説明

文字入力装置、文字入力方法および文字入力プログラム

【課題】入力モードの切替回数を減らして、文字を入力するまでの操作負担を軽減する。
【解決手段】文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置10は、当該文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得部11と、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替部12と、切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力モードのうち何れかの入力モードにて文字を入力する文字入力装置、文字入力方法および文字入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、文字入力のための複数の入力モード(例えばキー入力モード、音声認識技術を用いた音声入力モードなど)を備えた情報端末が提案されている(下記の特許文献1〜3参照)。例えばキー入力モードと音声入力モードの2種類の入力モードを備えた情報端末では、文字を入力するまでの操作は次に示す通り一律な操作となる。キー入力モードの場合は、文字入力したい入力領域を選択した後、キー操作をすることで文字を入力する。一方、音声入力モードの場合は、文字入力したい入力領域を選択して、音声入力モードへの切替操作を行った後、音声発話をすることで文字を入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−31092号公報
【特許文献2】特開平3−206521号公報
【特許文献3】特開2000−20092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の技術では以下のような課題があった。即ち、従来はデフォルトの初期入力モードとしてキー入力モードが予め設定されていることが多く、そのため、音声入力モードを利用したい場合には、入力モードを音声入力モードへ切り替える操作がその都度発生する。
【0005】
仮に、ユーザが初期入力モードを予め選択可能とする機能を情報端末に搭載したとしても、初期入力モードとして一方の入力モードを一律に選択することになるため、他方の入力モードを利用したいときに、入力モードを他方の入力モードへ切り替える操作はどうしても発生する。
【0006】
このように、ユーザによる入力モードの切替操作が発生してしまい、文字を入力するまでの操作負担を軽減することが困難であった。また、文字入力装置の利用状況(例えば、使用するアプリケーションソフトウェア、文字入力装置の現在位置、ユーザが活動中(例えば歩行中)か否かなど)や、周囲の環境を含む文字入力装置の状態(例えば、周囲の雑音状況、受信電波の電波強度など)に応じて、適正な入力モードに動的に切り替える技術が待望されていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、入力モードの切替回数を減らして、文字を入力するまでの操作負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る文字入力装置は、文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置であって、当該文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得部と、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替部と、切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力部と、を備える。
【0009】
上記文字入力装置では、装置情報取得部が文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得し、入力モード切替部が、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、入力モードを複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える。そして、ユーザは文字入力部により、切り替え後の入力モードにより文字を入力することができる。このように、文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報に応じて入力モードを動的に切り替えるため、入力モードの切替回数を減らして、文字を入力するまでの操作負担を軽減することができる。なお、複数の入力モードとしては、例えば、キー入力モード、音声入力モード、手書き入力モードなどが挙げられる。
【0010】
また、上記文字入力装置は、切り替え後の入力モードに関する情報および当該切替時の装置情報を取得し、取得された切り替え後の入力モードに関する情報と当該切替時の装置情報とを含む切替履歴情報を保持する切替履歴保持部、をさらに備え、上記入力モード切替部は、1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに加え、前記切替履歴保持部に保持された切替履歴情報をさらに基礎として、入力モードの切替を行ってもよい。かかる場合、入力モード切替部は、1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに加え、切替履歴保持部に保持された切替履歴情報をさらに基礎として、入力モードを切り替えるため、切替履歴情報を踏まえた上でユーザの利用特性に即した入力モードの切替を行うことができる。
