説明

放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影方法

【課題】撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことができるようにする。
【解決手段】放射線画像撮影装置10Aは、放射線を出力する放射線源を収容する放射線源本体部18と、放射線源が被写体に放射線を照射した際に、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像に変換し、且つ、可撓性を有するシート状の放射線検出器と、移動時には放射線源本体部18と放射線検出器とを一体的に連結固定する連結機構82とを有し、放射線検出器86は、放射線の出力時には放射線源本体部18に対して伸長した状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線源を収容する放射線源本体部及び放射線検出器を有する放射線画像撮影装置と、前記放射線源から出力された放射線を前記放射線検出器で検出して放射線画像に変換する放射線画像撮影方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネル(放射線検出器)に導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線検出器から直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線検出器として、放射線を電気信号に直接変換する固体検出素子を用いた直接変換型の放射線検出器、あるいは、放射線を可視光に一旦変換するシンチレータと、前記可視光を電気信号に変換する固体検出素子とを用いた間接変換型の放射線検出器が開発されている。
【0004】
このように、従来の放射線画像撮影装置は、病院内の患者に対する撮影を前提として開発されている(特許文献1及び2参照)。
【0005】
一方、病院外での撮影に対する要求は潜在的に存在し、例えば、検診車による健康診断を目的とした車載型の放射線画像撮影装置が提案されている。しかしながら、このような放射線画像撮影装置は、前記検診車に搭載される比較的大きなサイズとなる。そのため、例えば、自然災害等の災害現場や在宅看護の現場において、被写体に対する撮影を行おうとしても、災害現場の場合には、前記検診車を該災害現場にまで移動させることができず、一方で、在宅看護の現場の場合には、該在宅看護の現場となる被写体(在宅者)の自宅にまで前記検診車を移動させることはできても、撮影時には前記在宅者を前記検診車内にまで案内する必要があるので、前記撮影に関わる前記在宅者の負担が大きくなる。従って、前記災害現場や前記在宅看護の現場においては、超小型で且つ可搬型の放射線画像撮影装置が求められている。
【0006】
そこで、近年、システム全体をコンパクトに収容できるようにした可搬型の放射線画像撮影装置(特許文献3参照)や、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた電界放出型の放射線源が開発され(特許文献4及び非特許文献1参照)、一方で、放射線検出器についても、可撓性を有するシート状の放射線検出器が開発されてきており(特許文献5参照)、放射線源及び放射線検出器を含めた放射線画像撮影装置の小型化及び軽量化が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−225450号公報
【特許文献2】特開2007−222604号公報
【特許文献3】特開平11−104117号公報
【特許文献4】特開2007−103016号公報
【特許文献5】特開2003−70776号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】産総研:プレス・リリース、“カーボンナノ構造体を利用した可搬型X線源を開発”、[online]、平成21年3月19日、独立行政法人産業技術総合研究所、[ 平成21年7月8日検索]、インターネット< URL:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090319/pr20090319.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、放射線源及び放射線検出器を含めた放射線画像撮影装置が全体的に小型化及び軽量化されると、該放射線画像撮影装置の移動が容易となる。この場合、コンパクトに収容された状態で災害現場や在宅看護の現場に放射線画像撮影装置を搬送し、搬送先の現場において、コンパクトな状態から撮影可能な状態にまで放射線画像撮影装置を組み立てることにより撮影準備を行い、撮影後には再度コンパクトな状態に該放射線画像撮影装置を収容する。従って、このような可搬型の放射線画像撮影装置では、撮影を行う毎に、組み立て等の撮影準備を毎回行う必要があるので、該撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことが求められている。
【0010】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことができる放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、
放射線を出力する放射線源を収容する放射線源本体部と、
前記放射線源が被写体に前記放射線を照射した際に、前記被写体を透過した放射線を検出して放射線画像に変換し、且つ、可撓性を有するシート状の放射線検出器と、
移動時には前記放射線源本体部と前記放射線検出器とを一体的に連結固定する連結機構と、
を有し、
前記放射線検出器は、前記放射線の出力時には前記放射線源本体部に対して伸長した状態にあることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る放射線画像撮影方法は、
連結機構により一体的に連結固定された放射線源本体部と可撓性を有するシート状の放射線検出器とを移動し、
移動後に前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器を伸長し、
前記放射線源本体部に収容された放射線源から放射線を出力することにより、該放射線を被写体に照射し、
前記放射線検出器によって前記被写体を透過した放射線を検出して放射線画像に変換することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放射線画像撮影装置の移動時には、放射線源本体部と可撓性を有するシート状の放射線検出器とを連結機構により一体的に連結固定した状態で移動し、一方で、撮影時には、前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器を伸長した後に、前記放射線源本体部に収容された放射線源から放射線を出力して、被写体に前記放射線を照射する。
【0014】
これにより、小型化及び軽量化が図られた可搬型の放射線画像撮影装置であっても、撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図2】図1の放射線画像撮影装置の搬送状態を示す説明図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1のカセッテ本体部から放射線源本体部を分離した状態を示す平面図である。
【図5】図1の放射線源の内部を示す断面図である。
【図6】図1の放射線画像撮影装置による撮影を示す断面図である。
【図7】図6のSIDをより詳細に説明するための説明図である。
【図8】図1の放射線画像撮影装置の撮影準備を示す斜視図である。
【図9】図1の放射線画像撮影装置による撮影を示す斜視図である。
【図10】放射線検出器での画素の配列を模式的に示す説明図である。
【図11】カセッテ本体部の回路図である。
【図12】図1の放射線画像撮影装置のブロック図である。
【図13】図1の放射線画像撮影装置による撮影を説明するためのフローチャートである。
【図14】撮影後に携帯端末の表示部に表示される放射線画像の一例を示す平面図である。
【図15】第1実施形態に係る放射線画像撮影装置の変形例を示す斜視図である。
【図16】第1実施形態に係る放射線画像撮影装置の変形例を示す斜視図である。
【図17】第1実施形態に係る放射線画像撮影装置の変形例を示す斜視図である。
【図18】第2実施形態に係る放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図19】図18の放射線画像撮影装置の一部平面図である。
【図20】第3実施形態に係る放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図21】図20のカセッテ本体部からスクリーンを引き出した場合を説明する斜視図である。
【図22】図20の放射線画像撮影装置による撮影を示す斜視図である。
【図23】第4実施形態に係る放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図24】図23のカセッテ本体部(放射線源本体部)から放射線検出器を引き出した場合を説明する斜視図である。
【図25】図23の放射線画像撮影装置による撮影を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10Aは、図1及び図2に示すように、外形が略矩形状の筐体で且つ放射線46(図5参照)を透過可能な材料からなるカセッテ本体部12と、カセッテ本体部12の一側面14aの両端から外方にそれぞれ突出形成された保持部材16a、16bによりカセッテ本体部12に保持される円柱状の放射線源本体部18とを有する。
【0017】
この場合、保持部材16a、16bが形成される側面14aとは反対側の側面14bには、カセッテ本体部12から検出用スクリーン250の一部が僅かに引き出され、該検出用スクリーン250の先端部にウェイトバー252が連結されている。また、カセッテ本体部12の残り2つの側面14c、14dのうち、一方の側面14cには、ACアダプタの入力端子26と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子28と、メモリカード30を装填するためのカードスロット32と、後述するロック解除ボタン(ロック解除手段)34とが設けられている。さらにまた、上面254には、カセッテ本体部12から取り外し可能であり、且つ、表示部36と、医師又は放射線技師(以下、操作者38ともいう。)が操作する操作部40とが配置された携帯端末42が装着されている。一方、放射線源本体部18には、後述する放射線源44からの放射線46(図5参照)の出力を開始させるための曝射スイッチ48が設けられている。
【0018】
