説明

撮像装置及び撮像制御方法

【課題】ローリングシャッタ方式の撮像装置において、他者のフラッシュ発光があるシーンにおいても露光ムラのない画像の撮像を可能にする。
【解決手段】メカニカルシャッタを使用せずに、CMOSセンサに対して各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像を実施し、記録対象の1フレームの画像を取得する(ステップS10)。この取得した記録対象の画像に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出し(ステップS12)、露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発し(ステップS16)、撮影者からの記録/キャンセルの指示入力に応じて記録処理又は記録のキャンセルを行う(ステップS18、S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像制御方法に係り、特にローリングシャッタ方式の撮像装置に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーカルプレーンシャッタ搭載のカメラにおいて、フラッシュ発光と露光タイミングを合わせることで面内露光ムラを回避するようにした撮像装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、CMOSセンサを用いた撮像装置において、フォーカルプレーンシャッタを使用せずに、フォーカルプレーンシャッタと同様なシャッタを電子的に実現する方式として、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式が知られている。
【0004】
このローリングシャッタ方式は、各ライン毎に露光タイミング及び読出しタイミングに時間差があるという特徴があるため、一部のラインの露光期間中にフラッシュのような発光期間の短い強い光が入射すると、その一部のラインの領域が他のラインの領域よりも明るくなる(面内輝度ムラが生じる)といった問題がある。
【0005】
このローリングシャッタ方式による輝度ムラを軽減するために、特許文献2には、最初のラインの露光タイミングから最後のラインの露光終了時まで常にフラッシュを発光し続ける撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−64974号公報
【特許文献2】特開2007―324649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の発明は、撮像装置自体に設けられたフラッシュ装置からフラッシュを発光する場合における輝度ムラを軽減するための技術である。撮像装置自体に設けられたフラッシュ装置であれば、発光タイミングを制御することも可能であるが、他人が所有するカメラのフラッシュ光の発光タイミングを制御することはできない。
【0008】
例えば、結婚式や記者会見などの多くのカメラが同時にフラッシュを発光させるシーンにおいて、ローリングシャッタ方式の撮像装置により撮影を行う場合には、他人が所有するカメラが発光したフラッシュ光によって画面内に露光ムラが生じるが、この問題を特許文献1、2に記載の発明では解決することができない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ローリングシャッタ方式の撮像装置において、他者のフラッシュ発光があるシーンにおいても露光ムラのない画像の撮像を行うことができる撮像装置及び撮像制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置において、前記撮像素子から順次読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像、又は該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得する画像取得手段と、前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出する露光ムラ検出手段と、前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発する露光ムラ警告手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
即ち、記録対象の1フレームの画像中の露光ムラ(他者のフラッシュ発光等に起因する露光ムラ)の有無を検出し、露光ムラが検出された場合には、露光ムラを示す警告を発するようにしている。この警告により再撮像が喚起され、撮影者は再撮像を行うことで露光ムラのない画像の撮像を行うことができる。
【0012】
請求項2に示すように請求項1に記載の撮像装置において、前記画像取得手段により取得された画像が一時的に記録される内部メモリと、画像表示手段と、前記露光ムラ警告手段により警告が発せられると、前記内部メモリに記録された画像を前記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、画像の記録を入力する記録指示手段と、前記記録指示手段により前記画像ムラの警告が発せられた画像に対する記録指示が入力されると、前記内部メモリに記録された画像を不揮発性の記録媒体に記録する記録手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0013】
即ち、記録対象の画像中に露光ムラが検出された場合には、その記録対象の画像を内部メモリに一時保持するとともに、画像表示手段に表示させるようにしたため、撮影者に露光ムラの有無の確認をとって貰うことができる。そして、露光ムラが誤検出された場合や露光ムラが許容できる場合に、撮影者から記録指示が入力されると、内部メモリに記録された画像を不揮発性の記録媒体に記録するようにしている。
【0014】
請求項3に示すように請求項2に記載の撮像装置において、前記露光ムラ検出手段は、少なくともライン方向と平行な露光ムラの境界を示すライン位置を検出し、前記露光ムラ警告手段は、前記画像表示手段に表示された画像上に前記検出されたライン位置を示すマーカを表示することを特徴としている。これにより、撮影者は、露光ムラの有無の確認を容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置において、前記撮像素子から読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像と、該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得する画像取得手段と、前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出する露光ムラ検出手段と、前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に基づいて補正する露光ムラ補正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
