説明

改良されたインク付着力及びオイル摩擦堅牢度を有する基材

不織外面にインク組成物が付着されたときに改善されたオイル摩擦堅牢度を有する印刷済み不織ウエブ材を開示する。例えば、インク組成物が油性物質(例えば、ベービーオイル、ローション、等)と接触したような場合であっても、ウエブ材からのこすれ落ち抵抗を改善したインク組成物のウエブ材表面への印刷が可能である。不織ウエブ材は、少なくとも1つのフイルム層と不織ウエブ材層を有する積層材内の1つの層とすることができる。例えば、印刷済み積層材は吸収用物品の外カバーとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、改良されたインク付着力及びオイル摩擦堅牢度を有する基材、特に、不織ウエブ材に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収用物品は、典型的には、疎水性ポリマー繊維から構成された不織生地及び液体不浸透性フイルムの積層材から製造される外カバーを有する。これらの外カバーは、効率的なインク付着と摩擦堅牢度に適した迅速且つ経済的な方法で印刷することが困難である。より詳細には、合成繊維の不織ウエブ材の可視表面に良好なインク付着を達成することは困難である。
【0003】
外カバーに対する良好なインク付着の必要性は、外カバーに必要とされる耐久性によってさらに増大する。例えば、使用の際に、外カバーからのインクのこすれ落ちを比較的容易に起こし得る油性組成物(例えば、ベビーオイル、ローション、等)に吸収用物品の外カバーが接する可能性がある。装着者又は介護者の皮膚上に油性組成物が存在する場合、その油性組成物によって外カバーからインクがこすれ落ち、皮膚上に付着する可能性がある。そして、そのインクは、外カバーの全体的な外観を害するとともに、装着者及び/又は介護者の皮膚上に望ましくないインク染みを残すこととなる。
【0004】
外カバーにあしらわれるデザインを保護するには、デザインを外カバーの下側のフイルム層の上に印刷し、上側の不織ポリマー生地によってデザインのこすれ落ち防止に役立てることも可能である。しかし、不織ポリマー生地は、下側のデザインを保護する一方で、吸収用物品の表面に見えるデザインのあざやかさを低減してしまう。このことは、その結果の吸収用物品で明らかである。このあざやかさの喪失を補償するため、しばしば、過剰量のインクがフイルム上に付着されているが、このことは、吸収用物品の材料コストを上げてしまう。さらに、過剰量のインクでは、比較的長い乾燥時間を必要とし、生産速度が遅くなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、不織ウエブ材の可視表面へのインク付着力の改良が必要とされている。また、吸収用物品の外カバーとして有用なフイルム−ウエブ材積層材のような、積層材の不織面に付着されるインク組成物の摩擦堅牢度を改良することも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の目的及び利点は、以下の詳細な説明中に部分的に記述され、又は、以下の詳細な説明から自明であり、又はこの発明の実施を通して理解される。
【0007】
一般的には、この明細書の開示は、疎水性繊維(例えば、ポリオレフィン繊維)のような互いに絡み合わされた(interlaid)合成繊維から形成した不織ウエブ材に向けられている。インク組成物は、不織ウエブ材の可視表面に付着される。インク組成物は、インク組成物の乾燥重量に基づき、約3.5重量%よりも多い量の、例えば、約7.5重量%よりも多い量の、又は、約40重量%から約80重量の量の架橋剤を含む。架橋剤は、少なくとも、2個のアジリジン官能基を備えたアジリジンオリゴマーである。一実施例では、インク組成物は、さらに、アクリルコロイド分散ポリマーを含むことも可能である。不織ウエブ材は、約3.8よりも大きな、又は、約4.0よも大きな、又は、さらに、約4.1よりも大きなオイル摩擦堅牢度を有することが可能である。
【0008】
一実施例では、不織ウエブ材は、不織ウエブ材の可視表面が微小孔を有する通気性フイルムとは反対の側に面するように、この微小孔を有する通気性フイルムに積重することができる。
【0009】
例えば、印刷済み積層材を、吸収用物品の構成の中に含ませることができる。吸収用物品は、液体浸透性トップシートと液体不浸透性バックシート(すなわち、外カバー)の間に配置された吸収性芯材を含むことが可能である。バックシートは、フイルム層を覆う不織フエブ材で構成され、フイルム層は吸収性芯材に面しており、不織ウエブ材は吸収用物品の外側の露出面を形成するように、配置される。インク組成物は、不織ウエブ材の外側の露出面に付着される。インク組成物は、インク組成物の乾燥重量に基づき約3.5重量%よりも多い量の架橋剤を含む。吸収用物品は、おむつ、(幼児用)トイレトレーニングおむつ、スイムパンツ、女性用ケア製品、等である。
【0010】
別の実施例では、不織ウエブ材に対して印刷する方法が、概略、開示される。この方法は、不織ウエブ材の可視表面にインク組成物を印刷する過程を含む。例えば、インク組成物は、不織ウエブ材上に、フレキソ印刷で印刷され、又は、インクジェット印刷で、印刷される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例示的トイレトレーニングおむつ10の透視図である。
【図2】図1の2-2線による分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の他の特徴及び固有な面は、以下により詳細に論述される。
当業者にとって最良な形態を含むこの発明の全てのそして可能な開示が、明細書の以下の説明においてより詳細に説明される。
この明細書及び図面中、参照符号の繰り返し使用は、この発明の構成要素の同一又は類似の特徴を表示することを企図している。
【0013】
定義
この明細書中で使用される「不織生地又はウエブ材」という用語は、互いに絡み合わされているが、編物のように識別可能な形態ではない、個々の繊維又は糸の構造を有するウエブを意味する。不織生地又はウエブ材は、例えば、メルトブローン法、スパンボンド法、ボンデッドカーデッドウエブ法などの様々な方法により形成されてきた。
【0014】
この明細書中で使用される「メルトブローンウエブ」という用語は、概略、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融繊維として収束高速ガス(例えば、空気)流の中に押し出し、その流れにより溶融した熱可塑性プラスチック材料の繊維の直径を、マイクロ繊維の直径の程度にまで減少させる方法により形成された不織ウエブ材を意味する。その後、メルトブローン繊維は、収束高速ガス流によって運ばれ、不規則に分散したメルトブローン繊維のウエブを形成するために収集面上に堆積させられる。このような方法は、例えば米国特許第3849241号明細書(特許文献1)に開示されており、これは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。一般的に言えば、メルトブローン繊維は、連続的又は非連続的であり得るマイクロ繊維であって、一般的に10μm未満の直径を有し、一般的に収集面上に堆積したときに粘着性を有する。
【0015】
この明細書中で使用される「スパンボンドウエブ」という用語は、概略、小径の実質的に連続的な繊維を含むウエブ材を意味する。前記繊維は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、スピナレット(spinneret)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから押し出して形成し、押し出された繊維の直径は、その後、例えば、イダクティブドローインク(eductive drawing)及び/又は他の既知のスパンボンド装置により急激に縮径される。スパンボンドウエブの作製は、例えば、米国特許第4340563号明細書(特許文献2)、米国特許第3692618号明細書(特許文献3)、米国特許第3802817号明細書(特許文献4)、米国特許第3338992号明細書(特許文献5)、米国特許第3341394号明細書(特許文献6)、米国特許第3502763号明細書(特許文献7)、米国特許第3502538号明細書(特許文献8)、米国特許第3542615号明細書(特許文献9)、及び米国特許第5382400号明細書(特許文献10)に説明及び図示されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。スパンボンド繊維は、一般的に収集面上に堆積したときに粘着性を有しない。スパンボンド繊維は、場合によっては、約40μm未満の直径を有し、多くの場合は、約5μm乃至20μmの直径を有する。
【0016】
この明細書中で使用される「コフォーム」いう用語は、概略、熱可塑性プラスチック繊維の混合物又は安定化マトリックスと別の非熱可塑性プラスチック材料を含む複合材料をいう。例として、コフォーム材料は、その形成中に別の材料を通過せしめてウエブ材に追加するためのシュートの近くに、少なくとも1つのメルトブローンダイヘッドを配置したプロセスによって作製可能である。この別の材料は、限定はされないが、木質パルプ又は非木質パルプ、例えば、綿、レーヨン、再生紙、パルプ綿毛と超吸収性粒子、無機及び/又は有機吸収材料、処理済みポリマーステープル繊維、等のような有機線維材料を含み得る。このコフォーム材料の例は、米国特許第4100324号明細書(特許文献11)、米国特許第5284703号明細書(特許文献12)、及び米国特許第5350624号明細書(特許文献13)に開示されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0017】
この明細書中で使用される「多要素繊維」という用語は、概略、少なくとも2個のポリマー要素から形成された繊維をいう。この繊維は、典型的には、それぞれ別個の押出機から押し出され、そして、一緒に紡がれることによって1本の繊維を形成する。各要素のポリマーは、典型的には異なるが、同様の又は同一の材料である別個の要素を含むことも可能である。各要素は、典型的には、繊維の断面を横断する区分けされた領域に実質的に固定的に位置決められ、実質的に繊維の全長にわたって延びるように配置される。この多要素繊維の構成は、例えば、横並び状配置、パイ状配置、又は任意の別の配置である。多要素繊維及びこれを製造する方法は、米国特許第5108820(特許文献14)、米国特許第4795668号明細書(特許文献15)、米国特許第5382400号明細書(特許文献16)、米国特許第5336552号明細書(特許文献17)、及び米国特許第6200669号明細書(特許文献18)に教示されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。繊維及びこれらを含有する個別の要素は、米国特許第5277976号明細書(特許文献19)、米国特許第5162074号明細書(特許文献20)、米国特許第5466410号明細書(特許文献21)、米国特許第5069970号明細書(特許文献22)、及び米国特許第5057368号明細書(特許文献23)に記載のように各種の不規則な形状を有することが可能であり、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0018】
