支柱部材に網状柵体を取付けるための取付構造および該取付構造を有するフェンス
【課題】 メンテンスが容易なフェンス、およびメンテンスを容易にし得るフェンス用の網状柵体の取付構造の提供。
【解決手段】 支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されている取付構造、および該取付構造を有するフェンス。
【解決手段】 支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されている取付構造、および該取付構造を有するフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスを構成する支柱部材に、網状柵体を取付けるための取付構造、および該取付構造によって支柱部材に網状柵体が取付けられたフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフェンスとして、例えば下記特許文献1に示すものがある。これは、網状柵体と、支柱部材と、支柱部材に網状柵体を装着するための取付具とを有する。
このフェンスは、縦長である支柱部材の前面に網状柵体の端部の線材(縦線材および横線材)を重ね、取付具によって該線材を支柱部材の前面に引込むようにした取付構造部によって、支柱部材に網状柵体が固定されている。
【特許文献1】実公平3−52392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フェンスは一般的に屋外に設置され、風雨に晒される。上記従来のフェンスでは、取付構造部によって、線材を支柱部材の前面に引込んで固定するようにしている。このように、前面に固定されるものが縦横の複数の線材であるから、雨水等が支柱部材の前面と線材との隙間に入り込んで錆びると、支柱部材の前面の汚れが目立ち易くなる。また、前面に接触している線材もまた錆び易く、このため、支柱部材や網状柵体のメンテナンスの頻度が高くなってしまうとともに、その作業が大掛かりになる、といった課題があった。
【0004】
そこで本発明は、メンテンスが容易なフェンス、およびメンテンスを容易にし得るフェンス用の網状柵体の取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フェンスを構成する支柱部材に網状柵体を取付けるための取付構造であって、前記支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されていることを特徴としている。
【0006】
一般的にフェンスは、支柱部材、該支柱部材間に配置される網状柵体、および該網状柵体を支柱部材に着脱自在に取付ける(連結する)ための取付具から構成されており、上記構成の取付構造を用いて網状柵体を支柱部材に取付けるには、取付具を取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具の挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持するよう移動して圧着するから、網状柵体が取付具を介して支柱部材に保持される。
【0007】
本発明の取付構造では、取付具は、取付面に面当り可能な第一底壁部を有する第一取付部材と、前記第一底壁部にその前面で重ねられる第二底壁部を有する第二取付部材との組合わせから構成され、第一取付部材と第二取付部材とは前後方向に相対的にスライド可能とされ、挟持部は、第一底面部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材を後部で保持する保持部と、第二底壁部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部とから構成され、取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジを挿通して該締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込み、第二底壁部が第一底壁部に圧着した際に、縦線材が保持部と押圧部とで圧着されるよう構成されていることを特徴としている。
【0008】
上記構成において、第一取付部材の第一底壁部を取付面に面当りさせ、第二取付部材の第二底壁部を第一底壁部にその前面で重ね、取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジ(ビスやボルトを含む概念である)を挿通して締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込んで第二底壁部を第一底壁部に圧着させると、第一取付部材の保持部に対して第二取付部材の押圧部が後方へ移動して網状柵体の縦線材が保持部と押圧部とで前後で圧着され、網状柵体が取付具を介して支柱部材に保持される。
【0009】
本発明の取付構造では、支柱部材には、締付ネジを回転させた際に取付具の回転を抑制する回転抑制手段が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、取付具を支柱部材に対して固定する際に、締付ネジを回転させても、回転抑制手段によって取付具の回転が抑制され、支柱部材に取付具を固定し易い。
【0010】
本発明の取付構造では、回転抑制手段は、取付面の左右方向一方の端部に設けられて前方に突出する一方の突部と、取付面の左右方向他方の端部に設けられて前方に突出する他方の突部とから構成されて、第一底壁部は一方の突部と他方の突部との間に装着されることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、取付具を支柱部材に取付ける際に、取付具の第一底壁部を一方の突部と他方の突部との間に位置合わせし、締付ネジを回転させることによって取付具を取付面に固定する。
【0012】
本発明の取付構造では、挟持部は、取付具を取付面に取付けた際に取付面と実質的に平行な板壁状に形成されていることを特徴としている。
上記構成のように、挟持部を板壁状に形成することで、その壁面に沿って、挟持する縦線材の左右方向の挟持位置の自由度があげられ、縦線材のピッチに対する対応性が向上する。
【0013】
本発明のフェンスは、上記何れかに記載の網状柵体の取付構造を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の取付構造および該取付構造を有したフェンスによれば、支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が取付面に着脱可能に設けられているから、網状柵体の縦線材が支柱部材に接触することがなく、したがって支柱部材の錆の発生部分の領域が抑えられて、その分だけメンテンスの頻度を抑えることができるとともに、メンテナンス作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る網状柵体の取付構造を、フェンス全体の構成をふまえつつ、図面に基づいて説明する。図1はフェンスの要部斜視図、図2はフェンスの一部正面図である。また、図3はフェンスを構成する網状柵体の高さ方向の一部を省略した拡大側面図である。
【0016】
これらの図に基づいて、まずフェンス1の全体構成を説明する。フェンス1は、複数個の網状柵体2(フェンスパネル)と、支柱部材3と、取付具4とを有する。
網状柵体2はその左右方向両側端部を、取付具4を介して支柱部材3に保持されている。
【0017】
ここで、網状柵体2の構成を説明する。この実施形態におけるフェンス1では複数個の網状柵体2を有しているが、各網状柵体2は左右方向の長さ、および高さは同様なので、一個の網状柵体2について説明する。
網状柵体2は、複数本の縦線材5と複数本の横線材6との組合わせから構成され、縦線材5と横線材6とを溶接することで全体として格子状に形成され、該格子の目は正方形に形成されている。
網状柵体2を複数個設ける場合では、端部の網状柵体2の左右方向幅をその間の網状柵体2の左右方向幅に比べて小さくすることでフェンス1の左右設置長さを調節する場合もあるが、この場合でも縦線材5の本数と横線材6の左右方向長さが異なるだけで、他の構成は間に配置する網状柵体2と同様である。そして、網状柵体2の左右方向長さが短ければその分だけ、同じ外力が網状柵体2に働いた場合の網状柵体2全体の撓み量が少なくなる(変形しにくくなる)。換言すれば、網状柵体2の捩れや歪を低減させることが可能である。また、網状柵体2の重さが小さくなる分だけ取付具4に働く荷重、取付具4によって取付けられる部分の縦線材5に働く外力も小さくなって、取付具4の損傷や縦線材5の破損を効果的に防止することができる。
