説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】NDフィルタの投入位置に応じて生じる同一画面内の輝度むらを軽減する。
【解決手段】撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置を検出し、検出されたフィルタ端部の位置に対応した補正データに基づいて、撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NDフィルタを備えた撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置としてのビデオカメラやデジタルカメラで動画又は静止画を記録するために用いられている固体撮像素子は、半導体微細加工の進歩に伴って小型化が進められている。このため、固体撮像素子に被写体像を投影するための光学系も小型化が進み、1/5インチ、1/6インチ光学サイズのレンズが使用されている。
【0003】
また、このように小型化が進んだビデオカメラでは、被写体の明るさが極端に明るい場合に非常に小さな絞り径になり、いわゆる光の回折現象によって、固体撮像素子に投影される被写体の鮮鋭度が損なわれてしまうことがある。これを防ぐため、ビデオカメラでは、撮影者が必要に応じてNDフィルタ(無彩色減光フィルタ)をレンズと絞りの間に挿入することによって、絞り径がある程度以上に小さくならないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、NDフィルタの投入前後で撮影画像の明るさの変化をなくすため、NDフィルタの投入状態に応じて絞り機構及び電子シャッタを制御することが開示されている。
【0004】
また、従来の撮像装置では、NDフィルタの濃度を段階的に変化させて、NDフィルタの投入による輝度むらを回避することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−283923号公報
【特許文献2】特開2000−214514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたビデオカメラに係わる技術は、NDフィルタによる輝度変化の平均レベルの変動を解消するためのものである。このため、このようなビデオカメラは、同一画面内の輝度むらに関しては補正することが考慮されていないので、投入又は離脱されるNDフィルタの位置によっては輝度むらが生じる場合がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたビデオカメラでは、NDフィルタを投入又は離脱する際に、輝度むらを軽減することが可能であるが、NDフィルタの濃度を段階的に変化させる部材が必須なため、メカ構造が複雑となり、製作コストが嵩み、製品が高価になる。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で、NDフィルタの投入位置に応じて生じる同一画面内の輝度むらを軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタを有する撮像装置であって、前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置を検出する位置検出手段と、前記光路中の前記フィルタ端部の位置に対応した複数の補正データを記憶する記憶手段と、前記位置検出手段で検出した前記フィルタ端部の位置に対応した前記補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、入射する光束を光電変換する順次読み出し型の撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタとを有する撮像装置であって、前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置及び移動方向を検出する位置検出手段と、前記光路中の前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した複数の補正データをきおくする記憶手段と、前記位置検出手段で検出した前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した前記補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で、NDフィルタの投入位置に応じて生じる同一画面内の輝度むらを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタの動作を説明する説明図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタ投入動作中の各状態での撮像信号のレベルを示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタ退避動作中の各状態での撮像信号のレベルを示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタで発生したシェーディングをシェーディング波形の逆波形を加算する方法で補正するための補正テーブルを示す説明図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタで発生したシェーディングを、ゲインを変えることで補正する方法で補正するための補正テーブルを示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタで発生したシェーディングを補正する際のマイコンの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置に係わる撮像装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタの投入動作を説明する説明図である。
