撮像装置及び画像生成方法
【課題】S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能な撮像装置及び画像生成方法等を提供すること。
【解決手段】撮像装置100は、画素アレイ部111と読み出し制御部112と推定演算部200と混色除去処理部210を含む。画素アレイ部111のカラーフィルターの基本ブロックは、Mx×My画素である。読み出し制御部112は、Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素の加算単位を設定する。読み出し制御部112は、重畳しながらシフトされた加算単位を設定して重み付け加算を行い、複数の低解像画像を取得する。推定演算部200は、その低解像画像に基づいて高解像画像を推定する。混色除去処理部210は、その複数の低解像画像から高解像画像の画素値を推定することによる混色、及び重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色を除去する処理を行う。
【解決手段】撮像装置100は、画素アレイ部111と読み出し制御部112と推定演算部200と混色除去処理部210を含む。画素アレイ部111のカラーフィルターの基本ブロックは、Mx×My画素である。読み出し制御部112は、Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素の加算単位を設定する。読み出し制御部112は、重畳しながらシフトされた加算単位を設定して重み付け加算を行い、複数の低解像画像を取得する。推定演算部200は、その低解像画像に基づいて高解像画像を推定する。混色除去処理部210は、その複数の低解像画像から高解像画像の画素値を推定することによる混色、及び重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色を除去する処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び画像生成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等に代表される撮像装置の多くは、単板の固体撮像素子を用いて撮像を行っている。カラー撮影を行うため、複数色のカラーフィルターを有する固体撮像素子により撮像するものが殆どである。また、これらの撮像装置では、動画撮影において、複数の画素を加算して画像を取得するムービースキャンが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124621号公報
【特許文献2】特開2008−243037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、このような低解像の動画から高解像画像を得たい場合、高解像化処理を行う必要がある。しかしながら、従来の手法(例えば特許文献1、2)では、処理が複雑でハードウェアへの負荷が大きく、小型のカメラに実装することは困難である。
【0005】
そこで、高解像化処理を簡素化する手法として、重畳シフト加算により複数枚の低解像画像を取得し、その複数枚の低解像画像から高解像画像を復元する手法が考えられる。重畳シフト加算では、複数色の画素により構成される加算単位が重畳されながらシフトされ、その加算単位内の各画素に所定の重み付けが付与され、複数色が混合された加算が行われる。
【0006】
しかしながら、この手法では、高解像化処理により復元された画像に混色が残るという課題がある。そのため、高解像度画像を生成する際に色変換を施し、元の色を復元する必要がある。しかしながら、その色変換を施すことにより、高解像度画像のS/Nが劣化するという課題がある。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能な撮像装置及び画像生成方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である画素アレイ部と、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する読み出し制御部と、前記低解像画像に基づいて、前記画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する推定演算部と、推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う混色除去処理部と、を含み、前記読み出し制御部は、前記画素アレイ部の前記Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得する撮像装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、重畳しながらシフトされた加算単位が設定され、加算単位内の画素値が重み付け加算され、複数の低解像画像が取得される。加算単位の画素数Nx×Nyは、カラーフィルターの基本ブロックの画素数Mx×Myとは異なる画素数である。取得された低解像画像に基づいて高解像画像が推定され、その高解像画像における混色を除去する処理が行われる。これにより、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記混色除去処理部は、前記複数の低解像画像から前記高解像画像の画素値を推定することによる混色と、前記重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色とを除去する処理を行ってもよい。
【0011】
このようにすれば、復元推定処理と重み付け加算処理による混色を除去する処理を行うことができる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記推定演算部は、前記複数の低解像画像の画素値を、前記重畳シフトにおける前記加算単位の設定位置に応じて1つの画像に再配列し、前記再配列した画像を所定の推定用フィルターで処理することで前記推定を行い、前記混色除去処理部は、前記推定用フィルターにより規定される混色比を表す第1行列と、前記重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列とに基づいて構成された混色除去フィルターにより、前記高解像画像を処理することで前記混色を除去する処理を行ってもよい。
【0013】
このようにすれば、推定用フィルターにより規定される混色比と重み付け係数により規定される混色比とに基づいて、混色除去フィルターを構成できる。そして、その混色除去フィルターを高解像画像に対して演算することで、元のカラーフィルターの色配列を復元することが可能になる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記カラーフィルターは、前記Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターであり、前記加算単位は、前記Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位であってもよい。
【0015】
このようにすれば、3×3画素以外の加算単位を設定した場合に比べて、混色除去後においてより高いS/Nを実現でき、より高画質の高解像画像を得ることができる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記2×2画素が、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される場合に、前記再配列された画像の画素値は、前記R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値に分類され、前記第1行列は、前記高解像画像の画素値における前記第1〜第3の画素値の混合比が、前記推定用フィルターの成分により表された行列であり、前記第2行列は、前記第1〜第3の画素値における前記R、G、B画素の混合比が、前記重み付け係数に基づいて表された行列であり、前記混色除去フィルターは、前記第1、第2行列の逆行列の積の成分を、前記高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターであってもよい。
【0017】
このようにすれば、推定用フィルターの成分に基づく第1行列と重み付け係数に基づく第2行列により混色除去フィルターを構成できる。これにより、復元推定処理と重み付け加算処理における混色比に基づく混色除去フィルターを構成できる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記重畳シフトにより設定される前記加算単位は、前記Nx×Ny画素の前記加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位であり、前記Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値とし、第1列の中間画素値を未知数とする場合に、前記中間画素値は、前記未知数と、前記加算単位による重み付け加算値との関係式で表され、前記推定用フィルターは、前記関係式で表された前記中間画素値と、前記加算単位による重み付け加算値との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターであってもよい。
【0019】
このようにすれば、複数の低解像画像から高解像画像を復元するための推定用フィルターを構成できる。また、推定用フィルターをコンボリューション演算するだけで高解像画像を得ることができるため、復元推定処理を簡素化できる。
【0020】
また本発明の他の態様は、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得し、前記低解像画像に基づいて、画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定するとともに、推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う場合に、前記画素アレイ部のカラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックであるMx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得する画像生成方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の撮像装置の構成例。
【図2】画素アレイ部の画素配列の例。
【図3】重畳シフト加算における重み付けについての説明図。
【図4】重畳シフトについての説明図。
【図5】重畳シフトについての説明図。
【図6】重畳シフトについての説明図。
【図7】本実施形態が行う処理のフローチャート。
【図8】低解像画像の再配列についての説明図。
【図9】2×2画素の場合の重み付けについての説明図。
【図10】混色除去処理についての説明図。
【図11】混色除去処理後のS/N特性の例。
【図12】混色除去処理後の解像度特性の例。
【図13】図13(A)、図13(B)は、加算画素値、中間画素値についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0023】
1.本実施形態の概要
まず、本実施形態の概要について説明する。本実施形態では、図4〜図6で後述するように、重畳シフトされた加算単位を設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算することにより低解像動画を取得する。そして、図7で後述するように、その低解像動画に対して推定用フィルターを演算し、撮像素子の解像度に相当する高解像画像を復元する。
【0024】
このようにすれば、事後的に高解像画像が得られるため、ユーザが好きなタイミングを指定することができ、決定的瞬間の画像を容易に得ることが可能である。また、加算単位が重畳シフトされていることで、簡素な処理で復元を行うことが可能である。
【0025】
さて本実施形態では、撮像素子はベイヤー(Bayer)配列等のカラー単板撮像素子であり、加算単位には複数の色の画素が含まれている。本実施形態では、この複数の色の画素値が加算された低解像画像から復元を行うが、図10で後述するように、復元された画像では完全には色が復元されておらず、元の色が混色した状態となる。
【0026】
そこで本実施形態では、復元画像に対して混色を除去する処理を行い、元の色を復元する。しかしながら、図11で後述するように、加算単位の画素数をカラーフィルターの基本ブロックの画素数(例えばベイヤー配列では2×2)と同じにすると、混色除去の際にノイズがゲインアップされ、復元画像のS/Nが劣化してしまう。
【0027】
