裏面の合成画像を蓄積すればよいので、データベースの容量を低減させることもできる。また、サーバによる照会処理の負荷も低減させることができる。なお、例えば、表面側の撮像画像、若しくは、裏面側の撮像画像のみで同様の情報提供サービスを実現することは可能であるが、画像1枚分の情報量しかないため、照会に利用する情報量が合成画像の場合と比べて少なくなる。したがって、合成画像の場合と比べて誤判定につながる可能性が高くなる恐れがある。
【0179】
例えば、従来のGPS等の位置情報と併用することにより、ユーザの位置特定精度をさらに向上させることができる。従来のGPS等の位置情報の場合、建物内の位置特定が困難であった。また、例えば、ユーザが何階にいるのかを判別することも困難であった。本技術を用いることで、ユーザの立ち位置を画像によってより容易かつ詳細に特定することができる。つまり、より正確な情報提供を行うことができる。
【0180】
図29は、このような情報提供サービスを提供する情報提供システムの構成例を示す図である。図29に示される情報提供システム600は、情報提供サーバ603から、端末装置601−1乃至端末装置601−3のユーザに対して情報提供を行うシステムである。
【0181】
各端末装置を互いに区別して説明する必要が無い場合、単に、端末装置601と称する。また、図29においては、3台の端末装置601が示されているが、情報提供システム600を構成する端末装置601の台数は任意である。
【0182】
端末装置601は、例えばインターネットに代表されるネットワーク602を介して情報提供サーバ603に接続される。ネットワーク602の構成は任意であり、例えば複数のネットワークよりなるようにしてもよい。また、ネットワーク602は、有線のネットワークであってもよいし、無線のネットワークであってもよいし、有線および無線の両方を含むネットワークであってもよい。
【0183】
情報を提供する側の情報提供サーバ603は、詳細位置データベース604および提供情報データベース605に接続される。図29においては、情報提供サーバ603、詳細位置データベース604、および提供情報データベース605が1台ずつ示されているが、これらの台数はそれぞれ任意である。
【0184】
端末装置601は、少なくとも上述した電子機器500と同様の機能を有する。また、端末装置601は、GPS等の位置情報を取得する機能をさらに有する。
【0185】
図30は、端末装置601の主な構成例を示すブロック図である。図30に示されるように、端末装置601において、CPU611、ROM612、およびRAM613は、バス614を介して相互に接続されている。このバス614にはまた、入出力インタフェース620も接続されている。
【0186】
入出力インタフェース620には、キーボード、マウスなどよりなる入力部621、CRTやLCDなどよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部622、ハードディスクなどより構成される記憶部623、モデムなどより構成される通信部624が接続されている。
【0187】
入出力インタフェース620にはまた、必要に応じてドライブ625が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア631が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部623にインストールされる。
【0188】
入出力インタフェース620には、さらに、撮像部641および位置検出部642も接続される。撮像部641は、例えば図25に示される電子機器500と同様の構成および同様の機能を有し、前方および後方の被写体の両方を撮像し、それらの合成画像を得る。位置検出部642は、例えばGPS等から端末装置601の現在位置(大まかな位置情報)を取得する。通信部624は、撮像部641において得られた合成画像と、位置検出部642において得られた位置情報とを、情報提供サーバ603に送信する。
【0189】
図31は、情報提供サーバ603の主な構成例を示すブロック図である。図31に示されるように、情報提供サーバ603は、CPU651、ROM652、RAM653、バス654、入出力インタフェース660、入力部661、出力部662、記憶部663、通信部664、およびドライブ665を有する。CPU651乃至ドライブ665は、それぞれ、端末装置601におけるCPU611乃至ドライブ625と同様の処理部である。また、リムーバブルメディア671は、リムーバブルメディア631と同様の記録媒体である。
【0190】
情報提供サーバ603は、さらに、位置検索部681、情報検索部682、および情報提供部683を有する。
【0191】
位置検索部681は、端末装置601から供給された位置情報および合成画像を詳細位置データベース604に供給し、端末装置601の詳細な位置を照会する処理を行う。情報検索部682は、詳細位置データベース604により特定された端末装置601の詳細な位置情報を提供情報データベース605に供給し、その詳細な位置に対応する、端末装置601のユーザに提供すべき情報(提供情報)を照会する処理を行う。情報提供部683は、端末装置601から供給される位置情報および合成画像を取得したり、提供情報データベース605により特定された提供情報を端末装置601に供給したりする処理を行う。
【0192】
図32のフローチャートを参照して、端末装置601および情報提供サーバ603により実行される情報提供処理の流れの例を説明する。
【0193】
ステップS401において、端末装置601の撮像部641は、ユーザに操作され、その前方および後方の合成画像(両面合成画像)を撮像する。ステップS402において、端末装置601の位置検出部642は、GPS等により自身の大まかな位置を検出し、その位置情報を取得する。ステップS403において、通信部624は、両面合成画像と位置情報を、情報提供サーバ603に送信する。
【0194】
ステップS421において、情報提供サーバ603の情報提供部683は、ネットワーク602を介してその位置情報及び合成画像を取得する。ステップS422において、情報提供サーバ603の位置検索部681は、取得した位置情報および両面合成画像に基づいて、端末装置601の詳細位置を検索する。つまり、位置検索部681は、取得した位置情報および両面合成画像を詳細位置データベース604に提供し、画像を送信した端末装置601の詳細位置を照会する。
【0195】
詳細位置データベース604は、位置情報に基づいて端末装置601の大まかな位置を特定すると、予め記憶しているデータベースの中から、その位置に対応し、かつ、提供された両面合成画像に対応する両面合成画像を検索する。目的の両面合成画像が検索されると、詳細位置データベース604は、その両面合成画像に対応付けられた詳細位置情報を情報提供サーバ603に提供する。
【0196】
位置検索部681がその詳細位置情報を取得すると、ステップS423において、情報提供サーバ603の情報検索部682は、その詳細位置情報に基づいて、提供情報を検索する。つまり、情報検索部682は、詳細位置情報を提供情報データベース605に供給し、その詳細位置に対応する提供情報を照会する。提供情報データベース605は、供給された詳細位置情報に対応する、端末装置601に提供する提供情報を検索し、検索された提供情報を情報提供サーバ603に供給する。