縦線材5と横線材6の前後位置関係は、本実施形態では、縦線材5が前位置にあって、その後部位置に横線材6が固着されている。なお、縦線材5と横線材6の前後位置関係は逆であってもよい。
【0018】
図1に示すように、縦線材5の上部には、支柱部材3の上端部に載置される載置用線材部7が設けられている。
図3に示すように、載置用線材部7は、縦線材5の上部を後方へ水平に折曲した後方折曲部8と、後方折曲部8の後端部を下方へ折曲した下方折曲部10と、下方折曲部10の下端部を前方へ向けて折曲した前方折曲部11とから一体に形成されている。
載置用線材部7のうち、前方折曲部11が支柱部材3の上端面に後述の被覆部材12を介して設置(仮置き)される。なお、前方折曲部11は後方折曲部8に比べてその前後長さが短くなる設定されている。また、横線材6は、載置用線材部7にも、載置用線材部7で囲まれる領域側に複数本固着されている。
網状柵体2の下端部には、縦線材5を後方へ折曲した下側後方折曲部9が形成されている。下側後方折曲部9の後端上部には横線材6が固着されている。
【0019】
次に、支柱部材3の構成を説明する。図4は第一支柱部材の断面図、図5は第二支柱部材の断面図である。
これらの図および図1、図2に示すように、支柱部材3はアルミニウムの押出成形により中空状の長尺物として形成され、該長尺物を所望の長さに切断することで形成されている。フェンス1の構成部品としての支柱部材3は、切断面(長手方向に直交する断面)がT字形状の第一支柱部材3Aと、切断面がL字形状の第二支柱部材3Bとから構成されている。
第一支柱部材3Aおよび第二支柱部材3Bともに、網状柵体2を保持するための前記取付具4を着脱可能に取付ける取付面13を有した取付壁部14と、取付壁部14から取付面13に対して直交する方向、すなわち前方に突出する突出面15を有する突壁部16とを備えている。
【0020】
第一支柱部材3Aについて詳述すると、第一支柱部材3Aは、図2に示すように、左右方向中間に設けられる網状柵体2を保持するものである。第一支柱部材3Aは、取付壁部14および突壁部16ともに断面略長方形形状に形成され、突壁部16は取付壁部14の左右方向中心部位に一体的に前方に突出するよう形成され、取付壁部14と突壁部16とでは、突壁部16の厚みt1が取付壁部14の厚みt2に比べて小さく形成されている。
取付壁部14および突壁部16のうち、取付壁部14にのみ中空に形成した中空部17が形成されている。この中空部17の内面左右方向両側には、蟻溝18が形成されている。
なお、強度(剛性)が許されるなら突壁部16もまた中空に形成してもよい。
【0021】
取付壁部14の左右両側壁面には、上下高さ方向に離間した所定位置に、前後方向に貫通して後述の締付ネジ20が挿通される挿通孔21が形成されている。この挿通孔21の上下高さ位置は、取付具4を取付ける位置に設定される。
取付壁部14の前面(突壁部16を形成している側)が、取付具4の前記取付面13であり、これは左右方向の平面に形成されている。取付壁部14の背面22もまた、左右方向の平面に形成されている。
取付壁部14の左右方向両側端部には、取付面13から、さらにわずかに前方に突出する一方の突部23が一体的に形成されている。この一方の突部23は支柱部材3の上下高さ方向全域にわたって突条状に形成されている。一方の突部23を形成することによって、支柱部材3の剛性を向上させている。一方の突部23どうしの左右の対向面24は前後方向の平面に形成されている。
【0022】
取付壁部14の左右方向両側端部には、背面22から、さらにわずかに後方に突出する他方の突部25が一体的に形成されている。この他方の突部25は支柱部材3の上下高さ方向全域にわたって突条状に形成されている。他方の突部25を形成することによって、支柱部材3の剛性を向上させている。
一方の突部23と他方の突部25とでは、一方の突部23の突出量の方が他方の突部25に比べて大きくなるよう形成されている。
【0023】
取付壁部14の左右方向両側の側面14Aにおいて、一方の突部23に対応する部分は左右方向側中心に向けてわずかに傾斜した一方の傾斜面26とされており、他方の突部25に対応する部分もまた左右方向側中心に向けてわずかに傾斜した他方の傾斜面27とされている。一方の傾斜面26と他方の突部25との間は、互いに前後方向で略平行な平面(それぞれ、わずかに左右方向に突出する円弧面)に形成されている。
【0024】
突壁部16の突出面15は、互いに前後方向に平行な平面であり、突壁部16の先端部には、左右方向にわずかに膨出する先端突部28が形成されている。先端突部28と突出面15とは傾斜湾曲面30によって連続されている。この先端突部28は、支柱部材3の剛性を向上させるべく設けられている。
このようにして、第一支柱部材3Aでは、取付面13および突出面15は、第一支柱部材3Aの左右方向長さ中心に対して両方側に設けられている。
【0025】
第二支柱部材3Bを説明すると、これは図2に示すように、端部で網状柵体2を保持するものである。
第二支柱部材3Bは、突壁部16に対して取付壁部14が左右方向一方側にのみ存在する構成である。換言すれば、第一支柱部材3Aの取付壁部14の左右方向の長さが略半分であり、その取付壁部14の左右方向一端側から前方に突壁部16が突出するよう、一体的に形成されている。この場合も、中空部17を取付壁部14に有し、中空部17の内面左右方向両側には、蟻溝18が形成されている。
取付壁部14には、上下高さ方向に離間した所定位置に、前後方向に貫通して締付ネジ20が挿通される挿通孔21が形成されている。この挿通孔21の上下高さ位置は、取付具4を取付ける位置に設定される。第二支柱部材3Bでは、取付面13および突出面15は左右方向の何れかにのみ設けられている。
その他の構成は第一支柱部材3Aと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
図6ないし図9に示すように、支柱部材3の上端面を覆うように取付けられる被覆部材12が設けられている。
図6は被覆部材12の平面図、図7は正面図、図8は側面図、図9は底面図である。
被覆部材12は、第一支柱部材3A用と第二支柱部材3B用がある。何れの被覆部材12も、それぞれ第一支柱部材3Aの断面形状、第二支柱部材3Bの断面形状に相対する平面形状に形成されている。
第一支柱部材3A用の被覆部材12について説明すると、これは、取付壁部14を被覆する取付壁被覆部35と、突壁部16を被覆する突壁被覆部36とを有し、これらが一体に、アルミニウム合金や亜鉛合金等の金属、あるいは合成樹脂から略T字の板状に形成されている。図9に示すように、被覆部材12の下面外周部には、第一支柱部材3Aの上端外周部に沿うよう外嵌するリブ37が形成されている。
【0027】
図6ないし図8に示すように、取付壁被覆部35上の左右方向両側端部には、上方に立ち上がって、網状柵体2の載置用線材部7を載置した際にこれが横方向に位置ずれするのを防止するずれ防止部38が形成されている。
但し、被覆部材12に網状柵体2の載置用線材部7を載置するとは、この場合は後述するように、施工(フェンス1の組立)の際の仮置きを意味する。
取付壁被覆部35の左右方向両側部には、取付ネジ39(例えば皿ネジ)の頭部が挿入されるネジ頭部孔41が形成されている。ネジ頭部孔41は、蟻溝18に上下方向で対向する位置に形成されている。
なお、図示しないが、第二支柱部材3B用の被覆部材もまた、第二支柱部材3Bの断面形状に合致する相対形状の板状に形成されて、ずれ防止部、リブ、ネジ頭部孔を備える。
蟻溝18は、中空部17の任意の位置(例えば左右方向中心位置にのみ)に形成し、ネジ頭部孔41もまた蟻溝18に対向する部分にのみ形成することも好ましい。このようにすることにより、蟻溝18に取付ネジ39を螺合して支柱部材3に被覆部材12を装着する際に、取付ネジ3を複数個取付る作業に比べて容易になる。
【0028】
次に、図10ないし図19に基づいて、支柱部材3に網状柵体2を保持させるよう取付ける取付構造として、その構成部品である取付具4の構成を説明する。
図10ないし図12は取付具4および網状柵体2の取付工程を示す平面図である。図13および図14は、それぞれ取付具4を構成する第一取付部材の側面図および平面図である。図15および図16は、それぞれ取付具4を構成する第二取付部材の側面図および平面図である。図17ないし図19は取付具4の動きを示す側面図である。
【0029】
図10ないし図12に示すように、取付具4は、支柱部材3の取付面13の前方に離間して網状柵体2の縦線材5を保持するものであって、支柱部材3の取付面13に締付ネジ20を介して着脱自在に設けられる。したがって、前記取付構造として、支柱部材3および取付具4を有する。
