説明

操作ペダルの支持構造

【課題】操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、操作ペダルの支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時は、操作ペダルの支軸を脱落させる操作ペダルの支持構造を提供する。
【解決手段】ブレーキペダル2に下向きの荷重が加わると、フック部材29の側棒30の折曲げ部30が回動レバー5の凹部26bから外れてペダルブラケット3の係合孔7aに係合し、側棒30の後端部の、回動レバー5の切欠き部26cに対する支持は維持されることで、第1支軸13の脱落が規制される。車両が前突すると、回動レバー5の回動によって、フック部材29の側棒30の折曲げ部30bの、ペダルブラケット3の係合孔7aに対する係合は回避された後、折曲げ部30bが回動レバー5の凹部26bから外れることで、第1支軸13の脱落が許可され、第1支軸13がペダルブラケット3から脱落する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ペダルの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の衝突(前突)時には、その衝突を回避するためにドライバがブレーキペダルを踏んで自動車を制動しているにもかかわらず、自動車が停止せずに衝突してしまうというブレーキペダルの踏み込み状態での衝突が多い。
【0003】
その場合、衝突に伴って車体前部が衝突エネルギーを吸収しながら潰れ、エンジンルーム内に配置されているエンジンが、その後側に位置するエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルを押しながら後退する。ダッシュパネルの車体前側には、ブレーキブーストが設けられ、このブレーキブーストに対し、ダッシュパネル後方に位置するブレーキペダルがプッシュロッドを介して連結されている。このため、ダッシュパネル(ブレーキブースト)の後退移動に伴いプッシュロッドを介してプレーキペダルも押されて後退することとなる。その結果、衝突直前までブレーキペダルを踏込んでいるドライバーの足に衝突荷重が作用して大きなキックバックが生じ、そのドライバーの足に衝撃がかかるという問題がある。
【0004】
そこで、従来、このような問題に対処するため、種々の対策が提案されている。例えば、特許文献1には、前端部がダッシュパネルに固定され、中央部において操作ペダルの支軸を支持するペダルブラケットと、このペダルブラケットの後端部に回動自在に支持された回動レバーとを備えたペダル取付け装置が開示されている。このペダル取付け装置では、衝突時に回動レバーが車体側部材に当接して回動することで操作ペダルの支軸を下側に押すようにしており、それによって操作ペダルの支軸をペダルブラケットのガイド部に沿って下方に脱落させるようにしている。
【0005】
特許文献2には、前端部がダッシュパネルに固定され、後部において操作ペダルの支軸を支持するペダルブラケットと、このペダルブラケットの後端部に回動自在に支持された回動レバーとを備え、この回動レバーと車体側部材との間にスプリングが設けられたペダル構造が開示されている。このペダル構造では、衝突時に回動レバーが車体側部材との当接及びスプリングの付勢力によって回動することで操作ペダルの支軸を下側に押すようにしており、それによって操作ペダルの支軸を下方に脱落させるようにしている。
【0006】
そして、両者いずれの場合も、上述の如く、操作ペダルの支軸を脱落させることで、ブレーキペダルのペダル踏込み部が車体後方へ移動するのを抑制し、ダッシュパネルが変形したにも拘わらず、運転席の足下に大きなスペースを維持し、ドライバの足に作用する衝撃を緩和している。
【特許文献1】特表2005−510785号公報
【特許文献2】特許第3269372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1及び2のものでは、通常時は、操作ペダルの支軸が脱落しないようにしているが、例えば操作ペダルに下向きの衝撃が加わった場合、操作ペダルの支軸が脱落してしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明者たちは、簡単な構成で、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、操作ペダルの支軸の脱落を規制する一方、衝突時は、操作ペダルの支軸を脱落させるものを開発するに至った。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、操作ペダルの支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時は、操作ペダルの支軸を脱落させる操作ペダルの支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、ダッシュパネルの車両後方に設けられる操作ペダルの支持構造であって、上記ダッシュパネルに取り付けられて該ダッシュパネルから車両後方に延び、上記操作ペダルを車幅方向に延びる第1支軸を介して揺動自在に支持するペダルブラケットと、上記ペダルブラケットに車幅方向に延びる第2支軸を介して回動自在に支持され、車両衝突時に車体側部材に当接して上記第2支軸周りに回動することで上記第1支軸を下側に押して上記ペダルブラケットから脱落させる回動レバーと、上記第1支軸の下側に車両前後方向に延びるように設けられ、前後端部が上記回動レバーにそれぞれ支持されたストッパー部材とを備え、上記ストッパー部材は、上記操作ペダルに下向きの荷重がかかったときには、上記前後端部のうち一端部が上記回動レバーから外れて上記ペダルブラケットに係合しかつ他端部の上記回動レバーに対する支持が維持されることで上記第1支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時には、上記回動レバーの回動によって上記一端部の上記ペダルブラケットに対する係合が回避された後、上記一端部が上記回動レバーから外れることで上記第1支軸の脱落を許可するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