即ち、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像の他に、その画像と隣接するフレームの画像も取得しておき、記録対象の画像中に露光ムラが検出された場合には、その記録対象の画像に隣接するフレームの画像を使用し、露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、隣接するフレームの画像における高輝度領域に対応する情報に基づいて補正するようにしている。これにより、露光ムラを自動的に補正することができ、露光ムラのない画像を記録することができる。
【0017】
請求項5に示すように請求項4に記載の撮像装置において、前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報と置換することを特徴としている。
【0018】
請求項6に示すように請求項4に記載の撮像装置において、前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応するラインの輝度値を、前記高輝度領域に対応するラインの平均輝度値が前記隣接するフレームの画像における同一ラインの平均輝度値と一致するように補正することを特徴としている。
【0019】
即ち、請求項5に記載の発明は、記録対象の画像の露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、隣接するフレームの画像における高輝度領域に対応する情報と置換することにより、高輝度領域の情報を補正しているが、請求項6に記載の発明は、高輝度領域の情報を、隣接するフレームの画像における同一ラインの平均輝度と一致するようにライン毎に補正することで、高輝度領域の情報を補正している。
【0020】
請求項7に示すように請求項4から6のいずれかに記載の撮像装置において、前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発する露光ムラ警告手段と、画像表示手段と、前記露光ムラ警告手段により警告が発せられると、前記記録対象の画像を前記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、露光ムラの補正の指示を入力する補正指示手段と、前記露光ムラ補正手段は、前記補正指示手段により前記画像ムラの警告が発せられた画像に対する補正指示が入力されると、前記記録対象の画像の露光ムラの補正を行うことを特徴としている。
【0021】
即ち、記録対象の画像中に露光ムラが検出された場合には、直ちに露光ムラを補正せずに、露光ムラを示す警告を発するとともに、記録対象の画像を画像表示手段に表示させる。そして、撮影者から露光ムラの補正指示が入力されると、露光ムラの補正が行われる。これにより、露光ムラが誤検出された場合に誤った補正を防止することができる。
【0022】
請求項8に示すように請求項1から7のいずれかに記載の撮像装置において、前記露光ムラ検出手段は、前記取得した記録対象の1フレームの画像から1ライン毎又は複数ライン毎の平均輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記算出した平均輝度値に基づいて前後方向のライン間における所定の閾値を越える輝度変化を検出する輝度変化検出手段とを有し、前記輝度変化検出手段により検出される輝度変化の有無に基づいて前記露光ムラの有無を検出することを特徴としている。
【0023】
他者のフラッシュ発光に起因する面内露光ムラは、あるライン(フラッシュ光を受光しているラインと受光していないライン)を境界にその前半部又は後半部の輝度が、他の部分よりも高輝度になっている。従って、記録対象の画像から1ライン毎又は複数ライン毎の平均輝度値を算出し、この平均輝度値がラインの前後方向で大幅に変化する箇所を検出することで露光ムラの有無を検出するようにしている。
【0024】
請求項9に示すように請求項1から8のいずれかに記載の撮像装置において、前記露光ムラ検出手段は、前記画像取得手段により取得した複数フレームの画像からそれぞれ1ライン毎又は複数ライン毎の平均輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記複数フレームの画像の同一ラインについて算出された平均輝度値に基づいて前記記録対象の画像のラインの平均輝度値が、隣接する画像のラインの平均輝度値よりも大きくなるラインを検出する高輝度ライン検出手段とを有し、前記高輝度ライン検出手段により検出される高輝度ラインの有無に基づいて前記露光ムラの有無を検出することを特徴としている。
【0025】
他者のフラッシュ光が記録対象の画像のあるラインに入射している場合には、記録対象の画像と隣接するフレームの画像の同一ラインには、前記ラッシュ光は入射していないと考えられる。これは、フラッシュ光(一般のキセノン管からのフラッシュ光)の発光時間は極めて短いからである。従って、記録対象の画像の任意のラインの平均輝度値が、隣接する画像の同一ラインの平均輝度値よりも大きい場合には、そのラインにはフラッシュ光が入射していると考えられる。このように、隣接するフレームの画像よりも高輝度となっているライン(高輝度ライン)の有無から露光ムラの有無を検出するようにしている。
【0026】
請求項10に示すように請求項4から7のいずれかに記載の撮像装置において、前記画像取得手段は、前記記録対象の1フレーム画像と、該画像の直前及び直後のフレームの画像とを含む3フレームの画像を取得し、前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の露光ムラの補正に使用する前記隣接するフレームの画像として、前記直前及び直後のフレームの画像のうちのいずれか一方を選択する選択手段を有することを特徴としている。
【0027】
請求項11に示すように請求項10に記載の撮像装置において、前記選択手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応する前記直前及び直後のフレームの画像における同一領域の平均輝度値をそれぞれ算出する算出手段を有し、前記算出された平均輝度値のうち低い平均輝度値を有する画像を選択することを特徴としている。
【0028】
これにより、一部でもフラッシュ露光していない画像を補正用の画像として選択することができる。
【0029】