【0030】
取付具4は、取付面13の上下方向所定部位に面当りさせて固定すると、その固定動作に伴って、挟持部45が網状柵体2の縦線材5(端部の縦線材5a)をその前後で挟持して圧着させることができるよう構成されている。
【0031】
さらに具体的に説明すると、取付具4は、支柱部材3の所定の上下方向高さ位置となるよう上下方向に間を置いて配置されるものである。取付具4は支柱部材3の取付面13に面当り可能な第一底壁部50を有する第一取付部材51と、第一底壁部50にその前面で重ねられる第二底壁部52を有する第二取付部材53との組合わせから構成されている。この第一取付部材51および第二取付部材53ともに、所定の上下高さに形成された一枚の金属板を曲げ加工することで、全体概略形状に形成される。
取付具4では、第一取付部材51と第二取付部材53とが組合わされた状態で、前後方向(FR)に相対的にスライド可能とされ、取付具4は、第一取付部材51と第二取付部材53とを前後方向にスライドさせるためのスライド手段を有する。
挟持部45は、第一底壁部50に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材5を後部で保持する保持部55と、第二底壁部52に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材5をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部56とから構成されている。
【0032】
第一取付部材51において、第一底壁部50および保持部55は左右方向に沿ってしかも平行であり、第一底壁部50および保持部55は、第一連結部60を介して一体に形成されている。第一底壁部50の後面50aは左右方向の平面であり、後面50aは取付面13と面当りすることができる。
第一連結部60は、後側折曲部61、中程折曲部62、前側折曲部63の三つの折曲部から形成されている。後側折曲部61は第一底壁部50の左右方向一端側(図においては左方向一端側)から前方へ向けて折曲されており、中程折曲部62は後側折曲部61の前端部から支柱部材3の突壁部16側(図においては右方向)に折曲されており、前側折曲部63は中程折曲部62の突壁部16側端部から前方へ向けて折曲されている。
保持部55は前側折曲部63の前端部から突壁部16に対して離れる方向(図においては左側)に折曲されて形成されている。
後側折曲部61および前側折曲部63は、第一取付部材51を取付面13に取付けた状態において、突壁部16の突出面15に沿う。さらに保持部55の先端部は前方に折曲されることで、第一抜止片65が形成されている。保持部55の前面である保持面66は、縦線材5を位置決めし易いように、波形状に形成されている。
【0033】
第二取付部材53において、第二底壁部52と押圧部56とは左右方向に沿ってしかも平行であり、第二底壁部52と押圧部56とは、第二連結部70を介して一体に形成されている。第二連結部70は第二底壁部52と押圧部56をその突壁部16側端部で連結する板部として構成されて、第二底壁部52と押圧部56とを前後で連結している。さらに押圧部56の先端部は後方に折曲されることで、第二抜止片71が形成されている。押圧部56の背面である押圧面72は左右方向の平面に形成されている。また、第二連結部70の突出面15側の側面70aは平坦面とされて、第二連結部70は、第二取付部材53を取付面13に取付けた状態において、突壁部16の突出面15に沿う。
【0034】
第一抜止片65と第二抜止片71とは、折曲方向は反対であるがその前後方向長さは略同一に形成されており、第一取付部材51と第二取付部材53とを組合せた際に、第二抜止片71は第一抜止片65に比べて突出面15から離れて位置するよう構成され、第一取付部材51と第二取付部材53とを組合せた際に、第二抜止片71と第一抜止片65とは左右方向で対向するよう構成されている。
なお、前記中程折曲部62の前後方向長さは、第二連結部70に比べて短く設定されている。
【0035】
第一取付部材51と第二取付部材53とを前後方向にスライドさせるための前記スライド手段を説明する。
スライド手段は、第一取付部材51の中程折曲部62に設けられた案内爪75,76として構成されている。案内爪75,76は、中程折曲部62の上端部および下端部に、それぞれ突出面15側に折曲された厚み確保用折曲部77,78と、この厚み確保用折曲部77,78の先端部に、上下方向で対向するよう折曲された押さえ部80,81とから一体的に形成されている。各案内爪75,76の押さえ部80,81は、前後方向に離間して対で設けられている。
この押さえ部80,81の左右側面は平面とされ、突出面15側の側面80a,81aが突出面15に面当りして、かつ摺動可能となっている。
【0036】
第二取付部材53の第二連結部70の前後方向途中には、各案内爪75,76の押さえ部80,81と相対形状の切欠82,83が前後方向に離間して、第二連結部70の上下端面から切欠くようにして形成されている(例えば図15参照)。
厚み確保用折曲部77,78の左右方向の厚みは、押さえ部80,81を切欠82,83に通過させて第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを左右方向で重ねた状態で第二連結部70の左右方向の厚みよりわずかに大きくなるよう設定されている。
【0037】
押さえ部80,81を切欠82,83に通過させて第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを左右方向で重ねた状態で、締付ネジ20が挿抜自在な挿通孔84が、第一取付部材51の第一底壁部50に形成されるとともに、第二取付部材53の第二底壁部52に締付ネジ20が螺合するネジ孔85が形成されている。
【0038】
次に、上記構成のフェンス1を施工する方法について説明する。支柱部材3は長尺に形成したのものを、必要な高さに応じて切断し、フェンス1を設置する場所にコンクリート基礎等を用いて立設する。この場合、用いる網状柵体2の左右方向幅に応じて、支柱部材3の左右方向離間間隔を設定する。また、網状柵体2を二個並べる場合では、中心に第一支柱部材3Aを配置し、両側には第二支柱部材3Bを配置する。網状柵体2を三個以上並べる場合等において、何れにしても端部に配置する支柱部材3は第二支柱部材3Bであり、その間に配置する支柱部材3は第一支柱部材3Aとする。
【0039】
各支柱部材3の上端面には、被覆部材12をそれぞれ設置しておく。被覆部材12は、取付ネジ39をネジ頭部孔41に挿入するようにして、取付ネジ39を蟻溝18に螺合することで、各支柱部材3の上端面に被覆部材12を容易に固定することができる。アルミニウムの押出し成形による長尺物を切断すると、その切断面に鋭利な部分が露呈する可能性が考えられるが、上記のように、各支柱部材3の上端面が切断面であったとしても、被覆部材12で被覆することによって、安全性を確保することができる。また、被覆部材12を設置することにより、中空部17に雨水等が侵入するのを抑制することができる。
【0040】
網状柵体2については、これを、載置用線材部7および下側後方折曲部9を含めて、必要な左右方向幅および上下方向高さに形成しておく。この際、縦線材5および横線材6で形成される桝目は正方形となるようにしておく。また横線材6の左右端部は、左右端部の縦線材5aから左右方向に突出しないように設けておく。
【0041】
上記の網状柵体2は、載置用線材部7の前方折曲部11を支柱部材3どうしの被覆部材12の取付壁被覆部35に載置することで、支柱部材3間に仮置きすることができる。このとき、被覆部材12には、ずれ防止部38を設けているから、仮置きした網状柵体2が左右方向に移動させる力が働いたとしても、前方折曲部11がずれ防止部38に係止して、網状柵体2が位置ずれてしまうのを抑制することができる。
取付具4は、第一取付部材51と第二取付部材53とを組付けた組品としておく。この場合、第二取付部材53の切欠82,83に第一取付部材51の押さえ部80,81を通過させて(図17参照)、第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを重ねるようにする。そうすると、第二底壁部52が第一底壁部51と中程折曲部62との間に入る。
【0042】
続いて、中程折曲部62と第二連結部70とを摺動するようにして第一取付部材51と第二取付部材53とを位置ずれさせて、第二取付部材53の切欠82,83と第一取付部材51の押さえ部80,81とが対向する位置にないようにする(図18または図19参照)。
