説明

攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置

【課題】微小容器の底部から液面まで音響流によって広範囲に液体を均一に攪拌することが可能な攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置を提供すること。
【解決手段】液体を音波によって攪拌する攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置。攪拌装置は、液体を保持する液体保持部と、非対称な強度分布を有する音波を、液体保持部の保持する液体に向けて照射する単一の音響素子21とを具備し、非対称な強度の音波により液体中に発生する音響流を利用して、液体保持部に保持された液体を攪拌する。音響素子21は、圧電基板21a上に形成され、圧電基板に沿って異なる方向に音波を発生する単一の音源21bと、音源が発生した音波を音源の中心Cに対して非対称な強度分布にする強度変化部21cとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化学分析装置は、反応容器の小型化と検体間の汚染を回避するため、反応容器に取り付けた超音波発生源から液体試料中に超音波を入射し、入射した超音波により液体試料中に発生した音響流によって液体試料を非接触で攪拌混合する攪拌手段を用いている(例えば、特許文献1参照)。これにより、特許文献1の攪拌手段は、容器内に先鋭的な音場を形成すると共に、超音波発生源から液体試料に至る間における超音波の減衰を抑制している。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第10325307号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された分析装置は、攪拌手段として圧電基板上に櫛型電極(IDT)を形成した表面弾性波(SAW)素子を用いている。櫛型電極は、電極中心から左右両方向に表面弾性波を出射することから、図53に示すように、表面弾性波素子Dacが発生した音波Waは、容器Cの底壁内を伝搬した後、内面に対して矢印で示すように傾斜した状態で液体Lq中に入射する。このため、容量が数nL〜数十μLの容器のように、容器が微小或いは細いと、音波によって生ずる音響流が内面で反射する。この結果、容器内の液体Lqは、側面で反射した対称な2つの音響流Fsが衝突して互いに流れを相殺する領域Aが生じ、音響流Fsによる液体の均一な攪拌が妨げられることがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、微小容器の底部から液面まで音響流によって広範囲に液体を均一に攪拌することが可能な攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、液体を音波によって攪拌する攪拌装置であって、前記液体を保持する液体保持部と、非対称な強度分布を有する音波を、前記液体保持部の保持する液体に向けて照射する単一の音響素子と、を具備し、前記非対称な強度の音波により前記液体中に発生する音響流を利用して、前記液体保持部に保持された液体を攪拌することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音響素子は、圧電基板上に形成され、前記圧電基板に沿って異なる方向に音波を発生する単一の音源と、前記音源が発生した音波を前記音源の中心に対して非対称な強度分布にする強度変化部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記強度変化部は、前記音源の中心から見て少なくとも一方の前記圧電基板上に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記強度変化部は、前記圧電基板に形成される反射器、吸音材、或いは前記圧電基板の端面のいずれか一つであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記吸音材は、前記音源の一部を当該音源の中心に対して非対称に覆うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記強度変化部は、前記圧電基板上の前記音源を挟む両側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記強度変化部は、前記音源から等距離の位置に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記強度変化部は、前記音源から異なる距離の位置に設けられることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る攪拌装置は、上記の発明において、更に、前記音源の駆動周波数を切り替え或いは変調させる制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音響素子は、表面弾性波素子であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音源の中心が前記液体保持部の底面の中心と一致するように、前記音源と前記液体保持部とを位置決めする位置決め手段をさらに有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記圧電基板は、ニオブ酸リチウム,タンタル酸リチウム,酸化亜鉛,水晶,チタン酸ジルコン酸鉛,或いはランガサイトのいずれか一つからなることを特徴とする。
【0018】
また、請求項13に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音響素子は、圧電基板上に形成され、前記圧電基板に直交する方向に音波を発生する単一の音源と、前記音源が発生した音波を前記音源の中心に対して非対称な強度分布にする強度変化部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項14に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音源は、厚み縦振動子であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項15に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音源は、前記圧電基板の一方の面に形成される第一の電極と、前記圧電基板の他方の面に形成される第二の電極とを有し、前記強度変化部は、前記第一又は第二の電極の一部を覆う吸音材であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項16に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音源の中心が前記液体保持部の底面の中心と一致するように、前記音源と前記液体保持部とを位置決めする位置決め手段をさらに有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項17に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記圧電基板は、ニオブ酸リチウム,タンタル酸リチウム,酸化亜鉛,水晶,チタン酸ジルコン酸鉛,或いはランガサイトのいずれか一つからなることを特徴とする。