請求項12に示すように請求項10に記載の撮像装置において、前記選択手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域が画像中の前半部か後半部かを判断する判断手段を有し、前半部と判断した場合には直後のフレームの画像を選択し、後半部と判断した場合には直前のフレームの画像を選択することを特徴としている。
【0030】
これにより、フラッシュの発光時点から遠い画像側を選択することができ、フラッシュ露光していない画像を補正用の画像として選択することができる。
【0031】
請求項13に係る発明は、複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置における撮像制御方法において、前記撮像素子から順次読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像、又は該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得し、前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出し、前記露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発することを特徴としている。
【0032】
請求項14に示すように請求項13に記載の撮像制御方法において、前記露光ムラが検出されると、該露光ムラが検出された記録対象の画像を画像表示手段に表示させ、前記表示結果を確認した撮影者から画像の記録を指示する指示入力があると、前記記録対象の画像を不揮発性の記録媒体に記録することを特徴としている。
【0033】
請求項15に係る発明は、複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置における撮像制御方法において、前記撮像素子から読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像と、該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得し、前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出し、前記露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に基づいて補正することを特徴としている。
【0034】
請求項16に示すように請求項15に記載の撮像制御方法において、前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に置換することにより行うことを特徴としている。
【0035】
請求項17に示すように請求項15に記載の撮像制御方法において、前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応するラインの輝度値を、前記高輝度領域に対応するラインの平均輝度値が前記隣接するフレームの画像における同一ラインの平均輝度値と一致するように補正することにより行うことを特徴としている。
【0036】
請求項18に示すように請求項13から17のいずれかに記載の撮像制御方法において、前記露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正の前に、露光ムラを示す警告を発生するとともに前記記録対象の画像を画像表示手段に表示させ、その後、露光ムラの補正の指示が入力されると、前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ローリングシャッタ方式の撮像装置において、他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラを検出できるようにし、また、露光ムラを検出した場合には、警告を発して再撮像を促し、又は隣接するフレームの画像を使用して露光ムラに対応する高輝度領域の情報を補正するようにしたため、他者のフラッシュ発光があるシーンにおいても露光ムラのない画像の撮像を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は本発明に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明に係る撮像制御方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図3は他者のカメラのフラッシュ光により面内露光ムラが発生する様子を示すタイミングチャートである。
【図4】図4はライン状輝度変化の検出方法の第1実施例を示すフローチャートである。
【図5】図5は他者のカメラのフラッシュ光による露光ムラがライン方向で変化する様子を示す図である。
【図6】図6は他者のカメラのフラッシュ光によるライン間の輝度差を示す図である。
【図7】図7は輝度ムラの警告表示を行うLCD画面の一例を示す図である。
【図8】図8はライン状輝度変化の検出方法の第2実施例を示すフローチャートである。
【図9】図9はシャッタレリーズスイッチの全押し時に保存される3枚の画像の露光及び読み出しタイミングを示すタイミングチャートであり、記録対象の画像の露光期間前半にフラッシュ光が入射した状態を示す図である。
【図10】図10はシャッタレリーズスイッチの全押し時に保存される3枚の画像の露光及び読み出しタイミングを示すタイミングチャートであり、記録対象の画像の露光期間後半にフラッシュ光が入射した状態を示す図である。
【図11】図11は本発明に係る撮像制御方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図12】図12は本発明に係る撮像制御方法の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図13】図13は本発明に係る撮像制御方法の第4実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像装置及び撮像制御方法の実施の形態について説明する。
【0040】
[撮像装置]
図1は本発明に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
同図に示すように、撮像装置(デジタルカメラ)1は、主として中央処理装置(CPU)10、操作部12、フラッシュ発光部20、レンズユニット22、CMOSセンサ26、タイミングジェネレータ(TG)28、AGC回路30、A/D変換器32、画像信号処理回路34、圧縮伸張処理回路36、LCDドライバ38、液晶ディスプレイ(LCD)40、AE/WB検出回路42、メモリカード44、メディアコントローラ46で構成されている。
【0042】
