説明

撮像装置

【課題】 画像周辺の光量落ちをごみによる輝度の変化と誤判定するという問題を解決して、ごみの写り込みに対する補正を正確に行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】 撮像装置10は、画像を取得することができ、取得する画像におけるごみの写り込みを補正するごみ補正機能、及び画像周辺の光量落ちを補正するシェーディング補正を行う画像処理機能を、撮像素子12又は画像処理エンジン13に有している。また、レンズキャップ16には、LED161が設けられている。撮像装置10は、レンズキャップ16をレンズ11に取り付けた状態でLED161を発光させて、補正位置検出用の画像データを取得して、その画像データに対してシェーディング補正を行い、かつごみ補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、レンズや撮像素子に付着したごみの画像への写り込みを補正できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのレンズ又は撮像素子上にごみがあると、カメラで取得した画像にごみが写り込んでしまう。この問題を解決するために、従来のカメラでは、一般的には、カメラ製造工程で、画像処理エンジン又は撮像素子の機能により補正を行っていた。
【0003】
しかしながら、カメラ製造工程にてごみの写り込みを補正したとしても、エンドユーザがカメラを使用している間にごみが発生し、又はごみの位置が移動すると、ごみがカメラ画像に写り込んでしまうことになる。このような場合には、そのようなごみの写り込みをエンドユーザが補正する必要がある。
【0004】
従来、エンドユーザがごみの写り込みを補正する手法として、エンドユーザがそのカメラによって白チャートを撮影して、その撮影画像をごみの位置検出のための画像として、ごみの位置の検出を行う方法が知られている。
【0005】
本出願に関連する先行技術文献として、以下の文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−243651号公報
【特許文献2】特開2009−296127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、白チャートを撮影する上記従来の方法では、光源や被写体とカメラとの距離の条件によって、画像周辺の輝度が変わるため、画像周辺の光量落ちをごみによる輝度の変化と誤判定するという問題がある。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ごみの写り込みに対する補正を正確に行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撮像装置は、レンズと、前記レンズを通過した被写体からの光を受けて画像データを生成する撮像素子と、前記撮像素子で生成された画像データに対して画像処理を行う画像処理エンジンと、前記レンズに取り付け可能であり、前記レンズに取り付けられたときのレンズ側の面に光源を有するレンズキャップとを備え、前記撮像素子又は前記画像処理エンジンが、画像周辺の光量落ちを補正するシェーディング補正機能を有し、前記撮像素子又は前記画像処理エンジンが、ごみの写り込みを補正するごみ補正機能を有し、前記撮像素子は、前記レンズキャップがレンズに取り付けられ、かつ前記光源が発光した状態で、補正位置検出用の画像データを生成し、前記シェーディング補正機能を有する前記撮像素子又は前記画像処理エンジンは、前記補正位置検出用の画像データに対して、前記シェーディング補正機能を用いて、画像周辺の光量落ちを補正し、前記ごみ補正機能を有する前記撮像素子又は前記画像処理エンジンは、前記シェーディング補正機能で補正された前記補正位置検出用の画像データに対して、前記ごみ補正機能を用いて、ごみの写り込みを補正する構成を有している。
【0010】
この構成により、レンズキャップに備えられた光源を使用することで、常に光量や色温度等の光源の条件を一定にすることができるので、画像処理エンジン又は撮像素子のシェーディング補正機能を使用して、周辺輝度をフラットにすることが可能となる。これにより、シェーディング補正機能を使用して画像周辺の光量落ちがない状態で画像を取得することができるので、より正確にごみの位置を検出することができる。
【0011】
また、上記の撮像装置は、前記ごみ補正機能を用いてごみの写り込みを補正するごみ補正モードを有している。
【0012】
この構成により、エンドユーザがごみ補正モードを選択することで、エンドユーザ自身でごみの写り込みを補正できるので、製造後にエンドユーザが撮像装置を使用している間にごみが発生し、又はごみの位置が移動した場合にも、そのごみの影響を除去できる。
【0013】
また、上記の撮像装置では、補正時に使用する補正値を保存できる。
【0014】
この構成により、エンドユーザが一度使用した補正値を何度も利用して、エンドユーザ自身でごみの写り込みを補正できる。
【0015】
また、上記の撮像装置は、ごみ補正機能において補正時にごみと判断する輝度の落ち込み量の閾値を設定する機能を有している。
【0016】
この構成により、ごみでないものをごみであると判断すること、又はごみをごみとして判断できないことを軽減できる閾値をエンドユーザが自ら設定できる。
【0017】
また、上記の撮像装置は、補正値変更前後の画像を比較して確認するための画像表示部を有している。
【0018】
この構成により、検出された補正位置が適切であるか否かを、エンドユーザが補正前後の画像を比較して確認できる。