【0023】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項18に係る分析装置は、検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置は、非対称な強度の音波により液体中に発生する音響流を利用して、液体保持部に保持された液体を攪拌するので、微小な液体保持部の底部から液面まで音響流によって広範囲に液体を均一に攪拌することが可能な攪拌装置及び攪拌装置を備えた分析装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置及びこの攪拌装置を備えた分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の分析装置の実施の形態1を示す自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で用いる本発明の攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。図3は、図2の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。図4は、本発明の攪拌装置を構成する容器の一例として示した四角柱状の反応容器の斜視図である。図5は、図3に示す音波のエネルギー分布に基づく本発明の攪拌装置の容器内における非対称な音響流を示す断面図である。
【0026】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応テーブル6及び試薬テーブル15が互いに離間してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応テーブル6との間に検体分注機構5が設けられ、反応テーブル6と試薬テーブル15との間には試薬分注機構13が設けられている。
【0027】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0028】
検体分注機構5は、検体を後述する反応容器(液体保持部)7に分注する手段であり、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次後述する反応容器7に分注する。
【0029】
反応テーブル6は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室6aが複数設けられている。各収納室6aは、検体を試薬と反応させる液体保持部としての反応容器7が着脱自在に収納される。また、反応テーブル6には、光源8及び排出装置11が設けられている。光源8は、試薬と検体とが反応した反応容器7内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射する。光源8から出射された分析用の光ビームは、反応容器7内の液体試料を透過し、光源8と対向する位置に設けた受光素子9によって受光される。受光素子9は、判断部18を介して分析部19に接続されている。分析部19は、反応容器7内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分や濃度等を分析する。一方、排出装置11は、図示しない排出ノズルを備えており、反応容器7から反応終了後の液体試料を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器7は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0030】
試薬分注機構13は、試薬を反応容器7に分注する手段であり、後述する試薬テーブル15の所定の試薬容器16から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0031】
試薬テーブル15は、図1に示すように、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室15aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室15aは、試薬容器16が着脱自在に収納される。複数の試薬容器16は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0032】
ここで、試薬テーブル15の外周部には、試薬容器16に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、判断部18へ出力する読取装置17が設置されている。判断部18は、受光素子9,排出装置11及び読取装置17と接続され、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。判断部18は、前記バーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0033】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器7に検体分注機構5が検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注する。検体が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって試薬分注機構13の近傍へ搬送されて所定の試薬容器16から試薬が分注される。そして、試薬が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される間に試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源8と受光素子9との間を通過する。このとき、反応容器7内の液体試料は、受光素子9によって測光され、分析部19によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、排出装置11によって反応終了後の液体試料が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0034】
このとき、自動分析装置1は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される反応容器7内の液体試料を攪拌装置によって攪拌し、試薬と検体とを反応させる。この液体試料の攪拌に用いる攪拌装置20を以下に説明する。
【0035】
攪拌装置20は、試薬分注機構13が反応容器7に試薬を分注する位置と互いに対向配置される光源8,受光素子9との間の収納室6a下部に配置されており、反応容器7の他に、図2に示すように、表面弾性波素子21、電源22及びコントローラ23を有している。
【0036】
表面弾性波素子21は、反応容器7が保持する液体に向けて非対称な強度分布を有する音波を照射する単一の音響素子であり、図2に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電基板21aの表面に金等の櫛型電極(IDT)からなる振動子21bと反射器21cとが設けられている。振動子21bは、櫛歯状の複数の電極指を有し、電源22から送電された電力を表面弾性波(音波)に変換する単一の音源である。反射器21cは、音波の強度を振動子21bの音波伝搬方向における中心Cに対して非対称に変化させる強度変化部となるグレーティング型の反射器であり、振動子21bと隣接する位置に近接させて設けられている。表面弾性波素子21は、音響整合層24(図5参照)を介して反応容器7の下面に取り付けられる。
【0037】
電源22は、図2に示すように、振動子21bとの間が配線25によって接続され、数MHz〜数百MHz程度の高周波の交流を表面弾性波素子21に供給する。コントローラ23は、電源22を制御して表面弾性波素子21が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。音響整合層24は、反応容器7と表面弾性波素子21との間の音響インピーダンスを最適化する手段で、エポキシ樹脂等の接着剤やシェラック等の他、ジェルや液体等を使用することができる。音響整合層24は、音波の伝達効率を上げるため、表面弾性波素子21が発する周波数の波長λに対して厚みがλ/4となるように、または、できるだけ薄くなるように、調整する。
【0038】