この明細書中で使用される「弾性体の」及び「弾性の」という用語は、引っ張る力を加えたならば、少なくとも一方向(例えば、CD方向)に伸張可能であり、その引っ張る力を緩めたならば、概ね、原寸法へと収縮/復帰する材料をいう。例えば、引っ張られた材料は、引っ張られておらず緩められたときの長さよりも少なくとも50%だけ長い伸張長さを有し、その引っ張る力を緩めたときには、伸張長さの少なくとも50%以内の長さに復帰する。仮想例は、1インチ(2.54cm)の材料標本であるが、これは、少なくとも、1.50インチ(3.81cm)まで伸張可能であり、引っ張る力を緩めたときには、1.25インチ(3.175cm)以下の長さに復帰する。この弾性シートは、少なくとも、50%収縮又は復帰することが望ましく、横断機械方向で伸張長さの少なくとも80%が、さらに一層望ましい。
【0019】
この明細書で使用される「通気性」という用語は、水蒸気及びガスに対しては透過性であるが、液体水に対しては不浸透性であることを意味する。例えば、「通気性バリヤ」及び「通気性フイルム」は、水蒸気の通過は許すものの、液体水に対しては実質的に不透過性である。材料の「通気性」は、水蒸気透過率(WVTR)の単位で測定され、高い数値は、水蒸気透過量が比較的に多い材料であることを表し、低い数値は、水蒸気透過量が比較的に少ない材料であることを表す。典型的には、「通気性」材料は、24時間につき1平方メーター当り約500から約20,000グラム(g/m/24hours)の水蒸気透過率(WVTR)を有しており、或る実施例では、約1,000から約15,000g/m/24hoursであり、また、或る実施例では、約1,500から約14,000g/m/24hoursである。
【0020】
この明細書で使用される「吸収用物品」という用語は、水又はその他の流体を吸収することが可能な任意の物品をいう。限定はされないが、幾つかの吸収用物品の例には、おむつ、(幼児用)トイレトレーニングおむつ、吸収パンツ、成人用失禁用品、女性用衛生用品(例えば、生理用ナプキン)、水着、赤ん坊用おしり拭き、等のような個人ケア用吸収物品、ガーメント、開窓材料、アンダーパッド、包帯、吸収掛け布、及び医療用ティッシュのような医療用吸収物品、給食用ティッシュ、衣料品、等が含まれる。そのような吸収用物品を形成するのに適した材料及び方法は、当業者には良く知られている。
【0021】
この明細書中で使用される「疎水性基材」という用語は、全体的又は部分的に疎水性ポリマーで構成されていることを条件として、任意の形状の物品を含むことを意味しており、「多孔疎水性基材」という用語は、それが多孔性であることと、全体的又は部分的に疎水性ポリマーで構成されていることを条件として、任意の基材を含むことを意味する。例えば、疎水性基材は、発泡材料のシートのようなシート状材料とすることができる。疎水性基材は、また、原線維からなるフイルム又は織物ウエブ材又は不織ウエブ材又は生地のような線維生地とすることができる。これらの基材の構造は、主に、疎水性とすることが可能であり、異なる疎水性領域を形成するように選択的に処理することが可能である。限定はされないが、不織生地は、メルトブローン生地、スパンボンド生地、カーデッド生地、又はエアレイド生地を含む。疎水性基材は、また、シート状材料である2以上の層より成る積層材とすることができる。例えば、これらの層は、メルトブローン生地及びスパンボンド生地より成るグループから個別に選択することができる。しかし、メルトブローン生地及びスパンボンド生地に追加して、又は、これに代えて、フイルム又は発泡材料のような他のシート状材料を使用することもできる。さらに、積層材の層は、同一の疎水性ポリマー又は別の疎水性ポリマーから準備することができる。
【0022】
この明細書中で使用される「疎水性ポリマー」という用語は、水による湿潤化に対する耐性を備えた又は容易に湿潤しない、言い換えれば、水に対する親和力を欠く任意のポリマーを意味する。例示としてのみであるが、疎水性ポリマーの例は、例えば、ポリエチレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体、及びエチレン酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフイン;ポリ(スチレン)、ポリ(2−メチルスチレン)、約20モル%より少ない量のアクリロニトリルを有するスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリル酸塩共重合体のようなスチレンポリマー;ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリ(ヘキサフルオロエチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニル)、及びポリ(フッ化ビニリデン)のようなハロゲン化炭化水素ポリマー;ポリ(酪酸ビニル)、ポリ(デカン酸ビニル)、ポリ(ドデカン酸ビニル)、ポリ(ヘキサデカン酸ビニル)、ポリ(ヘキサン酸ビニル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(オクタン酸ビニル)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロポキシエチレン)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロポキシプロピレン)、及びポリ(メタクリロニトリル)のようなビニルポリマー;ポリ(酢酸n−ブチル)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ[(1−クロロジフルオロメチル)テトラフルオロエチルアクリレート]、ポリ[ジ(クロロフルオロメチル)フルオロメチルアクリレート]、ポリ(1,1−ジヒドロヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ[5−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ペンチルアクリレート]、ポリ[11−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ウンデシルアクリレート]、ポリ[2−(ヘプタフルオロプロポキシ)エチルアクリレート]、及びポリ(ノナフルオロイソブチルアクリレート)のようなアクリルポリマー;ポリ(メタクリル酸ベンジル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸t−ブチル)、ポリ(メタクリル酸t−ブチルアミノエチル)、ポリ(メタクリル酸ドデシル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸2−エチルヘキシル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸フエニル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸オクタデシル)、ポリ(メタクリル酸1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチル)、ポリ(メタクリル酸ヘプタフルオロイソプロピル)、ポリ(メタクリル酸ヘプタデカフルオロオクチル)、ポリ(メタクリル酸1−ヒドロテトラフルオロエチル)、ポリ(メタクリル酸1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピル)、ポリ(メタクリル酸1−ヒドロヘキサフルオロイソプロピル)、及びポリ(メタクリル酸t−ノナフルオロブチル)のようなメタクリルポリマー;並びに、ポリ(テレフタル酸エチレン)及びポリ(テレフタル酸ブチレン)のようなポリエステルを含む。
【0023】
この発明の実施例を参照して、1以上の例が以下に説明される。各例は、この発明の限定ではなく、この発明の説明として提供される。事実、この発明の精神又は範囲から逸脱することなくこの発明の各種の改良変更が可能であることは当業者には明らかである。例えば、1つの実施例として説明された特徴を他の実施例に使用してさらに別の実施例を生み出すことが可能である。すなわち、この出願の発明は、添付請求項及びそれと均等の範囲に属する改良変更に及ぶことを意図している。この明細書での論述は例示的実施例の説明のためのみであって、例示的構造に実施されているこの発明の広範な面を限定する意図ではないことを当業者は理解されたい。
【0024】
概ね、この明細書の開示は、合成繊維製の印刷された不織ウエブ材に向けられている。不織ウエブ材の外側の可視表面にインク組成物が付着された後、該ウエブ材は改善されたオイル摩擦堅牢度を示す。例えば、インク組成物が油性物質(例えば、ベビーオイル、ローション、等)に接触した場合であっても不織ウエブ材の外面からのこすれ落ちに対する改善された耐性を有する。一般的には、インク組成物は、そのインク組成物が水性の場合であっても、不織ウエブ材に対するその付着力(例えば、化学的及び/又は物理的)を強化するように設計される。そして、インク組成物は、付着された不織ウエブ材上にとどまり、不織ウエブ材の外観及び全体的美観を保護する。
【0025】
例えば、印刷済みの不織ウエブ材は、この明細書で説明する試験方法による測定において、約3.8よりも大きな、例えば、約4.0よりも大きなオイル摩擦堅牢度を示すことが可能である。或る実施例では、印刷済みの不織ウエブ材は、約4.1より大きな、例えば、約4.2よりも大きなオイル摩擦堅牢度を示すことが可能である。
【0026】
一実施例において、不織ウエブ材の印刷面を、積層材の可視表面とすることができる。例えば、印刷面を、吸収用物品の外カバーのフイルム−ウエブ積層材の外向き面(例えば、外側の可視表面)とすることができる。そして、インク組成物は、外カバー積層材の下側層(例えば、フイルム)上への印刷に代えて、外カバーの外向き不織面に直接に印刷することが可能である。使用する場合には、外カバーが油性物質に接触したような場合であっても、インク組成物が外カバーからこすれ落ちて装着者又は介護者の皮膚に付着することは抑止される。したがって、内側フイルム層への印刷に比べ、外カバーの外向き不織層に付着するインクを比較的少量とすることができ、その一方で、望ましい審美的意匠及びオイル摩擦堅牢度を達成することができる。さらに、外向き不織材上に印刷されるインク組成物の色彩の鮮やかさを、上側層による妨害なしに保つことができる。
【0027】
A.不織ウエブ材
この発明に従い、インク組成物は、合成繊維の不織ウエブ材上に付着(例えば、印刷)される。この合成繊維は、概ね、疎水性繊維とすることが可能である。特定の一実施例において、不織ウエブ材の繊維は、主に、疎水性合成繊維である。例を挙げるならは、該ウエブ材の約90%を越える部分、例えば約95%を越える部分を疎水性合成繊維とすることができる。一実施例では、実質的に不織ウエブ材の全ての繊維(換言すれば、約98%を越える部分、約99%を越える部分、又は100%)が疎水性合成繊維である。
【0028】
不織ウエブ材は、任意の数の方法によって作製が可能である。しかし、実際的な方法として、不織生地及び不織生地を構成する繊維は、通常、溶融押出法によって準備され、不織生地に形成される。溶融押出法との用語は、他の方法のほか、メルトブローン法及びスパンボンド法のような公知の方法を含む。不織生地を準備するための他の方法も、もちろん、知られており、採用可能である。そのような方法は、空気添加法、水分添加法、カーディング法、等を含む。場合によっては、サーマルポイントボンディング法、スルーエアーボンディング法、及びハイドロエンタングリング法のような、公知の方法によって不織ウエブ生地を安定化することが必要であるか又は望ましい。
