説明

撮像装置、その制御方法およびプログラム

【課題】カメラの駆動機構による被駆動部の駆動時に発生するノイズによる撮像素子の出力信号の劣化を防止すると共に焦点調節の高速化を図る。
【解決手段】AFを実施する際、レンズ交換式カメラシステムのレンズ特性または撮像素子の出力信号に含まれるノイズ量などの被駆動部の駆動に起因するノイズレベルに基づき被駆動部が駆動されている間の撮像処理を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その制御方法およびプログラムに関し、特に、撮像装置に装着された撮影レンズユニットの種別や撮像手段からの出力信号中のノイズ量に応じて、撮像装置の駆動手段の動作中に撮像装置の撮像手段の動作を選択的に禁止可能な撮像装置、その制御方法およびこの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子からの電気信号を基に画像信号を生成する撮像システムでは、一般にレンズなどを電動駆動することにより焦点状態、絞り、ズーム位置などを制御している。しかしながら、この電動駆動力を発生させる駆動手段であるモータは、その種類によっては、撮像素子からの読み出し信号を劣化させる電気的ノイズを発生する。
【0003】
そこで、レンズ駆動機構、露光制御機構、フィルム巻上機構などの被駆動部を駆動する電動駆動手段と被写体像を撮像する撮像手段とが同時並列に動作しないよう両手段の動作タイミングを制御して信号劣化を防止するカメラが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−142686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のカメラでの動作タイミング制御によれば、駆動手段と撮像手段の同時並列動作(以下、同時動作という)は常に禁止される。すなわち、ノイズが発生しない場合には同時動作を禁止する必要がないにもかかわらず、同時動作が禁止される。このため、駆動手段による被駆動部の所要駆動時間がその分長くなる。このことは、例えば、一眼レフカメラのように撮影レンズユニットを脱着可能なカメラの場合に特に顕著である。すなわち、過去に生産されたレンズユニットにはモータノイズ対策が講じられていない等の理由で、レンズユニットによって、ノイズが発生したり発生しないことがあるからである。ノイズ発生のおそれがないレンズユニットがカメラ(撮像装置)に装着されたときに、特許文献1に記載のように駆動手段と撮像手段の同時動作を禁止することは無用である。
【0005】
本発明の目的は、撮像装置の駆動手段による被駆動部の駆動時に発生するノイズによる撮像手段の出力信号の劣化を防止することができる撮像装置、その制御方法および同制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術的特徴としては、入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、被駆動部の駆動による前記電気信号のノイズ量が多くなるにつれて被駆動部の駆動制御動作と前記撮像手段による電気信号の出力動作とのタイミングを別々にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像手段からの出力信号の劣化や更なる劣化を防ぐことができる。また、駆動手段の駆動動作の高速化および撮像手段の撮像動作の高速化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による撮像装置を詳しく説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態による撮像装置であるデジタルカメラを含む一眼レフタイプデジタルカメラシステムを示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、このデジタルカメラシステムは、デジタルカメラ200と、不図示のマウント機構を介してデジタルカメラ200に着脱可能な撮影レンズユニット100(撮像光学系)とから構成されている。マウント機構には電気的接点群107が設けられ、レンズユニット100がカメラ200に装着されると接点群107の各接点が閉じるようになっている。そして、接点群107を介して、カメラ200とレンズユニット100との間で制御信号、状態信号、データ信号などの各種電気信号が授受される。また、カメラ200とレンズユニット100の各部へ各種電圧電流が供給される。また、接点群107が閉じると、カメラ200のシステムコントローラ223によりカメラ200へのレンズユニット100の装着が判別される。これによりデジタルカメラ200と撮影レンズユニット100との間で通信を行うことが可能になり、撮影レンズユニット100内の撮影レンズ101および絞り102の駆動を行うことが可能となる。また、接点群107は電気信号のみならず、光通信号、音声信号等を伝達する構成としても良い。
【0011】