CPU10は、操作部12から入力される操作信号に基づき所定の制御プログラムに従ってデジタルカメラ1の全体を統括制御する。CPU10に接続されたROM16には、デジタルカメラ1を動作させるための制御プログラムや各種設定情報が書き込まれており、CPU10はこのプログラムに従って各部を制御する。
【0043】
また、CPU10は、AFエリア(例えば、画面中央部)内の信号を切り出し、AFエリア内の絶対値データを積算する。
【0044】
操作部12は、シャッタレリーズボタン、電源/モードスイッチ、モードダイヤル、ズームキー、十字キー、メニュー/OKキー、BACKキー等で構成される。
【0045】
シャッタレリーズボタンは、半押し操作時に自動露出制御(AE制御)、自動焦点制御(AF制御)等の各種撮影準備処理を指示し、この状態でシャッタレリーズボタンが更に押し込まれる全押し操作時に本撮像の処理を指示する。
【0046】
電源/モードスイッチは、デジタルカメラ1の電源のオン/オフを切り替える際に操作される。
【0047】
モードダイヤルは、デジタルカメラ1の動作モードを切り替える際に操作される。動作モードとしては、撮影を1回だけ行う静止画(単写)撮影モード、複数回の撮影を連続して行う連写撮影モード、撮影により得られた画像をLCD40に再生表示する再生モードなどがある。
【0048】
ズームキーは、ズームレンズを変倍する際に操作される。
【0049】
十字キーは、LCD40に表示されたメニュー画面内のカーソルを移動させる。
【0050】
メニュー/OKキーは、LCD40にメニュー画面を表示する際や選択内容を決定する際などに操作される。メニュー/OKキー、十字キー等の操作により、種々の撮影シーン(屋内、人物、夜景など)から所望とする撮影シーンが設定可能となっている。撮影シーン機能は、設定された撮影シーンに応じて、種々の撮影条件を自動的に設定する機能である。CPU10は、設定された撮影シーンに応じて、露出値、撮影感度、ホワイトバランスの制御パラメータ、フラッシュ発光の有無などの撮影条件を、当該撮影シーンに好適な値に自動的に設定する。なお、撮影シーンの設定は、CPU10が自動的に撮影シーンを判断し、最適な撮影シーンに設定する(自動シーン認識)機能により行なわれてもよい。
【0051】
BACKキーは、LCD40に表示されたメニュー画面を戻す際に操作される。RAM14は、CPU10による演算作業領域、及び画像データの一時記憶領域として利用される。ROM16は、CPU10が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データやデジタルカメラ1の動作に関する各種設定情報などが格納されている。VRAM18は、スルー画像の表示用の画像データ等を一時記憶する。
【0052】
フラッシュ発光部20は、撮影を実行する際に被写体輝度に応じてフラッシュを照射する。
【0053】
レンズユニット22は、主として、ズーム機構及びフォーカス機構と、絞りとで構成される。ズーム機構は、ズーム操作キーの操作に応答して、撮影レンズ22aを移動させてズーミングを行う。フォーカス機構は、撮影レンズ22aに組み込まれたフォーカスレンズを移動させてピント合せを行う。絞り装置22bは、絞り開度を調節することで、CMOS型イメージセンサ26(以下、CMOSセンサ26という)に入射する被写体光の光量を調節する。絞り装置22bは、モータ23を介してCPU10により動作制御される。
【0054】
CMOSセンサ26は、多数のフォトセンサがマトリクス状に配列された複数ラインの受光面を有しており、受光面に結像された被写体像は、各フォトセンサによって、その入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。
【0055】
各フォトセンサに蓄積された電荷は、フォトセンサ別のアンプにより電圧信号に変換され、タイミングジェネレータ(TG)28から入力されるタイミング信号によってアナログの画像信号として出力される。
【0056】
具体的には、CMOSセンサ26は、TG28から垂直走査回路を介して加えられる垂直走査信号により、読み出しラインが順次選択される。選択された1ライン分の信号は、CDS回路に読み出され、ここでTG28から入力されるタイミング信号に基づいて保持されノイズ除去が行われる。CDS回路に保持された1ライン分の信号は、水平走査回路を介して加えられる水平走査信号により順次出力ラインに読み出される。
【0057】
垂直走査回路により選択されたラインは、信号転送後に順次リセット信号が加えられてフォトセンサの電荷がリセットされ、その後に再度電荷の蓄積を開始する。
【0058】
CMOSセンサ26の先頭のラインから最終のラインまで垂直走査回路により走査すると、再び先頭のラインに戻り、これにより1フレーム周期としたローリングシャッタが構成されている。また、各ラインの読出しタイミングとリセットタイミングとを適宜設定することにより、フォトセンサがリセットされてから読み出されるまでの時間(シャッタスピード)を設定することができる。
【0059】
AGC(Automatic Gain Control)回路30は、CMOSセンサ26から出力された画像信号に対して、CPU10によって設定される撮像感度に応じたゲインで画像信号を増幅してA/D変換器32に出力する。
【0060】
A/D変換器32は、AGC回路30から出力されたアナログ信号を、例えば12ビットのデジタル信号に変換して出力する。A/D変換器32から出力されたデジタル信号は画像信号処理回路34に送られる。
【0061】
画像信号処理回路34は、同時化回路(単板CMOSセンサのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含み、CPU10からの指令に従い、入力された画像信号に所要の信号処理を施して、輝度データ(Yデータ)と色差データ(Cr,Cbデータ)とからなる画像データ(YUVデータ)を生成する。
【0062】
圧縮伸張処理回路36は、CPU10からの指令に従い、入力された画像データに所定形式の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、CPU10からの指令に従い、入力された圧縮画像データに所定形式の伸張処理を施し、非圧縮の画像データを生成する。
【0063】
LCDドライバ38は、画像信号処理回路34で生成され、VRAM18に保持された画像信号に対し所定の信号処理を施し、画像表示用の信号を生成し、これを一定のタイミングでLCD40に出力する。
【0064】
LCD40は、カラー表示が可能な液晶ディスプレイで構成されており、再生モード時に撮影済み画像を表示するための画像表示器として利用されるとともに、各種設定操作を行なう際のユーザインターフェースとして利用される。また、撮影モード時には、スルー画像が表示されて、画角確認用の電子ファインダとして利用される。
【0065】
