説明

改質された性質を備えた縮合ポリマー

本発明は、ポリマー組成物の調製方法に関し、該方法は、脂肪族縮合ポリマーを一般式(I)の環式エステルと溶融混合することを含み、ここでXは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には縮合ポリマーに関する。具体的には、本発明は、改質された性質を有する脂肪族縮合ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
縮合ポリマー、例えばポリエステルおよびポリアミドは、多様な一連の物理的および化学的性質を備えて調製することができる。例えば、縮合ポリマーは、その剛性、硬度、弾力性、引張強度、密度、および生分解を受けることができるか否かにおいて、非常に広汎に変えることができる。
【0003】
このような多様な性質は、この分類のポリマーに、ほんの数例を挙げれば、食品包装、建築材料、医療移植片を含む、多くのそして変化に富んだ用途における有用性を与える。
【0004】
縮合ポリマーの一部として、脂肪族縮合ポリマーは、それら自身の特有な物理的および化学的性質を呈する。例えば、脂肪族ポリエステルは、良好な生分解性を示すことが知られている。しかしながら、脂肪族縮合ポリマーは、それらの非脂肪族の相当品および他の市販のポリマー(例えば、ポリ塩化ビニルおよびポリプロピレン)に比較して、特定の用途においては、物理的および/または化学的性質が不足している可能性がある。例えば、良好な生分解性を示すにも拘らず、ポリ乳酸は比較的に貧弱な可撓性を有しており、そしてフィルム系の用途(例えば、包装材料として)におけるその利用は制限される。
【0005】
脂肪族縮合ポリマーの物理的および/または化学的性質を向上させるための多くの技術が開発されてきている。例えば、このポリマーの物理的および/または化学的性質に影響を与えることができる特別なモノマーを、縮合重合製造プロセスの間に、慣用のモノマーと共に用いることができる。しかしながら、この方法で、縮合ポリマーの新しい、そして改善された性質を導き出すためには、幾分か特殊化された縮合重合装置の使用が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、新しい、および/または改善された性質を備えた脂肪族縮合ポリマーを調製するための、代替の方法を開発するための状況が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリマー組成物を調製する方法を提供するものであり、該方法は、脂肪族縮合ポリマーを下記の一般式(i)の環式エステルと溶融混合することを含んでいる。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、Xは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。
【0010】
環式エステル(I)を、予め形成された脂肪族縮合ポリマーと溶融混合することによって、この縮合ポリマーのポリマー主鎖を、この環式エステルの開環した残基が組み込まれるように改質することができることが見出された。更に、この方法は、縮合ポリマーの分子量の著しい低下なしに起こることが見出され、従って、改質されたポリマーの分子量を増大させるためのいずれかの続いて起こる処理の必要性を、全てを回避するのではなくとも、最小化する。
【0011】
結果として得られる改質された縮合ポリマーは、そのポリマー主鎖の一部として、この環式エステルの開環残基を含んでいる。ポリマー主鎖の一部としての、この開環残基の存在は、改質された縮合ポリマーに新しい、および/または改善された性質を与えると信じられる。特に、この環式エステルの構造は、組み込まれた開環残基が、縮合ポリマーに、異なる性質を与えることができるように、変えることができる。
【0012】
従って、本発明は、更に脂肪族縮合ポリマーを改質するための方法を提供し、この方法は、縮合ポリマーを一般式(I)の環式エステルと溶融混合することを含んでいる。
【0013】
本発明の方法は、有利には、当技術分野において知られている慣用の溶融混合装置を用いて行なうことができる。通常は、この方法は、この環式エステルと縮合ポリマーを独立して、または合わせて適切な溶融混合装置中に導入することによって実施される。例えば、この環式エステルは、既に溶融状態にある縮合ポリマーに導入されてもよく、またはこの環式エステルと縮合ポリマーとの混合物に溶融混合を受けさせることもできる。
【0014】
また、この環式エステルは、組成物、例えばマスターバッチまたは濃縮物の形態でも提供することができ、これらは次いで改質されるべき脂肪族縮合ポリマー中に希釈される。この組成物は、通常は、この環式エステルと1種もしくは2種以上のポリマー(通例、担体ポリマーと称される)とを含んでいる。この担体ポリマーは、改質されるべき縮合ポリマーと同じか、または異なっていてもよい。1つの態様では、この担体ポリマーは、脂肪族縮合ポリマーである。この組成物は、この環式エステルと1種もしくは2種以上の担体ポリマーとの物理的な混合物であるか、および/またはそれ自体が、この環式エステルと1種もしくは2種以上の担体ポリマーとの溶融混合によって調製されていてもよい。
【0015】
従って、本発明はまた、脂肪族縮合ポリマーを改質するためのポリマー組成物であって、1種もしくは2種以上の担体ポリマーおよび一般式(I)の環式エステルを含む組成物、ならびに/あるいは1種もしくは2種以上の担体ポリマーおよび一般式(I)の環式エステルを含む組成物を溶融混合することによって形成された生成物、を含む組成物を提供する。
【0016】
1つの態様では、このポリマー組成物は、脂肪族縮合ポリマーおよび一般式(I)の環式エステル、ならびに/あるいは脂肪族縮合ポリマーおよび一般式(I)の環式エステルを含む組成物の溶融混合によって形成された生成品、を含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって改質された脂肪族縮合ポリマーは、新しい、および/または改善された性質、例えば改質される前の縮合ポリマーと比較して向上した可撓性を示すことが見出されている。
【0018】
本発明によって用いられる環式エステル(I)は、有利には、植物および動物から誘導することができる再生可能資源である、ヒドロキシカルボン酸を用いて調製することができる。
【0019】
本発明の更なる態様が、以下に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで用いられる用語「縮合ポリマー」は、縮合または逐次重合反応によって形成されていることを意味するように意図されている。縮合ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの共重合体が挙げられる。本発明の1つの態様では、用いられる縮合ポリマーは、ポリエスエル、ポリアミドおよびそれらの共重合体である。
【0021】
本発明によって用いられる縮合ポリマーは、「脂肪族縮合ポリマー」である。「脂肪族」縮合ポリマーによって、このポリマー主鎖は芳香族部分を含んでいないことを意味している。従って、ポリエチレンテレフタレート(すなわち、PET)は、脂肪族ポリエステルではない。
【0022】
用語「ポリマー主鎖」は、ポリマーの主要構造を意味しており、これには置換基が付いていてもよい。ポリマーの主要構造は、直鎖でも、または分岐していてもよい。
【0023】
縮合ポリマーは非環式(すなわち、ポリマー主鎖は環状部分を含んでいない)であることができる。脂肪族縮合ポリマーのポリマー主鎖には、芳香族部分を含まないが(そして環状部分はおそらくない)、それでもなお、芳香族もしくは環状部分が、ポリマー主鎖からのペンダントの位置に存在していてもよい。しかしながら、本発明によって用いられる脂肪族縮合ポリマーは、通常は、ペンダントの芳香族もしくは環状部分を含んではいない。
【0024】
本発明で用いることができる脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)単独および共重合体ならびに、1種もしくは2種以上のアルキルジオールと1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸(またはアシル誘導体)との反応生成物から誘導されるそれらの脂肪族ポリエステルの単独および共重合体が挙げられる。脂肪族ポリエステルの混和性および不混和性の混合物もまた用いることができる。
【0025】
脂肪族ポリエステルの1つの分類としては、ヒドロキシカルボン酸の縮合もしくは開環重合によって誘導されるポリ(ヒドロキシアルカノアート)、またはその誘導体が挙げられる。好適なポリ(ヒドロキシアルカノアート)は、式H(O−R−C(O)−)OHによって表すことができ、ここでRは直鎖もしくは分岐していてもよいアルキレン部分であり、そしてnは1〜20、好ましくは1〜12の数である。Rは、更に1つもしくは2つ以上の鎖状の(すなわち、鎖中に)エーテル酸素原子を含むことができる。通常は、ヒドロキシカルボン酸のR基は、ペンダントのヒドロキシル基が、第一級または第二級ヒドロキシル基であるようなものである。
【0026】
有用なポリ(ヒドロキシアルカノアート)としては、例えばポリ(3−ヒドロキシブチラート)、ポリ(4−ヒドロキシブチラート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(乳酸)(ポリラクチドとしても知られている)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノアート)、ポリ(4−ヒドロペンタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシペンタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノアート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノアート)、ポリジオキサノン、およびポリカプロラクトン、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとしても知られている)の単独および共重合体が挙げられる。上記のヒドロキシカルボン酸の1種もしくは2種以上の共重合体もまた用いることができ、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(乳酸エステル−コ−3−ヒドロキシプロパノアート)およびポリ(グリコリド−コ−p−ジオキサノン)を与える。また、2種または3種以上のポリ(ヒドロキシアルカノアート)も用いることができる。
【0027】
脂肪族ポリエステルの更なる分類としては、1種もしくは2種以上のアルキルジオールと、1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸(またはアシル誘導体)との反応生成物から誘導されるそれらの脂肪族ポリエステルが挙げられる。このようなポリエステルは一般式(II)を有している。
【0028】
【化2】

