説明

操作装置

【課題】使用者が操作することで容易にクリック数を変更することができる簡易な構成の操作装置を提供する。
【解決手段】使用者が下段ダイヤル3を回転操作することによる位置変化部24のコ字状部21に対する摺動に伴って、位置変化部24の上下方向位置が異なる部分がコ字状部21に接触する。このとき、円筒部材18内部の弾性部がコ字状部21を位置変化部24に向けて付勢して、コ字状部21の上下方向の位置が変化する。コ字状部21の上下方向の位置変化によって、コ字状部21の上端側に突設してある半球状の被係合部が円板11の第1クリック面14(36個の溝状の係合部が形成してある円板11上面)に接触し、同時的に、コ字状部21の下端側に突設してある半球状の被係合部が第2クリック面16(18個の溝状の係合部が形成してある円板11下面)から離隔する。そして、係合部と被係合部との係脱により、クリックが生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式又はスライド式の操作摘みが回転操作された場合にクリックを発生させる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車載用の空気調和機は、この空気調和機の操作装置に設けられている回転式の操作摘みが操作された操作量に応じて、送風量の多寡、送風温度の高低等の制御量を多段階に切り替えるようにしてある。
このような操作装置は、操作摘みが回転操作された場合にクリックを発生させることによって、使用者に聴覚的又は触覚的なクリック感を覚えさせる。この結果、操作装置は、使用者が操作摘みの操作量を判断することを容易にし、また、操作摘みの所望される位置での停止を容易にしている(特許文献1参照)。
ここで、本明細書におけるクリックとは、語義通りのカチッという音、又はこのような音を発生させるような機械的衝撃、振動等である。
【0003】
しかしながら、制御量をP段階(ただしPは自然数)に切り替えるための操作摘みとQ段階(ただしQは自然数、Q≠P)に切り替えるための操作摘みとを兼用する場合、操作摘みの操作量と、発生するクリックの個数(以下、クリック数という)との関係が一定では、使用者が操作摘みの操作量と切替段階との関係を判断し難く、使用が不便である。
このような問題を解決するために、操作摘みの回転操作に対してモータで負荷を与えることによってクリックを発生させる操作装置、操作摘みの回転操作に応じて、クリックの代わりとなる電子音を発生させる操作装置等が考えられる。これらの操作装置では、切り替え可能な段階に応じたクリック数を発生させることが可能である。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている操作装置は、P本のクリック溝が形成されている部分とQ本のクリック溝が形成されている部分とを同心円状に形成したクリック板、このクリック溝に対して係脱する1個の被係合部、及び、この被係合部のクリック板に対する投影位置とクリック板の中心位置の距離とを変化させるスライダを備える。
【0005】
このような操作装置では、スライダをスライドさせることによって、P本のクリック溝が形成されている部分及びQ本のクリック溝が形成されている部分の何れか一方に対向する位置に被係合部が配置されるため、操作摘みの回転操作に応じて、操作摘みの操作量と切替段階との関係に対応した個数のクリックが生ずる。
【特許文献1】特開昭50−2155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている操作装置は、操作装置の組立段階でスライダをスライドさせた後、スライダを固定する構成である。このため、組立作業者が、操作摘みの用途に応じてクリック数を変更することは容易であるが、操作装置の組立後は、使用者がスライダを操作することによってクリック数を変更することができないか、又は困難である。
一方、操作摘みの回転操作に対してモータで負荷を与える操作装置、操作摘みの回転操作に応じて電子音を発生させる操作装置等は、クリックを発生させるためにモータ又は電子音発生部の複雑な制御を行なう必要があり、高コストである。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、一のクリック面
に対する一の被係合部の接離と他のクリック面に対する他の被係合部の接離とを同時的に切替自在にし、且つ、一の被係合部が一のクリック面に接触している場合は他の被係合部が他のクリック面から離隔する構成とすることにより、容易にクリック数を変更することができる簡易な構成の操作装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、第1クリック面に対する第1被係合部の接触及び離隔と第2クリック面に対する第2被係合部の離隔及び接触とを同時的に切替自在にするための切替操作手段を備えることにより、使用者が操作することで容易にクリック数を変更することができる簡易な構成の操作装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、円板の一面側に形成してある第1クリック面に対する第1被係合部の接触及び離隔と、この円板の他面側に形成してある第2クリック面に対する第2被係合部の離隔及び接触とを、コ字状部、階段状又は傾斜面状の位置変化部等を用いて、同時的に切替自在にする構成とすることにより、簡易な機械的構成で容易にクリック数を変更することができる操作装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、階段状の位置変化部の段と段との境、又はコ字状部の位置変化部に接触する部分が斜面状又は曲面状に形成されていることにより、階段状の位置変化部を用いつつ、クリック数の変更を滑らかに行なうことができる操作装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、円筒の内周面の一端側に形成してある第1クリック面に対する第1被係合部の接触及び離隔と、この円筒の内周面の他端側に形成してある第2被係合部の第2クリック面に対する離隔及び接触とを同時的に切替自在にする構成とすることにより、簡易な機械的構成で容易にクリック数を変更することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る操作装置は、回転式又はスライド式の操作摘みが操作された場合にクリックを発生させる操作装置において、クリックを発生させるべく、異なる個数の係合部が夫々形成してある複数のクリック面と、各クリック面に対向配置され、対向するクリック面に形成されている係合部に係脱自在に設けてある被係合部