説明

放熱台

【課題】コストの安い構造を有する上、該構造によりそれに搭載する電子部品から生じる熱の金属板への熱伝達が従来より良い放熱台を提供する。
【解決手段】電子部品3を搭載するための放熱台であって、その一面に、第一エリア411と、第二エリア412とが、互いに独立に形成されている金属板4と、前記第二エリアの表面のみに形成されている絶縁層5と、前記絶縁層の表面上に形成されている第一導電層61と第二導電層62とからなっている放熱台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を搭載するための放熱台に関し、特に、該電子部品から生じる熱を効率よく発散できる放熱台に関する。
【背景技術】
【0002】
作動中の電子部品は、それから生じる熱を効率的に放散することができなければ、温度がどんどん高くなるため、機能が十分に果たせないだけでなく、使用寿命も短くなる。
【0003】
近年、電子部品の発展が進んでおり、その体積がますます小さくなりつつあることに反し、出力がますます大きくなりつつあり、それに、使用寿命のため、出力が大きくなるに伴って温度上昇の制止、特に、熱放散に関する技術も求められている。
【0004】
例を挙げれば、今現在、非常に汎用されているLEDは、半導体技術の進歩によって輝度が随分高まったが、その輝度の高まりに従ってそれに相応する熱放散技術も求められつつある。
【0005】
それを説明すると、図1は、LED11を搭載し、その発熱を放散する従来の放熱台12である。
【0006】
該放熱台12は、LED11の発熱を発散する金属板121と、金属板121の上面に搭載されており、且つ、それ自体の上面に導電層124が形成されている回路板122と、電気絶縁層及び粘着層として金属板121と回路板122との間に介在している樹脂層123と、からなっている。
【0007】
このような従来の熱放散構成によると、図示のように、LED11から生じる熱は、回路板122及び樹脂層123を経由して金属板121から大気に発散する。
【0008】
しかし、この熱放散構成における回路板122と樹脂層123は、いずれも熱伝導率がかなり低いので、構成全体の熱放散に妨げとなり、熱放散効果を悪くさせる。
【0009】
それに対応して色々な構造改良技術が出て来ている。特許文献1に記載の放熱台を例として挙げれば、図2に示すように、この、電子部品(図示せず)を搭載する放熱台2には、熱を発散する金属板21と、酸化防止金属膜22と、セラミックフィルム23と、金属導電層(24,25)とが順序に積み重なっている。即ち、金属導電層(24,25)は、熱伝導性のより良いセラミックフィルム23上に形成されている。
【0010】
この特許技術の放熱台は、回路板や樹脂層の代わりに、熱伝導性のより良いセラミックスフィルム23と酸化防止金属膜22とを経由して金属板21から電子部品の発熱を放散するが、セラミックスフィルム23は、比較的高価なものである上、その熱伝導率もわずか約10w/mkの水準にあり、やはり構成全体の熱放散に妨げとなり、現在の高出力のLEDに対し、熱放散効果が十分だと言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】台湾特許第M345346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記従来の放熱台の欠点に鑑みて、本発明は、コストの安い構造を有する上、該構造によりそれに搭載する電子部品から生じる熱の金属板への熱伝達が従来より良い放熱台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明は、電子部品を搭載するための放熱台であって、その一面に、第一エリアと、第二エリアとが、互いに独立に形成されている金属板と、電気絶縁のため、前記第二エリアの表面のみに形成されている第一絶縁層と、前記第一エリアの金属面に形成されている第一導電層と、前記第一絶縁層の表面上に形成されている第二導電層と、からなっており、前記電子部品は、その両面の極性が反対になっているものが使用される上、前記両面の一つで前記第一導電層の表面と接触し、且つ、他の一つの面で前記第二導電層と接続することにより前記第一導電層と前記第二導電層との間に電気的に組み込まれると同時に、前記第一導電層に搭載され、前記第一導電層の直接下にある金属板によりその発熱を容易に放散することができることを特徴とする放熱台を提供する。
【発明の効果】
【0014】