このようにすることで、中程折曲部62と第二連結部70とが離れる方向に第一取付部材51と第二取付部材53とを離そうとすると、第二連結部70の側面70aが第一取付部材51の押さえ部80,81に当る(係止する)から、第一取付部材51と第二取付部材53とが容易に外れてしまうといった状態を抑制することができ、しかも第一取付部材51と第二取付部材53とがスライド手段によって、相対的にスライド可能となる。
【0043】
このようにして組品とした取付具4を、支柱部材3に対して、その挿通孔21が形成されている上下高さ位置で側方から装着する。この場合、第一取付部材51の保持部55の第一係止片65と第二取付部材53の押圧部56の第二係止片71との隙間から、端部の縦線材5aが保持部55と押圧部56との間に入れ、取付具4を水平面内で回転させるようにして側面80a,81aを突出面15に当てるようにし、取付具4を後方へ引くようにして、支柱部材3の取付面13に第一底壁部50の後面50aを面当りさせる。このようにすると、第一底壁部50が支柱部材3の突出面15と突部23の対向面24との間に挟まれた状態となる(図10ないし図13参照)。
【0044】
続いて、締付ネジ20を挿通孔21に挿通し、さらに第一底壁部50の挿通孔84に挿通するとともに、第二底壁部52のネジ孔85に螺合する。このようにして締付ネジ20を回転させると、締付ネジ20がネジ孔85の雌ネジに螺入し、締付ネジ20はその頭部が取付壁部14の背面22に当接することで前進しないから、中程折曲部62と第二連結部70とが摺動するようにして、第二底壁部52が第一底壁部51と中程折曲部62との間を後方へ移動し、また第二連結部70が案内爪75,76の内面で案内されて、第二底壁部52すなわち第二取付部材52が後方へ引き寄せられる。
【0045】
さらに締付ネジ20を回転させることによって、押圧部56が保持部55に引き寄せられ(図11参照)、端部の縦線材5aが保持部55の保持面66と押圧部56の押圧面72によって挟持されて、保持される。このとき、第一抜止片65と第二抜止片71とは互いに左右方向に位置ずれしているから、縦線材5aを挟持する際には干渉しあわない(図12参照)。また、端部の縦線材5aが保持部55の保持面66と押圧部56の押圧面72によって挟持されて保持された際に、第一底壁部51に第二底壁部52が当接(圧接)するよう構成することが好ましい。
【0046】
また、締付ネジ20を回転させると、取付具4もまたその回転方向の力を受けるが、取付具4においてはその第一底壁部50が、突出面15と対向面24との間に挟まれた状態となっているから、突出面15と対向面24(突壁部16と突部23)とが回転抑制手段として機能する。
上記のような取付具4の取付作業を、第一支柱部材3A、第二支柱部材3Bについて、挿通孔21を形成した部位において行って、各取付具4によって端部の縦線材5aを取付具4の挟持部45で挟持して保持することで、フェンス1を施工することができる。
【0047】
上記構成のフェンス1では、網状柵体2、特に縦線材5は支柱部材3に直接的に保持(接触)されておらず、支柱部材3に、その上下高さ方向に間隔を置いて配置した取付具4を介して網状柵体2が保持されているから、支柱部材3に接触する部材として取付具4ということになる。したがって、縦線材のように上下高さ方向に長い部材が支柱部材に接触している場合に比べて、錆等の汚れが発生する領域を狭めることができる。このため、メンテナンスの頻度を抑えることができるとともにその作業もまた、容易になる。
また、取付壁部14と突壁部16とでは、突壁部16の厚みt1を取付壁部14の厚みt2に比べて小さく形成し、取付壁部14には中空部17を形成しているから、その分だけ支柱部材3を軽量化させることができ、扱い易い。
【0048】
さらに、網状柵体2の載置用線材部7を被覆部材12に仮置きした状態で取付具4を支柱部材3に組付けることも可能であるため、その分だけ施工性に優れる。
さらに、支柱部材3はその後部に左右幅の広い取付壁部14を配置し、前部に左右幅の狭い突壁部16を配置しているから、支柱部材3の存在感がうすれ、美観にも優れたフェンス1となる。また、矩形枠形状に形成した載置用線材部7を設けたことや下側後方折曲部9を設けたことにより、網状柵体2に、全体としてのボリューム感や安定感が付与されており、この点においても美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態を示すフェンスの要部斜視図
【図2】同じくフェンスの一部正面図
【図3】同じくフェンスを構成する網状柵体の高さ方向の一部を省略した拡大側面図
【図4】同じく第一支柱部材の断面図
【図5】同じく第二支柱部材の断面図
【図6】同じく被覆部材の平面図
【図7】同じく被覆部材の正面図
【図8】同じく被覆部材の側面図
【図9】同じく被覆部材の底面図
【図10】同じく保持部と押圧部とが最も離れた状態の平面図
【図11】同じく保持部に押圧部が近付いた状態の平面図
【図12】同じく保持部と押圧部とで縦線材を挟持した状態の平面図
【図13】同じく取付具を構成する第一取付部材の側面図
【図14】同じく第一取付部材の平面図
【図15】同じく取付具を構成する第二取付部材の側面図
【図16】同じく第二取付部材の平面図
【図17】同じく取付具の動きを示す説明図で、図11に相当する側面図
【図18】同じく図10に相当する、取付具の側面図
【図19】同じく図12に相当する、取付具の側面図
【符号の説明】
【0050】
1…フェンス、2…網状柵体、3…支柱部材、3A…第一支柱部材、3B…第二支柱部材、4…取付具、5…縦線材、5a…縦線材、6…横線材、7…載置用線材部、8…後方折曲部、9…下側後方折曲部、11…前方折曲部、12…被覆部材、13…取付面、14…取付壁部、15…突出面、16…突壁部、17…中空部、18…蟻溝、20…締付ネジ、21…挿通孔、22…背面、23…突部、24…対向面、35…取付壁被覆部、38…ずれ防止部、39…取付ネジ、41…ネジ頭部孔、45…挟持部、50…第一底壁部、50a…後面、51…第一取付部材、52…第二底壁部、53…第二取付部材、55…保持部、56…押圧部、62…中程折曲部、65…第一抜止片、66…保持面、70…第二連結部、70a…側面、71…第二抜止片、72…押圧面、75,76…案内爪、80,81…押さえ部、80a,81a…側面、82,83…切欠、84…挿通孔、85…ネジ孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスを構成する支柱部材に、網状柵体を取付けるための取付構造、および該取付構造によって支柱部材に網状柵体が取付けられたフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフェンスとして、例えば下記特許文献1に示すものがある。これは、網状柵体と、支柱部材と、支柱部材に網状柵体を装着するための取付具とを有する。
このフェンスは、縦長である支柱部材の前面に網状柵体の端部の線材(縦線材および横線材)を重ね、取付具によって該線材を支柱部材の前面に引込むようにした取付構造部によって、支柱部材に網状柵体が固定されている。
【特許文献1】実公平3−52392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フェンスは一般的に屋外に設置され、風雨に晒される。上記従来のフェンスでは、取付構造部によって、線材を支柱部材の前面に引込んで固定するようにしている。このように、前面に固定されるものが縦横の複数の線材であるから、雨水等が支柱部材の前面と線材との隙間に入り込んで錆びると、支柱部材の前面の汚れが目立ち易くなる。また、前面に接触している線材もまた錆び易く、このため、支柱部材や網状柵体のメンテナンスの頻度が高くなってしまうとともに、その作業が大掛かりになる、といった課題があった。
【0004】
そこで本発明は、メンテンスが容易なフェンス、およびメンテンスを容易にし得るフェンス用の網状柵体の取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フェンスを構成する支柱部材に網状柵体を取付けるための取付構造であって、前記支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されていることを特徴としている。
【0006】
一般的にフェンスは、支柱部材、該支柱部材間に配置される網状柵体、および該網状柵体を支柱部材に着脱自在に取付ける(連結する)ための取付具から構成されており、上記構成の取付構造を用いて網状柵体を支柱部材に取付けるには、取付具を取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具の挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持するよう移動して圧着するから、網状柵体が取付具を介して支柱部材に保持される。