【0029】
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分岐していてもよい、1〜20個、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキレン部分を表し、そしてpはこのエステルがポリマーであるような数であり、そして好ましくはこの脂肪族ポリエステルの分子量が10000〜300000、より好ましくは約30000〜200000であるような数である。それぞれのmおよびnは、独立して、0または1である。RおよびRは、更に1種または2種以上の鎖状の(すなわち、鎖中に)エーテル酸素原子を含むことができる。
【0030】
このような脂肪族ポリエステルの例としては、(a)1種もしくは2種以上の以下の二塩基酸(またはそれらの誘導体):コハク酸、アジピン酸、1,12−ジカルボキシドデカン、フマル酸およびマレイン酸、ならびに(b)1種もしくは2種以上の以下のジオール:エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、およびポロプロピレングリコール、ならびに(c)所望による少量の、すなわち0.5〜7.0モル%の、2超の官能価を備えたポリオール、例えばグリセロールまたはペンタエリスリトール、から誘導されたそれらの単独および共重合体が挙げられる。
【0031】
このような脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンスクシネート単独重合体、ポリブチレンアジペート単独重合体、ポリブチレンアジペート−スクシネート共重合体、ポリエチレンスクシネート−アジペート共重合体、ポリエチレンアジペート単独重合体を挙げることができる。
【0032】
通例の商業的に入手できる脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリ(L−ラクチド−コ−トリメチレンカルボナート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ブチレンスクシネート)、およびポリ(ブチレンアジペート)が挙げられる。
【0033】
また、2種もしくは3種以上の脂肪族ポリエステルの混合物も、本発明によって用いることができる。
【0034】
本発明において用いることができる脂肪族ポリアミドとしては、ポリマー主鎖の一部を形成し、そして少なくとも2個の脂肪族の炭素原子によって互いに分離されている繰り返しのカルボンアミドの存在によって特徴付けられるものが挙げられる。従って、好適な脂肪族ポリアミドとしては、一般式(III)または(IV)によって表される繰り返し単位、またはそれらの組合せを有するものが挙げられる。
【0035】
【化3】

【0036】
式中、RおよびRは、同じでもまたは異なっていてもよく、そしてそれぞれ独立して、少なくとも2個の炭素原子のアルキレン基、例えば約2〜約20個の炭素原子を有するアルキレン、好ましくは約2〜約12個の炭素原子を有するアルキレンである。
【0037】
このようなポリアミドの例としては、1種もしくは2種以上のアルキルジアミンと1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸との反応によって形成されるものが挙げられ、そしてポリ(テトラメチレンアジポアミド)(ナイロン4,6);ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン6,6);ポリ(ヘキサメチレンアゼロアミド)(ナイロン6,9);ポリ(ヘキサメチレンセバコアミド)(ナイロン6,10);ポリ(ヘプタメチレンピメロアミド)(ナイロン7,7);ポリ(オクタメチレンスベロアミド)(ナイロン8,8);ポリ(ノナメチレンアゼロアミド)(ナイロン9,9);ポリ(デカメチレンアゼロアミド)(ナイロン10,9)など、が挙げられる。
【0038】
また、このようなポリアミドの例としては、アルキルアミノ酸およびそれらの誘導体(例えばラクタム)の重合によって形成されたものが挙げられ、そしてポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4);ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6);ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7);ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8);ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9);ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10);ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11);ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)などが挙げられる。
【0039】
1種もしくは2種以上の脂肪族ポリアミドの混合物もまた、本発明に従って用いることができる。
【0040】
本発明によって用いられる環式エステルは、一般式(I)のものである。
【0041】
【化4】

