救急搬送先検索システム
【課題】傷病者を効率的に医療施設に搬送するための緊急搬送システムを提供する。
【解決手段】複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の移動端末に送信し、管制室端末に伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグを用いる。また、収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末を備える。さらに、搬送先の候補である医療機関で、受信した傷病者に関する情報に基づき、傷病者の受け入れ可否を判定し、判定の結果を伝達する情報端末を備える。また、管制室端末は、記医療施設が傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、収集した傷病者に関する情報と医療施設の動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、検索した結果の搬送先の情報を、傷病者を搬送する車両に送信する傷病者情報送信部とを備える。
【解決手段】複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の移動端末に送信し、管制室端末に伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグを用いる。また、収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末を備える。さらに、搬送先の候補である医療機関で、受信した傷病者に関する情報に基づき、傷病者の受け入れ可否を判定し、判定の結果を伝達する情報端末を備える。また、管制室端末は、記医療施設が傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、収集した傷病者に関する情報と医療施設の動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、検索した結果の搬送先の情報を、傷病者を搬送する車両に送信する傷病者情報送信部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救急搬送先検索システムに係り、特に集積回路を用いたトリアージタグを使用する救急搬送先検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震、火山噴火、台風、洪水、火災、高い病原性をもつウィルスの拡散、鉄道・航空機事故、テロリズム等、医療資源の分配が問題となる災害時の医療活動の重要性が指摘されている。このような災害の際に、被災者の最適な救命活動を行うために、傷病者を重症度と緊急性によって分類し、治療の優先度を決定する「医療トリアージ」が用いられてきている。
また、近年、高齢化に伴う医療機関の負担増大等により、救急車等による緊急搬送の「たらいまわし」が問題になっている。
これらの課題に対応するため、医療機関への傷病者の程度に応じた効率的な緊急搬送システムの構築が緊急の課題になっている。
【0003】
ここで、図12を参照して、従来のトリアージタグ(トリアージタッグ)と、トリアージの判定の分類について説明する。
従来のトリアージタグは、我が国では規格化されており、直接治療に関与しない専任の医療従事者や、救急救命士や救急救命医によりトリアージ分類の判定を行って、傷病者の状態等を書き加えるようになっている。
図12は、この医療トリアージを行う際のトリアージ分類を示す図である。トリアージタグでは、治療の優先順位毎に色分けしてトリアージ分類を区別する。この優先順位としては:
赤(I)、第1順位、最優先治療群(重傷群)、命を救うため、直ちに処置を必要とする傷病者。窒息、多量の出血、ショックの危険性のある者等。
黄(II)、第2順位、待機的治療群(中等症群)、多少治療の時間が遅れても、生命に危険がない傷病者。基本的にバイタルサイン(vital signs、生命兆候)が安定している傷病者。
緑(III)、第3順位、上記以外の軽微な疾病で、ほとんど専門医の治療を必要としない傷病者。
黒(0)、第4順位、死亡群、既に死亡しているもの、又は明らかに即死状態で、心肺蘇生の可能性のない傷病者。
【0004】
このような従来のトリアージタグにおいては、下部のミシン目を切り取って、傷病者のトリアージ分類を示すようになっている。
ところが、搬送等の作業中に誤って残りのミシン目が切り取られてしまい、正確なトリアージ判定が伝達できない場合があるという問題があった。
また、従来のトリアージタグは紙であり、さらに多数の傷病者にトリアージタグが取り付けられる。このため、傷病者の中から最優先で治療を施す必要のある傷病者を探し出すのに時間を要するという問題があった。
このため、医療施設に搬送するまでに時間がかかり、重症の傷病者が助かる可能性が低くなることがあるという問題があった。
【0005】
ここで、従来の技術として特許文献1を参照すると、タクシー等の救急患者の搬送を目的としていない車両を用いて、救急依頼を行った救急患者を適切な病院に迅速に搬送する救急患者の搬送システムが開示されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の救急患者の搬送システムは、救急患者の搬送を目的としていない車両に備えられたコンピュータと、患者情報や病院情報等の医療ネットに必要な情報を管理する少なくとも1つの集中サーバと、医療用情報ネットワークに登録された複数の病院サーバとがネットワークを介して相互に接続されて構成されている。また、このコンピュータには、医療ネットで診察券として使用するICカード内の患者情報を読み込むICカードリーダが設けられ、患者情報を前記集中サーバに送信する手段と、前記集中サーバからの指定病院の情報を受信する手段とを有している。この集中サーバは、前記コンピュータからの患者の情報を受信する手段と、受信した患者の情報に基づいて、患者の搬送先の当該患者にとって最適な病院を決定する手段と、決定した病院の情報を前記コンピュータに送信する手段とを有し、前記車両により前記集中サーバから指定された病院に救急患者を搬送することを特徴としている。
従来技術1の救急患者の搬送システムによれば、通常は救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いて、救急患者を適切な病院に迅速に搬送することができる。
【0006】
ここで、従来技術1を含む従来の緊急搬送システムにおいては、 緊急の医療処置が必要な傷病者を搬送する医療機関を決定するにあたって、以下のような手段を用いるのが一般的である:
(1) 救急車両で傷病者を搬送中に、救命救急士が傷病者の容態を確認し、その確認結果を管制センタに報告する。管制センタの管制官は、受入れ可能な医療機関を検索し、その検索結果を基に、救命救急士に傷病者を搬送する医療機関を指示する。救急車両と管制センタとの間の連絡は、主として、無線システムによる音声通話を用いて行う。
(2) 救急車で傷病者を搬送中に、救命救急士が傷病者の容態を確認し、その確認結果を基に、周辺の医療機関に対して、個別に受入れ可否の問合せを行う。医療機関から受入れ可能であると回答があった場合は、その医療機関に傷病者を搬送する。受入れ不可能という回答があれば、受け入れ可能な医療機関が見つかるまで、問合せを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−71092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術1は、救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いるシステムであり、通常の医療トリアージが必要な救急車両の搬送には用いることができなかった。
また、従来技術1のような救急患者の搬送システムにおいては、主に音声通話を用いて受け入れ可能な医療機関への問い合わせを繰り返すため、傷病者を搬送する医療機関を決定するまでに時間がかかるという問題があった。特に、大規模な災害や事故などにより、大多数の傷病者の救命処置が必要になった場合、搬送先の医療機関を決定するのに音声通話のみであると、搬送に時間がかかり、傷病者の搬送が間に合わなかったり心理的に大きな負荷をかけたりするというリスクがあった。
また、音声通話によるやり取りでは、傷病者の容態の詳細を伝えることには困難が伴うことが多く、救急車両が到着するまでの問、医療機関において、傷病者の受け入れ準備を十分に行うことが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の救急搬送先検索システムは、複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の管制室端末と移動端末とに伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグと、収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末と、搬送先の候補である前記医療機関において、受信した前記傷病者に関する情報に基づき、前記傷病者の受け入れ可否を前記管制室端末に送信する情報端末とを備え、前記管制室端末は、前記医療施設が前記傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、収集した前記傷病者に関する情報と前記医療施設の前記動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、検索した結果の搬送先の情報を、前記傷病者を搬送する車両の前記移動端末に送信する傷病者情報送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子トリアージタグの傷病者に関する情報を収集し、管制室端末にて搬送先の医療施設を確定し、傷病者に関する情報を送信することで、効率的に傷病者を搬送することができる救急搬送先検索システムを提供することができる。
また、医療施設にて傷病者に関する情報を収集できるため、効率的に傷病者を受け入れる準備をさせる救急搬送先検索システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る消防・防災無線網500の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る医療施設600の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1の外観を示す(a)平面図(b)側面図(c)底面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るタグ情報入出力表示端末200−1の制御構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るPND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の制御構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係るメッシュネットワークと端末アイコンの表示の概念図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るトリアージ情報の例を示す概念図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る傷病者の搬送に関する画面の表示例である。
【図12】従来のトリアージ分類を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
〔救急搬送先検索システムXのシステム構成例〕
以下で、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのシステム構成の1例について、図面を参照して詳しく説明する。
図1を参照して説明すると、本実施形態の救急搬送先検索システムXは、広域的な消防・防災無線に接続された各種機器のシステムである消防・防災無線網500と、医療機関における情報システムである医療施設600とが、各種ネットワークで結ばれるような構成を用いている。
この各種ネットワークとしては、例えば、専用線やインターネットや無線ネットワーク等のIPネットワークを用いた、無線多重回線網900、有線多重回線網910、衛星回線920のような通信回線を使用可能である。
このうち、無線多重回線網900は、消防・防災無線網500に接続された地上系無線伝送装置507と、医療施設600に接続された地上系無線伝送装置607との間で無線通信を行う通信回線である。
有線多重回線網910は、救急搬送先検索システムX用の専用のデジタル通信回線である。このデジタル通信回線としては、災害等への耐久性が高く、高容量の回線を用いることができる。また、複数の回線が切断されても各部に接続できるような冗長化をすることが好適である。
衛星回線920は、消防・防災無線網500に接続された衛星系無線伝送装置508を用いて、通信衛星700を介し、医療施設600に接続された衛星系無線伝送装置608との間で無線通信を行う通信回線である。
また、消防・防災無線網500と医療施設600の各機器は、GPS衛星800やIMES端末850からの位置測位を行い、後述する電子トリアージタグ100−1〜100−n(図2参照)からの位置情報を測定して、お互いの地図上の場所を報知しあう。
なお、医療施設600は、例えば、複数の病院をネットワークで接続して構成してもよい。また、医療施設600の機器は、病院毎に複数備えることができる。さらに、消防・防災無線網500も、他の消防・防災無線網と接続して大規模に構成することができる。
【0014】
地上系無線伝送装置507、607は、業務用の無線システムで、防災無線用の周波数帯域を用いて高速な無線伝達を行うことができる。
衛星系無線伝送装置508、608は、一般的な通信衛星である通信衛星700との間でパラボラアンテナ等を用いて通信を行う。このため、災害により通常の通信網が途絶した地域でも通信可能である。
GPS衛星800としては、GPS(Global Positioning System)は、衛星からの電波により測位を行うシステムで、米国の衛星の他に、欧州のGalileo positioning systemや準天頂衛星システムの衛星を用いることもできる。
IMES端末850は、IMES(Indoor Messaging System)の端末である。IMESは、GPSと同じ信号を用いて、屋内外を問わず、GPSの信号と併せて位置測位を可能にする方式である。
【0015】
〔消防・防災無線網500の制御構成例〕
次に、図2を参照して、消防・防災無線システムである消防・防災無線網500の制御構成の1例について説明する。消防・防災無線網500は、専用デジタル回線網515に、管制室端末501、監視サーバ520、業務無線向け制御局540−1〜540−n等が接続され構成されている。また、専用デジタル回線網515は、図1の地上系無線伝送装置507、衛星系無線伝送装置508、有線多重回線網910に接続されている。
【0016】
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、傷病者に装着する電子トリアージタグである。電子トリアージタグ100−1〜100−nは、各傷病者に備え付けられ、トリアージの分類に加えて、後述する各情報を記憶し、傷病者の状態を生体センサ111(図4)にて把握する。
【0017】
タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n(図3参照)は、電子トリアージタグ100−1〜100−nへの情報の入力を行う移動端末である。図2においては、タグ情報入出力表示端末200−nを、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの1つとして示す。
具体的には、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nは、救命救急医や救命救急士が、トリアージ分類をはじめ傷病者に関わる情報を電子トリアージタグ100−1〜100−nに書込んだり、読み込んだりする移動端末である。
この書き込みの際には、まず、救命救急医や救急救命士等の医療従事者が、傷病者の様態からなるトリアージの分類を判定する。
救急救命士や看護婦は、この判定されたトリアージの分類、その他の傷病者に関する情報を、トリアージ情報としてタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nに入力する。
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、この入力されたトリアージ情報を受信すると、記憶部110(図4)に記憶する。
【0018】
PND端末300−1〜300−nは、周辺に存在する電子トリアージタグ100−1〜100−nに記録された傷病者に関わるトリアージ情報を収集し、検索条件を設定して検索を行い表示し、収集したトリアージ情報を消防・防災無線網500の各端末に転送する移動端末である。
また、PND端末300−1〜300−nは、GPS機能を備えたPND(Personal Navigation Device)の移動端末である。PND端末300−1〜300−nは、電子トリアージタグ100−1〜100−nからの信号を受信して、専用デジタル回線網515を介して、救急救命士が緊急搬送について管制室端末501との間で情報をやり取りするために用いる。
【0019】
業務用携帯無線機400−1〜400−nは、主として、消防・防災無線網500用の業務用携帯型デジタル無線機である移動端末である。
業務用携帯無線機400−1〜400−nは、それぞれPND端末300−1〜300−nと接続された業務用携帯無線装置であり、例えば、車両にカーナビゲーション端末として用いることもできるように備えることができる。業務用携帯無線機400−1〜400−nは、それぞれPND端末300−1〜300−nと接続されている。
【0020】
管制室端末501は、消防・防災無線網500の管制室(管制センタ)に配置され、管制官が用いる端末である。この管制室は、災害対策指令本部や専用の防災センタ等に配置することができる。
管制室端末501は、監視サーバ520が蓄積した各種情報を閲覧したり、各PND端末300−1〜300−nや、救急車両や消防車両等である傷病者の搬送用の車両の無線等に指示を行うことができる。また、管制室端末501は、医療施設600の情報端末601と連絡を取り合うことができる。管制室端末501としては、PC/AT互換機等のPC(Personal Computer)や専用機等を用いることができる。なお、本実施形態の傷病者の搬送用の車両としては、タクシー、人力車、ヘリコプター、航空機、船等の緊急搬送用に用いることができる乗り物をすべて含む。
管制室端末501は、このうち、キーボードやポインティングデバイス等の入力部502、液晶ディスプレイやPDPディスプレイやプロジェクタ等の表示部503、フラッシュライトやサイレンその他の報知装置等を備えている。
また、管制室端末501は、傷病者の搬送に関する画面を描画して各機能を実行するための医療施設情報収集部504、搬送先検索部505、及び傷病者情報送信部506等のプログラムや回路等を備えている。
【0021】
医療施設情報収集部504は、下記で説明する監視サーバ520の医療機関動態監視サーバと医療機関データベースから搬送する傷病者を確定し、搬送が確定した傷病者の情報を複数の医療施設600に送信し、この複数の医療施設600からの返信の情報を、医療機関データベースに記憶するプログラムや回路等である。医療施設情報収集部504は、この返信の情報を表示部503に描画することもできる。