そこで本実施形態では、加算単位の画素数を、カラーフィルターの基本ブロックの画素数とは異なる画素数に設定する。これにより、図11で後述するように、混色除去によるS/N劣化を抑制でき、復元画像の画像品質を向上することが可能になる。
【0028】
2.撮像装置
図1に、上記の復元処理と混色除去処理を行う本実施形態の撮像装置の構成例を示す。図1の撮像装置100は、撮像光学系101(レンズ)、制御部102、メモリー103、モニター表示部104、固体撮像素子110(撮像素子)、画像処理部120を含む。
【0029】
撮像装置100は、光学的な画像情報を電気信号に変換し、電子的に記録媒体に記録する装置である。このような撮像装置100として、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ等が想定される。
【0030】
撮像光学系101は、被写体を結像する。固体撮像素子110は、カラー単板撮像素子であり、結像された被写体像を撮像する。具体的には、固体撮像素子110は、画素アレイ部111(受光素子)と、読み出し制御部112(加算サンプリング部)を含む。
【0031】
読み出し制御部112は、画素アレイ部111の複数画素が重み付け加算された低解像画像を読み出し、その加算される画素の範囲を順次シフトすることにより複数の低解像画像を取得する。取得された画像データは、制御部102により、高解像度画像生成部121、又は低解像度画像生成部122、アクセス制御部124へ伝送される。
【0032】
画像処理部120は、撮像された低解像画像に対して、種々の処理を行う。具体的には、画像処理部120は、高解像度画像生成部121、低解像度画像生成部122、表示処理部123、アクセス制御部124(記録処理部)を含む。
【0033】
高解像度画像生成部121には、固体撮像素子110から伝送された低解像画像データ、又は記録媒体105(記録部)から読み出されてアクセス制御部124により展開された低解像度画像データが入力される。高解像度画像生成部121は、入力された低解像画像データに対して処理を行い、低解像度画像データよりも解像度の高い画像データを生成する。具体的には高解像度画像生成部121は、推定演算部200、混色除去処理部210(色変換処理部)を含む。
【0034】
推定演算部200は、重畳シフト加算により得られた低解像画像データに対して、後述する復元推定処理を行い、高解像画像データを求める。混色除去処理部210は、復元された高解像画像データに対して、後述する混色除去処理(色変換処理)を行い、重畳シフト加算及び復元推定処理による混色を除去する。
【0035】
低解像度画像生成部122には、固体撮像素子110から伝送された低解像画像データ、又は記録媒体105から読み出されてアクセス制御部124により展開された低解像度画像データが入力される。低解像度画像生成部122は、入力された低解像度画像データに対して、後述する処理を行い、低解像度画像データと同等の解像度の画像データを生成する。
【0036】
表示処理部123は、高解像度画像生成部121又は低解像度画像生成部122からの画像に対して表示用の変換処理を行い、変換後の画像をモニター表示部104に表示する処理を行う。例えば、表示用の変換処理として、モニター解像度に合致させるためのリサイズ処理や、モニターにおいて違和感のない画像に見せるためのガンマ補正処理や色補正処理を行う。
【0037】
アクセス制御部124は、高解像度画像生成部121又は低解像度画像生成部122からの画像に対して記録用の変換処理を行い、変換後の画像を外部の記録媒体105に記録する制御を行う。例えば、記録用の変換処理として、データサイズを小さくするための圧縮符号化処理や、指定されたデータフォーマットへの変換処理を行う。なお、モニター表示及び記録媒体への記録は、そのいずれか一方のみが行われてもよく、その両方が行われてもよい。
【0038】
3.重畳シフト加算処理
次に、本実施形態が行う重畳シフト加算処理について詳細に説明する。まず図2に、画素アレイ部111の画素配列の例を示す。図2において、xは画素配列の列番号を表し、yは画素配列の行番号を表す(x、yはゼロ以上の整数)。例えば、列番号は水平走査方向の座標であり、行番号は垂直走査方向の座標である。なお以下では適宜、列番号xが小さくなる方向を“左”、大きくなる方向を“右”、行番号yが小さくなる方向を“上”、大きくなる方向を“下”と呼ぶ。
【0039】
図2に示すように、画素アレイ部111のカラーフィルターは、いわゆるベイヤー配列に配列される。即ち、2×2の4画素を基本ブロックとし、その基本ブロックが繰り返し配列される。基本ブロックとは、カラーフィルターの繰り返し配列における最小の構成単位であり、カラーフィルターにおける全ての色を有するブロックである。ベイヤー配列の基本ブロックには、1つのR(赤)画素、2つのG(緑)画素、1つのB(青)画素が含まれる。
【0040】
次に、重畳シフト加算における重み付けについて説明する。図3に示すように、読み出し制御部112は、3×3の9画素を1ユニット(加算単位)とし、そのユニット内の画素値を重み付け加算し、加算した画素値を1画素信号として出力する。図3では、ユニット内の画素P1〜P9に対する重み付け係数をかっこ書きで表す。rは重み付けのパラメーターであり、正の実数(例えばr=2)である。なお、図3にはP1がR画素である例を示すが、他の色の場合もP1〜P9と係数の対応は同様である。
【0041】
次に、重畳シフトについて説明する。図4〜図6に示すように、固体撮像素子110からの1回の読み出し動作において、画素アレイ部111の全領域又は一部の領域から加算画素信号が読み出される。そして、その加算画素信号が配列された画像が、1フレーム(フィールド)の低解像度画像データとして固体撮像素子110から出力される。
【0042】
具体的には、図4に示すように、第0フレームでは画素アレイ部111の全領域又は一部の領域における左上端の3×3画素をユニットに設定する。第1フレームでは、第0フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第2フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。図5に示すように、第3フレームでは、第0フレームのユニットに対して1画素下にずれた3×3画素をユニットに設定する。第4フレームでは、第3フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第5フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。図6に示すように、第6フレームでは、第3フレームのユニットに対して1画素下にずれた3×3画素をユニットに設定する。第7フレームでは、第6フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第8フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第9フレームでは、第0フレームのユニットと同じ3×3画素をユニットに設定する。
【0043】
上記重畳シフトにより取得される3×3画素の加算画素信号は、r=2を例にとると、下式(1)により表される。
【数1】
【0044】
ここで、vx,yは、画素アレイ部111の位置(x,y)における画素値であり、ai,x,yは、第iフレームの低解像画像の位置(x,y)における画素値である。下式(1)では、vx,yとai,x,yのレンジを同一にするため正規化を行っている。
【0045】
上式(1)をNx×Ny画素のユニットに一般化すると、下式(2)となる。
【数2】
【0046】
ここで、t%sはtのsによる剰余を表し、[t]はtを超えない最大の整数を表す。また、Nx,Nyはそれぞれ水平方向、垂直方向の加算画素数であり、例えば本実施例ではNx=Ny=3である。rx,ryはそれぞれ水平方向、垂直方向の重み付けパラメーターであり、例えば本実施例ではrx=ry=2である。
【0047】
なお上記ではカラーフィルターがRGBのベイヤー配列である例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えばカラーフィルターはCMY等であってもよいし、ベイヤー配列以外の配列であってもよい。
【0048】
また上記ではユニットが3×3画素である例を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、ユニットの画素数は、カラーフィルターの基本ブロックと異なる画素数であれば他の画素数に設定されてもよい。
【0049】
また上記では固体撮像素子110が第0フレームから低解像画像を順次取得して出力する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、任意のフレームから出力してもよいし、出力する順番を連番に限らず任意の順番で出力してもよい。また、1回の読み出し動作(1フレーム)において、複数の低解像画像を取得又は出力してもよい。
【0050】
ここで、フレームとは、例えば撮像素子による1回の撮影動作タイミングや、画像処理において1つの画像(例えば1つの低解像画像や、後述する画像X)が処理されるタイミングである。あるいは、画像データにおける1つの低解像画像や高解像画像も適宜フレームと呼ぶ。
【0051】
4.復元推定処理、混色除去処理
次に、本実施形態が行う復元推定処理、混色除去処理について詳細に説明する。図7に、本実施形態が行う処理のフローチャートを示す。
【0052】
例えば、フローチャートのステップS2〜S5は、高解像度画像生成部121が実行する。ステップS7〜S9は、低解像度画像生成部122が実行する。他のステップS1、S6は、制御部102が実行する。なお、本実施形態の各部はハードウェアとして構成されてもよいし、ソフトウェアにより構成されてもよい。ソフトウェアにより構成される場合、本実施形態の各部を記述したプログラムがCPU等の情報処理装置により実行されることで、各部の処理が実現される。
【0053】
図7に示すように、この処理が開始されると、高解像度画像を出力するか否かの判断を行う(S1)。例えば、撮像装置100に対するユーザの指示に基づいて判断する。なお、ユーザの指示は撮像時よりも前に行われていてもよいし、ステップS1を処理するタイミングでユーザに対し要求してもよい。
【0054】
高解像度画像を生成する場合(S1、YES)、固体撮像素子110又は記録媒体105からの画像データを読み込む(S2)。本実施形態では連続する9フレームの画像を必要とするため、連続する9フレームの低解像度画像データを読み込む。次に、読み込まれた低解像度画像データから高解像度画像の画素値を推定する(S3)。
【0055】
画素値の推定手法について、詳細に説明する。まず図8に示すように、9フレームの低解像度画像データの画素ai,x,yを配列し、1フレームの画像Xを生成する。下式(3)に、画像Xにおける画素Ax,yと画素ai,x,yとの対応を示す。図8に示すように、画像Xの位置(x,y)には、図4〜図6に示す同一位置(x,y)の加算単位GPxyの加算画素値が配置される。
【数3】
【0056】
上式(3)をNx×Ny画素のユニットに一般化すると、下式(4)となる。
【数4】
【0057】
次に下式(5)に示すように、画像Xの画素Ax,yと推定用フィルターρとのコンボリューション演算を行い、高解像度画像の画素値ux,yを推定する。下式(6)に示すように、推定用フィルターρは行列により表され、ρkjは、その行列のkj成分である。推定用フィルターρについては、後に詳述する。
【数5】
【数6】
【0058】
推定用フィルターρを、Nx×Ny画素のユニット及びrx、ryの重み付けパラメーターに一般化すると、下式(7)となる。ここで、MTは行列Mの転置行列を表す。
【数7】
【0059】
次に、上記の推定演算により求められた画素値ux,yでは、後述するように色が正しく再現されていないため、推定演算後の画像に対して色変換処理を行う(S4)。具体的には、下式(8)に示すように、色変換行列τを用いて色変換処理を行う。
【数8】
【0060】
行列α、βは、下式(9)より表される行列である。
【数9】
【0061】
ここで、σkjは、下式(10)に示す行列σのkj成分であり、ρkjは、上式(6)に示す行列ρのkj成分である。
【数10】
【0062】
上式(10)を、Nx×Ny画素のユニット及びrx、ryの重み付けパラメーターに一般化すると、下式(11)となる。
【数11】
【0063】
例えば図3を例にすると、上式(11)の成分σ00、σ10、σ01、σ11は、それぞれ画素P1、P2、P4、P5の色に対応する混色比であり、同色画素の重み付け係数を加算して規格化した値である。図4〜図6に示すように、各画素に対応する色はフレームに依って異なるため、各色の混色比はフレームに応じて変化する。
【0064】
本実施形態における行列α、β、τは、上式(6)、(8)〜(10)より下式(12)となる。
【数12】
【0065】