ここで、反応容器7は、光源8から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する耐熱ガラスを含むガラスが使用される。反応容器7は、図4及び図5に示すように、底壁7aと側壁7bによって四角柱状に成形され、上部に液体注入用の開口7cを有するキュベットである。反応容器7は、互いに平行な一組の側壁7bの下部が、光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部として利用される。
【0039】
攪拌装置20は、以上のように構成され、反応容器7に保持された液体試料を以下のようにして攪拌する。先ず、攪拌装置20は、コントローラ23による制御の下に電源22から供給される電力によって表面弾性波素子21を駆動する。これにより、振動子21bが、複数の電極指の配列方向に沿った両側へ音波を出射し、音波は圧電基板21aの表面を振動子21bの両側へ伝搬してゆく。
【0040】
このとき、表面弾性波素子21は、反射器21cが振動子21bと隣接する位置に近接させて設けられている。このため、反射器21c側、即ち、図2において圧電基板21aの右側へ伝搬した音波は、反射器21cによって反射され、引き続いて出射されてくる音波と重畳される。一方、反射器21cのない側、即ち、図2において圧電基板21aの左側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。この結果、表面弾性波素子21は、音波の伝搬方向において、エネルギー強度が最大となる位置が反射器21c側に偏った図3に実線で示すエネルギー分布となる。図3は、振動子21bの音波伝搬方向における中心Cを基準として音波の伝搬方向(図2のX軸方向)に沿った圧電基板21a上の位置を横軸とし、圧電基板21a上方向(図2のZ軸方向)に沿った音波のエネルギー強度を縦軸として圧電基板21a上における音波のエネルギー分布を示している。図中、点線は、反射器21cを設けない場合のエネルギー分布を示しており、以下の説明で使用する他の図においても同様とする。また、図2においてY軸は、圧電基板21aの板面に沿った音波の伝搬方向に直交する方向であり、X軸,Y軸,Z軸は、以下の説明で使用する他の図においても同様とする。
【0041】
ここで、反射器21cを設けない場合、振動子21bが出射した音波は、圧電基板21a内部及び音響整合層24を通って反応容器7の底壁7aへと伝搬した後、底壁7aの内面から音響インピーダンスが近い液体試料中へ音波が漏れ出してゆく。しかし、表面弾性波素子21は、反射器21cを設けたことにより、エネルギー分布が反射器21c側に偏っている。このため、音波の伝搬方向に沿って反応容器7を切断した図5に示すように、底壁7aの内面から斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。
【0042】
従って、液体試料Lsには、図5に示すように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Wによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置20は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。従って、攪拌装置20は、表面弾性波素子21が振動子21bの中心に対して非対称な強度を有する音波を出射するので、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。ここで、反応容器は、図5に示す音響流Fcc,Fcwから理解できるように、円筒形であってもよい。また、攪拌装置20は、表面弾性波素子21に代えて水晶等のバルク波素子を用いてもよい。
【0043】
ここで、攪拌装置20は、図6に示すように、反射器21cに代えて振動子21bの一部を覆う吸音材21eを設けてもよい。このとき、吸音材21eとしては、シリコーンゴム等の弾性体を用いる。このように振動子21bを吸音材21eによって部分的に覆うと、表面弾性波素子21は、振動子21bが出射した音波が吸音材21eによって吸収される。このため、振動子21bが出射した音波は、伝搬方向に沿って図7に実線で示すエネルギー分布となる。即ち、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が吸音材21e側では小さく、吸音材21eのない側で大きくなる。よって、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が最大となる位置が吸音材21eのない側に偏ったエネルギー分布を示し、振動子21bの音波伝搬方向の中心Cを基準として非対称な強度を有する音波を出射する。従って、攪拌装置20は、反応容器7が微小であっても、非対称な音響流を生じさせるので、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはなく、表面弾性波素子21によって生じた非対称な強度を有する音波により液体試料を広範囲に亘って均一に攪拌することができる。このとき、吸音材21eは、圧電基板21aに貼付するだけであるので、音波強度の非対称な変化を簡単に実現することができる。
【0044】
また、攪拌装置20は、図8及び図9に示すように、表面弾性波素子21の吸音材21fを、振動子21bが出射した音波の伝搬方向において振動子21bから離れるのに伴って吸音効果が大きくなるように傾斜させてもよい。この場合、吸音材21fは、2種類の吸音材の混合比を変えることによって吸音効果を傾斜させる。これにより、表面弾性波素子21は、図10に実線で示すように、吸音材21fのある圧電基板21aの右側でエネルギー強度が小さく、吸音材21fのない圧電基板21aの左側で大きくなるエネルギー分布を示す。このため、攪拌装置20は、振動子21bが出射した音波の強度が吸音材21fによって音波伝搬方向の中心Cを基準として非対称となるので、微小な反応容器7であっても、非対称な音響流を生じさせることができる。
【0045】
更に、攪拌装置20は、図11に示すように、圧電基板21aの端面21gを反射器とすることも可能である。この場合、表面弾性波素子21は、振動子21b端部の電極指中央と端面21gとの距離dを、振動子21bの駆動周波数によって生ずる音波の波長をλとしたときに、d=nλ/4に設定する。このように距離dを設定すると、振動子21bが出射し、振動子21bの右側へ伝搬した音波は、圧電基板21aの端面21gにおいて反射され、引き続いて伝搬してくる音波と重畳される。一方、図11において振動子21bから左側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。この結果、表面弾性波素子21は、音波の伝搬方向において、エネルギー強度が最大となる位置が反射器21c側に偏った図12に実線で示すエネルギー分布となる。このため、攪拌装置20は、振動子21bが出射した音波の強度が端面21gによって音波伝搬方向の中心Cを基準として非対称となるので、微小な反応容器7であっても、非対称な音響流を生じさせることができる。
【0046】
また、攪拌装置20は、反射器21cに代えて、図13に示すように、圧電基板21aの振動子21bと隣接する位置に円形の開口21hを設けてもよい。このとき、表面弾性波素子21は、振動子21b端部の電極指中央と開口21hとの距離dを、d=nλ/4に設定する。表面弾性波素子21は、開口21hを設けることにより、音波の伝搬方向において、エネルギー強度が最大となる位置が反射器21c側に偏った図14に実線で示すエネルギー分布となる。このため、攪拌装置20は、振動子21bが出射した音波の強度が開口21hによって音波伝搬方向の中心Cを基準として非対称となるので、微小な反応容器7であっても、非対称な音響流を生じさせることができる。
【0047】