搬送先検索部505は、複数の医療施設600からの返信の情報と地図情報とを基に、傷病者の受け入れ先となる医療施設600の情報を検索するプログラムや回路等である。搬送先検索部505は、表示部503に医療施設600の情報を描画することもできる。
傷病者情報送信部506は、入力部502により指示を検知して、傷病者の受け入れ先となる医療施設600に関する情報を、PND端末300−1〜300−nやタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nを備えた車両に送信するプログラムや回路等である。
【0022】
監視サーバ520は、監視データベース521と接続され、消防・防災無線網500の各機器をハードウェア資源を用いて監視するサーバである。監視サーバ520は、PCや専用機等を用いて、複数のサーバから構成するのが好適である。
監視サーバ520は、医療機関動態監視サーバ、傷病者動態監視サーバ、救護班動態監視サーバのようなサーバから構成することができる。
また、監視データベース521は、医療機関データベース、傷病者動態情報データベース、救護班動態情報データベースから構成することができる。これに加え、監視データベース521は、例えばGPS用に用いる地図情報データベースを備える。
このうち、医療機関動態監視サーバと医療機関データベースとは、各医療機関の位置や傷病者受け入れ可能数等を把握するために用いる。
また、傷病者動態監視サーバと傷病者動態情報データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報を取得して、個々の傷病者の位置、トリアージの等の分類、時系列的な分類の変化等の動態を監視するために用いる。
また、救護班動態監視サーバと救護班動態情報データベースとは、車両の状態や搬送先等の動態をPND端末300−1〜300−nからの情報にて監視する。また、救護班動態監視サーバと救護班動態情報データベースとは、治療やトリアージの判定を行うことができる救命救急士、看護婦、救命救急医、医師、技士等の者の位置や治療可能な状態であるか等の動態を、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n(図3)からの情報により監視する。
【0023】
業務無線向け制御局540−1〜540−nは、業務無線向け基地局550−1〜550−nからの情報を制御して、専用デジタル回線網515に接続するための通信設備である。
また、業務無線向け基地局550−1〜550−nは、業務用携帯無線機400−1〜400−nの無線信号を送受信する基地局設備である。この基地局設備との通信には、一般的な災害用途に用いる業務用無線を用いることができる。
【0024】
〔医療施設600の制御構成例〕
次に、図3を参照して、医療機関における情報システムである医療施設600の制御構成の1例について説明する。医療施設600は、専用デジタル回線網515に、情報端末601、センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−n、監視サーバ620等が接続され構成されている。また、専用デジタル回線網515は、図1の地上系無線伝送装置607、衛星系無線伝送装置608、有線多重回線網910に接続されている。
【0025】
情報端末601は、医療施設にある各種情報端末装置である。情報端末601は、監視サーバ620が蓄積した各種情報を閲覧したり、消防・防災無線網500の管制室端末501(図2)と連絡を取り合ったりすることができる。
また、情報端末601は、各傷病者に備えられた電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報を取得、閲覧することができる。情報端末601としては、PCや専用機等を用いることができる。
また、情報端末601は、キーボードやポインティングデバイス等である入力部602、液晶ディスプレイやPDPディスプレイやプロジェクタ等である表示部603等を備えている。
【0026】
センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nは、短距離無線ネットワーク、例えば、ZigBee(登録商標)の「アクセスポイント」となる通信モジュールである。センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nは、例えば、医療機関の病室内やベッド等に備え付けられており、各傷病者に備えられた電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報を取得することができる。
ZigBeeは転送距離が短く低速であるものの、消費電力が少なく安価という特徴を備えているネットワークであり、IEEE802.15.4で規格化されている。
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、本実施形態に係る救急搬送先検索システムXにおいて、ZigBeeをメッシュネットワークとして用いる。すなわち、電子トリアージタグ100−1〜100−n同士が情報を媒介して、短距離無線ネットワークを形成する。
また、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nは、医療施設600にて、電子トリアージタグ100−1〜100−nに判定されたトリアージの分類や、その他の傷病者に関する情報を入力する移動端末である。タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nも、GPS機能を備えている。
【0027】
監視サーバ620は、監視データベース621と接続され、医療施設600の各機器をハードウェア資源を用いて監視するサーバである。監視サーバ620は、PCや専用機等を用いて、複数のサーバから構成するのが好適である。
監視サーバ620は、電子カルテ管理サーバ、傷病者動態監視サーバ、施設管理サーバ、傷病者動態監視サーバ、職員動態監視サーバ、医薬品・消耗品在庫管理サーバ等を用いることができる。また、監視データベース621は、電子カルテ・データベース、傷病者動態情報データベース、職員動態監視データベース、職員動態情報データベース、施設情報データベース、医薬品・消耗品データベース等を備えることができる。
このうち、電子カルテ管理サーバと電子カルテ・データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nに対応づけられ、具体的な傷病者の診断用等に用いる。
傷病者動態監視サーバと傷病者動態情報データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nからリアルタイム(実時間)で位置、トリアージ分類、生体センサ111(図4)のような情報をセンサネットワークにて受信して記憶し、傷病者の怪我や病状等の動態を監視するために用いる。
職員動態監視サーバと、職員動態監視データベースと、職員動態情報データベースとは、救命救急士、看護婦、救命救急医、医師、看護婦、技士、その他の医療従事者等である医療施設600の職員の位置や治療等の動態を監視するために用いる。このうち、職員動態監視データベースは、PND端末300−1〜300−nの位置情報を基に、救急救命士等の位置を把握して記憶する。また、職員動態情報データベースは、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの位置情報を基に、救急救命医等の位置を把握して記憶する。
【0028】
〔電子トリアージタグ100−1の制御構成例〕
次に、図4〜6を参照して、本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1〜100−nのうち、電子トリアージタグ100−1を代表例として、制御構成例について説明する。上述したように、電子トリアージタグ100−1〜100−nは、傷病者に装着する電子トリアージタグであり、トリアージ分類を含む傷病者のトリアージ情報を記憶し、傷病者のバイタルサインを測定し、ZigBee等のネットワークを用いて送出することができる。
電子トリアージタグ100−1は、主に信号処理制御部101と、電源制御部103と、充電池104と、センサネットワーク通信モジュール105と、RFモジュール106と、発光部107と、音声出力部108と、表示部109と、記憶部110と、生体センサ111とを含んで構成される。
なお、電子トリアージタグ100−1に、GPS機能のためのGPSモジュールを備える構成も可能である。
【0029】
信号処理制御部101は、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)等の、電子トリアージタグ100−1の信号処理と制御を行う部位である。
具体的には、信号処理制御部101は、各種I/OやA/DコンバータやLED(Light Emitting Diode)のドライバ等を備えており、各部からの信号を受信し、記憶し、表示し、センサネットワーク通信モジュール105にて送信する。
【0030】
電源制御部103は、充電池104からの電力を信号処理制御部101や各部に加える際の電圧や電流等を制御する部位である。
電源制御部103は、信号処理制御部101からの信号により、各部の電源制御を行う。具体的には、充電池104の容量が減った場合に、例えば、センサネットワーク通信モジュール105の通信信号の送受信間隔を減らしたり、発光部107や表示部109の表示の明度や書き換え間隔を減らしたりといった省電力処理を行うことができる。
【0031】
充電池104は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池やキャパシタ等の電力を蓄える部位である。
充電池104は、災害現場で用いるために安全性の高い二次電池を用いることができる。
なお、充電池104に通常の乾電池や、使用期限が長い空気電池のような一次電池を用いることもできる。
【0032】
センサネットワーク通信モジュール105は、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nと接続して、例えばZigBeeのメッシュネットワークを形成するための通信モジュールである。
このセンサネットワーク通信モジュール105を介して、複数機器同士のN対Nの通信を行うことができる。
【0033】
RFモジュール106は、タグ情報入出力表示端末200−1のRFモジュール206(図6参照)との間で無線通信を行うRF(Radio Frequency)、すなわち電波送受信部位である。電子トリアージタグ100−1に記憶された傷病者のトリアージ情報を送受信する。この際に、例えば、タグ情報入出力表示端末200−1と電子トリアージタグ100−1とで、1対1の通信を行うことができる。
【0034】
発光部107は、高輝度LEDや有機EL(Electro Luminescence)パネル等により、トリアージ分類を色別で表示する部位である。
なお、表示部109にカラー液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、色別表示が可能な表示モジュールを用いた場合には、発光部107を省略可能である。
【0035】
音声出力部108は、D/Aコンバータ、デジタルアンプ、スピーカ、圧電ブザー等の部位である。音声出力部108は、信号処理制御部101からの制御信号により、傷病者の容態の変化や所定の時刻経過等を音声にて周囲に報知する機能を備える。
具体的には、音声出力部108は、生体センサ111からの傷病者のバイタルサインが変化した場合、傷病者がトリアージ判定後に所定時間が経過している場合、充電池104が消耗した場合等に、警告音を発することができる。
また、音声出力部108は、音声合成により、電子トリアージタグ100−1内のトリアージ情報等を音声にて出力できる。
これにより、医療従事者の負担を軽減することができる。
【0036】
表示部109は、比較的応答性が早く自発光する有機ELディスプレイ、カラー液晶とバックライト用白色LED等のデバイスを組み合わせることで、表示部からトリアージ分類の識別色等を発光することができる。
また、表示部109は、比較的応答性が遅い電気泳動型の電子ペーパー、または反射型のモノクロ液品等の単色表示のデバイス用いて、表示部をモノクロで表示するように構成することもできる。この場合、電子ペーパーやモノクロ液晶はカラーで自発光できないデバイスであるため、トリアージ分類の識別色は、発光部107の高輝度LEDを用いて表示する。
【0037】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶部である。
記憶部110は、傷病者のトリアージ情報を記憶する。また、記憶部110は、生体センサ111から取得した傷病者のバイタルサインを時系列的に記憶しておくこともできる。
また、記憶部110は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのGPSモジュール207(図6)や、PND端末300−1〜300−nのGPSモジュール307(図7)から取得した位置情報を、時系列的に記憶することもできる。
また、記憶部110は、図示しないマイク等の音声入力部から入力した音声、更に医療従事者等の指示等についても記憶可能である。
【0038】
生体センサ111は、傷病者の容態をモニタリングするための生体センサである。
生体センサ111としては、ピエゾ素子を用いた圧力センサ、血流や体内温度を測定する赤外線センサ、サーミスタを用いた温度センサ等を用いることができる。これにより、傷病者の脈拍や体温などを測定することができる。
【0039】
〔電子トリアージタグ100−1の外観の例〕
次に、図5を参照して、具体的に電子トリアージタグの外観の具体例について説明する。ここでは、電子トリアージタグ100−1をリストバンド型に構成した例について示す。
図5(a)は、電子トリアージタグ100−1の平面図である。同様に、図5(b)は側面図、図5(c)は底面図を示している。
電子トリアージタグ100−1は、筐体120にバンド130を備えている。このバンド130には、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナーのループとフックである面ファスナーループ140と、面ファスナーフック145とを備えている。これにより、電子トリアージタグ100−1は、医療従事者により、傷病者の腕等の部位に容易に密着させて装着させることができる。
電子トリアージタグ100−1を傷病者に装着させる際には、腕に当てる筐体120の裏面に生体センサ111を位置させる。
この際、医療従事者が確認できる表面に、発光部107と、表示部109とを備えることで、傷病者のトリアージ分類やバイタルサイン等の状態を発光により報知することができる。また、夜間でも視認性を高められる。
また、発光部107は、従来のトリアージタグと同様の分類の色を発光する複数の高明度LEDを備えることで、視認性を高めることができる。この際、分類「0」の場合には、従来の分類の色は黒であるものの、全てのLEDが消灯することでこの状態を示すと、電池が消耗しているだけなのか否か分からないので、全部のLEDを発光させたり赤のLEDを点滅させる等の表示によりトリアージ分類を示すことができる。
また、音声出力部108は、小さな穴から音声を出力することで、水の浸入やスピーカのコーン紙の破れ等を防ぐことができる。
また、センサネットワーク通信モジュール105とRFモジュールのアンテナは筐体120の内部に備えることができる(図示せず)。
【0040】
電子トリアージタグ100−1を傷病者の手首に装着することで、傷病者の容態の変化をモニタリングして、傷病者の所定の時刻経過等を、周囲にいる不特定多数の人に知らせることができる。
また、電子トリアージタグ100−1は、上述したようなセンサネットワーク通信モジュール105とRFモジュール106とにより、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nを介して、医療従事者に傷病者の詳細なトリアージ情報を伝えることができる。
【0041】
〔タグ情報入出力表示端末200−1の制御構成例〕
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態に係るタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのうち、タグ情報入出力表示端末200−1を代表例として、制御構成の一例について説明する。
タグ情報入出力表示端末200−1は、主に、医療従事者のうち救命救急医や救命救急士が、電子トリアージタグ100−1〜100−nにトリアージ情報を書込んだり読み込んだりする為の移動端末である。
タグ情報入出力表示端末200−1としては、携帯型のPC、PDA(Personal Data Assistant)、スマートフォン、専用端末等を用いることができる。
【0042】
タグ情報入出力表示端末200−1は、主に信号処理制御部201と、電源制御部203と、充電池204と、センサネットワーク通信モジュール205と、RFモジュール206と、GPSモジュール207と、音声出力部208と、表示部209と、記憶部210と、メモリカード211と、入力部212とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部201は信号処理制御部101と、電源制御部203は電源制御部103と、充電池204は充電池104と、センサネットワーク通信モジュール205はセンサネットワーク通信モジュール105と、RFモジュール206はRFモジュール106と、音声出力部208は音声出力部108と、表示部209は表示部109と、記憶部210は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。しかしながら、タグ情報入出力表示端末200−1は、電子トリアージタグ100−1よりも高度な機能をもつ端末(以下、フル機能デバイスという。)であり、例えば、信号処理制御部201は信号処理制御部101よりも高度な演算能力をもち、充電池204は充電池104より電力の容量も多く、表示部209は表示部109より広く高精細なカラーディスプレイを用いることができる。
【0043】
また、GPSモジュール207は、GPSのアンテナと受信モジュールの部位である。GPSモジュール207は、GPS衛星800やIMES端末850からの位置情報を取得して、タグ情報入出力表示端末200−1を報知するために用いることができる。
メモリカード211は、傷病者の特徴やモニタリングした結果等を記録するためのフラッシュメモリカードや光学記憶媒体等の不揮発性の外部記憶媒体である。また、メモリカード211は、タグ情報入出力表示端末200−1を使用してトリアージ判定をするための医療従事者のユーザー認証をするために用いることができる。
入力部212は、図1の管制室端末501の入力部502と同種の機能を持つ入力部位であり、キーボードやポインティングデバイスを備えることができる。これに加え、入力部212のタグ情報入出力表示端末200−1における操作性を向上させるため、画面上をタッチするタッチパネルや電磁デジタイザ等を用いて構成することもできる。
なお、タグ情報入出力表示端末200−1は、電子地図の情報を記憶した地図記憶部を備えていてもよい。この電子地図の情報は、メモリカード211にて提供することもできる。
【0044】