AE/WB検出回路42は、AE制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(たとえば16×16)に分割し、分割したエリア(以下、測光分割エリアという)ごとにR、G、Bの画像信号の積算値を算出する。算出された値は画像信号処理回路34に出力され、画像信号処理回路34内のホワイトバランス補正回路で用いられる。
【0066】
メディアコントローラ46は、メディアスロットに装填されたフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリカード44に対してデータの読み/書きを制御する。
【0067】
以上のように構成されたデジタルカメラ1の作用について説明する。
【0068】
[第1実施形態(露光ムラの警告)]
図2は本発明に係る撮像制御方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0069】
シャッタレリーズボタンが全押しされ、CPU10に対して記録用の撮像が指示されると、絞り装置22b及び電子シャッタが制御され、本撮像用の露光制御が行われるとともに、CMOSセンサ26から画像信号のローリング読み出しが行われる(ステップS10)。
【0070】
続いて、記録用の1フレーム分の画像信号のローリング読み出しが終了すると、その1フレームの画像中のライン状輝度変化の検出を行う(ステップS12)。
【0071】
図3(A)〜(C)は、それぞれ本撮像の露光中に他者のカメラのフラッシュ光が入射し、面内露光ムラが発生する状態を示している。
【0072】
ローリングシャッタ方式の場合、1ラインずつ露光開始時間がずれており、露光中に他者のカメラのフラッシュ光が入射すると、そのフラッシュ光の入射タイミングに応じて、画像の前半部、後半部、又は中央部が高輝度領域となる露光ムラが発生する(図3(A)〜(C))。
【0073】
尚、図3(C)に示す露光ムラは、最初のラインの読み出し開始から最後のラインの読み出し開始までの時間よりも1ラインの露光時間が長い場合には発生しない。
【0074】
<ライン状輝度変化の検出方法の第1実施例>
図4はライン状輝度変化の検出方法の第1実施例を示すフローチャートである。
【0075】
いま、CMOSセンサ26の全ライン数をnとし、まず、ラインの位置を示す変数iを1にセットする(ステップS100)。
【0076】
続いて、ラインi,i+1の平均輝度値E,Ei+1を取得する(ステップS102)。平均輝度値は、CMOSセンサ26からライン毎にローリング読み出した1ライン分の画像信号を積算平均することにより取得することができる。
【0077】
次に、前後のラインの平均輝度値E,Ei+1の差を求め、この差(Ei+1−E)が上限の閾値Th1よりも大きい場合(Ei+1−E>Th1)、又は下限の閾値Th1よりも小さい場合(Ei+1−E<Th2)には、そのラインiの位置(ライン番号)を記憶する(ステップS104〜ステップS110)。
【0078】
いま、図3(A)、(B)に示したように1フレームの露光期間中の前半部、又は前半部にフラッシュ光が入射すると、ローリング読み出しした各ラインの輝度平値は、図5(A)、(B)に示すようにライン位置に応じて変化し、図6(A)、(B)に示すようにフラッシュ光が入射したラインと入射していないラインの境界(ライン間)は、大きな輝度差が生じる。
【0079】
したがって、上記のように上限の閾値Th1、又は下限の閾値Th2を越える輝度差を検出することにより、他者のカメラのフラッシュによる露光ムラが発生したと判断する。尚、ステップS108でラインiの位置が記憶される場合には、そのライン位置から後半部にフラッシュ光が受光したと判断し(図5(B)、図6(B)参照)、ステップS110でラインiの位置が記憶される場合には、そのライン位置より前半部にフラッシュ光が受光したと判断する(図5(A)、図6(A)参照)。
【0080】
続いて、変数iを1だけインクリメントし(ステップS112)、i=n(n:最後のラインの位置)か否かを判別する(ステップS114)。i<nの場合(「No」の場合)には、ステップS102に戻り、i=nの場合(「Yes」の場合)には、終了する。
【0081】
図2に戻って、ライン状輝度変化の検出処理が終了すると、ライン状の輝度変化が発生したか否か(即ち、ライン間の平均輝度が大きく変化したライン位置が記憶されているか否か)を判別し(ステップS14)、ライン状の輝度変化が発生したと判別されると、露光ムラの警告を発する(ステップS16)。
【0082】
この露光ムラの警告は、例えば、図7に示すようにデジタルカメラ1の背面のLCD40に撮影した画像を表示するとともに、そのLCD40の画面に「露光ムラ発生!」等のメッセージを表示する。また、ライン間の平均輝度が大きく変化したライン位置を示すマーカM(この実施の形態では、破線)を表示する。
【0083】
撮影者は、上記露光ムラの警告が発せられると、実際に露光ムラが発生しているか否かをLCD40の画面上で確認し、露光ムラの検出が誤検出の場合又は露光ムラが許容できる場合には記録指示を行い、露光ムラが許容できない場合には画像の記録処理をキャンセルするキャンセル指示を行う(ステップS18)。記録指示は、操作部12のメニュー/OKキーを押すことにより行うことができ、キャンセル指示は、操作部12のBACKキーを押すことにより行うことができる。これらのキー操作方法は、LCD40の画面に表示される。
【0084】
ステップS14において、ライン状の輝度変化が発生していないと判別された場合、及びステップS18で記録指示が行われた場合には、RAM14に一時的に保持されている撮像した画像の圧縮処理、メモリカード44への記録等の記録処理が行われる(ステップS20)。
【0085】
上記露光ムラの警告により撮影者は撮り直すことができ、これにより露光ムラのない画像又は露光ムラが許容できる画像のみを記録することができる。
【0086】
尚、この実施の形態では、露光ムラが警告されたときに、画像の記録/キャンセルを撮影者が選択できるようになっているが、これに限らず、無条件に記録してもよい。
【0087】
<ライン状輝度変化の検出方法の第2実施例>
図8はライン状輝度変化の検出方法の第2実施例を示すフローチャートである。
【0088】
いま、CMOSセンサ26の全ライン数をnとし、まず、ラインの位置を示す変数iを1にセットする(ステップS120)。
【0089】
この検出方法を適用する場合には、記録対象の1フレームの画像の隣接するフレーム(前後のフレーム)の画像も同時に取得し、3枚の画像をRAM14に記憶させておく。
【0090】
即ち、シャッタレリーズスイッチが半押しされると、ローリングシャッタによる露光及び読出しを行い、RAM14に保持される画像を最新のフレームの画像で更新する。そして、シャッタレリーズスイッチが全押しされると、前記フレーム画像の更新を行わずに、シャッタレリーズ直後に取り込んだ記録対象の1フレームの画像と、次のフレームの画像とをRAM14に保存し、これにより3枚の画像をRAM14に一時保存する。