なお、図1及び図2は、操作者38が放射線画像撮影装置10Aを搬送する際の該放射線画像撮影装置10Aの状態を示している。この場合、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とは一体的に連結固定された状態にある。従って、操作者38は、一体的に連結固定の状態にある放射線画像撮影装置10Aを抱えた状態又は手に持った状態で、所望の場所、例えば、災害現場や在宅看護の現場に搬送することにより、搬送先の現場において、当該放射線画像撮影装置10Aを用いた災害現場の被災者に対する放射線画像の撮影や、在宅看護が必要とされる在宅者に対する放射線画像の撮影を行うことが可能となる。以下の説明では、放射線画像の撮影対象となる前記被災者又は前記在宅者を被写体50(図6参照)ともいう。
【0019】
ここで、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態とは、後述する連結機構82(図3参照)によって、放射線画像撮影装置10Aが搬送可能な程度にカセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結されている状態をいう。
【0020】
次に、災害現場や在宅看護の現場等に可搬型の放射線画像撮影装置10Aを持ち込んだ場合の該放射線画像撮影装置10Aの状態について、図3〜図9を参照しながら説明する。
【0021】
図3に示すように、カセッテ本体部12の側面14a〜14dを構成する側壁52a〜52dのうち、側壁52cに前述したロック解除ボタン34が配置されている。また、図8に示すように、上面254には、内方に凹んだ凹部54が形成され、この凹部54に携帯端末42が装着可能である。
【0022】
図3に戻り、ロック解除ボタン34は、操作者38(図2参照)による押圧操作に起因して側壁52aに沿って側壁52d側に変位可能である。この場合、ロック解除ボタン34の側壁52d側には、側壁52aに沿ったスライド部56が突出形成され、このスライド部56と側壁52aから内方に突出する突起58との間には、突起58から側壁52cの方向に向かって弾発するバネ部材60が介挿されている。また、スライド部56が接触する側壁52aの一部分には、カセッテ本体部12の内部と外部とを連通する孔62が形成され、該スライド部56の側部には、この孔62を貫通するフック部(フック部材、ロック手段)64が形成されている。
【0023】
一方、図3及び図4に示すように、放射線源本体部18が保持部材16a、16bによりカセッテ本体部12に保持されているときに、該放射線源本体部18における孔62と対向する箇所には、該孔62と略同じ大きさの孔66が形成されている。従って、バネ部材60の弾発力によってフック部64が側壁52c側に変位することによりフック部64と孔66とが係合し、この結果、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18を一体的に連結固定することができる(図3参照)。
【0024】
また、放射線源本体部18における保持部材16a側の一方の端部には、導電性の接続端子(放射線源側接続端子)68aが装着され、保持部材16b側の他方の端部には、導電性の接続端子(放射線源側接続端子)68bが装着されている。この場合、接続端子68aは、保持部材16aに向って凸状とされ、一方で、接続端子68bは、保持部材16bに向って凹状とされている。
【0025】
これに対して、保持部材16aにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(カセッテ側接続端子)70aが装着され、保持部材16bにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(カセッテ側接続端子)70bが装着されている。この場合、接続端子70aは、接続端子68aに対応した凹状とされ、一方で、接続端子70bは、接続端子68bに対応した凸状とされている。
【0026】
従って、図3に示すように、バネ部材60の弾発力によりフック部64と孔66とが係合してカセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定される状態では、凸状の接続端子68aと凹状の接続端子70aとが係合すると共に、凹状の接続端子68bと凸状の接続端子70bとが係合するので、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態を確実に維持することができる。すなわち、これらの接続端子68a、68b、70a、70bは、フック部64及び孔66によるカセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態の維持を補助するための部材としても機能する。
【0027】
一方、図4に示すように、操作者38がロック解除ボタン34を押し、バネ部材60の弾発力に抗して該ロック解除ボタン34を側壁52d側に移動させると、フック部64及びスライド部56が側壁52d側に変位して、フック部64と孔66との係合状態が解除される。従って、フック部64と孔66との係合状態が解除された状態(操作者38がロック解除ボタン34を押している状態)で、操作者38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外す(分離する)ことにより、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。
【0028】
また、カセッテ本体部12内には、メジャー(連結部材)72も配置されている。このメジャー72は、例えば、目盛74が振られた帯部材76を図示しないバネ部材の作用によってロール状に巻き取るメジャーであり、該メジャー72の側部には、メジャー72からの帯部材76の引き出し量を検出するロータリーエンコーダ(第2引き出し量検出部)78が取り付けられている。メジャー72から引き出された帯部材76の先端部は、側壁52aにおけるメジャー72と対向する箇所に形成された孔80を挿通して放射線源本体部18の接続端子68bの近傍に固定されている。
【0029】
従って、図3に示すように、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18が一体的に連結固定される状態では、メジャー72内部のバネ部材の作用によって帯部材76の大部分が該メジャー72内でロール状に巻き取られる。一方、図4〜図9に示すように、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除されていれば、前記バネ部材の作用に抗してカセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間することにより、メジャー72から孔80を介して帯部材76を引き出すことができる。
【0030】
なお、上述したロック解除ボタン34、スライド部56、バネ部材60、フック部64、接続端子68a、68b、70a、70b及びメジャー72によって、放射線画像撮影装置10Aの搬送時にはカセッテ本体部12と放射線源本体部18とを一体的に連結固定し、一方で、撮影時にはカセッテ本体部12と放射線源本体部18とを離間させる連結機構82が構成される。
【0031】
また、上記の説明において、メジャー72は、目盛74が振られた帯部材76を巻取可能であるが、帯部材76に代替して、目盛74が振られた紐部材(紐)であっても帯部材76と同じ機能を奏することができることは勿論である。
【0032】
さらに、カセッテ本体部12の内部には、図3及び図6に示すように、放射線46を透過させる材料からなり且つ可撓性を有する検出用スクリーン250をロール状に巻き取って収容するロールスクリーン構造の収容ボックス256が配置されている。収容ボックス256の側部には、収容ボックス256からの検出用スクリーン250の引き出し量を検出するロータリーエンコーダ(第1引き出し量検出部)258が取り付けられている。さらに、側壁52には、収容ボックス256から検出用スクリーン250を引き出すためのスロット260が形成されている。
【0033】
従って、カセッテ本体部12から離間する方向に操作者38がウェイトバー252を引くことによって、収容ボックス256からスロット260を介して検出用スクリーン250を外部に引き出す(伸長する)ことができる。すなわち、検出用スクリーン250は、搬送時には、収容ボックス256内においてロール状に巻き取られた状態で収容されているが、一方で、撮影時に、操作者38によるウェイトバー252の操作によって外部に引き出されたときには、放射線源本体部18に対して略平面状に配置(伸長、展開)された状態となる(図6、図8及び図9参照)。なお、検出用スクリーン250の両側部には、該検出用スクリーン250の引き出し方向に沿って目盛262が振られている。
【0034】
検出用スクリーン250の内部には、図7に示すように、放射線源44から被写体50に放射線46を照射した際に、被写体50による放射線46の散乱線を除去するグリッド84、被写体50を透過した放射線46を検出する放射線検出器86、及び、放射線46のバック散乱線を吸収する鉛シート88が、検出用スクリーン250における被写体50側の照射面20(図6〜図9に示す検出用スクリーン250の上面)に対して順に配設される。なお、照射面20をグリッド84として構成してもよい。また、グリッド84、放射線検出器86及び鉛シート88も可撓性を有する。
【0035】
この場合、放射線検出器86としては、例えば、被写体50を透過した放射線46をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線検出器や、放射線46の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線検出器を採用することができる。
【0036】
さらに、カセッテ本体部12の内部には、図3及び図4に示すように、カセッテ本体部12を含む放射線画像撮影装置10Aの電源としてのバッテリ90と、バッテリ90から供給される電力により放射線検出器86(図7参照)を駆動制御するカセッテ制御部(制御手段)92と、放射線検出器86によって検出した放射線46の情報を含む信号を外部との間で送受信する送受信機(通信手段)94とが収容されている。なお、カセッテ制御部92及び送受信機94には、放射線46が照射されることによる損傷を回避するため、カセッテ制御部92及び送受信機94の上面254及び側壁52b側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0037】
ここで、バッテリ90は、ロータリーエンコーダ78、放射線検出器86、カセッテ制御部92及び送受信機94に電力を供給する。また、バッテリ90は、入力端子26を介して外部から電力供給(充電)を受けることも可能である。さらに、バッテリ90は、携帯端末42が凹部54に装着されているときに、該携帯端末42を充電することも可能である。さらにまた、バッテリ90は、接続端子70a、70bと電気的に接続されており、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18が一体的に連結固定された状態において、接続端子70a、70bから接続端子68a、68bを介して放射線源本体部18内のバッテリ(放射線源用バッテリ)96(図5参照)を充電することも可能である。この場合、バッテリ90、携帯端末42、及び/又は、バッテリ96の充電量や充電状態を表示部36に表示させることが望ましい。