〔PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の制御構成例〕
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態に係るPND端末300−1〜300−nと業務用携帯無線機400−1〜400−nのうち、PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の一対を代表例として、制御構成例について説明する。PND端末300−1は、主に車両や医療従事者が傷病者を搬送する現場で用いる移動端末であり、業務用携帯無線機400−1と接続して用いる。また、業務用携帯無線機400−1は、主に消防・防災無線網500へ接続するための業務用通信装置である。
なお、PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1とは、それぞれ単独で用いても、図7のようにインタフェース部315とインタフェース部415とにより接続して用いてもよい。
【0045】
PND端末300−1は、周囲に電子トリアージタグ100−1〜100−nが存在する場合、当該電子トリアージタグ100−1〜100−nに記憶された傷病者のトリアージ情報を収集する移動端末である。この上で、PND端末300−1は、所定の検索条件で傷病者に関する情報を検索して表示するとともに、収集したトリアージ情報を消防・防災無線網500の管制室端末501と、他の移動端末、すなわちPND端末300−1〜300−n、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nに転送することができる。
PND端末300−1についても、携帯型のPC、PDA(Personal Data Assistant)、専用端末等を用いることができる。
【0046】
PND端末300−1は、主に信号処理制御部301と、電源制御部303と、充電池304と、センサネットワーク通信モジュール305と、GPSモジュール307と、音声出力部308と、表示部309と、記憶部310と、入力部312と、地図記憶部313と、インタフェース部315とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部301は信号処理制御部101と、電源制御部303は電源制御部103と、充電池304は充電池104と、センサネットワーク通信モジュール305はセンサネットワーク通信モジュール105と、音声出力部308は音声出力部108と、表示部309は表示部109と、記憶部310は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。また、図6のタグ情報入出力表示端末200−1と同様の名称をもつ、GPSモジュール307はGPSモジュール207と、入力部312は入力部212と、それぞれ同種の機能を備える部位である。加えて、PND端末300−1は、タグ情報入出力表示端末200−1と同様にフル機能デバイスであり、各部位について電子トリアージタグ100−1よりも高度な機能を備えることができる。
【0047】
また、地図記憶部313は、GPSの情報により地図上での位置を得るための電子地図の情報を記憶した部位である。地図記憶部313の地図は、図示しない外部記憶媒体やネットワークを用いて更新することができる。
インタフェース部315は、業務用携帯無線機400−1と接続するための電子的、光学的な専用のインターフェイスである。なお、インタフェース部315には、一般的なUSB(Universal Serial Bus)等を用いることもできる。
【0048】
業務用携帯無線機400−1は、主に、消防・防災無線網500用に対して通話やデータ通信を行うための移動端末である。業務用携帯無線機400−1としては、通常の業務用携帯型デジタル無線機を用たり、衛星携帯電話、通常の携帯電話等を用いることもできる。
業務用携帯無線機400−1は、主に信号処理制御部401と、電源制御部403と、充電池404と、RF部406と、音声入力部407と、音声出力部408と、表示部409と、記憶部410と、入力部412とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部401は信号処理制御部101と、電源制御部403は電源制御部103と、充電池404は充電池104と、音声出力部408は音声出力部108と、表示部409は表示部109と、記憶部410は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。また、図6のタグ情報入出力表示端末200−1と同様の名称をもつ、入力部412は入力部212と、それぞれ同種の機能を備える部位である。
しかしながら、業務用携帯無線機400−1は、例えば、大きめの携帯電話のような形態の端末を用いることができ、入力部412としては、テンキーや送話ボタンやチャンネル切り替えボタン等を用いることができる。
【0049】
また、RF部406は、業務無線向け基地局550−1〜550−nと接続するためのデジタル無線の増幅やチューニング等を行う部位である。
音声入力部407は、コンデンサマイク等の音声入力を行うための部位である。なお、業務用携帯無線機400−1にて音声入力をするためには、送話ボタンを押して送話するように構成してもよい。
インタフェース部415は、インタフェース部315と接続するための電子的、光学的なインタフェースである。
なお、PND端末300−1ではなく、業務用携帯無線機400−1にGPSモジュールを備えるような構成も可能である。
【0050】
〔救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理〕
次に図8〜図11を参照して、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理について説明する。
上述したように、救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nとセンサネットワークを用いて、必要な情報を迅速に収集し、的確な救護を可能とする救急搬送先の検索システムである。
救急搬送先検索システムXは、大規模な災害、事故等が発生した場合、大多数の傷病者に対して、迅速な救命活動を行うため、複数の傷病者に関わるトリアージ情報、例えば、傷病者の性別・年齢等の特徴、トリアージ分類、生体センサ111(図4)の情報等を収集し、消防・防災無線網500や医療施設600に伝達する。
これにより、収集した傷病者のトリアージ情報を基に、適切な治療が行える医療施設600を検索でき、大多数の傷病者に対して迅速な救急搬送を可能にすることができる。
以下で、図8のフローチャートを用いて、ステップ毎に具体的な処理の説明をする。
【0051】
まず、ステップS101において、センサネットワークに接続された各機器は、センサネットワーク処理を行う。
具体的には、電子トリアージタグ100−1〜100−n(タグ)の信号処理制御部101、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの信号処理制御部201、及びPND端末300−1〜300−nの信号処理制御部301は、各タグと端末同士、センサネットワーク通信モジュール105、205、305を用いて、N(複数)対N(複数)の通信を確立する。また、医療施設600においては、センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nを用いて、各タグと端末との通信を確立する。この通信は、上述したように、ZigBee等を用いたメッシュネットワークでの通信を行うことができる。
救急搬送先検索システムXにおいては、このようにメッシュネットワークが確定した後で、端末の位置情報とネットワークの接続情報とを基に、各タグと端末の情報を表示することができる。この各タグと端末の情報は、消防・防災無線網500の管制室端末501の表示部503や、医療施設600の情報端末601の表示部603、各端末の表示部209、309等に表示可能である。
また、このようなメッシュネットワークにて取得した情報は、消防・防災無線網500の監視サーバ520が監視データベース521に記憶する。また、医療施設600の監視サーバ620も、取得した情報を監視データベース621に記憶する。
【0052】
図9の概念図を参照して、センサネットワークの各タグと端末の表示例について説明する。この表示例は、監視データベース521、621に記憶された情報を基に、管制室端末501、情報端末601、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n、PND端末300−1〜300−nに表示可能な情報の例を示している。
図9によると、センサネットワークを介して収集した電子トリアージタグに記憶された傷病者のトリアージ分類と、端末の種類について、例えば図9の端末アイコン1001〜1010のように表示する。
例えば、端末アイコン1001は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのいずれかの位置を示すアイコンである。すなわち、当該タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nを備えた救命救急医または救命救急士の位置を示している。
また、端末アイコン1002は、PND端末300−1〜300−nのいずれかの位置を示すアイコンである。すなわち、当該PND端末300−1〜300−nを備えている救命救急士や救急車楼の位置を示している。
また、端末アイコン1003〜端末アイコン1010は、電子トリアージタグ100−1〜100−nのいずれかの位置を示すアイコンである。
ここで、端末アイコン1003は、例えば、トリアージ分類(I)の重症の傷病者の位置を色にて示している。同様に、端末アイコン1004は、トリアージ分類(II)の中等症の傷病者の位置を色にて示している。また、端末アイコン1005は、トリアージ分類(III)の軽症の傷病者の位置を色にて示している。さらに、端末アイコン1006は、トリアージ分類(0)の死亡者の位置を示している。
【0053】
また、トリアージ分類の判定後、所定時刻経過した傷病者や容態が変化した傷病者は、端末アイコン内で色合いを変化させることで表示可能である。例えば、右対角線上で判定時のトリアージ分類〜現在のトリアージ分類といったように変化させて表示できる。
たとえば、端末アイコン1007は、軽症から中等症に変化した傷病者の位置を示している。また、端末アイコン1008は、中等症から軽症に変化した傷病者の位置を示している。さらに、端末アイコン1009は、重症から中等症に変化した傷病者の位置を示している。
さらに、トリアージ分類の判定が行われていない未判定の傷病者のいる電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置についても、表示可能である。たとえば、端末アイコン1010は、未判定の傷病者の位置を示している。
なお、各電子トリアージタグ100−1〜100−nの信号処理制御部101は、生体センサ111のバイタルサインに従ってトリアージ分類を自動的に変化させるように構成することも可能である。この場合でも、色合いの変化について表示することができる。
【0054】
次に、図9の概念図を参照して、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nが取得して表示できる電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報の例を示す。
このトリアージ情報は、後述する図11の表示例において、各端末の入力部212、312、502、602のポインティングデバイス等で医療従事者や管制官が各アイコンを指し示した際に、各端末の表示部109、209、309、503、603に表示する。
【0055】
図10を参照すると、表示するトリアージ情報の例としては、電子トリアージタグ100−1〜100−nの識別ID(Identification)、識別コードを用いたトリアージ分類、傷病者の氏名、性別、年齢、電話番号、住所、受傷箇所、脈拍・体温等の測定履歴、トリアージ実施回数、トリアージ実施月日・時刻、タイマ値、トリアージ実施者のID、GPS位置情報等を表示可能である。
【0056】
次に、ステップS102において、管制室端末501の医療施設情報収集部504は、傷病者情報送信/医療施設情報取得処理を行う。
具体的には、消防・防災無線網500の管制室の固定端末である管制室端末501の制御部は、入力部502からの管制官の指示に従って、優先的に処置が必要な傷病者を検索し、その中から搬送する傷病者を確定する。
医療施設情報収集部504は、管制室端末501の記憶部に備えられたOS(Operating System)のGUI(Graphical User Interface)を用いて、傷病者の搬送に関する画面を表示部503に表示する。医療施設情報収集部504の各機能、さらに医療施設情報収集部504と搬送先検索部505の各機能についても、この傷病者の搬送に関する画面からボタンの押下等を検知して呼び出すことができる。
以下で、図11を参照して、傷病者の搬送に関する画面の表示例と操作例について説明する。
【0057】
図11(a)と(b)は、2画面構成の画面表示例であり、それぞれが管制室端末501の表示部503に表示される広域地図画面と詳細地図画面とを示す。この表示部503の各画面は、入力部502のタッチパネル等を用いて、表示された箇所のアイコン等を選択可能である。
なお、これらの画面例は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやフル機能端末であるPND端末300−1〜300−nにも、同様の画面として描画して表示することができる。
【0058】
まず、図11(a)の広域地図画面について説明する。
この広域地図画面は、主に、表示欄1100、1110、1120により構成される。
表示欄1100は、広域地図の表示欄であり、各車両アイコン1101〜1104や医療施設アイコン1008等を地図情報と重ねて表示することができる。また、表示欄1110は、詳細な情報を表示する詳細情報表示欄である。また、表示欄1120は、広域地図画面の各機能を呼び出すボタン1121〜1125等が表示されている表示欄である。
また、図11(a)には、各ボタンやアイコンを選択可能なポインティングデバイスのカーソルであるマウスカーソル1500も表示されている。
なお、車両アイコン1101〜1104や医療施設アイコン1008は、これに限られず複数表示することができる。
【0059】
ここで、表示欄1100に関しては、例えば、車両アイコン1101〜1104、医療施設アイコン1108のようなアイコン、表示エリア1109等の選択エリアが公益地図の地図情報と重ね合わせて表示されている。
このうち、車両アイコン1101〜1104は、PND端末300−1〜300−nのGPSでの位置を基に車両の位置を表示するアイコンである。
この車両アイコン1101〜1104は、それぞれ、
救01:搬送先の医療施設600に傷病者搬送中
救02:傷病者の搬送待ち/搬送先の医療機関を選定中
救03:災害の現場/搬送先に急行中
救09:待機中
といった車両の状態を表示することができる。このような車両の状態は、PND端末300−1〜300−nにより医療従事者が設定したり、緊急車両のスイッチ等(図示せず)にて設定可能である。また、GPSの移動状態や、電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報等により自動的に設定することもできる。
【0060】
また、例えば、車両アイコン1103のように、「救03」で当該車両が移動中の場合、異動先の方向を示す矢印等を表示し、搬送先の医療施設600についての情報を表示することができる。
この医療施設600についての情報は、例えば、「(受け入れ回答結果) (医療施設600の名称) (受け入れ可能の傷病者数)」のような簡潔な情報で表示可能である。
このうち、(受入れ可否の回答結果)としては、
○: 受入れ可能(余裕あり、青色で表示)
△: 受入れ可能(残りわずか、黄色で表示)
×: 受入れ不可(赤色で表示)
NA: 未返信(返答なし、黒色で表示)
のように表示可能である。
たとえば、車両アイコン1103の場合、医療施設600についての情報である「△ N病院 3」は、受け入れ可能であるが残りわずかであり、医療施設600の名称は「N病院」であり、受け入れ可能な傷病者数は3人であることを示している。
また、この医療施設600についての情報をマウスカーソル1500でクリックすると、表示欄1110に詳細情報を表示可能である。
同様に、医療施設アイコン1108をマウスカーソル1500でクリックしても、表示欄1110に詳細情報を表示可能である。
【0061】
また、表示エリア1109は、図11(b)の詳細地図に表示される範囲を枠で示している。この表示エリア1109も、マウスカーソル1500で移動することができる。
【0062】
表示欄1110は、上述したように、右の表示欄1100にて選択されたアイコンに対する詳細情報を表示する表示欄である。
たとえば、表示欄1100は、車両アイコン1101〜1104が選択されると、当該車両に関する詳細な情報を表示する。この詳細な情報としては、車両の種類や搬送している傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報等を表示する。
また、表示欄1100は、医療機関の施設名が選択されると、当該施設名に係る医療施設600の詳細な情報を表示する。たとえば、図11(a)の車両アイコン1103の場合、医療施設600についての情報として、N病院の住所、担当科、病床数、緊急受け入れ可能数といった情報を表示する。また、当該医療施設600に搬送中の緊急車両の数や状態についても表示可能である。
また、表示欄1110には、「前候補」ボタン1111と、「次候補」ボタン1112が描画されている。表示欄1110は、このボタン1111又は1112が押下されると、医療施設アイコン1108に係る医療施設600又は車両アイコン1101〜1104に係る、それぞれ前候補と次候補を選択して表示する。この際、表示欄1100に表示された、当該医療施設アイコンまたは当該車両アイコンを「アクティブ」の状態に切り換え、例えば、点滅して表示することができる。なお、表示欄1100に、表示している前候補と次候補の医療施設又は車両アイコンがない場合は、表示欄1100の一番近くの医療施設又は車両アイコンを検索し、スクロール等して表示することができる。
【0063】
表示欄1120は、上述したように、ボタン1121〜1125が表示されており、当該ボタンに対応した広域地図画面の機能を呼び出す表示欄である。
ボタン1121は、それぞれ医療機関、救急車両、消防車両について、「表示有」「表示無」を切り換えて表示するボタンである。押下する度に、ボタンの表示が「表示有」「表示無」に切り替わる。この際、「表示有」で表示されている場合は、医療施設アイコンに係る医療施設600、救急車両に係る車両アイコン1101〜1104、消防車両に係る車両アイコン1101〜1104を表示する。たとえば、ボタン1121の欄がすべて「表示有」で表示されている場合は、「医療機関」「救急車両」「消防車両」の端末アイコンを表示することができる。
ボタン1122は、車両と医療施設とを音声通話により呼び出して通信を行う「車両/施設呼び出し」のボタンである。ボタン1122は、医療施設アイコン1108がアクティブになっている状態で押下されると、公衆回線また専用回線を介して、当該医療施設600の救急受入れ窓口を音声通話で呼びだすことができる。また、車両アイコン1101〜1104がアクティブになっている状態で押下すると、当該車両に搭載されている車載の無線機、例えば業務用携帯無線機400−1〜400−nのような業務用携帯型デジタル無線機を音声通話で呼びだすことができる。