【図10】本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタ投入動作中の各状態での輝度シェーディングを示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタの退避動作を説明する説明図である。
【図12】本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置におけるNDフィルタ退避動作中の各状態での輝度シェーディングを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施の形態)
以下、本発明の第1実施の形態について、図1乃至図6を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本実施の形態に係わる撮像装置の制御系の概略構成を示す図で、1は撮影レンズ、2は絞り羽根、3は撮像素子、4はアナログフロントエンド回路(以下AFEと記す)、6は信号処理回路、18はマイコンである。この絞り羽根2は、入射光量を制限する絞り機構を構成するものである。
【0015】
さらに、撮像素子3は、マイコン18に制御されるTG8で駆動される。7は出力回路、9はIGメーター、10はホール素子、11はアイリスエンコーダ、12はアイリス駆動回路、13は絞り羽根2に連動して動作するNDフィルタである。このNDフィルタ13は、撮像素子3へ入射する光束の光量を減少させるフィルタであって、撮像素子3へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能に設けられている。
【0016】
このように構成された撮像装置では、撮影レンズ1を通過して結像された被写体像が、撮像素子3により光電変換されて電気信号に変換される。この信号は、マイコン18に制御されるCDS/AGC回路を含むAFE4に送信されて相関二重サンプリングされ適当なレベルに増幅される。さらにAFE4の出力信号は、信号処理回路6に出力されディジタル信号に変換され、ディジタル処理をされNTSC等の規格化された映像信号に変換され、出力回路7によりアナログ信号に変換され、出力される。
【0017】
一方、絞り羽根2及びこれに連動して動作するNDフィルタ13を駆動しているIGメー夕ー9は、その回転位置をホール素子10により検出される。その検出結果は、アイリスエンコーダ11で適当なレベルに増幅された後、マイコン18に出力される。マイコン18は、受信した検出結果をA/D変換してデータとして取り込む。すなわち、マイコン18は、IGメー夕ー9、ホール素子10及びアイリスエンコーダ11で構成されるフィルタ端部の位置検出手段によってNDフィルタ13の端部が光路中を横切る際の移動位置の状態を検出する。
【0018】
このマイコン18は、信号処理回路6より映像信号レベルの情報を読み取る。これと共に、このマイコン18は、アイリスエンコーダ11より絞り羽根2の開閉状態の情報を読み取る。そしてマイコン18は、映像信号レベルが適切なレベルになるように制御信号を生成し、アイリス駆動回路12に出力する。
【0019】
アイリス駆動回路12は、受信した制御信号に従ってIGメーター9を駆動し、撮像素子3に結像される被写体像の明るさが適正になるように、絞り羽根2、IGメーター9、ホール素子10、およびNDフィルタ13から構成される機構を動作させる。
【0020】
次に、NDフィルタ13が投入される際の動作について、図1、図2、図3及び図4を参照して説明する。
【0021】
図2は、絞り羽根2及びNDフィルタ13の位置関係を示す図で、(n1)はNDフィルタ13が光路内にわずかに投入された状態、(n2)はNDフィルタ13が光路のほぼ中央部まで投入された状態を表している。また、(n3)はNDフィルタ13が光路の大部分に投入された状態を表している。
【0022】
図3は、上述した図2の(n1)、(n2)、(n3)の状態での撮像信号のレベルを示す図である。この図3では、出力信号に相当する画面Aに対し、略中央部分のd−eライン上の輝度信号レベルを、(n1A)、(n2A)、(n3A)で示してある。
【0023】
(n1A)では、e近辺の輝度レベルが下がっていて、(n2A)では、画面中央部に輝度レベルの濃淡が移動し、中央よりe側の輝度レベルが下がっている。また、(n3A)では、画面のd側に輝度レベルの濃淡が移動し、d近辺以外は輝度レベルが下がっている。それぞれの輝度レベル濃淡の状況は、NDフィルタ13の光学的位置に対応している。
【0024】
この撮像装置では、NDフィルタ13が投入される際のNDフィルタ13の位置情報が、ホール素子10を経てアイリスエンコーダ11から出力され、マイコン18に送られる。このようにして得られたNDフィルタ13の位置情報に基づき、マイコン18では、(n1)の場合に図4に示す(n1B)の補正データが選択される。また、(n2)の場合には補正データ(n2B)が選択され、(n3)の場合には補正データ(n3B)が選択される。
【0025】
