説明

操縦ロボット

自動車のハンドル(1)に取り付けられる操縦ロボットは、環状の電動機(6)の回転子(5)に取り付けられた自身のハンドル(2)を有している。使用時に回転子の前面に取り付けられているものは、環状の取付板(9)であり、取付ボルト(11)を受け入れるためにわずかに内側に突き出している3つのタブ(10)を備えて構成されている。リング(14)からなる挟着部材(12)は、その周囲に等間隔で配置され、3つの穴を有する放射状の突起(15)を有している。この突起は、前記挟着部材(12)が自動車のハンドル(1)に一時的に取り付けることができるため、3つの挟着固定部材(16)のための取付け具を提供できる。前記固定子は、検査もしくは調査のときに操縦操作する電動機によって駆動される操縦トルクに反作用する一対のトルク反作用の突起(16)を有している。操縦ロボットの中央が開口している構造になっているため、制御装置を搭載したハンドルは通常通りに動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦ロボット、特にロボット制御の下で、自動車のハンドル調整をする操縦ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
公知になった我々の操縦ロボットは、
・ステアリングコラムに固定するように構成されたステアリングコラムボスと、
・ロボット操縦のための電動機の回転子であって、前記ステアリングコラムボスに固定された回転子と、
・前記回転子に固定された手動ハンドルと、
・ロボット操縦のために前記回転子を調整できるように回転可能に取り付けられている前記回転子に対応した固定子と、
を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この公知のロボットの場合、自動車に適合するように取り付けるときの調整に手間がかかって不便である、という欠点がある。例えば、既存のハンドルを取り外す必要があるだけでなく、ハンドルに取り付けられた制御装置を無効にする必要がある。ハンドルのエアバックが搭載されていない場合の取り付けにおいて、我々は、ハンドル周縁に挟着し、操縦ロボットを取り付けられるようにする補助器具を設けることによって、これらの困難を避けるようにしてきた。
【0004】
当初のハンドルにエアバッグが搭載されている場合、取り外しには、特に注意が必要である。また、運転手が自動車の検査をするためにエアバッグを利用することができなくなる。また、特定の自動車においては、エアバッグの取り外しをすると、自動車の電子制御システムが自動車の性能を制限してしまうかもしれない。
【0005】
エアバッグのないハンドルに対し、上述の補助器具を用いて搭載したエアバッグに、我々の公知の操縦ロボットを取り付けることができない場合、そのエアバッグは大型の電動機を運転手に向けて押し出すように推進させる危険性がある。
【0006】
そこで、本発明は、改良された操縦ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ロボット制御の下で、自動車のハンドル調整をする操縦ロボットであって、
・前記自動車を手動で制御するための中央が開口しているハンドルと、
・前記操縦ロボットのハンドルから前記自動車のハンドルに回転を伝達するために、前記自動車のハンドルに対し、当該ハンドル周囲の複数箇所で前記操縦ロボットのハンドルを挟着させる挟着手段であって、前記操縦ロボットのハンドルの中央及び挟着点である前記複数箇所で開口している挟着手段と、
・前記操縦ロボットのハンドルに固定された環状の回転子と、ロボット制御の下で、前記操縦ロボットのハンドルを駆動する回転に対して固定状態となる環状の固定子とを有し、中央が開口している電動機と、
を備えた操縦ロボットを提供することができる。
【0008】
好ましくは、前記挟着手段は、前記挟着手段の中央を開口するために、
・前記複数箇所の前記挟着点で、前記回転子を前記自動車のハンドルに挟着するための複数の挟着固定部品と、
・前記挟着固定部品と相互接続されたリングと、
を備えて構成されている。
【0009】
上述したロボットの3つの基本的な構成要素と、中央が開口しているロボット自身により、結果として、自動車のハンドル上に取り付けられた制御装置に通常のアクセスが可能となり、および/または自動車のハンドル内に搭載されたエアバッグの通常の動作が可能となった。
【0010】
好ましくは挟着手段は、操縦ロボットのハンドルと自動車のハンドルが同心軸上に配置されるように調整する手段を備えている。
【0011】
通常、操縦ロボットは、固定子に対する回転子の角運動に関するデータを伝送する環状のエンコーダを備えている。
【0012】
また、操縦ロボットは、電動機の駆動トルクを測定するトルク測定手段を備えている。便宜上、このトルク測定手段は、固定場所に固定子を接続する一対のアームのそれぞれにおいて、個々のロードセルという形態で設けられている。
【0013】
ここで、本発明を理解させるため、添付図面と共に、様々な具体的な実施形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の操縦ロボットの組立図を示す図である。
【図2】本発明の操縦ロボットの斜視図である。