【0029】
既述のように、不織ウエブ材は、例えばポリオレフイン繊維のような特定合成疎水性繊維である合成繊維を主要に含むことができる。特定の一実施例では、ポリプロピレン繊維を、不織ウエブ材の形成のために使用可能である。ポリプロピレン繊維は、1フイラメントにつき約1.5乃至2.5のデニールを有するもので、不織ウエブ材は、1平方メーターにつき約17グラムの基本重量を有するもので可能である。さらに、不織ウエブ材は、二構成要素又は他の多構成要素繊維とすることが可能である。例示的な多構成要素不織生地は、米国特許第5382400号明細書(特許文献24)、米国特許出願公開第2003/0118816号明細書(特許文献25)及び米国特許出願公開第2003/0203162号明細書(特許文献26)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0030】
鞘部分がポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリオレフインであり、芯部分がポリ(テレフタル酸エチレン)又はポリ(テレフタル酸ブチレン)のようなポリエステルである鞘/芯型の二構成要素繊維は、また、カーデッド生地又はスパンボンド生地を生産するのに使用可能である。ポリエステルである芯材の主要な役割は、弾力性を付与することであり、したがって、負荷の下で又は負荷の後に、厚みを維持し又は回復する。厚みの維持及び回復は、吸収構造から皮膚を分離する役割を有する。この分離が、皮膚の乾燥に効果を示した。この発明のような処置に沿った弾力構造で実現される皮膚分離の組合せは、流体取り扱い及び皮膚乾燥を目的とする全体的により一層有効な材料を提供することができる。
【0031】
インク組成物は、不織ウエブ材に付着されたときに、改善された摩擦堅牢度を有することが可能なので、付着を促進するための前処理を省略することができる。そして、インク組成物は、不織ウエブ材の表面とインク組成物の間に配置される任意の他の層又はコーテイングなしに、疎水性不織ウエブ材の表面に直接に付着することが可能である。しかし、所望ならば、不織ウエブ材へのインク組成物のより一層の付着のため、インク組成物の付着前に、不織ウエブ材に処理用の組成物を適用することも可能である。例示的な処理用の組成物は、米国特許出願公開第2004/012675号明細書(特許文献27)、米国特許出願公開第2006/0003150号明細書(特許文献28)、及び米国特許出願公開第2006/0246263号明細書(特許文献29)、に開示されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0032】
既述のように、不織ウエブ材は、積層材の外面として含まれることも可能である。積層材の一部として含まれた場合には、不織ウエブ材は、概ね、積層材に、より布地に似た感触を与える。例えば、フイルム−ウエブ積層材は、フイルム層を覆う不織ウエブ材から形成することができる。例えば、一実施例では、不織ウエブ材は、フイルムに熱によって積重されてフイルム−ウエブ積層材を形成する。しかし、積層材の形成のためには、任意の適合技術の利用が可能である。不織ウエブ材にフイルムを接着するための適合技術は、米国特許第5843057号明細書(特許文献30)、米国特許第5855999号明細書(特許文献31)、米国特許第6002064号明細書(特許文献32)、米国特許第6037281号明細書(特許文献33)、及び国際公開第WO99/12734号パンフレット(特許文献34)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0033】
積層材のフイルム層は、典型的には、液体に対して実質的に不浸透性の材料で形成される。例えば、フイルム層は、薄いプラスチックフイルム又は他の柔軟な液体不浸透性材料で形成可能である。一実施例では、フイルム層は、約0.01mmから約0.05mmまでの厚さを有するポリエチレンフイルムで形成される。例えば、約0.015mmの厚さを有する、引き伸ばして薄くされたポリプロピレンフイルムを不織ウエブ材に熱によって積重することができる。
【0034】
付け加えるに、フイルム層は、液体に対しては不浸透性ではあるが、ガス及び水蒸気に対しては浸透性(すなわち、通気性)の材料で形成することができる。これは、水蒸気が積層材を通り抜けることは許すが、液体が積層材を通り抜けて滲出することを防止する。吸収性芯材からの水蒸気は逃がす一方で外カバーを通り抜ける液体滲出を防ぐことを目的として積層材を吸収用物品の外カバーとして利用した場合には、通気性の積層材の使用は、特に、効果的である。例えば、通気性フイルムは、微小孔性フイルム又はモノリシック構造フイルムとすることができる。
【0035】
このフィルムは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)又はポリプロピレンのようなポリオレフインポリマーで形成可能である。主要な直鎖ポリオレフインポリマーの例には、限定なしに、以下のモノマー、すなわち、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び前記のものの共重合体及びターポリマーと同様の高級オレフインから生産されたポリマーが含まれる。付け加えるに、ブテン、4−メチル−ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン、等を含む他のオレフインとエチレンの共重合体は、また、主要な直鎖ポリオレフインポリマーの例である。
【0036】
所望ならば、通気性フイルムは、また、例えば、弾性ポリエステル、弾性ポリウレタン、弾性ポリアミド、弾性ポリオレフイン、弾性共重合体、等のような弾性ポリマーを含有することができる。弾性共重合体の例は、一般式A−B−A’又はA−Bであって、式中、A及びA’は、各々、スチレンの半分(例えば、ポリ(ビニルアレーン))を含有する熱可塑性ポリマー末端ブロックであり、Bは、例えば、共役ジエン又は低級アルケンポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体)のような弾性ポリマー中間ブロックである、該一般式を有するブロック共重合体を含む。同様に適合する例には、米国特許第5332613号明細書(特許文献35)に論述されるような、A−B−A−Bのテトラブロック共重合体より成るポリマーがあり、これは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。テトラブロック共重合体の1例は、スチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−スチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)(S−EP−S−EP)ブロック共重合体である。市販のA−B−A’及びA−B−A−B型の共重合体には、商標指定KRATONでテキサス州ヒューストのKraton Polymersよりの数種の態様のものが含まれる。このKRATONのブロック共重合体は、幾つかの異なる態様で利用可能であり、それらは、米国特許第4663220号明細書(特許文献36)、米国特許第4323534号明細書(特許文献37)、米国特許第4834738号明細書(特許文献38)、米国特許第5093422号明細書(特許文献39)、及び米国特許第5304599号明細書(特許文献40)に特定されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。他の市販のブロック共重合体には、商標名SEPTONで日本国岡山県の株式会社クラレより市販のS−EP−S型すなわちスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−スチレン弾性共重合体が含まれる。
【0037】
弾性ポリオレフインの例には、「シングルサイト」又は「メタロセン」触媒方法によって生産されるような、超低密度弾性ポリプロピレン及びポリエチレンが含まれる。この弾性オレフインポリマーは、商標指定ACHIEVE(プロピレン型)、EXACT(エチレン型)、及びEXCEED(エチレン型)でテキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Co.から市販されている。弾性オレフインポリマーは、また、商標指定ENGAGE(エチレン型)及びAFFINITY(エチレン型)でDuPont Dow Elastomers, LLC(DuPontとDow Chemical Co.のジョイントベンチュアー)より市販されている。このようなポリマーの例は、また、米国特許第5278272号明細書(特許文献41)及び米国特許第5272236号明細書(特許文献42)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。米国特許第5539056号明細書(特許文献43)及び米国特許第5596052号明細書(特許文献44)に記述のような幾つかの弾性ポリプロピレンも、また、有効であって、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0038】
所望ならば、通気性フイルムの形成のために2以上のポリマーの混合物を使用することも可能である。例えば、高機能エラストマーと低機能エラストマーの混合物からフイルムを形成することも可能である。高機能エラストマーは、一般的に、約75%よりも低い、そして、或る実施例では、約60%よりも低いレベルのヒステリシスを有するエラストマーである。同様に、低機能エラストマーは、一般的に、約75%よりも高いレベルのヒステリシスを有するエラストマーである。ヒステリシス値は、まず、最大伸長長さの50%まで標本を引き伸ばし、次に、その抵抗が0となるように標本の収縮を許すことによって、決定される。特に適合する高機能エラストマーには、上述したような、そして商標指定KRATONでテキサス州ヒューストンのKraton Polymersより市販のスチレン型ブロック共重合体が含まれる。同様に、特に適合する低機能エラストマーには、商標指定AFFINITYでDuPont Dow Elastomers,LLCより市販のメタロセン触媒ポリオレフイン(例えば、シングルサイトメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン)のような弾性ポリオレフインが含まれる。或る実施例では、高機能エラストマーが、フイルムのポリマー要素の約25重量%から約90重量%を構成し、同様に、低機能エラストマーが、フイルムのポリマー要素の約10重量%から約75重量%を構成する。この高機能/低機能エラストマーの混合物の別の例が、米国特許第6794024号明細書(特許文献45)に記述されており、これは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0039】
