説明

撮像装置、露出制御方法及びプログラム

【課題】動画撮影時に所要のフレームレートを保ちながら、より効果的にフリッカノイズを低減し、且つ、必要なヒステリシス量を確保する。
【解決手段】シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値(1/32秒)、上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値(1/128秒)に定める。動画撮影時に、この規定範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、その規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータの調整により露出制御を行う。これにより、動画撮影時に所要のフレームレートを保ちながら、より効果的にフリッカノイズを低減し、且つ、必要なヒステリシス量を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動露出機能を備えたデジタルカメラ等の撮像装置と、この撮像装置に用いられる露出制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、被写体の明るさに応じてシャッター速度や絞りなどの撮影パラメータを決定する自動露出機能を備えたものがある。この自動露出機能では、検出した被写体の明るさに応じて複数の撮影パラメータをどのように変化させるかを予め規定している。なお、この規定による撮影パラメータの動きを表すために露出線図が用いられ、この露出線図に従った動きを線図動作と呼ぶ。
【0003】
ところで、被写体の明るさは長い時間でみれば一定であっても、短い時間で見ると、絶えず変動している。このような短い時間の輝度変動に対し、例えばメカ的な動作を伴う絞りを追従させた場合、絞りが切り替えられる度に機構音が発生し、特に音声付動画撮影を行っている場合に影響を与える。
【0004】
そこで、短い時間の輝度変動に対しては、メカ的な動作を伴わない撮影パラメータとして、シャッター速度を変化させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、どの程度の明るさの変動を吸収できるかを示す指標としてヒステリシス量が用いられる。このヒステリシス量が大きい程、絞りの切り替え回数を抑えることができ、EV値(露出値)に換算して1段階(明るさ2倍)以上であることが望ましい。
【0005】
一方、商用電源により明滅する蛍光灯下では、電源周波数と露光タイミングとの関係で撮影画像にフリッカノイズが生じ、スルー画像の表示や動画の記録に影響を与える問題がある。従来、このようなフリッカノイズを低減するために、シャッター速度を電源周波数に固定化する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、動画撮影時には、動画としての滑らかさを確保するため、一般的に秒30コマ以上のフレームレートが適用される。1フレーム当たりの露光時間つまりシャッター速度はこのフレームレートの制約を受け、秒30コマでは1/30秒以下に設定する必要がある。
【特許文献1】特開2004−56699号公報
【特許文献2】特開2003−189172公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献2のようにシャッター速度を固定化する技術では、蛍光灯の電源周波数を起因としたフリッカノイズを低減することはできるが、十分なヒステリシス量を確保できないといった問題がある。また、前記特許文献1のようにシャッター速度を変化させる技術では、必要な量のヒステリシスを確保できるが、フリッカノイズが頻繁に発生するといった問題がある。
【0008】
本発明の目的は、フリッカノイズの低減と、必要なヒステリシス量の確保とを両立させることであり、更には、動画撮影時に所要のフレームレートを保ちながら、より効果的にフリッカノイズを低減し、且つ、必要なヒステリシス量を確保することのできる撮像装置、露出制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る撮像装置は、撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置であって、被写体の明るさを計測する計測手段と、この計測手段によって計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定する決定手段と、前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定める第1の規定手段と、前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定める第2の規定手段と、動画の記録または表示中に、前記計測手段によって逐次計測される被写体の明るさに応じて前記決定手段によって決定された各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の規定手段で規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行う露出制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、被写体の明るさに応じて各種撮影パラメータの値を調整する際に、予め規定された範囲内でシャッター速度が優先的に調整され、その規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータの調整により露出制御が行なわれる。前記規定範囲の下限値は動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定められ、上限値は明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められる。これにより、動画撮影(スルー画像表示を含む)において、滑らかな動画表示のためのフレームレートを保ったままで、フリッカノイズの低減と、必要なヒステリシス量の確保とを両立させることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2は、前記請求項1記載の撮像装置において、前記撮像素子から出力される信号の増幅率を制御する増幅率制御手段を備え、前記各種撮影パラメータは、前記増幅率制御手段による増幅率を含み、前記露出制御手段は、前記計測手段によって逐次計測される被写体の明るさに応じて前記決定手段によって決定された各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度に加えて前記増幅率を優先的に調整することを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、シャッター速度と共に、他の撮影パラメータと比較して変動による悪影響が少ない増幅率を併用して露出調整を行うことで、シャッター速度だけの場合によりもヒステリシス量を多くすることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3は、前記請求項2記載の撮像装置において、前記露出制御手段は、前記増幅率の最大値を所定値に制限して調整することを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、一般に増幅率が所定値以下であれば画質の影響は少ないが、増幅率が高くなるとノイズの影響が大きくなるという弊害がある。この増幅率を優先的に調整する場合にその最大値を所定値に制限しておくことで、ノイズの影響を軽減することができる。
【0015】