下式(13)に示すように、行列τの成分から混色除去フィルターTを構成する。下式(14)に示すように、画素値ux,yと混色除去フィルターTとのコンボリューション演算を行い、画素値u'x,yを求める。
【数13】
【数14】
【0066】
次に、画素値u'x,yに対して現像処理を行う(S5)。例えばカラーフィルターがベイヤー配列である場合、復元された画像はベイヤー配列となる。現像処理では、そのベイヤー配列の画像を補間処理し、全画素のRGB画素値を求める。次に、現像処理後の画像を最終的な画像データとして出力し、処理を終了する(S6)。
【0067】
次に、ステップS1において、低解像度の画像を生成すると判断した場合(S1、NO)、固体撮像素子110又は記録媒体105からの低解像画像データを読み込む(S7)。高解像度画像を生成する場合には複数フレームの低解像度画像データを読み込んだが、ステップ5においては1フレームの低解像度画像データでよい。
【0068】
次に、読み込んだ低解像度画像データは色を正しく再現していないため、低解像画像データに対して色変換処理を行う(S8)。下式(15)に、色変換行列τを示す。行列αは、上式(9)の行列αである。
【数15】
【0069】
上式(13)、(14)と同様に、行列τから混色除去フィルターTを構成し、低解像画像と混色除去フィルターTとのコンボリューション演算を行う。次に、混色除去された画像に対して現像処理を行い(S9)、現像処理後の画像を最終的な画像データとして出力し、処理を終了する(S6)。
【0070】
なお上記では、高解像画像の推定処理(S3)と色変換処理(S4)を別個に処理する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、1回の処理で行ってもよい。この場合、上式(7)の行列ρと上式(8)の行列τとのコンボリューションによって新たな行列を生成する。そして、その行列と画像Xの各画素Ax,yとのコンボリューション演算を行い、混色除去後の画素値u'x,yを求める。
【0071】
また上記では、9枚の低解像画像を読み込んで高解像画像の推定処理を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、補間処理等を行うことでより少ないフレーム数の画像を読み込むようにしてもよいし、推定精度を上げるためにより多いフレーム数の画像を読み込むようにしてもよい。
【0072】
5.混色除去フィルター
次に、上記の混色除去フィルターTにより、実際に混色が除去される点について詳細に説明する。なお以下では説明を簡単にするために、図9に示すように加算単位を2×2画素とし、重み付けパラメーターr=2とする。
【0073】
まず、復元推定後の高解像画像において混色が残る点について説明する。図10に示すように、加算前の画像を仮にVとし、重み付け加算後の画像をXとし、復元処理後の高解像画像をUとし、混色除去後の画像をU’とする。なお図10では、色の混ざり方のみに注目するため、位置xyを省略して同色画素に同じ符号を付す。また以下では、同色画素をまとめて、G=Gr=Gb、a1/2=a1=a2、g=gr=gb、G’=Gr’=Gb’とする。
【0074】
重み付け加算による混色を表す行列σは、上式(11)より下式(16)となる。画像Xは、画像Vと行列σのコンボリューションであるから、画像Xの画素値a0、a1/2、a3は下式(17)で表される。
【数16】
【数17】
【0075】
推定用フィルターρは、上式(7)より下式(18)となる。画像Uは、画像Xとフィルターρのコンボリューションであるから、画像Uの画素値r、g、bは下式(19)で表される。
【数18】
【数19】
【0076】
上式(17)、(19)の3×3行列をα、βとおくと、下式(20)となる。この行列αは、上式(9)より計算されるαと同一であり、重畳シフト加算処理による(R、G、B)の混色を表す行列である。行列βは、上式(9)より計算されるβと同一であり、復元推定処理による(a0、a1/2、a3)の混色を表す行列である。
【数20】
【0077】
上式(17)、(19)、(20)より、下式(21)が成り立つ。下式(21)に示すように、復元推定された画像Uの画素値r、gr、gb、bは、それぞれ元の色R、Gr、Gb、Bの和となっており、元の色が完全には復元されていないことが分かる。
【数21】
【0078】
次に、上記混色が、混色除去フィルターTにより除去される点について説明する。混色除去フィルターTは、上式(13)より下式(22)となる。画像U’は、画像UとフィルターTのコンボリューションであるから、画像U’の画素値R’、Gr’、Gb’、B’は下式(23)となる。
【数22】
【数23】
【0079】
上式(23)の3×3行列をτとおくと下式(24)となる。この行列τは、上式(8)より計算されるτと同一であり、混色除去処理における(r、g、b)から(R’、G’、B’)への色変換を表す行列である。
【数24】
【0080】
上式(21)、(23)、(24)より、下式(25)が成り立つ。下式(25)より、画像U’ではRGBが分離され、元のベイヤー配列の色が復元されていることが分かる。
【数25】
【0081】
6.S/N劣化抑制
次に、ベイヤー配列の基本ブロック2×2とは異なる3×3画素に加算単位を設定することで、混色除去によるS/N劣化が抑制される点について詳細に説明する。
【0082】
加算単位が2×2画素である場合、行列α、β、τは、上式(20)、(24)で説明した通りである。フィルターσ、ρ、Tは、上式(16)、(18)、(22)で説明した通りである。
【0083】
また加算単位が3×3画素である場合、行列α、β、τは、上式(12)で説明した通りである。フィルターσ、ρ、Tは、上式(10)、(6)、(13)で説明した通りである。
【0084】
上式(17)等で説明したように、行列α、β、τは、それぞれの処理において各色に乗ぜられる係数を表す。即ち、行列α、β、τは、各色のゲインアップ量を表す行列である。実際の演算では、行列α、β、τから構成したフィルターσ、ρ、Tと、各画素とのコンボリューションを行うことから、ゲインアップ量は、これらのフィルターの演算係数(成分)により規定されることになる。
【0085】
画像のノイズレベルはゲインの2乗和に依存することから、各演算におけるノイズレベルの増減は、フィルター演算係数の2乗和で表される。撮像素子によって取得された加算前の画像のノイズレベルをnとすると、各演算後のノイズレベルは、加算単位が2×2画素では下式(26)となり、3×3画素では下式(27)となる。ここで、nαは重み付け加算後のノイズレベルを表し、nβは高解像度化後のノイズレベルを表し、nτは色変換後(最終画像)のノイズレベルを表す。
【数26】
【数27】
【0086】
上式(26)、(27)より、最終画像では、それぞれ2.1倍、1.2倍にノイズが増加する。即ち、2×2画素加算よりも3×3画素加算の方がノイズの増加が小さく、演算によるS/N劣化が抑制される。
【0087】
図11に、加算前の画像のノイズレベルを基準(0dB)とする場合の、混色除去処理後のS/N特性の例を示す。図11のA1に示すように、r=2における3×3画素加算のS/Nは、上記のノイズレベルに対応して、A2に示す2×2画素のS/Nよりも4.5dB程度良い。他のrにおいても、3×3画素加算のS/Nは2×2画素のS/Nよりも高い。またA3に示すように、加算単位を4×4画素にした場合も、2×2画素よりもS/Nを改善できる。以上から、ベイヤー配列の基本ブロック2×2画素と異なる画素数で加算を行うことで、基本ブロックと同じ画素数で加算する場合よりもS/Nを向上できる。
【0088】
また、A3に示す4×4画素加算の場合よりも、A1に示す3×3画素加算の方がS/Nが良い。即ち、加算単位を3×3画素に設定することで、他の画素数に設定した場合よりもS/Nをより高めることが可能となる。
【0089】
図12に、加算前の画像の解像度を基準(100%)とする場合の、混色除去処理後の解像度特性の例を示す。図12のB1に示す3×3画素加算の解像度は、rが1に近い場合(例えば1.5以下)を除いて、B2に示す2×2画素加算の解像度との差は僅かである。画像のS/Nと解像度とは逆相関があることが多いが、3×3画素加算と2×2画素加算では目視による解像感の差はほとんど無く、3×3画素加算では解像感を失わずにS/N劣化を抑制できる。B3に示すように、4×4画素加算の場合も、同様に解像感を失わずにS/N劣化を抑制できる。
【0090】
また、B3に示す4×4画素加算の場合よりも、B1に示す3×3画素加算の方が解像度が良い。即ち、加算単位を3×3画素に設定することで、他の画素数に設定した場合よりも、解像感をより維持しながらS/Nを高めることが可能となる。
【0091】
以上の実施形態によれば、図1に示すように、撮像装置100は、画素アレイ部111と読み出し制御部112と推定演算部200と混色除去処理部210を含む。図2で説明したように、画素アレイ部111は、カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である。図3〜図6で説明したように、読み出し制御部112は、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する。図7で説明したように、推定演算部200は、その低解像画像に基づいて、画素アレイ部111の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する。混色除去処理部210は、推定された高解像画像における混色を除去する処理を行う。
【0092】
この場合に、図3で説明したように、読み出し制御部112は、画素アレイ部111のMx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を加算単位に設定する。図4〜図6で説明したように、読み出し制御部112は、重畳しながらシフトされた加算単位を設定することにより、複数の低解像画像(a0,x,y〜a8,x,y)を取得する。
【0093】
このようにすれば、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能になる。即ち、図11で説明したように、カラーフィルターの基本ブロックとは異なる画素数の加算単位を設定することで、基本ブロックと同じ画素数の場合よりも、色変換の際のゲインアップ量を小さくできる。これにより、高解像度画像におけるS/Nの悪化を抑えることができる。また、図12で説明したように、解像感を維持できる。
【0094】
また、加算単位を重畳しながらシフトして複数の低解像画像を取得することで、その複数の低解像画像から任意タイミングの高解像画像を復元できる。図13(A)等で後述するように、重畳シフト加算により復元推定処理を簡素化でき、ハードウェアの負荷を軽減できる。
【0095】
ここで、加算単位が重畳するとは、2つの加算単位が共通の画素を有することである。例えば図4〜図6では、加算単位が水平又は垂直に1画素ずつシフトされることで複数の加算単位GP00、GP10、・・・、GP22が設定され、その複数の加算単位のうち隣り合う加算単位が共通の画素を有する。例えばGP00とGP10は画素v10〜v12、v20〜v22を共有する。
【0096】
また、混色とは、処理後の画素において処理前の複数の色成分が混ざった状態である。例えば、上式(17)で説明したように、重畳シフト加算後の画素a0では、加算前の複数の色R、G、Bが、行列αで規定される混色比4:4:1で加算された状態となっている。また、混色除去とは、重畳シフト加算前の色成分を復元することである。この復元では、色が分離されて元の色配列が復元されていればよく、元の画素値そのものが復元される必要はない。
【0097】
また本実施形態では、図10で説明したように、混色除去処理部210は、複数の低解像画像から高解像画像の画素値を推定することにより生じる混色(上式(19))と、重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色(上式(17))とを除去する処理を行う(上式(23)〜(25))。
【0098】
より具体的には、図8で説明したように、推定演算部200は、複数の低解像画像の画素値ai,x,yを、重畳シフトにおける加算単位GPxyの設定位置(x,y)に応じて1つの画像Xに再配列する(上式(3)、(4))。図7で説明したように、推定演算部200は、その再配列した画像X(画素値Ax,y)を所定の推定用フィルターρで処理することで推定を行う(上式(6)、(7))。混色除去処理部210は、その推定用フィルターρにより規定される混色比を表す第1行列βと、重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列αとに基づいて構成された混色除去フィルターTにより、高解像画像(画素値ux,y)を処理することで混色を除去する処理を行う(上式(8)〜(14))。
【0099】