既述のように、通気性フイルムは、微小孔性フイルムである。しばしばフイルムを介する蛇行通路と言われるものを、この微小孔が形成する。フイルムの一側に接する液体は、フイルムを通り抜けるための直接的な通路を有しない。すなわち、フイルム内の微小孔のネットワークは、液体の通過を妨げ、その一方で、ガス及び水蒸気の通過を許す。微小孔性フイルムは、ポリマーと充填剤(例えば、炭酸カルシウム)から形成可能である。充填剤は、フイルムポリマー押出混合物に添加可能で、押出フイルムとは化学反応せず、フイルム全体にわたり均一に分散可能な微粒子又は他の形態の材料である。一般的に、フイルムの全重量に基づく乾燥重量を基本として、フイルムは、約30重量%から約90重量%のポリマーを含む。このフイルムの例は、米国特許第5843057号明細書(特許文献46)、米国特許第5855999号明細書(特許文献47)、米国特許第5932497号明細書(特許文献48)、米国特許第5997981号明細書(特許文献49)、米国特許第6002064号明細書(特許文献50)、米国特許第6015764号明細書(特許文献51)、米国特許第6037281号明細書(特許文献52)、米国特許第6111163号明細書(特許文献53)及び米国特許第6461457号明細書(特許文献54)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0040】
フイルムは、充填済みフイルムを引き伸ばし、引き伸ばし中の充填剤(例えば、炭酸カルシウム)によるポリマー組織の破壊にともなって微小孔通路を創製して、全体的に通気性に製作される。例えば、通気性材料は、ポリオレフインポリマーと充填剤である少なくとも2つの基本成分を含む引き伸ばしによって薄くされたフイルムを含有する。これらの成分は、混合され、加熱され、次に、フイルム加工分野の当業者に公知の各種フイルム製造方法の任意の1つを使用してフイルム層に押出される。このフイルム製造方法には、例えば、成型エンボス法、冷却/平坦成型法、及びブローンフイルム法が含まれる。
【0041】
別の種類の通気性フイルムには、無孔の連続するフイルムであるモノリシック構造フイルムがあり、これは、その分子構造の故に、液体不浸透性で、蒸気浸透性のバリアを形成することができる。この種類に属する各種のポリマーフイルムの中には、それらを通気性とすることを目的として十分な量で作製された、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、ポリウレタン、エチレンメチルアクリレート、及びエチレンメチルアクリル酸から作製されたフイルムを含む。特定の作用メカニズムに固定する意図でははないが、そのようなポリマーから作製されたフイルムは、水分子を可溶化して、フイルムの一面側から他面側への水分子の移動を可能とすると考えられる。したがって、これらのフイルムは、十分に連続的なもので、すなわち、無孔性であり、フイルムを十分に液体不浸透性とする一方、蒸気浸透性を可能とする。
【0042】
上述したような通気性フイルムは、全体的に通気性の材料を構成したり、又は、多層フイルムの一部となることが可能である。多層フイルムは、フイルム層の成型又はブローンフイルム共押出によって、又は押出コーテイングによって、又は任意の慣用的な層状化工程によって準備することができる。さらに、この発明に使用するに適した他の通気性フイルムが、米国特許第4341216号明細書(特許文献55)、米国特許第4758239号明細書(特許文献56)、米国特許第5628737号明細書(特許文献57)、米国特許第5836932号明細書(特許文献58)、米国特許第6114024号明細書(特許文献59)、米国特許第6153209号明細書(特許文献60)、米国特許第6198018号明細書(特許文献61)、米国特許第6203810号明細書(特許文献62)及び米国特許第6245401号明細書(特許文献63)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0043】
一実施例では、積層材は、不織ウエブ材とフイルムの2層のみで構成される。一方、或る実施例では、不織ウエブ材がインク組成物付着のための積層材外面を形成している限り、積層材中に他の層を含ませることも可能である。設ける場合、積層材の別の層は、不織ウエブ材、フイルム、発泡材料、等を含むことが可能である。
【0044】
特定の一実施例において、不織ウエブ材は、吸収用物品のバックシート積層材の層(すなわち、外カバー)としての使用に適している。吸収用物品のバックシートは、典型的には、液体不浸透性シートであり、そして、また、通気性シートである。例えば、一実施例において、バックシートは、ポリオレフイン繊維の不織ウエブ材に接着した液体不浸透性フイルムの積層材である。
【0045】
例示的な(幼児用)トイレトレーニングおむつの構成内に使用した例示的な印刷済み不織ウエブ積層材を図1及び図2に図解する。図1は、例示的トイレトレーニングおむつ10の透視図であり、図2は、図1の2−2線による分解断面図である。トイレトレーニングおむつ10の最外側の見える面を形成し且つその上に画像16が印刷される面が、不織ウエブ材14の外側の可視表面18である。図解された例示的印刷済み不織ウエブ材14は、トイレトレーニングおむつ10のバックシート12の外向き面の層として使用されるが、これは、その上に情報又はデザインの印刷が望ましい各種の吸収用物品の任意の物品との組合せが可能であり、限定はされないが、おむつ、女性用ケア用品、失禁用品、トイレトレーニングおむつ、スイムパンツ、等を含む。
【0046】
例えば、図1及び2において、トイレトレーニングおむつ10はバックシート12を有し、これは、液体不浸透性フイルム22に適切に接合された不織ポリオレフイン線維ウエブ材14を含む2層の積層材とすることができる。ウエブ材14は、内側の面20と外側の可視表面18のような両面を有する。フイルム22は、ウエブ材14の内側の面20に対面する面24と吸収性複合材に対面する面26のような両面を有する。
【0047】
これらの吸収用物品の魅力を増す一つの方法は、物品上に鮮明な色彩での印刷を施すことである。この明細書に開示のインクを使用して、任意の所望のデザイン又は他の画像を、不織ウエブ材により形成された外側の可視表面18上に付着又は印刷することができる。例えば、多くの複雑な登録済み画像をバックシート12の外側の可視表面18上に印刷することができる。外側の「可視」表面とは、当該物品が装着されたときに外から見ることができる当該物品の表面(すなわち、吸収用物品の露出した外側の表面)を意味する。既述のように、インク内への架橋剤の包含は、当該物品の使用中におけるデザインのこすれ落ちを抑止する。それで、デザインは、外カバーに接触したもの(例えば、皮膚)が汚れるのを防止するとともに、外カバー上での色あせに対しても耐えることができる。
【0048】
液体浸透性トップシート30(すなわち、ボデーサイドライナー)は、バックシート12とは反対側の吸収性芯材28一側に配置され、装着者の皮膚に向かい会うように配置される。
【0049】
液体浸透性トップシート30は、概ね、吸収性芯材28内に保持されている液体から装着者の皮膚を隔てるのを助けるために採用される。例えば、液体浸透性トップシート30は、典型的には、装着者の皮膚に対する刺激性がなく、柔らかい感触で、順応性のある体接触表面を備える。典型的には、液体浸透性トップシート30は、また、吸収性芯材28よりも親水性が低く、そのため、トップシート30の表面は装着者に対して比較的乾燥した状態に維持される。液体浸透性トップシート30は、液体がその厚さを容易に通り抜けることを可能とする。
【0050】
液体浸透性トップシート30は、多孔発泡材、網状発泡材、有孔プラスチックフイルム、天然繊維(例えば、木又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン線維)、又はこれらの組合せ、のような広範な種類の材料から形成することができる。或る実施例では、織物及び/又は不織生地が、液体浸透性トップシート30用に使用される。例えば、液体浸透性トップシート30は、ポリオレフイン繊維のメルトブローンウエブ材又はスパンボンドウエブ材から形成することができる。この液体浸透性トップシート30は、また、天然繊維及び/又は合成繊維のボンデットカーデッドウエブ材とすることができる。液体浸透性トップシート30は、さらに、実質的に疎水性の材料で構成することができ、この疎水性の材料は、所望の湿潤性及び親水性のレベルにするべく選択により界面活性剤で又は別の手段で処理される。界面活性剤は、スプレイ、プリント、はけ塗り、泡立て、等のような慣用的方法で適用される。使用した場合には、界面活性剤は、液体浸透性トップシート30全体に適用されるか、又は、おむつの長さ方向中央線に沿った中間部分のような液体浸透性トップシート30の特定部分に選択的に適用される。液体浸透性トップシート30は、さらに、皮膚の健康増進のため装着者の皮膚へ転移するように設計された組成物を含むことも可能である。液体浸透性トップシート30で使用するに適した組成物は、米国特許第6149934号明細書(特許文献64)に記述されており、これは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0051】
吸収性芯材28は、各種の材料から形成可能であるが、典型的には、親水性繊維の基材を含む。一実施例では、セルロース綿毛繊維の基材を含有する吸収性ウエブ材が採用される。この発明で使用可能な綿毛の1種類は、アラバマ州チルダースバーグのU.S.Allianceから市販の商標指定CR1654で特定され、これは、主に針葉樹繊維を含有する漂白された高吸収性硫酸木質パルプである。エアーレイド(airlaid)ウエブ材も、使用可能である。エアーレイ工程において、約3mmから約19mmの典型的長さを有する小繊維の束を分離し、供給空気内に引き込み、次に、通常は真空供給装置に助けられて、形成スクリーン上に堆積する。次に、不規則に堆積した繊維は、例えば、高温空気又は接着スプレーを使用して相互に接合される。吸収性芯材28用の適合する吸収性不織フエブ材の別の種類には、コフォーム材料があり、これは、セルロース繊維とメルトブローン繊維の混合物である。
【0052】
或る実施例では、吸収性芯材28は、例えば、0.9重量%塩化ナトリウムを含有する水性溶液内に、少なくとも自重の約20倍の量、場合によっては、自重の少なくとも約30倍の量、吸収可能な水膨張材料である超吸収性材料を含有することができる。この超吸収性材料は、天然と、合成と、変性された天然ポリマー及び材料とすることができる。さらに、超吸収性材料は、シリカゲル又は、例えば、架橋ポリマーのような無機化合物とすることができる。合成超吸収材料ポリマーの例には、ポリ(アクリル酸)及びポリ(メタクリル酸)のアルカリ金属及びアンモニウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルエーテル)、ビニルエーテルとα−オレフインを備えた無水マレイン酸共重合体、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルモルホリノン)、ポリ(ビニルアルコール)、並びに、それらの混合物及び共重合体が含まれる。さらに、超吸収性材料には、加水分解されたアクリロニトリル−グラフト化でんぷん、アクリル酸グラフト化でんぷん、メチルセルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのような天然及び変性された天然ポリマーと、アルギン酸塩、キサンタンゴム、ローカストビーンガム、等のような天然ガムとが含まれる。天然及び全体的に又は部分的に合成の超吸収性ポリマーも、この発明に有効である。他の適合する吸収性ゲル化材料は、米国特許第3901236号明細書(特許文献65)、米国特許第4076663号明細書(特許文献66)及び米国特許第4286082号明細書(特許文献67)に開示されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0053】