【0091】
図9及び図10はシャッタレリーズスイッチの全押し時に保存される3枚の画像の露光及び読み出しタイミングを示している。
【0092】
図9及び図10上で、時刻tは、シャッタレリーズスイッチの全押し直後のローリングシャッタの内部同期信号のタイミングを示しており、時刻t、tは、時刻tの前後のフレームのタイミングを示している。
【0093】
図8に戻って、これらの3枚の時系列順の画像をA、B、Cとすると、画像A、B、Cの同一のラインiの輝度平均値EAi、EBi、ECiをそれぞれ取得する(ステップS122)。
【0094】
続いて、輝度平均値EAi、EBi、ECiを比較し、EAi<EBi、又はEBi>ECiの条件を満たすラインiを検出する(ステップS124)。
【0095】
即ち、図9に示すように記録対象の画像の露光期間前半にフラッシュ光が入射すると、時刻t1からフラッシュ光の入射タイミングまでに露光を開始したラインの平均輝度値は、その前後のフレームの同一ラインの平均輝度値よりも大きくなる。
【0096】
一方、図10に示すように記録対象の画像の露光期間後半にフラッシュ光が入射すると、フラッシュ光の入射タイミングのラインから最後のラインの平均輝度値は、その前後のフレームの同一ラインの平均輝度値よりも大きくなる。
【0097】
上記のようにして3つの同一ラインの平均輝度値を比較することにより、画像B上のラインのうち隣接するフレームの画像よりも平均輝度の大きいラインを、フラッシュ光が入射したラインと判別し、そのラインiの位置(ライン番号)を記憶する(ステップS126)。
【0098】
続いて、変数iを1だけインクリメントし(ステップS128)、i=n(n:最後のラインの位置)か否かを判別する(ステップS130)。i<nの場合(「No」の場合)には、ステップS122に戻る。
【0099】
i=nの場合(「Yes」の場合)には、ステップS126に記憶された情報に基づいて露光ムラの有無の判定、及び露光ムラが有ると判定され場合の高輝度領域の判別が行われる(ステップS132)。
【0100】
例えば、ステップS126において、ライン位置が記憶されている場合には、露光ムラが有ると判定し、また、ライン位置が連続して記憶されている場合には、その連続しているライン位置の範囲が、高輝度領域と判別することができる。
【0101】
尚、ステップS124では、同一のラインiの輝度平均値EAi、EBi、ECiの大小を比較しているが、一定の閾値以上大きいか否かを判定するようにしてもよい。また、ステップS126で記憶されたライン番号が連続していない場合や、連続していても数ラインの場合には、露光ムラと判定しないようにしてもよい。
【0102】
[第2実施形態(露光ムラの補正)]
図11は本発明に係る撮像制御方法の第2実施形態を示すフローチャートである。尚、図2に示した第1実施形態と共通する部分には同一のステップ番号を付し、その詳細なせ説明は省略する。
【0103】
この第2実施形態では、図9及び図10を用いて説明したようにシャッタレリーズスイッチの全押し時に同期して、記録対象の画像Bと、その前後のフレームの画像A、Cの少なくとも一方の画像を取得し、RAM14に一時保持する。
【0104】
ステップS14において、ライン状の輝度変化が発生したと判別されると、ステップS30に遷移する。
【0105】
ステップS30では、画像B中の高輝度領域の情報と、隣接するフレームの画像(この実施の形態では、直後のフレームの画像C)の同一領域の情報とを置き換える画像処理を行う。
【0106】
例えば、図9に示すように記録対象の画像Bの露光期間前半にフラッシュ光が入射すると、前半部の領域が高輝度領域Bとなるが、この高輝度領域Bの情報と、直後のフレームの画像Cの同一領域Cの情報とを置き換える画像処理を行う。
【0107】
同様に、図10に示すように記録対象の画像Bの露光期間後半にフラッシュ光が入射すると、後半部の領域が高輝度領域Bとなるが、この高輝度領域Bの情報と、直後のフレームの画像Cの同一領域Cの情報とを置き換える画像処理を行う。
【0108】
このようにライン状の輝度変化が発生したと判別されると、記録対象の画像中の高輝度領域の情報が直後のフレームの画像の同一領域の情報に置換(補正)され、その補正後の画像が記録処理される(ステップS20)。
【0109】
尚、直後のフレームの画像Cの代わりに、直前のフレームの画像Aを使用して上記と同様の補正を行うようにしてもよい。
【0110】
また、記録対象の画像Bと、その前後のフレームの画像A、Cの3枚の画像A、B、Cを使用し、補正に使用する画像として、直前のフレームの画像Aと直後のフレームの画像Cとを適宜選択するようにしてもよい。
【0111】
選択方法の第1の例としては、図9に示すように記録対象の画像Bの露光期間前半にフラッシュ光が入射する場合(画像Bの前半部の領域が高輝度領域Bとなる場合)は、直後のフレームの画像Cを選択し、図10に示すように記録対象の画像Bの露光期間後半にフラッシュ光が入射する場合(画像Bの後半部の領域が高輝度領域Bとなる場合)は、直前のフレームの画像Aを選択する。
【0112】
これによれば、選択されたフレームの画像は、いずれの領域にもフラッシュ光が入ってないものとなり、例えば、フラッシュ光の発光時間が長い場合にも対応できる。
【0113】
また、選択方法の第2の例としては、図9に示すように記録対象の画像Bの露光期間前半にフラッシュ光が入射する場合(画像Bの前半部の領域が高輝度領域Bとなる場合)は、直後、直後のフレームの画像A、Cの対応する領域A、Cの平均輝度を比較し、平均輝度が低い方の画像を選択する。また、図10に示すように記録対象の画像Bの露光期間後半にフラッシュ光が入射する場合(画像Bの後半部の領域が高輝度領域Bとなる場合)は、直後、直後のフレームの画像A、Cの対応する領域A、Cの平均輝度を比較し、平均輝度が低い方の画像を選択する。
【0114】
更に、直後、直後のフレームの画像A、Cの両者を使用して、それぞれ2つの補正画像を作成し、これをLCD40に並べて表示し又は切り替えて表示し、撮影者にいずれか一方を選択させるようにしてもよい。
【0115】
更にまた、移動する被写体を撮像する場合には、ローリング歪みが発生するが、ローリング歪みの影響が少ない方の画像を選択するようにしてもよい。
【0116】
[第3実施形態(露光ムラの補正)]
図12は本発明に係る撮像制御方法の第3実施形態を示すフローチャートである。尚、図2に示した第2実施形態と共通する部分には同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0117】