このようにすれば、復元推定処理と重み付け加算処理による混色を除去する処理を行うことができる。具体的には、推定用フィルターρにより規定される混色比と重み付け係数により規定される混色比とに基づいて、これらの混色を除去するための混色除去フィルターTを構成できる。そして、このTを復元画像に対して演算することで、元のカラーフィルターの色配列に復元できる。
【0100】
また本実施形態では、図2で説明したように、カラーフィルターは、Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターである。図3で説明したように、加算単位は、Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位である。
【0101】
このようにすれば、図11で説明したように、3×3画素以外(例えば4×4画素)の加算単位を設定した場合に比べて、混色除去後においてより高いS/Nを実現でき、より高画質の高解像画像を得ることができる。また、図12で説明したように、より高い解像感を実現できる。
【0102】
また本実施形態では、図2で説明したように、2×2画素は、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される。図10に示すように、再配列された画像Xの画素値Ax,yは、R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値a0、a1/2(=a1=a2)、a3に分類される。第1行列βは、高解像画像Uの画素値ux,yにおける第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3の混合比が、推定用フィルターρの成分により表された行列である(上式(9)、(18)〜(20))。第2行列αは、第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3におけるR、G、B画素の混合比が、重み付け係数(行列σ)に基づいて表された行列である(上式(9)、(16)、(17)、(20))。混色除去フィルターTは、第1、第2行列の逆行列の積τ=α−1β−1の成分を、高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターである(上式(8)、(13)、(22)〜(24))。
【0103】
このようにすれば、推定用フィルターρの成分に基づいて第1行列βを構成し、重み付け係数に基づいて第2行列αを構成し、これらの行列を用いて混色除去フィルターTを構成できる。また、第1、第2行列の逆行列の積τ=α−1β−1に基づいて混色除去フィルターTを構成することで、上式(25)で説明したように、τが色変換βαの逆行列となり、色変換上においてRGBを復元できる。
【0104】
ここで、第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3に分類されるとは、加算単位のシフトにより各色と重み付け係数の対応関係が変わり、その対応関係が3種類に分類されることである。例えば、図4〜図6では、加算単位が(GP00、GP20、GP02、GP22)と、(GP10、GP01、GP21、GP12)、(GP11)の3グループに分類され、各グループにおいて色と重み付け係数の対応は同一である。
【0105】
また、高解像画像の画素配列に応じて配列するとは、上式(23)、(24)に示すように、行列τの成分は画素r、g、bに対する係数(混色比)を表しており、その係数を、図10に示す画像Uの画素r、g、bの配置に対応させ、上式(13)に示すように並べ替えることである。
【0106】
7.推定用フィルター
上述の推定用フィルターρについて詳細に説明する。なお以下では説明を簡単にするために、加算単位が2×2画素であり、重み付けパラメーターr=2である場合を例に説明する。
【0107】
図13(A)に示すように、2×2画素の加算単位の重畳シフトにより加算画素値axyが得られる。下式(28)にa00、a10を示す。ここで、vxyは加算前の画素値である。
a00=v00+(1/2)v01+(1/2)v10+(1/4)v11,
a10=v10+(1/2)v11+(1/2)v20+(1/4)v21 (28)
【0108】
図13(B)に示すように、中間画素値bxyを定義する。中間画素値bxyは、加算単位の各列に含まれる画素値を重み付け加算したものであり、例えばa00、a10に含まれる画素の第1〜第3列がそれぞれ中間画素値b00、b10、b20である。下式(29)にb00、b10、b20を示す。
b00=v00+(1/2)v01,
b10=v10+(1/2)v11,
b20=v20+(1/2)v21 (29)
【0109】
上式(29)を用いて上式(28)を変形すると、下式(30)が成り立つ。
a00=b00+(1/2)b10,
a10=b10+(1/2)b20 (30)
【0110】
上式(30)をb10、b20について解くと、下式(31)が成り立つ。
b10=−2b00+2a00,
b20=4b00+2(a10−2a00) (31)
【0111】
下式(32)に示すように、中間画素値bxyと加算画素値axyの2乗誤差により評価関数Eyを求める。
【数28】
【0112】
上式(32)に上式(31)を代入し、Eyが最小となる未知数b00を求め、b00を決定する。b01、b11、b21について、未知数をb01として上記と同様にb01を決定する。決定されたb00、b01を下式(33)に示す。ここで、下式(33)では、右辺右側の行列について成分の和が1となるように規格化した。
【数29】
【0113】
上式(33)のb00、b01は、下式(34)と表される。上式(30)を下式(34)に置き換え、未知数をv00として上記と同様にv00を決定すると、下式(35)が求まる。
b00=v00+(1/2)v01,
b01=v01+(1/2)v02 (34)
【数30】
【0114】
上式(33)、(35)より、下式(36)が求まる。a00、a10、a01、a11の係数を成分ρ00、ρ10、ρ01、ρ11とするフィルターとして書き直すと、下式(37)となる。このようにして、上式(7)や(18)で説明した推定用フィルターρが求められる。
【数31】
【数32】
【0115】
以上の実施形態によれば、図13(A)に示すように、重畳シフトにより設定される加算単位は、Nx×Ny(例えば2×2)画素の加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位axyである。図13(B)で説明したように、Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値bxyとし、第1列の中間画素値b00を未知数とする。上式(30)で説明したように、中間画素値b10、b20は、その未知数b00と、加算単位による重み付け加算値a00、a10との関係式で表される。上式(32)、(33)で説明したように、推定用フィルターρは、その関係式で表された中間画素値b00、b10、b20と、加算単位による重み付け加算値a00、a10との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターである。
【0116】
このようにすれば、複数の低解像画像から高解像画像を復元するための推定用フィルターρを構成できる。また、高解像画像を復元推定する処理を簡素化できる。即ち、重畳シフト加算により得られた画素値axyに対して推定用フィルターρをコンボリューション演算するだけで高解像画像を得ることができる。これにより、例えば、2次元フィルターの繰り返し演算(特開2009−124621号公報)や、初期値の設定に適当な部分を探索(特開2008−243037号公報)する等の複雑な処理が不要となる。
【0117】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また推定演算部、混色除去処理部、撮像装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0118】
100 撮像装置、101 撮像光学系、102 制御部、103 メモリー、
104 モニター表示部、105 記録媒体、
110 固体撮像素子、111 画素アレイ部、112 読み出し制御部、
120 画像処理部、121 高解像度画像生成部、
122 低解像度画像生成部、123 表示処理部、124 アクセス制御部、
200 推定演算部、210 混色除去処理部、
Ax,y 画素値、Ey 評価関数、GPxy 加算単位、
Mx×My 基本ブロックの画素数、Nx×Ny 加算単位の画素数、
P1〜P9 画素、R,G,B 色、T 混色除去フィルター、
U,U’,V,X 画像、ai,x,y 画素値、axy 加算画素値、
b00 未知数、bxy 中間画素値、r 重み付けパラメーター、
ux,y 画素値、v10〜v12 画素、x,y 位置、α 第2行列、
β 第1行列、ρ 推定用フィルター、σ 行列
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び画像生成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等に代表される撮像装置の多くは、単板の固体撮像素子を用いて撮像を行っている。カラー撮影を行うため、複数色のカラーフィルターを有する固体撮像素子により撮像するものが殆どである。また、これらの撮像装置では、動画撮影において、複数の画素を加算して画像を取得するムービースキャンが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124621号公報
【特許文献2】特開2008−243037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、このような低解像の動画から高解像画像を得たい場合、高解像化処理を行う必要がある。しかしながら、従来の手法(例えば特許文献1、2)では、処理が複雑でハードウェアへの負荷が大きく、小型のカメラに実装することは困難である。
【0005】
そこで、高解像化処理を簡素化する手法として、重畳シフト加算により複数枚の低解像画像を取得し、その複数枚の低解像画像から高解像画像を復元する手法が考えられる。重畳シフト加算では、複数色の画素により構成される加算単位が重畳されながらシフトされ、その加算単位内の各画素に所定の重み付けが付与され、複数色が混合された加算が行われる。
【0006】
しかしながら、この手法では、高解像化処理により復元された画像に混色が残るという課題がある。そのため、高解像度画像を生成する際に色変換を施し、元の色を復元する必要がある。しかしながら、その色変換を施すことにより、高解像度画像のS/Nが劣化するという課題がある。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能な撮像装置及び画像生成方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である画素アレイ部と、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する読み出し制御部と、前記低解像画像に基づいて、前記画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する推定演算部と、推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う混色除去処理部と、を含み、前記読み出し制御部は、前記画素アレイ部の前記Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得する撮像装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、重畳しながらシフトされた加算単位が設定され、加算単位内の画素値が重み付け加算され、複数の低解像画像が取得される。加算単位の画素数Nx×Nyは、カラーフィルターの基本ブロックの画素数Mx×Myとは異なる画素数である。取得された低解像画像に基づいて高解像画像が推定され、その高解像画像における混色を除去する処理が行われる。これにより、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記混色除去処理部は、前記複数の低解像画像から前記高解像画像の画素値を推定することによる混色と、前記重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色とを除去する処理を行ってもよい。
【0011】