そして、マイコン18は、それぞれの位置での補正データに基づく補正波形を補正テーブルブロック20から抽出し、補正回路21へ送信する。補正回路21では、受信した補正波形を撮像信号に加算し、出力回路7へ送信する。すなわち、マイコン18は、NDフィルタ13端部の位置を位置検出手段であるアイリスエンコーダ11等から検出したフィルタ端部の移動位置の状態に対応した補正データを抽出する。さらに、マイコン18は、抽出した補正データを補正回路21へ送信して補正動作を実行させる。
【0026】
これにより出力回路7からは、同一画面内の輝度むら(以下、シェーディング、または輝度シェーディングとも表す)が軽減された出力画像が出力される。
【0027】
また、絞り羽根2及びNDフィルタ13を退避させる場合には、前述とは逆の動作が行われる。例えば、上述のように、投入の場合に(n1)、(n2)、(n3)の順となるものが、退避の場合には、(n3)、(n2),(n1)の順になる。なお、このNDフィルタ13を退避させる場合でも、補正データ、補正テーブル自体は投入する場合と同様である。
【0028】
次に、図5及び図6を参照して、補正テーブルについて説明する。
【0029】
このNDフィルタ13で発生したシェーディングを補正する補正方法には、シェーディング波形の逆波形を加算する方法と、シェーディング部分に応じて画面内のゲインを変える方法がある。
【0030】
まず、シェーディング波形の逆波形を加算する方法について図5を参照して説明する。撮像信号のサンプリング画素毎に区切った1画面を示す図5で、各画素に記述した数値は、信号レベルを示している。
【0031】
補正テーブルブロック20には、NDフィルタ13の投入位置毎に前記信号レベルの数値が変る補正テーブルが記憶されている。マイコン18は、この補正テーブルに従って、逆補正信号を補正回路21で加算することにより,NDフィルタ13により発生したシェーディングを補正する。
【0032】
次に、NDフィルタ13で発生したシェーディングを、ゲインを変えることで補正する補正方法について、図6を参照して説明する。
【0033】
撮像信号のサンプリング画素毎に区切った1画面を示す図6で、各画素に記述の数値は、ゲインを示している。
【0034】
この場合は、補正テーブルブロック20には、NDフィルタ13の投入位置毎に前記ゲインの数値が変る補正テーブルを持たせている。マイコン18は、この補正テーブルに従って、逆補正信号を補正回路21でゲイン補正することにより,NDフィルタ13により発生したシェーディングを補正する。
【0035】
なお、図5及び図6で示した補正テーブルの値は説明のために例示した値であって、実際の補正テーブルの値は例示した値に限定されるものではない。
【0036】
次に、上述したNDフィルタ13により発生したシェーディングを補正する際のマイコンの動作について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
撮影動作が開始されると、被写体の輝度レベルの検出が行われる(ステップS1)。
【0038】
次に、マイコン18は、検出した輝度レベルを目標値と比較し、輝度レベルが目標値と同じと判定した場合(ステップS2でYES)に、ステップS8へ進む。また、マイコン18は、輝度レベルが目標値と異なると判定した場合(ステップS2でNO)に、ステップS3へ進む。
【0039】
次に、マイコン18は、輝度レベルを目標値と比較し、輝度レベルが目標値より大きいと判定した場合(ステップS3でYES)に、ステップS4へ進みアイリスを所定量閉じる動作を、輝度レベルが目標値以下になるまで繰り返す。また、マイコン18は、輝度レベルが目標値より小さいと判定した場合(ステップS3でNO)に、ステップS5へ進む。
【0040】
次に、マイコン18は、輝度レベルを目標値と比較し、輝度レベルが目標値より小さいと判定した場合(ステップS5でYES)に、ステップS6へ進みアイリスを所定量開く動作を、輝度レベルが目標値以上になるまで繰り返す。また、マイコン18は、輝度レベルが目標値以上と判定した場合(ステップS5でNO)に、ステップS7へ進む。
【0041】
次に、マイコン18は、輝度レベルが目標値と一致したか否かを判定し、目標値と不一致であると判定した場合(ステップS7でNO)にステップS3へ戻って、ステップS3からステップS7までのルーチンを繰り返す。
【0042】
また、マイコン18は、輝度レベルが目標値と一致したと判定した場合(ステップS7でYES)に、ステップS8へ進み、目標値と一致したときのアイリスの開度に対応したときのアイリスエンコーダ値を読む(ステップS8)。
【0043】
次に、マイコン18は、読み出したアイリスエンコーダ値に対応する補正データを、補正テーブルブロック20から読み取る。そして、マイコン18は、読み取った補正データを補正回路21へ転送して、このシェーディングの補正処理を終了する。
【0044】
以上のように、NDフィルタ13の投入状態(NDフィルタ13が光路中にどの程度投入されているか)に対応した補正データを用いて補正処理を行うことで、簡単な構成で、NDフィルタの投入位置に応じて生じる同一画面内の輝度むらを軽減することができる。
【0045】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係わる撮像装置について、図8、図9、図10、図11及び図12を参照して、説明する。なお、本実施の形態の説明に当たり、前述した第1実施の形態で説明したのと同等に部材には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施の形態に係わる撮像装置では、絞り羽根で駆動する構成とは異なる構成の駆動手段でNDフィルタ13を駆動するよう構成されており、撮像素子3がCMOSのような順次読み出し駆動を行う素子で構成されている。すなわち、本実施の形態に係わる撮像装置では、撮像光学系の光路上に、入射光量を制限する絞り機構と、投入又は退避可能に装着されたNDフィルタとが独立して配置されている。また、撮像素子3は、入射する被写体象を光電変換し映像信号とする順次読み出し型撮像素子として構成されている。