とを備え、各被係合部は該被係合部に対向するクリック面に対して接離するようにしてあり、一の被係合部の該被係合部に対向するクリック面に対する接離と他の被係合部の該被係合部に対向するクリック面に対する接離とを同時的に切替自在にしてあり、一の被係合部が該被係合部に対向するクリック面に接触している場合、前記一の被係合部を除く被係合部が該被係合部に対向するクリック面から離隔するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る操作装置は、M個(Mは自然数)の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック面と、N個(Nは自然数、N≠M)の凹状又は凸状の第2係合部が形成してある第2クリック面と、前記第1クリック面及び第2クリック面に各対向配置され、前記第1係合部及び第2係合部に各係脱自在に設けてある第1被係合部及び第2被係合部と、前記第1被係合部の前記第1クリック面に対する接触及び対向方向の離隔、並びに前記第2被係合部の前記第2クリック面に対する対向方向の離隔及び接触を同時的に切替自在にするための切替操作手段とを備え、前記操作摘みの操作に応じて、前記第1係合部と前記第1被係合部と、及び、前記第2係合部と前記第2被係合部とが、前記操作摘みの操作方向に夫々相対移動するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る操作装置は、前記操作摘みは回転式であり、一端側に前記第1被係合部が設けてあり、他端側に前記第2被係合部が設けてあるコ字状部を更に備え、前記第1係
合部及び第2係合部は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸に一体的且つ同軸に設けてある円板の一面及び他面に夫々形成してあり、前記切替操作手段は、前記操作摘みと同軸に配されている回転式の第2の操作摘みと、前記回転軸の周方向に設けられ、前記回転軸の軸長方向の位置が変化する階段状又は傾斜面状であって、前記軸長方向に前記コ字状部に接触した状態で、前記第2の操作摘みの回転操作に応じて前記コ字状部に対して前記周方向に摺動する位置変化部と、前記コ字状部に連結されており、弾性復元力によって、前記位置変化部に向けて前記軸長方向に前記コ字状部を付勢する弾性部とを有することを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る操作装置は、前記位置変化部は階段状であって、前記位置変化部の段と段との境、又は前記コ字状部の前記位置変化部に接触する部分が斜面状又は曲面状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る操作装置は、前記操作摘みは回転式であり、前記第1係合部及び第2係合部は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する円筒の内周面の一端側及び他端側に夫々形成してあり、前記第1被係合部及び第2被係合部は、前記円筒の径方向の中心位置を介在して該径方向の一側及び他側に夫々配されており、前記切替操作手段は、往復移動自在に設けてある往復操作摘みと、前記第1被係合部及び第2被係合部夫々が連結されており、前記往復操作摘みの往復移動に伴って前記径方向に往復移動する移動連結部とを有することを特徴とする。
【0017】
第1発明にあっては、クリック面の個数に対応する個数の被係合部を備える。
各クリック面には、他のクリック面とは異なる個数の係合部(例えばクリック溝)が形成されており、このクリック面に対向配置されている被係合部は、このクリック面に形成されている係合部に対して係脱自在に設けられている。このため、使用者が回転式又はスライド式の操作摘みを操作することによって、このクリック面に形成されている係合部の個数に応じたクリックが発生する。
【0018】
一のクリック面に対する被係合部の接離と、他のクリック面に対する被係合部の接離とは同時的に切替自在であり、しかも、一のクリック面に被係合部が接触して、係合部と被係合部とが係脱している場合、このクリック面以外のクリック面から被係合部が離隔して、係合部と被係合部とが係脱しない。このため、容易にクリック数が変更される。
ここで、クリック面に対する被係合部の接離は自動で行なう構成でも手動で行なう構成でもよいが、クリックの発生は係合部と被係合部との係脱によるため、クリックを発生させるために複雑な制御を行なわなくてよい。つまり、操作装置の構成が簡易である。
【0019】
第2発明にあっては、M個の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック面と、この第1クリック面に対向配置され、第1係合部に係脱自在に設けてある第1被係合部とを備える。
同様に、第2係合部が形成してある第2クリック面と第2被係合部とを備え、第2係合部の形成個数は、M個とは異なるN個である。
第1被係合部は第1クリック面に対して接離するようにしてあり、第2被係合部は第2クリック面に対して接離するようにしてあり、そして、切替操作手段によって、第1被係合部の第1クリック面に対する接触及び対向方向の離隔と第2被係合部の第2クリック面に対する対向方向の離隔及び接触とが同時的に切替自在となる。
【0020】
使用者が切替操作手段を操作することによって、第1被係合部が第1クリック面に接触し、第2被係合部が第2クリック面から離隔した場合、回転式又はスライド式の操作摘みの操作に応じて第1係合部と第1被係合部とが操作摘みの操作方向に相対移動するため、操作摘みが操作された場合に、第1係合部の形成個数(即ちM個)に応じたクリックが発
生する。
同様に、使用者が切替操作手段を操作することによって、第2被係合部が第2クリック面に接触し、第1被係合部が第1クリック面から離隔した場合、回転式又はスライド式の操作摘みの操作に応じて第2係合部と第2被係合部とが操作摘みの操作方向に相対移動するため、操作摘みが操作された場合に、第2係合部の形成個数(即ちN個)に応じたクリックが発生する。
【0021】
第3発明にあっては、回転式の操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸に一体的且つ同軸に設けてある円板の一面に第1係合部が形成されており、この円板の他面に、第2係合部が形成されている。つまり、この円板の一面が第1クリック面であり、他面が第2クリック面である。
また、コ字状部の一端側に第1被係合部が設けてあり、このコ字状部の他端側に第2被係合部が設けてある。各被係合部は各クリック面に対向配置されているため、コ字状部は、コ字の内部に円板を配し、第1被係合部が設けてある一端側を第1クリック面(即ち第1係合部が形成してある円板の一面)に対向させ、第2被係合部が設けてある他端側を第2クリック面(即ち第2係合部が形成してある円板の他面)に対向させている。