【0007】
本発明の取付構造では、取付具は、取付面に面当り可能な第一底壁部を有する第一取付部材と、前記第一底壁部にその前面で重ねられる第二底壁部を有する第二取付部材との組合わせから構成され、第一取付部材と第二取付部材とは前後方向に相対的にスライド可能とされ、挟持部は、第一底面部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材を後部で保持する保持部と、第二底壁部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部とから構成され、取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジを挿通して該締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込み、第二底壁部が第一底壁部に圧着した際に、縦線材が保持部と押圧部とで圧着されるよう構成されていることを特徴としている。
【0008】
上記構成において、第一取付部材の第一底壁部を取付面に面当りさせ、第二取付部材の第二底壁部を第一底壁部にその前面で重ね、取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジ(ビスやボルトを含む概念である)を挿通して締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込んで第二底壁部を第一底壁部に圧着させると、第一取付部材の保持部に対して第二取付部材の押圧部が後方へ移動して網状柵体の縦線材が保持部と押圧部とで前後で圧着され、網状柵体が取付具を介して支柱部材に保持される。
【0009】
本発明の取付構造では、支柱部材には、締付ネジを回転させた際に取付具の回転を抑制する回転抑制手段が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、取付具を支柱部材に対して固定する際に、締付ネジを回転させても、回転抑制手段によって取付具の回転が抑制され、支柱部材に取付具を固定し易い。
【0010】
本発明の取付構造では、回転抑制手段は、取付面の左右方向一方の端部に設けられて前方に突出する一方の突部と、取付面の左右方向他方の端部に設けられて前方に突出する他方の突部とから構成されて、第一底壁部は一方の突部と他方の突部との間に装着されることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、取付具を支柱部材に取付ける際に、取付具の第一底壁部を一方の突部と他方の突部との間に位置合わせし、締付ネジを回転させることによって取付具を取付面に固定する。
【0012】
本発明の取付構造では、挟持部は、取付具を取付面に取付けた際に取付面と実質的に平行な板壁状に形成されていることを特徴としている。
上記構成のように、挟持部を板壁状に形成することで、その壁面に沿って、挟持する縦線材の左右方向の挟持位置の自由度があげられ、縦線材のピッチに対する対応性が向上する。
【0013】
本発明のフェンスは、上記何れかに記載の網状柵体の取付構造を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の取付構造および該取付構造を有したフェンスによれば、支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が取付面に着脱可能に設けられているから、網状柵体の縦線材が支柱部材に接触することがなく、したがって支柱部材の錆の発生部分の領域が抑えられて、その分だけメンテンスの頻度を抑えることができるとともに、メンテナンス作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る網状柵体の取付構造を、フェンス全体の構成をふまえつつ、図面に基づいて説明する。図1はフェンスの要部斜視図、図2はフェンスの一部正面図である。また、図3はフェンスを構成する網状柵体の高さ方向の一部を省略した拡大側面図である。
【0016】
これらの図に基づいて、まずフェンス1の全体構成を説明する。フェンス1は、複数個の網状柵体2(フェンスパネル)と、支柱部材3と、取付具4とを有する。
網状柵体2はその左右方向両側端部を、取付具4を介して支柱部材3に保持されている。
【0017】
ここで、網状柵体2の構成を説明する。この実施形態におけるフェンス1では複数個の網状柵体2を有しているが、各網状柵体2は左右方向の長さ、および高さは同様なので、一個の網状柵体2について説明する。
網状柵体2は、複数本の縦線材5と複数本の横線材6との組合わせから構成され、縦線材5と横線材6とを溶接することで全体として格子状に形成され、該格子の目は正方形に形成されている。
網状柵体2を複数個設ける場合では、端部の網状柵体2の左右方向幅をその間の網状柵体2の左右方向幅に比べて小さくすることでフェンス1の左右設置長さを調節する場合もあるが、この場合でも縦線材5の本数と横線材6の左右方向長さが異なるだけで、他の構成は間に配置する網状柵体2と同様である。そして、網状柵体2の左右方向長さが短ければその分だけ、同じ外力が網状柵体2に働いた場合の網状柵体2全体の撓み量が少なくなる(変形しにくくなる)。換言すれば、網状柵体2の捩れや歪を低減させることが可能である。また、網状柵体2の重さが小さくなる分だけ取付具4に働く荷重、取付具4によって取付けられる部分の縦線材5に働く外力も小さくなって、取付具4の損傷や縦線材5の破損を効果的に防止することができる。
縦線材5と横線材6の前後位置関係は、本実施形態では、縦線材5が前位置にあって、その後部位置に横線材6が固着されている。なお、縦線材5と横線材6の前後位置関係は逆であってもよい。
【0018】
図1に示すように、縦線材5の上部には、支柱部材3の上端部に載置される載置用線材部7が設けられている。
図3に示すように、載置用線材部7は、縦線材5の上部を後方へ水平に折曲した後方折曲部8と、後方折曲部8の後端部を下方へ折曲した下方折曲部10と、下方折曲部10の下端部を前方へ向けて折曲した前方折曲部11とから一体に形成されている。
載置用線材部7のうち、前方折曲部11が支柱部材3の上端面に後述の被覆部材12を介して設置(仮置き)される。なお、前方折曲部11は後方折曲部8に比べてその前後長さが短くなる設定されている。また、横線材6は、載置用線材部7にも、載置用線材部7で囲まれる領域側に複数本固着されている。
網状柵体2の下端部には、縦線材5を後方へ折曲した下側後方折曲部9が形成されている。下側後方折曲部9の後端上部には横線材6が固着されている。
【0019】
次に、支柱部材3の構成を説明する。図4は第一支柱部材の断面図、図5は第二支柱部材の断面図である。
これらの図および図1、図2に示すように、支柱部材3はアルミニウムの押出成形により中空状の長尺物として形成され、該長尺物を所望の長さに切断することで形成されている。フェンス1の構成部品としての支柱部材3は、切断面(長手方向に直交する断面)がT字形状の第一支柱部材3Aと、切断面がL字形状の第二支柱部材3Bとから構成されている。
第一支柱部材3Aおよび第二支柱部材3Bともに、網状柵体2を保持するための前記取付具4を着脱可能に取付ける取付面13を有した取付壁部14と、取付壁部14から取付面13に対して直交する方向、すなわち前方に突出する突出面15を有する突壁部16とを備えている。
【0020】
第一支柱部材3Aについて詳述すると、第一支柱部材3Aは、図2に示すように、左右方向中間に設けられる網状柵体2を保持するものである。第一支柱部材3Aは、取付壁部14および突壁部16ともに断面略長方形形状に形成され、突壁部16は取付壁部14の左右方向中心部位に一体的に前方に突出するよう形成され、取付壁部14と突壁部16とでは、突壁部16の厚みt1が取付壁部14の厚みt2に比べて小さく形成されている。
取付壁部14および突壁部16のうち、取付壁部14にのみ中空に形成した中空部17が形成されている。この中空部17の内面左右方向両側には、蟻溝18が形成されている。
なお、強度(剛性)が許されるなら突壁部16もまた中空に形成してもよい。
【0021】
取付壁部14の左右両側壁面には、上下高さ方向に離間した所定位置に、前後方向に貫通して後述の締付ネジ20が挿通される挿通孔21が形成されている。この挿通孔21の上下高さ位置は、取付具4を取付ける位置に設定される。
取付壁部14の前面(突壁部16を形成している側)が、取付具4の前記取付面13であり、これは左右方向の平面に形成されている。取付壁部14の背面22もまた、左右方向の平面に形成されている。