【0047】
本実施の形態に係わる撮像装置の制御系の概略構成を示す図8で、撮像素子3はCMOS素子で構成されている。また、この図8で、14はND駆動用のIGメーター、15はNDエンコーダ用のホール素子、16はNDエンコーダ、17はNDフィルタ13の駆動回路である。IGメーター14、ホール素子15及びNDエンコーダ16等で構成された位置検出手段によって、NDフィルタ13の端部が光路を横切る際の位置と移動方向を検出する。
【0048】
この撮像装置では、NDフィルタ13の投入時の位置関係が図9に示すように推移するものとする。なお、理解を容易にするため、絞り羽根の開口が一定の場合について説明する。
【0049】
図9に示すように、NDフィルタ13の位置は、それぞれ(n4)、(n5)、(n6)を経由して閉じる。このときの投入動作は、絞り羽根2と独立して動作し、ここでは、略1/60秒程度で光路に対する全退避状態から全投入状態へ移行するものとする。
【0050】
図9に示す(n4)は、NDフィルタ13が光路外から投入動作に入りおよそ1/4程度まで入った状態(t=4)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13は、Δtの間に、図示の矢印Δn4だけ移動する。
【0051】
次に(n5)は、NDフィルタ13が光路のほぼ中央部まで入った状態(t=5)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13は、Δtの間に、図示の矢印Δn5だけ移動する。
【0052】
次に(n6)は、NDフィルタ13が光路のほぼ全部に入った状態(t=6)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13は、Δtの間に、図示の矢印Δn6だけ移動する。
【0053】
まず、(n4)の場合には、Δt間にNDフィルタ13が移動する間に、撮像素子3であるところのCMOSセンサーは順次読み出しされるため、輝度シェーディングが斜めに発生する。その補正データは図10の(h4)のパターンとする。
【0054】
また、(n5)、(n6)の場合には、同様に輝度シェーディングが斜めとなるため、補正データが(h5)、(h6)のパターンとなる。
【0055】
マイコン18は、それぞれの補正データを補正テーブルに照合して補正信号を生成する。この補正信号は、補正回路21によって元信号に加算されるので、輝度シェーディングの無い撮像信号が出力回路7より出力される。
【0056】
要するに本発明では、ビデオカメラ等の撮像装置で動画を撮影しているときに、NDフィルタ13を使用状態にセットし又はNDフィルタ13の使用を止めるため待機位置に退避させる動作時に輝度むらが生じることを軽減する。
【0057】
このため、本実施の形態に係わる撮像装置では、撮影光学系に配置された絞り羽根2で絞られた光を通すための開口を、NDフィルタ13が覆う量に対応してシェーディングの補正値が異なることに注目する。
【0058】
そして、NDフィルタ13の端部が、絞り羽根2の開口を通過するとき(光路を横切るとき)の所定複数の位置と、NDフィルタ13が投入又は退避の何れの状態にあるかに対応して、予めシェーディングの補正値を求める。この求められたシェーディングの補正値は、NDフィルタ13の位置と、投入又は退避の何れの状態にあるかの条件に対応して補正テーブルブロック20に記憶しておく。
【0059】
この撮像装置のマイコン18は、NDフィルタ13を投入又は退避させる動作の際に、NDエンコーダ16の情報から、NDフィルタ13の位置と、投入又は退避の何れの状態にあるかの条件を検出する。そして、マイコン18は、NDフィルタ13の位置及び状態の条件に対応した補正データを補正テーブルブロック20から読み取る。
【0060】
この読み取られた補正データに基づいて、撮像素子3側から送られてきた映像信号の元信号を、補正回路21が補正処理するので、輝度シェーディングの無い撮像信号が出力回路7より出力される。
【0061】
次に、本第2実施の形態に係わる撮像装置において、NDフィルタ13を退避させる場合について図11を参照して説明する。
【0062】
本実施の形態に係わる撮像装置では、NDフィルタ13の位置が、それぞれ(n7)、(n8)、(n9)を経由して退避することになる。このとき、投入の場合と同様に、NDフィルタ13の動作は、絞り羽根と独立して動作し、ここでは略1/60秒程度で光路に対する全投入状態から全退避状態へ動作するものとする。
【0063】
まず、(n7)の場合には、NDフィルタ13が光路外から退避動作に入りおよそ1/4程度まで退避した状態(t=7)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13は、Δtの間に、図示の矢印Δn7だけ移動する。
【0064】
次に、(n8)は、NDフィルタ13が光路のほぼ中央部まで退避した状態(t=8)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13はΔtの間に、図示の矢印Δn8だけ移動する。
【0065】