これにより、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、ストッパー部材の一端部が回動レバーから外れてペダルブラケットに係合しかつその他端部の回動レバーに対する支持が維持されることで、操作ペダルの第1支軸がストッパー部材に引っ掛かり、第1支軸の脱落が規制される。一方、車両衝突時は、回動レバーの回動によってストッパー部材の一端部の、ペダルブラケットに対する係合が回避された後、一端部が回動レバーから外れることで、第1支軸の脱落が許可される。以上のように、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、簡単な構造のストッパー部材によって操作ペダルの第1支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時は、従来どおり、第1支軸を脱落させることができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記回動レバーには、上記ストッパー部材の上記一端部を支持する凹部が形成され、上記ペダルブラケットには、上記操作ペダルに下向きの荷重がかかったときに上記ストッパー部材の上記一端部が係合する係合孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
これにより、上記第1の発明の作用効果を確実に奏することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記ペダルブラケットの上記第1支軸の支持部が、通常時に該第1支軸の脱落を規制しかつ車両衝突時に上記回動レバーの回動によって上記第1支軸の脱落を許可する規制部を有することを特徴とするものである。
【0015】
これにより、ペダルブラケットの第1支軸の支持部に、通常時にその第1支軸の脱落を規制しかつ車両衝突時に回動レバーの回動によって第1支軸の脱落を許可する規制部を設けているので、通常時は、第1支軸の脱落を確実に規制することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記操作ペダルは、上記第1支軸が上記ペダルブラケットの上記支持部から脱落した直後に上記ペダルブラケットから離脱することを特徴とするものである。
【0017】
これにより、操作ペダルを、第1支軸がペダルブラケットの第1支軸の支持部から脱落した直後にペダルブラケットから離脱させるので、操作ペダルが車両後方に移動するのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、操作ペダルの第1支軸がストッパー部材に引っ掛かり、第1支軸の脱落が規制される一方、車両衝突時は、第1支軸の脱落が許可されるので、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、簡単な構造のストッパー部材によって操作ペダルの第1支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時は、第1支軸を脱落させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るブレーキペダルの支持構造の側面図であり、図2は、ブレーキペダルの支持構造の分解斜視図であり、図3は、通常時におけるブレーキペダルの支持構造の側面図であり、図4は、フック部材の平面図であり、図5は、ブレーキペダルに下向きの荷重がかかったときにおけるブレーキペダルの支持構造の側面図であり、図6は、車両前突時の初期段階におけるブレーキペダルの支持構造の側面図であり、図7は、ブレーキペダルの第1支軸が脱落した状態におけるブレーキペダルの支持構造の側面図である。なお、図2では、ロック部材の図示を省略している。
【0021】
本発明の実施形態に係る、ダッシュパネルの車両後方に設けられるブレーキペダル(操作ペダルに相当)の支持構造は、右ハンドルの車両に搭載されている。図1において、1はエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルであり、このダッシュパネル1には、ブレーキペダル2を車両前後方向に揺動自在に支持するペダルブラケット3と、ブレーキブースタ4とが取り付けられている。ブレーキペダル2は、その支軸から車幅方向内側に向かって斜め下方に延びており、その下端部には、ペダル踏込み部2aが設けられている。ペダルブラケット3には、車両前突時(車両衝突時に相当)にブレーキペダル2の支軸を該ペダルブラケット3から下側に脱落させる回動レバー5が枢支されている。ブレーキブースタ4は、ブレーキペダル2にプッシュロッド4aを介して連結されている。ペダルブラケット3の回動レバー5の車両後方には、パイプからなるステアリングコラム支持用のインストルメントパネルレインフォースメント32が配設されており、このインストルメントパネルレインフォースメント32には、回動レバー5の後端部と所定間隔だけ離れて対向する車体側部材33が設けられている。