【0022】
切替操作手段は、回転式の第2の操作摘みと位置変化部と弾性部とを有する。
第2の操作摘みは、クリックを発生させるための操作摘みと同軸に配されており、クリック数を変更するために、使用者によって操作される。
位置変化部は、操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸の周方向(以下、単に周方向という)に設けられており、この回転軸の軸長方向(以下、単に軸長方向という)の位置が変化する階段状又は傾斜面状である。
位置変化部は、軸長方向にコ字状部に接触した状態で、第2の操作摘みの回転操作に応じてコ字状部に対して周方向に摺動する。
そして、弾性部はコ字状部に連結されており、このコ字状部を、位置変化部に向けて軸長方向に、弾性復元力によって付勢する。
【0023】
使用者が第2の操作摘みを回転操作することによって、位置変化部がコ字状部に対して摺動し、このため、位置変化部のコ字状部に接触する部分が周方向に変化する。つまり、コ字状部に対する摺動に伴って、位置変化部の軸長方向の位置が異なる部分がコ字状部に接触する。このとき、弾性部がコ字状部を位置変化部に向けて付勢しているため、コ字状部の軸長方向の位置が変化する。
コ字状部の軸長方向の位置変化によって、コ字状部の一側の第1被係合部が円板の一面側の第1クリック面に接触し、同時的に、コ字状部の他側の第2被係合部が円板の他面側の第2クリック面から離隔する。また、逆に、コ字状部の他側の第2被係合部が円板の他面側の第2クリック面に接触し、同時的に、コ字状部の一側の第1被係合部が円板の他面側の第1クリック面から離隔する。
【0024】
位置変化部が傾斜面状の場合、位置変化部とコ字状部との摺動は滑らかである。
一方、位置変化部が階段状の場合、第2の操作摘みの所要位置での停止が容易になり、また、第2の操作摘みが回転操作された場合にクリックを発生させて、使用者が第2の操作摘みの操作量を判断することが容易になる。
【0025】
第4発明にあっては、階段状の位置変化部の段と段との境が斜面状又は曲面状に形成されている。又は、コ字状部の位置変化部に接触する部分が斜面状又は曲面状に形成されている。
このため、コ字状部が位置変化部の一の段から他の段に移動する場合に、位置変化部とコ字状部との摺動が滑らかである。
【0026】
第5発明にあっては、回転式の操作摘みの回転操作に応じて回転する円筒の内周面の一端側に第1係合部が形成されており、この円筒の内周面の他端側に第2係合部が形成されている。つまり、この円板の内面の一端側に第1クリック面が形成されており、他端側に第2クリック面が形成されている。
また、第1被係合部及び第2被係合部は、この円筒の径方向中心位置を介在して、この円筒の径方向の一側及び他側に配されている。以下では、この一側−他側方向を円筒径方向という。
各被係合部は各クリック面に対向配置されているため、第1被係合部は、第1係合部が形成されている円筒の内周面の一端側に対向し、第2被係合部は、第2係合部が形成されている円筒の内周面の他端側に対向している。
【0027】
切替操作手段は、往復操作摘みと移動連結部とを有する。
往復操作摘みは、往復移動自在に設けられており、使用者によって、クリック数を変更するために操作される。
移動連結部には、第1被係合部及び第2被係合部夫々が連結されており、往復操作摘みの往復移動に伴って円筒径方向に往復移動する。
【0028】
使用者が往復操作摘みを一方向に操作することによって移動連結部が円筒径方向の一方向に移動するため、第1被係合部が円筒の一側の第1クリック面に接触し、同時的に、第2被係合部が円筒の他側の第2クリック面から離隔する。また、逆に、使用者が往復操作摘みを他方向に操作することによって移動連結部が円筒径方向の他方向に移動するため、第2被係合部が円筒の他側の第2クリック面に接触し、同時的に、第1被係合部が円筒の一側の第1クリック面から離隔する。
【発明の効果】
【0029】
第1発明の操作装置による場合、係合部と被係合部との係脱によってクリックを発生させることができ、また、一の被係合部と一のクリック面の係合部とが係脱しているときは他の被係合部と他のクリック面の係合部とが係脱しないように、一のクリック面に対する一の被係合部の接離と他のクリック面に対する他の被係合部の接離とを手動又は自動で同時的に切り替えることができる。
従って、モータ及びモータの制御部等、又は電子音発生部及び電子音発生部の制御部等を用いてクリックを発生させる装置を備える必要がないため、簡易な構成で、容易にクリック数を変更することができる。
【0030】
第2発明の操作装置による場合、第1被係合部の第1クリック面に対する接触及び対向方向の離隔と第2被係合部の第2クリック面に対する対向方向の離隔及び接触とを手動で同時的に切り替えることができる。
従って、モータ及びモータの制御部等を用いて各クリック面に対する被係合部の接離を自動で行なうための装置を備える必要がないため、更に簡易な構成で、容易にクリック数を変更することができる。
【0031】
第3発明の操作装置による場合、使用者が第2の操作摘みを操作することによって、簡易な機械的構成で、円板の一面である第1クリック面に対する第1被係合部の接触及び離隔と、この円板の他面である第2クリック面に対する第2被係合部の離隔及び接触とを、同時的に切り替えることができる。つまり、容易にクリック数を変更することができる。
また、クリック数を変更するための第2の操作摘みは、クリックを発生させるための操作摘みと同軸に配されているため、使用者は、操作摘みに対応する第2の操作摘みを容易に判断することができる。
【0032】
第4発明の操作装置による場合、階段状の位置変化部とコ字状部との摺動を滑らかにす
ることができる。このため、第2の操作摘みの所要位置での停止が容易になり、また、第2の操作摘みが回転操作された場合にクリックを発生させて、使用者が第2の操作摘みの操作量を判断することが容易になる階段状の位置変化部を備えることができる。
【0033】
第5発明の操作装置による場合、使用者が往復操作摘みを操作することによって、簡易な機械的構成で、円筒の一端側に形成してある第1クリック面に対する第1被係合部の接触及び離隔と、この円筒の他端側に形成してある第2クリック面に対する第2被係合部の離隔及び接触とを、同時的に切り替えることができる。つまり、容易にクリック数を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0035】
実施の形態 1.