【0038】
なお、送受信機94は、外部との信号の送受信が可能であるため、例えば、凹部54から取り外した携帯端末42の送受信機98(図12参照)との間での信号の送受信や、カセッテ本体部12から離間した放射線源本体部18の送受信機(通信手段)100との間での信号の送受信が可能である。勿論、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定され、及び/又は、凹部54に携帯端末42が装着されている場合であっても、各送受信機94、98、100間での信号の送受信は可能である。
【0039】
放射線源本体部18の内部には、図5に示すように、放射線源44と、バッテリ96と、送受信機100と、放射線源44を制御する線源制御部(制御手段)102と、レーザポインタ104と、カセッテ本体部12からの放射線源本体部18の離間に伴うバッテリ90からバッテリ96への充電の停止を検出する充電停止検出部105とが配置されている。
【0040】
放射線源44は、特許文献4と同様の電界放出型の放射線源である。
【0041】
すなわち、この放射線源44は、回転機構106により回転する回転シャフト108に円盤状の回転陽極110が取り付けられ、該回転陽極110の表面には、Mo等の金属元素を主成分とする環状のターゲット層112が形成されている。一方、回転陽極110に対向して陰極114が配置され、該陰極114には、ターゲット層112と対向するように電界放出型電子源116が配設されている。
【0042】
線源制御部102は、操作者38による曝射スイッチ48の操作に起因して、放射線46を出力させるように放射線源44を制御する。すなわち、放射線源44では、線源制御部102からの制御に従って、回転機構106が回転シャフト108を回転させることにより回転陽極110が回転し、電源部118がバッテリ96からの電力供給に基づいて電界放出型電子源116に電圧(負電圧)を印加し、且つ、電源部120がバッテリ96からの電力供給に基づいて回転陽極110と陰極114との間に電圧を印加すると(回転陽極110に正電圧を印加し、陰極114に負電圧を印加すると)、電界放出型電子源116から電子が放出され、放出された電子は、回転陽極110と陰極114との間に印加された電圧により加速されてターゲット層112に衝突する。ターゲット層112における電子の衝突面(焦点122)からは、該衝突した電子に応じた放射線46が外部に出力される。
【0043】
ここで、被写体50に放射線46を照射して、放射線画像の撮影を行う場合には、放射線源44の焦点122と該焦点122直下の放射線検出器86の位置124(図7参照)との間の距離(撮影間距離)を線源受像画間距離(SID)に予め設定し、且つ、収容ボックス256から引き出し量l3だけ外部に引き出された検出用スクリーン250の一部の照射面20における中心位置126と、該照射面20における放射線46の照射範囲の中心位置とを一致させる作業を含めた撮影準備作業を行う必要がある。
【0044】
この場合、操作者38は、図6〜図8に示すように、カセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間した状態で、メジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。また、レーザポインタ104は、線源制御部102からの制御に従って照射面20にレーザ光128を投光することにより、放射線46を照射面20に照射したときの該放射線46の照射範囲の中心位置を十字状のマーク130として照射面20に表示する。
【0045】
なお、カセッテ本体部12からの放射線源本体部18の離間に伴ってバッテリ90からバッテリ96への充電が停止するので、充電停止検出部105は、バッテリ96に対する充電の停止を検出して線源制御部102に通知し、線源制御部102は、充電停止の通知を受け取ると、レーザ光128を投光するようにレーザポインタ104を制御する。
【0046】
照射面20には目盛262しか表示されていないので、操作者38は、例えば、目盛262を見ながら照射面20の中心位置126を特定する。また、位置124及び中心位置126と帯部材76が引き出される孔80が設けられた側面14aとの間の距離l2と、SIDに応じた引き出し量l1と、SIDとの間では、概ね、SID≒(l12+l221/2の関係が成り立つ。
【0047】
従って、引き出し量l1だけメジャー72から帯部材76を引き出した後に、照射面20に表示されたマーク130の位置と、中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整し、その後、図9に示すように、操作者38による曝射スイッチ48の投入に起因して、放射線源44から照射面20上に配置された被写体50に放射線46を照射することで、被写体50に対する放射線画像の撮影を適切に行うことが可能となる。なお、図9では、被写体50の手を撮影する場合について図示している。
【0048】
放射線検出器86は、図10において模式的に示すように、多数の画素132が図示しない可撓性の基板上に配列され、これらの画素132に対して制御信号を供給する多数のゲート線134と、多数の画素132から出力される電気信号を読み出す多数の信号線136とが配列されている。
【0049】
次に、一例として、間接変換型の放射線検出器86を採用した場合のカセッテ本体部12及び放射線検出器86の回路構成に関し、図11を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
放射線検出器86は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素132が形成された光電変換層138を、行列状のTFT140のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、各画素132では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各行毎にTFT140を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0051】
各画素132に接続されるTFT140には、行方向と平行に延びるゲート線134と、列方向と平行に延びる信号線136とが接続される。各ゲート線134は、ライン走査駆動部142に接続され、各信号線136は、マルチプレクサ144に接続される。ゲート線134には、行方向に配列されたTFT140をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部142から供給される。この場合、ライン走査駆動部142は、ゲート線134を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ146とを備える。アドレスデコーダ146には、カセッテ制御部92からアドレス信号が供給される。
【0052】
また、信号線136には、列方向に配列されたTFT140を介して各画素132に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器148によって増幅される。増幅器148には、サンプルホールド回路150を介してマルチプレクサ144が接続される。マルチプレクサ144は、信号線136を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ152とを備える。アドレスデコーダ152には、カセッテ制御部92からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ144には、A/D変換器154が接続され、A/D変換器154によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部92に供給される。
【0053】
なお、スイッチング素子として機能するTFT140は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0054】
図12は、放射線画像撮影装置10Aのブロック図である。
【0055】
なお、図12の説明では、図1〜図11において説明しなかった構成要素を中心に説明する。
【0056】
カセッテ本体部12は、バッテリ90からの電力供給に基づいて凹部54に装着された携帯端末42に対する充電処理を行う携帯端末充電処理部156と、バッテリ90からの電力供給に基づいて接続端子68a、68b、70a、70bを介してバッテリ96に対する充電処理を行う放射線源充電処理部158と、操作者38がロック解除ボタン34を押すことによりフック部64と孔66との係合状態が解除されたことを検出するロック解除検出部160とをさらに有する。
【0057】
携帯端末充電処理部156は、凹部54から携帯端末42が取り外されて、該携帯端末42に対する充電処理が行えない場合に、携帯端末42に対する充電処理の中断を示す信号をカセッテ制御部92に出力する。また、放射線源充電処理部158は、カセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間して、接続端子68aと接続端子70aとの係合状態(電気的接続)、あるいは、接続端子68bと接続端子70bとの係合状態(電気的接続)が解除された結果、バッテリ96に対する充電処理が行えない場合に、バッテリ96に対する充電処理の中断を示す信号をカセッテ制御部92に出力する。さらに、ロック解除検出部160は、例えば、ロック解除ボタン34、スライド部56又はフック部64の位置を検出する位置検出センサであり、フック部64と孔66との係合状態が解除される位置にロック解除ボタン34、スライド部56又はフック部64が移動したときに、前記係合状態の解除を示す信号をカセッテ制御部92に出力する。
【0058】
また、カセッテ制御部92は、アドレス信号発生部162と、画像メモリ164と、カセッテIDメモリ166と、SID判定部(撮影間距離判定部)168と、充電制御部170とを備える。
【0059】
アドレス信号発生部162は、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146及びマルチプレクサ144のアドレスデコーダ152に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ164は、放射線検出器86によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ166は、放射線画像撮影装置10A(のカセッテ本体部12)を特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0060】