【0042】
式中、Xは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。
【0043】
一般式(I)中の炭化水素基Xは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。「脂肪族」炭化水素は、非芳香族炭化水素を意味している。「環中に存在」する2個もしくは3個以上の炭素原子は、一般式(I)の環式エステルが少なくとも4個の原子の環(すなわち4員環)であり、そして炭化水素Xが、この環に対して2個の炭素原子与えていることを意味している。また、炭化水素Xは、この環の一部を形成しない、またはこの環中に存在しない幾つかの炭素原子を有していてもよい。炭化水素Xは、通常は非環式炭化水素(すなわち、環式でない炭化水素)である。1つの態様では、この炭化水素基Xは、直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である。
【0044】
炭化水素基Xは、飽和または不飽和であることができる。この炭化水素が不飽和である場合には、これは一価不飽和または多価不飽和であることができ、そしてシスおよびトランス異性体の両方を含むことができる。炭化水素Xは、通常は環中に存在する2〜25個の炭素原子、好ましくは5〜20個の炭素原子、より好ましくは10〜20個の炭素原子を有している。炭化水素Xは、ここで規定される所望による置換基で置換されていてもよい。態様によっては、炭化水素Xは置換されていない。この場合には、炭化水素基Xは、好ましくは直鎖アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である。
【0045】
一般式(I)中のX基が、不飽和脂肪族炭化水素基または、反応性官能基を与える、ここに規定したような1種もしくは2種以上の所望による置換基で置換された脂肪族炭化水素基である場合には、本発明による改質された縮合ポリマーは、有利には、炭化水素Xの内部の、もしくは炭化水素X上に置換された反応性官能基を通して、反応することができる。例えば、炭化水素基Xが不飽和である場合には、不飽和結合は、架橋反応(すなわち、アルキッド塗料中で起こるのと同様の酸化的架橋、またはフリーラジカル媒介反応)およびフリーラジカル媒介のグラフト反応に関与することができる。また、架橋およびグラフト反応は、炭化水素基X上の反応性官能基の置換基を通してでも起こる可能性がある。
【0046】
1つもしくは2つ以上の反応性官能基を備えた炭化水素基Xを与えることによって、有利には、有機もしくは無機部分が、そのような基を備えたこれらの部分との反応を通して、ポリマー主鎖に結合されることが可能になる。これらの有機もしくは無機部分は、環式エステルが脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される前に、環式エステルのX基に都合よく結合することができ、あるいは環式エステルが脂肪族縮合ポリマーと溶融混合された後に、X基に結合することができる。
【0047】
1つの態様では、一般式(I)のX基は、共役二重結合および/または三重結合を含む脂肪族炭化水素である。好ましくは、このような共役は、イン−イン、エン−エン、イン−イン−イン、イン−イン−エン、エン−イン−インまたはイン−エン−イン部分の形態である。
【0048】
ここで用いられる、単独もしくは複合語の中で用いられている用語「アルキル」は、直鎖、分岐または環式アルキル、例えばC1−40アルキル、もしくはC1−20もしくはC1−10を表す。直鎖および分岐アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−,2−,3−,4−,5−,6−もしくは7−メチルオクチル、1−,2−,3−,4−もしくは5−エチルヘプチル、1−,2−もしくは3−プロピルへキシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−および8−メチルノニル、1−,2−,3−,4−,5−もしくは6−エチルオクチル、1−,2−,3−もしくは4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−もしくは9−メチルデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−もしくは7−エチルノニル、1−,2−,3−,4−もしくは5−プロピルオクチル、1−,2−もしくは3−ブチルヘプチル、1−ペンチルへキシル、ドデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−,9−もしくは10−メチルウンデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−もしくは8−エチルデシル、1−,2−,3−,4−,5−もしくは6−プロピルノニル、1−,2−,3−もしくは4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどが挙げられる。環式アルキルの例としては、単環式もしくは多環式アルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロペンチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。アルキル基が、一般に「プロピル」、「ブチル」などと称される場合には、これは、必要に応じて、直鎖、分岐および環式異性体のいずれかを示すことができることが理解されなければならない。アルキル基は、所望により、ここに規定されるような、1種もしくは2種以上の所望の置換基によって置換されていてもよい。
【0049】
ここで用いられる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分岐もしくは環式炭化水素残基から形成される基を表し、先に規定した通りの、エチレン性の一価、二価もしくは多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、例えばC2−40アルケニル、またはC2−20またはC2−10が挙げられる。従って、アルケニルには、1つもしくは2つ以上の炭素−炭素二重結合を備えた、プロペニル、ブチレニル、ペンテニル、ヘキサエニル、ヘプタエニル、オクタエニル、ノナエニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル炭化水素基を含むことが意図されている。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタジエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。アルケニル基は、ここに規定したような、1種もしくは2種以上の所望による置換基によって置換されていてもよい。
【0050】
ここで用いられる用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む、直鎖、分岐または環式炭化水素残基から形成される基を表し、先に規定した通りの、エチレン性一価、二価もしくは多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、例えばC2−40アルケニル、またはC2−20またはC2−10、が挙げられる。従って、アルキニルには、1個もしくは2個以上の炭素−炭素三重結合を備えた、プロピニル、ブチリニル、ペンチニル、ヘキサイニル、ヘプタイニル、オクタイニル、ノナイニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、エイコシニル炭化水素基が挙げられる。アルキニルの例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、およびブチニル異性体、およびペンチニル異性体が挙げられる。アルキニル基は、場合によっては、ここに規定する、1種もしくは2種以上の所望による置換基によって置換されていてもよい。
【0051】
アルケニル基は炭素−炭素三重結合を含んでいてもよく、そしてアルキニル基は、炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい(すなわち、いわゆるエン−インまたはイン−エン基)。
【0052】
ここで用いられる用語「アリール」(または「カルボアリール(carboaryl)」は、芳香族炭化水素環系の、単環式、多環式、共役および縮合した残基のいずれかを表す。アリールの例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンゾアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル(idenyl)、アズレニル、クリセニルが挙げられる。好ましいアリールとしては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリール基は、ここで規定した1種もしくは2種以上の所望による置換基によって置換されていてもよい。
【0053】
ここで用いられる用語「アルキレン」、「アルケニレン」および「アリーレン」は、それぞれここに規定される「アルキル」、「アルケニル」および「アリール」の二価の形態を表すことを意図している。本明細書において、「置換されていてもよい」は、その基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルカリル、アルクヘテロシクリル、アルクへテロアリール、アルクカルボシクリル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボシクリル、ハロヘテロシクリル、ハロへテロアリール、ハロアシル、ハロアリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボシクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシへテロシクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボシクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボシクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボシクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロへテロシクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロへテロアリール、ニトロカルボシクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボシクリル、アミノアリール、アミノへテロシクリル、アミノへテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボシクリル、チオアリール、チオへテロシクリル、チオへテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボシクリル、カルボキシアリール、カルボキシへテロシクリル、カルボキシへテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボシクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルへテロシクリル、カルボキシエステルへテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボシクリル、アミドアリール、アミドへテロシクリル、アミドへテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボシクリル、ホルミルアリール、ホルミルへテロシクリル、ホルミルへテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボシクリル、アシルアリール、アシルへテロシクリル、アシルへテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボシクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドへテロシクリル、スルホキシドへテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボシクリル、スルホニルアリール、スルホニルへテロシクリル、スルホニルへテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボシクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドへテロシクリル、スルホンアミドへテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボシクリル、ニトロアリール、ニトロへテロシクリル、ニトロへテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、サルフェートおよびホスフェート基、から選ばれるものを含む1つ、2つ、3つまたは4つ以上の有機および無機基(すなわち、所望による置換基)で置換されていても、いなくてもよく、またはそれらと縮合していても、いなくてもよいことを意味すると捉えられる。
【0054】
態様によっては、基は、場合によっては反応性官能基または部分で置換されていることが望ましい。そのような反応性官能基または部分の例としては、エポキシ、無水物、環式エステル(例えば、ラクトンまたはより高級な環式オリゴエステル)、環式アミド(例えば、ラクタムまたはより高級な環式オリゴアミド)、オキサゾリンおよびカルボジイミドが挙げられる。
【0055】
態様によっては、基は、場合によっては、ポリマー鎖で置換されていることが望ましい可能性がある。そのようなポリマー鎖の例としては、ポリエーテル鎖が挙げられる。
【0056】
好ましい所望による置換基としては、前記の反応性官能基または部分、ポリマー鎖、およびアルキル(例えば、C1−6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロへキシル)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピルなど)、アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ)、ハロ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、ヒドロキシ、フェニル(これはそれ自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、ベンジル(ここで、ベンジル自身が更に、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、フェノキシ(ここで、フェニル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、ベンジルオキシ(ここで、ベンジル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、アミノ、アルキルアミノ(例えば、C1−6アルキル、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなど)、ジアルキルアミノ(例えば、C1−6アルキル、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ)、アシルアミノ(例えば、NHC(O)CH)、フェニルアミノ(ここで、フェニル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、ニトロ、ホルミル、−C(O)−アルキル(例えば、C1−6アルキル、例えばアセチル)、O−C(O)−アルキル(例えば、C1−6アルキル、例えばアセチルオキシ)、ベンゾイル(ここで、フェニル基自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、CHのC=Oでの置き換え、COH、COアルキル(例えば、C1−6アルキル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル)、COフェニル(ここでフェニル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、CONH、CONHフェニル(ここで、フェニル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、CONHベンジル(ここで、ベンジル自身が更に、例えばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノによって置換されていてもよい)、CONHアルキル(例えば、C1−6アルキル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルアミド)、CONHジアルキル(例えば、C1−6アルキル)、アミノアルキル(例えば、HNC1−6アルキル−、C1−6アルキルHN−C1−6アルキル−、および(C1−6アルキル)N−C1−6アルキル−)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル−)、カルボキシアルキル(例えば、HOCC1−6アルキル−)、カルボキシエステルアルキル(例えば、C1−6アルキルOCC1−6アルキル−)、アミドアルキル(例えば、HN(O)CC1−6アルキル−、H(C1−6アルキル)N(O)CC1−6アルキル−)、ホルミルアルキル(例えば、OHCC1−6アルキル−)、アシルアルキル(例えば、C1−6アルキル(O)CC1−6アルキル−)、ニトロアルキル(例えば、ONC1−6アルキル−)、スルホキシドアルキル(例えば、R(O)SC1−6アルキル、例えば、C1−6アルキル(O)SC1−6アルキル−)、スルホニルアルキル(例えば、R(O)SC1−6アルキル−、例えばC1−6アルキル(O)SC1−6アルキル−)、スルホナミドアルキル(例えば、HRN(O)SC1−6アルキル、H(C1−6アルキル)N(O)SC1−6アルキル−)、が挙げられる。
【0057】
態様によっては、脂肪族炭化水素基Xは、場合によっては、環式エステル、環式アミド、またはポリエーテル鎖で置換されていることが好ましい可能性がある。
【0058】
用語「ハロゲン」(「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)を表す。好ましいハロゲンは、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0059】
用語「カルボシクリル」は、非芳香族単環、多環、縮合または共役炭化水素残基、好ましくはC3−20(例えば、C3−10またはC3−8)のいずれかを含んでいる。この環は飽和していて、例えばシクロアルキルでもよく、または1つもしくは2つ以上の二重結合(シクロアルケニル)および/または1つもしくは2つ以上の三重結合(シクロアルキニル)を含んでいてもよい。特に好ましいカルボシクリル部分は、5〜6員環または9〜10員環系である。好適な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニルおよびインデニルが挙げられる。
【0060】
単独で、又は複合語中で用いられる場合に、用語「へテロシクリル」は、単環、多環、縮合または共役炭化水素残基、好ましくはC3−20(例えば、C3−10もしくはC3−8)のいずれかを含み、ここで1個もしくは2個以上の炭素原子は、ヘテロ原子によって置換されていて、非芳香族残基を与えている。好適なヘテロ原子としては、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびS、が挙げられる。2個または3個以上の炭素原子が置き換えられる場合には、これは2個もしくは3個以上の同一のヘテロ原子によるもの、または異なるヘテロ原子によるものであることができる。このヘテロシクリル基は、飽和または部分的に不飽和、すなわち1つもしくは2つ以上の二重結合を持っていてもよい。特に好ましいヘテロシクリルは、5〜6および9〜10員へテロシクリルである。ヘテロシクリル基の好適な例としては、アズリジニル(azridinyl)、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H−ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルフォリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジオキサアラニル(dioxalanyl)、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルフォリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H−インドリル、イソインドリニル、4H−キノルアジニル(quinolazinyl)、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ピラニルおよびジヒドロピラニル、を挙げることができる。
【0061】
用語「へテロアリール」は、単環、多環、縮合もしくは共役単価水素のいずれかを含み、ここで1個もしくは2個以上の炭素原子は、ヘテロ原子によって置換されており、芳香族残基を与える。好ましいヘテロアリールは、3〜20個の環原子、例えば3〜10個を有している。特に好ましいヘテロアリールは、5〜5および9〜10員の二環型の環系である。好適なヘテロ原子としては、O、N、S、PおよびSe、特にはO、NおよびS、が挙げられる。2個または3個以上の炭素原子が置き換えられている場合には、これは2個もしくは3個以上の同じへテロ原子によるものでも、または異なるヘテロ原子によるものでもよい。ヘテロアリール基の好適な例としては、ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5−ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアルゾリル(oxadialzolyl)、オキサトリアゾリル、トリアジニルおよびフラザニル、を挙げることができる。
【0062】
単独または複合語中で用いられる用語「アシル」は、部分C=Oを含む基(そしてカルボン酸、エステルもしくはアミドではない)を表している。好ましいアシルとしては、C(O)−Rが挙げられ、ここでRは、水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、もしくはヘテロシクリル残基である。アシルの例としては、ホルミル、直鎖もしくは分岐アルカノイル(例えば、C1−20)、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイルおよびイコサノイル(icosanoyl);シクロアルキルカルボニル、例えばシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロへキシルカルボニル;アロイル、例えばベンゾイル、トルオイルおよびナフトイル;アラルカノイル、例えば、フェニルアルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイルおよびフェニルヘキサノイル)およびナフチルアルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル);アラルケノイル(aralkenoyl)、例えばフェニルアルケノイル(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクロイル、フェニルペンテノイルおよびフェニルヘキセノイルおよびナフチルアルケノイル(例えば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイルおよびナフチルペンテノイル);アリールオキシアルカノイル、例えばフェノキシアセチルおよびフェノキシプピオニル;アリールチオカルバモイル、例えばフェニルチオカルバモイル;アリールグリオキシロイル、例えばフェニルグリオキシロイルおよびナフチルグリオキシロイル;アリールスルホニル、例えばフェニルスルホニルおよびナフチルスルホニル;ヘテロ環式カルボニル;へテロ環式アルカノイル、例えばチエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチルおよびテトラゾイルアセチル;へテロ環式アルケノイル、例えばヘテロ環式プロペノイル、ヘテロ環式ブテノイル、ヘテロ環式ペンテノイルおよびヘテロ環式ヘキセノイル;ならびにヘテロ環式グリオキシロイル、例えばチアゾリグリオキシロイル(thiazolyglyoxyloyl)およびチエニルグリオキシオイル、が挙げられる。R残基は、場合によっては、ここに記載したように置換されていてもよい。
【0063】
単独または複合語中で用いられる用語「スルホキシド」は、−S(O)R基を表し、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選ばれる。好ましいRの例としては、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0064】
単独または複合語中で用いられる用語「スルホニル」は、S(O)−R基を表し、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選ばれる。好ましいRの例としては、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0065】
単独または複合語中で用いられる用語「スルホンアミド」は、S(O)NR基を表し、ここでそれぞれのRは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選ばれる。好ましいRの例としては、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。好ましい態様では、少なくとも1つのRは、水素である。他の形態では、両方のRは、水素である。
【0066】
用語「アミノ」は、ここでは当技術分野において理解されているその最も広い意味で用いられ、そして式NRの基を含んでおり、ここでRおよびRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルおよびアシルから独立して選ばれるいずれかであることができる。また、RおよびRは、それらが結合している窒素とともに、単環または多環の環系、例えば、3〜10員環、特に5〜6および9〜10員系を形成していてもよい。「アミノ」の例としては、NH、NHアルキル(例えば、C1−20アルキル)、NHアリール(例えば、NHフェニル)、NHアラルキル(例えば、NHベンジル)、NHアシル(例えば、NHC(O)C1−20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(ここで、それぞれのアルキル、例えばC1−20は、同じでも、または異なっていてもよい)ならびに、1種もしくは2種以上の同じかまたは異なるヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)を含んでいてもよい5もしくは6員環、が挙げられる。
【0067】
用語「アミド」は、ここでは当技術分野において理解されているその最も広い意味で用いられ、式C(O)NRを有する基が挙げられ、ここでRおよびRは、上記で規定した通りである。アミドの例としては、C(O)NH、C(O)NHアルキル(例えば、C1−20アルキル)、C(O)NHアリール(例えば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(例えば、C(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(例えば、C(O)NHC(O)C1−20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、それぞれのアルキル、例えばC1−20は、同じでも、または異なっていてもよい)ならびに、1種もしくは2種以上の同じかまたは異なるヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)を含んでいてもよい5もしくは6員環、が挙げられる。
【0068】
用語「カルボキシエステル」は、ここでは当技術分野において理解されているその最も広い意味で用いられ、式COを有する基を含んでおり、ここでRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルおよびアシルを含む基から選ぶことができる。カルボキシエステルの例としては、CO1−20アルキル、COアリール(例えば、COフェニル)、COアラルキル(例えば、COベンジル)が挙げられる。
【0069】
ここで、その最も広い意味で用いられる用語「へテロ原子」または「へテロ」は、環式有機基の一員であることができる、炭素原子以外のいずれかの原子を表している。ヘテロ原子の具体的な例としては、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、ケイ素、セレン、テルル、より好ましくは窒素、酸素および硫黄が挙げられる。
【0070】
式(I)の環式エステルを形成するために好都合な合成経路は、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応を経由するものであることが、当業者には理解されるであろう。従って、一般式(I)の環式エステルは、一般式(II)のヒドロキシカルボン酸の縮合残基として好都合に記載することができる。
【0071】
【化5】