また、本発明の請求項4は、前記請求項2記載の撮像装置において、前記露出制御手段は、露出値を暗くする方向へ追従させる場合に前記シャッター速度を調整し、露出値を明るくする方向へ追従させる場合に前記増幅率を調整することを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、露出値を暗くする方向へ追従させる場合にシャッター速度、露出値を明るくする方向へ追従させる場合に増幅率といったように、ヒステリシスの方向に応じて2つの撮影パラメータを使い分けることで、シャッター速度のみで調整する場合と比べて、ヒステリシス量を倍にすることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5は、前記請求項2記載の撮像装置において、前記露出制御手段は、前記シャッター速度と前記増幅率の各々を調整可能な最小単位で同時または交互に調整することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、優先的に調整する撮影パラメータをシャッター速度と増幅率とした場合に、これらの調整可能な最小単位で同時または交互に調整することで、シャッター速度のみで調整する場合と比べて、ヒステリシス量を倍にすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項6は、前記請求項1記載の撮像装置において、前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段を備え、前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率を含み、前記露出制御手段は、前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に前記画素加算倍率を調整することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、優先的に調整する撮影パラメータ以外の撮影パラメータを調整する際に、比較的画質低下の少ない画素加算倍率を利用することで、画素加算倍率による解像度の低下を最小限に抑えることができる。
【0021】
また、本発明の請求項7は、前記請求項1記載の撮像装置において、前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段と、前記撮像素子に入射される光量を段階的に制限する光学フィルタ手段とを備え、前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率および前記光学フィルタ手段によるフィルタ段数を含み、前記露出制御手段は、前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に当該被写体の明るさを判定する判定手段と、この判定手段により当該被写体の明るさが所定の明るさの範囲内であれば前記画素加算倍率を調整し、当該被写体の明るさが前記所定の明るさよりも明るい場合には前記フィルタ段数を調整するパラメータ変更手段とを有することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、被写体が比較的明るいときだけ場合だけ利用することで、広い露出範囲で高画質を維持することができ、且つ、被写体が非常に明るい場合にも対応することができる。
【0023】
また、本発明の請求項8は、前記請求項1記載の撮像装置において、前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段と、前記撮像素子から出力される信号の増幅率を制御する増幅率制御手段とを備え、前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率および前記増幅率制御手段による増幅率を含み、前記露出制御手段は、前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に当該被写体の明るさを判定する判定手段と、この判定手段により当該被写体の明るさが所定の明るさの範囲内であれば前記画素加算倍率を調整し、当該被写体の明るさが前記所定の明るさよりも暗い場合には前記増幅率を調整するパラメータ変更手段とを有することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、被写体が比較的暗いときだけ、増幅率を規定範囲以上で調整すれば、広い露出範囲で高画質を維持することができ、且つ、被写体が非常に暗い場合にも対応することができる。
【0025】
また、本発明の請求項9は、前記請求項1記載の撮像装置において、特殊モードを設定するモード設定手段を備え、前記露出制御手段は、前記モード設定手段によって前記特殊モードが設定された場合に、前記規定範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、シャッター速度が前記規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うことを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、特殊モードの設定により、動画フレームレートを保ちながらフリッカノイズの低減と、必要なヒステリシス量の確保とを両立させるための露出制御が実行される。
【0027】
また、本発明の請求項10は、前記請求項1記載の撮像装置において、第1の特殊モードと第2の特殊モードを選択的に設定するモード設定手段を備え、前記第1および第2の規定手段は、前記モード設定手段によって前記第1の特殊モードが設定された場合にヒステリシス量を優先とした規定範囲を設定し、前記第2の特殊モードが設定された場合にフリッカ除去を優先とし規定範囲を設定し、前記露出制御手段は、前記第1または第2の特殊モードに応じて設定された規定範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、シャッター速度が前記規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うことを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、第1の特殊モードの設定によりヒステリシス量を優先として露出制御が行われ、第2の特殊モードの設定によりフリッカ除去を優先として露出制御が行われる。
【0029】
本発明の請求項11に係る露出制御方法は、撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置に用いられる露出制御方法であって、被写体の明るさを計測するステップと、この計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定するステップと、前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定めるステップと、前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定めるステップと、動画の記録または表示中に、逐次計測される被写体の明るさに応じて前記各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の速度値によって規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
このような露出制御方法によれば、前記各ステップに従った処理を実行することにより、前記請求項1記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
【0031】
本発明の請求項12に係るプログラムは、撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置に搭載されたコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、被写体の明るさを計測する機能と、この計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定する機能と、前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定める機能と、前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定める機能と、動画の記録または表示中に、逐次計測される被写体の明るさに応じて前記各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の速度値によって規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行う機能とを実現させることを特徴とする。