SID判定部168は、ロータリーエンコーダ78から入力されるメジャー72からの帯部材76の引き出し量と、ロータリーエンコーダ258から入力される検出用スクリーン250の引き出し量l3とに基づいて、現在の帯部材76の引き出し量で放射線源本体部18を照射面20の上方に仮に配置したときの焦点122と位置124との間の撮影間距離を算出する。
【0061】
次に、SID判定部168は、算出した撮影間距離がSIDに一致すれば、帯部材76の引き出し量をSIDに応じた引き出し量l1として、該引き出し量l1及び前記撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。一方、SID判定部168は、算出した撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。
【0062】
なお、図6及び図7に示すように、中心位置126及び位置124と側面14aとの間の距離l2のうち、側面14aから側面14bまでの長さ(l2−l3/2)は一定であるため、SID判定部168は、引き出し量l3から距離l2を求め、求めたl2と帯部材76の引き出し量とから撮影間距離を算出する。また、SID判定部168、ロータリーエンコーダ78、258及びメジャー72によって撮影間距離設定手段169が構成される。
【0063】
充電制御部170は、主として、バッテリ90から放射線検出器86への電力供給(図11に示すバイアス電圧Vbの印加)を制御する。具体的に、充電制御部170は、下記の制御処理を行う。
【0064】
(1)放射線源充電処理部158及びロック解除検出部160からの信号の入力がない場合に、充電制御部170は、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定されており、従って、放射線源44からの放射線46の照射は行われない(非照射状態)と判断して、バッテリ90から放射線検出器86に対する電力供給を行わないように該バッテリ90を制御する。
【0065】
(2)放射線源充電処理部158又はロック解除検出部160からの信号の入力がある場合には、充電制御部170は、操作者38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外している最中であるものと判断し、前記(1)と同様に、バッテリ90から放射線検出器86に対する電力供給を行わないように該バッテリ90を制御する。
【0066】
(3)放射線源充電処理部158及びロック解除検出部160からの信号の入力がある場合には、充電制御部170は、操作者38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外して撮影準備作業を行っているものと判断し、放射線検出器86に電力供給を行って、該放射線検出器86を起動させるようにバッテリ90を制御する。
【0067】
すなわち、前記(1)又は(2)の場合には、放射線源44から放射線46が出力されることはないので、充電制御部170は、バッテリ90から放射線検出器86への電力供給を禁止して、カセッテ本体部12全体を放射線検出器86が起動しないスリープモードに維持する。一方、前記(3)の場合には、撮影準備作業の完了後に、操作者38が直ちに曝射スイッチ48を操作することで、放射線源44から放射線46が出力される可能性があるため、充電制御部170は、放射線源充電処理部158及びロック解除検出部160からの信号の入力があれば、直ちに、バッテリ90から放射線検出器86への電力供給を開始させて、放射線検出器86を起動させる。
【0068】
従って、スリープモード及び放射線検出器86の起動に関わりなく、バッテリ90は、ロータリーエンコーダ78、258、カセッテ制御部92、送受信機94、携帯端末充電処理部156、放射線源充電処理部158及びロック解除検出部160に対しては、常時、電力供給を行う。
【0069】
なお、充電制御部170は、携帯端末充電処理部156からの信号の入力があれば、携帯端末42がカセッテ本体部12から取り外されているものと判断して、携帯端末充電処理部156への電力供給を禁止するように、バッテリ90を制御することも可能である。
【0070】
また、前記(1)又は(2)の場合には、実際上、メジャー72からの帯部材76の引き出しは行われない。従って、充電制御部170は、前記(1)又は(2)の場合には、ロータリーエンコーダ78への電力供給を禁止するようにバッテリ90を制御し、一方で、前記(3)の場合には、ロータリーエンコーダ78への電力供給を開始するようにバッテリ90を制御することも可能である。
【0071】
さらに、収容ボックス256からの検出用スクリーン250の引き出し後に、カセッテ本体部12から放射線源本体部18を離間させる場合には、上記(1)〜(3)の処理をそのまま適用することが可能である。
【0072】
これに対して、カセッテ本体部12から放射線源本体部18を離間させた後に、収容ボックス256から検出用スクリーン250を引き出す場合には、実際上、操作者38により曝射スイッチ48が投入されるまでは、被写体50に対して放射線46が照射されることはない。そのため、充電制御部170は、検出用スクリーン250の引き出し量l3が所定の長さ(例えば、被写体50の放射線画像を取得できる程度の長さ)に到達したときに、放射線検出器86への電力供給を開始させるようにバッテリ90を制御してもよい。
【0073】
カセッテ制御部92は、送受信機94を介して、カセッテIDメモリ166に記憶されたカセッテID情報と、画像メモリ164に記憶された放射線画像とを無線通信により携帯端末42に送信することも可能である。
【0074】
第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作(放射線画像撮影方法)について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
ステップS1において、連結機構82によってカセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定された状態で、医師又は放射線技師の操作者38は、連結固定状態にある放射線画像撮影装置10Aを災害現場や在宅看護の現場に搬送し、搬送先の現場において、携帯端末42の操作部40を操作することにより、撮影対象である被写体50に関わる被写体情報(例えば、SID)等の撮影条件を登録する。
【0076】
この場合、操作者38は、携帯端末42を凹部54から取り外した状態で操作してもよいし、携帯端末42をカセッテ本体部12に装着した状態で操作してもよい。また、撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も予め登録しておく。なお、搬送先の現場に出向く前に、撮影対象の被写体50が予め分かっている場合には、操作者38の所属する医療機関等で携帯端末42を操作し、被写体情報を登録してもよい。
【0077】
このようにして、操作者38が携帯端末42の操作部40を操作することにより、撮影対象である被写体50に関わる被写体情報等の撮影条件は、送受信機98から無線通信により送受信機94に送信され、カセッテ制御部92に登録される。
【0078】
なお、ステップS1において、カセッテ本体部12は、充電制御部170によって、バッテリ90から放射線検出器86への電力供給が禁止されたスリープモードに設定されている。従って、バッテリ90は、ロータリーエンコーダ78、258、カセッテ制御部92、送受信機94、携帯端末充電処理部156、放射線源充電処理部158及びロック解除検出部160に対して電力供給を行っている。
【0079】
次のステップS2において、操作者38は、先ず、ウェイトバー252を引っ張って、被写体50の撮影部位に対する撮影に必要な長さ(引き出し量l3)だけの検出用スクリーン250を収容ボックス256から引き出す(伸長する)。ロータリーエンコーダ258は、検出用スクリーン250の引き出し量l3を検出してSID判定部168に通知する。
【0080】
次に、操作者38がロック解除ボタン34を押すと、バネ部材60の弾発力に抗してフック部64が側壁52d側に変位するので、フック部64と孔66との係合状態が解除される。ロック解除検出部160は、前記係合状態の解除を検出し、検出結果を示す信号を充電制御部170に出力する。
【0081】
そして、前記係合状態の解除中(ロック解除ボタン34を押したままの状態)に、操作者38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外すと、接続端子68aと接続端子70aとの係合状態と、接続端子68bと接続端子70bとの係合状態とが共に解除されて、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。これにより、放射線源充電処理部158は、放射線源本体部18のバッテリ96に対する充電処理の中断を示す信号を充電制御部170に出力する。
【0082】
ステップS3において、充電制御部170は、ロック解除検出部160及び放射線源充電処理部158からの各信号に基づいて、操作者38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を分離して撮影準備作業を開始したものと判断し、放射線検出器86に対する電力供給(バイアス電圧Vbの印加)を開始するようにバッテリ90を制御する。これにより、放射線検出器86は、バッテリ90からの電力供給に起因して速やかに起動し、放射線検出器86及びカセッテ本体部12がスリープモードから起動状態へと移行する。
【0083】
次のステップS4において、操作者38は、撮影間距離の設定作業と、照射面20に表示されるマーク130と中心位置126とを一致させる設定作業とを行った後に、照射面20と放射線源本体部18との間に被写体50を配置して、該被写体50の位置決めを行う。
【0084】
この場合、操作者38は、先ず、放射線源本体部18を動かしてメジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。
【0085】
なお、引き出し量l1となるまで帯部材76を引き出す方法としては、次の2つの方法がある。
【0086】
第1の方法は、引き出し量l1に到達したか否かをSID判定部168が自動的に判定し、該SIDに応じた引き出し量l1となるまで操作者38に帯部材76を引き出させる方法である。
【0087】
第1の方法において、ロータリーエンコーダ78は、帯部材76の引き出し量を検出し、SID判定部168は、ロータリーエンコーダ258から既に通知された引き出し量l3を用いて距離l2を算出した後に、距離l2及び帯部材76の引き出し量に基づいて、現在の帯部材76の引き出し量で放射線源本体部18を照射面20の上方に仮に配置したときの焦点122と位置124との間の撮影間距離を算出する。