このようにすれば、復元推定処理と重み付け加算処理による混色を除去する処理を行うことができる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記推定演算部は、前記複数の低解像画像の画素値を、前記重畳シフトにおける前記加算単位の設定位置に応じて1つの画像に再配列し、前記再配列した画像を所定の推定用フィルターで処理することで前記推定を行い、前記混色除去処理部は、前記推定用フィルターにより規定される混色比を表す第1行列と、前記重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列とに基づいて構成された混色除去フィルターにより、前記高解像画像を処理することで前記混色を除去する処理を行ってもよい。
【0013】
このようにすれば、推定用フィルターにより規定される混色比と重み付け係数により規定される混色比とに基づいて、混色除去フィルターを構成できる。そして、その混色除去フィルターを高解像画像に対して演算することで、元のカラーフィルターの色配列を復元することが可能になる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記カラーフィルターは、前記Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターであり、前記加算単位は、前記Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位であってもよい。
【0015】
このようにすれば、3×3画素以外の加算単位を設定した場合に比べて、混色除去後においてより高いS/Nを実現でき、より高画質の高解像画像を得ることができる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記2×2画素が、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される場合に、前記再配列された画像の画素値は、前記R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値に分類され、前記第1行列は、前記高解像画像の画素値における前記第1〜第3の画素値の混合比が、前記推定用フィルターの成分により表された行列であり、前記第2行列は、前記第1〜第3の画素値における前記R、G、B画素の混合比が、前記重み付け係数に基づいて表された行列であり、前記混色除去フィルターは、前記第1、第2行列の逆行列の積の成分を、前記高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターであってもよい。
【0017】
このようにすれば、推定用フィルターの成分に基づく第1行列と重み付け係数に基づく第2行列により混色除去フィルターを構成できる。これにより、復元推定処理と重み付け加算処理における混色比に基づく混色除去フィルターを構成できる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記重畳シフトにより設定される前記加算単位は、前記Nx×Ny画素の前記加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位であり、前記Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値とし、第1列の中間画素値を未知数とする場合に、前記中間画素値は、前記未知数と、前記加算単位による重み付け加算値との関係式で表され、前記推定用フィルターは、前記関係式で表された前記中間画素値と、前記加算単位による重み付け加算値との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターであってもよい。
【0019】
このようにすれば、複数の低解像画像から高解像画像を復元するための推定用フィルターを構成できる。また、推定用フィルターをコンボリューション演算するだけで高解像画像を得ることができるため、復元推定処理を簡素化できる。
【0020】
また本発明の他の態様は、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得し、前記低解像画像に基づいて、画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定するとともに、推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う場合に、前記画素アレイ部のカラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックであるMx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得する画像生成方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の撮像装置の構成例。
【図2】画素アレイ部の画素配列の例。
【図3】重畳シフト加算における重み付けについての説明図。
【図4】重畳シフトについての説明図。
【図5】重畳シフトについての説明図。
【図6】重畳シフトについての説明図。
【図7】本実施形態が行う処理のフローチャート。
【図8】低解像画像の再配列についての説明図。
【図9】2×2画素の場合の重み付けについての説明図。
【図10】混色除去処理についての説明図。
【図11】混色除去処理後のS/N特性の例。
【図12】混色除去処理後の解像度特性の例。
【図13】図13(A)、図13(B)は、加算画素値、中間画素値についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0023】
1.本実施形態の概要
まず、本実施形態の概要について説明する。本実施形態では、図4〜図6で後述するように、重畳シフトされた加算単位を設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算することにより低解像動画を取得する。そして、図7で後述するように、その低解像動画に対して推定用フィルターを演算し、撮像素子の解像度に相当する高解像画像を復元する。
【0024】
このようにすれば、事後的に高解像画像が得られるため、ユーザが好きなタイミングを指定することができ、決定的瞬間の画像を容易に得ることが可能である。また、加算単位が重畳シフトされていることで、簡素な処理で復元を行うことが可能である。
【0025】
さて本実施形態では、撮像素子はベイヤー(Bayer)配列等のカラー単板撮像素子であり、加算単位には複数の色の画素が含まれている。本実施形態では、この複数の色の画素値が加算された低解像画像から復元を行うが、図10で後述するように、復元された画像では完全には色が復元されておらず、元の色が混色した状態となる。
【0026】
そこで本実施形態では、復元画像に対して混色を除去する処理を行い、元の色を復元する。しかしながら、図11で後述するように、加算単位の画素数をカラーフィルターの基本ブロックの画素数(例えばベイヤー配列では2×2)と同じにすると、混色除去の際にノイズがゲインアップされ、復元画像のS/Nが劣化してしまう。
【0027】
そこで本実施形態では、加算単位の画素数を、カラーフィルターの基本ブロックの画素数とは異なる画素数に設定する。これにより、図11で後述するように、混色除去によるS/N劣化を抑制でき、復元画像の画像品質を向上することが可能になる。
【0028】
2.撮像装置
図1に、上記の復元処理と混色除去処理を行う本実施形態の撮像装置の構成例を示す。図1の撮像装置100は、撮像光学系101(レンズ)、制御部102、メモリー103、モニター表示部104、固体撮像素子110(撮像素子)、画像処理部120を含む。
【0029】
撮像装置100は、光学的な画像情報を電気信号に変換し、電子的に記録媒体に記録する装置である。このような撮像装置100として、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ等が想定される。
【0030】
撮像光学系101は、被写体を結像する。固体撮像素子110は、カラー単板撮像素子であり、結像された被写体像を撮像する。具体的には、固体撮像素子110は、画素アレイ部111(受光素子)と、読み出し制御部112(加算サンプリング部)を含む。
【0031】
読み出し制御部112は、画素アレイ部111の複数画素が重み付け加算された低解像画像を読み出し、その加算される画素の範囲を順次シフトすることにより複数の低解像画像を取得する。取得された画像データは、制御部102により、高解像度画像生成部121、又は低解像度画像生成部122、アクセス制御部124へ伝送される。
【0032】
画像処理部120は、撮像された低解像画像に対して、種々の処理を行う。具体的には、画像処理部120は、高解像度画像生成部121、低解像度画像生成部122、表示処理部123、アクセス制御部124(記録処理部)を含む。
【0033】
高解像度画像生成部121には、固体撮像素子110から伝送された低解像画像データ、又は記録媒体105(記録部)から読み出されてアクセス制御部124により展開された低解像度画像データが入力される。高解像度画像生成部121は、入力された低解像画像データに対して処理を行い、低解像度画像データよりも解像度の高い画像データを生成する。具体的には高解像度画像生成部121は、推定演算部200、混色除去処理部210(色変換処理部)を含む。
【0034】
推定演算部200は、重畳シフト加算により得られた低解像画像データに対して、後述する復元推定処理を行い、高解像画像データを求める。混色除去処理部210は、復元された高解像画像データに対して、後述する混色除去処理(色変換処理)を行い、重畳シフト加算及び復元推定処理による混色を除去する。
【0035】
低解像度画像生成部122には、固体撮像素子110から伝送された低解像画像データ、又は記録媒体105から読み出されてアクセス制御部124により展開された低解像度画像データが入力される。低解像度画像生成部122は、入力された低解像度画像データに対して、後述する処理を行い、低解像度画像データと同等の解像度の画像データを生成する。
【0036】
表示処理部123は、高解像度画像生成部121又は低解像度画像生成部122からの画像に対して表示用の変換処理を行い、変換後の画像をモニター表示部104に表示する処理を行う。例えば、表示用の変換処理として、モニター解像度に合致させるためのリサイズ処理や、モニターにおいて違和感のない画像に見せるためのガンマ補正処理や色補正処理を行う。
【0037】
アクセス制御部124は、高解像度画像生成部121又は低解像度画像生成部122からの画像に対して記録用の変換処理を行い、変換後の画像を外部の記録媒体105に記録する制御を行う。例えば、記録用の変換処理として、データサイズを小さくするための圧縮符号化処理や、指定されたデータフォーマットへの変換処理を行う。なお、モニター表示及び記録媒体への記録は、そのいずれか一方のみが行われてもよく、その両方が行われてもよい。
【0038】
3.重畳シフト加算処理
次に、本実施形態が行う重畳シフト加算処理について詳細に説明する。まず図2に、画素アレイ部111の画素配列の例を示す。図2において、xは画素配列の列番号を表し、yは画素配列の行番号を表す(x、yはゼロ以上の整数)。例えば、列番号は水平走査方向の座標であり、行番号は垂直走査方向の座標である。なお以下では適宜、列番号xが小さくなる方向を“左”、大きくなる方向を“右”、行番号yが小さくなる方向を“上”、大きくなる方向を“下”と呼ぶ。
【0039】
図2に示すように、画素アレイ部111のカラーフィルターは、いわゆるベイヤー配列に配列される。即ち、2×2の4画素を基本ブロックとし、その基本ブロックが繰り返し配列される。基本ブロックとは、カラーフィルターの繰り返し配列における最小の構成単位であり、カラーフィルターにおける全ての色を有するブロックである。ベイヤー配列の基本ブロックには、1つのR(赤)画素、2つのG(緑)画素、1つのB(青)画素が含まれる。
【0040】
次に、重畳シフト加算における重み付けについて説明する。図3に示すように、読み出し制御部112は、3×3の9画素を1ユニット(加算単位)とし、そのユニット内の画素値を重み付け加算し、加算した画素値を1画素信号として出力する。図3では、ユニット内の画素P1〜P9に対する重み付け係数をかっこ書きで表す。rは重み付けのパラメーターであり、正の実数(例えばr=2)である。なお、図3にはP1がR画素である例を示すが、他の色の場合もP1〜P9と係数の対応は同様である。
【0041】
次に、重畳シフトについて説明する。図4〜図6に示すように、固体撮像素子110からの1回の読み出し動作において、画素アレイ部111の全領域又は一部の領域から加算画素信号が読み出される。そして、その加算画素信号が配列された画像が、1フレーム(フィールド)の低解像度画像データとして固体撮像素子110から出力される。
【0042】