ここで、開口21hは、円形に代えて四角形等の多角形としてもよい。また、図15に示すように、攪拌装置20は、表面弾性波素子21の圧電基板21aが反応容器7の液体保持部の底壁を構成し、振動子21bが液体試料Lsと接触するように、振動子21bを内側に向けて圧電基板21aを反応容器7の底部に取り付けてもよい。このとき、表面弾性波素子21は、圧電基板21a上の振動子21bを挟む両側に反射器21c,21dが配置されている。更に、表面弾性波素子21は、圧電基板21a表面の振動子21b及び反射器21c,21dを含む領域に液体試料Lsとの親和力を増す処理を施し、図16に示すように、液体試料Lsを保持する液体保持部Pを兼ねる攪拌装置としてもよい。また、図17に示すように、攪拌装置20は、表面弾性波素子21の圧電基板21aが反応容器7の液体保持部の底壁を構成し、振動子21bが液体試料Lsと接触しないように、振動子21bを外側に向けて圧電基板21aを反応容器7の底部に取り付けてもよい。
【0048】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を図18〜図26を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、強度変化部が一つであったのに対し、実施の形態2の攪拌装置は、二つの強度変化部が音源に対して対称に配置されている。ここで、以下に説明する各実施の形態では、自動分析装置1は実施の形態1と同じものを使用し、実施の形態1と構成が同一の部材には同一の符号を使用している。図18は、実施の形態2に係る攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。図19は、図18の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。図20は、図19に示す音波のエネルギー分布に基づく攪拌装置の容器内における非対称な音響流を示す断面図である。
【0049】
攪拌装置30は、表面弾性波素子31、電源32及びコントローラ33を有し、図18に示すように、表面弾性波素子31は圧電基板31aとしてランガサイト(La3Ga5SiO14)の単結晶基板を使用している。表面弾性波素子31は、圧電基板31aの表面に金等の櫛型電極(IDT)からなる振動子31bと反射器31c,31dとが設けられた共振器構造を有し、音響整合層34(図20参照)を介して反応容器7の底壁7a下面に取り付けられる。振動子31bは、電源32との間が配線35によって接続されている。反射器31c,31dは、音波の強度を振動子31bの中心に対して非対称に変化させる強度変化部となるグレーティング型の反射器であり、振動子31bの音波伝搬方向における中心Cを基準として左右方向に次式で規定される等距離d1の位置に対称に設けられている。
d1=3λ/8+nλ/2(短絡電極の場合)
d1=λ/8+nλ/2 (開放電極の場合)
但し、nは、0以上の整数。
【0050】
表面弾性波素子31は、圧電基板31aが結晶の対称性が低く、音波(弾性波)が反射されるときに音波の位相が回転するランガサイトからなる。このため、表面弾性波素子31は、反射器31c,31dを振動子31bから等距離d1の位置に設けても、結晶の対称性が低いためそれぞれの反射器31c,31dにおける音波の回転位相が異なる。この結果、表面弾性波素子31は、エネルギー強度が最大となる位置が音波の伝搬方向における中心Cを基準として反射器31d側に偏った図19に実線で示すエネルギー分布となる。ここで、図19において、一点鎖線は、ランガサイトに代えて対称性の結晶であるニオブ酸リチウムを圧電基板31aとして用いた場合のエネルギー分布である。
【0051】
従って、攪拌装置30を用いると、反応容器7は、図20に示すように、底壁7aの内面から斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。このため、液体試料Lsには、図示のように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Wによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置30は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。このように、攪拌装置30は、表面弾性波素子31が振動子31bの中心Cに対して非対称な強度を有する音波を出射するので、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0052】
ここで、攪拌装置30は、図21に示すように、振動子31b及び反射器31c,31dを下側に向けて表面弾性波素子31を反応容器7の底壁7aの下面に音響整合層34を介して取り付け、或いは図22に示すように、振動子31b及び反射器31c,31dを外側に向けて表面弾性波素子31を反応容器7の側壁7bに音響整合層34を介して取り付けてもよい。攪拌装置30は、このようにして表面弾性波素子31を反応容器7に取り付けても、液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wag,Waが非対称な強度分布を有し、非対称な音響流が生じる。
【0053】
また、攪拌装置30は、図23に示すように、反応テーブル6の収納室6aに収納される反応容器7と表面弾性波素子31とを位置決めし、振動子31bの直上に底壁7aを配置する位置決め部材37を使用してもよい。位置決め部材37は、基板37aの両側下部に位置決め脚37bが設けられ、基板37aの中央には反応容器7を挿通して位置決めする位置決め開口37cが形成されている。位置決め部材37は、表面弾性波素子31に被せるようにして両側の位置決め脚37b間に表面弾性波素子31を位置決め保持した後、開口37cから反応容器7を挿通すると、図24に示すように、底壁7aを振動子31bの直上に簡単に位置決めすることができる。
【0054】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3を図25〜図35を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態2の攪拌装置は、二つの強度変化部が音源に対して対称に配置されていたのに対し、実施の形態3の攪拌装置は、二つの強度変化部が音源に対して非対称に配置されている。図25は、実施の形態3に係る攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。図26は、図25の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と反射波を示す模式図である。図27は、表面弾性波素子が出射した図26に示す音波と反射波とによって合成される合成波を示す模式図である。
【0055】
攪拌装置40は、図25に示すように、表面弾性波素子21の圧電基板21aに反射器21c,21dが振動子21bの音波伝搬方向における中心Cからの距離がd1,d2となる位置に設けられている。このとき、反射器21dは、次式で規定される距離d2(<d1)の位置に設けられる。
d2=3λ/8+nλ/2(短絡電極の場合)
d2=λ/8+nλ/2 (開放電極の場合)
但し、nは、0以上の整数。
【0056】
従って、表面弾性波素子21は、振動子21bが音波を両側へ出射し、音波は圧電基板21aの表面を振動子21bの両側へ伝搬してゆく。このとき、図26に示すように、振動子21bが出射し、振動子21bの右側へ伝搬した音波Wは、反射器21dによって反射され、反射波Wrは左方へ伝搬しながら減衰してゆく。一方、振動子21bの左側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。但し、反射波Wrは、振動子21bから引き続いて出射されてくる音波と重畳され、増幅されるため図27に示す合成波Wcとなる。この結果、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が最大となる位置が音波の伝搬方向における中心Cを基準として反射器21d側に偏った図28に実線で示すエネルギー分布となる。