【0011】
なお、例えば、切替履歴保持部は、共通の装置情報の条件下で利用された複数の入力モードについて、入力モードごとの累積利用時間および入力モードごとの累積利用回数のうち少なくとも一方を導出し、得られた値を、共通の装置情報に関する切替履歴情報の中に保持してもよい。
【0012】
上記の「装置情報」は、文字入力装置で起動されるアプリケーションソフトウェア情報、文字入力先となる入力領域情報、文字入力装置の位置情報、文字入力装置のユーザが活動中か否かを表す活動/静止情報、当該時点の日時情報、文字入力装置における受信電波の電波強度情報、および、文字入力装置の周囲雑音情報、のうち1つ以上を含んで構成してもよい。
【0013】
「装置情報」の1つとして文字入力装置の位置情報を採用する場合、以下のような入力モード切替の態様を採用することができる。即ち、入力モード切替部は、予め記憶した道路および線路の位置情報を含む地図情報と、装置情報として取得された文字入力装置の位置情報の複数時点にわたる履歴とに基づいて、文字入力装置の位置情報の軌跡が道路又は線路の位置に合っているか否か、および移動速度が所定速度以上か否かを判断し、当該判断結果に基づいて入力モードの切替を行ってもよい。かかる場合、ユーザの移動軌跡に相当する文字入力装置の位置情報の軌跡が道路又は線路の位置に合っているか否かの判断結果、および、移動速度が所定速度以上か否かの判断結果より、ユーザが道路上を車で移動中か否か、および、ユーザが線路上を電車で移動中か否かを認識でき、これらの状況に適した入力モードに切り替えることができる。
【0014】
ところで、文字入力装置に係る発明は、方法の発明又はプログラムの発明として捉えることができ、同様の作用・効果を奏する。方法の発明、プログラムの発明は、それぞれ以下のように記述することができる。
【0015】
本発明の一側面に係る文字入力方法は、文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置、により実行される文字入力方法であって、当該文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得ステップと、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替ステップと、切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力ステップと、を備える。
【0016】
また、本発明の一側面に係る文字入力プログラムは、コンピュータを、文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置、の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得手段と、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替手段と、切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力手段、として機能させるための文字入力プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報に応じて入力モードを動的に切り替えるため、入力モードの切替回数を減らして、文字を入力するまでの操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る文字入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】文字入力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図4】第2、第3実施形態に係る文字入力装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る切替履歴情報の一例を示す図である。
【図7】第3実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の入力モードの切替ステップでの処理動作を示すフローチャートである。
【図9】文字入力プログラムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る複数の実施形態を順に説明する。
【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態では、文字入力装置の基本構成および基本的な処理動作について説明する。
【0021】
図1は、第1実施形態における文字入力装置10の機能ブロック構成を示す。文字入力装置10としては、携帯型/据置型を問わず、複数の入力モードでの文字入力が可能なさまざまな装置を適用することができるが、以下では、一例として携帯型情報端末を想定する。そのため、文字入力装置10を携帯したユーザは、活動中(例えば歩行中)であっても文字入力が可能とされている。また、複数の入力モードとしては、キー入力モード、音声入力モード、手書き入力モードなどが挙げられるが、以下では、キー入力モードと音声入力モードの2つのモード間で切り替える例を説明する。
【0022】
