説明

放電システムおよび電動車両

【課題】車両のバッテリーから外部へ直流電力を出力する放電システムにおいて、バッテリーの放電時の安全性の向上を図る。
【解決手段】放電システムは、バッテリーユニット101を搭載した電気自動車100と、バッテリーユニット101を放電させる放電装置200とを備える。電気自動車100は、放電装置200が接続されるコネクタ104とバッテリーユニット101との間を接続する電力線110には、開閉器SW1,SW2とスイッチング素子Q1,Q2とが挿入されている。開閉器SW1,SW2は、放電装置200とバッテリーマネジメントユニット102の許可により電力線110を導通させる。スイッチング素子Q1,Q2は、バッテリーユニット101の放電を行う際に、電力線110を流れる電流を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のバッテリーの充放電システムに関し、特に、放電時の安全確保に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力網に電力の需給・供給の自動制御手段を組み込んだ「スマートグリッド」と呼ばれる次世代電力網の開発が、近年注目を浴びている。スマートグリッドでは、電力網における電力の流れを供給側だけでなく需要側からも制御することによって、電力の需給と供給の最適化が図られる。
【0003】
例えば各家庭が所有する自動車のバッテリーは、電力需要のピークを低減させるバッファとして利用できる可能性がある(例えば下記の特許文献1〜4)。すなわち電力需要の少ない時間帯に充電した車両のバッテリーの電力を、電力需要のピーク時に住宅で使用することによって、電力需要のピークが低減される。一般に電力需要の少ない時間の電力はコストが安いため、各家庭の電気料金の節約にもつながる。また、車両のバッテリーの電力を家庭で使用できれば、停電などの非常時にも対応できるという利点もある。スマートグリッドは、このような電力の流れの制御を自動的に行おうとするものである。
【0004】
例えば特許文献1に開示されている電力マネジメントシステムでは、住宅内の電力需要データのみならず、曜日や日時、天気などの外的要因データをも考慮して住宅の電力需要が予測され、その予測結果に基づいて車両と住宅との間の電力の授受(車両のバッテリーの充放電)が自動的にスケジュールされる。
【0005】
また特許文献2の電力マネジメントシステムでは、車両のバッテリーの状態(電圧・入出力電流及び残容量)および、走行履歴に基づいて規定される確保電力量(ユーザの日常使用に必要な電力量)並びに余力電力量(確保電力量および非常用電力量を除いた残容量)等のデータと時間帯を考慮して、バッテリーを充電するか、バッテリーから住宅へ電力を供給するかの判断がなされる。
【0006】
このようにスマートグリッドにより管理された電力網では、車両のバッテリーの充電(住宅から車両への電力供給)だけでなく、バッテリーの放電(車両から住宅への電力供給)も積極的に行うことが想定される。
【0007】
特許文献1〜4には、車両の直流電力を住宅で使用可能な商用の交流電力として取り出す手法として、以下の3つが開示されている。特許文献1のシステムでは、バッテリーの直流電力は車載のDC/AC変換器で商用電力に変換されて住宅へと出力される。また特許文献2,3のシステムでは、バッテリーの直流電力は車載のDC/AC変換器で高周波の交流電力に変換され、電磁誘導を利用して住宅側へと伝達されて、住宅側のAC/AC変換器によって商用電力に変換される。特許文献4のシステムでは、バッテリーの直流電力をそのまま住宅へと出力し、住宅側のDC/AC変換器でそれを商用電力に変換している。
【0008】
一方、電気自動車の普及に欠かせないバッテリーの急速充電システムでは、大容量の直流電力をバッテリーに直接供給することによって高速な充電を実現している。特許文献4のようにバッテリーの直流電力をそのまま住宅へ出力する手法は、この急速充電システムと同じ送電線(電力線)を用いて実現できるため、車両に放電のための新たな送電経路を必ずしも設けなくてよく、また車両にDC/AC変換器を搭載させる必要もない。そのため車載の送電システムを簡略化できる点で有効と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−54439号公報
【特許文献2】特開2001−8380号公報
【特許文献3】特開平11−178234号公報