具体的には、図4に示すように、第0フレームでは画素アレイ部111の全領域又は一部の領域における左上端の3×3画素をユニットに設定する。第1フレームでは、第0フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第2フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。図5に示すように、第3フレームでは、第0フレームのユニットに対して1画素下にずれた3×3画素をユニットに設定する。第4フレームでは、第3フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第5フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。図6に示すように、第6フレームでは、第3フレームのユニットに対して1画素下にずれた3×3画素をユニットに設定する。第7フレームでは、第6フレームのユニットに対して1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第8フレームでは、更に1画素右にずれた3×3画素をユニットに設定する。第9フレームでは、第0フレームのユニットと同じ3×3画素をユニットに設定する。
【0043】
上記重畳シフトにより取得される3×3画素の加算画素信号は、r=2を例にとると、下式(1)により表される。
【数1】
【0044】
ここで、vx,yは、画素アレイ部111の位置(x,y)における画素値であり、ai,x,yは、第iフレームの低解像画像の位置(x,y)における画素値である。下式(1)では、vx,yとai,x,yのレンジを同一にするため正規化を行っている。
【0045】
上式(1)をNx×Ny画素のユニットに一般化すると、下式(2)となる。
【数2】
【0046】
ここで、t%sはtのsによる剰余を表し、[t]はtを超えない最大の整数を表す。また、Nx,Nyはそれぞれ水平方向、垂直方向の加算画素数であり、例えば本実施例ではNx=Ny=3である。rx,ryはそれぞれ水平方向、垂直方向の重み付けパラメーターであり、例えば本実施例ではrx=ry=2である。
【0047】
なお上記ではカラーフィルターがRGBのベイヤー配列である例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えばカラーフィルターはCMY等であってもよいし、ベイヤー配列以外の配列であってもよい。
【0048】
また上記ではユニットが3×3画素である例を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、ユニットの画素数は、カラーフィルターの基本ブロックと異なる画素数であれば他の画素数に設定されてもよい。
【0049】
また上記では固体撮像素子110が第0フレームから低解像画像を順次取得して出力する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、任意のフレームから出力してもよいし、出力する順番を連番に限らず任意の順番で出力してもよい。また、1回の読み出し動作(1フレーム)において、複数の低解像画像を取得又は出力してもよい。
【0050】
ここで、フレームとは、例えば撮像素子による1回の撮影動作タイミングや、画像処理において1つの画像(例えば1つの低解像画像や、後述する画像X)が処理されるタイミングである。あるいは、画像データにおける1つの低解像画像や高解像画像も適宜フレームと呼ぶ。
【0051】
4.復元推定処理、混色除去処理
次に、本実施形態が行う復元推定処理、混色除去処理について詳細に説明する。図7に、本実施形態が行う処理のフローチャートを示す。
【0052】
例えば、フローチャートのステップS2〜S5は、高解像度画像生成部121が実行する。ステップS7〜S9は、低解像度画像生成部122が実行する。他のステップS1、S6は、制御部102が実行する。なお、本実施形態の各部はハードウェアとして構成されてもよいし、ソフトウェアにより構成されてもよい。ソフトウェアにより構成される場合、本実施形態の各部を記述したプログラムがCPU等の情報処理装置により実行されることで、各部の処理が実現される。
【0053】
図7に示すように、この処理が開始されると、高解像度画像を出力するか否かの判断を行う(S1)。例えば、撮像装置100に対するユーザの指示に基づいて判断する。なお、ユーザの指示は撮像時よりも前に行われていてもよいし、ステップS1を処理するタイミングでユーザに対し要求してもよい。
【0054】
高解像度画像を生成する場合(S1、YES)、固体撮像素子110又は記録媒体105からの画像データを読み込む(S2)。本実施形態では連続する9フレームの画像を必要とするため、連続する9フレームの低解像度画像データを読み込む。次に、読み込まれた低解像度画像データから高解像度画像の画素値を推定する(S3)。
【0055】
画素値の推定手法について、詳細に説明する。まず図8に示すように、9フレームの低解像度画像データの画素ai,x,yを配列し、1フレームの画像Xを生成する。下式(3)に、画像Xにおける画素Ax,yと画素ai,x,yとの対応を示す。図8に示すように、画像Xの位置(x,y)には、図4〜図6に示す同一位置(x,y)の加算単位GPxyの加算画素値が配置される。
【数3】
【0056】
上式(3)をNx×Ny画素のユニットに一般化すると、下式(4)となる。
【数4】
【0057】
次に下式(5)に示すように、画像Xの画素Ax,yと推定用フィルターρとのコンボリューション演算を行い、高解像度画像の画素値ux,yを推定する。下式(6)に示すように、推定用フィルターρは行列により表され、ρkjは、その行列のkj成分である。推定用フィルターρについては、後に詳述する。
【数5】
【数6】
【0058】
推定用フィルターρを、Nx×Ny画素のユニット及びrx、ryの重み付けパラメーターに一般化すると、下式(7)となる。ここで、MTは行列Mの転置行列を表す。
【数7】
【0059】
次に、上記の推定演算により求められた画素値ux,yでは、後述するように色が正しく再現されていないため、推定演算後の画像に対して色変換処理を行う(S4)。具体的には、下式(8)に示すように、色変換行列τを用いて色変換処理を行う。
【数8】
【0060】
行列α、βは、下式(9)より表される行列である。
【数9】
【0061】
ここで、σkjは、下式(10)に示す行列σのkj成分であり、ρkjは、上式(6)に示す行列ρのkj成分である。
【数10】
【0062】
上式(10)を、Nx×Ny画素のユニット及びrx、ryの重み付けパラメーターに一般化すると、下式(11)となる。
【数11】
【0063】
例えば図3を例にすると、上式(11)の成分σ00、σ10、σ01、σ11は、それぞれ画素P1、P2、P4、P5の色に対応する混色比であり、同色画素の重み付け係数を加算して規格化した値である。図4〜図6に示すように、各画素に対応する色はフレームに依って異なるため、各色の混色比はフレームに応じて変化する。
【0064】
本実施形態における行列α、β、τは、上式(6)、(8)〜(10)より下式(12)となる。
【数12】
【0065】
下式(13)に示すように、行列τの成分から混色除去フィルターTを構成する。下式(14)に示すように、画素値ux,yと混色除去フィルターTとのコンボリューション演算を行い、画素値u'x,yを求める。
【数13】
【数14】
【0066】
次に、画素値u'x,yに対して現像処理を行う(S5)。例えばカラーフィルターがベイヤー配列である場合、復元された画像はベイヤー配列となる。現像処理では、そのベイヤー配列の画像を補間処理し、全画素のRGB画素値を求める。次に、現像処理後の画像を最終的な画像データとして出力し、処理を終了する(S6)。
【0067】
次に、ステップS1において、低解像度の画像を生成すると判断した場合(S1、NO)、固体撮像素子110又は記録媒体105からの低解像画像データを読み込む(S7)。高解像度画像を生成する場合には複数フレームの低解像度画像データを読み込んだが、ステップ5においては1フレームの低解像度画像データでよい。
【0068】
次に、読み込んだ低解像度画像データは色を正しく再現していないため、低解像画像データに対して色変換処理を行う(S8)。下式(15)に、色変換行列τを示す。行列αは、上式(9)の行列αである。
【数15】
【0069】
上式(13)、(14)と同様に、行列τから混色除去フィルターTを構成し、低解像画像と混色除去フィルターTとのコンボリューション演算を行う。次に、混色除去された画像に対して現像処理を行い(S9)、現像処理後の画像を最終的な画像データとして出力し、処理を終了する(S6)。
【0070】
なお上記では、高解像画像の推定処理(S3)と色変換処理(S4)を別個に処理する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、1回の処理で行ってもよい。この場合、上式(7)の行列ρと上式(8)の行列τとのコンボリューションによって新たな行列を生成する。そして、その行列と画像Xの各画素Ax,yとのコンボリューション演算を行い、混色除去後の画素値u'x,yを求める。
【0071】
また上記では、9枚の低解像画像を読み込んで高解像画像の推定処理を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、補間処理等を行うことでより少ないフレーム数の画像を読み込むようにしてもよいし、推定精度を上げるためにより多いフレーム数の画像を読み込むようにしてもよい。
【0072】
5.混色除去フィルター
次に、上記の混色除去フィルターTにより、実際に混色が除去される点について詳細に説明する。なお以下では説明を簡単にするために、図9に示すように加算単位を2×2画素とし、重み付けパラメーターr=2とする。
【0073】
まず、復元推定後の高解像画像において混色が残る点について説明する。図10に示すように、加算前の画像を仮にVとし、重み付け加算後の画像をXとし、復元処理後の高解像画像をUとし、混色除去後の画像をU’とする。なお図10では、色の混ざり方のみに注目するため、位置xyを省略して同色画素に同じ符号を付す。また以下では、同色画素をまとめて、G=Gr=Gb、a1/2=a1=a2、g=gr=gb、G’=Gr’=Gb’とする。
【0074】
重み付け加算による混色を表す行列σは、上式(11)より下式(16)となる。画像Xは、画像Vと行列σのコンボリューションであるから、画像Xの画素値a0、a1/2、a3は下式(17)で表される。
【数16】
【数17】
【0075】
推定用フィルターρは、上式(7)より下式(18)となる。画像Uは、画像Xとフィルターρのコンボリューションであるから、画像Uの画素値r、g、bは下式(19)で表される。
【数18】
【数19】
【0076】
上式(17)、(19)の3×3行列をα、βとおくと、下式(20)となる。この行列αは、上式(9)より計算されるαと同一であり、重畳シフト加算処理による(R、G、B)の混色を表す行列である。行列βは、上式(9)より計算されるβと同一であり、復元推定処理による(a0、a1/2、a3)の混色を表す行列である。
【数20】
【0077】
上式(17)、(19)、(20)より、下式(21)が成り立つ。下式(21)に示すように、復元推定された画像Uの画素値r、gr、gb、bは、それぞれ元の色R、Gr、Gb、Bの和となっており、元の色が完全には復元されていないことが分かる。
【数21】
【0078】
次に、上記混色が、混色除去フィルターTにより除去される点について説明する。混色除去フィルターTは、上式(13)より下式(22)となる。画像U’は、画像UとフィルターTのコンボリューションであるから、画像U’の画素値R’、Gr’、Gb’、B’は下式(23)となる。
【数22】
【数23】
【0079】
上式(23)の3×3行列をτとおくと下式(24)となる。この行列τは、上式(8)より計算されるτと同一であり、混色除去処理における(r、g、b)から(R’、G’、B’)への色変換を表す行列である。
【数24】
【0080】
上式(21)、(23)、(24)より、下式(25)が成り立つ。下式(25)より、画像U’ではRGBが分離され、元のベイヤー配列の色が復元されていることが分かる。
【数25】
【0081】
6.S/N劣化抑制
次に、ベイヤー配列の基本ブロック2×2とは異なる3×3画素に加算単位を設定することで、混色除去によるS/N劣化が抑制される点について詳細に説明する。
【0082】
加算単位が2×2画素である場合、行列α、β、τは、上式(20)、(24)で説明した通りである。フィルターσ、ρ、Tは、上式(16)、(18)、(22)で説明した通りである。
【0083】
また加算単位が3×3画素である場合、行列α、β、τは、上式(12)で説明した通りである。フィルターσ、ρ、Tは、上式(10)、(6)、(13)で説明した通りである。
【0084】