図1に示すように、文字入力装置10は、文字入力装置10の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得部11と、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替部12と、切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力部13と、を備えている。
【0023】
上記の「装置情報」としては、文字入力装置10で起動されるアプリケーションソフトウェア情報、文字入力先となるテキストボックス(入力領域)を表すテキストボックスID(入力領域情報)、文字入力装置10の位置情報、文字入力装置10のユーザが活動中か否かを表す活動/静止情報、当該時点の日時情報、文字入力装置10における受信電波の電波強度情報、文字入力装置10の周囲雑音情報などが例示され、これらのうち1つ以上を含めばよい。
【0024】
以下では、装置情報として、上記例示した7種類の情報を採用する例を説明する。そのため、装置情報取得部11は、文字入力装置10で起動されるアプリケーションソフトウェアを検知しアプリケーションソフトウェア情報を取得する起動アプリケーション検知部11Aと、文字入力先となるテキストボックス(入力領域)を検知しテキストボックスIDを取得するテキストボックス検知部11Bと、GPS機能等により文字入力装置10の位置情報を取得する位置情報取得部11Cと、内蔵した加速度センサ(不図示)により文字入力装置10のユーザが活動中か否かを検知し、活動中か否かを表す活動/静止情報を取得する活動/静止検知部11Dと、内蔵した時計(不図示)により当該時点の日時情報を取得する日時情報取得部11Eと、文字入力装置10における受信電波の電波強度を測定し受信電波の電波強度情報を取得する電波強度測定部11Fと、文字入力装置10の周囲雑音を測定し周囲雑音情報を取得する周囲雑音測定部11Gと、を含んで構成されている。
【0025】
図2には、文字入力装置10のハードウェア構成の一例を示す。文字入力装置10は、ハードウェア構成として、CPU10Aと、RAM10Bと、ROM10Cと、キーボード、音声入力のための音声認識装置等から成る入力部10Dと、所定位置に挿入された記憶媒体20に記憶されたデータや後述するプログラム等を読み取る読取部10Eと、外部との通信を行う通信部10Fと、補助記憶部10Gと、文字入力先となるテキストボックスを含むさまざまな画像を表示する表示部10Hと、を備える。前述した文字入力装置10の各機能ブロックの機能は、RAM10B等にプログラムやデータ等を読み込ませ、CPU10Aの制御の下でプログラムを実行することで実現される。なお、後述する第2、第3実施形態における文字入力装置10のハードウェア構成も、上記図2のハードウェア構成と同様である。
【0026】
図3には、第1実施形態の文字入力装置10により実行される基本的な処理動作を示す。この図3に示すように、文字入力装置10では、装置情報取得部11に含まれる各部11A〜11Gにより、さまざまな装置情報が取得され(図3のステップS10)、入力モード切替部12は、取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える(ステップS20)。ここでの切替の例は後述する。そして、文字入力部13により、切り替え後の入力モードでの文字入力が可能となる(ステップS30)。なお、図3の処理は定期的又は任意のタイミングで継続的に実行される。
【0027】
上記ステップS20において、1つの装置情報に基づいて入力モードを切り替える例として、以下のような例が挙げられる。
【0028】
周囲雑音測定部11Gによる測定で得られた周囲雑音が、音声入力モードで文字入力可能な限界値として予め設定された基準値(以下「第1の基準値」という)を超えた場合に、入力モードをキー入力モードに切り替える例が挙げられる。この場合、周囲雑音が大きくなると音声認識率が劣化し、音声入力モードでの文字入力精度が低下するため、キー入力モードに切り替えることで文字入力精度の低下を未然に防止することができる。
【0029】
また、DSR(Distributed Speech Recognition)方式に基づく分散型音声認識を利用している状況では、電波強度測定部11Fによる測定で得られた電波強度がいわゆる圏内(正常な無線通信が可能なエリア内にユーザが在圏している)と判定するための基準値(以下「第2の基準値」という)以下の場合(つまり圏外と判定できる場合)に、入力モードをキー入力モードに切り替える例が挙げられる。この場合、文字入力装置10と外部のサーバとの無線通信を正常に実行できないため、キー入力モードに切り替えることで文字入力精度の低下を未然に防止することができる。
【0030】
また、位置情報取得部11Cにより取得された文字入力装置10の位置情報と、予め記憶した地図データとを照合したところ、位置情報が、多くの人が集まる公共施設(例えば映画館やコンサートホールなど)の位置と一致する場合に、入力モードをキー入力モードに切り替える例が挙げられる。この場合、上記のような公共施設ではマナーとして声を出さないことが求められるため、キー入力モードに切り替えることで、マナー違反となる行為を未然に防止することができる。
【0031】
次に、複数の装置情報の組合せに基づいて入力モードを切り替える例として、以下のような例が挙げられる。
【0032】