この第3実施形態は、第2の実施形態のステップS30の処理の代わりに、ステップS40及びステップS42の処理を行う点で第2実施形態と相違する。
【0118】
ステップS40では、記録対象の画像中の高輝度領域と、直後のフレームの画像の同一領域とから、それぞれ同一ラインの平均輝度値を算出する。
【0119】
ステップS42では、記録対象の画像の高輝度領域に対応するラインの輝度値を、そのラインの輝度値の平均輝度値が直後のフレームの画像の対応するラインの平均輝度値と一致するように補正する。この補正を高輝度領域のライン毎に行う。
【0120】
このようにライン状の輝度変化が発生したと判別されると、記録対象の画像中の高輝度領域の情報が直後のフレームの画像の同一領域の情報の輝度値と一致するように補正され、その補正後の画像が記録処理される(ステップS20)。
【0121】
尚、補正に使用する画像として、直前及び直後のフレームの画像のうちのいずれの画像を選択するかについては、第2実施形態と同様に行うことができる。
【0122】
[第4実施形態(露光ムラの警告及び補正)]
図13は本発明に係る撮像制御方法の第4実施形態を示すフローチャートである。尚、図2、図11に示した第1実施形態、第2実施形態と共通する部分には同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0123】
この第4実施形態は、第1の実施形態と第2実施形態とを組み合わせたものであり、ステップS14において、ライン状の輝度変化が発生したと判別されると、ステップS16に遷移し、ここで、第1実施形態と同様に露光ムラの警告を発する。
【0124】
そして、記録対象の画像をLCD40に表示させ、露光ムラの補正の要否を撮影者に判断させる(ステップS50)。撮影者により露光ムラの補正指示が入力されると、第2実施形態と同様にして記録対象の画像B中の高輝度領域の情報を、隣接するフレームの画像の同一領域の情報とを置き換える画像処理を行う(ステップS30)。
【0125】
一方、撮影者により露光ムラを補正しない旨の指示入力があると、ステップS20に遷移し、補正処理が行われない画像が記録される。
【0126】
これによれば、露光ムラが誤って検出された場合に、誤った補正がされた画像が作成記録されないようにすることができる。
【0127】
尚、ステップS30の補正処理の代わりに、図12に示した第3実施形態のステップS40、S42による補正処理を行うようにしてもよい。
【0128】
[その他]
他者のカメラのフラッシュ発光に起因する露光ムラの検出方法(ライン状輝度変化の検出方法)としては、図4に示した第1実施例、図8に示した第2実施例に限らず、例えば両者を併用し、両者で同時に検出された場合に露光ムラが発生したと判断してもよいし、いずれか一方で検出された場合に、露光ムラが発生したと判断してもよい。
【0129】
また、露光ムラの警告は、LCD40による警告表示に限らず、音声による警告や音声と文字とを併用した警告でもよい。
【0130】
更に、本発明は自らフラッシュ発光して撮像する場合にも適用できる。この場合には、全てのラインの露光期間中に均等にフラッシュ光が入射するように1フレームの露光期間とフラッシュの発光タイミングを制御する必要がある。また、自らフラッシュ発光させた撮像時の他者のフラッシュ光による露光ムラの検出は、図4に示した方法により行うことができる。
【0131】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0132】
1…撮像装置(デジタルカメラ)、10…CPU、12…操作部、14…RAM、16…ROM、20…フラッシュ発光部、22…レンズユニット、26…CMOSセンサ、28…タイミングジェネレータ(TG)、32…A/D変換器、34…画像信号処理回路、36…圧縮伸張処理回路、40…液晶ディスプレイ(LCD)、44…メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置において、
前記撮像素子から順次読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像、又は該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得する画像取得手段と、
前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出する露光ムラ検出手段と、
前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発する露光ムラ警告手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画像取得手段により取得された画像が一時的に記録される内部メモリと、
画像表示手段と、
前記露光ムラ警告手段により警告が発せられると、前記内部メモリに記録された画像を前記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、
画像の記録を入力する記録指示手段と、
前記記録指示手段により前記画像ムラの警告が発せられた画像に対する記録指示が入力されると、前記内部メモリに記録された画像を不揮発性の記録媒体に記録する記録手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記露光ムラ検出手段は、少なくともライン方向と平行な露光ムラの境界を示すライン位置を検出し、
前記露光ムラ警告手段は、前記画像表示手段に表示された画像上に前記検出されたライン位置を示すマーカを表示することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置において、
前記撮像素子から読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像と、該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得する画像取得手段と、
前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出する露光ムラ検出手段と、
前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に基づいて補正する露光ムラ補正手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報と置換することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応するラインの輝度値を、前記高輝度領域に対応するラインの平均輝度値が前記隣接するフレームの画像における同一ラインの平均輝度値と一致するように補正することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記露光ムラ検出手段によって露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発する露光ムラ警告手段と、