【0057】
従って、攪拌装置40を用いると、反応容器7は、図29に示すように、底壁7aの内面から斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。このため、液体試料Lsには、図示のように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Wによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置40は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。このように、攪拌装置40は、表面弾性波素子21が振動子21bの中心Cに対して非対称な強度を有する音波を出射するので、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0058】
ここで、攪拌装置40は、反射器21dに代えて反射器21cを次式で規定される距離d1(>d2)の位置に設けてもよい。
d1=3λ/8+nλ/2(短絡電極の場合)
d1=λ/8+nλ/2 (開放電極の場合)
但し、nは、0以上の整数。
【0059】
反射器21cを上述の条件を満たす位置に設けると、振動子21bが出射し、振動子21bの左側へ伝搬した音波Wは、図30に示すように、反射器21cによって反射され、反射波Wrは右方へ伝搬しながら減衰してゆく。一方、振動子21bの右側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。但し、反射波Wrは、振動子21bから引き続いて出射されてくる音波と重畳されて増幅され、図31に示す合成波Wcとなる。この結果、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が最大となる位置が音波の伝搬方向における中心Cを基準として反射器21c側に偏った図32に実線で示すエネルギー分布となる。
【0060】
従って、反射器21cを上述の条件を満たす位置に設けた攪拌装置40を用いると、反応容器7は、図33に示すように、底壁7aの内面から斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。このため、液体試料Lsには、図示のように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Wによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置40は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。従って、攪拌装置40は、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0061】
ここで、攪拌装置40は、図34に示すように、圧電基板21aの振動子21bを挟んで一方に反射器21cを設け、他方に吸音材21eを設けてもよい。このようにすると、表面弾性波素子21は、音波の伝搬方向において、エネルギー強度が最大となる位置が反射器21c側に偏った図35に示すエネルギー分布を示す。このため、攪拌装置40は、反射器21cと吸音材21eとによって振動子21bが音波伝搬方向の中心Cを基準として非対称な強度を有する音波を出射し、微小な反応容器7であっても、非対称な音響流を生じさせることができる。
【0062】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4を図36〜図47を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜3の攪拌装置は、音源を駆動する周波数が固定されていたのに対し、実施の形態4の攪拌装置は、音源を駆動する周波数が切り替え或いは変調される。図36は、実施の形態4に係る攪拌装置の概略構成を示す平面図である。図37は、図36の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と反射波を示す模式図である。図38は、図37に示す表面弾性波素子が出射した音波と反射波によって合成される合成波を示す模式図である。
【0063】
攪拌装置45は、図36に示すように、表面弾性波素子21の圧電基板21aとして反射器21c,21dが振動子21bの音波伝搬方向における中心Cからの距離がd1,d2となる位置に設けられている。このとき、距離d1,d2は、反射器21c,21dを短絡電極とし、振動子21bを駆動周波数f1,f2(f1≠f2)で駆動した場合に出射する音波の波長をλ1,λ2としたとき、次式で規定される距離に設定する。
d1=3λ1/8+nλ1/2
d2=3λ2/8+nλ2/2
但し、nは、0以上の整数。
【0064】
攪拌装置45は、反射器21c,21dの配置位置と駆動周波数を上述のように設定し、振動子21bを駆動周波数f2で駆動すると、振動子21bが波長λ2の音波を出射する。そして、図37に示すように、振動子21bの右側へ伝搬した音波Wは、反射器21dによって反射され、反射波Wrは左方へ伝搬しながら減衰してゆく。一方、振動子21bの左側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。但し、反射波Wrは、振動子21bが出射して引き続いて伝搬してくる音波と重畳されて増幅されて図38に示す合成波Wcとなる。この結果、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が最大となる位置が音波の伝搬方向における中心Cを基準として反射器21d側に偏った図39に実線で示すエネルギー分布となる。
【0065】
従って、攪拌装置45を用いると、反応容器7は、図40に示すように、底壁7aの内面から斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。このため、液体試料Lsには、図示のように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Wによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置45は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。このように、攪拌装置45は、表面弾性波素子21が振動子21bの中心Cに対して非対称な強度を有する音波を出射するので、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0066】
ここで、攪拌装置45は、上記とは逆に振動子21bを駆動周波数f1で駆動すると、反射器21dに代わって反射器21cが出射した音波を反射する結果、図39において、エネルギー強度が最大となる位置が一点鎖線で示す反射器21c側に偏ったエネルギー分布となる。このため、反応容器7に保持された液体試料Lsでは、図40に示す場合とは逆に、底壁7aの内面から斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きなエネルギー強度を有し、音響流Fccよりも音響流Fcwが卓越することになる。
【0067】
ここにおいて、攪拌装置45は、反射器21c,21dに代えて、図41に示すように、表面弾性波素子21の両端面21g,21jを反射器として使用することも可能である。このとき、表面弾性波素子21は、振動子21bが駆動周波数f1,f2で駆動された場合に出射される音波の波長をλ1,λ2とすると、振動子21bの音波伝搬方向における中心Cからの距離d3,d4が次式で規定される位置に端面21g,21jを形成する。
d3=3λ1/8+nλ1/2
d4=3λ2/8+nλ2/2
但し、nは、0以上の整数。
【0068】