活動/静止検知部11Dにより取得された活動/静止情報が「活動」であり、電波強度測定部11Fによる測定で得られた電波強度が上記第2の基準値を超えており圏内と判定でき、周囲雑音測定部11Gによる測定で得られた周囲雑音が上記第1の基準値以下の場合(つまり音声入力モードの文字入力が可能な場合)に、入力モードを音声入力モードに切り替える例が挙げられる。この場合、ユーザが活動中(例えば歩行中)のとき、文字入力はキー入力よりも音声入力の方が簡易であるため、ユーザの利便性の向上につながる。
【0033】
位置情報取得部11Cにより取得された文字入力装置10の位置情報が、予め記憶したユーザの自宅の位置に一致し、活動/静止検知部11Dにより取得された活動/静止情報が「静止」であり、日時情報取得部11Eにより取得された日時情報が一般的な活動時間帯(例えば午前10時〜午後6時の時間帯)であれば、ユーザは自宅で休養していると判断できるため、さらに、周囲雑音測定部11Gによる測定で得られた周囲雑音が上記第1の基準値以下であり、電波強度測定部11Fによる測定で得られた電波強度が上記第2の基準値を超えていれば(つまり圏内と判定できれば)、入力モードを音声入力モードに切り替える例が挙げられる。このように複数の装置情報の組合せからユーザの状況(例えば自宅で休養中)を判断し、周囲雑音および電波強度の条件が整えば、入力モードを音声入力モードに動的に切り替え、ユーザの利便性を向上させることができる。ただし、上記の例でも、日時情報取得部11Eにより取得された日時情報が一般的な睡眠時間帯(例えば午後10時〜翌朝の午前6時の時間帯)であれば、他の装置情報の如何にかかわらず、入力モードをキー入力モードに切り替えることが望ましい。
【0034】
以上のような第1実施形態によれば、文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報に応じて入力モードを動的に切り替えるため、入力モードの切替回数を減らして、文字を入力するまでの操作負担を軽減することができる。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態では、装置情報と切替履歴情報(例えば入力モードごとの累積利用時間、入力モードごとの累積利用回数など)に基づいて入力モードの切替を行う実施形態について説明する。
【0036】
図4に示すように、第2実施形態の文字入力装置10は、装置情報取得部11、入力モード切替部12および文字入力部13に加え、切り替え後の入力モードに関する情報および当該切替時の装置情報を取得し、取得された切り替え後の入力モードに関する情報と当該切替時の装置情報とを含んだ切替履歴情報を保持する切替履歴保持部14、をさらに備えている。なお、切替履歴保持部14は、切り替え後の入力モードに関する情報および当該切替時の装置情報を定期的又は任意のタイミングで継続的に取得し、切替履歴情報を保持する。このような文字入力装置10において、入力モード切替部12は、1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに加え、切替履歴保持部14に保持された切替履歴情報をさらに基礎として、入力モードの切替を行う。
【0037】
具体的に切替履歴保持部14は、共通の装置情報の条件下で利用された複数の入力モードについて、入力モードごとの累積利用時間を導出し、得られた値を、上記共通の装置情報に関する切替履歴情報の中に保持する。保持された入力モードごとの累積利用時間は、次回、上記共通の装置情報と同じ条件となった場合に、どの入力モードに切り替えるべきかの判断において参照され、判断の基礎として利用される。
【0038】
図5には、第2実施形態の文字入力装置10により実行される処理動作を示す。なお、図5の処理は定期的又は任意のタイミングで継続的に実行される。この図5に示すように、文字入力装置10では、装置情報取得部11に含まれる各部11A〜11Gにより、さまざまな装置情報が取得され(図5のステップS10)入力モード切替部12は、取得された複数の装置情報の組合せに対応する切替履歴情報を切替履歴保持部14から読み取る(ステップS15)。例えば、取得された複数の装置情報の組合せが、図6の(a)に示す表の第1番目の組合せ、即ち、位置情報(現在位置のメッシュID)が「0001234」、活動/静止情報が「活動」、起動アプリケーションソフトウェアが「電子メール」、テキストボックスIDが「1」、利用時間帯が「12:00〜13:00」、受信電波の電波強度が「強(第2の基準値より大きい)」、および周囲雑音が「低(第1の基準値以下である)」といった組合せである場合、入力モード切替部12は、当該組合せに対応する切替履歴情報として、キー入力の累積利用時間「10秒」と、音声入力の累積利用時間「180秒」を切替履歴保持部14から読み取る。
【0039】
そして、入力モード切替部12は、読み取った切替履歴情報に基づいて、入力モードを1つの入力モードに切り替える(ステップS20)。ここでは一例として、入力モード切替部12は、累積利用時間が長い方の入力モード(図6の(a)では音声入力モード)に入力モードを切り替える。
【0040】
さらに、次のステップS30Xでは、文字入力部13により、切り替え後の入力モード(図6の(a)では音声入力モード)での文字入力が可能となるとともに、切替履歴保持部14は、切り替え後の入力モードでの今回の利用時間を計測する。文字入力が終了し、今回の利用時間の計測が完了すると、切替履歴保持部14は、前回までの累積利用時間に今回の利用時間を加えることで今回までの累積利用時間を算出し(ステップS35)、得られた今回までの累積利用時間をもって、現在保持している切替履歴情報を更新する(ステップS40)。例えば、音声入力モードでの今回の利用時間が20秒だったとすると、前回までの累積利用時間(180秒)に今回の利用時間(20秒)を加えることで今回までの累積利用時間(200秒)が算出され、音声入力の累積利用時間が200秒に更新される。