ボタン1123は、「搬送先候補表示」ボタンである。ボタン1123は、ボタン1123は、図11(b)の「次搬送者確定」ボタン1224が押下されて傷病者の情報が医療施設600に一斉に配信された後、各医療施設600から返信された当該傷病者の受け入れ可否の回答結果を、表示欄1110にリスト形式等で搬送先候補として表示する。また、その際に、施設アイコンの表示内容を更新することもできる。このリストがマウスカーソル1500等で選択されると、表示欄1110に搬送先候補の医療施設600の詳細情報を表示する。
ボタン1124は、「搬送先確定」ボタンである。ボタン1124は、搬送先として適切と判断された医療施設の施設アイコンがアクティブになっている状態で押下されると、当該施設アイコンが、傷病者を搬送する医療機関として確定状態となる。また、このボタンが押下さた場合も、施設アイコンの表示肉容を更新する。
ボタン1125は、「車両確定/搬送先通知」ボタンである。ボタン1125は、傷病者を搬送中又は搬送することが決まっている車両の車両アイコンがアクティブになっている状態で押下すると、当該車両に対して、搬送先の医療機関の位置情報等を送信する。
【0064】
次に、図11(b)の詳細地図画面について説明する。
この詳細地図画面は、主に、表示欄1200、1210、1220により構成される。
表示欄1200は、上述したように図11(a)の表示欄1200の表示エリア1109の拡大された地図が表示され、これに合わせて、端末アイコン1010、1011や搬送中端末アイコン1021、1022等を重ねて表示する。表示欄1210は、図11(a)の表示欄1110と同様に、各アイコンやボタン等の詳細な情報を表示する詳細情報表示欄である。また、表示欄1220は、詳細地図画面の各機能を呼び出すボタン1221〜1126等が表示されている表示欄である。
また、この詳細地図画面には、図11(b)をポインティングデバイスで指定している場合、図11(a)のマウスカーソル1500と同様のマウスカーソル1501も表示する。
なお、端末アイコン1010、1011や搬送中端末アイコン1021、1022は、表示欄1200内のアイコンに限られず複数描画することができる。
【0065】
ここで、表示欄1200には、詳細地図画面上に、図9の端末アイコン1003〜1010と同様の形式にて、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ分類等の情報を表示する。
これに加えて、表示欄1200は、搬送中の電子トリアージタグ100−1〜100−nの傷病者の位置を、菱形のようなマークで搬送中端末アイコン1021、1022のように描画し、さらに向かう先を矢印で描画する。また、この際に医療施設600の情報を描画することもできる。
この搬送中端末アイコン1021、1022も、他の端末アイコンと同様に、時間経過によりトリアージ分類やバイタルサインの変化を描画することが好適である。たとえば、搬送中端末アイコン1021は、中等症から重傷になった傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置を示す。また、搬送中端末アイコン1022は、中等症のままの傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置を示す。
これらの端末アイコンに係る電子トリアージタグ100−1〜100−nやタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nの位置としては、各端末のGPSモジュール207、307を用いて位置を示すことができる。また、各端末と通信している電子トリアージタグ100−1〜100−nについては、この端末のGPSモジュール207、307を用いて位置を示すことができる。さらに、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nから、メッシュネットワークでの接続の距離を用いて位置を示すこともできる。
なお、傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nがタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nから離れていたり、故障や充電池104の容量が無くなっており、メッシュネットワークに接続できない場合、その傷病者は以前接続された場所にいるものとして過去位置を彩度の低い色等で描画する。
【0066】
表示欄1210は、表示欄1200で端末アイコンや搬送中端末アイコンを選択すると、傷病者、救命救急医や救命救急医士等の関する詳細な情報を表示する。この情報は、例えば、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報や、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの記憶部210やPND端末300−1〜300−nの記憶部310に記憶された救命救急医や救命救急医士等の情報を用いることができる。
また、表示欄1210には、図11(a)の表示欄1110と同様に、「前候補」ボタン1211と、「次候補」ボタン1212が表示されている。これらのボタンにより、それぞれ前候補と次候補の端末アイコンや搬送中端末アイコンを選択することができる。
【0067】
表示欄1220は、上述したように、ボタン1221〜1226が表示されており、当該ボタンに対応した詳細地図画面の機能を呼び出すことができる。
ボタン1221は、「画面更新」ボタンである。押下することで、センサネットワーク内の情報等を取得して、画面に表示されている情報を更新することができる。
ボタン1222は、「トリアージ分類」ボタンである。マウスカーソル1501にてボタン1222の各欄がクリック等され指示されると、表示欄1200に表示される端末アイコンと搬送中端末アイコンの表示を変更できる。たとえば、「I」では重症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「II」では中等症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「III」では軽症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「全表示」では全ての端末アイコンを表示欄1200に表示するように切り換えることができる。
ボタン1223は、「救急隊呼出し」ボタンである。ボタン1223は、表示欄1200の端末アイコン又は搬送中端末アイコンがアクティブになっている状態で押下されると、当該端末アイコン又は搬送中端末アイコンの救命救急士又は当該患者のもっとも近くにいる医療従事者が携行している携帯型無線機、例えば業務用携帯無線機400−1〜400−nや携帯電話を呼び出すことができる。また、当該電子トリアージタグ100−1〜100−nの音声出力部108からブザーを鳴らして、周囲の医療従事者に知らせることもできる。
ボタン1224は、「次搬送者確定」ボタンである。ボタン1224は、傷病者の端末アイコン又は搬送中端末アイコンがアクティブになっている状態で押下すると、次に搬送する対象者として確定するボタンである。このボタン1224が押下されたことを検知すると、管制室端末501は、搬送先の候補である複数の医療施設600に対して、当該傷病者のトリアージ情報を一斉に配信する。その後、図11(a)の表示欄1120の「搬送先候補表示」ボタン1223の押下により、各医療施設600からの受け入れに関する回答が表示できる。
ボタン1225は、「要優先処置傷病者検索」ボタンである。ボタン1225は、優先的に処置が必要な傷病者を検索し、その結果を表示欄1210にリスト形式で表示する。
ボタン1226は、「拡大」「縮小」ボタンである。ボタン1226は、表示欄1200に表示される地図の縮尺を調整する。「拡大」又は「縮小」の箇所が押下されると、表示欄1200は、表示されている詳細地図を、それぞれ拡大又は縮小して描画する。また、図11(a)の表示欄1100に表示されている表示エリア1109表示枠の表示枠についても、描画された箇所に合わせて、それぞれ拡大、縮小する。
【0068】
次に、ステップS103において、管制室端末501の搬送先検索部505は、搬送先確定処理を行う。
この処理においては、上述のように:
(1)搬送先検索部505は、図11(b)の表示欄1220の「次搬送者決定」ボタン1224の押下を検知して、次の搬送者となる電子トリアージタグ100−1〜100−nのいずれかを装着した傷病者を決定する。
(2)搬送先検索部505は、図11(a)の表示欄1120の「搬送先候補表示」ボタン1223の押下を検知して、当該傷病者を処置する医療機関である医療施設600の候補を検索する。
(3)搬送先検索部505は、図11(a)の表示欄1210の「搬送先確定」ボタン1224の押下を検知して、当該傷病者を処置する医療施設600を設定する。
という処理により、搬送が確定した傷病者を搬送する医療施設600を確定することができる。
【0069】
また、これらのステップS103の処理は、搬送先検索部505が自動的に候補を検索して表示し、管制官に確認を求めることで実行することができる。
たとえば、搬送先検索部505は、(1)の次搬送者を決定する際には、図11(a)の広域地図表示において、傷病者のトリアージ分類が高く、医療施設600に搬送しやすい距離にいる傷病者を優先して選択することができる。
また、搬送先検索部505は、(2)の医療施設を検索する際には、受け入れ人数の余裕があり、確定した傷病者を最も早く搬送可能な医療施設600を検索する。この際、大規模災害時には重体が発生することが多いため、地図情報と、他の車両の進行スピードを基に、車両の搬送までの時間を推定する。さらに、高速な搬送手段であるヘリコプター等を手配することもできる。また、搬送が間に合わない傷病者については、残念ながら、他の傷病者を優先して搬送するように指摘することもできる。
また、搬送先検索部505は、(3)の搬送先確定については、傷病者が多数いる場合には、搬送する傷病者と搬送先の医療施設とをリスト状態で一覧にして表示して、確認後に自動的に送信するように構成してもよい。
【0070】
次に、ステップS104において、管制室端末501の傷病者情報送信部506は、救急車両通知処理を行う。
この処理において、傷病者情報送信部506は、上述のように、図11(a)の表示欄1120の「車両確定/搬送先通知」ボタン1125の押下を検知して、当該傷病者を搬送する車両のPND端末300−1〜300−nのいずれかに、搬送先として確定した医療施設600の位置情報等を通知する。
これにより、当該車両の運転手は、PND端末300−1〜300−nの地図記憶部313の情報と、GPSの位置情報とを用いて、確定した医療施設600へ、確実に車両を移動させることができる。
以上により、救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理を終了する。
【0071】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1は、救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いるシステムであり、通常の医療トリアージが必要な救急車両の搬送には用いることができなかった。
このような医療トリアージにおいては、トリアージ判定してから一定の時間が経過したり、容体が急変したりするなど、再度トリアージ判定が必要な判定者を見つけ出すのに入手と時間を必要とするという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nを用いて、多数の傷病者に関するトリアージ分類等の情報と、医療施設600の状況を逐次収集し、救急指令室の管制官又は救急車両に乗車している救命救急士が、傷病者を受け入れることができる医療施設600を、時間をかけずに検索・選定することができる。これにより、特に大規模な災害や事故が発生した際、救命救急医や救命救急士の人員に限りがある場合でも、効率的に傷病者の搬送を行うことができる。
【0072】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報を、センサ・ネットワーク・モジュールを搭載した移動端末であるタグ情報入出力表示端末200−1〜200−n、PND端末300−1〜300−nを用いて取得する。これによって、トリアージ分類を始め傷病者に関する情報を迅速に収集・検索することができる。そして、限られた人員で、多くの傷病者の中から早急に救命処置が必要な傷病者を効率的に探し出すことができるため、救命処置の遅れによる死亡者数を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nに記憶された傷病者に関する情報を、センサネットワークと、消防無線システムや防災無線システムである消防・防災無線網500を介して、収集・検索を行う。これにより、傷病者の分布を把握することができる。よって、人員の補充が必要な箇所に対して、救命救急医や救命救急土の増員を行う等により、限られた人員を迅速かつ適切に配置できる。
【0073】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、傷病者に装着された電子トリアージタグ100−1〜100−nに、傷病者に関する情報を予め登録するとともに、その後の傷病者の生体情報の変化を監視・記録しておくことができる。よって、当該情報を搬送先の医療機関に送信することによって、医療機関における傷病者の受入れ準備をよりスムーズに行うことができる。また、トリアージ分類の変化を自動判定することも可能である。
【0074】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXの電子トリアージタグは、救命救急士や救命救急医がタグ情報入出力表示端末を介して無線伝送により送信された傷病者のトリアージ分類及びトリアージ判定時の位置情報と時刻、傷病者の特徴(性別、年齢等)を、無線伝送により受信する手段と、トリアージ分類を当該傷病者に関する情報を表示する手段と、傷病者の脈拍や体温などの生体情報を検出する手段と、タグ情報入出力表示端末から入力した傷病者のトリアージ区分や生体情報を記録する手段と、傷病者のトリアージ区分と生体情報を隣接する移動端末に無線で伝送する手段と、傷病者の手首等の所定の部位に固定する手段と、タグ情報入出力表示端末等の移動端末により検索した傷病者の所在を報知する手段と、トリアージ判定後所定の時簡経過、脈拍、体温等の傷病者の生体情報の異常発生を、表示部を点滅する等により視覚的に知らせる手段とを備えた電子トリアージタグであることを特徴とする。
【0075】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのタグ情報入出力表示端末は、トリアージ判定時の位置情報と時刻を検出するための手段と、性別、年齢等の傷病者の特徴や傷病に関する所見、トリアージ判定結果を入力する手段と、入力した当該情報を指定した電子トリアージタグに伝送する手段と、周辺に存在する複数の電子トリアージタグに記憶されている傷病者毎の情報を無線伝送により収集する手段と、任意の検索条件に該当する電子トリアージタグの表示部を点滅させたりブザー音を発生させたりするように、遠隔で操作できる手段とを備えたタグ情報入出力表示端末であることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、多数の傷病者に関するトリアージ情報について、消防無線システムや防災無線システム等の移動端末に送信して記憶し、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある管制室端末に伝送する手段と、収集した傷病者に関する情報から、救急治療を優先すべき傷病者を検索する手段と、搬送する傷病者に関する楕報を医療施設に設置された情報端末に伝送する手段と、傷病者に関する情報を各施設の情報端末に表示する手段を備えた救急搬送先検索システムであることを特徴とする。
【0077】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、複数の傷病者に関する情報について、消防無線システムあるいは防災無線システム等の移動端末に送信して記憶し、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある端末に伝送する手段と、収集した傷病者のうち、任意の傷病者に関する前述の情報を、搬送先の候補である医療機関に伝達する手段と、搬送先の候補である医療機関で、受信した任意の傷病者に関する前述の情報に基づき、傷病者の受け入れ可否を判定し、その結果を消防救急指令室や災害対策指令本部にある固定端末に伝達する手段と、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある装置に、傷病者を受け入れる状態の医療機関であるか否かの動態情報を逐次収集する手段と、収集した情報を基に最適な搬送先を検索する手段と、搬送先を検索した結果を管制室の固定端末を介して表示する手段と、搬送先を検索した結果を、救急車に搭載した車載端末あるいは携帯端末を介して表示する手段を備えた救急搬送先検索システムであることを特徴とする。
【0078】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100−1〜100−n 電子トリアージタグ
101、201、301、401 信号処理制御部
103、203、303、403 電源制御部
104、204、304、404 充電池
105、205、305、604−1〜604−n センサネットワーク通信モジュール
106、206 RFモジュール
107 発光部
108、208、308、408 音声出力部
109、209、309、409、503、603 表示部
110、210、310、410 記憶部
111 生体センサ
120 筐体
130 バンド
140 面ファスナーループ
145 面ファスナーフック
200−1〜200−n タグ情報入出力表示端末
207、307 GPSモジュール
211 メモリカード
212、312、412、502、602 入力部
300−1〜300−n PND端末
313 地図記憶部
315、415 インタフェース部
400−1〜400−n 業務用携帯無線機
406 RF部
407 音声入力部
500 消防・防災無線網
501 管制室端末
504 医療施設情報収集部
505 搬送先検索部
506 傷病者情報送信部
540−1〜540−n 業務無線向け制御局
550−1〜550−n 業務無線向け基地局
507、607 地上系無線伝送装置
508、608 衛星系無線伝送装置
520、620 監視サーバ
521、621 監視データベース
515 専用デジタル回線網
600 医療施設
601 情報端末
617 通信回線網
700 通信衛星
900 無線多重回線網
910 有線多重回線網
920 衛星回線
930 GPS信号
1001、1002、1003、1004、1005、1006、1007、1008、1009、1010、1011 端末アイコン
1021、1022 搬送中端末アイコン
1100、1110、1120、1200、1210、1220 表示欄
1101、1102、1103、1104 車両アイコン
1108 医療施設アイコン