【0088】
SID判定部168は、撮影間距離がSIDに一致していれば、帯部材76の引き出し量(引き出し量l1)及び撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させ、一方で、撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。
【0089】
そのため、第1の方法によれば、操作者38は、表示部36の表示内容に従ってメジャー72から帯部材76を引き出せばよいので、撮影間距離の設定作業を簡単に行うことができる。
【0090】
第2の方法は、引き出し量l1が予め分かっている場合に、操作者38が目盛74を見ながら、引き出し量l1となるまで帯部材76をメジャー72から引き出す方法である。
【0091】
このようにしてSIDに応じた引き出し量l1となるまで帯部材76が引き出された後に、操作者38は、照射面20と対向するように放射線源本体部18を移動させる。
【0092】
この場合、充電停止検出部105は、カセッテ本体部12からの放射線源本体部18の離間に伴うバッテリ96の充電停止を検出し、検出結果を線源制御部102に通知する。従って、線源制御部102は、充電停止検出部105からの通知に基づいて、照射面20にレーザ光128を投光するようにレーザポインタ104を制御する。これにより、照射面20には、放射線46を照射面20に照射したときの該放射線46の照射範囲の中心位置が十字状のマーク130として表示される。これにより、操作者38は、マーク130の位置と、該操作者38が特定した中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整する。
【0093】
このようにして、マーク130の位置と中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整した後に、操作者38は、被写体50の撮影部位の中心が中心位置126(マーク130の位置)と一致するように、被写体50を照射面20上に配置(位置決め)する。
【0094】
なお、放射線源本体部18は、上述の位置調整が行われた後は、例えば、図示しない保持部材により調整後の位置に固定される。
【0095】
被写体50の位置決め後のステップS5において、操作者38は、曝射スイッチ48を投入して被写体50に対する撮影を開始させる。
【0096】
曝射スイッチ48の操作に起因して、線源制御部102は、無線通信により、カセッテ制御部92に対して撮影条件の送信を要求し、カセッテ制御部92は、受信した前記要求に基づいて、当該被写体50の撮影部位に係る撮影条件(制御信号)を、放射線源本体部18に送信する。線源制御部102は、前記撮影条件を受信すると、レーザポインタ104によるレーザ光128の投光を停止させると共に、当該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線46を被写体50に照射するように放射線源44を制御する。
【0097】
これにより、放射線源44内では、線源制御部102からの制御に従って、回転機構106が回転シャフト108及び回転陽極110を回転させ、一方で、電源部118がバッテリ96からの電力供給に基づいて電界放出型電子源116に負電圧を印加すると共に、電源部120がバッテリ96からの電力供給に基づいて回転陽極110と陰極114との間に電圧を印加するので、電界放出型電子源116から放出された電子は、回転陽極110と陰極114との間に印加された電圧により加速されてターゲット層112に衝突し、ターゲット層112の電子の衝突面(焦点122)からは、該衝突した電子に応じた放射線46が外部に出力される。
【0098】
ステップS6において、撮影条件に基づく所定の照射時間だけ被写体50に放射線46が照射されると、該放射線46は、被写体50を透過してカセッテ本体部12内の放射線検出器86に至る。
【0099】
ステップS7において、放射線検出器86が間接変換型の放射線検出器である場合に、該放射線検出器86を構成するシンチレータは、放射線46の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層138を構成する各画素132は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素132に保持された被写体50の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部92を構成するアドレス信号発生部162からライン走査駆動部142及びマルチプレクサ144に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0100】
すなわち、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線134に接続されたTFT140のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ144のアドレスデコーダ152は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部142によって選択されたゲート線134に接続された各画素132に保持された電荷情報である放射線画像を信号線136を介して順次読み出す。
【0101】
選択されたゲート線134に接続された各画素132から読み出された放射線画像は、各増幅器148によって増幅された後、各サンプルホールド回路150によってサンプリングされ、マルチプレクサ144を介してA/D変換器154に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部92の画像メモリ164に一旦記憶される(ステップS8)。
【0102】
同様にして、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線134に接続されている各画素132に保持された電荷情報である放射線画像を信号線136を介して読み出し、マルチプレクサ144及びA/D変換器154を介してカセッテ制御部92の画像メモリ164に記憶させる(ステップS8)。
【0103】
画像メモリ164に記憶された放射線画像は、送受信機94を介して、無線通信により携帯端末42に送信され、携帯端末42は、図14に示すように、受信した放射線画像を表示部36に表示させる(ステップS9)。これにより、操作者38は、表示部36に表示された放射線画像を確認することにより、被写体50の撮影部位に対する撮影が適切に行われたか否かを把握することができる。
【0104】
例えば、撮影領域内に撮影部位の収まっていない放射線画像が表示された場合に、操作者38は、今回の撮影が適切に行われなかったものと判断して、被写体50に対する再撮影を実行する。
【0105】
なお、表示部36に表示される放射線画像は、今回の撮影が適切であったか否かを判断できる程度の画像であればよいので、画像メモリ164に記憶されている放射線画像でもよいし、ローデータの画像であってもよいし、あるいは、比較的低い解像度に加工された画像であってもよい。
【0106】
次のステップS10において、撮影後の放射線源本体部18をカセッテ本体部12の側面14a側にまで移動させると、メジャー72内のバネ部材による帯部材76の巻き取りが開始される。そして、孔66と孔62とを対向させた状態で、接続端子68a、70aを係合させると共に、接続端子68b、70bを係合させると、孔66にフック部64が係合し、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18が一体的に連結固定される。
【0107】
これにより、ロック解除検出部160は、充電制御部170への信号の出力を停止する。また、放射線源充電処理部158は、充電制御部170への信号の出力を停止する一方で、接続端子68a、68b、70a、70bを介したバッテリ96への充電を再開する。
【0108】
充電制御部170は、ロック解除検出部160及び放射線源充電処理部158からの信号の入力停止により、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的な連結固定状態に至ったものと判断し、放射線検出器86に対する電力供給を停止するようにバッテリ90を制御する。この結果、カセッテ本体部12を含めた放射線画像撮影装置10Aは、スリープモードに移行する(ステップS11)。また、操作者38は、ウェイトバー252を操作して検出用スクリーン250を収容ボックス256に収容させる。
【0109】
そして、操作者38は、自己が所属する医療機関等に放射線画像撮影装置10Aを持ち帰り、画像メモリ164内に記憶された放射線画像を送受信機94を介した無線通信により、あるいは、USB端子28を介した有線通信により院内ネットワークの各種機器に送信するか、あるいは、メモリカード30に前記放射線画像を保存し、保存後のメモリカード30をカードスロット32から取り出して前記各種機器に提供する。これにより、前記医療機関において、前記放射線画像に対する詳細な読影診断を実施することが可能となる。
【0110】
以上説明したように、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10A及び放射線画像撮影方法によれば、放射線画像撮影装置10Aの移動時には、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを連結機構82により一体的に連結固定した状態で移動し、一方で、撮影時には、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを離間させると共に、カセッテ本体部12から検出用スクリーン250を引き出した(伸長した)後に、放射線源本体部18に収容された放射線源44から放射線46を出力して、被写体50に放射線46を照射するので、小型化及び軽量化が図られた可搬型の放射線画像撮影装置10Aであっても、撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
【0111】
また、カセッテ本体部12内に配置された収容ボックス256は、可撓性を有し且つシート状の検出用スクリーン250をロール状に巻き取って収容する。従って、検出用スクリーン250は、災害現場や在宅看護の現場への搬送時には、収容ボックス256にロール状に巻き取られた状態となり、一方で、撮影時には、収容ボックス256から引き出されて平面状に展開される。これにより、放射線画像撮影装置10A全体の小型化を容易に実現することができる。
【0112】
さらに、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが分離したときに、カセッテ制御部92の充電制御部170は、放射線検出器86に電力供給を行うようにバッテリ90を制御するので、撮影準備中に放射線検出器86を速やかに起動させることができる。