上式(17)等で説明したように、行列α、β、τは、それぞれの処理において各色に乗ぜられる係数を表す。即ち、行列α、β、τは、各色のゲインアップ量を表す行列である。実際の演算では、行列α、β、τから構成したフィルターσ、ρ、Tと、各画素とのコンボリューションを行うことから、ゲインアップ量は、これらのフィルターの演算係数(成分)により規定されることになる。
【0085】
画像のノイズレベルはゲインの2乗和に依存することから、各演算におけるノイズレベルの増減は、フィルター演算係数の2乗和で表される。撮像素子によって取得された加算前の画像のノイズレベルをnとすると、各演算後のノイズレベルは、加算単位が2×2画素では下式(26)となり、3×3画素では下式(27)となる。ここで、nαは重み付け加算後のノイズレベルを表し、nβは高解像度化後のノイズレベルを表し、nτは色変換後(最終画像)のノイズレベルを表す。
【数26】
【数27】
【0086】
上式(26)、(27)より、最終画像では、それぞれ2.1倍、1.2倍にノイズが増加する。即ち、2×2画素加算よりも3×3画素加算の方がノイズの増加が小さく、演算によるS/N劣化が抑制される。
【0087】
図11に、加算前の画像のノイズレベルを基準(0dB)とする場合の、混色除去処理後のS/N特性の例を示す。図11のA1に示すように、r=2における3×3画素加算のS/Nは、上記のノイズレベルに対応して、A2に示す2×2画素のS/Nよりも4.5dB程度良い。他のrにおいても、3×3画素加算のS/Nは2×2画素のS/Nよりも高い。またA3に示すように、加算単位を4×4画素にした場合も、2×2画素よりもS/Nを改善できる。以上から、ベイヤー配列の基本ブロック2×2画素と異なる画素数で加算を行うことで、基本ブロックと同じ画素数で加算する場合よりもS/Nを向上できる。
【0088】
また、A3に示す4×4画素加算の場合よりも、A1に示す3×3画素加算の方がS/Nが良い。即ち、加算単位を3×3画素に設定することで、他の画素数に設定した場合よりもS/Nをより高めることが可能となる。
【0089】
図12に、加算前の画像の解像度を基準(100%)とする場合の、混色除去処理後の解像度特性の例を示す。図12のB1に示す3×3画素加算の解像度は、rが1に近い場合(例えば1.5以下)を除いて、B2に示す2×2画素加算の解像度との差は僅かである。画像のS/Nと解像度とは逆相関があることが多いが、3×3画素加算と2×2画素加算では目視による解像感の差はほとんど無く、3×3画素加算では解像感を失わずにS/N劣化を抑制できる。B3に示すように、4×4画素加算の場合も、同様に解像感を失わずにS/N劣化を抑制できる。
【0090】
また、B3に示す4×4画素加算の場合よりも、B1に示す3×3画素加算の方が解像度が良い。即ち、加算単位を3×3画素に設定することで、他の画素数に設定した場合よりも、解像感をより維持しながらS/Nを高めることが可能となる。
【0091】
以上の実施形態によれば、図1に示すように、撮像装置100は、画素アレイ部111と読み出し制御部112と推定演算部200と混色除去処理部210を含む。図2で説明したように、画素アレイ部111は、カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である。図3〜図6で説明したように、読み出し制御部112は、加算される画素の範囲である加算単位を設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する。図7で説明したように、推定演算部200は、その低解像画像に基づいて、画素アレイ部111の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する。混色除去処理部210は、推定された高解像画像における混色を除去する処理を行う。
【0092】
この場合に、図3で説明したように、読み出し制御部112は、画素アレイ部111のMx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を加算単位に設定する。図4〜図6で説明したように、読み出し制御部112は、重畳しながらシフトされた加算単位を設定することにより、複数の低解像画像(a0,x,y〜a8,x,y)を取得する。
【0093】
このようにすれば、S/N劣化を抑制した混色除去を高解像化画像に対して行うことが可能になる。即ち、図11で説明したように、カラーフィルターの基本ブロックとは異なる画素数の加算単位を設定することで、基本ブロックと同じ画素数の場合よりも、色変換の際のゲインアップ量を小さくできる。これにより、高解像度画像におけるS/Nの悪化を抑えることができる。また、図12で説明したように、解像感を維持できる。
【0094】
また、加算単位を重畳しながらシフトして複数の低解像画像を取得することで、その複数の低解像画像から任意タイミングの高解像画像を復元できる。図13(A)等で後述するように、重畳シフト加算により復元推定処理を簡素化でき、ハードウェアの負荷を軽減できる。
【0095】
ここで、加算単位が重畳するとは、2つの加算単位が共通の画素を有することである。例えば図4〜図6では、加算単位が水平又は垂直に1画素ずつシフトされることで複数の加算単位GP00、GP10、・・・、GP22が設定され、その複数の加算単位のうち隣り合う加算単位が共通の画素を有する。例えばGP00とGP10は画素v10〜v12、v20〜v22を共有する。
【0096】
また、混色とは、処理後の画素において処理前の複数の色成分が混ざった状態である。例えば、上式(17)で説明したように、重畳シフト加算後の画素a0では、加算前の複数の色R、G、Bが、行列αで規定される混色比4:4:1で加算された状態となっている。また、混色除去とは、重畳シフト加算前の色成分を復元することである。この復元では、色が分離されて元の色配列が復元されていればよく、元の画素値そのものが復元される必要はない。
【0097】
また本実施形態では、図10で説明したように、混色除去処理部210は、複数の低解像画像から高解像画像の画素値を推定することにより生じる混色(上式(19))と、重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色(上式(17))とを除去する処理を行う(上式(23)〜(25))。
【0098】
より具体的には、図8で説明したように、推定演算部200は、複数の低解像画像の画素値ai,x,yを、重畳シフトにおける加算単位GPxyの設定位置(x,y)に応じて1つの画像Xに再配列する(上式(3)、(4))。図7で説明したように、推定演算部200は、その再配列した画像X(画素値Ax,y)を所定の推定用フィルターρで処理することで推定を行う(上式(6)、(7))。混色除去処理部210は、その推定用フィルターρにより規定される混色比を表す第1行列βと、重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列αとに基づいて構成された混色除去フィルターTにより、高解像画像(画素値ux,y)を処理することで混色を除去する処理を行う(上式(8)〜(14))。
【0099】
このようにすれば、復元推定処理と重み付け加算処理による混色を除去する処理を行うことができる。具体的には、推定用フィルターρにより規定される混色比と重み付け係数により規定される混色比とに基づいて、これらの混色を除去するための混色除去フィルターTを構成できる。そして、このTを復元画像に対して演算することで、元のカラーフィルターの色配列に復元できる。
【0100】
また本実施形態では、図2で説明したように、カラーフィルターは、Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターである。図3で説明したように、加算単位は、Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位である。
【0101】
このようにすれば、図11で説明したように、3×3画素以外(例えば4×4画素)の加算単位を設定した場合に比べて、混色除去後においてより高いS/Nを実現でき、より高画質の高解像画像を得ることができる。また、図12で説明したように、より高い解像感を実現できる。
【0102】
また本実施形態では、図2で説明したように、2×2画素は、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される。図10に示すように、再配列された画像Xの画素値Ax,yは、R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値a0、a1/2(=a1=a2)、a3に分類される。第1行列βは、高解像画像Uの画素値ux,yにおける第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3の混合比が、推定用フィルターρの成分により表された行列である(上式(9)、(18)〜(20))。第2行列αは、第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3におけるR、G、B画素の混合比が、重み付け係数(行列σ)に基づいて表された行列である(上式(9)、(16)、(17)、(20))。混色除去フィルターTは、第1、第2行列の逆行列の積τ=α−1β−1の成分を、高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターである(上式(8)、(13)、(22)〜(24))。
【0103】
このようにすれば、推定用フィルターρの成分に基づいて第1行列βを構成し、重み付け係数に基づいて第2行列αを構成し、これらの行列を用いて混色除去フィルターTを構成できる。また、第1、第2行列の逆行列の積τ=α−1β−1に基づいて混色除去フィルターTを構成することで、上式(25)で説明したように、τが色変換βαの逆行列となり、色変換上においてRGBを復元できる。
【0104】
ここで、第1〜第3の画素値a0、a1/2、a3に分類されるとは、加算単位のシフトにより各色と重み付け係数の対応関係が変わり、その対応関係が3種類に分類されることである。例えば、図4〜図6では、加算単位が(GP00、GP20、GP02、GP22)と、(GP10、GP01、GP21、GP12)、(GP11)の3グループに分類され、各グループにおいて色と重み付け係数の対応は同一である。
【0105】
また、高解像画像の画素配列に応じて配列するとは、上式(23)、(24)に示すように、行列τの成分は画素r、g、bに対する係数(混色比)を表しており、その係数を、図10に示す画像Uの画素r、g、bの配置に対応させ、上式(13)に示すように並べ替えることである。
【0106】
7.推定用フィルター
上述の推定用フィルターρについて詳細に説明する。なお以下では説明を簡単にするために、加算単位が2×2画素であり、重み付けパラメーターr=2である場合を例に説明する。
【0107】
図13(A)に示すように、2×2画素の加算単位の重畳シフトにより加算画素値axyが得られる。下式(28)にa00、a10を示す。ここで、vxyは加算前の画素値である。
a00=v00+(1/2)v01+(1/2)v10+(1/4)v11,
a10=v10+(1/2)v11+(1/2)v20+(1/4)v21 (28)
【0108】
図13(B)に示すように、中間画素値bxyを定義する。中間画素値bxyは、加算単位の各列に含まれる画素値を重み付け加算したものであり、例えばa00、a10に含まれる画素の第1〜第3列がそれぞれ中間画素値b00、b10、b20である。下式(29)にb00、b10、b20を示す。
b00=v00+(1/2)v01,
b10=v10+(1/2)v11,
b20=v20+(1/2)v21 (29)
【0109】
上式(29)を用いて上式(28)を変形すると、下式(30)が成り立つ。
a00=b00+(1/2)b10,
a10=b10+(1/2)b20 (30)
【0110】
上式(30)をb10、b20について解くと、下式(31)が成り立つ。
b10=−2b00+2a00,
b20=4b00+2(a10−2a00) (31)
【0111】
下式(32)に示すように、中間画素値bxyと加算画素値axyの2乗誤差により評価関数Eyを求める。
【数28】
【0112】
上式(32)に上式(31)を代入し、Eyが最小となる未知数b00を求め、b00を決定する。b01、b11、b21について、未知数をb01として上記と同様にb01を決定する。決定されたb00、b01を下式(33)に示す。ここで、下式(33)では、右辺右側の行列について成分の和が1となるように規格化した。
【数29】
【0113】
上式(33)のb00、b01は、下式(34)と表される。上式(30)を下式(34)に置き換え、未知数をv00として上記と同様にv00を決定すると、下式(35)が求まる。
b00=v00+(1/2)v01,
b01=v01+(1/2)v02 (34)
【数30】
【0114】