【特許文献4】特開2002−315193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、バッテリーの直流電力をそのまま住宅へ出力する放電システムは、急速充電システムと同じ送電線を用いて実現できる。しかし従来の急速充電システムは、バッテリーに対して専ら充電を行うものであるため、放電時の安全性が充分考慮された設計ではなかった。
【0011】
また、従来の急速充電システムには、誤操作等による短絡や漏電を防止する目的で、充電用ハーネスを接続する車両のコネクタとバッテリーとの間に、開閉器を用いたインターロックリレーが設けられる。この開閉器を放電の際の安全装置としても兼用し、放電時の短絡や漏電が検出されたときに開閉器を開放して送電経路を遮断すれば、理論上、短絡や漏電を安全に回避できるように思われる。しかし実際には、短絡等によって電力線に大電流が流れている状況で開閉器を即座に開放することは技術的に難しい。大電流が流れている電力線を開閉器で開放しようとすると、例えば空中放電が生じたり、大電流による発熱で開閉器の電極が電力線に溶着して開放できなくなる事態も生じ得る。
【0012】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、車両のバッテリーから外部へ直流電力を出力する放電システムにおいて、バッテリーの放電時の安全性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る放電システムは、バッテリーを搭載した車両と、前記車両に外部から接続し、前記バッテリーを放電させる放電装置とを備える放電システムであって、前記車両は、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理装置と、前記放電装置が接続されるコネクタと、前記コネクタと前記バッテリーとの間を接続する電力線と、前記放電装置および前記バッテリー管理装置の両方の許可により、前記電力線を導通させる開閉器と、前記放電装置が前記コネクタを介して前記バッテリーの放電を行う際に、前記電力線を流れる電流を調整可能な電力調整回路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バッテリーの放電の際、その放電経路に短絡や漏電等の異常が生じた場合に、電動車両側の電力調整回路によって電力線を流れる電力を絞ってから、開閉器を安全かつ確実に開放させることができる。また放電開始前に、電力線に小電流を流して簡易的は短絡・漏電試験を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1に係る放電システムの構成図である。
【図2】実施の形態1に係る充放電システムの構成図である。
【図3】実施の形態2に係る放電システムの構成図である。
【図4】実施の形態3に係る放電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る放電システムの構成を示す図である。当該システムは、バッテリー(二次電池)の電力を動力源とする電気自動車100(電動車両)と、電気自動車100のバッテリーの電力を取り出して外部の住宅等へ供給する放電装置200とから構成されている。
【0017】
電気自動車100は、バッテリーユニット101、バッテリーマネジメントユニット102、インターロックリレー103、コネクタ104および電力調整部105を備えている。
【0018】
バッテリーユニット101には、電気自動車100の動力源となる電力が蓄積され、バッテリーマネジメントユニット102(バッテリー管理装置)は、バッテリーユニット101に蓄積された電力の残量(以下、単に「残量」という)の管理を行う。またバッテリーマネジメントユニット102は、コネクタ104に接続される外部装置(ここでは放電装置200)との間で、信号線111および通信線113を介して行う各種の通信機能を有している。通信線113を用いた通信は、電気自動車100と外部装置との間でバッテリーユニット101の充放電に関する情報をやりとりするものであり、例えばCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルを用いたものである。
【0019】