上記構成による放熱台は、その絶縁層が、その金属板とそれに搭載される電子部品との間以外の箇所に形成されているので、それに搭載される電子部品を、直接にまたは熱伝導性の良い金属接着層や導電層(第一導電層)のみを介して金属板と接触させ、電子部品から生じる熱を効率よく発散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の放熱台の構造を示す断面図である。
【図2】特許文献1に記載の従来の放熱台の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1の斜視図である。
【図4】前記実施例の断面図である。
【図5】本発明の実施例2の断面図である。
【図6】本発明の実施例3の斜視図である。
【図7】前記実施例の断面図である。
【図8】本発明の実施例4の分解斜視図である。
【図9】前記実施例が組み立てられた後の斜視図である。
【図10】前記実施例の断面図である。
【図11】本発明の実施例5の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図3〜11を参照しながら本発明の実施例1〜5を説明する。
【実施例1】
【0017】
図3と図4は、実施例1の構成を説明する図である。
【0018】
図3に示すように、電子部品3を搭載する放熱台は、電子部品3が生じる熱を発散する金属板4と、該金属板4の表面に形成される絶縁層5並びに金属接着層7と、絶縁層5の表面上に形成されている導電層6とからなっている。
【0019】
また、図4に示すように、金属板4の頂面41には、電子部品3を搭載する第一エリア411と、該第一エリア411に区切られて図中の左右両部分に分けられている第二エリア412a,412bとが互いに独立に形成されている。
【0020】
もっと詳しく説明すると、第一エリア411は、頂面41の中央近くを横断し、且つ均一に突起してなった長尺状の平面層であり、第二エリア412aと第二エリア412bとは、それぞれ左右から第一エリア411と間隔を空けている。
【0021】
また、第二エリア412a,412bだけの表面に、電気絶縁のための絶縁層5が形成されている。
【0022】
さらに、導電層6は、絶縁層5の表面上に形成される上、第二エリア412aの方にある第一導電層61と第二エリア412bの方にある第二導電層62とに分けられている。
【0023】
なお、実施例1における電子部品3は、極性のないものが使用される上、ワイヤボンディング(wire bonding)工程でその二つの端子31,32によって第一導電層61と第二導電層62との間に電気的に組み込まれている。
【0024】
また、第一エリア411の表面上に金属接着層7が形成される上、熔接で電子部品3と接着している。よって、電子部品3は、金属接着層7による接着で金属板に搭載されている。
【0025】
上記構成による放熱台は、絶縁層5が、金属板4と電子部品3との間以外の箇所に形成されているので、電子部品3から生じる熱は、熱伝導性の悪い絶縁層5を経由することなく、熱伝導性の良い金属接着層7だけを経由して金属板4から効率良く発散することができる。
【0026】
また、図示のように、この実施例1においては、金属板4の下面42にも、他の電子部品(図示せず)や放熱台を更に固定したりするための金属接着層7が形成されている。
【0027】
更に、実施例1における導電層6とすべての金属接着層7は銅材からなっており、金属板4は銅材またはアルミ材からなっていることが好ましい。それは、銅の熱伝導率は約380w/mkであり、アルミニウムの熱伝導率は約200w/mkであるので、上記材料からなった導電層6及び金属接着層7は、金属板4の熱放散に妨げとならず、電子部品から生じる熱を効率よく発散することができるからである。
【0028】
また、絶縁層5は、酸化アルミニウム(Al2O3)材からなっている。
【0029】
ちなみに、実施例1における絶縁層5の形成法については、金属板4の頂面41に絶縁層を全面的に形成してから、フォトマスクを用いて露光、さらに現像、エッチングなどの工程を施し、第二エリア412a,412bの表面上のみに絶縁層5を形成する方法が挙げられる。
【0030】
そして、絶縁層5の表面上にある導電層6も、同じ方法で形成され得る。
【実施例2】
【0031】
実施例2は、実施例1とほぼ同じように構成される上、電子部品3の発熱による熱エネルギーを受けて電気エネルギーに変換することができる熱電発電装置9がさらに搭載されている。
【0032】
図5に示すように、金属板4の下面42にある金属接着層7の表面上に、蓄電池と電気的に接続している熱電発電装置9が熔接で固定されている。
【0033】
この熱電発電装置9は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換させるものであって、その吸熱面91が放熱台における金属接着層7と当接し、電子部品3から生じる熱を金属板4と金属接着層7を経由して導入してから、熱エネルギーを電気エネルギーに変換して前記蓄電池を充電しながら、前記吸熱面91から離れている側にある放熱面92からその余熱を発散させる。