取付壁部14の左右方向両側端部には、取付面13から、さらにわずかに前方に突出する一方の突部23が一体的に形成されている。この一方の突部23は支柱部材3の上下高さ方向全域にわたって突条状に形成されている。一方の突部23を形成することによって、支柱部材3の剛性を向上させている。一方の突部23どうしの左右の対向面24は前後方向の平面に形成されている。
【0022】
取付壁部14の左右方向両側端部には、背面22から、さらにわずかに後方に突出する他方の突部25が一体的に形成されている。この他方の突部25は支柱部材3の上下高さ方向全域にわたって突条状に形成されている。他方の突部25を形成することによって、支柱部材3の剛性を向上させている。
一方の突部23と他方の突部25とでは、一方の突部23の突出量の方が他方の突部25に比べて大きくなるよう形成されている。
【0023】
取付壁部14の左右方向両側の側面14Aにおいて、一方の突部23に対応する部分は左右方向側中心に向けてわずかに傾斜した一方の傾斜面26とされており、他方の突部25に対応する部分もまた左右方向側中心に向けてわずかに傾斜した他方の傾斜面27とされている。一方の傾斜面26と他方の突部25との間は、互いに前後方向で略平行な平面(それぞれ、わずかに左右方向に突出する円弧面)に形成されている。
【0024】
突壁部16の突出面15は、互いに前後方向に平行な平面であり、突壁部16の先端部には、左右方向にわずかに膨出する先端突部28が形成されている。先端突部28と突出面15とは傾斜湾曲面30によって連続されている。この先端突部28は、支柱部材3の剛性を向上させるべく設けられている。
このようにして、第一支柱部材3Aでは、取付面13および突出面15は、第一支柱部材3Aの左右方向長さ中心に対して両方側に設けられている。
【0025】
第二支柱部材3Bを説明すると、これは図2に示すように、端部で網状柵体2を保持するものである。
第二支柱部材3Bは、突壁部16に対して取付壁部14が左右方向一方側にのみ存在する構成である。換言すれば、第一支柱部材3Aの取付壁部14の左右方向の長さが略半分であり、その取付壁部14の左右方向一端側から前方に突壁部16が突出するよう、一体的に形成されている。この場合も、中空部17を取付壁部14に有し、中空部17の内面左右方向両側には、蟻溝18が形成されている。
取付壁部14には、上下高さ方向に離間した所定位置に、前後方向に貫通して締付ネジ20が挿通される挿通孔21が形成されている。この挿通孔21の上下高さ位置は、取付具4を取付ける位置に設定される。第二支柱部材3Bでは、取付面13および突出面15は左右方向の何れかにのみ設けられている。
その他の構成は第一支柱部材3Aと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
図6ないし図9に示すように、支柱部材3の上端面を覆うように取付けられる被覆部材12が設けられている。
図6は被覆部材12の平面図、図7は正面図、図8は側面図、図9は底面図である。
被覆部材12は、第一支柱部材3A用と第二支柱部材3B用がある。何れの被覆部材12も、それぞれ第一支柱部材3Aの断面形状、第二支柱部材3Bの断面形状に相対する平面形状に形成されている。
第一支柱部材3A用の被覆部材12について説明すると、これは、取付壁部14を被覆する取付壁被覆部35と、突壁部16を被覆する突壁被覆部36とを有し、これらが一体に、アルミニウム合金や亜鉛合金等の金属、あるいは合成樹脂から略T字の板状に形成されている。図9に示すように、被覆部材12の下面外周部には、第一支柱部材3Aの上端外周部に沿うよう外嵌するリブ37が形成されている。
【0027】
図6ないし図8に示すように、取付壁被覆部35上の左右方向両側端部には、上方に立ち上がって、網状柵体2の載置用線材部7を載置した際にこれが横方向に位置ずれするのを防止するずれ防止部38が形成されている。
但し、被覆部材12に網状柵体2の載置用線材部7を載置するとは、この場合は後述するように、施工(フェンス1の組立)の際の仮置きを意味する。
取付壁被覆部35の左右方向両側部には、取付ネジ39(例えば皿ネジ)の頭部が挿入されるネジ頭部孔41が形成されている。ネジ頭部孔41は、蟻溝18に上下方向で対向する位置に形成されている。
なお、図示しないが、第二支柱部材3B用の被覆部材もまた、第二支柱部材3Bの断面形状に合致する相対形状の板状に形成されて、ずれ防止部、リブ、ネジ頭部孔を備える。
蟻溝18は、中空部17の任意の位置(例えば左右方向中心位置にのみ)に形成し、ネジ頭部孔41もまた蟻溝18に対向する部分にのみ形成することも好ましい。このようにすることにより、蟻溝18に取付ネジ39を螺合して支柱部材3に被覆部材12を装着する際に、取付ネジ3を複数個取付る作業に比べて容易になる。
【0028】
次に、図10ないし図19に基づいて、支柱部材3に網状柵体2を保持させるよう取付ける取付構造として、その構成部品である取付具4の構成を説明する。
図10ないし図12は取付具4および網状柵体2の取付工程を示す平面図である。図13および図14は、それぞれ取付具4を構成する第一取付部材の側面図および平面図である。図15および図16は、それぞれ取付具4を構成する第二取付部材の側面図および平面図である。図17ないし図19は取付具4の動きを示す側面図である。
【0029】
図10ないし図12に示すように、取付具4は、支柱部材3の取付面13の前方に離間して網状柵体2の縦線材5を保持するものであって、支柱部材3の取付面13に締付ネジ20を介して着脱自在に設けられる。したがって、前記取付構造として、支柱部材3および取付具4を有する。
【0030】
取付具4は、取付面13の上下方向所定部位に面当りさせて固定すると、その固定動作に伴って、挟持部45が網状柵体2の縦線材5(端部の縦線材5a)をその前後で挟持して圧着させることができるよう構成されている。
【0031】
さらに具体的に説明すると、取付具4は、支柱部材3の所定の上下方向高さ位置となるよう上下方向に間を置いて配置されるものである。取付具4は支柱部材3の取付面13に面当り可能な第一底壁部50を有する第一取付部材51と、第一底壁部50にその前面で重ねられる第二底壁部52を有する第二取付部材53との組合わせから構成されている。この第一取付部材51および第二取付部材53ともに、所定の上下高さに形成された一枚の金属板を曲げ加工することで、全体概略形状に形成される。
取付具4では、第一取付部材51と第二取付部材53とが組合わされた状態で、前後方向(FR)に相対的にスライド可能とされ、取付具4は、第一取付部材51と第二取付部材53とを前後方向にスライドさせるためのスライド手段を有する。
挟持部45は、第一底壁部50に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材5を後部で保持する保持部55と、第二底壁部52に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材5をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部56とから構成されている。
【0032】
第一取付部材51において、第一底壁部50および保持部55は左右方向に沿ってしかも平行であり、第一底壁部50および保持部55は、第一連結部60を介して一体に形成されている。第一底壁部50の後面50aは左右方向の平面であり、後面50aは取付面13と面当りすることができる。
第一連結部60は、後側折曲部61、中程折曲部62、前側折曲部63の三つの折曲部から形成されている。後側折曲部61は第一底壁部50の左右方向一端側(図においては左方向一端側)から前方へ向けて折曲されており、中程折曲部62は後側折曲部61の前端部から支柱部材3の突壁部16側(図においては右方向)に折曲されており、前側折曲部63は中程折曲部62の突壁部16側端部から前方へ向けて折曲されている。
保持部55は前側折曲部63の前端部から突壁部16に対して離れる方向(図においては左側)に折曲されて形成されている。
後側折曲部61および前側折曲部63は、第一取付部材51を取付面13に取付けた状態において、突壁部16の突出面15に沿う。さらに保持部55の先端部は前方に折曲されることで、第一抜止片65が形成されている。保持部55の前面である保持面66は、縦線材5を位置決めし易いように、波形状に形成されている。
【0033】