【0113】
一方、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが一体的に連結固定されたときに、充電制御部170は、放射線検出器86への電力供給を停止するようにバッテリ90を制御するので、起動中の放射線検出器86を速やかに停止させることができる。
【0114】
このように、連結機構82による放射線源本体部18とカセッテ本体部12との連結固定状態、あるいは、分離状態に応じて、放射線検出器86の起動又は停止が行われるので、放射線画像撮影装置10Aの省電力化を図ることができる。
【0115】
また、メジャー72から帯部材76を引き出し量l1だけ引き出すことにより、撮影間距離をSIDに設定する作業を容易に行うことが可能となる。この場合、ロータリーエンコーダ78によって帯部材76の引き出し量を検出し、ロータリーエンコーダ258によって引き出し量l3を検出し、SID判定部168により撮影間距離とSIDとが一致するか否かを判定し、表示部36により判定結果を表示させることにより、帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1であるか否かを操作者38に通知することができ、この結果、撮影間距離の設定作業を容易に行うことが可能となる。
【0116】
また、帯部材76には目盛74が設けられているので、操作者38は、この目盛74を見ながら引き出し量l1だけ引き出すことも可能となる。さらに、検出用スクリーン250にも目盛262が設けられているので、操作者38は、この目盛262を見ながら、撮影に必要な引き出し量l3だけ検出用スクリーン250を引き出すことができる。これにより、撮影時に、被写体50に対して適切な線量の放射線46を照射することが可能となる。さらにまた、目盛74、262が設けられていることにより、撮影準備中に被写体50の撮影部位の寸法を計測することも可能となる。さらに、引き出し量l1だけ帯部材76を引き出す場合のみならず、所定長さだけ帯部材76を引き出し、カセッテ制御部92では、前記所定長さに応じたSIDの値を撮影条件として再設定してもよい。
【0117】
ところで、従来の放射線画像の撮影では、放射線46の照射条件として、放射線46の質に関しては放射線源44の管電圧が重要視され、放射線46の量に関してはmA・s値(電流と照射時間との積であり、放射線46の総曝射量)が重要視されていた。
【0118】
しかしながら、線量管理上、放射線源44の焦点122と放射線検出器86の位置124との間の撮影間距離(SID)がどのような距離に設定されているのかという条件も、放射線46の照射条件として重要視されてきている。すなわち、撮影間距離の2乗に反比例して放射線46の線量が低下するため、放射線源44の管電圧及びmA・s値に応じた曝射量の放射線46を出力しても、SIDの値によって被写体50に実際に照射される放射線46の線量が異なってくるためである。
【0119】
そこで、第1実施形態においては、前述のように、帯部材76の引き出し量を引き出し量l1に設定するのに加え、該引き出し量l1やSID等の撮影条件を放射線画像と共に画像メモリ164を記憶し、あるいは、これらの撮影条件を放射線画像と共に表示部36に表示させるようにしてもよい。これにより、当該放射線画像がいかなる管電圧、mA・s値及びSIDにおいて撮影された画像であるのかが明らかになるので、災害現場や在宅介護の現場での撮影によって得られた放射線画像であっても、線量管理を簡便に行うことが可能となる。
【0120】
また、カセッテ本体部12に送受信機94が設けられると共に、放射線源本体部18に送受信機100が設けられているので、カセッテ制御部92と線源制御部102とは、送受信機94、100を介して信号の送受信を行うことが可能となる。従って、曝射スイッチ48の投入に起因した放射線源44からの放射線46の出力と、放射線検出器86における放射線46から前記放射線画像への変換との同期を容易に取ることができる。なお、上述の同期に合わせて、バッテリ96への電力供給を行ってもよい。
【0121】
さらに、フック部64と孔66とを係合させることにより、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との一体的な連結固定状態を容易に実現することができる。
【0122】
さらにまた、保持部材16a、16bにより放射線源本体部18の両端部が保持されるので、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との一体的な連結固定状態を維持することが可能となる。
【0123】
また、放射線源本体部18の両端部には、接続端子68a、68bがそれぞれ設けられ、保持部材16a、16bには、接続端子68a、68bに対向して接続端子70a、70bがそれぞれ設けられ、保持部材16a、16bにより放射線源本体部18の両端部が保持されたときに、接続端子68a、70aと接続端子68b、70bとがそれぞれ係合するので、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との一体的な連結固定状態の維持を容易に図ることができる。
【0124】
この場合、接続端子68a、68bと接続端子70a、70bとでは、一方が凸状であれば、他方が凹状となっているので、接続端子68a、70aと接続端子68b、70bとを確実に係合させることができる。また、一方を凸、他方を凹としているので、操作者38が誤って放射線源本体部18を左右反対にした状態で、該放射線源本体部18をカセッテ本体部12に連結固定させることを確実に防止することができる。
【0125】
しかも、接続端子70a、70bは、カセッテ本体部12内のバッテリ90に電気的に接続され、一方で、接続端子68a、68bは、放射線源本体部18内のバッテリ96に電気的に接続されている。従って、接続端子68a、70aと接続端子68b、70bとが係合していれば、バッテリ90から接続端子68a、68b、70a、70bを介してバッテリ96を確実に充電することができる。
【0126】
この場合、少なくとも被写体50の撮影枚数に応じた充電量だけバッテリ96を充電することにより、撮影時に、前記撮影枚数分の撮影を確実に行うことができる。
【0127】
なお、第1実施形態は、上述した説明に限定されることはなく、下記のように変更することも可能である。
【0128】
上述の説明では、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが分離したときに放射線検出器86が起動するようにしているが、分離したときに放射線源44も併せて起動できるようにしてもよい。この場合、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを連結固定したときに、放射線源44も併せて停止させるようにしてもよい。
【0129】
また、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが分離したときに放射線画像撮影装置10A全体が起動し、一方で、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが一体的に連結固定したときに放射線画像撮影装置10A全体が停止状態(スリープモード)になるようにしてもよい。
【0130】
また、上記の説明では、曝射スイッチ48の投入によって撮影が開始されるが、携帯端末42の操作部40の操作に起因して撮影が開始されてもよい。すなわち、操作部40のボタンの1つを曝射スイッチ専用のボタンにすればよい。
【0131】
また、撮影時の放射線源本体部18は、図示しない保持部材によって所定位置に固定されるが、少なくとも撮影中、操作者38が放射線源本体部18を手で持つようにしてもよい。
【0132】
さらに、上記の説明では、バッテリ90からバッテリ96を充電する場合について説明したが、バッテリ96を放射線画像撮影装置10A全体の電源とみなし、このバッテリ96からバッテリ90を充電してもよい。
【0133】
さらにまた、上記の説明では、撮影時には、カセッテ制御部92から線源制御部102に撮影条件(制御信号)を送信することで、放射線源44からの放射線46の出力と、放射線検出器86における放射線46から放射線画像への変換との同期を取るようにしていたが、これに代えて、線源制御部102に撮影条件を予め登録する機能を具備させておき、曝射スイッチ48の投入に起因して、あるいは、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との離間に起因して、前記撮影条件を線源制御部102からカセッテ制御部92に送信するように変更することも可能である。
【0134】
また、第1実施形態では、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との間で、無線通信により信号の送受信が行われるので、信号を送受信するためのケーブルが不要となり、操作者38の作業に支障を来すおそれがない。従って、操作者38は、自己の作業を効率よく行うことが可能となる。
【0135】
さらに、第1実施形態は、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線検出器では、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0136】
さらにまた、放射線画像撮影装置10Aでは、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの放射線画像撮影装置10Aを繰り返し続けて使用することができる。
【0137】
また、放射線画像撮影装置10Aと外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
【0138】
第1実施形態では、図15に示すように、メジャー72がない構成としてもよい。この場合であっても、メジャー72以外の構成要素による効果が容易に得られる。
【0139】
さらに、上記の説明では、連結機構82の主要な構成要素がカセッテ本体部12に配置されている場合について説明したが、放射線源本体部18に連結機構82を配置しても、上述した各効果が容易に得られる。
【0140】
図16は、ロック解除ボタン34及びフック部64等を放射線源本体部18に設けた変形例を示す。
【0141】
この場合、カセッテ本体部12の側面14aには、保持部材16a、16bが形成されておらず、一方で、放射線源本体部18における側面14a側は、側面14aに対応して平坦な形状とされている。そして、放射線源本体部18の両端部にロック解除ボタン34が設けられ、平坦部分における両端部近傍に孔62、フック部64が設けられると共に、前記平坦部分における一方の端部側に接続端子68a、68bが配置されている。
【0142】