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る操作装置を示す縦断面図及び横断面図である。また、図1は図2におけるI−I線の断面図でもあり、図2は図1におけるII−II線の断面図でもある。
更に、図3は、この操作装置が備える第2の操作摘みとしての下段ダイヤルを示す平面図である。
更にまた、図4は、この操作装置が備える円板を示す平面図であり、図5は、この操作装置が備えるコ字状部を示す側面図であり、図6は、この操作装置が備える位置変化部を示す正面図である。
【0036】
本実施の形態の操作装置1は、車両が備える空気調和機(各不図示)を使用者が操作するための操作装置であり、図1〜図3に示すように、回転式の操作摘みである上段ダイヤル2と、回転式の第2の操作摘みである下段ダイヤル3とを備える2段式のダイヤルスイッチであって、上段ダイヤル2及び下段ダイヤル3は、操作パネル4の外面側に配されている。以下では、上段ダイヤル2側から操作パネル4側へ接近する方向(図1、図5及び図6夫々の下方向)を下方向といい、逆方向を上方向という。
【0037】
上段ダイヤル2は360°右方向及び左方向夫々に回転自在であり、下段ダイヤル3は、180°未満の所定の回転角の範囲内で右方向及び左方向夫々に回転自在である。また、下段ダイヤル3の外径は上段ダイヤル2の外径よりも大きく、中央部に、後述する回転軸10が貫通する貫通孔3aが形成されている。
操作パネル4には、上段ダイヤル2及び下段ダイヤル3に覆われて貫通孔4aが形成されており、また、操作パネル4の内面側(即ち下面側)には、第1スイッチ素子5、第2スイッチ素子6、第3スイッチ素子7、ロータリーエンコーダ8、及び空気調和機の図示しないCPUを実装しているプリント基板9が、操作パネル4に略平行に配されている。
【0038】
上段ダイヤル2の下側中央部には、上段ダイヤル2と同軸に設けられている円筒状の回転軸10が、プリント基板9に略垂直に配されている。回転軸10は、上端部が上段ダイヤル2に一体的に連結されており、下段ダイヤル3の貫通孔3a及び操作パネル4の貫通孔4aを貫通して、下端部がプリント基板9に、自身の中心軸を中心として回動自在に支持されている。このため、上段ダイヤル2も回転可能とされている。
更に回転軸10の中途には、中央部に孔が形成されている円板11が、回転軸10に同軸に外嵌固定されている。ここで、円板11は、操作パネル4とプリント基板9との間に配されている。
【0039】
上段ダイヤル2が回転操作されることによって、上段ダイヤル2の操作量に応じて回転軸10及び円板11が回転し、この円板11の回転量を、円板11の周面に接触配置され
ているロータリーエンコーダ8が検出して、検出結果をCPUに与える。
【0040】
下段ダイヤル3は、上段ダイヤル2と同軸に設けられ、且つ、上段ダイヤル2とは別個に回転するよう設けられている。下段ダイヤル3の中央部には貫通孔3aが形成されており、下段ダイヤル3の下部には、円板11の外径よりも大きい内径を有する平面視C字状の柱状部材12がプリント基板9に略垂直に配されている。柱状部材12は下段ダイヤル3と同軸に設けられており、上端部が下段ダイヤル3に一体的に連結されており、操作パネル4の貫通孔4aを貫通して、下端部がプリント基板9に、自身の中心軸を中心として180°未満の所定の回転角の範囲内で回動自在に支持されている。このため、下段ダイヤル3も回転可能とされている。この柱状部材12の内側に、回転軸10及び円板11が配されている。
【0041】
柱状部材12の下端面には可動接点13が設けられており、下段ダイヤル3が回転操作されることによって、下段ダイヤル3の操作量に応じて柱状部材12が回転し、プリント基板9上の第1スイッチ素子5、第2スイッチ素子6、及び第3スイッチ素子7の内、可動接点13が接触した一つに対応するスイッチがオンになる。一方、可動接点13が接触していない第1スイッチ素子5、第2スイッチ素子6、及び/又は第3スイッチ素子7に対応するスイッチはオフになる。このようなスイッチのオン/オフが、所定の信号の有無としてCPUに与えられる。
【0042】
図2では、可動接点13と第1スイッチ素子5とが接触して、第1スイッチ素子5に対応するスイッチ(以下、第1スイッチという)がオンになっている状態を示している。この状態では、当然、第2スイッチ素子6に対応するスイッチ(以下、第2スイッチという)及び第3スイッチ素子7に対応するスイッチ(以下、第3スイッチという)は両方ともオフになっている。
【0043】
第1スイッチがオンになった場合、CPUは、空気調和機を制御して、助手席側の送風温度(図3中「P−TEMP」)を変更する。この場合、上段ダイヤル2の回転操作に応じて回転するロータリーエンコーダ8は、36段階の分解能を与えられ、助手席側の送風温度の高低を切り替えるスイッチとして機能する。
また、第2スイッチがオンになった場合、CPUは、空気調和機を制御して、運転席側の送風温度(図3中「TEMP」)を変更する。この場合、上段ダイヤル2の回転操作に応じて回転するロータリーエンコーダ8は、36段階の分解能を与えられ、運転席側の送風温度の高低を切り替えるスイッチとして機能する。
【0044】