【0022】
図2及び図3に示すように、上記ペダルブラケット3は、ダッシュパネル1にボルト止めされた取付基板6と、この取付基板6の左右両端縁部から車両後方に延びる左右一対の側板7,7とを有している。
【0023】
上記各側板7には、車幅方向に延びる、ブレーキペダル2の第1支軸13を挿通支持する円状の第1支持孔14が形成されている。この各第1支持孔14の周縁部が第1支軸13の支持部20をそれぞれ構成している。第1支軸13は、一端部にねじ13aが切られ、他端部にボルト頭部13bが設けられたボルトである。このねじ13aは、第1支軸13のペダルブラケット3への取付け後において右側の側板7の外面よりも車幅方向外側に位置するように切られている。そして、第1支軸13を各第1支持孔14及びブレーキペダル2のボス部21の挿通孔21aに挿通させた状態で、ナット22を第1支軸13のねじ13aにワッシャー23を介して螺合させることで、ブレーキペダル2がペダルブラケット3に第1支軸13を中心として揺動自在に支持される。また、上述のようなねじ13a及びワッシャー23の構成により、第1支軸13がブレーキペダル2の操作時に荷重を受けたときにおいてねじ13aがペダルブラケット3の支持部20を傷付けることを抑制することができる。
【0024】
上記各支持部20の第1支持孔14の下側には、幅が第1支軸13の軸径よりも小さい開口部15が形成されているとともに、それぞれ車両後方及び前方に突起して互いに開口部15を介して対向する前後一対の突起部16,16(規制部に相当)が配設されている。この各突起部16は、車両前突時以外の通常時には、第1支軸13を支持してその下側への脱落(移動)を規制する一方、車両前突時には、回動レバー5の回動によって変形して第1支軸13の脱落を許可するようになっている。上記各支持部20の開口部15の下側には、幅が第1支軸13の軸径よりも大きい切欠き部19が形成されている。
【0025】
上記各側板7の第1支持孔14の後側には、車幅方向に延びる、回動レバー5の第2支軸17を挿通支持する円状の第2支持孔18が形成されている。この第2支軸17は、一端部にねじが切られ、他端部にボルト頭部が設けられたボルトである。そして、第2支軸17を各第2支持孔18及び回動レバー5の各挿通孔25に挿通させた状態で、ナット(図示せず)を第2支軸17のねじに螺合させることで、回動レバー5がペダルブラケット3に第2支軸17を中心として回動自在に支持される。
【0026】
上記各側板7の第1支持孔14の前側には、その厚み方向に貫通する長孔状の係合孔7aが形成されている。
【0027】
上記回動レバー5は、横断面略コ字状に形成されていて、それぞれペダルブラケット3の各側板7の内面に沿って延びて下端部に円状の挿通孔25が形成された左右一対の側板26,26と、この両側板26,26の上端縁部を互いに連結する天板27とを有している。
【0028】
上記各側板26における第1支軸13(ブレーキペダル2のボス部21)に対向する部分が円弧状に形成されて円弧部26aを構成しており、この円弧部26aは、円筒状のボス部21の外面に対して僅かな隙間を有して設けられている。各側板26の内面における円弧部26aの前側には、円状の凹部26bが形成されている。この各凹部26bは、ペダルブラケット3の各係合孔7aの上側近傍に配置されている。各側板26の挿通孔25の下側には、車両前後方向に延びる切欠き部26cが形成されている。
【0029】
図3及び図4に示すように、上記第1支軸13(ブレーキペダル2のボス部21)の下側には、フック部材29(ストッパー部材に相当)が車両前後方向に延びるように設けられている。このフック部材29は、平面視で略コ字状の針金であり、それぞれペダルブラケット3の各側板7の内面に沿って車両前後方向に延びる左右一対の側棒30,30と、この両側棒30,30の後端部を互いに連結する連結棒31とを有している。
【0030】
上記各側棒30の車幅方向中央部が車幅方向外側に突き出て突出部30aを構成しており、この各突出部30aは、ペダルブラケット3の各側板7の外面よりも車幅方向外側に飛び出している(図4参照)。各側棒30の前部は、上側に向かって斜め前方に延びるように形成されている(図3参照)。各側棒30の前端部(一端部に相当)が車幅方向外側に折り曲げられて折曲げ部30bを構成しており、この各折曲げ部30bは、回動レバー5の各凹部26bに嵌め入れられることで該凹部26bに支持されている。各折曲げ部30bは、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときには、各凹部26bから外れ(つまり、各凹部26bに対する支持が解除され)、ペダルブラケット3の各係合孔7aに嵌まり込んで係合し、車両前突時には、回動レバー5の回動によって各係合孔7aに対する係合が回避された後、ブレーキペダル2のボス部21によって各側棒30が下側に押されることで各凹部26bから外れるようになっている。各側棒30の後端部(他端部に相当)は、回動レバー5の各切欠き部26cに嵌め入れられることで該切欠き部26cに支持されている。各側棒30の後端部は、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときには、各切欠き部26cに対する支持が維持されるようになっている。すなわち、フック部材29は、車両前突時には、その初期段階において各折曲げ部30bと各凹部26bとが係合しかつ各側棒30の後端部と各切欠き部26cとが係合した状態で回動レバー5と一緒に回動し、その後、各折曲げ部30bが各凹部26bから外れるようになっている。