1109 表示エリア
1111、1112、1121、1122、1123、1124、1125、1211、1212、1221、1222、1223、1224、1225、1226 ボタン
1500、1501 マウスカーソル
X 救急搬送先検索システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、救急搬送先検索システムに係り、特に集積回路を用いたトリアージタグを使用する救急搬送先検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震、火山噴火、台風、洪水、火災、高い病原性をもつウィルスの拡散、鉄道・航空機事故、テロリズム等、医療資源の分配が問題となる災害時の医療活動の重要性が指摘されている。このような災害の際に、被災者の最適な救命活動を行うために、傷病者を重症度と緊急性によって分類し、治療の優先度を決定する「医療トリアージ」が用いられてきている。
また、近年、高齢化に伴う医療機関の負担増大等により、救急車等による緊急搬送の「たらいまわし」が問題になっている。
これらの課題に対応するため、医療機関への傷病者の程度に応じた効率的な緊急搬送システムの構築が緊急の課題になっている。
【0003】
ここで、図12を参照して、従来のトリアージタグ(トリアージタッグ)と、トリアージの判定の分類について説明する。
従来のトリアージタグは、我が国では規格化されており、直接治療に関与しない専任の医療従事者や、救急救命士や救急救命医によりトリアージ分類の判定を行って、傷病者の状態等を書き加えるようになっている。
図12は、この医療トリアージを行う際のトリアージ分類を示す図である。トリアージタグでは、治療の優先順位毎に色分けしてトリアージ分類を区別する。この優先順位としては:
赤(I)、第1順位、最優先治療群(重傷群)、命を救うため、直ちに処置を必要とする傷病者。窒息、多量の出血、ショックの危険性のある者等。
黄(II)、第2順位、待機的治療群(中等症群)、多少治療の時間が遅れても、生命に危険がない傷病者。基本的にバイタルサイン(vital signs、生命兆候)が安定している傷病者。
緑(III)、第3順位、上記以外の軽微な疾病で、ほとんど専門医の治療を必要としない傷病者。
黒(0)、第4順位、死亡群、既に死亡しているもの、又は明らかに即死状態で、心肺蘇生の可能性のない傷病者。
【0004】
このような従来のトリアージタグにおいては、下部のミシン目を切り取って、傷病者のトリアージ分類を示すようになっている。
ところが、搬送等の作業中に誤って残りのミシン目が切り取られてしまい、正確なトリアージ判定が伝達できない場合があるという問題があった。
また、従来のトリアージタグは紙であり、さらに多数の傷病者にトリアージタグが取り付けられる。このため、傷病者の中から最優先で治療を施す必要のある傷病者を探し出すのに時間を要するという問題があった。
このため、医療施設に搬送するまでに時間がかかり、重症の傷病者が助かる可能性が低くなることがあるという問題があった。
【0005】
ここで、従来の技術として特許文献1を参照すると、タクシー等の救急患者の搬送を目的としていない車両を用いて、救急依頼を行った救急患者を適切な病院に迅速に搬送する救急患者の搬送システムが開示されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の救急患者の搬送システムは、救急患者の搬送を目的としていない車両に備えられたコンピュータと、患者情報や病院情報等の医療ネットに必要な情報を管理する少なくとも1つの集中サーバと、医療用情報ネットワークに登録された複数の病院サーバとがネットワークを介して相互に接続されて構成されている。また、このコンピュータには、医療ネットで診察券として使用するICカード内の患者情報を読み込むICカードリーダが設けられ、患者情報を前記集中サーバに送信する手段と、前記集中サーバからの指定病院の情報を受信する手段とを有している。この集中サーバは、前記コンピュータからの患者の情報を受信する手段と、受信した患者の情報に基づいて、患者の搬送先の当該患者にとって最適な病院を決定する手段と、決定した病院の情報を前記コンピュータに送信する手段とを有し、前記車両により前記集中サーバから指定された病院に救急患者を搬送することを特徴としている。
従来技術1の救急患者の搬送システムによれば、通常は救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いて、救急患者を適切な病院に迅速に搬送することができる。
【0006】
ここで、従来技術1を含む従来の緊急搬送システムにおいては、 緊急の医療処置が必要な傷病者を搬送する医療機関を決定するにあたって、以下のような手段を用いるのが一般的である:
(1) 救急車両で傷病者を搬送中に、救命救急士が傷病者の容態を確認し、その確認結果を管制センタに報告する。管制センタの管制官は、受入れ可能な医療機関を検索し、その検索結果を基に、救命救急士に傷病者を搬送する医療機関を指示する。救急車両と管制センタとの間の連絡は、主として、無線システムによる音声通話を用いて行う。
(2) 救急車で傷病者を搬送中に、救命救急士が傷病者の容態を確認し、その確認結果を基に、周辺の医療機関に対して、個別に受入れ可否の問合せを行う。医療機関から受入れ可能であると回答があった場合は、その医療機関に傷病者を搬送する。受入れ不可能という回答があれば、受け入れ可能な医療機関が見つかるまで、問合せを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−71092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術1は、救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いるシステムであり、通常の医療トリアージが必要な救急車両の搬送には用いることができなかった。
また、従来技術1のような救急患者の搬送システムにおいては、主に音声通話を用いて受け入れ可能な医療機関への問い合わせを繰り返すため、傷病者を搬送する医療機関を決定するまでに時間がかかるという問題があった。特に、大規模な災害や事故などにより、大多数の傷病者の救命処置が必要になった場合、搬送先の医療機関を決定するのに音声通話のみであると、搬送に時間がかかり、傷病者の搬送が間に合わなかったり心理的に大きな負荷をかけたりするというリスクがあった。
また、音声通話によるやり取りでは、傷病者の容態の詳細を伝えることには困難が伴うことが多く、救急車両が到着するまでの問、医療機関において、傷病者の受け入れ準備を十分に行うことが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の救急搬送先検索システムは、複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の管制室端末と移動端末とに伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグと、収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末と、搬送先の候補である前記医療機関において、受信した前記傷病者に関する情報に基づき、前記傷病者の受け入れ可否を前記管制室端末に送信する情報端末とを備え、前記管制室端末は、前記医療施設が前記傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、収集した前記傷病者に関する情報と前記医療施設の前記動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、検索した結果の搬送先の情報を、前記傷病者を搬送する車両の前記移動端末に送信する傷病者情報送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子トリアージタグの傷病者に関する情報を収集し、管制室端末にて搬送先の医療施設を確定し、傷病者に関する情報を送信することで、効率的に傷病者を搬送することができる救急搬送先検索システムを提供することができる。
また、医療施設にて傷病者に関する情報を収集できるため、効率的に傷病者を受け入れる準備をさせる救急搬送先検索システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る消防・防災無線網500の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る医療施設600の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1の外観を示す(a)平面図(b)側面図(c)底面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るタグ情報入出力表示端末200−1の制御構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るPND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の制御構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係るメッシュネットワークと端末アイコンの表示の概念図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るトリアージ情報の例を示す概念図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る傷病者の搬送に関する画面の表示例である。
【図12】従来のトリアージ分類を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
〔救急搬送先検索システムXのシステム構成例〕
以下で、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのシステム構成の1例について、図面を参照して詳しく説明する。
図1を参照して説明すると、本実施形態の救急搬送先検索システムXは、広域的な消防・防災無線に接続された各種機器のシステムである消防・防災無線網500と、医療機関における情報システムである医療施設600とが、各種ネットワークで結ばれるような構成を用いている。
この各種ネットワークとしては、例えば、専用線やインターネットや無線ネットワーク等のIPネットワークを用いた、無線多重回線網900、有線多重回線網910、衛星回線920のような通信回線を使用可能である。
このうち、無線多重回線網900は、消防・防災無線網500に接続された地上系無線伝送装置507と、医療施設600に接続された地上系無線伝送装置607との間で無線通信を行う通信回線である。
有線多重回線網910は、救急搬送先検索システムX用の専用のデジタル通信回線である。このデジタル通信回線としては、災害等への耐久性が高く、高容量の回線を用いることができる。また、複数の回線が切断されても各部に接続できるような冗長化をすることが好適である。
衛星回線920は、消防・防災無線網500に接続された衛星系無線伝送装置508を用いて、通信衛星700を介し、医療施設600に接続された衛星系無線伝送装置608との間で無線通信を行う通信回線である。
また、消防・防災無線網500と医療施設600の各機器は、GPS衛星800やIMES端末850からの位置測位を行い、後述する電子トリアージタグ100−1〜100−n(図2参照)からの位置情報を測定して、お互いの地図上の場所を報知しあう。
なお、医療施設600は、例えば、複数の病院をネットワークで接続して構成してもよい。また、医療施設600の機器は、病院毎に複数備えることができる。さらに、消防・防災無線網500も、他の消防・防災無線網と接続して大規模に構成することができる。
【0014】
地上系無線伝送装置507、607は、業務用の無線システムで、防災無線用の周波数帯域を用いて高速な無線伝達を行うことができる。
衛星系無線伝送装置508、608は、一般的な通信衛星である通信衛星700との間でパラボラアンテナ等を用いて通信を行う。このため、災害により通常の通信網が途絶した地域でも通信可能である。
GPS衛星800としては、GPS(Global Positioning System)は、衛星からの電波により測位を行うシステムで、米国の衛星の他に、欧州のGalileo positioning systemや準天頂衛星システムの衛星を用いることもできる。
IMES端末850は、IMES(Indoor Messaging System)の端末である。IMESは、GPSと同じ信号を用いて、屋内外を問わず、GPSの信号と併せて位置測位を可能にする方式である。
【0015】
〔消防・防災無線網500の制御構成例〕
次に、図2を参照して、消防・防災無線システムである消防・防災無線網500の制御構成の1例について説明する。消防・防災無線網500は、専用デジタル回線網515に、管制室端末501、監視サーバ520、業務無線向け制御局540−1〜540−n等が接続され構成されている。また、専用デジタル回線網515は、図1の地上系無線伝送装置507、衛星系無線伝送装置508、有線多重回線網910に接続されている。
【0016】
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、傷病者に装着する電子トリアージタグである。電子トリアージタグ100−1〜100−nは、各傷病者に備え付けられ、トリアージの分類に加えて、後述する各情報を記憶し、傷病者の状態を生体センサ111(図4)にて把握する。
【0017】
タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n(図3参照)は、電子トリアージタグ100−1〜100−nへの情報の入力を行う移動端末である。図2においては、タグ情報入出力表示端末200−nを、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの1つとして示す。
具体的には、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nは、救命救急医や救命救急士が、トリアージ分類をはじめ傷病者に関わる情報を電子トリアージタグ100−1〜100−nに書込んだり、読み込んだりする移動端末である。
この書き込みの際には、まず、救命救急医や救急救命士等の医療従事者が、傷病者の様態からなるトリアージの分類を判定する。
救急救命士や看護婦は、この判定されたトリアージの分類、その他の傷病者に関する情報を、トリアージ情報としてタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nに入力する。
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、この入力されたトリアージ情報を受信すると、記憶部110(図4)に記憶する。
【0018】
PND端末300−1〜300−nは、周辺に存在する電子トリアージタグ100−1〜100−nに記録された傷病者に関わるトリアージ情報を収集し、検索条件を設定して検索を行い表示し、収集したトリアージ情報を消防・防災無線網500の各端末に転送する移動端末である。
また、PND端末300−1〜300−nは、GPS機能を備えたPND(Personal Navigation Device)の移動端末である。PND端末300−1〜300−nは、電子トリアージタグ100−1〜100−nからの信号を受信して、専用デジタル回線網515を介して、救急救命士が緊急搬送について管制室端末501との間で情報をやり取りするために用いる。
【0019】
業務用携帯無線機400−1〜400−nは、主として、消防・防災無線網500用の業務用携帯型デジタル無線機である移動端末である。
業務用携帯無線機400−1〜400−nは、それぞれPND端末300−1〜300−nと接続された業務用携帯無線装置であり、例えば、車両にカーナビゲーション端末として用いることもできるように備えることができる。業務用携帯無線機400−1〜400−nは、それぞれPND端末300−1〜300−nと接続されている。
【0020】
管制室端末501は、消防・防災無線網500の管制室(管制センタ)に配置され、管制官が用いる端末である。この管制室は、災害対策指令本部や専用の防災センタ等に配置することができる。
管制室端末501は、監視サーバ520が蓄積した各種情報を閲覧したり、各PND端末300−1〜300−nや、救急車両や消防車両等である傷病者の搬送用の車両の無線等に指示を行うことができる。また、管制室端末501は、医療施設600の情報端末601と連絡を取り合うことができる。管制室端末501としては、PC/AT互換機等のPC(Personal Computer)や専用機等を用いることができる。なお、本実施形態の傷病者の搬送用の車両としては、タクシー、人力車、ヘリコプター、航空機、船等の緊急搬送用に用いることができる乗り物をすべて含む。
管制室端末501は、このうち、キーボードやポインティングデバイス等の入力部502、液晶ディスプレイやPDPディスプレイやプロジェクタ等の表示部503、フラッシュライトやサイレンその他の報知装置等を備えている。
また、管制室端末501は、傷病者の搬送に関する画面を描画して各機能を実行するための医療施設情報収集部504、搬送先検索部505、及び傷病者情報送信部506等のプログラムや回路等を備えている。
【0021】
医療施設情報収集部504は、下記で説明する監視サーバ520の医療機関動態監視サーバと医療機関データベースから搬送する傷病者を確定し、搬送が確定した傷病者の情報を複数の医療施設600に送信し、この複数の医療施設600からの返信の情報を、医療機関データベースに記憶するプログラムや回路等である。医療施設情報収集部504は、この返信の情報を表示部503に描画することもできる。
搬送先検索部505は、複数の医療施設600からの返信の情報と地図情報とを基に、傷病者の受け入れ先となる医療施設600の情報を検索するプログラムや回路等である。搬送先検索部505は、表示部503に医療施設600の情報を描画することもできる。
傷病者情報送信部506は、入力部502により指示を検知して、傷病者の受け入れ先となる医療施設600に関する情報を、PND端末300−1〜300−nやタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nを備えた車両に送信するプログラムや回路等である。
【0022】
監視サーバ520は、監視データベース521と接続され、消防・防災無線網500の各機器をハードウェア資源を用いて監視するサーバである。監視サーバ520は、PCや専用機等を用いて、複数のサーバから構成するのが好適である。
監視サーバ520は、医療機関動態監視サーバ、傷病者動態監視サーバ、救護班動態監視サーバのようなサーバから構成することができる。
また、監視データベース521は、医療機関データベース、傷病者動態情報データベース、救護班動態情報データベースから構成することができる。これに加え、監視データベース521は、例えばGPS用に用いる地図情報データベースを備える。
このうち、医療機関動態監視サーバと医療機関データベースとは、各医療機関の位置や傷病者受け入れ可能数等を把握するために用いる。
また、傷病者動態監視サーバと傷病者動態情報データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報を取得して、個々の傷病者の位置、トリアージの等の分類、時系列的な分類の変化等の動態を監視するために用いる。