【0034】
それにより、本実施例の放熱台は、電子部品3から生じる熱を効率よく発散するだけではなく、熱電発電装置9により前記熱を電気エネルギーに変換して回収利用することもできる。
【実施例3】
【0035】
図6と図7は、実施例3の構成を説明する図である。
【0036】
実施例3は、実施例1のように、金属板4と、絶縁層5と、導電層6と、金属接着層7とからなっている放熱台である。
【0037】
図7に示すように、金属板4の頂面41には、電子部品3を搭載する第一エリア411と、第二エリア412とが互いに独立に形成されている。
【0038】
ただし、この実施例における第一エリア411と第二エリア412との配置は、実施例1のと違い、第二エリア412は、図6に示すように、第一エリア411に完全に区切られずに第一エリア411の一側で互いに連続するようになっている。
【0039】
もっと詳しく説明すると、第一エリア411も、頂面41から均一に突起してなった平面層であるが、第二エリア412は、コ字形になり、第一エリア411は、前記コ字形の開口内に入っている長尺状のものであり、もちろん第一エリア411と第二エリア412との間には、間隔が空いている。
【0040】
また、この実施例における電気絶縁のための絶縁層5は、二層あり、即ち、金属板4の頂面41における第二エリア412の表面に形成されている第一絶縁層51と、該金属板4の底面42の表面に形成されている第二絶縁層52とがある。
【0041】
さらに、この実施例における導電層6は、第一エリア411の表面上に形成されている第一導電層61と、第一絶縁層51の表面上に形成されている第二導電層62の二層を有する。
【0042】
なお、この実施例は、特に、その両面の極性が反対になっている電子部品に適用される。図示における電子部品3は、この型の電子部品であって、前記両面の一つで第一導電層61の表面と直接に接触し、他の一つの面で第二導電層62とリードを介して接続することにより第一導電層61と第二導電層62との間に電気的に組み込まれている。
【0043】
上記構成による放熱台は、絶縁層5が、金属板4と電子部品3との間以外の箇所に形成されているので、電子部品3から生じる熱は、絶縁層5を経由することなく、熱伝導性の良い第一導電層61だけを経由して金属板4から効率良く発散することができる。
【0044】
また、図示のように、この実施例における第二絶縁層52の表面上には、他の電子部品(図示せず)や放熱台を更に固定したりするための金属接着層7が形成されている。
【実施例4】
【0045】
図8〜図10は、実施例4の構成を説明する図である。
【0046】
実施例4は、複数の電子部品3を搭載するための放熱台である。
【0047】
図8及び図9に示すように、この実施例における金属板4の頂面41から互いに平行に並ぶように突出してなった複数の長尺状の区域は、第一エリア411であり、それら以外の部分は第二エリア412である。しかし、図10に示すように、第二エリア412の上面と第一エリア411の上面との間の高度差が絶縁層5に埋められているので、第一エリア411と第二エリア412とは互いに独立になっている。
【0048】
また、この実施例における絶縁層5は、印刷回路板からなっており、第二エリア412だけの表面に敷設されている。
【0049】
そして、この実施例における導電層6は、絶縁層5の表面に形成されている複数の第一導電層61と複数の第二導電層62とがある上、第一導電層61と第二導電層62とは、いずれも対になって各第一エリア411の両側に一対ずつ配置構成されている。
【0050】
また、図10に示すように、いずれの第一エリア411の表面上にも金属接着層7が形成され、該金属接着層7の表面に電子部品3が熔接で固定されている。よって、複数の電子部品3は、金属接着層7による接着で放熱台に搭載されている。
【0051】
図示における各電子部品3は、表面実装技術でそれらの二つの端子31,32によって第一導電層61と第二導電層62との間に電気的に組み込まれている。
【0052】
上記構成による放熱台は、絶縁層5が、金属板4と電子部品3との間以外の箇所に形成されているので、電子部品3から生じる熱は、熱伝導性の悪い絶縁層5を経由することなく、熱伝導性の良い金属接着層7だけを経由して金属板4から効率良く発散することができる。
【実施例5】
【0053】
図11は、実施例5の構成を説明する図である。
【0054】
実施例5は、実施例3における金属板4の表面積を大きくし、放熱効果をさらに向上させるものである。