第二取付部材53において、第二底壁部52と押圧部56とは左右方向に沿ってしかも平行であり、第二底壁部52と押圧部56とは、第二連結部70を介して一体に形成されている。第二連結部70は第二底壁部52と押圧部56をその突壁部16側端部で連結する板部として構成されて、第二底壁部52と押圧部56とを前後で連結している。さらに押圧部56の先端部は後方に折曲されることで、第二抜止片71が形成されている。押圧部56の背面である押圧面72は左右方向の平面に形成されている。また、第二連結部70の突出面15側の側面70aは平坦面とされて、第二連結部70は、第二取付部材53を取付面13に取付けた状態において、突壁部16の突出面15に沿う。
【0034】
第一抜止片65と第二抜止片71とは、折曲方向は反対であるがその前後方向長さは略同一に形成されており、第一取付部材51と第二取付部材53とを組合せた際に、第二抜止片71は第一抜止片65に比べて突出面15から離れて位置するよう構成され、第一取付部材51と第二取付部材53とを組合せた際に、第二抜止片71と第一抜止片65とは左右方向で対向するよう構成されている。
なお、前記中程折曲部62の前後方向長さは、第二連結部70に比べて短く設定されている。
【0035】
第一取付部材51と第二取付部材53とを前後方向にスライドさせるための前記スライド手段を説明する。
スライド手段は、第一取付部材51の中程折曲部62に設けられた案内爪75,76として構成されている。案内爪75,76は、中程折曲部62の上端部および下端部に、それぞれ突出面15側に折曲された厚み確保用折曲部77,78と、この厚み確保用折曲部77,78の先端部に、上下方向で対向するよう折曲された押さえ部80,81とから一体的に形成されている。各案内爪75,76の押さえ部80,81は、前後方向に離間して対で設けられている。
この押さえ部80,81の左右側面は平面とされ、突出面15側の側面80a,81aが突出面15に面当りして、かつ摺動可能となっている。
【0036】
第二取付部材53の第二連結部70の前後方向途中には、各案内爪75,76の押さえ部80,81と相対形状の切欠82,83が前後方向に離間して、第二連結部70の上下端面から切欠くようにして形成されている(例えば図15参照)。
厚み確保用折曲部77,78の左右方向の厚みは、押さえ部80,81を切欠82,83に通過させて第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを左右方向で重ねた状態で第二連結部70の左右方向の厚みよりわずかに大きくなるよう設定されている。
【0037】
押さえ部80,81を切欠82,83に通過させて第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを左右方向で重ねた状態で、締付ネジ20が挿抜自在な挿通孔84が、第一取付部材51の第一底壁部50に形成されるとともに、第二取付部材53の第二底壁部52に締付ネジ20が螺合するネジ孔85が形成されている。
【0038】
次に、上記構成のフェンス1を施工する方法について説明する。支柱部材3は長尺に形成したのものを、必要な高さに応じて切断し、フェンス1を設置する場所にコンクリート基礎等を用いて立設する。この場合、用いる網状柵体2の左右方向幅に応じて、支柱部材3の左右方向離間間隔を設定する。また、網状柵体2を二個並べる場合では、中心に第一支柱部材3Aを配置し、両側には第二支柱部材3Bを配置する。網状柵体2を三個以上並べる場合等において、何れにしても端部に配置する支柱部材3は第二支柱部材3Bであり、その間に配置する支柱部材3は第一支柱部材3Aとする。
【0039】
各支柱部材3の上端面には、被覆部材12をそれぞれ設置しておく。被覆部材12は、取付ネジ39をネジ頭部孔41に挿入するようにして、取付ネジ39を蟻溝18に螺合することで、各支柱部材3の上端面に被覆部材12を容易に固定することができる。アルミニウムの押出し成形による長尺物を切断すると、その切断面に鋭利な部分が露呈する可能性が考えられるが、上記のように、各支柱部材3の上端面が切断面であったとしても、被覆部材12で被覆することによって、安全性を確保することができる。また、被覆部材12を設置することにより、中空部17に雨水等が侵入するのを抑制することができる。
【0040】
網状柵体2については、これを、載置用線材部7および下側後方折曲部9を含めて、必要な左右方向幅および上下方向高さに形成しておく。この際、縦線材5および横線材6で形成される桝目は正方形となるようにしておく。また横線材6の左右端部は、左右端部の縦線材5aから左右方向に突出しないように設けておく。
【0041】
上記の網状柵体2は、載置用線材部7の前方折曲部11を支柱部材3どうしの被覆部材12の取付壁被覆部35に載置することで、支柱部材3間に仮置きすることができる。このとき、被覆部材12には、ずれ防止部38を設けているから、仮置きした網状柵体2が左右方向に移動させる力が働いたとしても、前方折曲部11がずれ防止部38に係止して、網状柵体2が位置ずれてしまうのを抑制することができる。
取付具4は、第一取付部材51と第二取付部材53とを組付けた組品としておく。この場合、第二取付部材53の切欠82,83に第一取付部材51の押さえ部80,81を通過させて(図17参照)、第一取付部材51の中程折曲部62と第二取付部材53の第二連結部70とを重ねるようにする。そうすると、第二底壁部52が第一底壁部51と中程折曲部62との間に入る。
【0042】
続いて、中程折曲部62と第二連結部70とを摺動するようにして第一取付部材51と第二取付部材53とを位置ずれさせて、第二取付部材53の切欠82,83と第一取付部材51の押さえ部80,81とが対向する位置にないようにする(図18または図19参照)。
このようにすることで、中程折曲部62と第二連結部70とが離れる方向に第一取付部材51と第二取付部材53とを離そうとすると、第二連結部70の側面70aが第一取付部材51の押さえ部80,81に当る(係止する)から、第一取付部材51と第二取付部材53とが容易に外れてしまうといった状態を抑制することができ、しかも第一取付部材51と第二取付部材53とがスライド手段によって、相対的にスライド可能となる。
【0043】
このようにして組品とした取付具4を、支柱部材3に対して、その挿通孔21が形成されている上下高さ位置で側方から装着する。この場合、第一取付部材51の保持部55の第一係止片65と第二取付部材53の押圧部56の第二係止片71との隙間から、端部の縦線材5aが保持部55と押圧部56との間に入れ、取付具4を水平面内で回転させるようにして側面80a,81aを突出面15に当てるようにし、取付具4を後方へ引くようにして、支柱部材3の取付面13に第一底壁部50の後面50aを面当りさせる。このようにすると、第一底壁部50が支柱部材3の突出面15と突部23の対向面24との間に挟まれた状態となる(図10ないし図13参照)。
【0044】
続いて、締付ネジ20を挿通孔21に挿通し、さらに第一底壁部50の挿通孔84に挿通するとともに、第二底壁部52のネジ孔85に螺合する。このようにして締付ネジ20を回転させると、締付ネジ20がネジ孔85の雌ネジに螺入し、締付ネジ20はその頭部が取付壁部14の背面22に当接することで前進しないから、中程折曲部62と第二連結部70とが摺動するようにして、第二底壁部52が第一底壁部51と中程折曲部62との間を後方へ移動し、また第二連結部70が案内爪75,76の内面で案内されて、第二底壁部52すなわち第二取付部材52が後方へ引き寄せられる。
【0045】
さらに締付ネジ20を回転させることによって、押圧部56が保持部55に引き寄せられ(図11参照)、端部の縦線材5aが保持部55の保持面66と押圧部56の押圧面72によって挟持されて、保持される。このとき、第一抜止片65と第二抜止片71とは互いに左右方向に位置ずれしているから、縦線材5aを挟持する際には干渉しあわない(図12参照)。また、端部の縦線材5aが保持部55の保持面66と押圧部56の押圧面72によって挟持されて保持された際に、第一底壁部51に第二底壁部52が当接(圧接)するよう構成することが好ましい。
【0046】
また、締付ネジ20を回転させると、取付具4もまたその回転方向の力を受けるが、取付具4においてはその第一底壁部50が、突出面15と対向面24との間に挟まれた状態となっているから、突出面15と対向面24(突壁部16と突部23)とが回転抑制手段として機能する。
上記のような取付具4の取付作業を、第一支柱部材3A、第二支柱部材3Bについて、挿通孔21を形成した部位において行って、各取付具4によって端部の縦線材5aを取付具4の挟持部45で挟持して保持することで、フェンス1を施工することができる。
【0047】