【0072】
式中、Xは、前述した1個もしくは2個以上の炭素原子を有する、ヒドロキシル化された、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。
【0073】
一般式(II)中の基Xは、1個もしくは2個以上の炭素原子を有する、ヒドロキシル化された、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である。「ヒドロキシル化」されたとは、この脂肪族炭化水素が、−OH置換基を有していることを意味している。一般式(I)の環式エステルを形成するためには、一般式(II)のヒドロキシカルボン酸のカルボン酸およびヒドロキシル基が、縮合して、この環式エステルのエステル部分を形成することを、当業者は理解するであろう。この環式エステルが形成されることができるのであれば、置換されていてもよい脂肪族炭化水素上のヒドロキシル基の位置については、特別な制限はない。従って、このヒドロキシル基は、脂肪族炭化水素上にペンダント置換基として存在していてもよく、または末端の位置に(すなわち、脂肪族炭化水素鎖の末端に)存在していてもよい。
【0074】
このヒドロキシル基がペンダントの位置に配置されている場合には、炭化水素基Xの少なくとも一部は、環状構造の一部を形成してはおらず、または環状構造中に存在してはおらず、その代わりに、下記の式(III)中に示されるように環からのペンダント基として存在するであろうことが理解される。
【0075】
【化6】

【0076】
このヒドロキシル基が、脂肪族炭化水素の末端または終端に位置しており、そして脂肪族炭化水素が置換されていない場合には、全ての炭化水素基は、下記の式(IV)中に示されるように、環の一部を形成するか、または環中に存在することになる。
【0077】
【化7】

【0078】
本発明の態様によっては、このヒドロキシル基は、非置換の非環式炭化水素の末端位に位置しており、そして結果として得られる環式エステルもまた、従って非置換である(例えば、式(IV)におけるように)。
【0079】
一般式(I)の環式エステルの環の大きさは、用いられるヒドロキシカルボン酸の種類によって変わることが、当業者には理解されるであろう。用いられる環式エステルは、異なる環式エステルの混合物でよく、そして異なる大きさの環の混合物を含んでいてもよい。
【0080】
本発明によって用いられる環式エステルは、特定のヒドロキシカルボン酸の縮合した残基で形成されているという表現で、好都合に記載することができる。
【0081】
従って、本発明の1つの態様では、本発明によって用いられる環式エステルは、一般式(II)のヒドロキシカルボン酸の縮合残基である。
【0082】
一般式(II)のヒドロキシカルボン酸の好適な例としては、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシペラルゴン酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシマルガリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアラキン酸、ヒドロキシベヘン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、ヒドロキシセロチン酸、ヒドロキシカルボセリン酸(hydroxy carboceric acid)、ヒドロキシモンタン酸、ヒドロキシメリシン酸、ヒドロキシラクセロン酸(hydroxy lacceroic acid)、ヒドロキシセロメリッシン酸(hydroxy ceromelissic acid)、ヒドロキシゲダ酸、ヒドロキシセロプラスチン酸、ヒドロキシオブツシル酸(hydroxy obtusilic acid)、ヒドロキシカプロレイン酸、ヒドロキシラウロレイン酸、ヒドロキシリンデル酸、ヒドロキシミリストレイン酸、ヒドロキシフィセテリン酸(hydroxy physeteric acid)、ヒドロキシツズ酸、ヒドロキシパルミトレイン酸、ヒドロキシサピエン酸(hydroxy sapienic acid)、ヒドロキペトロセリン酸、ヒドロキシオレイン酸、ヒドロキシエライジン酸、ヒドロキシバクセン酸、ヒドロキシガドレイン酸、ヒドロキシゴンドイン酸、ヒドロキシセトレイン酸、ヒドロキシエルカ酸、ヒドロキシネルボン酸、ヒドロキシリノール酸、ヒドロキシγ−リノレン酸、ヒドロキシジホモ−γ−リノレン酸、ヒドロキシアラキドン酸、ヒドロキシリノレン酸、ヒドロキシステアリドン酸、ヒドロキシニシン酸、およびヒドロキシミード酸、が挙げられる。
【0083】
本発明による使用に好適な環式エステルを形成する環縮合を受けることができるヒドロキシカルボン酸の他の例としては、3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシペンタン酸、4−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシヘプタン酸、4−ヒドロキシオクタン酸、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン酸、4−ヒドロキシ−4−エチルヘキサン酸、4−ヒドロキシ−4−メチルヘプタン酸、4−ヒドロキシ−4−エチルヘプタン酸、4−ヒドロキシ−4−プロピルヘプタン酸、4−ヒドロキシ−4−メチルオクタン酸、4−ヒドロキシ−4−エチルオクタン酸、4−ヒドロキシ−4−プロピルオクタン酸、4−ヒドロキシ−4−ブチルオクタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、5−ヒドロキシヘキサン酸、5−ヒドロキシヘプタン酸、5−ヒドロキシオクタン酸、5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸、5−ヒドロキシ−5−メチルヘプタン酸、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプタン酸、5−ヒドロキシ−5−メチルオクタン酸、5−ヒドロキシ−5−エチルオクタン酸、5−ヒドロキシ−5−プロピルオクタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、6−ヒドロキシヘプタン酸、6−ヒドロキシオクタン酸、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタン酸、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、7−ヒドロキシオクタン酸、7−ヒドロキシ−7−メチルオクタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、および他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、が挙げられる。
【0084】
ヒドロキシカルボン酸の環縮合を通した環式エステルの製造のための試薬、装置および条件は、当技術分野において一般的によく知られている。本発明による使用に好適な環式エステルは、同様の方法で有利に調製することができる。例えば、環式エステルは、文献(Journal of Biomedical Materials Research Part A、第80A巻、第1号、p.55〜65、Polymer Preprints 2005、第46巻、第2号、p.1040、Polymer Preprints 2005、第46巻、第2号、p.1006)中に記載された幾つかの方法を用いて調製することができる。
【0085】
本発明によれば、脂肪族縮合ポリマーは、一般式(I)の環式エステルと溶融混合される。溶融混合は、当技術分野において知られている方法を用いて行なうことができる。例えば、溶融混合は、連続式押出装置、例えば二軸押出機、単軸押出機、他の多軸押出機およびファレル混合機(Farell mixers)を用いて実行することができる。また、半連続式またはバッチ式処理装置も、溶融混合を実行するために用いることができる。そのような装置の例としては、射出成形機、バンバリーミキサーおよびバッチミキサーが挙げられる。静的溶融混合装置もまた用いることができる。
【0086】
脂肪族縮合ポリマーおよび環式エステルを溶融混合することによって、環式エステルが、縮合ポリマーとの反応を受けて、環式エステルの開環形を、縮合ポリマーの主鎖の一部として組み込むことができることが見出された。また、このポリマー組成物は、脂肪族縮合ポリマーとの反応を受けなかった環式エステルの一部および/またはこの環式エステルの開環重合を通して形成されたポリマーを含むことができる。
【0087】
環式エステルの開環形が、脂肪族縮合ポリマーのポリマー主鎖の一部として「組み込まれ」ているとは、環式エステルが開環し、そしてポリマー主鎖に共役結合し、そしてポリマー主鎖の一部を形成することを意味することを、当業者は理解するであろう。理論によって拘束されることは望まないが、このプロセスは、ポリマー主鎖の末端に共役結合している開環した環式エステルを少なくとも含み、おそらくは開環した環式エステルの分子間および/または分子内ポリマー鎖再編成が引き続いて起こり、開環した環式エステルは、ポリマー主鎖内の非末端位に位置するようになる(例えば、エステル交換プロセスを通して)。言い換えれば、環式エステルの開環形は、最初は脂肪族縮合ポリマーの末端部分に結合したとしても、それはそれにもかかわらず、ポリマー主鎖内のその位置を、エステル交換プロセスを通して再編成することができる。
【0088】
例えば、本発明によって、一般式(I)の環式エステルで改質された脂肪族縮合ポリマーは、以下のスキーム1中に示されたように、そのポリマー主鎖内に、環式エステルの開環残基を含むことができる。この改質ポリマーは、もちろんのこと、通常は、そのポリマー主鎖内に、多数のこのような開環残基を含むことになる。
【0089】
【化8】