【0032】
したがって、コンピュータが前記各機能を実現するためのプログラムを実行することにより、前記請求項1記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値と、明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値とによって規定される範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、その規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータの調整により露出制御を行うことにより、動画撮影時に所要のフレームレートを保ちながら、より効果的にフリッカノイズを低減し、且つ、必要なヒステリシス量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0035】
図1は本発明の一実施形態に係る撮像装置としてデジタルカメラを例にした場合の外観構成を示す図であり、図1(a)は主に前面の構成、同図(b)は主に背面の構成を示す斜視図である。
【0036】
このデジタルカメラ1は、略矩形の薄板状ボディ2の前面に、撮影レンズ3、セルフタイマランプ4、光学ファインダ窓5、ストロボ発光部6、マイクロホン部7などを有し、上面の(ユーザにとって)右端側には電源キー8及びシャッタキー9などが設けられている。
【0037】
電源キー8は、電源のオン/オフ毎に操作するキーであり、シャッタキー9は、撮影時に撮影タイミングを指示するキーである。
【0038】
また、デジタルカメラ1の背面には、撮影モード(R)キー10、再生モード(P)キー11、光学ファインダ12、スピーカ部13、マクロキー14、ストロボキー15、メニュー(MENU)キー16、リングキー17、セット(SET)キー18、表示部19などが設けられている。
【0039】
撮影モードキー10は、電源オフの状態から操作することで自動的に電源オンとして静止画の撮影モードに移行する一方で、電源オンの状態から繰返し操作することで、静止画モード、動画モードを循環的に設定する。静止画モードは、静止画を撮影するためのモードである。また、動画モードは、動画を撮影するためのモードである。
【0040】
前記シャッタキー9は、これらの撮影モードに共通に使用される。すなわち、静止画モードでは、シャッタキー9が押下されたときのタイミングで静止画の撮影が行われる。動画モードでは、シャッタキー9が押下されたときのタイミングで動画の撮影が開始され、シャッタキー9が再度押下されたときにその動画の撮影が終了する。
【0041】
再生モードキー11は、電源オフの状態から操作することで自動的に電源オンとして再生モードに移行する。
【0042】
マクロキー14は、静止画の撮影モードで通常撮影とマクロ撮影とを切換える際に操作する。ストロボキー15は、ストロボ発光部6の発光モードを切換える際に操作する。メニューキー16は、各種メニュー項目等を選択する際に操作する。リングキー17は、上下左右各方向への項目選択用のキーが一体に形成されたものであり、このリングキー17の中央に位置するセットキー18は、その時点で選択されている項目を設定する際に操作する。
【0043】
表示部19は、バックライト付きのカラー液晶パネルで構成されるもので、撮影モード時には電子ファインダとしてスルー画像のモニタ表示を行う一方で、再生モード時には選択した画像等を再生表示する。
【0044】
また、このデジタルカメラ1には、光学ズーム機能が備えられており、ズームキー20a,20bの操作により焦点距離を物理的に変化させて画像の拡大率を変更することができる。ズームキー20a,20bのうち、一方のズームキー20aはテレ端用であり、望遠側へズーム倍率を変更する場合に用いられる。他方のズームキー20bはワイド端用であり、広角側へズーム倍率を変更する場合に用いられる。
【0045】
なお、図示はしないがデジタルカメラ1の底面には、記録媒体として用いられるメモリカードを着脱するためのメモリカードスロットや、外部のパーソナルコンピュータ等と接続するためのシリアルインタフェースコネクタとして、例えばUSB(Universal Serial Bus)コネクタ等が設けられている。
【0046】
図2はデジタルカメラ1の電子回路構成を示すブロック図である。
【0047】
このデジタルカメラ1には、前記撮影レンズ3を構成する図示せぬフォーカスレンズおよびズームレンズを含むレンズ光学系22がモータ21の駆動により光軸方向に所定の範囲内で移動可能に設けられている。このレンズ光学系22の光軸後方にフィルタ機構23、絞り機構24を介して撮像素子であるCCD(charge coupled device)25が配設されている。
【0048】
フィルタ機構23は、レンズ光学系22を介してCCD25に入射される光の量を「NDフィルタ」と呼ばれる光学フィルタの段数の切り替えによって光学的に調整する。絞り機構24は、レンズ光学系22を介してCCD25に入射される光の量を絞り値(F値)の切り替えによって調整する。CCD25は、この絞り機構24を通して入力される被写体の各部位からの光を受光し、その光の強度に応じた電気信号を出力する。
【0049】
基本モードである記録モード時において、CCD25はタイミング発生器(TG)26、ドライバ27によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。このCCD25の光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎にAGC回路(自動利得制御回路)28により適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド回路29でサンプルホールドされ、A/D変換器30でデジタルデータに変換される。
【0050】
そして、画像処理回路31において、画素補間処理及びγ補正処理を含む画像処理が行われて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号U,V(Cb,Cr)が生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ32に出力される。
【0051】
DMAコントローラ32は、画像処理回路31の出力する輝度信号Y及び色差信号U,Vを、同じく画像処理回路31からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ32内部のバッファに書き込み、DRAMインタフェース(I/F)33を介してバッファメモリとして使用されるDRAM34にDMA転送を行う。
【0052】
なお、本実施形態において、CCD25には画素加算処理部25aが含まれている。この画素加算処理部25aは、CCD25の内部で各画素毎に蓄積された電荷量をCCD25の外部に出力する際に、複数の画素の電荷量を所定の倍率で加算処理した後に出力する。スルー画像表示や動画撮影時では、静止画撮影時よりも必要とする解像度が低く、CCD25から読み出す必要のある画素数が少なくなるが、この時に、ただ単に画素を間引いて出力するのではなく、CCD25内部で画素を加算してから出力することで、読み出し時間が長くなることなく光量を増すことが可能となる。
【0053】
また、制御部35は、デジタルカメラ1全体の制御を行うものであり、CPUと、このCPUで実行される動作プログラムを記憶したROM、及びワークメモリとして使用されるRAMなどを含むマイクロコンピュータにより構成される。この制御部35には、被写体の明るさに応じてシャッター速度を含む各種撮影パラメータを変化させることにより露出制御を行う露出制御処理部35aが設けられている。
【0054】
ここで、前記輝度及び色差信号のDRAM34へのDMA転送終了後、制御部35は、この輝度及び色差信号をDRAMインタフェース33を介してDRAM34より読み出し、VRAMコントローラ37を介してVRAM38に書き込む。
【0055】