次に(n9)は、NDフィルタ13が光路からほぼ全部退避した状態(t=9)の前後の位置関係を示す。この状態でNDフィルタ13は、Δtの間に、図示の矢印Δn9だけ移動する。
【0066】
まず、(n7)の場合には、Δt間にNDフィルタ13が移動する間、撮像素子3であるところのCMOSセンサーは順次読み出しをするため、輝度シェーディングが斜めに発生し、その補正データが図12の(h7)のパターンとなる。
【0067】
また、(n8)、(n9)の場合も同様に輝度シェーディングが斜めとなるため、補正データは、(h8)、(h9)のパターンとなる。
【0068】
これによりマイコン18は、それぞれの補正データを補正テーブルを利用して補正信号を生成する。この補正信号は、補正回路21によって元信号に加算されるので、輝度シェーディングの無い撮像信号が出力回路7より出力される。
【0069】
このように、本実施の形態の撮像装置では、NDフィルタ13の投入又は退避状態、位置により発生する輝度シェ−デングを、リアルタイムに補正することが可能となる。さらに、この撮像装置は、部品点数が少なく構成が簡素なので、廉価な撮像装置を提供することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものでは無く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
11 アイリスエンコーダ
13 NDフィルタ
16 NDエンコーダ
18 マイコン
20 補正テーブルブロック
21 補正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタを有する撮像装置であって、
前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置を検出する位置検出手段と、
前記光路中の前記フィルタ端部の位置に対応した複数の補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の補正データのうち、前記位置検出手段で検出した前記フィルタ端部の位置に対応した補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記補正データに基づいて撮像信号に前記シェーディングの逆波形を加算して補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記補正データに基づいて撮像信号のゲインを変更して補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
入射する光束を光電変換する順次読み出し型の撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタとを有する撮像装置であって、
前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置及び移動方向を検出する位置検出手段と、
前記光路中の前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した複数の補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の補正データのうち、前記位置検出手段で検出した前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタを有する撮像装置の制御方法であって、
前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置を検出する位置検出ステップと、
記憶手段に記憶された前記光路中の前記フィルタ端部の位置に対応した複数の補正データの中から、前記位置検出ステップで検出された前記フィルタ端部の位置に対応した前記補正データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出された前記補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正ステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
入射する光束を光電変換する順次読み出し型の撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光束の光路に対して投入及び退避可能な当該光束の光量を減少させるフィルタとを有する撮像装置の制御方法であって、
前記フィルタの投入動作又は退避動作の際に、フィルタ端部の位置及び移動方向を検出する位置検出ステップと、
記憶手段に記憶された前記光路中の前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した複数の補正データの中から、前記位置検出ステップで検出された前記フィルタ端部の位置及び移動方向に対応した前記補正データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出された前記補正データに基づいて、前記撮像素子から出力される信号のシェーディングを補正する補正ステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−5027(P2012−5027A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140526(P2010−140526)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】