【0041】
一方、取得された複数の装置情報の組合せが、図6の(a)に示す表の第2番目の組合せ、即ち、位置情報(現在位置のメッシュID)が「0001234」、活動/静止情報が「静止」、起動アプリケーションソフトウェアが「電子メール」、テキストボックスIDが「1」、利用時間帯が「12:00〜13:00」、受信電波の電波強度が「強(第2の基準値より大きい)」、および周囲雑音が「低(第1の基準値以下である)」といった組合せであった場合、入力モード切替部12は、当該組合せに対応する切替履歴情報として、キー入力の累積利用時間「220秒」と、音声入力の累積利用時間「190秒」を切替履歴保持部14から読み取り、一例として、累積利用時間が長い方の入力モード(この例ではキー入力モード)に入力モードを切り替える。その後、キー入力モードでの今回の利用時間が計測され、キー入力モードでの今回までの累積利用時間が算出され、得られた今回までの累積利用時間をもって、現在保持されている切替履歴情報が更新される。例えば、キー入力モードでの今回の利用時間が20秒だったとすると、前回までの累積利用時間(220秒)に今回の利用時間(20秒)を加えることで今回までの累積利用時間(240秒)が算出され、キー入力の累積利用時間が240秒に更新される。
【0042】
なお、切替履歴保持部14は、上記のように入力モードごとの累積利用時間を算出する代わりに、入力モードごとの累積利用回数をカウントしてもよい。この場合、切替履歴保持部14により保持される切替履歴情報は、図6の(b)に示すように、図6の(a)のキー入力の累積利用時間および音声入力の累積利用時間に代わり、キー入力の累積利用回数および音声入力の累積利用回数を含む。もちろん、入力モードごとの累積利用時間の算出と入力モードごとの累積利用回数のカウントを両方行い、入力モードごとの累積利用時間と入力モードごとの累積利用回数の両方を切替履歴情報の中に保持してもよい。
【0043】
以上のような第2実施形態によれば、切替履歴情報(例えば入力モードごとの累積利用時間や入力モードごとの累積利用回数)をさらに基礎として入力モードを切り替えるため、切替履歴情報を踏まえた上でユーザの利用特性に即した入力モードの切替を行うことができる。
【0044】
[第3実施形態]
第3実施形態では、文字入力装置10の位置情報の複数時点にわたる履歴から求めた移動軌跡および移動速度に基づいて入力モードの切替を行う実施形態について説明する。なお、第3実施形態の文字入力装置10の機能ブロック構成は、前述した図4に示す機能ブロック構成と同様であるため、ここでは重複した説明は割愛する。
【0045】
さて、図7には、第3実施形態の文字入力装置10により実行される処理動作を示す。なお、図7の処理は定期的又は任意のタイミングで継続的に実行される。この図7に示すように、文字入力装置10では、装置情報取得部11に含まれる各部11A〜11Gにより、さまざまな装置情報が取得され(図7のステップS10)、入力モード切替部12は、取得された複数の装置情報の組合せに対応する切替履歴情報を切替履歴保持部14から読み取る(ステップS15)。そして、第3実施形態の特徴点である後述の入力モードの切替処理(ステップS20)が実行される。その後は、文字入力部13から、切り替え後の入力モードでの文字入力が可能となり(ステップS30)、切替履歴保持部14は、今回の切替を踏まえて切替履歴情報を更新する(ステップS40)。
【0046】
以下、第3実施形態の特徴点である入力モードの切替処理(図7のステップS20)について、図8を用いて説明する。この図8の処理は、装置情報取得部11により取得されたさまざまな装置情報に基づいて、入力モード切替部12により、以下のように実行される。
【0047】
まず、入力モード切替部12は、活動/静止検知部11Dにより取得された活動/静止情報に基づいて、文字入力装置10のユーザが活動中(例えば歩行中)であるか否かを判断する(図8のステップS201)。ここで、文字入力装置10のユーザが活動中でなければ(静止していれば)、入力モード切替部12は、予め記憶した道路および線路の位置情報を含む地図情報に基づく仮想的な地図平面上に、位置情報取得部11Cにより取得された文字入力装置10の位置情報の複数時点にわたる履歴を重ね合わせることで、文字入力装置10の位置情報の軌跡が道路の位置に合っているか否かを判断する(ステップS202)。
【0048】
ステップS202で位置情報の軌跡が道路の位置に合っていれば、入力モード切替部12は、文字入力装置10の位置情報の複数時点にわたる履歴より移動速度を算出し(ステップS204)、得られた移動速度が、車での移動と判断するための予め設定された基準値(以下「第3の基準値」という)以上か否かを判断する(ステップS205)。ここで、移動速度が第3の基準値以上ならば、入力モード切替部12は、文字入力装置10のユーザは車の運転中であると判断し(ステップS206)、車の運転中に関する以下のような所定の切替基準に従って入力モードを切り替える(ステップS207)。例えば、ユーザが車の運転中と判断できる状況で、周囲雑音測定部11Gによる測定で得られた周囲雑音が上記第1の基準値以下であり、電波強度測定部11Fによる測定で得られた電波強度が上記第2の基準値を超えていれば(つまり圏内と判定できれば)、入力モードを音声入力モードに切り替える例が挙げられる。このように複数の装置情報の組合せからユーザが車の運転中と判断し、周囲雑音および電波強度の条件が整えば、入力モードを音声入力モードに動的に切り替えることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0049】