更に、第3スイッチがオンになった場合、CPUは、空気調和機を制御して、送風量(図3中「風量」)を変更する。この場合、上段ダイヤル2の回転操作に応じて回転するロータリーエンコーダ8は、18段階の分解能を与えられ、送風量の多寡を切り替えるスイッチとして機能する。
なお、CPUは、例えばカーナビの表示部に、操作装置1による現在の設定状態を示す情報(例えば「TEMP」「18℃」等の文字)を表示させてもよい。
【0045】
ところで、下段ダイヤル3に連結されている柱状部材12の回転は所定の回転角の範囲内に制限されているため、柱状部材12がロータリーエンコーダ8に当接することはない。
なお、下段ダイヤル3の回転操作に応じて可動接点13と第1スイッチ素子5、第2スイッチ素子6、及び第3スイッチ素子7夫々とが接触した場合にクリックを発生させるように構成することが望ましい。
【0046】
次に、上段ダイヤル2の回転操作に応じてクリックを発生させるための構成について説
明する。
図1、図2及び図4(a)に示すように、円板11の上面は第1クリック面14であり、M個(本実施の形態においては36個)の凹状の第1係合部15,15,…が形成してある。この36個の第1係合部15,15,…は、円板11の上面に放射状に形成されている36本のクリック溝である。同様に、図1及び図4(b)に示すように、円板11の下面は第2クリック面16であり、N個(本実施の形態においては18個)の凹状の第2係合部17,17,…が形成してある。この18個の第2係合部17,17,…は、円板11の一面に放射状に形成されている18本のクリック溝である。
【0047】
図1及び図5に示すように、プリント基板9上には円筒部材18が固定されている。円筒部材18はコイルバネを用いてなる弾性部19を内蔵しており、円筒部材18内部から突出する円柱状の突出部20が弾性部19の弾性復元力によって上方へ付勢される。突出部20の下端部は円筒部材18に内在し、上端部はコ字状部21の下面に連結されている。
【0048】
コ字状部21は、側端面がコ字状の板状部であり、上側端部内面に第1被係合部22が設けてあり、下側端部内面に第2被係合部23が設けてある。ただし、第1被係合部22及び第2被係合部23は、図1(並びに後述する図7及び図10)では図示を省略している。
第1被係合部22はコ字状部21の上側端部内面に突設されている半球状であり、第1クリック面14、即ち円板11の上面に対向配置され、第1係合部15,15,…に係脱自在に設けてある。同様に、第2被係合部23はコ字状部21の下側端部内面に突設されている半球状であり、第2クリック面16、即ち円板11の下面に対向配置され、第2係合部17,17,…に係脱自在に設けてある。
【0049】
上段ダイヤル2の回転操作に応じて円板11が回転するため、第1係合部15,15,…と第1被係合部22とは、上段ダイヤル2の回転方向に相対回転移動する。同様に、第2係合部17,17,…と第2被係合部23とが、上段ダイヤル2の回転方向に相対回転移動する。
【0050】
以上の結果、第1被係合部22と第1クリック面14とが接触している場合に上段ダイヤル2が回転操作されることによって、第1係合部15,15,…と第1被係合部22とが係脱し、上段ダイヤル2の1回転あたり36回のクリックを発生させる。同様に、第2被係合部23と第2クリック面16とが接触している場合に上段ダイヤル2が回転操作されることによって、第2係合部17,17,…と第2被係合部23とが係脱し、上段ダイヤル2の1回転あたり18回のクリックを発生させる。
【0051】
また、第1被係合部22は第1クリック面14に対して接離するようにしてあり、第2被係合部23は第2クリック面16に対して接離するようにしてある。更に詳細には、コ字状部21が上下方向に動揺することによって、第1被係合部22の第1クリック面14に対する接触及び対向方向の離隔、並びに第2被係合部23の第2クリック面16に対する対向方向の離隔及び接触が同時的に切り替えられる。即ち、第1被係合部22が第1クリック面14に接触する場合、第2被係合部23は自動的に第2クリック面16から離隔し、第2被係合部23が第2クリック面16に接触する場合、第1被係合部22は自動的に第1クリック面14から離隔する。
【0052】
ここで、弾性部19の弾性復元力によって突出部20が最大限に突出している状態では、第2被係合部23が第2クリック面16に接触し、突出部20が円筒部材18の内部へ押し込まれることによって、第2被係合部23が第2クリック面16から離隔し、また、第1被係合部22が第1クリック面14へ接近し、最終的に、突出部20が円筒部材18
の内部へ最大限に没入することによって、第1被係合部22が第1クリック面14に接触するようにしてある。
そして、第1被係合部22の第1クリック面14に対する接触及び対向方向の離隔、並びに第2被係合部23の第2クリック面16に対する対向方向の離隔及び接触を同時的に切替自在にするための切替操作手段は、前述の下段ダイヤル3及び弾性部19と、位置変化部24とで構成されている。
【0053】
図1、図2及び図6に示すように、位置変化部24は柱状部材12の内面から操作パネル4及びプリント基板9夫々に平行に突設されている階段状の突設板部である。つまり、位置変化部24は回転軸10の周方向に設けられ、回転軸10の軸長方向(即ち上下方向)の位置が変化する階段状である。位置変化部24の上段部25と下段部26との境27は、斜面状に形成されている。また、上段部25の周方向長さは下段部26の周方向長さの約2倍である。