図示の便宜上、図1には1枚の撮影レンズ101のみを示しているが、実際にはフォーカスレンズ、ズームレンズなどの多数のレンズが用いられていることは周知の通りである。図示されていない被写体像からの撮影光束(被写体光束)は、レンズユニット100の撮影レンズ101及び絞り102を介して、カメラ200のクイックリターンミラー202に導かれる。クイックリターンミラー202は、ミラーダウン位置とミラーアップ位置との間で移動可能に且つミラー回転軸まわりに回動可能に支持されている。また、クイックリターンミラー202の中央部はハーフミラーになっている。そして、クイックリターンミラー202が、図1に図示した如くミラーダウン位置に位置決めされた際、被写体光束の一部がクイックリターンミラー202を透過可能になる。そして、この透過した光束は、クイックリターンミラー202に設置されたサブミラー203で下方に反射され、周知の位相差方式のAFセンサユニット204に入射する。たとえば、このAFセンサユニット204は、フィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、およびCCDからそれぞれ成る複数のラインセンサで構成されている。そして、システムコントローラ223からの制御信号に従い、焦点検出回路205がAFセンサユニット204をコントロールして、周知の位相差検出方式により焦点検出を行う。
【0012】
一方、クイックリターンミラー202で反射された撮影光束は、ペンタプリズム201および接眼レンズ206を介して撮影者の目に至る。
【0013】
また、クイックリターンミラー202がミラーアップ位置に位置決めされた際には、撮影レンズ101からの光束は、絞り102、機械シャッタであるフォーカルプレーンシャッタ208およびフィルタ209を介して、撮像手段である撮像素子としてのイメージセンサ210に至る。イメージセンサ210は、CCD,CMOSなどの固体撮像素子で構成することが好ましいが、銀塩フィルム或いはビディコン等の撮像管でも良い。
【0014】
上記フィルタ209は、赤外線をカットして可視光線のみをイメージセンサ210へ導く機能と、光学ローパスフィルタとしての機能とを有している。また、フォーカルプレーンシャッタ208は、先幕及び後幕を有し、撮影レンズ101からシャッタ208に入射した光束の透過、遮断を制御する。なお、クイックリターンミラー202のアップ時には、サブミラー203は折り畳まれるようになっている。
【0015】
また、デジタルカメラ200のシステムコントローラ223(以下、CPU223と称することもある)は、CPUにより構成されてデジタルカメラ200全体の制御を司る制御手段として機能し、カメラ各部の動作を適宜制御する。
【0016】
システムコントローラ223は、撮影レンズユニット100内のレンズ制御回路104と絞り制御回路106とに接点群107を介して接続されるようになっている。システムコントローラ223は、撮影レンズ101を光軸方向に移動させてピント合わせを行うレンズ駆動機構103をレンズ制御回路104を介して制御する。これにより、被写体像をイメージセンサ210上に結像させる。また、設定されたAv値(絞り値)に従って、システムコントローラ223は、絞り102を駆動する絞り駆動機構105を絞り制御回路106を介して制御する。
【0017】
レンズ制御回路104は、レンズ固有の情報(例えば焦点距離、開放絞り、個々のレンズに割り振られるレンズID)を記憶する図示しないレンズ情報記憶装置を有している。このレンズ情報記憶装置は、レンズ固有の情報に加えて、デジタルカメラ200のシーケンスコントローラ223から受け取った情報を記憶する。
【0018】
またシステムコントローラ223には、クイックリターンミラー202のアップ・ダウン駆動及びフォーカルプレーンシャッタ208のシャッタチャージを制御するシャッタチャージ・ミラー駆動機構211と、フォーカルプレーンシャッタ208の先幕、後幕の走行を制御するシャッタ制御機構212とが接続されている。フォーカルプレーンシャッタ208の先幕および後幕は、その駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後に次回動作のためにバネチャージを要する。シャッタチャージ・ミラー駆動機構211は、このバネチャージを制御する。また、シャッタチャージ・ミラー駆動機構211によりクリックリターンミラー202のアップ・ダウンが行われる。
【0019】
またシステムコントローラ223には、自動露出装置である測光回路207が接続されている。この測光回路207は、接眼レンズ206の近傍に配設された不図示の測光センサに接続されている。測光センサは、被写体の輝度を測定するものであり、その出力は測光回路207を経てシステムコントローラ223へ供給される。システムコントローラ223は、設定されたTv値(シャッタスピード)に基いて、シャッタ制御機構212へ制御信号を出力する。このシャッタ制御機構212により、フォーカルプレーンシャッタ208の先幕、後幕の走行が制御される。
【0020】
さらにシステムコントローラ223にはEEPROM222が接続されている。EEPROM222は、デジタルカメラ200を制御する上で調整が必要なパラメータ、デジタルカメラの個体識別に供されるカメラID情報、基準レンズで調整されたAF補正データ、自動露出補正値などを記憶する記憶手段を構成している。
【0021】
また、システムコントローラ223には、DSP(デジタル信号プロセッサ)により構成された画像データコントローラ220が接続されている。この画像データコントローラ220は、イメージセンサ210の制御、イメージセンサ210から入力された画像データの補正や加工などをシステムコントローラ223の指令に基いて実行する。画像データの補正・加工の項目にはオートホワイトバランスも含まれている。オートホワイトバランスとは、撮影画像中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する機能である。オートホワイトバランスでは、システムコントローラ223からの命令により補正量を変更することが可能である。