【0019】
また、上記の撮像装置において、前記光源は、LED光源である。
【0020】
この構成により、安価な構成で、補正位置検出用の画像データのための光源について、光量や色温度等の条件を一定にできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の撮像装置によれば、画像周辺の光量落ちをごみによる輝度の変化と判定する誤判断を軽減でき、ごみ補正の正確性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における撮像装置の主要部のブロック図
【図2】本発明の実施の形態におけるレンズキャップの平面図
【図3】本発明の実施の形態における図2のA−A’断面図
【図4】本発明の実施の形態における撮像装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の撮像装置について、図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の第1の実施の形態の撮像装置の主要部を図1に示す。図1において、本発明の実施の形態の撮像装置(カメラ)10は、レンズ11と、撮像素子12と、画像処理エンジン13と、液晶モニタ14と、フラッシュメモリ15と、レンズキャップ16と、カメラ制御部17とを備えた構成を有する。
【0025】
レンズ11は、鏡筒110に保持されている。この鏡筒110には、レンズキャップ16を取り付けることができる。撮像素子12は、レンズ11を通過した被写体からの光を受けて光電変換して画像信号を出力する。画像処理エンジン13は、撮像素子12から出力された画像信号に対して、画像処理を行う。
【0026】
本実施の形態の撮像素子12は、画像処理機能として、シェーディング補正機能及びごみ補正機能を有している。撮像素子12は、シェーディング補正機能を用いて、画像の周辺光量落ちを補正するシェーディング補正を行い、ごみ補正機能を用いて、ごみが画像に写り込むことによりその画像においてごみの写り込んだ箇所の輝度が周辺箇所より落ちる現象を補正するごみ補正を行う。
【0027】
液晶モニタ14は、取得した画像データやモードの切替を表示する。フラッシュメモリ5は、取得した画像データ、シェーディング補正、ごみ補正の補正値(補正データ)を保存する。レンズキャップ16は、その内面、即ち、レンズ11に取り付けられた状態でのレンズ11側から光を放射するLEDを備えている。レンズキャップ16は、レンズを保護するという従来のレンズキャップの用途以外に、補正位置検出用の画像データを取得する際の照明として使用される。レンズキャップ16の具体的な構成については、後述する。カメラ制御17は、液晶モニタ14の表示切替や、撮影動作時のカメラ制御、フラッシュメモリ15の読み込みや書き込み等の各種動作の制御を行う。
【0028】
撮像装置10は、ごみ補正モードを有している。エンドユーザが使用している撮像装置の画像にごみが写り込むようになった場合には、エンドユーザは、LEDを備えたレンズキャップ16をレンズ11に取り付けて、エンドユーザによってこのごみ補正モードを選択して実行する。撮像装置10は、LEDを発光させて撮影を行い、補正位置検出用の画像データを取得する。そして、その補正位置検出用の画像データから、撮像素子12によりごみの位置を検出して、補正する画素を決定し、その位置情報を補正値としてフラッシュメモリ15に保存する。
【0029】
図2は、レンズキャップ16の平面図である。図2は、レンズキャップ16が鏡筒110に取り付けられたときに、レンズキャップ16に対向するレンズ11からみた図である。図3は、図2のA−A’断面図である。図2および図3を参照して、レンズキャップ16の構成を詳しく説明する。
【0030】
図2および図3に示すように、レンズキャップ16は、略円板状の形状を有し、周辺部部が遮光部とされ、遮光部の内部が発光部とされる。図2に示すように、レンズキャップ16の周辺部分には、8個のLED161が等間隔に配置されている。LED161は、それぞれ中央に向けて光を放つ向きで配置されている。LED161は遮光部に似配置されており、従って、LED161からの光は直接レンズ11に入射しない。
【0031】
レンズキャップ16の発光部の上面(レンズ11と対向する面)には、導光板162が設けられており、導光板162の下には反射板163が設けられている。この構成により、LED161から出た光は、導光板162により均等にされ、反射板163で反射されることで、上面側に均一な強度分布を有する光となってレンズ11に向けて放射される。
【0032】
レンズキャップ161は、LED161の駆動電源を確保するために、バッテリー(電池)164および電源電極165を備えている。バッテリー164は、LED161を動作させるための電源として使用される。電源電極165は、レンズ11の鏡筒110を通してカメラ本体のバッテリーから電源をもらうための電極である。電源電極165は、レンズキャップ16がレンズ11の鏡筒110に取り付けられたときに、鏡筒110を通してカメラ本体のバッテリーと電気的に接続する。ユーザは、LED161の駆動電源として、バッテリー(電池)164および電源電極165のいずれかを選択して使用することができる。
【0033】
以下に、エンドユーザがごみの再補正をする際の撮像装置10の動作を説明する。図4は、エンドユーザが撮像装置を使用している間に、新しいごみが発生し、又は移動した場合に、ごみの位置を再検出するフローチャートである。
【0034】