【図3】本発明の操縦ロボットの操縦用電動機を貫通する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照すると、自動車のハンドル1に取り付けられる操縦ロボットは、原則として、リム3と円周状に配置された一連のフィンガー4を備えた自身のハンドル2を有している。これらは、環状の電動機6の環状の回転子5に取り付けられる。また、電動機6は環状の固定子7を有している。転動体を有する環状のベアリング8は、これらの固定子と回転子の間に設けられる。使用時に回転子の前面に取り付けられているものは、環状の取付板9であり、取付ボルト11を受け入れるためにわずかに内側に突き出している3つのタブ10を備えて構成されている。
【0016】
リング14からなる挟着部材12は、その周囲に等間隔で配置され、3つの穴を有する放射状の突起15を有している。この突起15は、挟着部材12が自動車のハンドル1に一時的に取り付けることができるため、3つの挟着固定部材16のための取付け具を提供できる。これは真円のリムとは限らないため、挟着部材は、自動車に関わるステアリングコラムに対して同心軸上に取り付けられない場合もある。同心軸上に取り付けるための調整は、タブ10とボルト11と突起15によって可能となる。
【0017】
検査もしくは調査のときに操縦操作する電動機によって駆動される操縦トルクに対して反作用する一対のトルク反作用用の突起16を有している。この突起16は、自動車の床面とフロントガラスの間に公知の方法で固定されるように構成された反作用の組立品19によって、ロードセンサ18を備えた一対の反作用の連結部材17を介して反作用する。環状のエンコーダ20は、ロボット制御装置(図示しない)がハンドル角データを受け取る電動機の中に設けられる。
【0018】
これが従来のハンドル1を示すものであったとしても、ハンドル1が操縦ロボットに覆い隠されることはない。これは、操縦ロボットの中央が開口している構造になっているためであり、この構造によって、クルーズコントロールなどの制御装置を搭載したハンドル、特に、エアバッグを搭載したハンドルは通常通りに動作する(動作させる)ことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット制御の下で、自動車のハンドル調整をする操縦ロボットであって、
・前記自動車を手動で制御するための中央が開口しているハンドルと、
・前記操縦ロボットのハンドルから前記自動車のハンドルに回転を伝達するために、前記自動車のハンドルに対し、当該ハンドル周囲の複数箇所で前記操縦ロボットのハンドルを挟着させる挟着手段であって、前記操縦ロボットのハンドルの中央及び挟着点である前記複数箇所で開口している挟着手段と、
・前記操縦ロボットのハンドルに固定された環状の回転子と、ロボット制御の下で、前記操縦ロボットのハンドルを駆動する回転に対して固定状態となる環状の固定子とを有し、中央が開口している電動機と、
を備えたことを特徴とする操縦ロボット
【請求項2】
前記挟着手段が、前記挟着手段の中央を開口するために、前記複数箇所の前記挟着点で、前記回転子を前記自動車のハンドルに挟着するための複数の挟着固定部品を備えたことを特徴とする請求項1記載の操縦ロボット。
【請求項3】
前記挟着手段が、前記挟着固定部品と相互接続されたリングを備えたことを特徴とする請求項2記載の操縦ロボット。
【請求項4】
前記挟着手段が、操縦ロボットのハンドルと自動車のハンドルが同心軸上に配置されるように調整する手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の操縦ロボット。
【請求項5】
前記固定子と前記回転子の間に、転動体を有する環状のベアリングが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の操縦ロボット。
【請求項6】
前記固定子に対する前記回転子の角運動に関するデータを伝送する環状のエンコーダを備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の操縦ロボット。
【請求項7】
前記電動機の駆動トルクを測定するトルク測定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の操縦ロボット。
【請求項8】
前記トルク測定手段が、固定場所に固定子を接続する一対のアームのそれぞれにおいて、個々のロードセルという形態で設けられていることを特徴とする請求項7記載の操縦ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−532766(P2012−532766A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520079(P2012−520079)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001203
【国際公開番号】WO2011/007114
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512000307)アンソニー ベスト ダイナミクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】