【0031】
−ブレーキペダルの支持構造の動作−
以下、ブレーキペダルの支持構造の動作について説明する。
【0032】
まず、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときにおけるブレーキペダルの支持構造の動作について説明する。
【0033】
ブレーキペダル2に下向きの荷重が加わると、第1支軸13がブレーキペダル2のボス部21とともに下側に引っ張られる。これに伴って、図5に示すように、ペダルブラケット3の突起部16が変形し、開口部15が拡開変形する。そして、第1支軸13が下側に僅かに移動し、ブレーキペダル2のボス部21がフック部材29に当接してこれを下側に押す。これに従って、フック部材29の側棒30の折曲げ部30が、回動レバー5の凹部26bから外れて下側に移動し、ペダルブラケット3の係合孔7aに嵌まり込んで係合する。一方、側棒30の後端部の、回動レバー5の切欠き部26cに対する支持は維持される。このため、ボス部21(第1支軸13)がフック部材29に引っ掛かり、第1支軸13の脱落が規制される。
【0034】
次に、車両前突時におけるブレーキペダルの支持構造の動作について説明する。
【0035】
図6に示すように、車両が前突すると、ダッシュパネル1及びペダルブラケット3が車両後方に移動し、回動レバー5の側板7の後端部が車体側部材33に当接する。これに伴って、回動レバー5が第2支軸17を中心として図6で示す反時計回りに回動する。このとき、フック部材29の側棒30の折曲げ部30bの、回動レバー5の凹部26bに対する支持は維持され、折曲げ部30bは回動レバー5に付いて行く。つまり、側棒30の折曲げ部30bの、ペダルブラケット3の係合孔7aに対する係合は回避される。そして、回動レバー5の円弧部26aがブレーキペダル2のボス部21を下側に押す。この結果、第1支軸13が下側に押される。
【0036】
それから、図7に示すように、ペダルブラケット3の突起部16が変形し、開口部15が拡開変形する。このため、第1支軸13の支持部20に対する支持が解除される。このとき、フック部材29の折曲げ部30bが回動レバー5の凹部26bから外れる。この結果、第1支軸13の脱落が許可される。そして、第1支軸13がフック部材29とともにペダルブラケット3から切欠き部19を介して脱落する。その直後(それと同時に)、ブレーキペダル2もペダルブラケット3から離脱(脱落)する。
【0037】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときは、フック部材29の折曲げ部30bが回動レバー5から外れてペダルブラケット3に係合しかつその後端部の回動レバー5に対する支持が維持されることで、ブレーキペダル2の第1支軸13がフック部材29に引っ掛かり、第1支軸13の脱落が規制される。一方、車両前突時は、回動レバー5の回動によってフック部材29の折曲げ部30bの、ペダルブラケット3に対する係合が回避された後、折曲げ部30bが回動レバー5から外れることで、第1支軸13の脱落が許可される。以上のように、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときは、簡単な構造のフック部材29によってブレーキペダル2の第1支軸13の脱落を規制する一方、車両前突時は、従来どおり、第1支軸13を脱落させることができる。
【0038】
また、ペダルブラケット3の第1支軸13の支持部20に、通常時にその第1支軸13の脱落を規制しかつ車両前突時に回動レバー5の回動によって第1支軸13の脱落を許可する突起部16を設けているので、通常時は、第1支軸13の脱落を確実に規制することができる。
【0039】
また、ブレーキペダル2を、第1支軸13がペダルブラケット3の第1支軸13の支持部20から脱落した直後にペダルブラケット3から離脱させるので、ブレーキペダル2が車両後方に移動するのを確実に抑制することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ブレーキペダルの支持構造を右ハンドルの車両に搭載しているが、左ハンドルの車両に搭載しても良い。
【0041】
また、上記実施形態では、フック部材29の左右一対の側棒30,30を鉤状に形成しているが、該実施形態の作用効果を奏することができる限り、各側棒30は鉤状以外の形状に形成されても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、フック部材29を左右一対の側棒30,30と連結棒31とで構成しているが、一方の側棒30だけで構成しても良い。但し、第1支軸13の脱落を確実に規制する観点からは、前者の方が望ましい。
【0043】