特定的に図解されていないが、図1に示す例示的トイレトレーニングおむつには、図解していない他の層を含ませることができる。例えば、吸収性芯材28内に急速に取り込まれる液体の波頭又は噴流を遅らせて分散するのを助長すべく、当該物品の構成内にサージ層を含ませることができる。サージ層は液体を急速に受け入れ、その後、吸収性芯材28の貯蔵部分に液体を放出する前に、一時的にその液体を保持するのが望ましい。典型的には、当該物品内に含まれた場合、サージ層は、液体浸透性トップシートと吸収性芯材の間に介装される。代替的には、サージ層は、液体浸透性トップシートの外向き面上に配置することができる。サージ層は、典型的には、高液体浸透性材料で構成される。適合する材料には、多孔性織物材料、多孔性不織材料、及び有孔フイルムが含まれる。限定はしないが、或る例は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルの繊維のようなポリオレフイン繊維の柔軟な多孔シート;スパンボンドによるポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルの繊維のウエブ材;レーヨン繊維のウエブ材;合成又は天然繊維又はこれらの組合せのボンデッドカーデッドウエブ材を含む。適合するサージ層の他の例は、米国特許第5486166号明細書(特許文献68)及び米国特許第5490846号明細書(特許文献69)に記述されており、これらは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0054】
上述した構成要素に加え、吸収性物品は、また、当業界にて知られているように各種の他の構成要素を含有することができる。例えば、吸収性物品は、また、吸収性芯材のエアーレイド線維構造の全体性の保持を助ける実質的親水性繊維組成ラップシート(図示しない)を含有することができる。繊維組成ラップシートは、典型的には、吸収性芯材の少なくとも2つの主要な面の上を覆うように吸収性芯材の周りに配置され、そして、ちりめん状詰め物又は高湿潤強力繊維組織のような吸収性セルロース材料で構成される。繊維組成ラップシートは、吸収性芯材の吸収性繊維塊を通しての液体の急速な分配を助けるウイッキング層を設けるように構成することができる。吸収性線維塊の一側のラップシート材料は、吸収性芯材を効果的に取り囲むべく、該線維塊の他側に配置されたラップシートに接着することも可能である。トイレトレーニングおむつのより詳細な説明は、米国特許第4940464号明細書(特許文献70)に見ることができ、これは、すべての目的に関しその全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0055】
B.インク組成物
この発明に従い、インク組成物は、インク組成物内に分子を架橋するに十分な量の架橋剤を含有する。そして、このインク組成物は、一旦、基材に付着されたならば、より一層コーヒーレントの性質になる。例えば、インク組成物は、基材に付着されたならば、架橋して三次元化学構造を形成し得る。インク組成物の三次元化学構造は、インク組成物の物理的な力よる基材からのこすれ落ちを抑止する。例えば、不織生地に付着された場合、インク組成物は架橋構造を形成し、この架橋構造が不織生地の繊維周囲を包被し、インク組成物の繊維からのこすれ落ちを効果的に抑止する。
【0056】
付加的には、架橋剤は、インク組成物内の分子を基材自身の適合する位置に架橋することができる。すなわち、インク組成物は、基材に化学的に結合して、化学的な力による繊維からのこすれ落ちを抑止できる。例えば、不織ウエブ材に付着された場合、インク組成物内の分子は、不織ウエブ材の繊維内のポリマーとの結合が可能である。
【0057】
さらに、本発明者は、インク組成物への比較的に量の多い架橋剤の添加が、基材に付着されるインク組成物のオイル摩擦堅牢度を飛躍的に向上することを発見した。例えば、インク組成物の湿重量に基づいて約2重量%よりも多い量、例えば、約4重量%よりも多い量の架橋剤の添加が可能である。或る実施例では、架橋剤は、約5重量%から約20重量%、例えば、約7重量%から約15重量%の量で存在する。例えば、特定一実施例では、架橋剤は、インク組成物内に約10重量%乃至約12重量%存在する。積層材へのインク組成物の付着の後、溶剤の蒸発に起因する架橋剤の乾燥重量により、乾燥インク組成物は、比較的大きなパーセンテージを占めることに留意すべきであり、そのことは、以下に詳細に論述する。
【0058】
インク組成物は、一般的に、基材への付着後に急速に乾燥するように設計されているので、架橋剤は、インク組成物の架橋のために長時間を要しない。すなわち、他の種類の組成物を架橋するに適した架橋剤の量では、基材への付着後のインクのオイル摩擦堅牢度に実質的に影響を及ぼすほどに十分なインク組成物の架橋はできない。理論的拘束は望まないが、インク組成物内のそのように比較的多い架橋剤は、基材にインク組成物が付着されたときに生ずる架橋の数を増やすと考えられる。架橋の率は、基材への付着後完全乾燥までの短時間に増えると考えられ、それで、インク組成物は、基材及びそれ自身に対する十分な架橋を形成する。
【0059】
架橋剤は、三次元化学構造を形成するべくインク組成物を架橋するように設計された薬剤から選択可能である。付加的に、架橋剤は、不織ウエブ材の繊維とインク組成物の間の接合を強化することができる。或る実施例では、架橋剤が、室温又は室温より若干高い温度における架橋を促進し、硬化の際の不織ウエブ材の加熱は、融点を越えない。特定の一実施例では、pHが中性又は酸性であるときに架橋が活性となり、混合又は付着の際、インク組成物は、pHが約8に維持される。インク組成物の架橋前のpHは、アンモニアのような変性容易なアルカリを使用して約8に維持される。変性容易なアルカリは、室温乾燥によって、又は、代替的には、蒸発率上昇を目的とした若干の加熱によって、排除されるまで溶液内に残留する。いずれの場合にも、硬化温度は、生地の融点よりも低い温度である。このアルカリの欠如は、インク組成物のpHの低下を生起し、これが、架橋剤を活性化する。この発明で使用可能な適合する架橋剤の例には、限定はされないが、オハイオ州クリーブランドのNoveon,Inc.から市販のXAMA−2、XAMA−7、及びCX−100が含まれる。これらの材料は、少なくとも2個のアジリジン官能基を備えたアジリジンオリゴマーである。
【0060】
付加的に、他の接着促進剤をインク組成物に添加可能である。例えば、オハイオ州クリーブランドのNoveon,Inc.から市販のCarboset514Hは、アンモニア水中に供給されたアクリルコロイド分散ポリマーであって、透明耐水非粘着性熱可塑性フイルムへと乾燥可能である。
【0061】
架橋剤の他に、インク組成物は、一般的に、着色剤(例えば、顔料と染料)、溶剤、及び他の所望の成分を含有可能である。典型的には、顔料とは、水又は溶剤に不溶の無機又は有機の粒子をベースにした着色剤をいう。通常、顔料は、乳濁液又は水中懸濁物を形成する。一方、染料は、一般的に。水又は溶剤に可溶な着色剤をいう。
【0062】
インク組成物中の顔料又は染料は、基材に付着されたならば、視認可能なインク痕を提供するのに効果のある量存在する。例えば、顔料又は染料は、乾燥重量ベースに基づいて約0.25%乃至約40%の間の濃度で、好ましくは、約1%以上と約10%以下の間の濃度で、インク組成物内に存在する。
【0063】
適合する有機顔料には、デアリイライド・イエローAAOT(例えば、Pigment Yellow 14 Cl No.21095)、デアリイライド・イエローAAOA(例えば、Pigment Yellow 12 Cl No.21090)、Hansa Yellow Cl Pigment Yellow 74、フタロシアニン・ブルー(例えば、Pigment Blue 15)、リトール・レッド(例えば、Pigment Red 52:1 Cl No.15861:1)、トルイジン・レッド(例えば、Pigment Red 22 Cl No.12315)、ジオキサジン・バイオレット(例えば、Pigment Violet 23 Cl No.51319)、フタロシアニン・グリーン(例えば、Pigment Green 7 Cl No.74260)、フタロシアニン・ブルー(例えば、Pigment Blue 15 Cl No.74160)、ナフトエ酸・レッド(例えば、Pigment Red 48:2 Cl No.15865:2)が含まれる。無機顔料には、二酸化チタン(例えば、Pigment White 6 Cl No.77891)、カーボンブラック(例えば、Pigment Black 7 Cl No.77266)、酸化鉄(例えば、赤、黄及び茶)、酸化鉄ブラック(例えば、Pigment Black 11 Cl No. 77499)、酸化クロム(例えば、緑)、フエロシアン化第二鉄アンモニウム(例えば、青)、等が含まれる。
【0064】
この発明の添加剤とともに使用可能な適合する染料には、例えば、酸性染料と、直接染料を含むスルホン化染料とがある。他の適合する染料には、アゾ染料(例えば、Solvent Yellow 14、Dispersed Yellow 23、及びMetanil Yellow)、アントラキノン染料(例えば、Solvent Red 111、Dispersed Violet 1、Solvent Blue 56、及びSolvent Orange 3)、キサンテン染料(例えば、Solvent Green 4、Acid Red 52,Basic Red 1、及びSolvent Orange 63)、アジン染料(例えば、Jet Black)、等が含まれる。
【0065】
インクは、低粘度媒質中に全体的に分散又は溶解される。例示的溶媒は、ポリアミド、セラック、ニトロセルロース、及びマレイン酸スチレンのような一般的な結合剤の種類を備えた脂肪族炭化水素である。一般的には、溶剤型インクは、非触媒ブロック・ウレタン樹脂を含み、これは、マレイン酸スチレン、マレイン酸ロジン、及びアクリル溶液のような伝統的なフレキソ印刷用結合剤よりも優れた耐久性を示す。所望の溶剤混合物には、酢酸エチル、酢酸N−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸N−ブチル、及びそれらの混合物のような各種の酢酸塩;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、直鎖プロピルアルコール、及びそれらの混合物を含む各種のアルコール;並びに、テネシー州キングスポートのEastman Chemicalから入手可能の、Ektasolve EP(エチレングリコールモノプロピルエーテル)、EB(エチレングリコールモノブチルエーテル)、DM(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、DP(ジエチレングリコールモノプロピルエーテル)、及びPM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を含むグリコールエーテルが含まれる。同様に使用可能な他のグリコールには、ミシガン州ミッドランドのDow Chemicalから入手可能のDOWANOLがある。所望の溶剤混合物は、約50%乃至約75%のグリコールエーテルと約25%乃至約35%の酢酸N−プロピルと約15%乃至約25%の酢酸N−ブチルの混合物とすることが可能である。
【0066】