攪拌装置45は、反射器となる端面21g,21jの位置と駆動周波数を上述のように設定し、振動子21bを駆動周波数f2で駆動すると、振動子21bは波長λ2の音波Wを出射する。そして、振動子21bの右側へ伝搬した音波は、図42に示すように、端面21gで反射され、反射波Wrは左方へ伝搬しながら減衰してゆく。一方、振動子21bの左側へ伝搬した音波は、伝搬しながら減衰してゆく。但し、反射波Wrは、振動子21bが出射して引き続いて伝搬してくる音波と重畳されて増幅され、図43に示す合成波Wcとなる。この結果、表面弾性波素子21は、エネルギー強度が最大となる位置が音波の伝搬方向における中心Cを基準として反射器21g側に偏った図44に実線で示すエネルギー分布となる。
【0069】
従って、端面21g,21jを反射器として使用した攪拌装置45を用いると、反応容器7は、図45に示すように、底壁7aの内面から斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きい非対称な強度分布を有することになる。このため、液体試料Lsには、図示のように、音波Wagによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccと音波Waによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置45は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。このように、攪拌装置45は、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0070】
ここで、攪拌装置45は、上記とは逆に振動子21bを駆動周波数f1で駆動すると、端面21gに代わって端面21jが出射した音波を反射する結果、図44において、エネルギー強度が最大となる位置が一点鎖線で示す端面21j側に偏ったエネルギー分布となる。このため、反応容器7に保持された液体試料Lsでは、図45に示す場合とは逆に、底壁7aの内面から斜め左上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Wagが、斜め右上方に向かって液体試料Ls中へ漏れ出す音波Waよりも大きなエネルギー強度を有し、音響流Fccよりも音響流Fcwが卓越することになる。
【0071】
ここで、実施の形態1〜4の攪拌装置は、電力を無線送信することにより表面弾性波素子の振動子を駆動することも可能である。この無線送信に用いる攪拌装置50は、図46に示すように、送電体51と表面弾性波素子53を有し、表面弾性波素子53は反応容器5に取り付けられている。
【0072】
送電体51は、表面弾性波素子53と対向配置され、RE送信アンテナ51a、駆動回路51b及びコントローラ51cを有している。送電体51は、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力をRE送信アンテナ51aから電波として表面弾性波素子53に発信する。このとき、送電体51は、表面弾性波素子53に電力を送電する送電時に、RE送信アンテナ51aとアンテナ53cとが対向するように、反応テーブル4に対する周方向並びに半径方向における相対配置が調整される。また、RE送信アンテナ51aとアンテナ53cとの相対配置は、例えば、送電体51側に反射センサを設け、反応容器5或いは表面弾性波素子53の特定個所に設けた反射体からの反射を利用する等によって検出する。
【0073】
表面弾性波素子53は、図47に示すように、圧電基板53aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子53bがアンテナ53cと共に一体に設けられている。表面弾性波素子53は、振動子53b及びアンテナ53cを外側に向け、エポキシ樹脂等の音響整合層を介して反応容器7の側壁7bに取り付けられる。このとき、表面弾性波素子53は、図46に示すように、振動子53bを構成する複数の電極指を鉛直方向に配列する。表面弾性波素子53は、送電体51が発信した電波をアンテナ53cで受信し、共振作用によって発生した起電力により振動子53bに表面弾性波(超音波)を発生させる。
【0074】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5を図48〜図52を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜4の攪拌装置は、音源として櫛型電極(IDT)からなる振動子を用いていたのに対し、実施の形態5の攪拌装置は、音源として厚み縦振動子を用いている。図48は、実施の形態5に係る攪拌装置の概略構成を示す断面図である。図49は、図48の攪拌装置の音波発生手段を底面側から見た底面図である。図50は、図48の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【0075】
攪拌装置60は、図48及び図49に示すように、厚み縦振動子61、電源63及びコントローラ64を有している。
【0076】
厚み縦振動子61は、図48及び図49に示すように、板面に垂直に音波を発生し、反応容器7が保持する液体に向けて非対称な強度分布を有する音波を照射する単一の音源であり、吸音材62と協働して音響素子となる。厚み縦振動子61は、音響整合層66(図51参照)を介して反応容器7の底壁7a外面に取り付けられる。厚み縦振動子61は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電基板61aの一方の面に第一の電極であるグランド側の電極61bを設け、他方の面に第二の電極である信号線側の電極61cを設けたもので、各電極61b,61cには、引出し電極61dが接続されている。電極61b,61cは、電源63から送電された電力を表面弾性波(音波)に変換する音源であり、グランド側の電極61bから音波が出射される。このとき、信号線側の電極61cは、図示のように、音波の強度を電極61b,61cの中心に対して非対称に変化させる強度変化部である吸音材62が設けられている。電源63は、厚み縦振動子61を駆動する交流電源であり、配線65を介して電極61b,61c間に数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電圧を印加する。
【0077】
コントローラ64は、電源63を制御して電極61bが発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。音響整合層66は、反応容器7と厚み縦振動子61との間の音響インピーダンスを最適化する手段で、エポキシ樹脂等の接着剤やシェラック等の他、ジェルや液体等を使用することができる。音響整合層66は、音波の伝達効率を上げるため、厚み縦振動子61が発する周波数の波長λに対して厚みがλ/4、または、できるだけ薄くなるように調整する。
【0078】
従って、反応容器7は、保持した液体試料が攪拌装置60によって以下のように攪拌される。先ず、攪拌装置60は、コントローラ64による制御の下に電源63から供給する電力によって厚み縦振動子61を駆動する。これにより、厚み縦振動子61は、電極61b,61cが音波を出射する。このとき、信号線側の電極61cは、音波の強度を電極61b,61cの中心に対して非対称に変化させる強度変化部である吸音材62が設けられている。このため、厚み縦振動子61は、図50に実線で示すように、電極61b,61cの中心Cに対してエネルギー強度が非対称に分布する音波を出射する。
【0079】