【0055】
更に詳しく説明すると、実施例5における金属板4は、図11に示すように、その周縁から突起部43が頂面41の向いている方向に突起して該金属板4と共に椀状となっている。なお、図示のように、前記椀状の外周面431に複数の鰭板432が形成されている。
【0056】
上記構造による放熱台は、搭載される電子部品3から生じる熱を、金属板4ばかりでなく、突起部43をも経由して発散することができる上、金属板4と突起部43とからなった椀状の外周面431に鰭板432が複数あるので、熱の発散面積が従来より遥かに広くなり、熱の発散効率は極めて良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
叙上のように、本発明の放熱台は、搭載される電子部品が生じる熱を効率よく発散することで、該電子部品の過熱による不具合を防ぐことができ、特に、高輝度LEDなどの、作動中に高熱が発生する電子部品に有利に利用できる。
【0058】
さらに、本発明の放熱台も、熱電発電装置を搭載することで、電子部品から生じる熱を電気エネルギーに変換して回収利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
3 電子部品
31,32 電子部品の端子
4 金属板
41 金属板の頂面
411 第一エリア
412(412a,412b) 第二エリア
42 金属板の下面
43 突起部
431 椀状の外周面
432 鰭板
5 絶縁層
51 第一絶縁層
52 第二絶縁層
6 導電層
61 第一導電層
62 第二導電層
7 金属接着層
9 熱電発電装置
91 吸熱面
92 放熱面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載するための放熱台であって、
その一面に、第一エリアと、第二エリアとが、互いに独立に形成されている金属板と、
電気絶縁のため、前記第二エリアの表面のみに形成されている第一絶縁層と、
前記第一エリアの金属面に形成されている第一導電層と、
前記第一絶縁層の表面上に形成されている第二導電層と、
からなっており、
前記電子部品は、両面の極性が反対になっているものが使用される上、前記両面の一つで前記第一導電層の表面と接触し、且つ、他の一つの面で前記第二導電層と接続することにより前記第一導電層と前記第二導電層との間に電気的に組み込まれると同時に、前記第一導電層に搭載され、前記第一導電層の直接下にある金属板によりその発熱を容易に発散することができることを特徴とする放熱台。
【請求項2】
電気絶縁のため、前記金属板における、前記一面の反対側にある他の一面に、第二絶縁層が更に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱台。
【請求項3】
前記第二絶縁層の表面に、熱伝導性のある金属接着層が更に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の放熱台。
【請求項4】
前記金属板における、前記一面の反対側にある前記金属接着層の表面に、前記電子部品の発熱による熱エネルギーを受けて電気エネルギーに変換することができる熱電発電装置が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の放熱台。
【請求項5】
前記金属板は、銅材及びアルミ材のいずれかからなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放熱台。
【請求項6】
前記あらゆる絶縁層は、すべて酸化アルミニウム材からなっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の放熱台。
【請求項7】
前記金属板の周縁から突起部が前記一面の向いている方向に突起して該金属板と共に椀状となり、且つ、該椀状の外周面に複数の鰭板が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の放熱台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−89869(P2012−89869A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269739(P2011−269739)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2009−142876(P2009−142876)の分割
【原出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(506245419)
【Fターム(参考)】