【0054】
位置変化部24の下面はコ字状部21の上側端部外面に接触している。更に詳細には、位置変化部24の上段部25下面がコ字状部21の上側端部外面に接触している状態で、突出部20は筒状部材から最大限に突出し、位置変化部24の下段部26下面がコ字状部21の上側端部外面に接触している状態で、突出部20は筒状部材へ最大限に没入する。また、位置変化部24は、柱状部材12と一体に回転する。つまり、弾性部19は位置変化部24に向けて上方向にコ字状部21を付勢し、位置変化部24は上下方向にコ字状部21に接触した状態で、下段ダイヤル3の回転操作に応じて、コ字状部21に対して周方向に摺動する。
【0055】
位置変化部24に対して摺動するコ字状部21は、上段部25から下段部26へ、また下段部26から上段部25へ、斜面状の境27を通過して滑らかに移動する。上段部25と下段部26との段差は小さいため、コ字状部21が境27に引っかかって下段部26から上段部25への移動が阻害されることはない。
【0056】
図7、図8及び図9は、本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを回転させた状態を示す縦断面図、横断面図及び平面図である。図8では、図2と同様に、可動接点13と第2スイッチ素子6とが接触して、第2スイッチ素子6に対応するスイッチがオンになっている状態を示している。
また、図10、図11及び図12は、この操作装置が備える下段ダイヤルを更に回転させた状態を示す縦断面図、横断面図及び平面図である。図11では、図2及び図8夫々と同様に、可動接点13と第3スイッチ素子7とが接触して、第3スイッチ素子7に対応するスイッチがオンになっている状態を示している。
そして、図1、図7及び図10が対応し、図2、図8及び図11が対応し、図3、図9及び図12が対応している。
【0057】
図1、図2及び図3に示すように、下段ダイヤル3が「P−TEMP」の位置に合うよう使用者が下段ダイヤル3を回転操作させることによって、可動接点13と第1スイッチ素子5とが接触して第1スイッチがオンになる。この状態で、コ字状部21は位置変化部24の下段部26(更に詳細には、下段部26の境27側とは逆側の周方向端部)に当接し、コ字状部21を介して突出部20が円筒部材18へ押し込まれ、第1被係合部22が第1クリック面14に接触する。この結果、上段ダイヤル2の1回転あたり36回のクリック数が生ずる。
【0058】
次いで、図7、図8及び図9に示すように、下段ダイヤル3が「TEMP」の位置に合うよう使用者が下段ダイヤル3を右方向へ回転操作させることによって、可動接点13と第2スイッチ素子6とが接触して第2スイッチがオンになる。下段ダイヤル3の操作中は
、コ字状部21は位置変化部24の下段部26に摺動して、操作終了後、下段部26の境27側の周方向端部に当接し、このため、コ字状部21を介して突出部20が円筒部材18へ押し込まれたまま、第1被係合部22が第1クリック面14に接触し続ける。この結果、上段ダイヤル2の1回転あたり36回のクリック数が生ずる。
【0059】
最後に、図10、図11及び図12に示すように、下段ダイヤル3が「風量」の位置に合うよう使用者が下段ダイヤル3を右方向へ回転操作させることによって、可動接点13と第3スイッチ素子7とが接触して第3スイッチがオンになる。下段ダイヤル3の操作中は、コ字状部21は位置変化部24の下段部26から境27を通って上段部25へ摺動して、操作終了後、上段部25に当接し、このため、コ字状部21を介する突出部20の円筒部材18への押し込みが解除されて突出部20が上方へ突出し、突出部20がコ字状部21を押し上げるため、第2被係合部23が第2クリック面16に接触する。この結果、上段ダイヤル2の1回転あたり18回のクリック数が生ずる。
【0060】
以上のような操作装置1は、空気調和機の設定モードの切り替えを下段ダイヤル3に割り当て、設定すべき変量の大小の切替を上段ダイヤル2に割り当てて、下段ダイヤル3が回転操作されることにより、上段ダイヤル2に係るクリック数が変更される。この操作装置1は簡易な機械的構成を有するため、低コストで製造が可能である。
【0061】
なお、第1被係合部22及び第2被係合部23の両方が第1クリック面14及び第2クリック面16に夫々接触していない状態で上段ダイヤル2を回転操作する構成を含めてもよい。この場合、18個、36個、0個(即ちクリックなし)の3段階にクリック数が変更される。
また、M個及びN個両方と異なるL個の係合部が下面(又は上面)に形成されている円板を円板11の上側(又は下側)に追加し、コ字状部21の上側端部外面(又は下側端部外面)に被係合部を追加して、更に多段階にクリック数が変更されるように構成してもよい。
【0062】
更に、係合部側が凸状に形成され、被係合部側が凹状に形成されていてもよい。また、係合部側が固定され、被係合部側が移動する構成でもよい。
更にまた、上段部25と下段部26との境27は斜面状に限らず、曲面状でもよい。また、コ字状部21の上側端部外面が曲面状に形成されていてもよい。更に、位置変化部24が階段状ではなく斜面状でもよい。
更に、このような操作装置は車載の空気調和機に対して設けられる構成に限定されず、例えば車載のラジオ、一般的な空気調和機等に対して設けられてもよい。
【0063】
実施の形態 2.