デジタルビデオエンコーダ39は、前記輝度及び色差信号をVRAMコントローラ37を介してVRAM38より定期的に読み出し、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部19に出力する。
【0056】
この表示部19は、上述した如く撮影時にはモニタ表示部(電子ファインダ)として機能するもので、デジタルビデオエンコーダ39からのビデオ信号に基づいた表示を行うことで、その時点でVRAMコントローラ37から取込んでいる画像情報に基づく画像をリアルタイムに表示することとなる。
【0057】
このように、表示部19にその時点での画像がモニタ画像としてリアルタイムに表示されている状態で、例えば静止画撮影を行いたいタイミングでシャッタキー9を押下操作すると、トリガ信号が発生する。
【0058】
なお、キー入力部36は、上述したシャッタキー9の他に、電源キー8、撮影モードキー10、再生モードキー11、マクロキー14、ストロボキー15、メニューキー16、リングキー17、セットキー18、ズームキー20a,20bなどから構成され、それらのキー操作に伴う信号は直接制御部35へ送出される。
【0059】
制御部35は、このトリガ信号に応じて、その時点でCCD25から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM34へのDMA転送の終了後、直ちにCCD25からのDRAM34への経路を停止し、記録保存の状態に遷移する。
【0060】
この記録保存の状態では、制御部35がDRAM34に書き込まれている1フレーム分の輝度及び色差信号をDRAMインタフェース33を介してY,Cb,Crの各コンポーネント毎に縦8画素×横8画素の基本ブロックと呼称される単位で読み出して、JPEG(Joint Photograph coding Experts Group)回路40に書き込み、このJPEG回路40でADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピ符号化方式であるハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮する。
【0061】
そして得た符号データを1画像のデータファイルとして該JPEG回路40から読み出して記録用のメモリ41に書き込む。このメモリ41としては、予め本体に内蔵されたフラッシュメモリ等の内部メモリの他に、記録媒体として着脱自在に装着されるメモリカードなどを含む。1フレーム分の輝度及び色差信号の圧縮処理及びメモリ41への全圧縮データの書込み終了に伴って、制御部35はCCD25からDRAM34への経路を再び起動する。
【0062】
制御部35には、さらに音声処理部42、USBインタフェース(I/F)43、ストロボ駆動部44が接続される。
【0063】
音声処理部42は、PCM音源等の音源回路を備え、音声の録音時には前記マイクロホン部(MIC)7より入力された音声信号をデジタル化し、所定のデータファイル形式、例えばMP3(MPEG−1 audio layer 3)規格に従ってデータ圧縮して音声データファイルを作成してメモリ41へ送出する一方、音声の再生時にはメモリ41から読み出された音声データファイルの圧縮を解いてアナログ化し、上述したデジタルカメラ1の背面側に設けられるスピーカ部(SP)13を通じて出力する。
【0064】
USBインタフェース43は、USBコネクタを介して有線接続されるパーソナルコンピュータ等の他の情報端末装置との間で画像データ、その他の送受を行う場合の通信制御を行う。ストロボ駆動部44は、撮影時に図示せぬストロボ用の大容量コンデンサを充電した上で、制御部35からの制御に基づいてストロボ発光部6を閃光駆動する。
【0065】
また、静止画像ではなく動画像の撮影時においては、シャッタキー9が押下操作されたときに、上述したJPEG回路40によりmotion−JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの手法により撮影動画をデータ圧縮してメモリ41へ記録する。再度シャッタキー9が操作されると、動画データの記録を終了する。
【0066】
一方、基本モードである再生モード時には、制御部35がメモリ41に記録されている画像データを選択的に読み出し、JPEG回路40で記録モード時にデータ圧縮した手順と全く逆の手順で、圧縮されている画像データを伸長する。そして、この伸長した画像データをDRAMインタフェース33を介してDRAM34に保持させた上で、このDRAM34の保持内容をVRAMコントローラ37を介してVRAM38に記憶させ、このVRAM38より定期的に画像データを読み出してビデオ信号を発生し、表示部19で再生出力させる。
【0067】
選択した画像データが静止画像ではなく動画像であった場合には、その動画データを構成する複数フレームの静止画データを時系列の順で順次再生して表示し、すべての静止画データの再生を終了した時点で、例えば、次に再生の指示がなされるまで先頭に位置する静止画データを表示するなどを行う。
【0068】
図3はデジタルカメラ1のシャッター速度とフリッカとの関係を説明するための図である。
【0069】
一般に室内照明として設置されている蛍光灯の明るさは、電源周波数の倍の周期で変動する。つまり、図3(a),(b)に示すように、50Hzの電源(東日本)では100Hz、60Hzの電源(西日本)では120Hzの周期で明滅を繰り返していることになる。このような明滅特性を有する蛍光灯の下で動画撮影を行うと、その電源周期とシャッター速度によって決まる露光時間との関係で、撮影画像にフリッカ(ちらつき)が生じ、動画の記録やスルー表示に影響を与えることがある。
【0070】
すなわち、図3(c)に示すように、例えば1/512秒のシャッター速度で動画撮影を行うと、露光のタイミングと電源周期によって変動する光の山とのズレにより、各露光ポイントで得られる光量が異なってくる。図3(a),(b)において、斜線で示す部分の面積が多い程、光量が多く、逆に斜線で示す部分の面積が少ない程、光量が少ないことを意味する。この光量の違いがフリッカとして表れる。
【0071】
この場合、例えば電源周期の最小公倍数である秒20コマで露光すれば、露光のタイミングが電源周期に同期するので、フリッカの現象を抑えることができる。しかしながら、秒20コマでは、動画としての滑らかなさに欠けてしまう問題がある。一般に、動画の撮影では、秒30コマ以上のフレームレートが必要とされる。
【0072】
また、他の方法として、シャッター速度を遅くして露光時間を延ばす方法がある。すなわち、図3(d)、(e)に示すように、シャッター速度を遅くして露光時間が長く取るようにすれば、電源周期によって変動する光の山を多く含むことになるので、フリッカが発生しなくなる。しかしながら、シャッター速度を遅くすると、前記動画フレームレートを確保できなくなる問題がある。
【0073】
以下に、前記構成のデジタルカメラ1による露出動作について説明する。
【0074】
図4はデジタルカメラ1による露出動作を示す図(露出線図)であり、ISO100とした場合のEV値(Exposure Value:露出値)とシャッター速度を含む各種撮影パラメータとの対応関係を表している。なお、シャッター速度以外の撮影パラメータとしては、NDフィルタ、絞り、画素加算、増幅率が含まれる。
【0075】
蛍光灯下で動画撮影を行う場合において、図1に示した撮影モードキー10の押下により動画モードを設定した状態で、例えばメニューキー16の操作により、「フリッカ除去モード」と呼ばれる特殊モードを設定する。
【0076】
この「フリッカ除去モード」では、図4に示すように、シャッター速度の下限値が1/32秒(第1の速度値)、上限値が1/128秒(第2の速度値)に定められる。下限値の1/32秒(第1の速度値)は、動画に必要な秒30コマのフレームレートに対応している。上限値の1/128秒(第2の速度値)は、明滅特性を有する蛍光灯の電源周波数に対応している。
【0077】
ここで、被写体の明るさに応じた最適な露出値つまりEV値が決定されると、図4の露出線図に従って、シャッター速度が前記規定範囲内で優先的に調整される。この場合、シャッター速度(電子シャッター)による調整は無段階であると考えて良く、前記規定範囲である1/32秒〜1/128秒の間で細かく調整される。
【0078】