【0022】
画像データコントローラ220には、イメージセンサ210を駆動する際に必要なタイミングパルス信号を出力するタイミングパルス発生回路217と、イメージセンサ210と同様にタイミングパルス発生回路217からタイミングパルス信号を受けて、イメージセンサ210から出力され被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ216と、A/D変換により得られた画像データ(デジタルデータ)を一時的に記憶しておくDRAM221とが接続されている。DRAM221は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するために使用される。
【0023】
画像データコントローラ220にはD/Aコンバータ215が接続されている。このD/Aコンバータ215には、エンコーダ回路214を介してLCDモニタ装置213が接続される。LCDモニタ装置213は、イメージセンサ210で撮像された画像データを表示する回路であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。画像データコントローラ220は、DRAM221上の画像データを、D/Aコンバータ215によりアナログ信号に変換してエンコーダ回路214へ出力する。エンコーダ回路214はこのD/Aコンバータ215の出力を、LCDモニタ装置213を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。
【0024】
画像データコントローラ220には画像圧縮回路219が接続されている。画像圧縮回路219は、DRAM221に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG)を行う。変換された画像データは記録媒体218へ格納される。この記録媒体としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク等が使用される。
【0025】
また、ノイズ量検出回路241が、画像データコントローラ220とシステムコントローラ223に接続されており、画像に含まれるノイズ量を検出する手段を構成している。
【0026】
画像データコントローラ220にはコントラスト検出回路242が接続されている。コントラスト検出回路242は、システムコントローラ223の指令に基づいて動作し、画像データコントローラ220によって補正された画像データの所定方向のコントラストを検出し、コントラスト評価値をEEPROM222に保存する。
【0027】
さらにシステムコントローラ223には、外部通信端末機器の接続に供される通信インタフェース回路224と、デジタルカメラ200の動作モードの情報や露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)などを外部液晶表示装置250や内部液晶表示装置251に表示させる動作表示回路225と、メイン電子ダイヤル226と、AF補正決定スイッチ227と、AFセンサ204が持つ複数の焦点検出位置から使用する焦点検出位置を選択するための測距点選択ボタン228と、ユーザが所望の動作をデジタルカメラ200に実行させるべくモードを設定するモード選択ボタン229と、測光・測距などの撮影準備動作を開始させるための第1レリーズスイッチ(レリーズスイッチSW1)231と、撮像動作を開始させるための第2レリーズスイッチ(レリーズスイッチSW2)230と、AFモード選択ボタン233と、測光モード選択ボタン235とが接続されている。
【0028】
以上のように構成されたデジタルカメラシステムの動作について、図2を用いて詳細に説明する。
【0029】
図2は、図1のデジタルカメラシステムにおけるコントラストAFモードでの制御手順を示すフローチャートである。
【0030】
図2において、ステップS201では、デジタルカメラ200の電源ボタンが押されて電源オン状態になったことを示す信号やカメラ200にレンズユニット100が装着されたことを示す信号が発生するまで待機する。信号を捕らえるとステップS202(レンズ情報取得手段)に移行する。ステップS202では、カメラ200は、現在装着されている撮影レンズユニット100との通信を接点群107を介して行い、撮影レンズ101の種類を表すレンズIDを取得する。
【0031】
ステップS203では、取得したレンズIDとEEPROM222に保存されているレンズデータとを照合し、取得レンズIDに対応するレンズデータから、レンズユニット100のレンズ駆動機構103の一部を構成するレンズ駆動用モータの種類を表すモータ情報を取得する。ここで、ステップS202では、レンズIDを取得する代わりに、レンズ駆動用モータの種類を識別可能にするレンズ駆動用モータIDや、レンズ駆動用モータによるノイズ発生レベルを識別可能にする情報を得るようにしても構わない。
【0032】