上記構成のフェンス1では、網状柵体2、特に縦線材5は支柱部材3に直接的に保持(接触)されておらず、支柱部材3に、その上下高さ方向に間隔を置いて配置した取付具4を介して網状柵体2が保持されているから、支柱部材3に接触する部材として取付具4ということになる。したがって、縦線材のように上下高さ方向に長い部材が支柱部材に接触している場合に比べて、錆等の汚れが発生する領域を狭めることができる。このため、メンテナンスの頻度を抑えることができるとともにその作業もまた、容易になる。
また、取付壁部14と突壁部16とでは、突壁部16の厚みt1を取付壁部14の厚みt2に比べて小さく形成し、取付壁部14には中空部17を形成しているから、その分だけ支柱部材3を軽量化させることができ、扱い易い。
【0048】
さらに、網状柵体2の載置用線材部7を被覆部材12に仮置きした状態で取付具4を支柱部材3に組付けることも可能であるため、その分だけ施工性に優れる。
さらに、支柱部材3はその後部に左右幅の広い取付壁部14を配置し、前部に左右幅の狭い突壁部16を配置しているから、支柱部材3の存在感がうすれ、美観にも優れたフェンス1となる。また、矩形枠形状に形成した載置用線材部7を設けたことや下側後方折曲部9を設けたことにより、網状柵体2に、全体としてのボリューム感や安定感が付与されており、この点においても美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態を示すフェンスの要部斜視図
【図2】同じくフェンスの一部正面図
【図3】同じくフェンスを構成する網状柵体の高さ方向の一部を省略した拡大側面図
【図4】同じく第一支柱部材の断面図
【図5】同じく第二支柱部材の断面図
【図6】同じく被覆部材の平面図
【図7】同じく被覆部材の正面図
【図8】同じく被覆部材の側面図
【図9】同じく被覆部材の底面図
【図10】同じく保持部と押圧部とが最も離れた状態の平面図
【図11】同じく保持部に押圧部が近付いた状態の平面図
【図12】同じく保持部と押圧部とで縦線材を挟持した状態の平面図
【図13】同じく取付具を構成する第一取付部材の側面図
【図14】同じく第一取付部材の平面図
【図15】同じく取付具を構成する第二取付部材の側面図
【図16】同じく第二取付部材の平面図
【図17】同じく取付具の動きを示す説明図で、図11に相当する側面図
【図18】同じく図10に相当する、取付具の側面図
【図19】同じく図12に相当する、取付具の側面図
【符号の説明】
【0050】
1…フェンス、2…網状柵体、3…支柱部材、3A…第一支柱部材、3B…第二支柱部材、4…取付具、5…縦線材、5a…縦線材、6…横線材、7…載置用線材部、8…後方折曲部、9…下側後方折曲部、11…前方折曲部、12…被覆部材、13…取付面、14…取付壁部、15…突出面、16…突壁部、17…中空部、18…蟻溝、20…締付ネジ、21…挿通孔、22…背面、23…突部、24…対向面、35…取付壁被覆部、38…ずれ防止部、39…取付ネジ、41…ネジ頭部孔、45…挟持部、50…第一底壁部、50a…後面、51…第一取付部材、52…第二底壁部、53…第二取付部材、55…保持部、56…押圧部、62…中程折曲部、65…第一抜止片、66…保持面、70…第二連結部、70a…側面、71…第二抜止片、72…押圧面、75,76…案内爪、80,81…押さえ部、80a,81a…側面、82,83…切欠、84…挿通孔、85…ネジ孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンスを構成する支柱部材に網状柵体を取付けるための取付構造であって、前記支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されていることを特徴とする網状柵体の取付構造。
【請求項2】
取付具は、取付面に面当り可能な第一底壁部を有する第一取付部材と、前記第一底壁部にその前面で重ねられる第二底壁部を有する第二取付部材との組合わせから構成され、第一取付部材と第二取付部材とは前後方向に相対的にスライド可能とされ、
挟持部は、第一底面部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材を後部で保持する保持部と、第二底壁部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部とから構成され、
取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジを挿通して該締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込み、第二底壁部が第一底壁部に圧着した際に、縦線材が保持部と押圧部とで圧着されるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の網状柵体の取付構造。
【請求項3】
支柱部材には、締付ネジを回転させた際に取付具の回転を抑制する回転抑制手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の網状柵体の取付構造。
【請求項4】
回転抑制手段は、取付面の左右方向一方の端部に設けられて前方に突出する一方の突部と、取付面の左右方向他方の端部に設けられて前方に突出する他方の突部とから構成されて、第一底壁部は一方の突部と他方の突部との間に装着されることを特徴とする請求項3記載の網状柵体の取付構造。
【請求項5】
挟持部は、取付具を取付面に取付けた際に取付面と実質的に平行な板壁状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の網状柵体の取付構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れかに記載の網状柵体の取付構造を備えていることを特徴とするフェンス。
【請求項1】
フェンスを構成する支柱部材に網状柵体を取付けるための取付構造であって、前記支柱部材の取付面の前方に離間して配置された網状柵体の縦線材を保持する取付具が前記取付面に着脱可能に設けられ、前記取付具は前記取付面の上下方向所定部位に面当りさせて固定することで、取付具に設けられた挟持部が網状柵体の縦線材をその前後で挟持して圧着すべく移動するよう構成されていることを特徴とする網状柵体の取付構造。
【請求項2】
取付具は、取付面に面当り可能な第一底壁部を有する第一取付部材と、前記第一底壁部にその前面で重ねられる第二底壁部を有する第二取付部材との組合わせから構成され、第一取付部材と第二取付部材とは前後方向に相対的にスライド可能とされ、
挟持部は、第一底面部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材を後部で保持する保持部と、第二底壁部に一体に設けられるとともにその前方に配置されて縦線材をその前部から後方へ向けて押圧可能な押圧部とから構成され、
取付面の後方側から第一底壁部および第二底壁部に締付ネジを挿通して該締付ネジの回転によって第二底壁部を後方へ引込むことで押圧部を後方へ引込み、第二底壁部が第一底壁部に圧着した際に、縦線材が保持部と押圧部とで圧着されるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の網状柵体の取付構造。
【請求項3】
支柱部材には、締付ネジを回転させた際に取付具の回転を抑制する回転抑制手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の網状柵体の取付構造。
【請求項4】
回転抑制手段は、取付面の左右方向一方の端部に設けられて前方に突出する一方の突部と、取付面の左右方向他方の端部に設けられて前方に突出する他方の突部とから構成されて、第一底壁部は一方の突部と他方の突部との間に装着されることを特徴とする請求項3記載の網状柵体の取付構造。
【請求項5】
挟持部は、取付具を取付面に取付けた際に取付面と実質的に平行な板壁状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の網状柵体の取付構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れかに記載の網状柵体の取付構造を備えていることを特徴とするフェンス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−59636(P2010−59636A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224545(P2008−224545)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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