一方、被写体の明るさの変化が前記規定範囲を超える場合には、シャッター速度以外の他の撮影パラメータによって露出が調整される。ここで言う他の撮影パラメータとは、増幅率、画素加算、絞り(F値)、NDフィルタのことである。
【0079】
増幅率による調整は、図2に示すように、CCD25の出力信号の増幅率(ゲイン)をAGC回路28によって制御することで行う。図4の例では、0〜+18dBの間で調整可能としている。
【0080】
画素加算による調整は、図2に示すように、画像処理回路31に設けられた画素加算処理部25aによって各画素のデータを加算する倍率を変更することで行う。図4の例では、なし,2倍,4倍の3段階で調整可能としている。
【0081】
絞り(F値)による調整は、図2に示すように、レンズ光学系22を通じてCCD25に入射される光量を絞り機構24によってメカ的に調整することで行う。図4の例では、F2.8とF4.0の2段階で調整可能としている。
【0082】
NDフィルタによる調整は、図2に示すように、フィルタ機構23によってNDフィルタの段数を切り替えることで行う。図4の例では、なしと1段の2段階で調整可能としている。なお、NDフィルタなしの場合には、フィルタ機構23によってNDフィルタが光軸上から離間し、1段の場合にはNDフィルタが光軸上に位置するように駆動されるものとする。
【0083】
ただし、これらの撮影パラメータを用いた場合に、例えば増幅率による調整では、増幅率を所定値以上に上げると、ノイズによる影響が大きくなるといった問題がある。絞りによる調整は、絞りの切り替え時に「カチャカチャ」といったメカ的な動作を伴うため、特に音声付き動画撮影を行う場合に問題となる。NDフィルタによる調整は光学レンズによって光を遮るため、画質が低下するといった問題がある。また、画素加算による調整では、上記の撮影パラメータほどではないが、加算倍率により若干画質が変化するため、頻繁に加算倍率が切り替わると、ちらつきが生じるなどの問題がある。
【0084】
このようなことから、シャッター速度以外の撮影パラメータで露出を調整する際には、それぞれの特性を考慮した順番で選択的に使用することが好ましい。すなわち、図4に示されているように、光量を減らす場合つまり露出値を明るい方向に追従させる場合には、増幅率→画素加算→絞り(F値)→NDフィルタの順で調整することが好ましい。逆に、光量を増やす場合つまり露出値を暗い方向に追従させる場合には、NDフィルタ→絞り(F値)→画素加算→増幅率の順で調整することが好ましい。
【0085】
また、被写体が極端に明るくEV値が11以上である場合は、前記規定範囲を超えてシャッター速度を調整する。
【0086】
ここで、理解を容易にするため、絞り(F値)に着目して具体的に説明する。
【0087】
図5は前記露出線図の中の絞り(F値)の切り替え付近の線図動作を部分的に示した図である。動画の記録あるいはスルー表示中において、絞り(F値)はF2.8とF4.0の2値をとるものとする。
【0088】
例えば、絞りがF2.8に設定されている状態で、被写体の明るさがEV10よりも明るくなると、絞り側つまりF4.0に切り替えられる。逆に、絞りがF4.0に設定されている状態で、被写体の明るさがEV9よりも暗くなる場合には、絞りが開放側つまりF2.8に切り替えられる。
【0089】
ここで、絞りF値の中間地点、例えばEV9.5付近では、シャッター速度による調整が行なわれる。すなわち、例えば絞りがF2.8の状態でEV9からEV10に変化させる場合には、シャッター速度を徐々に上げていき、規定範囲の上限値である1/128に達した時点で絞りをF4.0に切り替えると共にシャッター速度を1/64に戻す。逆に、絞りがF4.0の状態でEV10からEV9に変化させる場合には、シャッター速度を徐々に下げていき、規定範囲の下限値である1/32に達した時点で絞りをF2.8に切り替えると共にシャッター速度を1/64に戻す。これにより、EV9からEV10までの1EVのヒステリシス量を確保して露出制御を行うことができる。
【0090】
このように、動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値と、明滅特性を有する蛍光灯の電源周波数に対応して決められた第2の速度値とによって規定される範囲内でシャッター速度を優先的に調整することで、動画撮影時に所要のフレームレートを保ちながら、フリッカノイズを低減し、且つ、必要なヒステリシス量を確保することができる。
【0091】
なお、ここでは、EV値換算で1段階のヒステリシス量を確保するためにシャッター速度の上限値を1/128秒に設定したが、ヒステリシス量よりもフリッカの低減を優先したい場合には、シャッター速度の上限値を1/64秒に設定して、ヒステリシス量を半分に減らすようにしても良い。この場合、後述するように、シャッター速度と共に増幅率の調整を併用すれば(図6および図7参照)、シャッター速度の上限値を1/64秒として、ヒステリシス量を1EV分確保することができる。
【0092】
また、動画撮影の動作として説明したが、静止画撮影の待機中におけるスルー画像表示に関しても同様の動作を行い、同様の効果が得られる。
【0093】
次に、デジタルカメラ1による他の露出動作として、シャッター速度に加えて増幅率を優先的に調整する場合について説明する。
【0094】
図6はデジタルカメラ1による他の露出動作を示す図(露出線図)であり、シャッター速度に加えて増幅率を優先的に調整する場合の露出動作が示されている。
【0095】
図1に示した撮影モードキー10の押下により動画モードを設定した状態で、例えばメニューキー16の操作により、「フリッカ除去モード」と呼ばれる特殊モードを設定する。
【0096】
この「フリッカ除去モード」の設定に伴い、シャッター速度の下限値が1/32秒(第1の速度値)、上限値が1/64秒(第2の速度値)に定められる。上述したように、下限値の1/32秒(第1の速度値)は動画に必要な秒30コマのフレームレートに対応し、上限値の1/64秒(第2の速度値)は蛍光灯の電源周波数に対応しているが、上限値については前記図4の露出線図よりも低い値が設定されている。さらに、このようなシャッター速度の調整範囲に対応させて、増幅率の調整範囲が0dB〜+6dBに定められる。
【0097】
このような構成において、シャッタキー9が押下されると、動画撮影が開始される。その際、レンズ光学系22を通じてCCD25に入射される光の量から被写体の明るさが測定され、制御部35に設けられた露出制御処理部35aによって、当該被写体の明るさに応じた最適な露出値つまりEV値が決定される。そして、このEV値に合わせるべく、図6の露出線図に従ってシャッター速度と増幅率が優先的に調整される。
【0098】
この場合、暗くする方向へ調整する場合(つまり、EV値が前回よりも高い場合)には、前記図5と同様にシャッター速度が規定範囲内で調整されるが、明るくする方向へ調整する場合(つまり、EV値が前回よりも低い場合)には増幅率が規定範囲内で調整される。
【0099】
すなわち、絞りの切り替え付近に着目して具体的に説明すると、例えば、絞りがF2.8の状態でEV8からEV9に変化させる場合には、シャッター速度を徐々に上げていき、規定範囲の上限値である1/64に達した時点で絞りをF4.0に切り替えると共にシャッター速度を1/32に戻す。逆に、絞りがF4.0の状態でEV9からEV8に変化させる場合には、シャッター速度をそのままの状態にして増幅率の方を徐々に上げていく。この場合、増幅率が+6dBに達した時点で絞りをF2.8に切り替えると共に増幅率を0dbに戻す。この増幅率の最大値を+6dBに制限しておくのは、それ以上に増幅率を上げると、ノイズの影響によって画質が著しく低下してしまうためである。
【0100】
また、被写体の明るさの変化が前記規定範囲を超える場合には、シャッター速度以外の他の撮影パラメータによって調整される。他の撮影パラメータとは、上述したように増幅率、画素加算、絞り(F値)、NDフィルタであり、これらを被写体の明るさに応じて適宜選択的に調整して露出制御を行う。
【0101】
また、被写体の明るさの絶対値がEV値換算で5〜11の範囲外となった場合には、前記規定範囲を超えてシャッター速度や増幅率を調整する。
【0102】