ステップS204では、ステップS203で得られたモータ情報などから、現在デジタルカメラ200に装着されているレンズユニット100がモータノイズを発生して、イメージセンサ(撮像素子)210からの出力信号の劣化を引き起こすものかどうかを判定する。この判定は、モータの種類から判断してもよいし、ノイズレベルが所定量を超えるかどうかという情報を基に判断してもよい。
【0033】
撮像素子210からの出力信号の劣化を引き起こすと判断した場合、ステップS205へ移行し、連続スキャン(連続撮影)設定状態を禁止状態としてEEPROM222に保存する。また、出力信号の劣化を引き起こさないと判断した場合は、ステップS206へ移行し、連続スキャン設定状態を許可状態としてEEPROM222に保存する。
【0034】
ステップS207で第1レリーズスイッチ231が長押しされたことを判別すると、ステップS208に移行する。ステップS208では、クイックリターンミラー202をミラーアップ位置に位置決めし、シャッター208を開き、イメージセンサ210を露光状態にする。
【0035】
ステップS209では、EEPROM222に保存されている連続スキャン設定状態を取得して、連続スキャン禁止状態であるか或いは連続スキャン許可状態であるかを判定する。連続スキャン禁止状態の場合はステップS210へ移行し、連続スキャン許可状態の場合にはステップS212へ移行する。
【0036】
ここで、ステップS210での連続スキャン禁止状態におけるコントラストAFと、ステップS212での連続スキャン許可状態におけるコントラストAFについて、図3(a)及び図3(b)に示すコントラストAFのタイミングチャートを用いて詳しく説明する。
【0037】
一般にコントラストAFは、「露光」、「蓄積」、「撮像素子からの信号の読み出し」、「撮像素子から読み出した画像信号のコントラスト評価」、「コントラスト評価結果を基に合焦状態を検出するピーク判定」、「コントラスト評価結果を基にレンズの焦点状態を変化させるレンズ駆動」という一連の動作を数回繰り返すことで、レンズを合焦状態に調節する。ここで、高速化のためには図3(a)に示すように撮像処理とレンズ駆動処理を並列に動作させることが考えられるが、レンズユニットによってはレンズ駆動時に強いモータノイズを発生するものがある。並列動作の場合、撮像処理、特に、撮像素子からの出力信号の読み出し時にモータノイズが原因となって出力信号の劣化が生じるおそれがある。この場合、その後のコントラスト評価で適切な結果を得ることができず、コントラストAFの精度を低下させてしまうという問題がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、モータノイズの影響がある場合とそうでない場合において、コントラストAF時の制御を切り替えることでこの問題を解決する。
【0039】
モータノイズの影響が無い場合、すなわち、図3(a)に示した連続スキャン許可状態におけるコントラストAF時は、撮像処理が「露光」、「蓄積」、「撮像素子からの信号の読み出し」のいずれの状態にあってもレンズ駆動を可能とする。これにより、撮像処理とレンズ駆動処理とを別個独立に実施させる。ただし、これはモータノイズの影響を考慮したレンズ駆動を行わないという意味である。すなわち、撮像信号から読み出した信号を基にコントラスト評価をしなければならないことにはかわりはなく、コントラスト評価に際して撮像処理とレンズ駆動処理との同期を取る必要はある。
【0040】
一方、モータノイズの影響がある場合、すなわち、図3(b)に示した連続スキャン禁止状態におけるコントラストAF時は、撮像処理における「露光」、「蓄積」、「撮像素子からの信号の読み出し処理」の一部または全部がレンズ駆動と同時に実行されないよう制御を行う。これにより、モータノイズによる撮像素子からの出力信号が劣化しないようにする。
【0041】
図2のステップS211およびS213の各々では、コントラストAFの終了条件である合焦状態になった場合や第1レリーズスイッチ231がオフ状態になった場合を検出しており、いずれか1つの終了条件の成立を検出した場合にはコントラストAFを終了する。
【0042】
上述のように、本実施形態では、デジタルカメラ200はこれに装着された撮影レンズユニット100との通信を行ってレンズ特性を取得し、モータノイズが発生しあるいはそのおそれがあるか否かの判定を行う。そして、撮像処理とレンズ駆動処理とを並列に実行する連続スキャン処理の設定状態をノイズ発生に係る判定結果に応じて許可状態と禁止状態との間で切り替える。これにより、コントラストAF時にモータノイズが原因となる撮像素子からの出力信号の劣化を防ぐことが可能となる。また、モータノイズの影響が所定度合い以下のレンズユニットについては、撮像処理とレンズ駆動処理とを並列に実施させることでコントラストAFの高速化を可能としている。
【0043】
なお、本実施形態においては、モータノイズによる影響を考慮してコントラストAF時に撮像手段とレンズ駆動手段の並列動作を禁止する状態と許容する状態との間で切り替える制御手法について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されない。
【0044】