なお、上記のステップS201で文字入力装置10のユーザが活動中と判断された場合、およびステップS205で移動速度が上記第3の基準値未満の場合、文字入力装置10のユーザは車の運転中でないと判断できるため、通常どおりの入力モード切替処理を行う(ステップS212)。
【0050】
一方、ステップS202で位置情報の軌跡が道路の位置に合っていなければ、入力モード切替部12は、地図情報に基づく仮想的な地図平面上に、位置情報取得部11Cにより取得された文字入力装置10の位置情報の複数時点にわたる履歴を重ね合わせることで、文字入力装置10の位置情報の軌跡が線路の位置に合っているか否かを判断する(ステップS203)。
【0051】
ステップS203で位置情報の軌跡が線路の位置に合っていれば、入力モード切替部12は、文字入力装置10の位置情報の複数時点にわたる履歴より移動速度を算出し(ステップS208)、得られた移動速度が、電車移動中(電車に乗車している)と判断するための予め設定された基準値(以下「第4の基準値」という)以上か否かを判断する(ステップS209)。ここで、移動速度が第4の基準値以上ならば、入力モード切替部12は、文字入力装置10のユーザは電車移動中(電車に乗車している)と判断し(ステップS210)、乗車中に関する以下のような所定の切替基準に従って入力モードを切り替える(ステップS211)。例えば、ユーザが電車に乗車していると判断できる状況で、電波強度測定部11Fによる測定で得られた電波強度が上記第2の基準値を超えている場合(つまり圏内と判定できる場合)は、周囲雑音測定部11Gによる測定で得られた周囲雑音の大きさにかかわらず、入力モードをキー入力モードに切り替える例が挙げられる。電車の中で音声入力用に発話することは周囲の乗客に迷惑であり且つ発話しにくい雰囲気であるため、入力モードを音声入力モードに動的に切り替えることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0052】
なお、上記のステップS203で位置情報の軌跡が線路の位置に合っていない場合、およびステップS209で移動速度が上記第4の基準値未満の場合は、文字入力装置10のユーザは電車に乗車していないと判断できるため、通常どおりの入力モード切替処理を行う(ステップS212)。
【0053】
以上のような第3実施形態によれば、ユーザの移動軌跡に相当する文字入力装置の位置情報の軌跡が道路又は線路の位置に合っているか否かの判断結果、および移動速度が第3、第4の基準値以上か否かの判断結果より、ユーザが道路上を車で移動中か否か、およびユーザが線路上を電車で移動中か否かを認識でき、これらの状況に適した入力モードに切り替えることができる。
【0054】
なお、図8の例では、冒頭のステップS201で文字入力装置10のユーザが活動中(例えば歩行中)であるか否かを判断し、もしユーザが活動中ならば、ステップS202〜S211の処理対象から除外した。これとは別の態様として、ステップS201の処理は省略してもよい。この場合、文字入力装置10のユーザが活動中(例えば歩行中)である場合は、ステップS205、S209において移動速度が第3、第4の基準値以上と判断されることはないため、ステップS206、S207、S210、S211の処理対象から除外されることとなり、図8の例と同様の結果となる。
【0055】
(文字入力プログラムについて)
文字入力装置10に係る発明は、コンピュータを文字入力装置として機能させるための文字入力プログラムに係る発明として捉えることができる。
【0056】
図9の(a)は、コンピュータを図1の文字入力装置10として機能させるための文字入力プログラムP10のモジュールを示すブロック図である。図9の(a)の文字入力プログラムP10は、装置情報取得モジュールP11と、入力モード切替モジュールP12と、文字入力モジュールP13とを備えている。各モジュールP11〜P13が実行されることにより実現される機能は、図1の各部11〜13の機能とそれぞれ同様である。
【0057】
また、図9の(b)は、コンピュータを図4の文字入力装置10として機能させるための文字入力プログラムP10のモジュールを示すブロック図である。図9の(b)の文字入力プログラムP10は、上述した図9の(a)の構成に加え、切替履歴保持モジュールP14をさらに備えている。各モジュールP11〜P14が実行されることにより実現される機能は、図4の各部11〜14の機能とそれぞれ同様である。
【0058】
図9の(a)、(b)に示す文字入力プログラムP10は、例えば、図2に示す記憶媒体20に格納されて文字入力装置10に提供される。記憶媒体20としては、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD等の記憶媒体が例示される。また、文字入力プログラムP10は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として、有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して文字入力装置10に提供されるものであってもよい。