【0197】
情報検索部682がその提供情報を取得すると、ステップS424において、情報提供サーバ603の情報提供部683は、その提供情報を、ネットワーク602を介して、合成画像を供給した端末装置601に供給する。
【0198】
端末装置601の通信部624は、ステップS404において、その提供情報を受信する。端末装置601の出力部622は、その提供情報を、画像や音声等として出力し、ユーザに提示する。
【0199】
以上のように、本技術は、撮像素子100を用いて得られる合成画像を利用する、情報提供サービス等の任意のサービスに適用することができる。
【0200】
なお、本技術を適用した撮像素子、各種装置、およびシステムは、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0201】
以上に説明した各装置は、それぞれ、上述した以外の構成を含むようにしてももちろんよい。また、1つの装置としてだけでなく、複数の装置よりなるシステムとして構成されるようにしてもよい。
【0202】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0203】
この記録媒体は、例えば、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されているリムーバブルメディア231(図5)、リムーバブルメディア331(図10)、制御部530(図25)に含まれるドライブに装着されるリムーバブルメディア(図示せず)、リムーバブルメディア631(図30)、または、リムーバブルメディア671(図31)により構成される。
【0204】
これらのリムーバブルメディアには、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)や光ディスク(CD-ROMやDVDを含む)が含まれる。さらに、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)や半導体メモリ等も含まれる。また、上述した記録媒体は、このような各リムーバブルメディアだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されている制御部201(図5)、制御部301(図10)、および制御部530(図25)のROM、ROM612(図30)、およびROM652(図31)や、記憶部223(図5)、記憶部323(図10)、制御部530(図25)に含まれる記憶部(図示せず)、記憶部623(図30)、および記憶部663(図31)に含まれるハードディスクなどにより構成されるようにしてもよい。
【0205】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0206】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0207】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
【0208】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0209】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 光電変換素子が形成されるシリコン基板と、
前記シリコン基板の表面側に形成される配線層と
を備え、
前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する
撮像素子。
(2) 前記配線層の配線は、前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路以外に配置される
前記(1)に記載の撮像素子。
(3) 前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路に導波路が形成される
前記(2)に記載の撮像素子。
(4) 前記光電変換素子の裏面側にカラーフィルタを備え、
前記光電変換素子の表面側にカラーフィルタ以外のフィルタが備えられる
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5) 前記カラーフィルタ以外のフィルタは、赤外透過フィルタ若しくはホワイト画素用フィルタの少なくともいずれか一方を含む
前記(4)に記載の撮像素子。
(6) 各画素のフィルタが、所定の無機膜により分離される
前記(4)または(5)に記載の撮像素子。
(7) 前記光電変換素子の裏面側と表面側の両方にオンチップレンズが形成される
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8) 前記オンチップレンズは、無機系の材料により形成される
前記(7)に記載の撮像素子。
(9) 前記光電変換素子の裏面側にのみオンチップレンズが形成される
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(10) 前記シリコン基板は、各画素の構成として複数の前記光電変換素子を備える縦型分光構造を有する
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
前記配線層の配線の外部端子としての電極部を有し、
前記シリコン基板および前記配線層は、前記電極部が裏面側に露出するように開口される
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12) 前記電極部は、前記電極部に積層される構成が、前記光電変換素子が形成される画素領域における構成よりも盛り上がるように、比較的厚く形成される
前記(11)に記載の撮像素子。
(13) 前記配線層の表面側には、所定の接着材料を用いて、光を透過する支持基板が接着される
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像素子。
(14) 前記配線層の表面側には、プラズマ接合により、光を透過する支持基板が接合される
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像素子。
(15) 前記配線層の表面側に形成される、光を透過する支持基板の、前記光電変換素子が形成される画素領域以外の部分に回路が形成される
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の撮像素子。
(16) 配線若しくは遮光膜、またはその両方によって、前記光電変換素子の裏面側および表面側のうち、一方の側から入射する光を遮光し、前記光電変換素子が、他方の側から入射する光のみを光電変換する画素を有する
前記(1)乃至(15)のいずれかに記載の撮像素子。
(17) 前記光電変換素子の表面側および裏面側のそれぞれに、互いに独立に駆動し、それぞれの側からの光の入射を制御するシャッタをさらに備える
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の撮像素子。
(18) 前記光電変換素子の一方の側の画素領域が遮光板により分割され、分割された各領域の画素が互いに異なる波長域の検出に用いられる