また、救護班動態監視サーバと救護班動態情報データベースとは、車両の状態や搬送先等の動態をPND端末300−1〜300−nからの情報にて監視する。また、救護班動態監視サーバと救護班動態情報データベースとは、治療やトリアージの判定を行うことができる救命救急士、看護婦、救命救急医、医師、技士等の者の位置や治療可能な状態であるか等の動態を、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n(図3)からの情報により監視する。
【0023】
業務無線向け制御局540−1〜540−nは、業務無線向け基地局550−1〜550−nからの情報を制御して、専用デジタル回線網515に接続するための通信設備である。
また、業務無線向け基地局550−1〜550−nは、業務用携帯無線機400−1〜400−nの無線信号を送受信する基地局設備である。この基地局設備との通信には、一般的な災害用途に用いる業務用無線を用いることができる。
【0024】
〔医療施設600の制御構成例〕
次に、図3を参照して、医療機関における情報システムである医療施設600の制御構成の1例について説明する。医療施設600は、専用デジタル回線網515に、情報端末601、センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−n、監視サーバ620等が接続され構成されている。また、専用デジタル回線網515は、図1の地上系無線伝送装置607、衛星系無線伝送装置608、有線多重回線網910に接続されている。
【0025】
情報端末601は、医療施設にある各種情報端末装置である。情報端末601は、監視サーバ620が蓄積した各種情報を閲覧したり、消防・防災無線網500の管制室端末501(図2)と連絡を取り合ったりすることができる。
また、情報端末601は、各傷病者に備えられた電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報を取得、閲覧することができる。情報端末601としては、PCや専用機等を用いることができる。
また、情報端末601は、キーボードやポインティングデバイス等である入力部602、液晶ディスプレイやPDPディスプレイやプロジェクタ等である表示部603等を備えている。
【0026】
センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nは、短距離無線ネットワーク、例えば、ZigBee(登録商標)の「アクセスポイント」となる通信モジュールである。センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nは、例えば、医療機関の病室内やベッド等に備え付けられており、各傷病者に備えられた電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報を取得することができる。
ZigBeeは転送距離が短く低速であるものの、消費電力が少なく安価という特徴を備えているネットワークであり、IEEE802.15.4で規格化されている。
電子トリアージタグ100−1〜100−nは、本実施形態に係る救急搬送先検索システムXにおいて、ZigBeeをメッシュネットワークとして用いる。すなわち、電子トリアージタグ100−1〜100−n同士が情報を媒介して、短距離無線ネットワークを形成する。
また、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nは、医療施設600にて、電子トリアージタグ100−1〜100−nに判定されたトリアージの分類や、その他の傷病者に関する情報を入力する移動端末である。タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nも、GPS機能を備えている。
【0027】
監視サーバ620は、監視データベース621と接続され、医療施設600の各機器をハードウェア資源を用いて監視するサーバである。監視サーバ620は、PCや専用機等を用いて、複数のサーバから構成するのが好適である。
監視サーバ620は、電子カルテ管理サーバ、傷病者動態監視サーバ、施設管理サーバ、傷病者動態監視サーバ、職員動態監視サーバ、医薬品・消耗品在庫管理サーバ等を用いることができる。また、監視データベース621は、電子カルテ・データベース、傷病者動態情報データベース、職員動態監視データベース、職員動態情報データベース、施設情報データベース、医薬品・消耗品データベース等を備えることができる。
このうち、電子カルテ管理サーバと電子カルテ・データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nに対応づけられ、具体的な傷病者の診断用等に用いる。
傷病者動態監視サーバと傷病者動態情報データベースとは、電子トリアージタグ100−1〜100−nからリアルタイム(実時間)で位置、トリアージ分類、生体センサ111(図4)のような情報をセンサネットワークにて受信して記憶し、傷病者の怪我や病状等の動態を監視するために用いる。
職員動態監視サーバと、職員動態監視データベースと、職員動態情報データベースとは、救命救急士、看護婦、救命救急医、医師、看護婦、技士、その他の医療従事者等である医療施設600の職員の位置や治療等の動態を監視するために用いる。このうち、職員動態監視データベースは、PND端末300−1〜300−nの位置情報を基に、救急救命士等の位置を把握して記憶する。また、職員動態情報データベースは、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの位置情報を基に、救急救命医等の位置を把握して記憶する。
【0028】
〔電子トリアージタグ100−1の制御構成例〕
次に、図4〜6を参照して、本発明の実施の形態に係る電子トリアージタグ100−1〜100−nのうち、電子トリアージタグ100−1を代表例として、制御構成例について説明する。上述したように、電子トリアージタグ100−1〜100−nは、傷病者に装着する電子トリアージタグであり、トリアージ分類を含む傷病者のトリアージ情報を記憶し、傷病者のバイタルサインを測定し、ZigBee等のネットワークを用いて送出することができる。
電子トリアージタグ100−1は、主に信号処理制御部101と、電源制御部103と、充電池104と、センサネットワーク通信モジュール105と、RFモジュール106と、発光部107と、音声出力部108と、表示部109と、記憶部110と、生体センサ111とを含んで構成される。
なお、電子トリアージタグ100−1に、GPS機能のためのGPSモジュールを備える構成も可能である。
【0029】
信号処理制御部101は、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)等の、電子トリアージタグ100−1の信号処理と制御を行う部位である。
具体的には、信号処理制御部101は、各種I/OやA/DコンバータやLED(Light Emitting Diode)のドライバ等を備えており、各部からの信号を受信し、記憶し、表示し、センサネットワーク通信モジュール105にて送信する。
【0030】
電源制御部103は、充電池104からの電力を信号処理制御部101や各部に加える際の電圧や電流等を制御する部位である。
電源制御部103は、信号処理制御部101からの信号により、各部の電源制御を行う。具体的には、充電池104の容量が減った場合に、例えば、センサネットワーク通信モジュール105の通信信号の送受信間隔を減らしたり、発光部107や表示部109の表示の明度や書き換え間隔を減らしたりといった省電力処理を行うことができる。
【0031】
充電池104は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池やキャパシタ等の電力を蓄える部位である。
充電池104は、災害現場で用いるために安全性の高い二次電池を用いることができる。
なお、充電池104に通常の乾電池や、使用期限が長い空気電池のような一次電池を用いることもできる。
【0032】
センサネットワーク通信モジュール105は、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nと接続して、例えばZigBeeのメッシュネットワークを形成するための通信モジュールである。
このセンサネットワーク通信モジュール105を介して、複数機器同士のN対Nの通信を行うことができる。
【0033】
RFモジュール106は、タグ情報入出力表示端末200−1のRFモジュール206(図6参照)との間で無線通信を行うRF(Radio Frequency)、すなわち電波送受信部位である。電子トリアージタグ100−1に記憶された傷病者のトリアージ情報を送受信する。この際に、例えば、タグ情報入出力表示端末200−1と電子トリアージタグ100−1とで、1対1の通信を行うことができる。
【0034】
発光部107は、高輝度LEDや有機EL(Electro Luminescence)パネル等により、トリアージ分類を色別で表示する部位である。
なお、表示部109にカラー液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、色別表示が可能な表示モジュールを用いた場合には、発光部107を省略可能である。
【0035】
音声出力部108は、D/Aコンバータ、デジタルアンプ、スピーカ、圧電ブザー等の部位である。音声出力部108は、信号処理制御部101からの制御信号により、傷病者の容態の変化や所定の時刻経過等を音声にて周囲に報知する機能を備える。
具体的には、音声出力部108は、生体センサ111からの傷病者のバイタルサインが変化した場合、傷病者がトリアージ判定後に所定時間が経過している場合、充電池104が消耗した場合等に、警告音を発することができる。
また、音声出力部108は、音声合成により、電子トリアージタグ100−1内のトリアージ情報等を音声にて出力できる。
これにより、医療従事者の負担を軽減することができる。
【0036】
表示部109は、比較的応答性が早く自発光する有機ELディスプレイ、カラー液晶とバックライト用白色LED等のデバイスを組み合わせることで、表示部からトリアージ分類の識別色等を発光することができる。
また、表示部109は、比較的応答性が遅い電気泳動型の電子ペーパー、または反射型のモノクロ液品等の単色表示のデバイス用いて、表示部をモノクロで表示するように構成することもできる。この場合、電子ペーパーやモノクロ液晶はカラーで自発光できないデバイスであるため、トリアージ分類の識別色は、発光部107の高輝度LEDを用いて表示する。
【0037】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶部である。
記憶部110は、傷病者のトリアージ情報を記憶する。また、記憶部110は、生体センサ111から取得した傷病者のバイタルサインを時系列的に記憶しておくこともできる。
また、記憶部110は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのGPSモジュール207(図6)や、PND端末300−1〜300−nのGPSモジュール307(図7)から取得した位置情報を、時系列的に記憶することもできる。
また、記憶部110は、図示しないマイク等の音声入力部から入力した音声、更に医療従事者等の指示等についても記憶可能である。
【0038】
生体センサ111は、傷病者の容態をモニタリングするための生体センサである。
生体センサ111としては、ピエゾ素子を用いた圧力センサ、血流や体内温度を測定する赤外線センサ、サーミスタを用いた温度センサ等を用いることができる。これにより、傷病者の脈拍や体温などを測定することができる。
【0039】
〔電子トリアージタグ100−1の外観の例〕
次に、図5を参照して、具体的に電子トリアージタグの外観の具体例について説明する。ここでは、電子トリアージタグ100−1をリストバンド型に構成した例について示す。
図5(a)は、電子トリアージタグ100−1の平面図である。同様に、図5(b)は側面図、図5(c)は底面図を示している。
電子トリアージタグ100−1は、筐体120にバンド130を備えている。このバンド130には、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナーのループとフックである面ファスナーループ140と、面ファスナーフック145とを備えている。これにより、電子トリアージタグ100−1は、医療従事者により、傷病者の腕等の部位に容易に密着させて装着させることができる。
電子トリアージタグ100−1を傷病者に装着させる際には、腕に当てる筐体120の裏面に生体センサ111を位置させる。
この際、医療従事者が確認できる表面に、発光部107と、表示部109とを備えることで、傷病者のトリアージ分類やバイタルサイン等の状態を発光により報知することができる。また、夜間でも視認性を高められる。
また、発光部107は、従来のトリアージタグと同様の分類の色を発光する複数の高明度LEDを備えることで、視認性を高めることができる。この際、分類「0」の場合には、従来の分類の色は黒であるものの、全てのLEDが消灯することでこの状態を示すと、電池が消耗しているだけなのか否か分からないので、全部のLEDを発光させたり赤のLEDを点滅させる等の表示によりトリアージ分類を示すことができる。
また、音声出力部108は、小さな穴から音声を出力することで、水の浸入やスピーカのコーン紙の破れ等を防ぐことができる。
また、センサネットワーク通信モジュール105とRFモジュールのアンテナは筐体120の内部に備えることができる(図示せず)。
【0040】
電子トリアージタグ100−1を傷病者の手首に装着することで、傷病者の容態の変化をモニタリングして、傷病者の所定の時刻経過等を、周囲にいる不特定多数の人に知らせることができる。
また、電子トリアージタグ100−1は、上述したようなセンサネットワーク通信モジュール105とRFモジュール106とにより、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nを介して、医療従事者に傷病者の詳細なトリアージ情報を伝えることができる。
【0041】
〔タグ情報入出力表示端末200−1の制御構成例〕
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態に係るタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのうち、タグ情報入出力表示端末200−1を代表例として、制御構成の一例について説明する。
タグ情報入出力表示端末200−1は、主に、医療従事者のうち救命救急医や救命救急士が、電子トリアージタグ100−1〜100−nにトリアージ情報を書込んだり読み込んだりする為の移動端末である。
タグ情報入出力表示端末200−1としては、携帯型のPC、PDA(Personal Data Assistant)、スマートフォン、専用端末等を用いることができる。
【0042】
タグ情報入出力表示端末200−1は、主に信号処理制御部201と、電源制御部203と、充電池204と、センサネットワーク通信モジュール205と、RFモジュール206と、GPSモジュール207と、音声出力部208と、表示部209と、記憶部210と、メモリカード211と、入力部212とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部201は信号処理制御部101と、電源制御部203は電源制御部103と、充電池204は充電池104と、センサネットワーク通信モジュール205はセンサネットワーク通信モジュール105と、RFモジュール206はRFモジュール106と、音声出力部208は音声出力部108と、表示部209は表示部109と、記憶部210は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。しかしながら、タグ情報入出力表示端末200−1は、電子トリアージタグ100−1よりも高度な機能をもつ端末(以下、フル機能デバイスという。)であり、例えば、信号処理制御部201は信号処理制御部101よりも高度な演算能力をもち、充電池204は充電池104より電力の容量も多く、表示部209は表示部109より広く高精細なカラーディスプレイを用いることができる。
【0043】
また、GPSモジュール207は、GPSのアンテナと受信モジュールの部位である。GPSモジュール207は、GPS衛星800やIMES端末850からの位置情報を取得して、タグ情報入出力表示端末200−1を報知するために用いることができる。
メモリカード211は、傷病者の特徴やモニタリングした結果等を記録するためのフラッシュメモリカードや光学記憶媒体等の不揮発性の外部記憶媒体である。また、メモリカード211は、タグ情報入出力表示端末200−1を使用してトリアージ判定をするための医療従事者のユーザー認証をするために用いることができる。
入力部212は、図1の管制室端末501の入力部502と同種の機能を持つ入力部位であり、キーボードやポインティングデバイスを備えることができる。これに加え、入力部212のタグ情報入出力表示端末200−1における操作性を向上させるため、画面上をタッチするタッチパネルや電磁デジタイザ等を用いて構成することもできる。
なお、タグ情報入出力表示端末200−1は、電子地図の情報を記憶した地図記憶部を備えていてもよい。この電子地図の情報は、メモリカード211にて提供することもできる。
【0044】
〔PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の制御構成例〕
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態に係るPND端末300−1〜300−nと業務用携帯無線機400−1〜400−nのうち、PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1の一対を代表例として、制御構成例について説明する。PND端末300−1は、主に車両や医療従事者が傷病者を搬送する現場で用いる移動端末であり、業務用携帯無線機400−1と接続して用いる。また、業務用携帯無線機400−1は、主に消防・防災無線網500へ接続するための業務用通信装置である。
なお、PND端末300−1と業務用携帯無線機400−1とは、それぞれ単独で用いても、図7のようにインタフェース部315とインタフェース部415とにより接続して用いてもよい。
【0045】
PND端末300−1は、周囲に電子トリアージタグ100−1〜100−nが存在する場合、当該電子トリアージタグ100−1〜100−nに記憶された傷病者のトリアージ情報を収集する移動端末である。この上で、PND端末300−1は、所定の検索条件で傷病者に関する情報を検索して表示するとともに、収集したトリアージ情報を消防・防災無線網500の管制室端末501と、他の移動端末、すなわちPND端末300−1〜300−n、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nに転送することができる。
PND端末300−1についても、携帯型のPC、PDA(Personal Data Assistant)、専用端末等を用いることができる。
【0046】