【0090】
スキーム1: 一般式(I)の環式エステルを用いて本発明によって改質した脂肪族縮合ポリマーの説明、ここでXは、前記で規定したとおりであり、そしてAおよびBは縮合ポリマーの残部を表す。
【0091】
スキーム1を参照すると、脂肪族縮合ポリマーは、そのポリマー主鎖の一部として、環式エステルの開環した残基(すなわち、かっこ内ではない部分)を含むことを理解することができる。環式エスエルの開環した残基は、それ自身が一般式(II)のヒドロキシカルボン酸の縮合残基から形成されていることを理解することができる。
【0092】
従って、改質された縮合ポリマーは、そのポリマー主鎖内に、ヒドロキシカルボン酸残基を含むと表現することができる。
【0093】
改質された縮合ポリマーのポリマー主鎖の一部を形成するヒドロキシカルボン酸残基は、そのポリマーの性質を改質すると信じられる。特に、脂肪族炭化水素基Xの性質によって、このヒドロキシカルボン酸残基は、環式エステルの環の部分を形成する炭素原子の数によって、ポリマー主鎖の鎖長を事実上延ばすことができ、そしてまた、ポリマー主鎖に、環式エステルの環の部分を形成しない炭化水素鎖の部分から誘導される、ペンダントの炭化水素鎖を導入する。理論によって拘束されることは望まないが、ポリマー主鎖への、この「鎖内」延長、およびいずれかのペンダント鎖付加は、縮合ポリマーの改質された性質を生じさせることが信じられる。
【0094】
例えば、本発明によって、一般式(I)の環式エステル(例えば、カプロラクトン)で改質された脂肪族ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブテレート(polyhydroxybuterate)、およびポリブチレンスクシナートアジペート)は、改善された可撓性および柔軟性、そして場合によっては増大した引裂抵抗を表すことが示された。
【0095】
一般式(I)の環式エステルは、改質された縮合ポリマーに新しい、および/または改善された性質を与えるように選択されるであろうことが、当業者には理解されるであろう。従って、例えば、ポリカプロラクトンを改質するために、環式エステルとしてカプロラクトンを選択することには、通常は実用性はない。
【0096】
また、脂肪族縮合ポリマーと環式エステルとの間の溶融反応を促進するために、縮合触媒を用いることができる。典型的な縮合触媒としては、ルイス酸、例えば、三酸化アンチモン、酸化チタンおよびジブチル錫ジラウレートが挙げられる。
【0097】
また、脂肪族縮合ポリマーと環式エステルとの溶融混合は、1種もしくは2種以上の添加剤、例えば充填剤、顔料、安定剤、発泡剤、核剤、および鎖カップリング剤および/または分岐剤の存在下で行なうことができる。
【0098】
鎖カップリング剤および/または分岐剤は、本発明によって、結果として得られる改質された脂肪族縮合ポリマーの分子量および/または分岐の増大を促進させるために用いることができる。このような剤としては、多官能酸無水物、エポキシ化合物、オキサゾリン誘導体、オキサゾリノン誘導体、ラクタムおよび関連する種が挙げられる。
【0099】
好適な鎖カップリング剤および/または分岐剤としては、以下の1種もしくは2種以上が挙げられる:
【0100】
ポリエポキシド、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロへキシルメチル)アジペート;N,N−ジグリシジルベンズアミド(および関連するジエポキシド);N,N−ジグリシジルアニリンおよび誘導体;N,N−ジグリシジルヒダントイン、ウラシル、バルビツール酸もしくはイソシアヌル酸誘導体;N,N−ジグリシジルジイミド;N,N−ジグリシジルイミダゾロン;エポキシノボラック;フェニルグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;エピコート(Epikote)815(ビスフェノールA−エピクロロヒドリンオリゴマーのジグリシジルエーテル)。
【0101】
ポリオキサゾリン/ポリオキサゾロン、例えば、2,2−ビス(2−オキザゾリン);1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン−2)、1,2−ビス(2−オキザゾリニル−2)エタン;2−フェニル−1,3−オキサゾリン;2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサゾリン);N,N’−ヘキサメチレンビス(カルバモイル−2−オキサゾリン);ビス[5(4H)−オキサゾロン)];ビス(4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン);2,2’−ビス(H−3,1−ベンゾジン(benzozin)−4−オン)。
【0102】
多官能性酸無水物、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビスフェノールAビスエーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヒドロキノンビスエーテル二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1ナフタレン−コハク酸二無水物、ビシクロ(2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、およびエチレンジアミン四酢酸二無水物(EDTAh)。
【0103】
また、酸無水物成分として、ポリマーまたはコポリマーを含む酸無水物を用いることも可能である。
【0104】
好適な多官能性酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。最も好ましくは、多官能性酸無水物は、ピロメリット酸二無水物である。
【0105】
ポリアシルラクタム、例えばN,N’−テレフタロイルビス(カプロラクタム)およびN,N’−テレフタロイルビス(ラウロラクタム)もまた、用いることができる。
【0106】
本発明の方法からもたらされるポリマー組成物は、引き続いて固体状態縮合重合プロセスにかけることができる。この更なる処理工程は、改質された縮合ポリマーの分子量を高めることを援けることができ、そして慣用の固体状態縮合重合技術および装置を用いて有利に行なうことができる。
【0107】
本発明の方法を実施する場合には、環式エステルを、場合によっては、用いられるいずれかの他の添加剤とともに、改質された脂肪族縮合ポリマーを製造するために用いることができる組成物の形態で、提供することが好都合である可能性がある。この組成物は、それぞれの成分の物理的な混合物の形態および/または溶融処理された生成物の形態で与えることができる。
【0108】
従って、本発明はまた、脂肪族縮合ポリマーを改質するための組成物を提供するものであり、この組成物は、1種もしくは2種以上の担体ポリマーと一般式(I)の環式エステルとを含む組成物、および/または1種もしくは2種以上の担体ポリマーと一般式(I)の環式エステルとの溶融混合物、を含んでいる。
【0109】
この担体ポリマーは、実際に、本発明で改質されるべき脂肪族縮合ポリマーであることができる。この場合には、この組成物は、単純化すると、環式エステルとポリマーとの物理的混合物であることができ、そして本発明の方法は、この組成物の溶融混合することによって実施される。
【0110】
少なくとも環式エステルを、マスターバッチまたは濃縮物の形態で供給することが望ましい可能性があり、それらは次いで、本発明によって改質されるべき脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される。
【0111】
ここで用いられる用語「マスターバッチ」または「濃縮物」(ここでは同義語として用いられている)は、当業者によって理解されるような一般的な意味を有している。本発明に特に関連して、これらの用語は従って、環式エステルおよび1種もしくは2種以上のポリマーを含む組成物を意味するように意図されており、この組成物は、本発明の方法を実施するために、引き続いて脂肪族縮合ポリマー中に希釈される。
【0112】
このマスターバッチは、環式エステルを、改質されるべき脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される環境の下で、適当と考えられる担体ポリマーと溶融混合することによって形成することができる。この担体ポリマーは、脂肪族縮合ポリマー、例えば、改質されるものと同じ種類の脂肪族縮合ポリマーであることができる。
【0113】
担体ポリマーが脂肪族縮合ポリマーである場合には、マスターバッチを作る方法は、事実上、本発明の方法を用いることが好ましい。しかしながら、生成品をマスターバッチと見なすことによって、マスターバッチが、本発明の方法を実施するのに用いられることが意図されているとも理解される。言い換えれば、マスターバッチが、未反応の環式エステルを含み、それが次いで、本発明の方法を実施するように、脂肪族縮合ポリマーと溶融混合されることが意図されている。
【0114】
環式エステルを脂肪族縮合ポリマーと溶融混合することによって形成されるマスターバッチは、それ自身、本発明によって改質された脂肪族縮合ポリマーを含むことができる。この改質された脂肪族縮合ポリマーそれ自体を、更なる脂肪族縮合ポリマーと溶融混合すること(マスターバッチが脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される場合のように)は、それ自身が、この更なる脂肪族縮合ポリマーが、ここに記載されたように改質されることをもたらす(例えば、ポリエステルの場合においては、エステル交換反応を通して)。
【0115】
本発明の組成物に担体ポリマーとして用いることができる脂肪族縮合ポリマーとしては、本明細書中に記載されたものが挙げられる。
【0116】
環式エステルを脂肪族縮合ポリマーと溶融混合してマスターバッチを調製し、そして次いでこのマスターバッチを脂肪族縮合ポリマーと溶融混合することは、開環残基を、脂肪族縮合ポリマーのポリマー主鎖の一部として組み込むためにより効率的および効果的な方法を提供すると信じられる。
【0117】
与えられたポリマーが、環式エステルと溶融混合されるのに適切な温度は、用いられるポリマーの種類によって変わるであろうことは、当業者には理解されるであろう。通常は、環式エステルと脂肪族縮合ポリマーの溶融混合は、約120℃〜約240℃の範囲の温度で実施される。
【0118】
脂肪族縮合ポリマーの性質に、少なくとも何らかの改質がされている限り、脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される環式エステルの量に特別な制限はない。しかしながら、環式エステルは、通常は、環式エステルと脂肪族縮合ポリマーの総質量に対して、約5質量%〜約35質量%、好ましくは約5質量%〜約20質量%の範囲で用いられる。
【0119】
環式エステルが1種もしくは2種以上の担体ポリマーと混合されてマスターバッチを形成する場合には、環式エステルは、通常は、環式エステルと1種もしくは2種以上の担体ポリマーの総質量に対して、約30質量%〜約80質量%の範囲で用いられる。
【0120】
本発明の方法によって用いられる環式エステルは、結果として得られる改質された脂肪族縮合ポリマーに、向上した可撓性、その硬度の変化(X基によって与えられる柔軟なセグメントを通して低下された、またはX基内部のもしくはX基からのペンダントの官能性基の反応によって引き起こされる架橋を通して増大されたかのいずれか)、表面特性の変化(例えば、X基によって与えられる疎水性)、変えられた分解速度(ポリマーを全体がより疎水性(例えば、X基によって与えられた疎水性)にし、そして加水分解の攻撃がし難くすることによって低下されたか、またはX基を通した、比較的に安定なポリマーへの加水分解し易い基の導入によって増加されたかのいずれか)、その剛性の変化(結晶性を低下させるX基を通して低下させるか、またはX基内部の、もしくはX基からのペンダントの官能基の反応から誘導される架橋を通して増加されるかのいずれか)、ならびにX基の存在から直接に、またはX基内部の、もしくはX基からのペンダントの官能基と基質ポリマーとの反応から誘導される長鎖分岐を通してもたらされる、改善された溶融粘度もしくは溶融強度、などの性質を与えることができる。
【0121】
また、本発明の方法を用いれば、脂肪族縮合ポリマーは、X基内部もしくはX基からのペンダントの官能基の反応を通して熱硬化性ポリマーへと転換することができる(例えば、改質されたポリマーから生成されるコーティング製品の酸化架橋、または改質された縮合ポリマーが不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂などのような熱硬化性樹脂の配合中に含まれる場合には架橋反応)。
【0122】
また、本発明によって調製された、改質された脂肪族縮合ポリマーの安定性(例えば、UV)または色堅ろう度は、X基に適切な部分(例えば、安定剤(例えば、ヒンダードフェノールおよびヒンダードアミン光安定剤などの部分)、アルコキシアミン、染料および生物活性材料などの部分)をつなぐことによって向上させることができる。
【0123】
本発明の改質された縮合ポリマーは、包装用途用のフィルム、射出成形品、ブロー成形容器、シート製品、熱成形製品、塗料、接着剤、繊維、組織修復および薬物送達を含めた医療用途用の骨格形成材に及ぶ製品中で用いることができる。
【実施例】
【0124】
本発明を、これ以降、以下の制限するためのものではない例を参照して、更に説明する。
【0125】
<全般>
Bruker AV400およびBruker AV200分光計で、400MHzおよび200MHzで操作して、プロトンNMRスペクトルを得た。特に断りのない限り、全てのスペクトルは23℃で得た。化学シフトを、百万分率(ppm)で、δスケール上に、そして7.26ppm(H)のクロロホルムピークまたは0.00ppm(H)のTMSピークに対して報告した。オーブンで乾燥したガラス器を、不活性雰囲気(乾燥窒素もしくはアルゴンのいずれか)の下で実施された全ての反応において用いた。全ての出発材料および試薬は、特に断りのない限り、商業的に入手した。「減圧下で」の溶媒の除去は、回転蒸発(低真空ポンプ)によるのと、それの続く最低30分間の高真空ポンプ(オイルポンプ)の利用による大部分の溶媒除去のプロセスを表している。分析的な薄層クロマトグラフィー(TLC)を、プラスチックで裏当てされたMerck Kieselgel KG60F254シリカプレート上で実施し、そして短波長紫外光、過マンガン酸カリウムまたはリンモリブデン酸塩浸漬を用いて可視化した。フラッシュクロマトグラフィーを、230〜400メッシュのMerck Silica Gel 60を用い、陽圧下で、確立された指針に従って、実施した。テトラヒドロフランおよびジクロロメタンは、溶媒精製装置(solvent dispensing system)から、不活性雰囲気下で得た。他の全ての試薬および溶媒は、市販のものを用いた。
【0126】
<モノマー合成および特性評価>
<オメガヒドロキシル脂肪酸のラクトン化のための全体的な手順>
<15−ヒドロキシペンタデカン酸からのヘキサデカノリドの合成>
【0127】
【化9】