従って、グランド側の電極61bから出射された音波は、音響整合層66を通って反応容器7の底壁7aへと伝搬し、底壁7aから音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ上方に漏れ出してゆく。即ち、攪拌装置60を用いると、図51に示すように、反応容器7において、底壁7aの内面から上方に向かって液体試料Ls中へ非対称な強度分布を有する音波Waが漏れ出してゆく。このため、液体試料Lsには、図示のように、エネルギー強度が大きい音波Waによって液面まで到達する反時計方向の大きな音響流Fccとエネルギー強度が小さい音波Waによる時計方向の小さな音響流Fcwの2つの非対称な音響流が生じる。この結果、攪拌装置60は、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fccにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。従って、攪拌装置60は、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0080】
ここで、厚み縦振動子61は、図52に示すように、反応容器7から離れた位置に設けてもよい。即ち、厚み縦振動子61は、ホルダ67の内側壁67aに設ける。ホルダ67は、水や恒温液等の音響整合材68を介して反応容器7を収容している。従って、反応容器7は、厚み縦振動子61が接触することなく離れた位置に設けられている。
【0081】
従って、反応容器7は、コントローラ64による制御の下に攪拌装置60によって厚み縦振動子61を駆動すると、厚み縦振動子61に出射された音波は、音響整合材68を伝搬して反応容器7の外面から側壁7bに入射する。側壁7bに入射した音波は、側壁7b内を伝搬した後、図52に示すように、側壁7bから音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波が水平方向に漏れ出す。
【0082】
この結果、反応容器7は、液体試料Ls中へ漏れ出す非対称な強度分布を有する音波Waによって音響流Fcc,Fcwが生じる。このため、攪拌装置60は、厚み縦振動子61を反応容器7から離れた位置に設けても、反応容器7に保持した液体試料Lsを音響流Fcc,Fcwにより底部から液面まで広範囲に亘って均一に攪拌することができる。従って、攪拌装置60は、反応容器7が微小であっても、音響流同士が衝突して互いに流れを相殺する領域を生ずることはなく、音響流による液体の攪拌が妨げられるようなことはない。
【0083】
上述のように、本発明の攪拌装置は、非対称な強度の音波によって発生した液体中の音響流を利用して容器(液体保持部)に保持された液体を攪拌する。このため、本発明の攪拌装置は、反応容器に対する単一の音源の配置を種々に変更することができるので、微小容器の底部から液面まで音響流によって広範囲に液体を均一に攪拌することが可能な自動分析装置や攪拌装置を提供できることに加え、自動分析装置や攪拌装置の設計上の自由度が増すという利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の分析装置の実施の形態1を示す自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で用いる本発明の実施の形態1に係る攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。
【図3】図2の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図4】本発明の攪拌装置を構成する容器の一例として示した四角柱状の反応容器の斜視図である。
【図5】図3に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく本発明の攪拌装置の容器内における非対称な音響流を示す断面図である。
【図6】実施の形態1に係る攪拌装置の第1の変改例を示す平面図である。
【図7】図6の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図8】実施の形態1に係る攪拌装置の第2の変改例を示す平面図である。
【図9】図8の表面弾性波素子に設ける吸音材の断面図である。
【図10】図8の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図11】実施の形態1に係る攪拌装置の第3の変改例を示す平面図である。
【図12】図11の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図13】実施の形態1に係る攪拌装置の第4の変改例を示す平面図である。
【図14】図13の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図15】実施の形態1に係る攪拌装置の第5の変改例を示す断面図である。
【図16】実施の形態1に係る攪拌装置の第6の変改例を示す断面図である。
【図17】実施の形態1に係る攪拌装置の第7の変改例を示す断面図である。
【図18】図1の自動分析装置で用いる本発明の実施の形態2に係る攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。
【図19】図18の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図20】図19に示す音波のエネルギー分布に基づく攪拌装置の容器内における非対称な音響流を示す断面図である。
【図21】図18の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の他の使用例を示す断面図である。
【図22】図18の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の更に他の使用例を示す断面図である。
【図23】反応容器と表面弾性波素子とを位置決めする位置決め部材を示す斜視図である。
【図24】反応容器と表面弾性波素子とを位置決め部材を用いて位置決めした状態を示す斜視図である。
【図25】図1の自動分析装置で用いる本発明の実施の形態3に係る攪拌装置から容器を除いた概略構成を示す平面図である。
【図26】図25の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と反射波を示す模式図である。
【図27】表面弾性波素子が出射した図26に示す音波と反射波とによって合成される合成波を示す模式図である。
【図28】図27の合成波による音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図29】図28に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく非対称な音響流を示す断面図である。
【図30】図25の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と異なる反射器による反射波を示す模式図である。
【図31】表面弾性波素子が出射した図30に示す音波と反射波とによって合成される合成波を示す模式図である。
【図32】図31の合成波による音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図33】図32に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく非対称な音響流を示す断面図である。
【図34】実施の形態3に係る攪拌装置の第1の変改例を示す平面図である。
【図35】図34の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図36】図1の自動分析装置で用いる本発明の実施の形態4に係る攪拌装置の概略構成を示す平面図である。
【図37】図36の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と反射波を示す模式図である。
【図38】表面弾性波素子が出射した図37に示す音波と反射波とによって合成される合成波を示す模式図である。
【図39】図38の合成波による音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図40】図39に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく非対称な音響流を示す断面図である。