図13及び図14は、本発明の実施の形態2に係る操作装置を示す斜視図及び縦断面図であり、図14は、図13におけるIV−IV線の断面図でもある。
また、図15は、この操作装置が備える円筒を示す分解斜視図である。
図中31は操作装置であり、操作装置31は、実施の形態1の上段ダイヤル2に相当する回転操作摘み32と、実施の形態1の下段ダイヤル3に相当する往復操作摘み33と、円筒34とを備える。また、操作装置31はプリント基板35の一面状に配されている。以下では、回転操作摘み32側からプリント基板35側へ接近する方向(図13及び図14夫々の下方向)を下方向といい、逆方向を上方向という。
【0064】
円筒34は、互いに内径及び外径が略等しい第1円筒部材36及び第2円筒部材37をこの順に下側から軸長方向に並置してなり、この円筒34の上端側開口を、円筒34の外径と略等しい外径を有する回転操作摘み32で閉鎖することによって、全体として有底円筒状をなしている。
【0065】
第1円筒部材36の内周面は第1クリック面38であり、この内周面に、互いに平行なM個(36個)の凹条状の第1係合部39,39,…(即ちクリック溝)が、長手方向を第1円筒部材36の軸長方向に沿わせて、周方向に並設してある。第1円筒部材36には、両端面を貫通する4本の貫通孔40,40,…が互いに約90°周方向に離隔して形成されている。同様に、第2円筒部材37の内周面は第2クリック面41であり、この内周面に、互いに平行なN個(18個)の凹条状の第2係合部42,42,…(即ちクリック溝)が、長手方向を第2円筒部材37の軸長方向に沿わせて、周方向に並設してある。第2円筒部材37には、両端面を貫通する4本の貫通孔43,43,…が互いに約90°周方向に離隔して形成されている。
【0066】
回転操作摘み32は円板状であり、中央部に細長い矩形の案内孔44が、長手方向が回転操作摘み32の径方向(図13及び図14中矢符方向)に沿うように形成してあり、下面に4個の穴45,45,…が互いに約90°周方向に離隔して形成されている。
【0067】
第1円筒部材36の貫通孔40,40,…と第2円筒部材37の貫通孔43,43,…と回転操作摘み32の穴45,45,…とは、各内径及び形成位置が対応しており、下から第1円筒部材36、第2円筒部材37、及び回転操作摘み32の順に積み上げて、4本の棒状部材46,46,…を貫通孔40,40,…と貫通孔43,43,…と穴45,45,…とに挿入することによって、一体的な有底円筒状の部材が形成されている。
つまり第1係合部39,39,…は、回転操作摘み32の回転操作に応じて回転する円筒34の内周面の一端側に形成してあり、第2係合部42,42,…は、回転操作摘み32の回転操作に応じて回転する円筒34の内周面の他端側に形成してある。
【0068】
第1円筒部材36は、下端部がプリント基板35に、自身の中心軸を中心として360°右方向及び左方向夫々(図13中白抜矢符方向)に回転自在に支持されている。このため、回転操作摘み32が回転操作されることによって、円筒34が回転操作摘み32に一体的に回転する。
【0069】
操作装置31は、第1被係合部47及び第2被係合部48を備え、また第1被係合部47の第1クリック面38に対する接触及び対向方向の離隔、並びに第2被係合部48の第2クリック面41に対する対向方向の離隔及び接触を同時的に切替自在にするための切替操作手段は、往復操作摘み33と移動連結部49とを用いてなる。
移動連結部49は、案内孔44の真下に、案内孔44の長手方向に沿って(即ち図13及び図14中矢符方向に)、プリント基板35上を往復移動するよう構成されているスライダである。
【0070】
移動連結部49の上部中央にはレバー50が立設されている。このレバー50は下端部が移動連結部49に取り付けられており、案内孔44を貫通して、上端部に往復操作摘み33が取り付けられている。このため、往復操作摘み33が矢符方向に往復移動操作されることによって、レバー50が案内孔44に案内され、移動連結部49が矢符方向に往復移動する。即ち、往復操作摘み33は往復移動自在に設けてある。
【0071】
第1被係合部47は第1クリック面38に対向配置されて、直線状の連結棒材51を介し、移動連結部49に連結されている。第2被係合部48は第2クリック面41に対向配置されて、変型Z字状の連結棒材52を介し、移動連結部49に連結されている。このため、回転操作摘み32の回転操作に応じて、第1係合部39,39,…と第1被係合部47とが回転操作摘み32の回転方向に相対回転移動し、第2係合部42,42,…と第2被係合部48とが、回転操作摘み32の回転方向に相対回転移動する。
更に、第1被係合部47と第2被係合部48とは案内孔44の長手方向に沿う直線上に
、円筒34の径方向の中心位置を中心とする一側と他側とに分かれて配されている。
【0072】
使用者が往復操作摘み33を案内孔44の一側へ移動させることによって、第1被係合部47が第1クリック面38に接触し、第2被係合部48が第2クリック面41から離隔して、回転操作摘み32の1回転あたり36回のクリックが発生する。一方、使用者が往復操作摘み33を案内孔44の他側へ移動させることによって、第2被係合部48が第2クリック面41に接触し、第1被係合部47が第1クリック面38から離隔して、回転操作摘み32の1回転あたり18回のクリックが発生する。
【0073】
以上のような操作装置31は、実施の形態1の操作装置1と同様に、空気調和機の設定モードの切り替えを往復操作摘み33に割り当て、設定すべき変量の大小の切替を回転操作摘み32に割り当てて、往復操作摘み33が往復移動操作されることにより、回転操作摘み32に係るクリック数が変更される。