画像表示手段と、
前記露光ムラ警告手段により警告が発せられると、前記記録対象の画像を前記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、
露光ムラの補正の指示を入力する補正指示手段と、
前記露光ムラ補正手段は、前記補正指示手段により前記画像ムラの警告が発せられた画像に対する補正指示が入力されると、前記記録対象の画像の露光ムラの補正を行うことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記露光ムラ検出手段は、前記取得した記録対象の1フレームの画像から1ライン毎又は複数ライン毎の平均輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記算出した平均輝度値に基づいて前後方向のライン間における所定の閾値を越える輝度変化を検出する輝度変化検出手段とを有し、
前記輝度変化検出手段により検出される輝度変化の有無に基づいて前記露光ムラの有無を検出することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記露光ムラ検出手段は、前記画像取得手段により取得した複数フレームの画像からそれぞれ1ライン毎又は複数ライン毎の平均輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記複数フレームの画像の同一ラインについて算出された平均輝度値に基づいて前記記録対象の画像のラインの平均輝度値が、隣接する画像のラインの平均輝度値よりも大きくなるラインを検出する高輝度ライン検出手段とを有し、
前記高輝度ライン検出手段により検出される高輝度ラインの有無に基づいて前記露光ムラの有無を検出することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記画像取得手段は、前記記録対象の1フレーム画像と、該画像の直前及び直後のフレームの画像とを含む3フレームの画像を取得し、
前記露光ムラ補正手段は、前記記録対象の画像の露光ムラの補正に使用する前記隣接するフレームの画像として、前記直前及び直後のフレームの画像のうちのいずれか一方を選択する選択手段を有することを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応する前記直前及び直後のフレームの画像における同一領域の平均輝度値をそれぞれ算出する算出手段を有し、前記算出された平均輝度値のうち低い平均輝度値を有する画像を選択することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域が画像中の前半部か後半部かを判断する判断手段を有し、前半部と判断した場合には直後のフレームの画像を選択し、後半部と判断した場合には直前のフレームの画像を選択することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項13】
複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置における撮像制御方法において、
前記撮像素子から順次読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像、又は該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得し、
前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出し、
前記露光ムラが検出されると、露光ムラを示す警告を発することを特徴とする撮像制御方法。
【請求項14】
前記露光ムラが検出されると、該露光ムラが検出された記録対象の画像を画像表示手段に表示させ、
前記表示結果を確認した撮影者から画像の記録を指示する指示入力があると、前記記録対象の画像を不揮発性の記録媒体に記録することを特徴とする請求項13に記載の撮像制御方法。
【請求項15】
複数ラインの受光領域を有する撮像素子に対し、各ライン毎に露光開始タイミングをずらして露光を開始させるとともに、所定の露光時間が経過したラインから順次ライン上の情報を読み出すローリングシャッタ方式の撮像装置における撮像制御方法において、
前記撮像素子から読み出した複数ラインの情報からなる1フレームの画像であって、シャッタレリーズ動作に同期した記録対象の1フレームの画像と、該画像と隣接するフレームの画像とを含む複数フレームの画像を取得し、
前記取得した記録対象の1フレームの画像中に含まれる他者のフラッシュ発光に起因する露光ムラの有無を検出し、
前記露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に基づいて補正することを特徴とする撮像制御方法。
【請求項16】
前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報を、前記隣接するフレームの画像における前記高輝度領域に対応する情報に置換することにより行うことを特徴とする請求項15に記載の撮像制御方法。
【請求項17】
前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正は、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域に対応するラインの輝度値を、前記高輝度領域に対応するラインの平均輝度値が前記隣接するフレームの画像における同一ラインの平均輝度値と一致するように補正することにより行うことを特徴とする請求項15に記載の撮像制御方法。
【請求項18】
前記露光ムラが検出されると、前記記録対象の画像の前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正の前に、露光ムラを示す警告を発生するとともに前記記録対象の画像を画像表示手段に表示させ、
その後、露光ムラの補正の指示が入力されると、前記露光ムラに対応する高輝度領域の情報の補正を行うことを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の撮像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−213220(P2010−213220A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59943(P2009−59943)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】