まず、撮像装置10のレンズ11の先端に、LEDを備えたレンズキャップ16を取り付ける(ステップS21)。次に、ごみ補正モードを選択する(ステップS22)。ごみ補正モードでは、補正位置検出用画像の取得時に画像周辺の輝度落ちがないようにシェーディング補正機能を100%に設定し、また、ごみ補正をするか否かを判断するための輝度の落ち込み量の閾値を設定する。
【0035】
次に、レンズキャップ16のLED161を発光させ、その時の画像データ(補正位置検出用の画像データ)を取得し、その画像データにシェーディング補正を行い、閾値以上の輝度の落ち込みがある画素位置を検出して、ごみ補正を行う(ステップS23)。新しい補正値(ごみの位置を示す値)を有効にした場合の画像と、前の補正値を有効にした場合の画像を液晶モニタ14に表示させる(ステップS24)。
【0036】
エンドユーザは、液晶モニタ14に表示された補正値変更前後の画像を比較して、その補正値を採用するか否かを判断する(ステップS25)。エンドユーザが新しい補正値で補正された画像で問題ないと判断した場合には(ステップS25にてYES)、撮像装置10は、実行ボタンが押されたことに応じて新しい補正値をフラッシュメモリ15に書き込み(ステップS26)、次に撮像装置を起動させたときには、メモリフラッシュ15に保存した補正値を用いてごみ補正を行う。エンドユーザが、新しい補正値の画像に問題があると判断した場合には(ステップS25にてNO)、新しい補正値は取り消して、前の補正値をそのままフラッシュメモリ15に保存する。
【0037】
また、本発明の実施の形態の撮像装置によれば、何回でも、場所を選ばず、エンドユーザ自身でごみ補正を行うことができ、そのため、レンズ交換が可能な撮像装置やごみの侵入経路のある撮像装置であっても、ごみを気にしないで使用することができる。
【0038】
なお、本発明におけるごみには、レンズ11や撮像素子12に付着した異物のほか、レンズ11や撮像素子12の部分的な着色又は変色や、レンズ11の傷であってもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態の撮像装置は、撮像素子12が画像処理機能を有しており、シェーディング補正やごみ補正は撮像素子12の画像処理機能によって行ったが、画像処理エンジン13がごみ補正、又はごみ補正及びシェーディング補正の両方を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる撮像装置は、画像周辺の光量落ちをごみによる輝度の変化と判定する誤判断を軽減でき、ごみ補正の正確性を向上できるという効果を有し、ごみの写り込みを補正できる撮像装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 撮像装置
11 レンズ
110 鏡筒
12 撮像素子
13 画像処理エンジン
14 液晶モニタ
15 フラッシュメモリ
16 レンズキャップ
17 カメラ制御部
161 LED
162 導光板
163 反射板
164 バッテリー(電池)
165 電源電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズを通過した被写体からの光を受けて画像データを生成する撮像素子と、
前記撮像素子で生成された画像データに対して画像処理を行う画像処理エンジンと、
前記レンズに取り付け可能であり、前記レンズに取り付けられたときのレンズ側の面に光源を有するレンズキャップとを備え、
前記撮像素子又は前記画像処理エンジンが、画像周辺の光量落ちを補正するシェーディング補正機能を有し、
前記撮像素子又は前記画像処理エンジンが、ごみの写り込みを補正するごみ補正機能を有し、
前記撮像素子は、前記レンズキャップがレンズに取り付けられ、かつ前記光源が発光した状態で、補正位置検出用の画像データを生成し、
前記シェーディング補正機能を有する前記撮像素子又は前記画像処理エンジンは、前記補正位置検出用の画像データに対して、前記シェーディング補正機能を用いて、画像周辺の光量落ちを補正し、
前記ごみ補正機能を有する前記撮像素子又は前記画像処理エンジンは、前記シェーディング補正機能で補正された前記補正位置検出用の画像データに対して、前記ごみ補正機能を用いて、ごみの写り込みを補正する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ごみ補正機能を用いてごみの写り込みを補正するごみ補正モードを有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
補正時に使用する補正値を保存できることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ごみ補正機能において補正時にごみと判断する輝度の落ち込み量の閾値を設定する機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
補正値変更前後の画像を比較して確認するための画像表示部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光源は、LED光源である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39263(P2012−39263A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175686(P2010−175686)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】