バッテリーユニット101の各端子は、電力線11を介して、外部接続のためのコネクタ104に接続されている。これにより、コネクタ104に接続される外部装置を用いて、バッテリーユニット101の充放電が可能となる。但し、バッテリーユニット101とコネクタ104との間を接続する電力線110には、インターロックリレー103と電力調整部105が直列に挿入されている。
【0020】
インターロックリレー103は、3つの開閉器SW1〜SW3により構成され、コネクタ104に接続される外部装置およびバッテリーマネジメントユニット102の両方の許可があった場合に電力線110を導通させるものである。即ち、インターロックリレー103は、信号線111を通して外部装置から供給される接続許可信号S1,S2と、バッテリーマネジメントユニット102が出力する接続許可信号S3の3つが所定の条件を満たした場合に、電力線110を導通させる。
【0021】
電力調整部105は、バッテリーユニット101を放電させてコネクタ104から電力を出力するときに電力線110を流れる電流を調整するように機能する。電力調整部105は、電力線110に直列に挿入された電力調整回路としてのスイッチング素子Q1,Q2と、スイッチング素子Q1,Q2に並列に接続した一方向導通素子であるダイオードD1,D2とを備える。スイッチング素子Q1,Q2は、コネクタ104に接続された外部装置から信号線112を介して供給される電力制御信号CSに基づいて、電力線110のスイッチングを行うものであり、例えばMOSFETやIGBT等を用いることができる。またダイオードD1,D2は、コネクタ104からバッテリーユニット101を充電する方向の電流を流す向きに設けられる。
【0022】
放電装置200は、電気自動車100のバッテリーユニット101から電力を取り出して住宅等に供給するものであり、パワーコンバータ201、放電制御ユニット202およびコネクタ203を備えている。
【0023】
コネクタ203は、電気自動車100のコネクタ104に接続されることによって、放電装置200の電力線210、信号線211,212および通信線213を、上記した電気自動車100の電力線110、信号線111,112および通信線113にそれぞれ接続させるものである。
【0024】
パワーコンバータ201は、コネクタ104および電力線210を通して電気自動車100のバッテリーユニット101から取り出した直流の電力を、住宅等で使用可能な交流の電力(商用電力)に変換するものである。放電制御ユニット202は、パワーコンバータ201の動作を制御すると共に、パワーコンバータ201の入出力を監視して、放電経路の短絡や漏電などの異常を検知する機能を有している。また放電制御ユニット202は、信号線211,212および通信線213を介して電気自動車100との間で行う各種の通信機能を有している。
【0025】
以下、本実施の形態に係る放電システムの動作を説明する。
【0026】
ユーザは、放電装置200を用いて電気自動車100のバッテリーユニット101の電力を取り出す場合、放電装置200のコネクタ203を電気自動車100のコネクタ104に接続させる。これにより、放電装置200の電力線210、信号線211,212および通信線213が、それぞれ電気自動車100の電力線110、信号線111,112および通信線113に接続する。
【0027】
放電制御ユニット202は、所定レベルの接続許可信号S1,S2をバッテリーマネジメントユニット102に送信することにより、バッテリーユニット101との接続を要求する。ここでは、接続許可信号S1は電源レベル、接続許可信号S2は接地レベルに設定される。
【0028】
バッテリーマネジメントユニット102は、接続許可信号S1が電源レベル、接続許可信号S2が接地レベルに設定されたことを認識すると、接続許可信号S3のレベルを制御して、インターロックリレー103の開閉器SW3を導通させる。すると電力線110に挿入された開閉器SW1,SW2のコイルに電源レベルの接続許可信号S1と、接地レベルの接続許可信号S2が供給され、開閉器SW1,SW2が導通する。
【0029】
このようにインターロックリレー103は、放電装置200の放電制御ユニット202と電気自動車100のバッテリーマネジメントユニット102の両方の許可があってはじめて電力線110を導通させる。これにより、電気自動車100の電力線110に誤ってバッテリーユニット101の電圧が出力されることが防止されている。
【0030】