上式(33)、(35)より、下式(36)が求まる。a00、a10、a01、a11の係数を成分ρ00、ρ10、ρ01、ρ11とするフィルターとして書き直すと、下式(37)となる。このようにして、上式(7)や(18)で説明した推定用フィルターρが求められる。
【数31】
【数32】
【0115】
以上の実施形態によれば、図13(A)に示すように、重畳シフトにより設定される加算単位は、Nx×Ny(例えば2×2)画素の加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位axyである。図13(B)で説明したように、Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値bxyとし、第1列の中間画素値b00を未知数とする。上式(30)で説明したように、中間画素値b10、b20は、その未知数b00と、加算単位による重み付け加算値a00、a10との関係式で表される。上式(32)、(33)で説明したように、推定用フィルターρは、その関係式で表された中間画素値b00、b10、b20と、加算単位による重み付け加算値a00、a10との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターである。
【0116】
このようにすれば、複数の低解像画像から高解像画像を復元するための推定用フィルターρを構成できる。また、高解像画像を復元推定する処理を簡素化できる。即ち、重畳シフト加算により得られた画素値axyに対して推定用フィルターρをコンボリューション演算するだけで高解像画像を得ることができる。これにより、例えば、2次元フィルターの繰り返し演算(特開2009−124621号公報)や、初期値の設定に適当な部分を探索(特開2008−243037号公報)する等の複雑な処理が不要となる。
【0117】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また推定演算部、混色除去処理部、撮像装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0118】
100 撮像装置、101 撮像光学系、102 制御部、103 メモリー、
104 モニター表示部、105 記録媒体、
110 固体撮像素子、111 画素アレイ部、112 読み出し制御部、
120 画像処理部、121 高解像度画像生成部、
122 低解像度画像生成部、123 表示処理部、124 アクセス制御部、
200 推定演算部、210 混色除去処理部、
Ax,y 画素値、Ey 評価関数、GPxy 加算単位、
Mx×My 基本ブロックの画素数、Nx×Ny 加算単位の画素数、
P1〜P9 画素、R,G,B 色、T 混色除去フィルター、
U,U’,V,X 画像、ai,x,y 画素値、axy 加算画素値、
b00 未知数、bxy 中間画素値、r 重み付けパラメーター、
ux,y 画素値、v10〜v12 画素、x,y 位置、α 第2行列、
β 第1行列、ρ 推定用フィルター、σ 行列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である画素アレイ部と、
加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する読み出し制御部と、
前記低解像画像に基づいて、前記画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する推定演算部と、
推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う混色除去処理部と、
を含み、
前記読み出し制御部は、
前記画素アレイ部の前記Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記混色除去処理部は、
前記複数の低解像画像から前記高解像画像の画素値を推定することによる混色と、前記重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色とを除去する処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記推定演算部は、
前記複数の低解像画像の画素値を、前記重畳シフトにおける前記加算単位の設定位置に応じて1つの画像に再配列し、前記再配列した画像を所定の推定用フィルターで処理することで前記推定を行い、
前記混色除去処理部は、
前記推定用フィルターにより規定される混色比を表す第1行列と、前記重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列とに基づいて構成された混色除去フィルターにより、前記高解像画像を処理することで前記混色を除去する処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記カラーフィルターは、
前記Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターであり、
前記加算単位は、
前記Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位であることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記2×2画素が、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される場合に、
前記再配列された画像の画素値は、
前記R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値に分類され、
前記第1行列は、
前記高解像画像の画素値における前記第1〜第3の画素値の混合比が、前記推定用フィルターの成分により表された行列であり、
前記第2行列は、
前記第1〜第3の画素値における前記R、G、B画素の混合比が、前記重み付け係数に基づいて表された行列であり、
前記混色除去フィルターは、
前記第1、第2行列の逆行列の積の成分を、前記高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターであることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかにおいて、
前記重畳シフトにより設定される前記加算単位は、
前記Nx×Ny画素の前記加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位であり、
前記Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値とし、第1列の中間画素値を未知数とする場合に、
前記中間画素値は、
前記未知数と、前記加算単位による重み付け加算値との関係式で表され、
前記推定用フィルターは、
前記関係式で表された前記中間画素値と、前記加算単位による重み付け加算値との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターであることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得し、
前記低解像画像に基づいて、画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定するとともに、
推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う場合に、
前記画素アレイ部のカラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックであるMx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得することを特徴とする画像生成方法。
【請求項1】
カラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックが、Mx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)である画素アレイ部と、
加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得する読み出し制御部と、
前記低解像画像に基づいて、前記画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定する推定演算部と、
推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う混色除去処理部と、
を含み、
前記読み出し制御部は、
前記画素アレイ部の前記Mx×My画素とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記混色除去処理部は、
前記複数の低解像画像から前記高解像画像の画素値を推定することによる混色と、前記重み付け加算により複数色の画素値が加算されたことによる混色とを除去する処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記推定演算部は、
前記複数の低解像画像の画素値を、前記重畳シフトにおける前記加算単位の設定位置に応じて1つの画像に再配列し、前記再配列した画像を所定の推定用フィルターで処理することで前記推定を行い、
前記混色除去処理部は、
前記推定用フィルターにより規定される混色比を表す第1行列と、前記重み付け加算における重み付け係数により規定される混色比を表す第2行列とに基づいて構成された混色除去フィルターにより、前記高解像画像を処理することで前記混色を除去する処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記カラーフィルターは、
前記Mx×My画素を2×2画素とするベイヤー配列のカラーフィルターであり、
前記加算単位は、
前記Nx×Ny画素を3×3画素とする加算単位であることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記2×2画素が、1つのR画素と2つのG画素と1つのB画素により構成される場合に、
前記再配列された画像の画素値は、
前記R、G、B画素と重み付け係数との対応が異なる第1〜第3の画素値に分類され、
前記第1行列は、
前記高解像画像の画素値における前記第1〜第3の画素値の混合比が、前記推定用フィルターの成分により表された行列であり、
前記第2行列は、
前記第1〜第3の画素値における前記R、G、B画素の混合比が、前記重み付け係数に基づいて表された行列であり、
前記混色除去フィルターは、
前記第1、第2行列の逆行列の積の成分を、前記高解像画像の画素配列に応じて配列することにより構成されたフィルターであることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかにおいて、
前記重畳シフトにより設定される前記加算単位は、
前記Nx×Ny画素の前記加算単位が、1列ずつNx回及び1行ずつNy回シフトされたNx×Ny個の加算単位であり、
前記Nx×Ny個の加算単位の各列の画素値の重み付け加算値をそれぞれ中間画素値とし、第1列の中間画素値を未知数とする場合に、
前記中間画素値は、
前記未知数と、前記加算単位による重み付け加算値との関係式で表され、
前記推定用フィルターは、
前記関係式で表された前記中間画素値と、前記加算単位による重み付け加算値との二乗誤差が最小となるように設定されたフィルターであることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
加算される画素の範囲である加算単位を設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して低解像画像を取得し、
前記低解像画像に基づいて、画素アレイ部の画素数に相当する解像度の高解像画像を推定するとともに、
推定された前記高解像画像における混色を除去する処理を行う場合に、
前記画素アレイ部のカラーフィルターにおいて繰り返し配列される基本ブロックであるMx×My画素(Mx、Myは2以上の整数)とは異なるNx×Ny画素(Nx、Nyは2以上の整数)の範囲を前記加算単位に設定し、重畳しながらシフトされた前記加算単位を設定することにより、前記低解像画像として複数の低解像画像を取得することを特徴とする画像生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−9172(P2013−9172A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140704(P2011−140704)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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