【0059】
なお、第1〜第3実施形態では、キー入力モードと音声入力モードの2つのモード間で切り替える処理を説明したが、切替対象の複数の入力モードはこれら2つに限定されるものではない。本発明は、入力モードとして挙げられる複数のモード(キー入力モード、音声入力モード、手書き入力モードなど)のうち、2つ以上のモード間で切り替える処理に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…文字入力装置、10A…CPU、10B…RAM、10C…ROM、10D…入力部、10E…読取部、10F…通信部、10G…補助記憶部、10H…表示部、11…装置情報取得部、11A…起動アプリケーション検知部、11B…テキストボックス検知部、11C…位置情報取得部、11D…活動/静止検知部、11E…日時情報取得部、11F…電波強度測定部、11G…周囲雑音測定部、12…入力モード切替部、13…文字入力部、14…切替履歴保持部、20…記憶媒体、P10…文字入力プログラム、P11…装置情報取得モジュール、P12…入力モード切替モジュール、P13…文字入力モジュール、P14…切替履歴保持モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置であって、
当該文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得部と、
取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替部と、
切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力部と、
を備える文字入力装置。
【請求項2】
前記文字入力装置は、
切り替え後の入力モードに関する情報および当該切替時の装置情報を取得し、取得された切り替え後の入力モードに関する情報と当該切替時の装置情報とを含む切替履歴情報を保持する切替履歴保持部、
をさらに備え、
前記入力モード切替部は、1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに加え、前記切替履歴保持部に保持された切替履歴情報をさらに基礎として、入力モードの切替を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記切替履歴保持部は、共通の装置情報の条件下で利用された複数の入力モードについて、入力モードごとの累積利用時間および入力モードごとの累積利用回数のうち少なくとも一方を導出し、得られた値を、前記共通の装置情報に関する切替履歴情報の中に保持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
装置情報は、
前記文字入力装置で起動されるアプリケーションソフトウェア情報、文字入力先となる入力領域情報、前記文字入力装置の位置情報、前記文字入力装置のユーザが活動中か否かを表す活動/静止情報、当該時点の日時情報、前記文字入力装置における受信電波の電波強度情報、および、前記文字入力装置の周囲雑音情報、のうち1つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の文字入力装置。
【請求項5】
前記入力モード切替部は、予め記憶した道路および線路の位置情報を含む地図情報と、装置情報として取得された前記文字入力装置の位置情報の複数時点にわたる履歴とに基づいて、前記文字入力装置の位置情報の軌跡が道路又は線路の位置に合っているか否か、および移動速度が所定速度以上か否かを判断し、当該判断結果に基づいて入力モードの切替を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の文字入力装置。
【請求項6】
文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置、により実行される文字入力方法であって、
当該文字入力装置の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得ステップと、
取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替ステップと、
切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力ステップと、
を備える文字入力方法。
【請求項7】
コンピュータを、
文字入力のための切替可能な複数の入力モードの何れかにより文字入力可能とされた文字入力装置、の利用状況又は状態を表す装置情報を取得する装置情報取得手段と、
取得された1つの装置情報又は複数の装置情報の組合せに基づいて、文字入力のための入力モードを、複数の入力モードのうち1つの入力モードに切り替える入力モード切替手段と、
切り替え後の入力モードにより文字を入力するための文字入力手段、
として機能させるための文字入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−63921(P2012−63921A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206854(P2010−206854)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】