使用可能な適合する水性インクは、アンモニア水内で安定化可能なエマルションを含んでおり、これには、さらに、共溶剤として、アルコール、グリコール又はグリコールエーテルを含むことが可能である。一般的には、水性インクに有機溶剤(約7%以下)、例えば、2−プロパノールであるアルコールを乾燥を早め且つ湿潤化を助長するために添加可能であり、例えば、モノプロピルグリコールであるグリコールを乾燥を遅らせるために添加可能であり、例えば、ジプロピルグリコールモノメチルエーテルであるグリコールエーテルをフイルム形成を助長するために添加可能である。これらの溶剤は、多くの企業から市販の汎用化学品とすることが可能である。一般的には、水性インクは、自己架橋アクリル共重合体エマルションを含んでおり、これはアクリル溶液及び分散共重合体のような伝統的非架橋結合剤よりも優れた耐久性を示した。溶剤と顔料の他に、インクは、結合剤又はこれらの混合物を含むことも可能である。結合剤は、カバー層12の上への顔料を安定化する。一般的に、顔料対結合剤の比は、典型的には、1:20から1:2である。
【0067】
印刷されたポリオレフイン基材のインクのすべり性を増し且つその摩擦耐性を向上することを目的としてインク組成物にワックスを含ませることができる。ワックスの共通的分類には、動物種(例えば、蜜ろう及びラノリン)、植物種(例えば、カルナバ及びキャンデリラ)、鉱物種(例えば、パラフイン及びミクロクリスタリン)、合成種(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、及びテフロン)が含まれる。一実施例では、湿潤状態のとき、ワックスは、全インク組成重量に基づく約0.5%乃至約5%の量存在する。
【0068】
一実施例において、指標形成のための印刷工程に使用されるインク組成物は、微粒子性インク組成物である。選択されるインクは、もちろん、人が使用するのに安全なものでなければならず、環境的に有害な影響をもたらすものであってはならない。さらに、インク組成物は、計画された印刷工程に適しており、且つ、吸収用物品の形成に採用された工程での温度、例えば、真空アパーチャリング工程及び同様の高温加熱工程の際に使用される温度に対し耐熱性であることが望ましい。
【0069】
C.印刷方法
不織ウエブ材上へのインク組成物の特定の印刷方法は、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、等を含む任意の適合した印刷方法とすることができる。印刷方法は、任意のデザイン、図形、又は他の画像を不織ウエブ材の表面上に印刷するために使用可能である。
【0070】
当業界において公知のように、各印刷工程は、一般的に、特定印刷工程用に特に調合された特定インク組成物を必要とする。特定のインク調合は、一般的に、異なる印刷工程と異なる印刷基材の間の異なる印刷条件を補償する。例えば、インクジェット印刷用のインク組成物は、部分的には両方の工程内で使用される印刷装置の種類の違いによって、フレキソ印刷用のインク組成物とは相当に異なる。
【0071】
例えば、フレキソ印刷用インクは、着色剤の種類によって限定されることなく、顔料が比較的大寸法の粒子を含有する場合であっても、これらの染料及び/又は顔料の使用が可能である。しかし、インクジェット印刷用インクは、一般的に、微粒子を含まないインク組成物、又は、少なくとも、比較的に小寸法の粒子を備えたインクに限定される。そして、インクジェット印刷用インクは、典型的には、インク組成物内着色剤として、顔料とは対照的な染料を含む。
【0072】
1.フレキソ印刷用インク組成物
一実施例においては、インク組成物を不織ウエブ材上にフレキソ印刷によって印刷することができ、これは、不織ウエブ材の印刷に適合する低減されたコストと高速性と高品質印刷という適正なバランスを提供可能である。一般的に、フレキソ印刷は、フイルムへ画像を転写するに、弾力的に隆起したゴムプレート又はフオトポリマープレートを使用する印刷技法である。弾力的プレートは、一般的に、低粘度インクを直接フイルム上に転写する。フレキソ印刷工程は、水性又は溶媒型インク組成物のいずれでも使用可能である。フレキソ印刷装置は、水溶性又は水性インク組成物を使用することができ、これらは、油性インク組成物よりも費用負担が少ないことから、フレキソ印刷は、他の種類の印刷よりもコストが低い。
【0073】
フレキソ印刷用インクは、一般的に、グラビア印刷で使用のものと同様に、また、石版刷りで使用のものとは異なり、低粘度インク組成物である。この低粘度性は、より早い時間での乾燥を可能とし、その結果、より早い生産を可能とし、これが、低減された生産コストをもたらす。フレキソ印刷用インクの粘度は、室温(例えば、約20℃)で、約300センチポイズ(cP)から約500cPとすることができる。計測用粘度は、当業界において一般的に知られており、粘度計をつかって精確に計測することができる。例えば、ASTM D445の標準粘度計測方法を使用することができる。
【0074】
フレキソ印刷用インクは、湿潤状態では、一般的に、約50%固形物であり、湿潤インク組成物に対する2重量%の架橋剤の適用が、架橋剤の乾燥重量で約3.5%乃至約4%を含有する乾燥インク組成物を結果する。すなわち、不織ウエブ材上にフレキソ印刷で印刷された場合、乾燥インク組成物は、約3.5重量%よりも多い量の、例えば、約7.5重量%よりも多い量の架橋剤を含有することができる。或る実施例では、不織ウエブ材上にフレキソ印刷で印刷された場合、乾燥インク組成物は、約10重量%から約30重量%、例えば、約15重量%から約25重量%含有することができる。
【0075】
本発明者は、架橋剤と組合された水性フレキソ印刷用インク組成物のオイル摩擦堅牢度は、溶剤型フレキソ印刷用インク組成物よりも、より容易に向上可能であることを発見した。すなわち、水性インク組成物のフレキソ印刷は、他の印刷工程に付加的な利点を提供することができる。
【0076】
水性フレキソ印刷用インク組成物は、一般的に、顔料又は染料、ポリマー樹脂、結合剤又はワックス、有機溶剤、及び水を含むことができる。もちろん、この組成物は、原材料の特性に依拠しつつ、多くの製造業者によって提供される様々な特性と同様、その必要な品質を変更することができる。
【0077】
2.インクジェット印刷(例えば、デジタル印刷)インク組成物
インクジェット印刷用インク組成物は、一般的に、比較的低い粘度を有しており、インクジェットヘッドを介する噴霧又は射出による基材上へのインク組成物の付着を可能とする。インクジェット印刷用インク組成物の粘度は、室温(例えば、約20℃)で、約0cPから約50cP、例えば、約0cP乃至約30cPとすることができる。インクジェット印刷用インク組成物は、さらに、約0cP乃至約5cPの粘度を有する連続インク組成物と約0cP乃至約30cPの粘度を有する非連続インク組成物に、さらに分割可能である。
【0078】
インクジェット印刷用インクは、一般的に、湿潤状態のとき、約2%から約5%の固形物であり、湿潤インク組成物への2重量%の架橋剤の適用は、約25乾燥重量%乃至約50乾燥重量%の架橋剤を含有する乾燥インク組成物を結果する。すなわち、不織ウエブ材上へのインクジェット印刷が行われた場合、乾燥インク組成物は、約25重量%より多い架橋剤、例えば、約50重量%より多い架橋剤を含有する。或る実施例では、不織ウエブ材上へのインクジェット印刷が行われた場合、約40重量%から約80重量%、例えば、約50重量%から約70重量%の量で含有する。
【0079】
或る場合では、そのように比較的多量の架橋剤の添加は、特に、不織ウエブ材へのインク組成物の付着前の時期尚早時に架橋が発生したような場合、インク組成物の粘度の上昇を招き、これは、インクジェット印刷を顕著に害することとなる。しかしながら、本発明者は、インク組成物への接着促進剤の添加が、インク組成物の粘度の格段の上昇なしに又は乾燥インク組成物の摩擦堅牢度への格段の影響なしに、インク組成物中に使用される架橋剤の量を削減可能であることを発見した。
【0080】
既述のように、オハイオ州クリーブランドのNoveon,Inc.から市販のCarboset514Hで可能な接着促進剤は、アンモニア水中のアクリルコロイド分散ポリマーであり、これは、透明耐水非粘着熱可塑性フイルムへと乾燥可能である。例えば、アクリルコロイド分散ポリマーは、インク組成物の湿重量に基づいて約15重量%までの量、例えば、約1重量%から約10重量%の量、湿潤インク組成物に添加可能である。
【0081】
代替的には、乾燥インク組成物は、約80重量%まで、例えば、約5重量%から約75重量%まで、アクリルコロイド分散ポリマーを含有することができる。例えば、乾燥インク組成物は、約10重量%から約50重量%まで、アクリルコロイド分散ポリマーを含有することができる。
【0082】
試験方法
摩擦試験方法は、処理済不織材とインクの組合せが十分な摩擦抵抗を有するかどうかを測定するために使用された。摩擦試験方法は、アメリカン・アソシエーション・オブ・テクスタイルス・ケミスト・エンド・カラリスト(AATCC)試験方法116−1983に基づいており、これは国際公開第WO2004061200A1号(特許文献71)に開示されておりに、その全体が多少の修正とともにこの明細書に引証として加えられる。
【0083】
AATCC試験方法は、標本試料に対して1片の試験生地をこすりつける回転縦型クロックメーターと呼ばれる装置を使用する。改良された摩擦試験方法は、クロックメーターの代用として、サザーランド摩擦インク試験装置(テキサス州サンアントニオのDanilee Companyより供給のSutherland 2000摩擦試験装置)と呼ばれる装置を使用した。サザーランド摩擦試験装置は、印刷業界において、印刷基材上のインク及び被膜の耐性評価に使用される。これは、クロックメーターよりも広い試験面積を有する。8平方インチ(20.32cm)の試験面積のための試験ヘッドは、2インチ(5.08cm)×4インチ(10.16cm)である。試験ヘッドは、試験標本上を浅い弓形パターンで横方向に駆動される。試験面に加わる圧力変更のためには各種の錘が有効であり、試験「行程」の数は変更可能である。この試験方法は、4.0ポンド(1.812kg)の錘と1分につき42サイクル頻度の50回の摩擦行程を使用した。試験標本は、テスターの向い面に取り付けが容易な材料の任意なものにより研削され得る。
【0084】
AATCC試験方法では、着色剤の転移は、標準尺度を参照して1から5に質的に等級付けされる。5は、転移のないことと同等であり、1は、着色剤の極限量の転移と同等である。以下の例で使用の試験方法とAATCC試験方法の間の主要な相違は、色堅牢度値を割り当てる定量的な方法にある。後者は、全着色剤転移を割り当てる分光濃度計を使用することによって達成された。これで計測された値は、「デルタE」として知られる。そして、デルタE値のAATCC色堅牢度尺度と同等の1乃至5の値への変換を目的として、式の展開が行われた。
【0085】
試験方法に従い、試験標本は、CIELAB色差に関し分析され、Eと発現した。この色差Eは、次に、以下の式、C.R.=Aexp.(−B)[この式中、Eが12よりも小さい場合は、A=5.063244及びB=0.059532(ΔE)、Eが12より大きい場合は、A=4.0561216及びB=0.041218(ΔE)]を使用して1と5の間の数に変換された。この数C.R.が、摩擦堅牢度等級である。等級1は、等級が低い不良結果に該当しており、一方、等級5は、もっとも等級の高い可能な試験結果であり、この数値は、基本的に標本材料からの色のこすれ落ちが無いことを意味する。
【0086】
分光濃度計では、操作者への依存度が低いので、試験結果の評価における客観性の向上が可能であり、高効率とオンライン品質保証における一貫性の達成が可能である。分光濃度計X−Rite938は、ミシガン州グランビルのX−Rite,Inc.によって製造されている。