【0128】
火炎乾燥した、攪拌子、シーラム(serum)キャップ付の還流凝縮器、アルゴン導入口(シーラムキャップを通して)、およびシリンジポンプ導入口(以下参照、シーラムキャップを通して)を装着された50mLの丸底フラスコに、エタノールを含まない25mLのクロロホルム、0.343g(1.66ミリモル)のDCC、0.305g(2.50ミリモル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンおよび0.263g(1.66ミリモル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンヒドロクロリドを仕込んだ。結果として得られた溶液を還流させ、そして5.0mLのTHF中の0.215g(0.832ミリモル)の15−ヒドロキシペンタデカン酸の溶液を、シリンジポンプを経由して、16時間に亘って注入した。(テフロン(登録商標)シールおよびテフロン(登録商標)チューブを備えたGlenco気密シリンジを用い、そしてテフロン(登録商標)チューブの入口は、還流凝縮器の先端で形成された凝縮液中に配置した。)添加が完了した後に、シリンジ装置を取り除き、そして反応混合物を室温に冷却した。シリンジおよびテフロン(登録商標)チューブの残った内容物を標準質量にした(tared)フラスコ中に洗い流し、そして濃縮して11.5mgの出発のヒドロキシル酸を与えた。メタノール(1.0mL)および酢酸(0.19mL、4.0当量)を反応フラスコへ加え、そして攪拌を30分間続け、この時にはDCCは、TLC分析(10%EtOAc−ヘキサン)によっては検出されなかった。2つの溶媒系中での更なるTLC分析は、目的のラクトン(10%EtOAc−ヘキサン中でRf0.32)の形成を明らかにし、N−アシル尿素(独立して調製され、35%THF−ヘキサン中でRf0.32)は検出されなかった。この混合物を5mLに濃縮し、25mLのエーテルで希釈し、ろ過し、そして濃縮した。残渣を最小量のクロロホルム中に取り、そしてヘキサン中で詰めたシリカゲル(Davisil60〜200メッシュ)スラリーの24×1.5cmカラムに適用した。20mLのヘキサン、そして次いで3%のTHF−ヘキサンで流出させ、6mLづつの画分を収集した。画分11〜13の濃縮は0.180g(反応容器に供給したヒドロキシル酸を基準として95%)の、基準資料とあらゆる点で同一である、ヘキサデカノリドを与えた。
【0129】
<溶融混合に用いられるポリマー>
以下のポリマーを、ラクトンとの溶融混合のための試料を生成するために用いた。
PLA=ポリ乳酸−Cargill(米国)によって供給された、Natureworks 3051D
ナイロン11=Arkema(仏国)によって供給された、Rilsan BESNO TL (Check?)
PHB=ポリ3−ヒドロキシブチレート−Biomer 229(Biomer、独国)
PBSA=ポリブチレン−コ−コハク酸/アジピン酸−Bionolle(Showa、日本)
【0130】
<用いられた市販のラクトン>
カプロラクトン−Sigma Aldrich[CL]
オメガペンタデカラクトン−SAFS溶液(米国)、[C15L]
【0131】
<触媒>
錫(II)−2−エチルヘキサノエート、Sigma Aldrichによって供給された
ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、Sigma Aldrichによって供給された
【0132】
<溶融混合の方法>
(A)二軸押出機−ラクトンの液体注入[EL]
溶融混合反応を、40:1のL/Dを有し、セグメント化されたスクリュー、および独立に加熱されたバレルセグメントを備え付けた、Thermo Prism 16mm二軸押出機中で実施した。(スキーム2を参照)
【0133】
【表1】