これに対して、カセッテ本体部12の側面14aには、孔62に対向して孔66が設けられると共に、接続端子68a、68bに対向して接続端子70a、70bが設けられている。
【0143】
図16の放射線画像撮影装置10Aでは、放射線源本体部18の平坦部分と、カセッテ本体部12の側面14aとを対向させた状態で、フック部64を孔66に係合させると共に、接続端子68a、68bと接続端子70a、70bとをそれぞれ係合させることにより、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが一体的に連結固定される。
【0144】
この変形例においても、上述した各効果を容易に得ることができる。
【0145】
また、図16の変形例では、ロック解除ボタン34が放射線源本体部18の両端部に設けられているので、操作者38は、ロック解除ボタン34を押しながらカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外すだけで、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との一体的な連結固定状態を容易に解除させることができる。
【0146】
さらに、第1実施形態では、病院内の必要な箇所に、図17に示すように、放射線画像撮影装置10Aのバッテリ90の充電を行うクレードル180を配置すると好適である。この場合、クレードル180は、バッテリ90の充電だけでなく、クレードル180の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、病院内の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル180に装填された放射線画像撮影装置10Aに記録された放射線画像を含めることができる。
【0147】
また、クレードル180に表示部182を配設し、この表示部182に対して、装填された当該放射線画像撮影装置10Aの充電状態や、放射線画像撮影装置10Aから取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0148】
さらに、複数のクレードル180をネットワークに接続し、各クレードル180に装填されている放射線画像撮影装置10Aの充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある放射線画像撮影装置10Aの所在を確認できるように構成することもできる。
【0149】
なお、上記の説明では、災害現場や在宅看護の現場における放射線画像の撮影について説明したが、第1実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
【0150】
次に、第2実施形態に係る放射線画像撮影装置10Bについて、図18及び図19を参照しながら説明する。
【0151】
なお、この放射線画像撮影装置10Bにおいて、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10A(図1〜図17参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0152】
第2実施形態に係る放射線画像撮影装置10Bは、放射線46又は該放射線46の散乱線が不用意に周囲に放射されることを防止するために、これらの放射線46又は散乱線を吸収する鉛からなるスクリーン220をロール状に巻き取って収容するロールスクリーン構造の収容ボックス(スクリーン収容部)222がカセッテ本体部12の側壁52a側に収容され、該スクリーン220の先端部が放射線源本体部18に固定されている点で、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10A(図1〜図17)とは異なる。
【0153】
すなわち、放射線画像撮影装置10Bでは、放射線画像撮影装置10Aにおけるメジャー72及び帯部材76を、収容ボックス222及びスクリーン220に置き換えた構成であり、従って、収容ボックス222からのスクリーン220の引き出し方法や収容方法は、メジャー72及び帯部材76と同様であり、よって、スクリーン220は、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とを連結する連結部材として機能する。なお、スクリーン220の両側部には、該スクリーン220の引き出し方向に沿って目盛224が設けられている。
【0154】
第2実施形態に係る放射線画像撮影装置10Bでは、スクリーン220を設けたことにより、撮影時に、被写体50以外の例えば操作者38が不要に被曝することを防止することができる。また、スクリーン220には目盛224が設けられているので、帯部材76の場合と同様に、SIDに応じた引き出し量l1だけスクリーン220を引き出すことにより、撮影間距離の設定を容易に行うことができる。さらに、この目盛224を利用して被写体50の撮影部位の寸法を計測することもできる。
【0155】
さらにまた、収容ボックス222にロータリーエンコーダ78を取り付け、該収容ボックス222からのスクリーン220の引き出し量を検出してもよい。この場合、SID判定部168は、検出された引き出し量を用いて撮影間距離を算出し、算出した撮影間距離とSIDとが一致するか否かを判定する。従って、スクリーン220を採用した場合であっても、撮影間距離をSIDに容易に設定することが可能である。
【0156】
次に、第3実施形態に係る放射線画像撮影装置10Cについて、図20〜図22を参照しながら説明する。
【0157】
第3実施形態に係る放射線画像撮影装置10Cは、検出用スクリーン250の先端部にスクリーン220を連結し、該スクリーン220の先端部に放射線源本体部18を連結した点で第2実施形態に係る放射線画像撮影装置10B(図18及び図19参照)とは異なる。
【0158】
すなわち、放射線画像撮影装置10Cでは、検出用スクリーン250と放射線源本体部18とを所定長(引き出し量l1)のスクリーン220を介して連結し、検出用スクリーン250及びスクリーン220を収容ボックス256にロール状に一体的に収容できるようにしている。従って、放射線画像撮影装置10Cでは、収容ボックス222、保持部材16a、16b、ロック解除ボタン34等が設けられていない。
【0159】
この放射線画像撮影装置10Cにおいて、操作者38は、カセッテ本体部12から放射線源本体部18を離間させるだけで、該カセッテ本体部12からスクリーン220及び検出用スクリーン250を引き出すことができる。そして、操作者38は、撮影に必要な引き出し量l3まで検出用スクリーン250を引き出した後に、撮影間距離の設定作業と、中心位置126とマーク130とを一致させる作業とを行い、その後、曝射スイッチ48を投入して撮影を行う。
【0160】
第3実施形態に係る放射線画像撮影装置10Cでは、検出用スクリーン250にスクリーン220を介して放射線源本体部18を連結したことにより、搬送時には、検出用スクリーン250及びスクリーン220が収容ボックス256にロール状に巻き取られ、一方で、撮影時には、放射線源本体部18をカセッテ本体部12から離間させるだけで、検出用スクリーン250及びスクリーン220を収容ボックス256から引き出すことができる。
【0161】
すなわち、第1及び第2実施形態のようなロック解除ボタン34等によるカセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態の解除方法とは異なり、放射線源本体部18を引っ張るだけでカセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除されるので、撮影準備作業が容易になる。また、スクリーン220の長さが引き出し量l1に設定されているので、撮影間距離の設定作業が一層容易なものとなり、撮影準備に要する時間を短縮化することもできる。
【0162】
なお、第3実施形態において、バッテリ96に対する充電は、例えば、検出用スクリーン250及びスクリーン220にバッテリ90とバッテリ96とを電気的に接続するフレキシブル回路基板を内蔵させておき、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定されている状態(図20参照)において、バッテリ90から前記フレキシブル回路基板を介してバッテリ96を充電できるようにしておけばよい。
【0163】
次に、第4実施形態に係る放射線画像撮影装置10Dについて、図23〜図25を参照しながら説明する。
【0164】
第4実施形態に係る放射線画像撮影装置10Dは、放射線源44をカセッテ本体部12に内蔵させることで、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とを実質的に一体化させると共に、収容ボックス256がスクリーン220及び検出用スクリーン250の順にロール状に巻き取るようにした点で、第3実施形態に係る放射線画像撮影装置10B(図20〜図22参照)とは異なる。
【0165】
すなわち、放射線画像撮影装置10Dでは、スクリーン220の先端部に検出用スクリーン250が連結されており、図24に示すように、操作者38がウェイトバー252を引っ張ると、収容ボックス256からは所定長(一定長さの引き出し量l3)の検出用スクリーン250及びスクリーン220の順に各スクリーンが引き出される。
【0166】
この場合、操作者38は、引き出し量l3の検出用スクリーン250及び必要な長さ(SIDに応じた引き出し量l1)だけのスクリーン220を収容ボックス256から引き出した後に、撮影間距離の設定作業と、中心位置126とマーク130とを一致させる作業とを行い、その後、曝射スイッチ48を投入して撮影を行う。
【0167】
第4実施形態に係る放射線画像撮影装置10Dでは、放射線源44をカセッテ本体部12に内蔵させて、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とを一体化させたことにより、放射線画像撮影装置10Dのさらなる小型化及び軽量化を実現することができ、当該放射線画像撮影装置10Dの搬送が一層容易なものとなる。
【0168】
また、必要な長さだけスクリーン220を収容ボックス256から引き出した後に撮影が行われるので、撮影間距離(SID)を容易に変更することが可能となる。
【0169】
なお、第4実施形態において、放射線検出器86に対する電力供給は、例えば、検出用スクリーン250にバッテリ90と放射線検出器86とを電気的に接続するフレキシブル回路基板を内蔵させておき、収容ボックス256から検出用スクリーン250及びスクリーン220を引き出したときに、バッテリ90から前記フレキシブル回路基板を介して放射線検出器86に対する電力供給を開始して、該放射線検出器86を起動させればよい。
【0170】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0171】
10A〜10D…放射線画像撮影装置