このように、露出値を暗くする方向へ追従させる場合にシャッター速度、露出値を明るくする方向へ追従させる場合に増幅率といったように、ヒステリシスの方向に応じて2つの撮影パラメータを使い分けることで、前記図5のようにシャッター速度のみで調整する場合と比べて、ヒステリシス量を倍にすることができる。この場合、図6に示すように、ヒステリシス量は2EV分となる。
【0103】
なお、図6の例では、優先的に調整する撮影パラメータをヒステリシスの方向に応じてシャッター速度と増幅率で使い分けるようにしたが、必ずしもこれに限るものではなく、ヒステリシスの方向にかかわらずシャッター速度と増幅率の両方を用いることでも良い。
【0104】
この様子を図7に示す。
図7はデジタルカメラ1による他の露出動作を示す図(露出線図)であり、シャッター速度と増幅率を同時に調整する場合の露出動作が示されている。
【0105】
前記「フリッカ除去モード」の設定に伴い、シャッター速度の下限値が1/32秒(第1の速度値)、上限値が1/64秒(第2の速度値)に定められる。上述したように、下限値の1/32秒(第1の速度値)は動画に必要な秒30コマのフレームレートに対応し、上限値の1/64秒(第2の速度値)は蛍光灯の電源周波数に対応している。さらに、このようなシャッター速度の調整範囲に対応させて増幅率の調整範囲が0dB〜+6dBに定められる。
【0106】
ここで、図6と異なる点は、暗くする方向へ調整する場合、明るくする方向へ調整する場合共にシャッター速度と増幅率の両方を使用して、同じヒステリシス量つまり2EVを確保していることである。
【0107】
絞りの切り替え付近に着目して具体的に説明すると、例えば、絞りがF2.8の状態でEV8からEV9に変化させる場合には、シャッター速度を徐々に上げていくと共に増幅率を徐々に下げていく。この場合、図6にてシャッター速度のみの調整によって得られていたEV値と同じになるように、シャッター速度と増幅率を調整可能な最小単位で同時または交互に調整する。シャッター速度と増幅率の両方が規定範囲の上限値である1/64、0dbに達した時点で絞りをF4.0に切り替えると共にシャッター速度と増幅率を1/48、+3dbに戻す。
【0108】
逆に、絞りがF4.0の状態でEV9からEV8に変化させる場合には、シャッター速度を徐々に下げながら増幅率を徐々に上げていく。この場合も、図6にて増幅率のみの調整によって得られていたEV値と同じになるように、シャッター速度と増幅率を調整可能な最小単位で同時または交互に調整する。シャッター速度と増幅率の両方が規定範囲の下限値である1/32、+6dBに達した時点で絞りをF2.8に切り替えると共にシャッター速度と増幅率を1/48、+3dbに戻す。
【0109】
また、被写体の明るさの変化が前記規定範囲を超える場合には、シャッター速度以外の他の撮影パラメータによって調整される。他の撮影パラメータとは、上述したように増幅率、画素加算、絞り(F値)、NDフィルタであり、これらを被写体の明るさに応じて適宜選択的に調整して露出制御を行う。
【0110】
また、被写体の明るさの絶対値がEV値換算で5〜11の範囲外となった場合には、前記規定範囲を超えてシャッター速度や増幅率を調整する。
【0111】
このように、シャッター速度と増幅率の各々を調整可能な最小単位で同時または交互に調整することでも、前記同様に必要なヒステリシス量を確保して露出制御を行うことができる。
【0112】
次に、デジタルカメラ1による具体的な処理手順について詳しく説明する。なお、以下のフローチャートで示される各処理は、マイクロコンピュータである制御部35が所定のプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って実行される。
【0113】
図8および図9はデジタルカメラ1による露出動作を示すフローチャートであり、図7の露出線図に従ったヒステリシス有りの場合の露出条件決定処理の手順が示されている。
【0114】
動画の記録または表示中において、所定の操作により「フリッカ除去モード」が設定されると(ステップA11のYes)、制御部35に設けられた露出制御処理部35aによって、以下のような処理が実行される。
【0115】
なお、この「フリッカ除去モード」はユーザが任意に設定可能であり、例えば、蛍光灯下の撮影でない場合には、「フリッカ除去モード」以外のモードを設定することで、図4、図6、図7で示される線図動作とは異なり、フリッカ除去よりも他を優先した線図動作に従って露出制御が行なわれることになる。
【0116】
まず、初期設定処理として、秒30コマの動画フレームレートが設定される(ステップA12)。また、EV値が任意の値に初期設定されると共に、そのEV値に基づいて露出条件(シャッター速度を含む各種撮影パラメータ)が初期設定される(ステップA13,A14)。
【0117】
続いて、レンズ光学系22を通じてCCD25に入射される光の量から被写体の明るさが測定され、その被写体の明るさに応じたEV値が算出される(ステップA15)。この算出されたEV値が前回のEV値よりも高い場合、つまり、明るい方向へ露出を調整する必要があった場合には(ステップA16のYes)、シャッター速度による調整が規定範囲内で行なわれる。この場合、シャッター速度の上限値として規定された1/64秒よりも速くなるか否かが判断される(ステップA17)。上述したように、1/64秒とは、蛍光灯の電源周波数に対応して決められた速度値であって、この1/64秒よりも速いと、フリッカが発生する可能性がある。
【0118】
シャッター速度が1/64秒を超えなければ(ステップA17のNo)、前記算出されたEV値に基づいてシャッター速度を必要なだけ速くすることで露出の調整がなされる(ステップA18)。
【0119】
また、シャッター速度が1/64秒を超えてしまう場合には(ステップA17のYes)、続いて増幅率による調整が規定範囲内で行なわれる。その際、増幅率が0dBよりも小さくなるか否かが判断される(ステップA19)。増幅率が0dBより小さくなければ(ステップA19のNo)、シャッター速度を1/64秒に設定した状態で(ステップA20)、前記算出されたEV値に基づいて増幅率を必要なだけ小さくすることで露出の調整がなされる(ステップA21)。
【0120】
また、増幅率が0dBよりも小さくなる場合には(ステップA19のYes)、シャッター速度を1/48秒に設定すると共に増幅率を+3dBに設定した状態で(ステップAA22,A23)、前記算出されたEV値に基づいて他の露出条件(撮影パラメータ)が決定される(ステップA31)。なお、このときの露出条件決定処理については、後に図10を参照して詳しく説明する。
【0121】
一方、前記ステップA16において、前記算出されたEV値が前回のEV値よりも低い場合、つまり、暗い方向へ露出を調整する必要があった場合にも同様であり、シャッター速度と増幅率による調整が規定範囲内で行なわれる。
【0122】
すなわち、暗い方向へ露出を調整する必要があった場合には、まず、シャッター速度の下限値として規定された1/32秒よりも遅くなるか否かが判断される(ステップA24)。上述したように、1/32秒とは、秒30コマの動画フレームレートを確保するのに必要な速度値であって、この1/32秒よりも遅いと、動画としての滑らかな動きが保証されなくなる。
【0123】
シャッター速度が1/32秒よりも遅くならなければ(ステップA24のNo)、前記算出されたEV値に基づいてシャッター速度を必要なだけ遅くすることで露出の調整がなされる(ステップA25)。
【0124】
また、シャッター速度が1/32秒よりも遅くなるような場合には(ステップA24のYes)、続いて増幅率による調整が規定範囲内で行なわれる。その際、増幅率が6dBよりも大きくなるか否かが判断される(ステップA26)。増幅率が6dBよりも大きくならなければ(ステップA26のNo)、シャッター速度を1/32秒に設定した状態で(ステップA27)、前記算出されたEV値に基づいて増幅率を必要なだけ大きくすることで露出の調整がなされる(ステップA28)。
【0125】
また、増幅率が6dBを超える場合には(ステップA26のYes)、シャッター速度を1/48秒に設定すると共に増幅率を+3dBに設定した状態で(ステップA29,A30)、前記算出されたEV値に基づいて他の露出条件(撮影パラメータ)の決定処理が行われる(ステップA31)。なお、このときの露出条件決定処理については、後に図10を参照して詳しく説明する。