PND端末300−1は、主に信号処理制御部301と、電源制御部303と、充電池304と、センサネットワーク通信モジュール305と、GPSモジュール307と、音声出力部308と、表示部309と、記憶部310と、入力部312と、地図記憶部313と、インタフェース部315とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部301は信号処理制御部101と、電源制御部303は電源制御部103と、充電池304は充電池104と、センサネットワーク通信モジュール305はセンサネットワーク通信モジュール105と、音声出力部308は音声出力部108と、表示部309は表示部109と、記憶部310は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。また、図6のタグ情報入出力表示端末200−1と同様の名称をもつ、GPSモジュール307はGPSモジュール207と、入力部312は入力部212と、それぞれ同種の機能を備える部位である。加えて、PND端末300−1は、タグ情報入出力表示端末200−1と同様にフル機能デバイスであり、各部位について電子トリアージタグ100−1よりも高度な機能を備えることができる。
【0047】
また、地図記憶部313は、GPSの情報により地図上での位置を得るための電子地図の情報を記憶した部位である。地図記憶部313の地図は、図示しない外部記憶媒体やネットワークを用いて更新することができる。
インタフェース部315は、業務用携帯無線機400−1と接続するための電子的、光学的な専用のインターフェイスである。なお、インタフェース部315には、一般的なUSB(Universal Serial Bus)等を用いることもできる。
【0048】
業務用携帯無線機400−1は、主に、消防・防災無線網500用に対して通話やデータ通信を行うための移動端末である。業務用携帯無線機400−1としては、通常の業務用携帯型デジタル無線機を用たり、衛星携帯電話、通常の携帯電話等を用いることもできる。
業務用携帯無線機400−1は、主に信号処理制御部401と、電源制御部403と、充電池404と、RF部406と、音声入力部407と、音声出力部408と、表示部409と、記憶部410と、入力部412とを含んで構成される。
このうち、図4の電子トリアージタグ100−1と同様の名称をもつ、信号処理制御部401は信号処理制御部101と、電源制御部403は電源制御部103と、充電池404は充電池104と、音声出力部408は音声出力部108と、表示部409は表示部109と、記憶部410は記憶部110と、それぞれ同種の機能を備える部位である。また、図6のタグ情報入出力表示端末200−1と同様の名称をもつ、入力部412は入力部212と、それぞれ同種の機能を備える部位である。
しかしながら、業務用携帯無線機400−1は、例えば、大きめの携帯電話のような形態の端末を用いることができ、入力部412としては、テンキーや送話ボタンやチャンネル切り替えボタン等を用いることができる。
【0049】
また、RF部406は、業務無線向け基地局550−1〜550−nと接続するためのデジタル無線の増幅やチューニング等を行う部位である。
音声入力部407は、コンデンサマイク等の音声入力を行うための部位である。なお、業務用携帯無線機400−1にて音声入力をするためには、送話ボタンを押して送話するように構成してもよい。
インタフェース部415は、インタフェース部315と接続するための電子的、光学的なインタフェースである。
なお、PND端末300−1ではなく、業務用携帯無線機400−1にGPSモジュールを備えるような構成も可能である。
【0050】
〔救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理〕
次に図8〜図11を参照して、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理について説明する。
上述したように、救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nとセンサネットワークを用いて、必要な情報を迅速に収集し、的確な救護を可能とする救急搬送先の検索システムである。
救急搬送先検索システムXは、大規模な災害、事故等が発生した場合、大多数の傷病者に対して、迅速な救命活動を行うため、複数の傷病者に関わるトリアージ情報、例えば、傷病者の性別・年齢等の特徴、トリアージ分類、生体センサ111(図4)の情報等を収集し、消防・防災無線網500や医療施設600に伝達する。
これにより、収集した傷病者のトリアージ情報を基に、適切な治療が行える医療施設600を検索でき、大多数の傷病者に対して迅速な救急搬送を可能にすることができる。
以下で、図8のフローチャートを用いて、ステップ毎に具体的な処理の説明をする。
【0051】
まず、ステップS101において、センサネットワークに接続された各機器は、センサネットワーク処理を行う。
具体的には、電子トリアージタグ100−1〜100−n(タグ)の信号処理制御部101、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの信号処理制御部201、及びPND端末300−1〜300−nの信号処理制御部301は、各タグと端末同士、センサネットワーク通信モジュール105、205、305を用いて、N(複数)対N(複数)の通信を確立する。また、医療施設600においては、センサネットワーク通信モジュール604−1〜604−nを用いて、各タグと端末との通信を確立する。この通信は、上述したように、ZigBee等を用いたメッシュネットワークでの通信を行うことができる。
救急搬送先検索システムXにおいては、このようにメッシュネットワークが確定した後で、端末の位置情報とネットワークの接続情報とを基に、各タグと端末の情報を表示することができる。この各タグと端末の情報は、消防・防災無線網500の管制室端末501の表示部503や、医療施設600の情報端末601の表示部603、各端末の表示部209、309等に表示可能である。
また、このようなメッシュネットワークにて取得した情報は、消防・防災無線網500の監視サーバ520が監視データベース521に記憶する。また、医療施設600の監視サーバ620も、取得した情報を監視データベース621に記憶する。
【0052】
図9の概念図を参照して、センサネットワークの各タグと端末の表示例について説明する。この表示例は、監視データベース521、621に記憶された情報を基に、管制室端末501、情報端末601、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−n、PND端末300−1〜300−nに表示可能な情報の例を示している。
図9によると、センサネットワークを介して収集した電子トリアージタグに記憶された傷病者のトリアージ分類と、端末の種類について、例えば図9の端末アイコン1001〜1010のように表示する。
例えば、端末アイコン1001は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nのいずれかの位置を示すアイコンである。すなわち、当該タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nを備えた救命救急医または救命救急士の位置を示している。
また、端末アイコン1002は、PND端末300−1〜300−nのいずれかの位置を示すアイコンである。すなわち、当該PND端末300−1〜300−nを備えている救命救急士や救急車楼の位置を示している。
また、端末アイコン1003〜端末アイコン1010は、電子トリアージタグ100−1〜100−nのいずれかの位置を示すアイコンである。
ここで、端末アイコン1003は、例えば、トリアージ分類(I)の重症の傷病者の位置を色にて示している。同様に、端末アイコン1004は、トリアージ分類(II)の中等症の傷病者の位置を色にて示している。また、端末アイコン1005は、トリアージ分類(III)の軽症の傷病者の位置を色にて示している。さらに、端末アイコン1006は、トリアージ分類(0)の死亡者の位置を示している。
【0053】
また、トリアージ分類の判定後、所定時刻経過した傷病者や容態が変化した傷病者は、端末アイコン内で色合いを変化させることで表示可能である。例えば、右対角線上で判定時のトリアージ分類〜現在のトリアージ分類といったように変化させて表示できる。
たとえば、端末アイコン1007は、軽症から中等症に変化した傷病者の位置を示している。また、端末アイコン1008は、中等症から軽症に変化した傷病者の位置を示している。さらに、端末アイコン1009は、重症から中等症に変化した傷病者の位置を示している。
さらに、トリアージ分類の判定が行われていない未判定の傷病者のいる電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置についても、表示可能である。たとえば、端末アイコン1010は、未判定の傷病者の位置を示している。
なお、各電子トリアージタグ100−1〜100−nの信号処理制御部101は、生体センサ111のバイタルサインに従ってトリアージ分類を自動的に変化させるように構成することも可能である。この場合でも、色合いの変化について表示することができる。
【0054】
次に、図9の概念図を参照して、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nが取得して表示できる電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報の例を示す。
このトリアージ情報は、後述する図11の表示例において、各端末の入力部212、312、502、602のポインティングデバイス等で医療従事者や管制官が各アイコンを指し示した際に、各端末の表示部109、209、309、503、603に表示する。
【0055】
図10を参照すると、表示するトリアージ情報の例としては、電子トリアージタグ100−1〜100−nの識別ID(Identification)、識別コードを用いたトリアージ分類、傷病者の氏名、性別、年齢、電話番号、住所、受傷箇所、脈拍・体温等の測定履歴、トリアージ実施回数、トリアージ実施月日・時刻、タイマ値、トリアージ実施者のID、GPS位置情報等を表示可能である。
【0056】
次に、ステップS102において、管制室端末501の医療施設情報収集部504は、傷病者情報送信/医療施設情報取得処理を行う。
具体的には、消防・防災無線網500の管制室の固定端末である管制室端末501の制御部は、入力部502からの管制官の指示に従って、優先的に処置が必要な傷病者を検索し、その中から搬送する傷病者を確定する。
医療施設情報収集部504は、管制室端末501の記憶部に備えられたOS(Operating System)のGUI(Graphical User Interface)を用いて、傷病者の搬送に関する画面を表示部503に表示する。医療施設情報収集部504の各機能、さらに医療施設情報収集部504と搬送先検索部505の各機能についても、この傷病者の搬送に関する画面からボタンの押下等を検知して呼び出すことができる。
以下で、図11を参照して、傷病者の搬送に関する画面の表示例と操作例について説明する。
【0057】
図11(a)と(b)は、2画面構成の画面表示例であり、それぞれが管制室端末501の表示部503に表示される広域地図画面と詳細地図画面とを示す。この表示部503の各画面は、入力部502のタッチパネル等を用いて、表示された箇所のアイコン等を選択可能である。
なお、これらの画面例は、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやフル機能端末であるPND端末300−1〜300−nにも、同様の画面として描画して表示することができる。
【0058】
まず、図11(a)の広域地図画面について説明する。
この広域地図画面は、主に、表示欄1100、1110、1120により構成される。
表示欄1100は、広域地図の表示欄であり、各車両アイコン1101〜1104や医療施設アイコン1008等を地図情報と重ねて表示することができる。また、表示欄1110は、詳細な情報を表示する詳細情報表示欄である。また、表示欄1120は、広域地図画面の各機能を呼び出すボタン1121〜1125等が表示されている表示欄である。
また、図11(a)には、各ボタンやアイコンを選択可能なポインティングデバイスのカーソルであるマウスカーソル1500も表示されている。
なお、車両アイコン1101〜1104や医療施設アイコン1008は、これに限られず複数表示することができる。
【0059】
ここで、表示欄1100に関しては、例えば、車両アイコン1101〜1104、医療施設アイコン1108のようなアイコン、表示エリア1109等の選択エリアが公益地図の地図情報と重ね合わせて表示されている。
このうち、車両アイコン1101〜1104は、PND端末300−1〜300−nのGPSでの位置を基に車両の位置を表示するアイコンである。
この車両アイコン1101〜1104は、それぞれ、
救01:搬送先の医療施設600に傷病者搬送中
救02:傷病者の搬送待ち/搬送先の医療機関を選定中
救03:災害の現場/搬送先に急行中
救09:待機中
といった車両の状態を表示することができる。このような車両の状態は、PND端末300−1〜300−nにより医療従事者が設定したり、緊急車両のスイッチ等(図示せず)にて設定可能である。また、GPSの移動状態や、電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報等により自動的に設定することもできる。
【0060】
また、例えば、車両アイコン1103のように、「救03」で当該車両が移動中の場合、異動先の方向を示す矢印等を表示し、搬送先の医療施設600についての情報を表示することができる。
この医療施設600についての情報は、例えば、「(受け入れ回答結果) (医療施設600の名称) (受け入れ可能の傷病者数)」のような簡潔な情報で表示可能である。
このうち、(受入れ可否の回答結果)としては、
○: 受入れ可能(余裕あり、青色で表示)
△: 受入れ可能(残りわずか、黄色で表示)
×: 受入れ不可(赤色で表示)
NA: 未返信(返答なし、黒色で表示)
のように表示可能である。
たとえば、車両アイコン1103の場合、医療施設600についての情報である「△ N病院 3」は、受け入れ可能であるが残りわずかであり、医療施設600の名称は「N病院」であり、受け入れ可能な傷病者数は3人であることを示している。
また、この医療施設600についての情報をマウスカーソル1500でクリックすると、表示欄1110に詳細情報を表示可能である。
同様に、医療施設アイコン1108をマウスカーソル1500でクリックしても、表示欄1110に詳細情報を表示可能である。
【0061】
また、表示エリア1109は、図11(b)の詳細地図に表示される範囲を枠で示している。この表示エリア1109も、マウスカーソル1500で移動することができる。
【0062】
表示欄1110は、上述したように、右の表示欄1100にて選択されたアイコンに対する詳細情報を表示する表示欄である。
たとえば、表示欄1100は、車両アイコン1101〜1104が選択されると、当該車両に関する詳細な情報を表示する。この詳細な情報としては、車両の種類や搬送している傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの情報等を表示する。
また、表示欄1100は、医療機関の施設名が選択されると、当該施設名に係る医療施設600の詳細な情報を表示する。たとえば、図11(a)の車両アイコン1103の場合、医療施設600についての情報として、N病院の住所、担当科、病床数、緊急受け入れ可能数といった情報を表示する。また、当該医療施設600に搬送中の緊急車両の数や状態についても表示可能である。
また、表示欄1110には、「前候補」ボタン1111と、「次候補」ボタン1112が描画されている。表示欄1110は、このボタン1111又は1112が押下されると、医療施設アイコン1108に係る医療施設600又は車両アイコン1101〜1104に係る、それぞれ前候補と次候補を選択して表示する。この際、表示欄1100に表示された、当該医療施設アイコンまたは当該車両アイコンを「アクティブ」の状態に切り換え、例えば、点滅して表示することができる。なお、表示欄1100に、表示している前候補と次候補の医療施設又は車両アイコンがない場合は、表示欄1100の一番近くの医療施設又は車両アイコンを検索し、スクロール等して表示することができる。
【0063】
表示欄1120は、上述したように、ボタン1121〜1125が表示されており、当該ボタンに対応した広域地図画面の機能を呼び出す表示欄である。
ボタン1121は、それぞれ医療機関、救急車両、消防車両について、「表示有」「表示無」を切り換えて表示するボタンである。押下する度に、ボタンの表示が「表示有」「表示無」に切り替わる。この際、「表示有」で表示されている場合は、医療施設アイコンに係る医療施設600、救急車両に係る車両アイコン1101〜1104、消防車両に係る車両アイコン1101〜1104を表示する。たとえば、ボタン1121の欄がすべて「表示有」で表示されている場合は、「医療機関」「救急車両」「消防車両」の端末アイコンを表示することができる。
ボタン1122は、車両と医療施設とを音声通話により呼び出して通信を行う「車両/施設呼び出し」のボタンである。ボタン1122は、医療施設アイコン1108がアクティブになっている状態で押下されると、公衆回線また専用回線を介して、当該医療施設600の救急受入れ窓口を音声通話で呼びだすことができる。また、車両アイコン1101〜1104がアクティブになっている状態で押下すると、当該車両に搭載されている車載の無線機、例えば業務用携帯無線機400−1〜400−nのような業務用携帯型デジタル無線機を音声通話で呼びだすことができる。
ボタン1123は、「搬送先候補表示」ボタンである。ボタン1123は、ボタン1123は、図11(b)の「次搬送者確定」ボタン1224が押下されて傷病者の情報が医療施設600に一斉に配信された後、各医療施設600から返信された当該傷病者の受け入れ可否の回答結果を、表示欄1110にリスト形式等で搬送先候補として表示する。また、その際に、施設アイコンの表示内容を更新することもできる。このリストがマウスカーソル1500等で選択されると、表示欄1110に搬送先候補の医療施設600の詳細情報を表示する。
ボタン1124は、「搬送先確定」ボタンである。ボタン1124は、搬送先として適切と判断された医療施設の施設アイコンがアクティブになっている状態で押下されると、当該施設アイコンが、傷病者を搬送する医療機関として確定状態となる。また、このボタンが押下さた場合も、施設アイコンの表示肉容を更新する。
ボタン1125は、「車両確定/搬送先通知」ボタンである。ボタン1125は、傷病者を搬送中又は搬送することが決まっている車両の車両アイコンがアクティブになっている状態で押下すると、当該車両に対して、搬送先の医療機関の位置情報等を送信する。
【0064】
次に、図11(b)の詳細地図画面について説明する。
この詳細地図画面は、主に、表示欄1200、1210、1220により構成される。
表示欄1200は、上述したように図11(a)の表示欄1200の表示エリア1109の拡大された地図が表示され、これに合わせて、端末アイコン1010、1011や搬送中端末アイコン1021、1022等を重ねて表示する。表示欄1210は、図11(a)の表示欄1110と同様に、各アイコンやボタン等の詳細な情報を表示する詳細情報表示欄である。また、表示欄1220は、詳細地図画面の各機能を呼び出すボタン1221〜1126等が表示されている表示欄である。
また、この詳細地図画面には、図11(b)をポインティングデバイスで指定している場合、図11(a)のマウスカーソル1500と同様のマウスカーソル1501も表示する。