本実施の形態の電気自動車100は、インターロックリレー103とコネクタ104との間に、さらに電力調整部105のスイッチング素子Q1,Q2が挿入されているため、これがオンしなければバッテリーユニット101の電力はコネクタ104へと出力されない。そのため放電制御ユニット202は、バッテリーユニット101の放電を開始する際、電力制御信号CSを用いて電力調整部105のスイッチング素子Q1,Q2をオンにする。
【0031】
その結果、バッテリーユニット101の直流の電力は、電力線110,210を通してパワーコンバータ201に入力され、交流の電力に変換されて住宅等へ供給される。またその際、バッテリーユニット101の残量などの放電に関する情報は、バッテリーマネジメントユニット102から放電制御ユニット202へとデジタル信号DSによって送られる。放電制御ユニット202がその情報に基づきバッテリーユニット101の放電動作を制御するため、バッテリーユニット101の過放電は防止される。
【0032】
ここで、電力調整部105について詳細に説明する。上記したように、電力調整部105は、電力線110に直列に挿入されたスイッチング素子Q1,Q2と、それらに並列に接続したダイオードD1,D2を含んでいる。またダイオードD1,D2は、コネクタ104からバッテリーユニット101を充電する方向の電流を流す向きに設けられる。電力調整部105は、放電制御ユニット202の制御のもと、バッテリーユニット101の放電の際に電力線110に流れる電流を調整するように動作する。
【0033】
本実施の形態では、スイッチング素子Q1,Q2を流れる電流の制御方式として、いわゆるパルス幅制御を採用した。即ち、スイッチング素子Q1,Q2を制御する電力制御信号CSはパルス信号であり、そのパルス幅(デューティ比)によりスイッチング素子Q1,Q2を流れる電流が調整される。この構成によれば、放電制御ユニット202が出力した電力制御信号CSを用いてスイッチング素子Q1,Q2を直接駆動できるので、電気自動車100側に信号変換器等を設ける必要がない。
【0034】
バッテリーユニット101の放電が行われる間、スイッチング素子Q1,Q2はオン状態にされる。この状態では、電力制御信号CSは必ずしもパルス波形でなくてよく、スイッチング素子Q1,Q2を常時オン状態にする直流的な波形でもよい。なお、バッテリーユニット101の放電中は、ダイオードD1,D2には逆方向電圧が加わるため、ダイオードD1,D2には電流は流れない。
【0035】
バッテリーユニット101の放電中に、放電制御ユニット202が短絡や漏電などの異常を検知すると、放電制御ユニット202は、まず電力制御信号CSを用いてスイッチング素子Q1,Q2により電力線110を流れる電流を安全なレベルに絞り、次いで接続許可信号S1,S2を用いてインターロックリレー103の開閉器SW1,SW2を開放させる。異常発生時に開閉器SW1,SW2をいきなり開放させず、開閉器SW1,SW2を流れる電流を充分絞ってから開放させることで、空中放電や電極の溶着を回避し、バッテリーユニット101から電力線110への給電を、確実かつ安全に停止させることができる。その結果、バッテリーユニット101の放電時における短絡や漏電による事故の発生を防止できる。
【0036】
またバッテリーユニット101の放電の開始時に、スイッチング素子Q1,Q2が流す電流を急激に増加させず、徐々に増加させてもよい。この場合、電力線110に高電圧がかかる前の段階で、放電制御ユニット202が短絡や漏電を検出することができる。つまり放電の開始前に、比較的低い電圧での簡易的な短絡・漏電試験を行うことができ、放電時の安全性をより高めることができる。
【0037】
以上の説明では、電気自動車100のバッテリーユニット101に対して専ら放電を行うシステム構成を示したが、本実施の形態に係る電気自動車100では、コネクタ104および電力線110を介してバッテリーユニット101の充電を行うこともできる。
【0038】
図2は、電気自動車100を、バッテリーユニット101の充電と放電の両方が可能な充放電装置220に接続させた場合の充放電システムの構成を示している。同図においては図1に示したものと同様の要素には同一符号を付してあるので、それらの説明は省略する。
【0039】
充放電装置220のパワーコンバータ221は、バッテリーユニット101からの直流の電力を交流の商用電力の電力に変換するだけでなく、商用電力を直流電力に変換してバッテリーユニット101へと供給することで、バッテリーユニット101の充電を行うこともできる。また、パワーコンバータ221の動作を制御する充放電制御ユニット222は、バッテリーユニット101の充電の際には、満充電までの残り時間の計算など、充電に関する情報の管理も行う。