前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の撮像素子。
(19) 光電変換素子が形成されるシリコン基板と、前記シリコン基板の表面側に形成される配線層とを備え、前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子により得られた画像に対して画像処理を行う画像処理部と
を備える電子機器。
(20) 製造装置の製造方法であって、
製造部が、表面照射型のイメージセンサを製造し、
接着部が、接着材料を用いて、光を透過する支持基板を、前記表面照射型のイメージセンサの表面側に接着し、
研磨部が、前記表面照射型のイメージセンサの裏面側を研磨し、
形成部が、研磨された前記表面照射型のイメージセンサの裏面側にオンチップレンズを形成する
製造方法。
【符号の説明】
【0210】
100 撮像素子, 112 配線層, 131 配線, 142 導波路, 200 製造装置, 262 多用途フィルタ, 300 製造装置, 361 電極部, 371 無機膜, 372 無機膜オンチップレンズ, 381 回路部, 382 電極, 383 貫通電極, 384 接続電極, 391 遮光膜, 392 配線, 400 撮像モジュール, 431 遮光板, 500 電子機器, 530 制御部, 600 情報提供システム, 601 端末装置, 603 情報提供サーバ, 604 詳細位置データベース, 605 提供情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子が形成されるシリコン基板と、
前記シリコン基板の表面側に形成される配線層と
を備え、
前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する
撮像素子。
【請求項2】
前記配線層の配線は、前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路以外に配置される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記光電変換素子に入射する光の、前記配線層中の光路に導波路が形成される
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記光電変換素子の裏面側にカラーフィルタを備え、
前記光電変換素子の表面側にカラーフィルタ以外のフィルタが備えられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記カラーフィルタ以外のフィルタは、赤外透過フィルタ若しくはホワイト画素用フィルタの少なくともいずれか一方を含む
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
各画素のフィルタが、所定の無機膜により分離される
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記光電変換素子の裏面側と表面側の両方にオンチップレンズが形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記オンチップレンズは、無機系の材料により形成される
請求項7に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記光電変換素子の裏面側にのみオンチップレンズが形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記シリコン基板は、各画素の構成として複数の前記光電変換素子を備える縦型分光構造を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記配線層の配線の外部端子としての電極部を有し、
前記シリコン基板および前記配線層は、前記電極部が裏面側に露出するように開口される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記電極部は、前記電極部に積層される構成が、前記光電変換素子が形成される画素領域における構成よりも盛り上がるように、比較的厚く形成される
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記配線層の表面側には、所定の接着材料を用いて、光を透過する支持基板が接着される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記配線層の表面側には、プラズマ接合により、光を透過する支持基板が接合される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記配線層の表面側に形成される、光を透過する支持基板の、前記光電変換素子が形成される画素領域以外の部分に回路が形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項16】
配線若しくは遮光膜、またはその両方によって、前記光電変換素子の裏面側および表面側のうち、一方の側から入射する光を遮光し、前記光電変換素子が、他方の側から入射する光のみを光電変換する画素を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項17】
前記光電変換素子の表面側および裏面側のそれぞれに、互いに独立に駆動し、それぞれの側からの光の入射を制御するシャッタをさらに備える
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項18】
前記光電変換素子の一方の側の画素領域が遮光板により分割され、分割された各領域の画素が互いに異なる波長域の検出に用いられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項19】
光電変換素子が形成されるシリコン基板と、前記シリコン基板の表面側に形成される配線層とを備え、前記光電変換素子が、前記表面側から前記配線層を介して入射される光を光電変換するとともに、前記シリコン基板の裏面側から前記配線層を介さずに入射される光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子により得られた画像に対して画像処理を行う画像処理部と
を備える電子機器。
【請求項20】
製造装置の製造方法であって、
製造部が、表面照射型のイメージセンサを製造し、
接着部が、接着材料を用いて、光を透過する支持基板を、前記表面照射型のイメージセンサの表面側に接着し、
研磨部が、前記表面照射型のイメージセンサの裏面側を研磨し、
形成部が、研磨された前記表面照射型のイメージセンサの裏面側にオンチップレンズを形成する
製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−77678(P2013−77678A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216200(P2011−216200)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】