この操作装置31は簡易な機械的構成を有するため、低コストで製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1に係る操作装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る操作装置を示す横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える第2の操作摘みとしての下段ダイヤルを示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える円板を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備えるコ字状部を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える位置変化部を示す正面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを回転させた状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを回転させた状態を示す横断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを回転させた状態を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを更に回転させた状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを更に回転させた状態を示す横断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る操作装置が備える下段ダイヤルを更に回転させた状態を示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る操作装置を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る操作装置を示す縦断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る操作装置が備える円筒を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,31 操作装置
2 上段ダイヤル(操作摘み)
3 下段ダイヤル (第2の操作摘み,切替操作手段)
11 円板
14,38 第1クリック面
15,39 第1係合部
16,41 第2クリック面
17,42 第2係合部
19 弾性部(切替操作手段)
21 コ字状部
22,47 第1被係合部
23,48 第2被係合部
24 位置変化部(切替操作手段)
25 上段部(段)
26 下段部(段)
27 境
32 回転操作摘み(操作摘み)
33 往復操作摘み(切替操作手段)
34 円筒
49 移動連結部(切替操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式又はスライド式の操作摘みが操作された場合にクリックを発生させる操作装置において、
クリックを発生させるべく、異なる個数の係合部が夫々形成してある複数のクリック面と、
各クリック面に対向配置され、対向するクリック面に形成されている係合部に係脱自在に設けてある被係合部と
を備え、
各被係合部は該被係合部に対向するクリック面に対して接離するようにしてあり、
一の被係合部の該被係合部に対向するクリック面に対する接離と他の被係合部の該被係合部に対向するクリック面に対する接離とを同時的に切替自在にしてあり、
一の被係合部が該被係合部に対向するクリック面に接触している場合、前記一の被係合部を除く被係合部が該被係合部に対向するクリック面から離隔するようにしてあることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
M個(Mは自然数)の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック面と、
N個(Nは自然数、N≠M)の凹状又は凸状の第2係合部が形成してある第2クリック面と、
前記第1クリック面及び第2クリック面に各対向配置され、前記第1係合部及び第2係合部に各係脱自在に設けてある第1被係合部及び第2被係合部と、
前記第1被係合部の前記第1クリック面に対する接触及び対向方向の離隔、並びに前記第2被係合部の前記第2クリック面に対する対向方向の離隔及び接触を同時的に切替自在にするための切替操作手段と
を備え、
前記操作摘みの操作に応じて、前記第1係合部と前記第1被係合部と、及び、前記第2係合部と前記第2被係合部とが、前記操作摘みの操作方向に夫々相対移動するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作摘みは回転式であり、
一端側に前記第1被係合部が設けてあり、他端側に前記第2被係合部が設けてあるコ字状部を更に備え、
前記第1係合部及び第2係合部は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸に一体的且つ同軸に設けてある円板の一面及び他面に夫々形成してあり、
前記切替操作手段は、
前記操作摘みと同軸に配されている回転式の第2の操作摘みと、
前記回転軸の周方向に設けられ、前記回転軸の軸長方向の位置が変化する階段状又は傾斜面状であって、前記軸長方向に前記コ字状部に接触した状態で、前記第2の操作摘みの回転操作に応じて前記コ字状部に対して前記周方向に摺動する位置変化部と、
前記コ字状部に連結されており、弾性復元力によって、前記位置変化部に向けて前記軸長方向に前記コ字状部を付勢する弾性部と
を有することを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記位置変化部は階段状であって、
前記位置変化部の段と段との境、又は前記コ字状部の前記位置変化部に接触する部分が斜面状又は曲面状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作摘みは回転式であり、
前記第1係合部及び第2係合部は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する円筒の内周面の一端側及び他端側に夫々形成してあり、
前記第1被係合部及び第2被係合部は、前記円筒の径方向の中心位置を介在して該径方向の一側及び他側に夫々配されており、
前記切替操作手段は、
往復移動自在に設けてある往復操作摘みと、
前記第1被係合部及び第2被係合部夫々が連結されており、前記往復操作摘みの往復移動に伴って前記径方向に往復移動する移動連結部と
を有することを特徴とする請求項2に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−262835(P2008−262835A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105236(P2007−105236)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】