12…カセッテ本体部
16a、16b…保持部材
18…放射線源本体部
34…ロック解除ボタン
36…表示部
44…放射線源
46…放射線
50…被写体
64…フック部
66…孔
68a、68b、70a、70b…接続端子
72…メジャー
76…帯部材
78、258…ロータリーエンコーダ
82…連結機構
86…放射線検出器
90、96…バッテリ
92…カセッテ制御部
94、98、100…送受信機
102…線源制御部
104…レーザポインタ
105…充電停止検出部
128…レーザ光
130…マーク
220…スクリーン
222、256…収容ボックス
250…検出用スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を出力する放射線源を収容する放射線源本体部と、
前記放射線源が被写体に前記放射線を照射した際に、前記被写体を透過した放射線を検出して放射線画像に変換し、且つ、可撓性を有するシート状の放射線検出器と、
移動時には前記放射線源本体部と前記放射線検出器とを一体的に連結固定する連結機構と、
を有し、
前記放射線検出器は、前記放射線の出力時には前記放射線源本体部に対して伸長した状態にあることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記放射線検出器をロール状に収容可能なカセッテ本体部をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記カセッテ本体部は、前記放射線源本体部と別体に構成されているか、あるいは、前記放射線源本体部と一体的に構成されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記連結機構は、前記放射線源本体部と前記放射線検出器又は前記カセッテ本体部とを連結し、且つ、可撓性を有する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記放射線源本体部と前記放射線検出器又は前記カセッテ本体部とが一体的に連結固定されている状態ではロール状に巻き取られ、一方で、前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器が伸長している状態では直線状又は平面状に展開されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記連結部材は、前記放射線源本体部及び前記カセッテ本体部のうち一方の本体部に設けられ且つ先端部が他方の本体部に固定された紐、帯又はスクリーンであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記放射線源本体部及び前記カセッテ本体部のうち一方の本体部には、前記スクリーンをロール状に収容可能なスクリーン収容部が設けられ、
前記スクリーンの先端部は、他方の本体部に固定されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置において、
前記カセッテ本体部は、前記スクリーンと前記放射線検出器とをロール状に収容可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項に記載の装置において、
前記カセッテ本体部からの前記放射線検出器の引き出し量を検出する第1引き出し量検出部と、
ロール状に巻き取られた前記連結部材からの該連結部材の引き出し量を検出する第2引き出し量検出部と、
前記第1引き出し量検出部が検出した前記放射線検出器の引き出し量と、前記第2引き出し量検出部が検出した前記連結部材の引き出し量とに基づいて、前記放射線源と前記放射線検出器との間の撮影間距離を算出し、前記撮影間距離が線源受像画間距離に一致するか否かを判定する撮影間距離判定部と、
を備えた撮影間距離設定手段をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置において、
前記放射線画像を表示する表示部をさらに有し、
前記表示部に表示された前記放射線画像の確認後に、前記連結機構により前記放射線源本体部と前記放射線検出器とを一体的に連結固定することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項10】
請求項3記載の装置において、
前記放射線源本体部と前記カセッテ本体部とが別体に構成されている場合に、前記連結機構は、前記放射線源本体部及び前記カセッテ本体部を一体的に連結固定させるロック手段と、前記ロック手段による前記放射線源本体部及び前記カセッテ本体部の一体的な連結固定状態を解除するロック解除手段とを備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
前記連結機構は、前記カセッテ本体部に設けられ、
前記ロック手段は、前記放射線源本体部の前記カセッテ本体部側に形成された孔に係合可能なフック部材であり、
前記ロック解除手段は、前記フック部材と前記孔との係合状態を解除して、前記カセッテ本体部から前記放射線源本体部を分離させるためのロック解除ボタンであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
前記カセッテ本体部には、前記放射線源本体部の両端部を保持することにより、前記フック部材及び前記孔の係合に起因した前記カセッテ本体部に対する前記放射線源本体部の連結固定状態を補助する保持部材が前記両端部に対向してそれぞれ設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
前記放射線源本体部には、前記放射線源を駆動するための放射線源用バッテリがさらに収容され、
前記放射線源本体部の両端部には、前記放射線源用バッテリに接続される放射線源側接続端子が前記各保持部材に対向してそれぞれ設けられ、
前記各保持部材には、前記放射線源本体部の両端部が保持されたときに、前記各放射線源側接続端子に接続されるカセッテ側接続端子がそれぞれ設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項14】
請求項10記載の装置において、
前記連結機構は、前記放射線源本体部に設けられ、
前記ロック手段は、前記カセッテ本体部の前記放射線源本体部側に形成された孔に係合可能なフック部材であり、
前記ロック解除手段は、前記フック部材と前記孔との係合状態を解除して、前記放射線源本体部から前記カセッテ本体部を分離させるためのロック解除ボタンであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、
前記放射線源本体部には、前記放射線源を駆動するための放射線源用バッテリがさらに収容され、
前記放射線源本体部における前記カセッテ本体部側には、前記放射線源用バッテリに接続される2つの放射線源側接続端子が設けられ、
前記カセッテ本体部における前記放射線源本体部側には、前記各放射線源側接続端子と対向するように、カセッテ側接続端子がそれぞれ設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項16】
請求項13又は15記載の装置において、
前記各放射線源側接続端子のうち、一方の端子は凸状に形成されると共に、他方の端子は凹状に形成され、
前記各カセッテ側接続端子のうち、前記凸状の放射線源側接続端子に対向する一方の端子は凹状に形成されると共に、前記凹状の放射線源側接続端子に対向する他方の端子は凸状に形成されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項17】
請求項13、15又は16のいずれか1項に記載の装置において、
前記放射線源用バッテリは、前記各放射線源側接続端子が前記各カセッテ側接続端子にそれぞれ接続されている状態で、前記各放射線源側接続端子及び前記各カセッテ側接続端子を介して、少なくとも前記被写体の撮影枚数に応じた充電量だけ充電されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の装置において、
前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器が伸長したときに、前記放射線源及び前記放射線検出器のうち、少なくとも一方を起動させる制御手段をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項19】
請求項18記載の装置において、
前記制御手段は、前記連結機構により前記放射線源本体部と前記放射線検出器とが一体的に連結固定されたときに、起動中の前記放射線源及び前記放射線検出器を停止させることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項20】
請求項18又は19記載の装置において、
前記制御手段は、前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器が伸長しているときに、前記放射線源からの前記放射線の出力と、前記放射線検出器における前記放射線から前記放射線画像への変換との同期を取るための制御信号を前記放射線源本体部と前記放射線検出器とに出力することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項21】
連結機構により一体的に連結固定された放射線源本体部と可撓性を有するシート状の放射線検出器とを移動し、
移動後に前記放射線源本体部に対して前記放射線検出器を伸長し、
前記放射線源本体部に収容された放射線源から放射線を出力することにより、該放射線を被写体に照射し、
前記放射線検出器によって前記被写体を透過した放射線を検出して放射線画像に変換する
ことを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、
前記放射線源本体部に対する前記放射線検出器の伸長後に、撮影間距離設定手段により前記放射線源と前記放射線検出器との間の線源受像画間距離を設定し、
前記線源受像画間距離の設定後に前記放射線源から前記放射線を出力することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項23】
請求項21又は22記載の方法において、
前記放射線検出器による前記放射線から前記放射線画像への変換後、前記連結機構により前記放射線源本体部と前記放射線検出器とを一体的に連結固定することで、起動中の前記放射線源及び前記放射線検出器を停止させることを特徴とする放射線画像撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−30664(P2011−30664A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178204(P2009−178204)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】