なお、端末アイコン1010、1011や搬送中端末アイコン1021、1022は、表示欄1200内のアイコンに限られず複数描画することができる。
【0065】
ここで、表示欄1200には、詳細地図画面上に、図9の端末アイコン1003〜1010と同様の形式にて、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ分類等の情報を表示する。
これに加えて、表示欄1200は、搬送中の電子トリアージタグ100−1〜100−nの傷病者の位置を、菱形のようなマークで搬送中端末アイコン1021、1022のように描画し、さらに向かう先を矢印で描画する。また、この際に医療施設600の情報を描画することもできる。
この搬送中端末アイコン1021、1022も、他の端末アイコンと同様に、時間経過によりトリアージ分類やバイタルサインの変化を描画することが好適である。たとえば、搬送中端末アイコン1021は、中等症から重傷になった傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置を示す。また、搬送中端末アイコン1022は、中等症のままの傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nの位置を示す。
これらの端末アイコンに係る電子トリアージタグ100−1〜100−nやタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nの位置としては、各端末のGPSモジュール207、307を用いて位置を示すことができる。また、各端末と通信している電子トリアージタグ100−1〜100−nについては、この端末のGPSモジュール207、307を用いて位置を示すことができる。さらに、センサネットワーク通信モジュール205、305、604−1〜604−nから、メッシュネットワークでの接続の距離を用いて位置を示すこともできる。
なお、傷病者の電子トリアージタグ100−1〜100−nがタグ情報入出力表示端末200−1〜200−nやPND端末300−1〜300−nから離れていたり、故障や充電池104の容量が無くなっており、メッシュネットワークに接続できない場合、その傷病者は以前接続された場所にいるものとして過去位置を彩度の低い色等で描画する。
【0066】
表示欄1210は、表示欄1200で端末アイコンや搬送中端末アイコンを選択すると、傷病者、救命救急医や救命救急医士等の関する詳細な情報を表示する。この情報は、例えば、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報や、タグ情報入出力表示端末200−1〜200−nの記憶部210やPND端末300−1〜300−nの記憶部310に記憶された救命救急医や救命救急医士等の情報を用いることができる。
また、表示欄1210には、図11(a)の表示欄1110と同様に、「前候補」ボタン1211と、「次候補」ボタン1212が表示されている。これらのボタンにより、それぞれ前候補と次候補の端末アイコンや搬送中端末アイコンを選択することができる。
【0067】
表示欄1220は、上述したように、ボタン1221〜1226が表示されており、当該ボタンに対応した詳細地図画面の機能を呼び出すことができる。
ボタン1221は、「画面更新」ボタンである。押下することで、センサネットワーク内の情報等を取得して、画面に表示されている情報を更新することができる。
ボタン1222は、「トリアージ分類」ボタンである。マウスカーソル1501にてボタン1222の各欄がクリック等され指示されると、表示欄1200に表示される端末アイコンと搬送中端末アイコンの表示を変更できる。たとえば、「I」では重症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「II」では中等症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「III」では軽症の傷病者の端末アイコンのみを表示、「全表示」では全ての端末アイコンを表示欄1200に表示するように切り換えることができる。
ボタン1223は、「救急隊呼出し」ボタンである。ボタン1223は、表示欄1200の端末アイコン又は搬送中端末アイコンがアクティブになっている状態で押下されると、当該端末アイコン又は搬送中端末アイコンの救命救急士又は当該患者のもっとも近くにいる医療従事者が携行している携帯型無線機、例えば業務用携帯無線機400−1〜400−nや携帯電話を呼び出すことができる。また、当該電子トリアージタグ100−1〜100−nの音声出力部108からブザーを鳴らして、周囲の医療従事者に知らせることもできる。
ボタン1224は、「次搬送者確定」ボタンである。ボタン1224は、傷病者の端末アイコン又は搬送中端末アイコンがアクティブになっている状態で押下すると、次に搬送する対象者として確定するボタンである。このボタン1224が押下されたことを検知すると、管制室端末501は、搬送先の候補である複数の医療施設600に対して、当該傷病者のトリアージ情報を一斉に配信する。その後、図11(a)の表示欄1120の「搬送先候補表示」ボタン1223の押下により、各医療施設600からの受け入れに関する回答が表示できる。
ボタン1225は、「要優先処置傷病者検索」ボタンである。ボタン1225は、優先的に処置が必要な傷病者を検索し、その結果を表示欄1210にリスト形式で表示する。
ボタン1226は、「拡大」「縮小」ボタンである。ボタン1226は、表示欄1200に表示される地図の縮尺を調整する。「拡大」又は「縮小」の箇所が押下されると、表示欄1200は、表示されている詳細地図を、それぞれ拡大又は縮小して描画する。また、図11(a)の表示欄1100に表示されている表示エリア1109表示枠の表示枠についても、描画された箇所に合わせて、それぞれ拡大、縮小する。
【0068】
次に、ステップS103において、管制室端末501の搬送先検索部505は、搬送先確定処理を行う。
この処理においては、上述のように:
(1)搬送先検索部505は、図11(b)の表示欄1220の「次搬送者決定」ボタン1224の押下を検知して、次の搬送者となる電子トリアージタグ100−1〜100−nのいずれかを装着した傷病者を決定する。
(2)搬送先検索部505は、図11(a)の表示欄1120の「搬送先候補表示」ボタン1223の押下を検知して、当該傷病者を処置する医療機関である医療施設600の候補を検索する。
(3)搬送先検索部505は、図11(a)の表示欄1210の「搬送先確定」ボタン1224の押下を検知して、当該傷病者を処置する医療施設600を設定する。
という処理により、搬送が確定した傷病者を搬送する医療施設600を確定することができる。
【0069】
また、これらのステップS103の処理は、搬送先検索部505が自動的に候補を検索して表示し、管制官に確認を求めることで実行することができる。
たとえば、搬送先検索部505は、(1)の次搬送者を決定する際には、図11(a)の広域地図表示において、傷病者のトリアージ分類が高く、医療施設600に搬送しやすい距離にいる傷病者を優先して選択することができる。
また、搬送先検索部505は、(2)の医療施設を検索する際には、受け入れ人数の余裕があり、確定した傷病者を最も早く搬送可能な医療施設600を検索する。この際、大規模災害時には重体が発生することが多いため、地図情報と、他の車両の進行スピードを基に、車両の搬送までの時間を推定する。さらに、高速な搬送手段であるヘリコプター等を手配することもできる。また、搬送が間に合わない傷病者については、残念ながら、他の傷病者を優先して搬送するように指摘することもできる。
また、搬送先検索部505は、(3)の搬送先確定については、傷病者が多数いる場合には、搬送する傷病者と搬送先の医療施設とをリスト状態で一覧にして表示して、確認後に自動的に送信するように構成してもよい。
【0070】
次に、ステップS104において、管制室端末501の傷病者情報送信部506は、救急車両通知処理を行う。
この処理において、傷病者情報送信部506は、上述のように、図11(a)の表示欄1120の「車両確定/搬送先通知」ボタン1125の押下を検知して、当該傷病者を搬送する車両のPND端末300−1〜300−nのいずれかに、搬送先として確定した医療施設600の位置情報等を通知する。
これにより、当該車両の運転手は、PND端末300−1〜300−nの地図記憶部313の情報と、GPSの位置情報とを用いて、確定した医療施設600へ、確実に車両を移動させることができる。
以上により、救急搬送先検索システムXの救急搬送先検索処理を終了する。
【0071】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1は、救急患者の搬送に使用されない救急医療車以外の車両を用いるシステムであり、通常の医療トリアージが必要な救急車両の搬送には用いることができなかった。
このような医療トリアージにおいては、トリアージ判定してから一定の時間が経過したり、容体が急変したりするなど、再度トリアージ判定が必要な判定者を見つけ出すのに入手と時間を必要とするという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nを用いて、多数の傷病者に関するトリアージ分類等の情報と、医療施設600の状況を逐次収集し、救急指令室の管制官又は救急車両に乗車している救命救急士が、傷病者を受け入れることができる医療施設600を、時間をかけずに検索・選定することができる。これにより、特に大規模な災害や事故が発生した際、救命救急医や救命救急士の人員に限りがある場合でも、効率的に傷病者の搬送を行うことができる。
【0072】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nのトリアージ情報を、センサ・ネットワーク・モジュールを搭載した移動端末であるタグ情報入出力表示端末200−1〜200−n、PND端末300−1〜300−nを用いて取得する。これによって、トリアージ分類を始め傷病者に関する情報を迅速に収集・検索することができる。そして、限られた人員で、多くの傷病者の中から早急に救命処置が必要な傷病者を効率的に探し出すことができるため、救命処置の遅れによる死亡者数を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、電子トリアージタグ100−1〜100−nに記憶された傷病者に関する情報を、センサネットワークと、消防無線システムや防災無線システムである消防・防災無線網500を介して、収集・検索を行う。これにより、傷病者の分布を把握することができる。よって、人員の補充が必要な箇所に対して、救命救急医や救命救急土の増員を行う等により、限られた人員を迅速かつ適切に配置できる。
【0073】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、傷病者に装着された電子トリアージタグ100−1〜100−nに、傷病者に関する情報を予め登録するとともに、その後の傷病者の生体情報の変化を監視・記録しておくことができる。よって、当該情報を搬送先の医療機関に送信することによって、医療機関における傷病者の受入れ準備をよりスムーズに行うことができる。また、トリアージ分類の変化を自動判定することも可能である。
【0074】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXの電子トリアージタグは、救命救急士や救命救急医がタグ情報入出力表示端末を介して無線伝送により送信された傷病者のトリアージ分類及びトリアージ判定時の位置情報と時刻、傷病者の特徴(性別、年齢等)を、無線伝送により受信する手段と、トリアージ分類を当該傷病者に関する情報を表示する手段と、傷病者の脈拍や体温などの生体情報を検出する手段と、タグ情報入出力表示端末から入力した傷病者のトリアージ区分や生体情報を記録する手段と、傷病者のトリアージ区分と生体情報を隣接する移動端末に無線で伝送する手段と、傷病者の手首等の所定の部位に固定する手段と、タグ情報入出力表示端末等の移動端末により検索した傷病者の所在を報知する手段と、トリアージ判定後所定の時簡経過、脈拍、体温等の傷病者の生体情報の異常発生を、表示部を点滅する等により視覚的に知らせる手段とを備えた電子トリアージタグであることを特徴とする。
【0075】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXのタグ情報入出力表示端末は、トリアージ判定時の位置情報と時刻を検出するための手段と、性別、年齢等の傷病者の特徴や傷病に関する所見、トリアージ判定結果を入力する手段と、入力した当該情報を指定した電子トリアージタグに伝送する手段と、周辺に存在する複数の電子トリアージタグに記憶されている傷病者毎の情報を無線伝送により収集する手段と、任意の検索条件に該当する電子トリアージタグの表示部を点滅させたりブザー音を発生させたりするように、遠隔で操作できる手段とを備えたタグ情報入出力表示端末であることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、多数の傷病者に関するトリアージ情報について、消防無線システムや防災無線システム等の移動端末に送信して記憶し、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある管制室端末に伝送する手段と、収集した傷病者に関する情報から、救急治療を優先すべき傷病者を検索する手段と、搬送する傷病者に関する楕報を医療施設に設置された情報端末に伝送する手段と、傷病者に関する情報を各施設の情報端末に表示する手段を備えた救急搬送先検索システムであることを特徴とする。
【0077】
また、本発明の実施の形態に係る救急搬送先検索システムXは、複数の傷病者に関する情報について、消防無線システムあるいは防災無線システム等の移動端末に送信して記憶し、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある端末に伝送する手段と、収集した傷病者のうち、任意の傷病者に関する前述の情報を、搬送先の候補である医療機関に伝達する手段と、搬送先の候補である医療機関で、受信した任意の傷病者に関する前述の情報に基づき、傷病者の受け入れ可否を判定し、その結果を消防救急指令室や災害対策指令本部にある固定端末に伝達する手段と、消防・救急指令室や災害対策指令本部にある装置に、傷病者を受け入れる状態の医療機関であるか否かの動態情報を逐次収集する手段と、収集した情報を基に最適な搬送先を検索する手段と、搬送先を検索した結果を管制室の固定端末を介して表示する手段と、搬送先を検索した結果を、救急車に搭載した車載端末あるいは携帯端末を介して表示する手段を備えた救急搬送先検索システムであることを特徴とする。
【0078】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100−1〜100−n 電子トリアージタグ
101、201、301、401 信号処理制御部
103、203、303、403 電源制御部
104、204、304、404 充電池
105、205、305、604−1〜604−n センサネットワーク通信モジュール
106、206 RFモジュール
107 発光部
108、208、308、408 音声出力部
109、209、309、409、503、603 表示部
110、210、310、410 記憶部
111 生体センサ
120 筐体
130 バンド
140 面ファスナーループ
145 面ファスナーフック
200−1〜200−n タグ情報入出力表示端末
207、307 GPSモジュール
211 メモリカード
212、312、412、502、602 入力部
300−1〜300−n PND端末
313 地図記憶部
315、415 インタフェース部
400−1〜400−n 業務用携帯無線機
406 RF部
407 音声入力部
500 消防・防災無線網
501 管制室端末
504 医療施設情報収集部
505 搬送先検索部
506 傷病者情報送信部
540−1〜540−n 業務無線向け制御局
550−1〜550−n 業務無線向け基地局
507、607 地上系無線伝送装置
508、608 衛星系無線伝送装置
520、620 監視サーバ
521、621 監視データベース
515 専用デジタル回線網
600 医療施設
601 情報端末
617 通信回線網
700 通信衛星
900 無線多重回線網
910 有線多重回線網
920 衛星回線
930 GPS信号
1001、1002、1003、1004、1005、1006、1007、1008、1009、1010、1011 端末アイコン
1021、1022 搬送中端末アイコン
1100、1110、1120、1200、1210、1220 表示欄
1101、1102、1103、1104 車両アイコン
1108 医療施設アイコン
1109 表示エリア
1111、1112、1121、1122、1123、1124、1125、1211、1212、1221、1222、1223、1224、1225、1226 ボタン
1500、1501 マウスカーソル
X 救急搬送先検索システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の管制室端末と移動端末とに伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグと、
収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末と、
搬送先の候補である前記医療機関において、受信した前記傷病者に関する情報に基づき、前記傷病者の受け入れ可否を前記管制室端末に送信する情報端末とを備え、
前記管制室端末は、
前記医療施設が前記傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、
収集した前記傷病者に関する情報と前記医療施設の前記動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、
検索した結果の搬送先の情報を、前記傷病者を搬送する車両の前記移動端末に送信する傷病者情報送信部とを備える
ことを特徴とする救急搬送先検索システム。
【請求項1】
複数の傷病者に関する情報を消防・防災無線網の管制室端末と移動端末とに伝送するセンサネットワーク通信モジュールを備えた電子トリアージタグと、
収集した傷病者に関する情報を、搬送先の候補である医療施設の情報端末に送信する管制室端末と、
搬送先の候補である前記医療機関において、受信した前記傷病者に関する情報に基づき、前記傷病者の受け入れ可否を前記管制室端末に送信する情報端末とを備え、
前記管制室端末は、
前記医療施設が前記傷病者を受け入れる状態であるか否かの動態情報を収集する医療施設情報収集部と、
収集した前記傷病者に関する情報と前記医療施設の前記動態情報とを基に、最適な搬送先を検索する搬送先検索部と、
検索した結果の搬送先の情報を、前記傷病者を搬送する車両の前記移動端末に送信する傷病者情報送信部とを備える
ことを特徴とする救急搬送先検索システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−58962(P2012−58962A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200853(P2010−200853)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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