また、上記実施形態では、ストッパー部材の一端部をフック部材29の前端部で構成し、ストッパー部材の他端部をフック部材29の後端部で構成しているが、逆であっても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、フック部材29の各折曲げ部30bを、回動レバー5の凹部26bによって支持し、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときにはペダルブラケット3の係合孔7aに係合させているが、ブレーキペダル2に下向きの荷重がかかったときに第1支軸13の脱落を規制する一方、車両前突時に第1支軸13の脱落を許可することができる限り、各折曲げ部30bを、回動レバー5の凹部26b以外の部分によって支持しても良く、さらに、ペダルブラケット3の係合孔7a以外の部分に係合させても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、規制部を突起部16で構成しているが、通常時に第1支軸13の脱落を規制する一方、車両前突時に第1支軸13の脱落を許可する限り、規制部は如何なるものであっても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、第1支軸13をペダルブラケット3から完全に脱落させているが、完全に脱落させなくても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、ブレーキペダル2を第1支軸13がペダルブラケット3から脱落した直後にペダルブラケット3から完全に離脱させているが、これに限らず、例えば、第1支軸13の脱落からしばらく後に離脱させても良く、さらに、ペダルブラケット3から完全に離脱させなくても良い。
【0048】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0049】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明に係る操作ペダルの支持構造は、操作ペダルに下向きの荷重がかかったときは、操作ペダルの支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時は、操作ペダルの支軸を脱落させる用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るブレーキペダルの支持構造の側面図である。
【図2】ブレーキペダルの支持構造の分解斜視図である。
【図3】通常時におけるブレーキペダルの支持構造の側面図である。
【図4】フック部材の平面図である。
【図5】ブレーキペダルに下向きの荷重がかかったときにおけるブレーキペダルの支持構造の側面図である。
【図6】車両前突時の初期段階におけるブレーキペダルの支持構造の側面図である。
【図7】ブレーキペダルの第1支軸が脱落した状態におけるブレーキペダルの支持構造の側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ダッシュパネル
2 ブレーキペダル(操作ペダル)
3 ペダルブラケット
5 回動レバー
7 側板
7a 係合孔
13 第1支軸
15 開口部
16 突起部(規制部)
17 第2支軸
19 切欠き部
20 支持部
26 側板
26a 円弧部
26b 凹部
26c 切欠き部
29 フック部材(ストッパー部材)
30 側棒
30b 折曲げ部
33 車体側部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルの車両後方に設けられる操作ペダルの支持構造であって、
上記ダッシュパネルに取り付けられて該ダッシュパネルから車両後方に延び、上記操作ペダルを車幅方向に延びる第1支軸を介して揺動自在に支持するペダルブラケットと、
上記ペダルブラケットに車幅方向に延びる第2支軸を介して回動自在に支持され、車両衝突時に車体側部材に当接して上記第2支軸周りに回動することで上記第1支軸を下側に押して上記ペダルブラケットから脱落させる回動レバーと、
上記第1支軸の下側に車両前後方向に延びるように設けられ、前後端部が上記回動レバーにそれぞれ支持されたストッパー部材とを備え、
上記ストッパー部材は、上記操作ペダルに下向きの荷重がかかったときには、上記前後端部のうち一端部が上記回動レバーから外れて上記ペダルブラケットに係合しかつ他端部の上記回動レバーに対する支持が維持されることで上記第1支軸の脱落を規制する一方、車両衝突時には、上記回動レバーの回動によって上記一端部の上記ペダルブラケットに対する係合が回避された後、上記一端部が上記回動レバーから外れることで上記第1支軸の脱落を許可するように構成されていることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の操作ペダルの支持構造において、
上記回動レバーには、上記ストッパー部材の上記一端部を支持する凹部が形成され、
上記ペダルブラケットには、上記操作ペダルに下向きの荷重がかかったときに上記ストッパー部材の上記一端部が係合する係合孔が形成されていることを特徴とする操作ペダルの支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の操作ペダルの支持構造において、
上記ペダルブラケットの上記第1支軸の支持部が、通常時に該第1支軸の脱落を規制しかつ車両衝突時に上記回動レバーの回動によって上記第1支軸の脱落を許可する規制部を有することを特徴とする操作ペダルの支持構造。
【請求項4】
請求項3記載の操作ペダルの支持構造において、
上記操作ペダルは、上記第1支軸が上記ペダルブラケットの上記支持部から脱落した直後に上記ペダルブラケットから離脱することを特徴とする操作ペダルの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−283939(P2007−283939A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114566(P2006−114566)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(506132544)株式会社オートテクニカ (21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】