【0134】
スキーム2: ;ポリマーのラクトンでの溶融改質に用いるPrism二軸押出機の概略の設定
【0135】
ラクトンモノマーは、真空下で、攪拌しながら80℃で乾燥した。このラクトンを、0.1質量%の液体触媒と混合し、そして次いで、二軸押出機のバレル中にラクトンを供給するように移送ラインを備え付けたISCO 500Dシリンジポンプのバレル中に充填した。環式ラクトンが、周囲温度では自由流動液体ではなかった場合(例えば、C15ラクトン)には、シリンジポンプと移送ラインの両方を80℃に加熱した。
【0136】
押出機と接続する前に、質量測定によるISCOシリンジポンプの排出量を、多くの相応する容積測定の処理量で、検量した。
【0137】
ポリマーを小規模のホッパー乾燥機で、製造者の推奨に従った温度の空気を用いて乾燥した。全ての試料を、Arizona Instruments水分計を用いて測定して、100ppm未満の水分まで乾燥した。
【0138】
乾燥したポリマーを、Barrelシリンジスクリュー容積フェーダーを通して、押出機へ供給した。このフィーダーと押出機ホッパーは、水分の進入を防ぐために、乾燥空気を吹付けた(flushed)。フィーダーと押出基の質量測定による排出量は、試料を収集する前後の試料を収集することによって監視した。
【0139】
押出機は、1mmの棒押出ダイを備え付けられており、そして約25g/時の速度の処理量で運転した。正確な処理用は、それぞれの試料について測定した。
【0140】
押出された試料は、次いで溶融プレスされるが、乾燥窒素でパージされた試料用広口ビン中に収集した。溶融プレスは、プレスの後に試料を冷却するように、水が通る黄銅板を備えたIHMS溶融プレス(250×250mm plattern)中で行なった。試料はテフロン(登録商標)シートの間でプレスした。溶融プレスには、150×150×0.150mmのシム板を用いた。
【0141】
また、押出されたストランド試料も、それぞれの組成物について収集した。
【0142】
(B)丸底フラスコ中での溶融混合−オーバーヘッド攪拌を備えた方法[RBF]
押出試料で用いたのと同様の手順を用いてポリマーを乾燥した。
ラクトン試料は、使用に先立って真空乾燥した。
【0143】
実験に用いた100mLの丸底フラスコは、洗浄し、そして80℃に設定したオーブン中で乾燥した。オーブンから取り出したら、このフラスコに栓をし、そして冷却した。試薬を加えるためにフラスコを開けたときには、このフラスコを乾燥窒素でフラッシュした。次いで、このフラスコに、2枚の羽根を有する金属攪拌機を備え付けた。この攪拌機は、オーバーヘッドの駆動モーターに連結した。この攪拌機は、ゴムシールを備えたテフロン(登録商標)ベアリングを備え付けたガラスアダプタによって、所定の位置に保持した。また、このガラスアダプタは、水冷のLeibig凝縮器と水分の浸入を防ぐための別個の窒素導入口を備え付けた。
【0144】
約20gの選択したポリマーを、それぞれのフラスコに加え、必要な量のラクトンと20滴のDBTDL触媒を加えた。
【0145】
次いで、アダプター、凝縮器および攪拌機を備え付けたこのフラスコを、電磁攪拌型加熱板上のシリコーン油浴中に置いた。油温を所望の温度(PLAでは200℃、ナイロン11では250℃)に制御し、そして較正した温度計によって監視した。
【0146】
試料を、240分間までの時間、加熱し、そして攪拌させた。攪拌速度は、100〜200rpmの範囲に設定した。正確な速度は、良好な混合を与えて、ラクトン改質剤の組み込みを最もよく与えるように調整した。
【0147】
反応が完了したら、攪拌機および凝縮器を取り外し、そしてサンプルを、乾燥窒素雰囲気下(under a blanket of dry nitrogen)で、フラスコから移した。次いで、試料を冷却させた。溶融プレス試料を真空オーブン中で再加熱し、副次試料を分析のためにフラスコから取り出して、そして押出試料について用いたのと同じ手順を用いて溶融プレスした。
【0148】
<ポリマーの特性評価>
ポリマー試料を、以下に記載した多くの技術によって特性評価した。
【0149】
<NMR−核磁気共鳴>
Bruker AV400およびBruker AV200分光計で、400MHzおよび200MHzで操作して、プロトンNMRスペクトルを得た。特に断りのない限り、全てのスペクトルは23℃で得た。化学シフトを、百万分率(ppm)で、δスケール上に、そして7.26ppm(H)のクロロホルムピークまたは0.00ppm(H)のTMSピークに対して報告した。
【0150】
<GPC−ゲルパーミエーションクロマトグラフィー>
ポリマーの分子量を、Waters 2414屈折率検出器、連結した4本のPolymer Laboratories PLGeIカラム(3×5μmMixed-Cと1×3μmMixed-E)、およびMillenniumソフトウエアを備えたWaters GPC機器を用いて、25℃のテトラヒドロフラン(1.0mL/分)中で実施した、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって特性評価した。GPCは、多分散性が狭いポリスチレン標準(Polymer Laboratories EasiCal、264〜256000のMW)で較正し、そして分子量はポリスチレン当量として報告した。
【0151】
約20mgの試料を2mLのTHF中に溶解し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルタを通して、隔壁を備え付けた試料ビン(vial)中にろ過した。
【0152】
<DSC−示差走査熱量測定>
熱転移は、Mettler Toledo DSC 21示差走査熱量計を用いて特性評価した。約10ミリグラムの試料を秤量し、そして窒素下で走査サイクルを行なった。それぞれの実験では、温度を、走査サイクルが開始する前に、数分間室温に平衡させた。加熱および冷却速度は、10℃/分で一定に保持した。最初に、試料を−50℃に冷却し、次いで200℃まで加熱し、次いで−60℃まで冷却し、そして続いて再度300℃にまで加熱した。
【0153】
<引張試験>
引張試験を、Instron 5500R装置を用いて実施した。溶融プレスしたフィルム試料を、圧縮切断機を用いて、引張試験片(長さ=31.5mm、幅=4.2mm、標線間距離=15mm)に切断した。試験の前に、試料を、恒温恒湿室中で、48時間状態調節した。試料は、ASTM 882に従って、PLAおよびBionolle試料については7.5mm/分のクロスヘッド速度で試験した。ナイロン11試料については、150mm/分のクロスヘッド速度を用いた。
【0154】
【表2】

【0155】
<解析>
<NMR>
カプロラクトンとポリ乳酸との反応のNMR解析を、Makromol. Chem、1993年、第194巻、p.2463〜2469中に記載されているような、カプロラクトンとD,Lラクチドとの反応生成物の解析方法を用いて行なった。
【0156】
<質量%のモル%への変換>
モル%(CL)=質量%(CL)/114.14g/モル/[質量%(CL)/114.14g/モル+質量%(LA)/72.00g/モル]
【0157】
<モル%の質量%への変換>
質量%(CL)=モル%(CL)×114.14g/モル/[モル%(CL)×114.14g/モル+モル%(LA)×72.00g/モル]
【0158】
CL=カプロラトン
LA=乳酸
114.14=CLの分子量
72.00=LAの分子量
【0159】
<NMR(クロロホルム)からのモル%(CL)>
モル%(CL)=4.30ppmと3.95ppmの間の積分(CL)/[2×(5.30ppmと5.00ppmの間の積分)(LA)+4.30ppmと3.95ppmの間の積分(CL)]
【0160】
【表3】