【0126】
以上のような動作が動画撮影中に繰り返し行われる。そして、所定の操作により撮影終了が指示されると(ステップA32のYes)、ここでの処理が終了する。
【0127】
なお、図6の露出線図に従ったヒステリシス有りの場合の露出条件決定処理の手順については、上述した図8および図9に示すフローチャートにおいて、ステップA22を「シャッター速度を1/32秒に設定」と変更し、ステップA23を「増幅率を0dBに設定」と変更し、ステップA29を「シャッター速度を1/32秒に設定」と変更し、ステップA30を「増幅率を0dBに設定」と変更すればよい。
【0128】
また、図4の露出線図の場合も同様に、図8および図9のフローチャートをアレンジすることで実現可能である。
【0129】
次に、前記ステップA31で実行される露出条件決定処理について説明する。
【0130】
図10はその処理動作を示すフローチャートであり、図7の露出線図に従ったヒステリシス無しの場合の露出条件決定処理の手順が示されている。前記シャッター速度および増幅率の調整によるヒステリシスの範囲を超える場合において、以下のようにして露出条件(各種撮影パラメータ)が設定される。
【0131】
すなわち、被写体の明るさに応じて設定されたEV値が10よりも大きい場合には(ステップB11のNo)、増幅率0〜6dB、画素加算なし、絞りF4.0、NDフィルタ1段に固定され(ステップB12)、その固定された条件以外の撮影パラメータの調整によって露出が調整される(ステップB22)。この場合の撮影パラメータとはシャッター速度である。つまり、被写体が明るすぎる状態では、図6の露出線図に示されているように、シャッター速度を規定範囲以上に上げて露出を調整することになる。
【0132】
また、EV値が10〜9の間であれば(ステップB13のNo)、増幅率0〜6dB、画素加算なし、絞りF4.0に固定され(ステップB14)、その固定された条件以外の撮影パラメータの調整によって露出が調整される(ステップB22)。具体的には、NDフィルタによって露出を調整することになる。
【0133】
また、EV値が9以下であれば(ステップB13のYes)、NDフィルタなしに固定される(ステップB15)。その際、EV値が8よりも大きければ、つまり、EV値が9〜8の間であれば(ステップB16のNo)、さらに増幅率0〜6dB、画素加算なしに固定され(ステップB17)、その固定された条件以外の撮影パラメータの調整によって露出が調整される(ステップB22)。具体的には、絞りによって露出を調整することになる。
【0134】
また、EV値が8以下であれば(ステップB16のYes)、前記NDフィルタなしの固定に加えて絞りF2.8に固定される(ステップB18)。その際、EV値が6よりも大きければ、つまり、EV値が8〜6の間であれば(ステップB16のNo)、さらに増幅率0〜6dBに固定され(ステップB20)、その固定された条件以外の撮影パラメータの調整によって露出が調整される(ステップB22)。具体的には、画素加算よって露出を調整することになる。
【0135】
また、EV値が6以下であれば(ステップB16のYes)、前記NDフィルタなし、絞りF2.8の固定に加えて、画素加算4倍に固定され(ステップB21)、その固定された条件以外の撮影パラメータの調整によって露出が調整される(ステップB22)。この場合の撮影パラメータとは増幅率である。つまり、被写体が暗すぎる状態では、図6の露出線図に示されているように、増幅率を規定範囲以上に上げて露出を調整することになる。
【0136】
このように、シャッター速度あるいは増幅率以外の撮影パラメータを露出条件として設定する際に適宜選択的に使用することで、それぞれの撮影パラメータによる不具合を最低限に抑えて、露出を調整することができる。
【0137】
すなわち、例えばEV値が8〜6のときに、比較的画質低下の少ない画素加算倍率を利用することで、その他の撮影パラメータを用いた場合の不具合を最小限に抑えることができる。
【0138】
また、被写体が比較的明るいときだけ、画質変化の大きいNDフィルタを利用すれば、広い露出範囲で高画質を維持することができ、且つ、被写体が非常に明るい場合にも対応することができる。
【0139】
また、被写体が比較的暗いときだけ、増幅率を規定範囲以上で調整すれば、広い露出範囲で高画質を維持することができ、且つ、被写体が非常に暗い場合にも対応することができる。
【0140】
なお、前記実施形態では、例えば絞り(F値)をF2.8とF4.0の2値としたが、EV値に対してもっと細かく調整できるようにしても良い。他の撮影パラメータについても同様であり、EV値に対してもっと細かく調整できるようにしても良い。
【0141】
また、ヒステリシス量とフリッカ除去のどちらを優先するかをユーザがモード設定により任意に選択できるようにし、この選択に応じてシャッター速度の規定範囲を可変しても良い。すなわち、例えばヒステリシス量を優先とした第1の特殊モードと、フリッカ除去を優先とした第2の特殊モードを用意しておき、第1の特殊モードが設定された場合にはシャッター速度の規定範囲を1/32〜1/128秒に設定し、第2の特殊モードが設定された場合にはシャッター速度の規定範囲を1/32〜1/64秒に設定する。これにより、秒30コマの動画フレームレートを保ちながら、ヒステリシス量とフリッカ除去のどちらかを優先した露出制御が行われることになる。
【0142】
また、前記実施形態では、デジタルカメラを例にして説明したが、本発明はこれに限る者ではなく、例えばデジタルムービカメラの他、同様の撮像機能を備えた携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などにも適用可能である。
【0143】
要するに、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る撮像装置としてデジタルカメラを例にした場合の外観構成を示す図であり、図1(a)は主に前面の構成、同図(b)は主に背面の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は同実施形態におけるデジタルカメラの電子回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態におけるデジタルカメラのシャッター速度とフリッカとの関係を説明するための図である。
【図4】図4は同実施形態のデジタルカメラによる露出動作を示す図(露出線図)である。
【図5】図5は前記露出線図の中の絞り(F値)の切り替え付近の線図動作を部分的に示した図である。
【図6】図6は同実施形態のデジタルカメラによる他の露出動作を示す図(露出線図)であり、シャッター速度に加えて増幅率を優先的に調整する場合の露出動作を示す図である。
【図7】図7は同実施形態のデジタルカメラによる他の露出動作を示す図(露出線図)であり、シャッター速度と増幅率を同時に調整する場合の露出動作を示す図である。
【図8】図8は同実施形態のデジタルカメラによるヒステリシス有りの場合の露出条件決定処理の手順を示すフローチャート(その1)である。
【図9】図9は同実施形態のデジタルカメラによるヒステリシス有りの場合の露出条件決定処理の手順を示すフローチャート(その2)である。
【図10】図10は同実施形態のデジタルカメラによるヒステリシス無しの場合の露出条件決定処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0145】
1…デジタルカメラ、2…ボディ、3…撮影レンズ、4…セルフタイマランプ、5…光学ファインダ窓、6…ストロボ発光部、7…マイクロホン部、8…電源キー、9…シャッタキー、10…撮影モードキー、11…再生モードキー、12…光学ファインダ、13…スピーカ部、14…マクロキー、15…ストロボキー、16…メニュー(MENU)キー、17…リングキー、18…セット(SET)キー、19…表示部、20a,20b…ズームキー、21…モータ、22…レンズ光学系、23…フィルタ機構、24…絞り機構、25…CCD、25a…画素加算処理部、26…タイミング発生器(TG)、27…ドライバ、28…アンプ、29…サンプルホールド回路(S/H)、30…A/D変換器、31…画像処理回路、32…DMAコントローラ、33…DRAMインタフェース(I/F)、34…DRAM、35…制御部、35a…露出制御処理部、36…キー入力部、37…VRAMコントローラ、38…VRAM、39…デジタルビデオエンコーダ、40…JPEG回路、41…メモリ、42…音声処理部、43…USBインタフェース(I/F)、44…ストロボ駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置であって、