【0087】
使用される装置及び材料
1.Sutherland2000摩擦試験装置(テキサス州サンアントニオのDanilee Co.)。不織材料の摩耗の低減のため、縦棒の鋭利なエッジが研削された。
2.クロックメーター布、標準2インチ×6インチ(5.08cm×15.24cm)試験スクエア。
3.ニューヨーク州アムテイビルのTesting Machine Inc.から入手したペーパーカッター、標準12インチ×12インチ(30.48cm×30.48cm)最小切断面積。
4.標準状態大気:温度=23+1℃〜23−1℃で相対湿度=50+2〜50−2%、を備えた部屋。温度と湿度に関する特定的制限外での試験は、有効な結果を生じない。
5.ミシガン州グランビルのX−Rite.Incにより製造のX−Rite分光濃度計938。
【0088】
標本の準備
試験標本は、1平方ヤード(91.44cm)につき約1オンス(28.349g)の基本重量を有するスパンボンドポリプロピレンウエブ材及びフイルム積層材であった。試験標本は、試験エリアをスクウェアの中央に位置づけるとともに、特に指定の無い場合には、幅を2.5インチ(6.35cm)で長さを7.0インチ(17.78cm)に正確に切断した。
【0089】
試験工程
1.特別な説明書によって別に指示されない限り、標本を、基材の機械方向において、概ね、幅2.5インチ(6.35cm)で長さ7.0インチ(17.78cm)に切断する。
2.個々の標本のデータを備えた2インチ×6インチ(50.8cm×15.24cm)の白い綿シートを貼り付ける。
3.この白い綿シートの長さが摩擦方向に平行になるように設置する。印刷面が上向きとなり、被試験エリアが中央となるように機械のベースに標本を接着する。
4.1枚のクロックメーター布の重量を計る。ベビーオイルによりクロックメーター布の水分を全体的に除去して、湿残量を65%+5%〜65%−5%[%湿残量=((湿重量−乾燥重量)/乾燥重量)×100]にする。(乾燥摩擦堅牢度を計測する場合には、この過程は省略することができる。湿潤摩擦堅牢度を計測する場合には、ベビーオイルの代わりに水とする。)
5.重さ4ポンド(1812g)の錘の上に被試験標本を設置し(長辺どうしが合うように)、余剰部分を610テープでテーピングすることによって、白いクロックメーター布をこの錘の上に接着する。
6.摩擦試験装置のアーム上に、この錘と白い布標本を設置する。
7.摩擦試験装置を1分につき42サイクルで50摩擦行程に設定する。
8.摩擦試験装置を始動し、摩擦試験装置が停止するの待つ。
9.被試験標本を乾燥させる。
10.標本に対する摩擦試験が完了したならば、標本を、布の背面にある標本下側の厚紙とともに白い綿布にホチキスで止める。
11.1束の標本に関する摩擦試験が完了したら、分光濃度計による測定を開始することができる。しかし、水又はオイルで試験される標本は、分光濃度計による試験の前に、開けた場所で24時間かけて乾燥される必要がある。
12.照明は、必ず、Cに設定する。
13.提供されるタイルを使用して、白点上で、分光濃度計の目盛調整を行う。
14.印刷出力のデータモードは、必ず、ディファレンスモードに設定する。すなわち、D50/10及びLabである。
15.特別な説明書中に指示されている場合、分光濃度計における白標準は、日が変わる毎に、又はそれ以上に頻繁に、読み出す必要がある。このことは、最上層の7枚の綿布を相互に剥離して、これによって基準設定することによって行われる。
16.必要ならば白標準から始めて束の全体を通して、ほとんどの量のインクの転移があるように見えるエリアを読み出して、各標本を測定する。
17.必要ならば、白標準を1として、1から末端までの連続読み出しの間、標本を数える。この数は、印刷出力に合致する。
18.分光濃度計による標本全ての読み出し後に、レポートを印刷し、標本データによってレポートを分類する。(すなわち、白標準及び標本識別)
【0090】
任意的な湿潤標本試験
1.クロックメーター布標準の重量を計る。その重量を記録する。
2.適合する溶液でその材料から全体的に水分を除去する。
3.湿残量を65+5%〜65−5%とする(このことは、その材料から余分な溶液をしぼり又は吸い取り、その材料の重量を計り、パーセント残量を計算することによって行われる。計算式:(湿重量−乾燥重量)/乾燥重量×100=パーセント残量))。蒸発をふせぐために、試験用の1つの湿潤布を一度に調製する。
4.18を介してステップ4を継続する。
【0091】
評価
次のステップは、既述したように、AATCC試験方法への第2の改良である。この第2の改良は、試験標本に転移した色の量を、AATCC色転移スケール又は等級スケール計測装置の代わりに、X−Rite分光濃度計を使用して計測された。既述のように、次に、Eが得られ、上記の式を用いて1と5の間の摩擦堅牢度等級に変換される。
【0092】
各特定のインク配合は、平均読み出し値を得るべく倍数回試験された。平均値は、各試験標本毎の摩擦堅牢度等級を個別に計算し、その摩擦堅牢度等級を合算し、そして、平均摩擦堅牢度等級を得るべく標本の数で割ることによって決定された。
【0093】

以下の例において、インク組成物は、ポリプロピレン繊維のスパンボンドウエブ材に付着された。スパンボンドウエブ材は、積層材を形成するべく、ポリプロピレンフイルムに積重された。次に、各種のインク組成物が、積層材の不織側上に印刷され、乾燥させられた。最後に、各標本のオイル摩擦堅牢度が、上述した試験方法に従って測定された。
【0094】
次に、各標本の測定結果は、フイルム上に印刷され且つ不織層で保護された一般的なインク組成物を備えた類似構成の積層材の摩擦堅牢度と比較された。印刷済みの対照用の積層材は、テキサス州ダラスのKimberly Clark, Inc.によってHUGGIES Supremeとの名称で販売のおむつから採取のものである。
【0095】
以下に示す表においては、以下の商標名のインク組成物及び添加剤が、以下の各種の標本中に用いられた。
Huggies Supreme(図形)−Huggies Supreme外カバー。これは、最上位に接着されたスパンボントを備え、フレキソ印刷で印刷されたフイルムから構成される。
Sun CR48−これは、Kimberily Clark,Inc.に代わり乾燥摩擦堅牢用にSun Chemicalによって設計された溶剤型インクである。
Vertec TAA−これは、ICI Americas INC.によって作製されたジイソプロポキシチタニュウムアセチルアセトネート・インク添加剤である。
Vertec IA10−これは、ICI Americas INC.によって作製されたブチルチタニウムホスフェイト・インク添加剤である。
EHEC−これは、レオロジー制御のための増粘剤としてAkzo Nobel Cellulosic Specialtiesによって作製されたエチルヒドロキシエチルセルロースである。商標名は、Bermocollである。
Kymene 450−これは、湿潤強力樹脂として使用され、Hercules Inc.により生産されたカチオンアミンポリマーエピクロロヒドリン付加物の水性溶液である。
Sun DP160−これは、Sun Chemicalによって生産された溶剤型インクである。
AeroflexDP−これは、Flint Inc.によって生産された溶剤型インクである。
Talc−Landerによって生産されたベビーパウダー。
Xama7−Noveonによって生産されたペンタエリトリトロール−トリス−(β−(アジリジニル)プロピオネート)。
Environmetal Inks and Coatings−Environmetal Inks and Coatingsによって生産された水性インク。
Atlantic Printing Ink−Atlantic Printing Inkによって生産された水性インク。
Aquasafe−Polytexによって生産された水性インク。
Control Pull Ups−溶剤型インクで印刷されたフイルムと最上位に接着で積重されたスパンボンドとより成るプルアップ外カバー。
PLA−ポリ乳酸不織基材。
Carboset 514H−Noveonによって生産されたアクリルコロイド分散。
Ethylene glycol−Fisher Scientificによって生産されたエチレングリコール。
Ammonium Zirconium(IV)Carbonate−水中で安定化する、Sigma−Aldrichによって生産されたアンモニウムジルコニウム(IV)カーボネイト溶液。
AirflexEF 9100−酢酸ビニル単量体とエチレン共重合体を含有する、Air Products Polymers,L.P.によって生産されたエマルション。
AirflexEP 1188−Air Products Polymers, L.P.によって生産されたポリ酢酸ビニルエマルション。
【0096】
追加的には、以下の添加剤、すなわち、Kraton D−1192とKraton 222Dの名称で販売のポリマー(テキサス州ヒューストンのKraton Polymers, LLC);Permexの名称で販売のポリマー(オハイオ州クリーブランドのNoveon,Inc.);Kymeneの名称で販売のポリマー(デラウエア州ウイルミントンのHercules,Inc.)を使用した。
【0097】
各インク標本において、添加量のパーセンテージは、インク組成物の重量パーセントに基づいている(例えば、Xama7の2%の添加とは、インク組成物100gにつきXama7を2g添加することを意味する)。
【0098】
各インク組成物は、110行/cmを有するアニロックスロールを備えた、Phantom Prooferとの名称でHarper Scientificから入手可能なインクローラーを使って、以下の工程にしたがって不職ウエブ材に付着された。
1.ラバーメーターロールにホワイトチップを押し付けて若干の圧力を生ずるためにハンドルを締め付ける。ローラーが自然に回転しない場合には、緩める。
2.点眼器を使って、2個のロールの中央にインクの小さなたまりをもうける。
3.次に、なめらかで均等な手の操作で、不織ウエブ材をロールから引き下げる。寸法は試験方法に依拠するが、必ず、少なくとも2インチ(5.08cm)幅とする。
4.ローラー上により多い量のインクを付与する必要の生ずる前に、2乃至3個のロールを準備することが可能である。
5.サザーランド摩擦試験装置のための準備において2インチ×7インチ(5.08cm×17.78cm)の矩形材を切断する。
【0099】
例1:フレキソ印刷用インク組成物
様々なフレキソ印刷用インク組成物のオイル摩擦堅牢度が試験された。標本は、各々、フレキソ印刷用インク組成物をポリプロピレン繊維のスパンボンド不織ウエブ材の露出面上に印刷することによって準備された。ウエブ材は、スパンボンド不織ウエブ材と液体浸透性ポリプロピレンフイルムの積層材の表面が露出するように設けられた。乾燥後、各標本は、表1に示すように、標本のオイル摩擦堅牢度(ベヒーオイル)の計測を目的として試験された。
【0100】

【0101】

【0102】
示されるように、フレキソ印刷用インク組成物へのXama7の添加は、乾燥インク組成物、特に、溶剤型インク組成物の摩擦堅牢度を増大することができる。
【0103】
また、標本57−62のインクは、AquaSafeとの名称で販売の市販インクではなかったが、別のインク組成物が、Polytexから直接に提供された。
【0104】
例2:インクジェット印刷用インク組成物