例えば、特開2000−292684号公報に記載のようにコントラストAFを利用して位相差AFの補正を行うAFキャリブレーションにも適用することができる。この場合、位相差方式の第1の焦点検出手段(入射光に応じて信号を出力する一対のセンサ列のそれぞれからの出力信号の位相差に基づいて検出された焦点状態によって焦点位置を調節する位相差AF手段であり、図1のAFセンサ204、焦点検出回路205、システムコントローラ223、レンズ制御回路104およびレンズ駆動機構103に対応))からのオートフォーカスデータと、撮像素子の画像信号からコントラストを評価してオートフォーカスを行う第2の焦点検出手段(図1のイメージセンサ210、A/Dコンバータ216、タイミングパルス発生回路217,画像データコントローラ220、システムコントローラ223及びコントラスト検出回路242に対応)からのオートフォーカスデータとから相対ズレ量が算出される。そして、第1の焦点検出手段のオートフォーカスデータに相対ずれ量に基づく補正を加えることで、第1の焦点検出手段の検出誤差が補正される(位相差AF手段のキャリブレーションを行うAFキャリブレーション手段)。そして更に、AFキャリブレーション手段が動作する際に、レンズ情報に応じて駆動手段の駆動を伴う撮像手段の連続撮像が制限される。
【0045】
また、連続スキャン(連続撮影)を行ってライブビュー表示をする場合または動画記録(連続撮影)を行う場合などにも適用可能であり、レンズ情報に応じて駆動手段の駆動を伴う撮像手段の連続撮像を制限することになる。また、本実施形態では一眼レフタイプのデジタルカメラシステムへの適用例を説明したが、本発明の応用例は一眼レフタイプデジタルカメラシステムに限定されるものではない。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態による撮像装置について説明する。
【0047】
第1の実施形態では交換レンズタイプカメラを用いたが、本実施形態で使用されるカメラはこれに限られない。すなわち、本実施形態ではレンズユニットとカメラユニットとが一体のカメラを使用しても良く、この様な一体型カメラにおいても、撮像手段とレンズ駆動手段の同時並列動作を選択的に禁止してノイズの影響を回避した撮像を実現しつつ、ノイズが発生しない場合には同時並列動作を許容して撮像の駆動制御時間の削減を実現するものである。
【0048】
図4を用いて撮像素子からの出力信号に含まれるノイズレベルに基づきコントラストAF時に撮像手段とレンズ駆動手段の同時並列動作を禁止する状態と許容する状態との間で切り替える本実施形態による制御方法について説明する。なお、第2の実施形態におけるカメラシステムの基本構成は第1の実施形態のものと同一であるので、ここでの説明は省略する。また、図4において、第1の実施形態に係る図2のフローチャートと同一番号のステップについては説明を省略する。
【0049】
図4において、ステップS201に続くステップS401では、シャッターを開かずに1枚撮影し、イメージセンサ210から出力信号を読み出してDRAM221に記憶する。ステップS402では、ステップS401と同一の撮影パラメータでレンズ駆動をさせながら、シャッターを開かずに1枚撮影を行い、イメージセンサ210から出力信号を読み出してDRAM221に記憶する。
【0050】
ステップS403では、ステップS401とステップS402のそれぞれでDRAM221に記憶した合計2つの画像信号をノイズ検出回路241に送り、2つの画像の差分を抽出することでレンズ駆動時のモータノイズ量を検出し、検出モータノイズ量をEEPROM222に記憶する。
【0051】
ステップS404では、ステップS403でEEPROM222に記憶されたノイズ量が所定レベルを超えているかどうかを判断し、所定レベルを超えている場合にはモータノイズの影響があると判断してステップS205へ移行し、ノイズ量が所定レベルを超えていない場合にはステップS206に移行する。
【0052】
本実施形態におけるノイズ判定では、撮影レンズユニット100との通信を行い、これによりレンズの種類を識別可能とするレンズIDやその他のレンズ特性を示す情報を取得する必要はない。また、レンズIDからレンズ駆動モータを判断する情報をカメラ部に持たせる必要もない。そのため、レンズIDを持たないレンズや、今後開発されるレンズにおいても同様のノイズ判定手段によって、ノイズレベルの判断が可能であり、その結果から連続スキャンの切り替え制御が可能になる。
【0053】
つまり、モータノイズに起因する撮像素子からの出力信号の劣化が多いと判断される場合には、撮像処理とレンズ駆動処理とを別々に実行することにより、出力信号の劣化を防止することができる。また、ノイズが多い場合と少ない場合とで場合分けして、撮像処理とモータ駆動処理の動作を切り換えているので、高速化が図れる。
【0054】
なお、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU、MPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0055】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0056】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0057】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0058】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態による一眼レフタイプデジタルカメラシステムのブロック図である。
【図2】図1に示したデジタルカメラシステムにおけるコントラストAFモードでの制御手順を示すフローチャートである。