【0040】
充放電装置220がコネクタ104からバッテリーユニット101の充電を行う場合、インターロックリレー103は、放電のときと同様に、充放電制御ユニット222とバッテリーマネジメントユニット102の両方の許可により、バッテリーユニット101と電力線110との間を通電させる。一方、電力調整部105のスイッチング素子Q1,Q2は、放電のときと異なり、オンにする必要はない。なぜなら、バッテリーユニット101が充電されるとき、ダイオードD1,D2は順方向電圧がかかりオンするので、ダイオードD1,D2を通してバッテリーユニット101を充電可能だからである。
【0041】
このように、電力調整部105がダイオードD1,D2を備えることにより、バッテリーユニット101の充電時にスイッチング素子Q1,Q2を駆動する必要がなくなる。従って、本実施の形態に係る電気自動車100は、電力制御信号CSの生成手段を持たない従来の充電装置を用いてもバッテリーユニット101の充電を行うことができるという広い汎用性を有している。
【0042】
なお、電力調整部105がダイオードD1,D2を備えることにより、電力調整部105は、バッテリーユニット101の充電時には電力線110の電流を調整する安全装置としては機能しない。しかし一般的に、安全装置は電力の供給側に設けるのが通常であり、バッテリーユニット101の充電時には充電装置側の安全装置によって安全が確保される。よって電気自動車100の電力調整部105は、バッテリーユニット101の放電時にのみ安全装置として機能できれば問題はない。
【0043】
例えば図2の充放電システムでは、バッテリーユニット101の充電時には、電力を供給する充放電装置220の安全装置(不図示)によって安全が確保され、バッテリーユニット101の放電時には、電力を供給する電気自動車100の安全装置である電力調整部105により安全が確保されることになる。
【0044】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る放電システムの構成図である。当該システムは、図1の構成に対し、放電制御ユニット202が電力調整部105を制御するために出力する電力制御信号CSをアナログの電圧信号としたものである。
【0045】
この場合、電気自動車100に、電圧−パルス変換器106とローパスフィルタ(LPF)107が設けられる。電圧−パルス変換器106は、アナログの電圧信号である電力制御信号CSの振幅に応じたパルス幅(デューティ比)のパルス信号を生成するものである。ローパスフィルタ107は、放電制御ユニット202から受信した電力制御信号CSからノイズを除去するものであり、電圧−パルス変換器106にはローパスフィルタ107を通して電力制御信号CSが入力される。
【0046】
一般的な用途では、実施の形態1のようにパルス信号の電力制御信号CSを使用しても問題はないが、放電装置200と電気自動車100との間の距離(ハーネスの長さ)が極めて長いなど、特殊な環境下では、電力制御信号CSのパルス波形に変形が生じ、その場合には電力調整部105のスイッチング素子Q1,Q2における電流調整の精度が低下する恐れがある。本実施の形態ではその問題を軽減することができる。
【0047】
<実施の形態3>
図4は、実施の形態3に係る放電システムの構成図である。当該システムは、図1の構成に対し、放電制御ユニット202が電力調整部105を制御するために出力する電力制御信号CSをデジタル信号DSに含ませたものである。
【0048】
この場合、電気自動車100に、デジタル信号DSから電力制御信号CSの情報を抽出し、それに応じたパルス幅(デューティ比)のパルス信号を生成するデジタル信号−パルス変換器108が設けられる。デジタル信号−パルス変換器108は、バッテリーマネジメントユニット102に内蔵されていてもよい。
【0049】
本実施の形態では、放電装置200が電力制御信号CS専用の信号線212を有する必要がなく、電力制御信号CSの送信はデジタル信号DSの通信線213を利用している。従って、ハーネスや筐体、コネクタの構造を従来の充電装置と共通化でき、製造コストの削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0050】