被写体の明るさを計測する計測手段と、
この計測手段によって計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定する決定手段と、
前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定める第1の規定手段と、
前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定める第2の規定手段と、
動画の記録または表示中に、前記計測手段によって逐次計測される被写体の明るさに応じて前記決定手段によって決定された各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の規定手段で規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行う露出制御手段と
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子から出力される信号の増幅率を制御する増幅率制御手段を備え、
前記各種撮影パラメータは、前記増幅率制御手段による増幅率を含み、
前記露出制御手段は、前記計測手段によって逐次計測される被写体の明るさに応じて前記決定手段によって決定された各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度に加えて前記増幅率を優先的に調整することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記露出制御手段は、前記増幅率の最大値を所定値に制限して調整することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露出制御手段は、露出値を暗くする方向へ追従させる場合に前記シャッター速度を調整し、露出値を明るくする方向へ追従させる場合に前記増幅率を調整することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記露出制御手段は、前記シャッター速度と前記増幅率の各々を調整可能な最小単位で同時または交互に調整することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段を備え、
前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率を含み、
前記露出制御手段は、前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に前記画素加算倍率を調整することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段と、
前記撮像素子に入射される光量を段階的に制限する光学フィルタ手段とを備え、
前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率および前記光学フィルタ手段によるフィルタ段数を含み、
前記露出制御手段は、
前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に当該被写体の明るさを判定する判定手段と、
この判定手段により当該被写体の明るさが所定の明るさの範囲内であれば前記画素加算倍率を調整し、当該被写体の明るさが前記所定の明るさよりも明るい場合には前記フィルタ段数を調整するパラメータ変更手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子の各画素のデータを所定の倍率で加算処理する画素加算処理手段と、
前記撮像素子から出力される信号の増幅率を制御する増幅率制御手段とを備え、
前記各種撮影パラメータは、前記画素加算処理手段による画素加算倍率および前記増幅率制御手段による増幅率を含み、
前記露出制御手段は、
前記シャッター速度が前記第1および第2の規定手段によって規定された範囲を超える場合に当該被写体の明るさを判定する判定手段と、
この判定手段により当該被写体の明るさが所定の明るさの範囲内であれば前記画素加算倍率を調整し、当該被写体の明るさが前記所定の明るさよりも暗い場合には前記増幅率を調整するパラメータ変更手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
特殊モードを設定するモード設定手段を備え、
前記露出制御手段は、前記モード設定手段によって前記特殊モードが設定された場合に、前記規定範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、シャッター速度が前記規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
第1の特殊モードと第2の特殊モードを選択的に設定するモード設定手段を備え、
前記第1および第2の規定手段は、前記モード設定手段によって前記第1の特殊モードが設定された場合にヒステリシス量を優先とした規定範囲を設定し、前記第2の特殊モードが設定された場合にフリッカ除去を優先とした規定範囲を設定し、
前記露出制御手段は、前記第1または第2の特殊モードに応じて設定された規定範囲内でシャッター速度を優先的に調整し、シャッター速度が前記規定範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置に用いられる露出制御方法であって、
被写体の明るさを計測するステップと、
この計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定するステップと、
前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定めるステップと、
前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定めるステップと、
動画の記録または表示中に、逐次計測される被写体の明るさに応じて前記各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の速度値によって規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行うステップと
を含むことを特徴とする露出制御方法。
【請求項12】
撮像素子から連続的に得られる画像データを動画として記録または表示が可能な撮像装置に搭載されたコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
被写体の明るさを計測する機能と、
この計測された被写体の明るさに基づいて、シャッター速度を含む複数の撮影パラメータを決定する機能と、
前記シャッター速度の下限値を動画に必要なフレームレートに対応して決められた第1の速度値に定める機能と、
前記シャッター速度の上限値を明滅特性を有する外部光源の周波数に対応して決められた第2の速度値に定める機能と、
動画の記録または表示中に、逐次計測される被写体の明るさに応じて前記各種撮影パラメータの値を調整する際に、前記シャッター速度を優先的に調整し、そのシャッター速度が前記第1および第2の速度値によって規定された範囲を超える場合に他の撮影パラメータを調整して露出制御を行う機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−310971(P2006−310971A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128292(P2005−128292)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】