【図3】コントラストAF時のタイミングチャートであり、(a)は撮像処理とレンズ駆動処理との並列動作を許容する場合を示し、(b)は並列動作を禁止する場合を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るデジタルカメラシステムにおけるコントラストAFモードでの制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
100 撮影レンズユニット
101 撮影レンズ
102 絞り
103 レンズ駆動機構
104 レンズ制御回路
105 絞り駆動機構
106 絞り制御回路
200 デジタルカメラ
204 AFセンサ
205 焦点検出回路
207 測光回路
210 イメージセンサ
217 タイミングパルス発生回路
218 画像データ記録メディア
220 画像データコントローラ
221 DRAM
222 EEPROM
223 システムコントローラ
228 測距点選択ボタン
229 撮影モード選択ボタン
230 第2レリーズスイッチ
231 第1レリーズスイッチ
233 AFモード選択ボタン
235 測光モード選択ボタン
241 ノイズ量検出回路
242 コントラスト検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部の駆動を制御する駆動制御手段と、
入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段とを有し、
前記被駆動部の駆動による前記電気信号のノイズ量が多くなるにつれて前記駆動制御手段による前記被駆動部の駆動制御動作と前記撮像手段による電気信号の出力動作とのタイミングを別々にすることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被駆動部と該被駆動部を駆動する駆動手段とを有する撮像光学系を着脱可能な撮像装置であって、
入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段と、
装着されている前記撮像光学系から情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって得られた情報に応じて、前記駆動手段の駆動を伴う前記撮像手段による連続撮像を制限する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される電気信号に含まれるノイズの量を検出するノイズ量検出手段と、
前記ノイズ量検出手段によって得られたノイズ量に応じて、被駆動部の駆動を行う駆動手段の駆動を伴う前記撮像手段の連続撮像を制限する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
上記ノイズ量検出手段は、シャッターを開かずに撮影して前記撮像手段から出力した第1の電気信号と、前記駆動手段によって前記被駆動部を駆動させながら撮像して前記撮像手段から出力された第2の電気信号とに基づいて前記ノイズ量を検出することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段による前記撮像手段の連続撮像の制限は、前記撮像手段の動作タイミングと前記駆動手段の動作タイミングをずらすことであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記被駆動部は、少なくともフォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りのいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
被駆動部の駆動による前記電気信号のノイズ量が多くなるにつれて前記被駆動部の駆動制御動作と前記撮像手段による電気信号の出力動作とのタイミングを別々にすることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
被駆動部と該被駆動部を駆動する駆動手段とを有する撮像光学系とを着脱可能であり、入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
装着されている前記撮像光学系から情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにおいて得られた情報に応じて、前記駆動手段の駆動を伴う前記撮像手段による連続撮像を制限する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
入力される被写体光に応じて電気信号を出力する撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記出力される電気信号に含まれるノイズの量に応じて、被駆動部の駆動を伴う前記撮像手段による連続撮像を制限する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−251656(P2007−251656A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73239(P2006−73239)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】