様々なインクジェット印刷用インク組成物のオイル摩擦堅牢度が試験された。標本は、各々、インクジェット印刷用インク組成物をポリプロピレン繊維のスパンボンド不織ウエブ材の露出面上に印刷することによって準備された。ウエブ材は、スパンボンド不織ウエブ材と液体浸透性ポリプロピレンフイルムの積層材の表面が露出するように設けられた。乾燥後、各標本は、表2に示すように、標本のオイル摩擦堅牢度の計測を目的として試験された。
【0105】

【0106】

【0107】
示されるように、インクジェット印刷用インク組成物へのXama7の添加が、乾燥インク組成物の摩擦堅牢度を増大することができる。さらに、Xama7とコロイドアクリル分散(例えば、Carboset)の組合せが、乾燥インク組成物の摩擦堅牢度を増大することができる。
【0108】
この発明のこれらのそして他の改良及び変更は、当業者において、この発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施可能であり、添付請求項中により詳細に記載される。付け加えるに、各種実施例の特徴は、全体的又は部分的に入れ替え可能であることを理解されたい。さらに、当業者は、明細書の以上の記載が例示の手段としてのみであり、添付請求項の記載を越えての発明の限定ではないことを理解されるであろう。
【符号の説明】
【0109】
10 (幼児用)トイレトレーニングおむつ
12 バックシート
14 不織ウエブ材
16 画像
20 内側の面
22 液体不浸透性フイルム
24 面
26 面
28 吸収性芯材
30 液体不浸透性トップシート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】米国特許第3849241号明細書
【特許文献2】米国特許第4340563号明細書
【特許文献3】米国特許第3692618号明細書
【特許文献4】米国特許第3802817号明細書
【特許文献5】米国特許第3338992号明細書
【特許文献6】米国特許第3341394号明細書
【特許文献7】米国特許第3502763号明細書
【特許文献8】米国特許第3502538号明細書
【特許文献9】米国特許第3542615号明細書
【特許文献10】米国特許第5382400号明細書
【特許文献11】米国特許第4100324号明細書
【特許文献12】米国特許第5284703号明細書
【特許文献13】米国特許第5350624号明細書
【特許文献14】米国特許第5108820号明細書
【特許文献15】米国特許第4795668号明細書
【特許文献16】米国特許第5382400号明細書
【特許文献17】米国特許第5336552号明細書
【特許文献18】米国特許第6200669号明細書
【特許文献19】米国特許第5277976号明細書
【特許文献20】米国特許第5162074号明細書
【特許文献21】米国特許第5466410号明細書
【特許文献22】米国特許第5069970号明細書
【特許文献23】米国特許第5057368号明細書
【特許文献24】米国特許第5382400号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2003/0118816号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2003/0203162号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2004/0121675号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2006/0003150号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2006/0246263号明細書
【特許文献30】米国特許第5843057号明細書
【特許文献31】米国特許第5855999号明細書
【特許文献32】米国特許第6002064号明細書
【特許文献33】米国特許第6037281号明細書
【特許文献34】国際公開第WO99/12734号パンフレット
【特許文献35】米国特許第5332613号明細書
【特許文献36】米国特許第4663220号明細書
【特許文献37】米国特許第4323534号明細書
【特許文献38】米国特許第4834738号明細書
【特許文献39】米国特許第5093422号明細書
【特許文献40】米国特許第5304599号明細書
【特許文献41】米国特許第5278272号明細書
【特許文献42】米国特許第5272236号明細書
【特許文献43】米国特許第5539056号明細書
【特許文献44】米国特許第5596052号明細書
【特許文献45】米国特許第6794024号明細書
【特許文献46】米国特許第5843057号明細書
【特許文献47】米国特許第5855999号明細書
【特許文献48】米国特許第5932497号明細書
【特許文献49】米国特許第5997981号明細書
【特許文献50】米国特許第6002064号明細書
【特許文献51】米国特許第6015764号明細書
【特許文献52】米国特許第6037281号明細書
【特許文献53】米国特許第6111163号明細書
【特許文献54】米国特許第6461457号明細書
【特許文献55】米国特許第4341216号明細書
【特許文献56】米国特許第4758239号明細書
【特許文献57】米国特許第5628737号明細書
【特許文献58】米国特許第5836932号明細書
【特許文献59】米国特許第6114024号明細書
【特許文献60】米国特許第6153209号明細書
【特許文献61】米国特許第6198018号明細書
【特許文献62】米国特許第6203810号明細書
【特許文献63】米国特許第6245401号明細書
【特許文献64】米国特許第6149934号明細書
【特許文献65】米国特許第3901236号明細書
【特許文献66】米国特許第4076663号明細書
【特許文献67】米国特許第4286082号明細書
【特許文献68】米国特許第5486166号明細書
【特許文献69】米国特許第5490846号明細書
【特許文献70】米国特許第4940464号明細書
【特許文献71】国際公開第WO2004061200A1パンフレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視表面を形成する不織フエブ材であって、
前記不織ウエブ材を形成するように互いに絡み合わされた合成繊維と、
前記不織ウエブ材の前記可視表面に付着されるインク組成物とを含み、前記インク組成物は、該インク組成物の乾燥重量に基づく約3.5重量%よりも多い量の架橋剤を含み、該架橋剤は、少なくとも2個のアジリジン官能基を備えたアジリジンオリゴマーを含むことを特徴とする不織ウエブ材。
【請求項2】
前記不織ウエブ材が、疎水性繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の不織ウエブ材。
【請求項3】
前記不織ウエブ材が、ポリオレフィン繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の不織ウエブ材。
【請求項4】
前記インク組成物が、さらに、アクリルコロイド分散ポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項5】
前記インク組成物が、該インク組成物の乾燥重量に基づく約7.5重量%よりも多い量の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項6】
前記インク組成物が、該インク組成物の乾燥重量に基づく約40重量%乃至約80重量%の量の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項7】
前記ウエブ材が、約3.8よりも大きいオイル摩擦堅牢度を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項8】
前記ウエブ材が、約4.0よりも大きいオイル摩擦堅牢度を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項9】
前記ウエブ材が、約4.1よりも大きいオイル摩擦堅牢度を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項10】
前記不織ウエブ材の前記可視表面が微小孔を有する通気性フイルムに対し反対の側に面するように前記不織ウエブ材を該通気性フイルムに積重したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の不織ウエブ材。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の不織ウエブ材を含む吸収用物品であって、
液体浸透性トップシートと、
吸収性芯材と、
液体不浸透性のバックシートを含み、
前記吸収性芯材は、前記トップシートと前記バックシートの間に配置され、
前記バックシートは、請求項1乃至9のいずれかに記載の前記不織ウエブ材を含み、
前記不織ウエフ材は、前記吸収性芯材に面するフイルム層を覆うと共に、前記吸収性物品の可視表面を画定し、
前記インク組成物が前記可視表面に付着されることを特徴とする吸収用物品。
【請求項12】
前記フイルムが、微小孔を有する通気性フイルムであることを特徴とする請求項11に記載の吸収用物品。
【請求項13】
前記吸収用物品が、おむつ、トイレトレーニングおむつ、又は、スイムパンツであることを特徴とする請求項11又は12に記載の吸収用物品。
【請求項14】
不織ウエブ材に印刷する方法であって、
可視表面を有する合成繊維製の不織ウエブ材を準備する過程と、
前記不織ウエブ材の前記可視表面にインク組成物を印刷する過程とを含み、
前記インク組成物は、該インク組成物の湿重量に基づく約2重量%よりも多い量の架橋剤を含み、該架橋剤は、少なくとも2個のアジリジン官能基を備えたアジリジンオリゴマーを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記不織ウエブ材が、通気性フイルムに積重されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記架橋剤が、前記インク組成物内に、前記インク組成物の湿重量に基づく約5重量%から約15重量%存在することを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記インク組成物が、前記不織ウエブ材上にフレキソ印刷により印刷されることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記インク組成物が、前記不織ウエブ材上にインクジェット印刷により印刷されることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記インク組成物が、さらに、アクリルコロイド分散ポリマーを含むことを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−523827(P2010−523827A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553242(P2009−553242)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050281
【国際公開番号】WO2008/110944
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】