【0161】
【表4】

【0162】
<マスターバッチ例>
改質された材料をマスターバッチとして用いることができることを示すための例として、一定量の改質ポリマー(例29b)を、乾燥し、そして方法RBF−2を用いて、PLAペレットと、同一質量:質量基準で、溶融混合した。
【0163】
【表5】

【0164】
【表6】

【0165】
【表7】

【0166】
【表8】

【0167】
#:試料の最初の熱サイクルから取得されたDSCデータ。
a:PLAおよびナイロン11対照は、同じ条件下で溶融混合された試料に対するものである。時間は、溶融混合時間を表している。
b:主ピークは太字。
【0168】
【表9】

【0169】
この明細書およびこれに続く特許請求の範囲を通して、特に断りのない限り、用語「含む(comprise)」およびその変形「含む(comprises)」「含んでいる(comprising)」は、言及された整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を意味するが、しかしながらいずれかの他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の除外を意味するのではないことが理解されるであろう。
【0170】
本明細書中における、いずれかの先行刊行物(もしくはそれから導き出される情報)、または既知のいずれかの事項の参照は、そのような先行刊行物(もしくはそれから導き出される情報)または既知の事項が、本明細書が関係する努力の分野における周知の一般知識の一部を形成するという、自認もしくは容認もしくはいずれかの形の示唆ではなく、またそのように解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物の調製方法であって、脂肪族縮合ポリマーを、一般式(I)で表され、
【化1】

式中、Xは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい炭化水素である、環式エステルと溶融混合することを含む方法。
【請求項2】
前記脂肪族縮合ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、それらの共重合体、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステルが、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリ(ヒドロキシアルカノアート)が、ポリ(3−ヒドロキシブチラート)、ポリ(4−ヒドロキシブチラート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノアート)、ポリ(4−ヒドロペンタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシペンタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノアート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノアート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノアート)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、の単独および共重合体、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエステルが、1種もしくは2種以上のアルキルジオールと1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸またはそれらのアシル誘導体との反応生成物である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエステルが、(a)コハク酸、アジピン酸、1,12−ジカルボキシドデカン、フマル酸およびマレイン酸から選ばれる1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸、および(b)エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、およびポロプロピレングリコールから選ばれる1種もしくは2種以上のアルキルジオールの反応生成物である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエステルが、ポリブチレンスクシネート単独重合体、ポリブチレンアジペート単独重合体、ポリブチレンアジペート−スクシネート共重合体、ポリエチレンスクシネート−アジペート共重合体、ポリエチレンアジペート単独重合体、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミドが、1種もしくは2種以上のアルキルジアミンと1種もしくは2種以上のアルキルジカルボン酸との反応生成物である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミドが、ポリ(テトラメチレンアジポアミド)(ナイロン4,6)、ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンアゼロアミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ヘキサメチレンセバコアミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメロアミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベロアミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ノナメチレンアゼロアミド)(ナイロン9,9)、およびポリ(デカメチレンアゼロアミド)(ナイロン10,9)から選ばれる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ポリアミドが、1種もしくは2種以上のアルキルアミノ酸および/またはそれらのラクタム誘導体の重合生成物である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記ポリアミドが、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記一般式(I)中のXが、置換されていてもよい直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記一般式(I)中のXが、非置換の直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記一般式(I)中のXが、環中に存在する5〜20個の炭素原子を有する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記一般式(I)の環式エステルが、一般式(II)で表され、
【化2】

式中、Xは、2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、ヒドロキシル化された、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である、ヒドロキシカルボン酸の縮合残基である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記一般式(II)のヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシペラルゴン酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシマルガリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアラキン酸、ヒドロキシベヘン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、ヒドロキシセロチン酸、ヒドロキシカルボセリン酸、ヒドロキシモンタン酸、ヒドロキシメリシン酸、ヒドロキシラクセロン酸、ヒドロキシセロメリッシン酸、ヒドロキシゲダ酸、ヒドロキシセロプラスチン酸、ヒドロキシオブツシル酸、ヒドロキシカプロレイン酸、ヒドロキシラウロレイン酸、ヒドロキシリンデル酸、ヒドロキシミリストレイン酸、ヒドロキシフィセテリン酸、ヒドロキシツズ酸、ヒドロキシパルミトレイン酸、ヒドロキシサピエン酸、ヒドロキペトロセリン酸、ヒドロキシオレイン酸、ヒドロキシエライジン酸、ヒドロキシバクセン酸、ヒドロキシガドレイン酸、ヒドロキシゴンドイン酸、ヒドロキシセトレイン酸、ヒドロキシエルカ酸、ヒドロキシネルボン酸、ヒドロキシリノール酸、ヒドロキシγ−リノレン酸、ヒドロキシジホモ−γ−リノレン酸、ヒドロキシアラキドン酸、ヒドロキシリノレン酸、ヒドロキシステアリドン酸、ヒドロキシニシン酸、およびヒドロキシミード酸から選ばれる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記環式エステルと前記脂肪族縮合ポリマーの総質量に対して、約5質量%〜約35質量%の前記環式エステルが、前記脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記環式エステルが、1種もしくは2種以上の担体ポリマーおよび環式エステルを含む組成物ならびに/あるいは1種もしくは2種以上の担体ポリマーと環式エステルとを含む組成物の溶融混合によって形成される生成物の形態で提供される、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記環式エステル組成物が、前記環式エステルおよび1種もしくは2種以上の担体ポリマーを含む組成物の溶融混合によって調製される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記1種もしくは2種以上の担体ポリマーが、請求項1記載の脂肪族縮合ポリマーと同じ種類の脂肪族縮合ポリマーである、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
前記環式エステル組成物中の前記環式エステルと前記脂肪族縮合ポリマーの総質量に対して、約30質量%〜約80質量%の前記環式エステルが、前記脂肪族縮合ポリマーと溶融混合される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項記載の方法によって調製されるポリマー組成物。
【請求項23】
脂肪族縮合ポリマーを改質するためのポリマー組成物であって、1種もしくは2種以上の担体ポリマーおよび一般式(I)の環式エステル、ならびに/あるいは1種もしくは2種以上の担体ポリマーおよび一般式(I)で表され、
【化3】

式中、Xは、環中に存在する2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい炭化水素である、環式エステルを含む組成物を溶融混合することによって形成された生成物、を含むポリマー組成物。
【請求項24】
前記1種もしくは2種以上の担体ポリマーが、脂肪族縮合ポリマーである、請求項23記載のポリマー組成物。
【請求項25】
前記脂肪族縮合ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、それらの共重合体、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項23または24記載のポリマー組成物。
【請求項26】
前記一般式(I)中のXが、置換されていてもよい直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である、請求項23〜25のいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項27】
前記一般式(I)の環式エステルが、一般式(II)で表され、
【化4】

式中、Xは、2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、ヒドロキシル化された、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である、ヒドロキシカルボン酸の縮合残基である、請求項23〜26のいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項28】
前記一般式(II)のヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシペラルゴン酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシマルガリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアラキン酸、ヒドロキシベヘン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、ヒドロキシセロチン酸、ヒドロキシカルボセリン酸、ヒドロキシモンタン酸、ヒドロキシメリシン酸、ヒドロキシラクセロン酸、ヒドロキシセロメリッシン酸、ヒドロキシゲダ酸、ヒドロキシセロプラスチン酸、ヒドロキシオブツシル酸、ヒドロキシカプロレイン酸、ヒドロキシラウロレイン酸、ヒドロキシリンデル酸、ヒドロキシミリストレイン酸、ヒドロキシフィセテリン酸、ヒドロキシツズ酸、ヒドロキシパルミトレイン酸、ヒドロキシサピエン酸、ヒドロキペトロセリン酸、ヒドロキシオレイン酸、ヒドロキシエライジン酸、ヒドロキシバクセン酸、ヒドロキシガドレイン酸、ヒドロキシゴンドイン酸、ヒドロキシセトレイン酸、ヒドロキシエルカ酸、ヒドロキシネルボン酸、ヒドロキシリノール酸、ヒドロキシγ−リノレン酸、ヒドロキシジホモ−γ−リノレン酸、ヒドロキシアラキドン酸、ヒドロキシリノレン酸、ヒドロキシステアリドン酸、ヒドロキシニシン酸、およびヒドロキシミード酸から選ばれる、請求項27記載のポリマー組成物。
【請求項29】
脂肪族縮合ポリマーおよび一般式(I)の環式エステル、ならびに/あるいは脂肪族縮合ポリマーおよび一般式(I)で表され、
【化5】

式中、Xは、環中に2個もしくは3個以上の炭素原子を有する、置換されていてもよい脂肪族炭化水素である、環式エステルを含む組成物を溶融混合することによって形成される生成物を含むポリマー組成物。

【公表番号】特表2011−517717(P2011−517717A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504286(P2011−504286)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000478
【国際公開番号】WO2009/127010
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【出願人】(510276700)グレインズ リサーチ アンド ディベロップメント コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】