【図41】実施の形態4に係る攪拌装置の第1の変改例を示す平面図である。
【図42】図41の攪拌装置で使用する表面弾性波素子が出射した音波と反射波を示す模式図である。
【図43】表面弾性波素子が出射した図42に示す音波と反射波とによって合成される合成波を示す模式図である。
【図44】図43の合成波による音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図45】図44に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく非対称な音響流を示す断面図である。
【図46】実施の形態4に係る攪拌装置の第2の変改例を示す平面図である。
【図47】図46に示す攪拌装置で使用する表面弾性波素子の斜視図である。
【図48】図1の自動分析装置で用いる本発明の実施の形態5に係る攪拌装置の概略構成を示す断面図である。
【図49】図48の攪拌装置の音波発生手段を底面側から見た底面図である。
【図50】図48の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の音波伝搬方向に沿った音波のエネルギー分布図である。
【図51】図50に示す非対称な音波のエネルギー分布に基づく非対称な音響流を示す断面図である。
【図52】実施の形態5に係る攪拌装置の変改例を示す断面図である。
【図53】従来の攪拌手段とその問題点を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
3a 収納室
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応テーブル
6a 収納室
7 反応容器
7a 底壁
7b 側壁
8 光源
9 受光素子
11 排出装置
13 試薬分注機構
15 試薬テーブル
16 試薬容器
17 読取装置
18 判断部
19 分析部
20 攪拌装置
21 表面弾性波素子
21a 圧電基板
21b 振動子
21c,21d 反射器
21e,21f 吸音材
21g,21j 端面
21h 開口
22 電源
23 コントローラ
24 音響整合層
30 攪拌装置
31 表面弾性波素子
31a 圧電基板
31b 振動子
31c,31d 反射器
32 電源
33 コントローラ
34 音響整合層
37 位置決め部材
40,45 攪拌装置
50 攪拌装置
51 送電体
53 表面弾性波素子
53a 圧電基板
53b 振動子
53c アンテナ
60 攪拌装置
61 厚み縦振動子
61a 圧電基板
61b グランド側の電極
61c 信号線側の電極
62 吸音材
63 電源
64 コントローラ
66 音響整合層
Fcc,Fcw 音響流
Ls 液体試料
W 音波
Wr 反射波
Wc 合成波
Wa ,Wag 音波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を音波によって攪拌する攪拌装置であって、
前記液体を保持する液体保持部と、
非対称な強度分布を有する音波を、前記液体保持部の保持する液体に向けて照射する単一の音響素子と、
を具備し、
前記非対称な強度の音波により前記液体中に発生する音響流を利用して、前記液体保持部に保持された液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記音響素子は、
圧電基板上に形成され、前記圧電基板に沿って異なる方向に音波を発生する単一の音源と、
前記音源が発生した音波を前記音源の中心に対して非対称な強度分布にする強度変化部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記強度変化部は、前記音源の中心から見て少なくとも一方の前記圧電基板上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記強度変化部は、前記圧電基板に形成される反射器、吸音材、或いは前記圧電基板の端面のいずれか一つであることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記吸音材は、前記音源の一部を当該音源の中心に対して非対称に覆うことを特徴とする請求項4に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記強度変化部は、前記圧電基板上の前記音源を挟む両側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記強度変化部は、前記音源から等距離の位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記強度変化部は、前記音源から異なる距離の位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
【請求項9】
更に、前記音源の駆動周波数を切り替え或いは変調させる制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記音響素子は、表面弾性波素子であることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項11】
前記音源の中心が前記液体保持部の底面の中心と一致するように、前記音源と前記液体保持部とを位置決めする位置決め手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項12】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウム,タンタル酸リチウム,酸化亜鉛,水晶,チタン酸ジルコン酸鉛,或いはランガサイトのいずれか一つからなることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項13】
前記音響素子は、
圧電基板上に形成され、前記圧電基板に直交する方向に音波を発生する単一の音源と、
前記音源が発生した音波を前記音源の中心に対して非対称な強度分布にする強度変化部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項14】
前記音源は、厚み縦振動子であることを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項15】
前記音源は、前記圧電基板の一方の面に形成される第一の電極と、前記圧電基板の他方の面に形成される第二の電極とを有し、
前記強度変化部は、前記第一又は第二の電極の一部を覆う吸音材である
ことを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項16】
前記音源の中心が前記液体保持部の底面の中心と一致するように、前記音源と前記液体保持部とを位置決めする位置決め手段をさらに有することを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項17】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウム,タンタル酸リチウム,酸化亜鉛,水晶,チタン酸ジルコン酸鉛,或いはランガサイトのいずれか一つからなることを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項18】
検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、請求項1〜17のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2007−71736(P2007−71736A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259896(P2005−259896)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】