100 電気自動車、101 バッテリーユニット、102 バッテリーマネジメントユニット、103 インターロックリレー、104 コネクタ、105 電力調整部、106 電圧−パルス変換器、107 ローパスフィルタ、108 デジタル信号−パルス変換器、200 放電装置、201 パワーコンバータ、202 放電制御ユニット、203 コネクタ、220 充放電装置、221 パワーコンバータ、222 充放電制御ユニット、SW1〜SW3 開閉器、D1,D2 ダイオード、Q1,Q2 スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを搭載した車両と、
前記車両に外部から接続し、前記バッテリーを放電させる放電装置とを備える放電システムであって、
前記車両は、
前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理装置と、
前記放電装置が接続されるコネクタと、
前記コネクタと前記バッテリーとの間を接続する電力線と、
前記放電装置および前記バッテリー管理装置の両方の許可により、前記電力線を導通させる開閉器と、
前記放電装置が前記コネクタを介して前記バッテリーの放電を行う際に、前記電力線を流れる電流を調整可能な電力調整回路とを備える
ことを特徴とする放電システム。
【請求項2】
前記電力調整回路に並列に接続し、前記コネクタから前記バッテリーを充電する方向の電流を流す一方向導通素子を備える
請求項1項記載の放電システム。
【請求項3】
前記電力調整回路は、前記放電装置からの制御信号に基づいて、前記電力線を流れる電流を調整する
請求項1または請求項2記載の放電システム。
【請求項4】
前記電力調整回路は、前記電力線に直列に挿入されたスイッチング素子であり、
前記制御信号は、前記スイッチング素子をパルス幅制御するパルス信号である
請求項3記載の放電システム。
【請求項5】
前記電力調整回路は、前記電力線に直列に挿入されたスイッチング素子であり、
前記制御信号は、アナログの電圧信号であり、
前記車両は、前記電圧信号の振幅に応じたパルス幅のパルス信号に変換する変換回路をさらに備え、
前記スイッチング素子は、前記パルス信号によりパルス幅制御される
請求項3記載の放電システム。
【請求項6】
前記放電装置と前記バッテリー管理装置との通信を行う通信手段をさらに備え、
前記電力調整回路は、前記電力線に直列に挿入されたスイッチング素子であり、
前記制御信号は、前記通信手段を通して前記放電装置から送信されるデジタル信号であり、
前記車両は、前記デジタル信号に応じたパルス幅のパルス信号に変換する変換回路をさらに備え、
前記スイッチング素子は、前記パルス信号によりパルス幅制御される
請求項3記載の放電システム。
【請求項7】
前記放電装置は、前記バッテリーの放電時に異常が発生すると、電力調整回路を用いて前記電力線を流れる電流を絞ってから開閉器を開放する
請求項3から請求項5のいずれか一項記載の放電システム。
【請求項8】
バッテリーと、
前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理装置と、
外部の放電装置が接続され、前記バッテリーの電力を前記放電装置へ出力可能なコネクタと、
前記コネクタと前記バッテリーとの間を接続する電力線と、
前記放電装置および前記バッテリー管理装置の両方の許可により、前記電力線を導通させる開閉器と、
前記放電装置が前記コネクタを介して前記バッテリーの放電を行う際に、前記電力線を流れる電流を調整可能な電力調整回路とを備える
ことを特徴とする電動車両。
【請求項9】
前記電力調整回路に並列に接続し、前記コネクタから前記バッテリーを充電する方向の電流を流す一方向導通素子を備える
請求項8項記載の電動車両。
【請求項10】
前記電力調整回路は、前記放電装置からの制御信号に基づいて、前記電力線を流れる電流を調整する
請求項8または請求項9記載の電動車両。
【請求項11】
前記電力調整回路は、前記電力線に直列に挿入されたスイッチング素子である
請求項8から請求項10のいずれか一項記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−70577(P2012−70577A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214779(P2010−214779)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】